ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
またしても1ヶ月近く間が空いてしまい申し訳ございません。
今日は私の推し、優木せつ菜の誕生日ですね!
それでは本編をどうぞ!
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ‼︎」
タイガ『フッ!』
颯爽と街中に降り立ったタイガが、戦闘の構えを取りながらキラーナイトファングと対峙する。
興を削がれたキラーナイトファングは頭部の第3の目を閉じると、派手に暴れ出した。
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ‼︎」
宏高「まずはアイツの目を叩く!」
インナースペース内で耳にイヤホンを付けた宏高が指示を出す。
キラーナイトメアウェイブ対策として音楽を聴きながら戦闘を行っているが、タイガ達の声は宏高の脳内に直接響いてくるので、コミュニケーションに支障はない。
タイガは頷き、キラーナイトファングにぶつかっていくが、取っ組み合う中でキラーナイトファングの腕の触手に捕まり、首を締めつけられる。
タイガ『グアッ……』
身動きが取れないタイガに、キラーナイトファングの第3の目から放出されたキラーナイトメアウェイブが直撃する。
「フエッフェェェェェッ‼︎」
タイガ『ウワァッ!』
後方に吹き飛ばされたタイガは再びキラーナイトファングに向かって行こうとするが、ここで彼に異変が起こる。
タイガ『……⁉︎』
タイガの脳裏に浮かんでくるのは、この地球に来てからのこれまでの戦いの記憶。
因縁の敵、ダークキラーヒディアスと再び遭遇した時は感情的になっていた事もあり、軽くあしらわれた。
以前のギギ・アサシン戦でも、銃撃戦で一瞬の隙を突かれて一気に不利となり、光線技のぶつけ合いでも押し切れなかった。
果たしてこの先、こんな調子で地球を守り続けられるのか。
頭を抱えて苦しむタイガの心の中で、マイナスな感情が渦巻く。
タイガ『グウッ……ウウッ……』
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ‼︎」
キラーナイトファングの咆哮で我に返ったタイガに強力な火球『キラーファングヴォルボール』が直撃する。
タイガ『グアッ⁉︎』
戦闘の様子を璃奈の自室から見ていた同好会メンバー達も、不安そうな表情を浮かべていた。
かすみ「何とかならないんですか⁉︎ねぇ、りな子!」
璃奈「………」
今部屋に流してる音楽を直接キラーナイトファングに向けて流せば的確なサポートになるかもしれないが、外に出ればまた悪夢に陥ってしまう。
しかし、黙り込んで俯く璃奈の胸中には、ある思いがあった。
(あの怪獣を生み出してしまったのが私なら、私がなんとかしなくちゃ……)
璃奈は椅子から立ち上がると、自室から飛び出した。
愛「りなりー⁉︎」
エマ「璃奈ちゃん⁉︎」
愛は璃奈を追いかけようとするが、せつ菜に止められる。
せつ菜「愛さん!今出ていくのは危険ですよ!」
愛「アタシは大丈夫だから!」
そう言って、愛も部屋を飛び出して行った。
────────────────────
璃奈は走っていた。
自分が行ったところで、出来ることなんて何もない。
それでも動かずにはいられなかった。
璃奈は足を止め、目の前で起こっているタイガとキラーナイトファングの戦いを見据える。
愛「りなりー!」
璃奈の元に愛が追いついてきた。
璃奈「愛さん……」
愛「りなりー……もしかして、責任感じてる?」
璃奈「……え?」
表情こそ変わらないものの、驚く璃奈。
この人には何でも分かってしまうんだな、と。
愛は璃奈の手を取ると、励ますように言った。
愛「りなりー。さっき自分は何も変わってないって言ってたけど、そんなことないよ。同好会に入って、ライブをしたいって言った時から、りなりーは確かに変わってた。表情に出てなくても、気持ちはちゃんと日々の行動に出てたんだよ。愛さんが言うんだから間違いないっ‼︎」
璃奈「……!」
思わず璃奈の目が潤む。その時、
「太陽みたいに明るい子だね」
愛「へ?」
璃奈「?」
音もなく目の前に姿を現した少女の存在に気付いた愛は頓狂な声を上げ、璃奈も少女の方に振り向く。
腰まで伸びた紫色の髪を1本に束ね、巫女服に身を包み、柔らかな笑みを浮かべているやや大人びた少女。
璃奈「あなたは……?」
???「通りすがりの巫女さん……かな?」
面白がるような笑みを浮かべながら名乗った後、少女は興味深そうに2人を見つめて言った。
巫女「君たちは……ちょっと特別みたいだね」
璃奈「…え?」
愛「どういう意味?」
巫女「うーん……君たち自身に分からないなら、私にも分からないかな〜」
愛「ええ……?」
よく理解できないことを発しながら、巫女の少女はタイガと怪獣の戦闘に目を向ける。
愛は困惑しながらも璃奈と共に同じ方向を向く。
巫女「あいつは人の苦しみを糧にして恐怖を振り撒く悪魔。特に不安やプレッシャーといった、ネガティブな感情を好んでるの」
璃奈「やっぱりあの時から……」
部屋に籠って塞ぎ込んでいる間に怪獣はずっと成長を続け、そして実体化した。
その事実に璃奈の心が締めつけられる。
巫女「“彼”を助けたい?」
璃奈の気持ちを見透かしたように彼女は問いかけてくる。
それに対し、璃奈は迷わず無言で頷いた。
いつまでも支えられてばかりじゃいけない。
いつか愛みたいに、誰かを“支える人”になりたい。
巫女「なら、手を出して」
巫女の少女は璃奈が差し出した両手に自身の手を添えると、身体から凄まじい輝きを放出させた。
璃奈「うわっ……⁉︎」
愛「何?何……?」
巫女「……スピリチュアルでしょ?」
やがて巫女の少女の光は集束していき、
巫女「私の……この
そう少女がこぼした次の瞬間、光り輝く黄金色の剣へと変化を遂げ、璃奈がそれを手に取る。
(熱い……)
強い光を放つ剣の熱に、思わず手を離しそうになる璃奈。
そんな璃奈の手を横から握る愛。
璃奈「愛さん……」
愛「一緒にやろう。りなりー」
璃奈「……うん」
愛と璃奈は2人で剣を構え直すと、
愛「行くよ!せーの‼︎」
合図と同時に剣をタイガ目掛けて一直線に投げた。
『この
タイガ『……うおっ⁉︎』
宏高「何だ……?」
幻想的な声と共に物凄い速度で迫ってきた黄金のエネルギーがタイガのカラータイマーに入り込み、剣の形となってインナースペース内に居る宏高の目の前に降りてくる。
宏高「これって……まさか…⁉︎」
タイガ『そうだ……この力、この光を俺は知っている……!』
宏高が腰のホルダーからタイガキーホルダーを外して黄金色の剣の前にかざすと、剣がキーホルダーに宿り、新たな“力”として顕現した。
タイガのキーホルダーは二回りほど大きくなり、クリスタルも3つに増えている。
宏高「おいタイガ……!」
タイガ『あぁ!力が戻ってくるぜ!』
宏高「取り戻したこの力で……アイツを倒すぞ!」
《カモン!》
宏高はタイガスパークのレバーを操作すると、キーホルダー上部にある2つの球体を青、金の順にタイガスパークにかざす。
《アース!》
《シャイン!》
宏高「輝きの力を手に!」
右手でキーホルダーを握り締めた直後、上部のカバーが翼を広げるように展開。
タイガ『うおおおおおおおおっ!ふんっ!』
脚から胸部にかけてタイガの全身に黄金の鎧が装着されていき、頭部のウルトラホーンも金色に変化し大振りになる。
宏高は両腕を大きく回しながら全身を捻り、天に向かって右腕を高く突き上げながら叫んだ。
宏高「バディィィィィ……ゴー!」
《ウルトラマンタイガ!フォトンアース‼︎》
タイガ『────シュアッ!』
鎧を纏った力強くも神々しい、大地天空の勇者。
『ウルトラマンタイガ フォトンアース』。
まさに復活の瞬間である。
タイガ『………ハアッ!』
(BGM:タイガ・フォトンアース)
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ‼︎」
キラーナイトファングはそれがどうしたと言わんばかりに口からキラーファングヴォルボールを2連射する。
タイガは右拳を振り下ろして1発目を叩き落とし、裏拳で2発目を弾き返した。
キラーナイトファングの足元に跳ね返った火球が着弾し、爆風に慄く。
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ⁉︎」
逆上したキラーナイトファングはタイガに向かっていくが、腕の触手による攻撃は悉く受け止められ、反撃の掌底を喰らう。
タイガ『ハッ!』
キラーナイトファングは尚もタイガに挑みかかるが、逆に腕を押さえ付けられる。
するとタイガに再びキラーナイトメアウェイブを浴びせようと、頭部の第3の目を向けた。
「フエッフェェェェェッ‼︎」
しかしタイガはそれに気付いて、右回し蹴りをキラーナイトファングの頭部に喰らわせる。
タイガ『シュアッ!』
「フエェェェェッ⁉︎」
あまりの衝撃にキラーナイトファングは怯み、追い討ちでタイガは右パンチ、左ストレートからの連続パンチと重みのある連続攻撃を叩き込んでいき、そして蹴り飛ばす。
タイガ『ウオォォォォッ!フンッ!』
「ワキャキャキャキャキィイイイイィィエエッ⁉︎」
タイガは脇を締めつつ両手を腰まで下げ、全身を金色に光らせながら地球のエネルギーを体内に集中。
そこからストリウムブラスターと同じ構えを取り、トドメの一撃を放った。
タイガ『オーラム……ストリウゥゥムッ‼︎』
右腕のタイガスパークから金色の光線『オーラムストリウム』が迸り、キラーナイトファングに直撃。
「フエッフェェェェェッ⁉︎」
魔獣はゆっくりと倒れ、直後に悲鳴を上げながら大爆発した。
続く。
遂にフォトンアースの力を取り戻したタイガ。
愛と璃奈、そしてタイガに力を貸した巫女は結局何者だったのか…………
それは読者の皆さんのご想像にお任せします。
次回:一難去ってまた一難?
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