ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜   作:門矢零

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大変長らくお待たせいたしました。

これでも地道に書き進めておりますので、気長にお待ちいただけると幸いです。
ホントこの状況、何とかしたい……

それではどうぞ。


夕立ちの告白#4

ヴィーナスフォート内にあるファミレス。

 

かすみ&璃奈「おおおおぉ〜‼︎」

 

そこの一角に座っているかすみ、しずく、璃奈の1年生三人。

そのうち二人は、テーブルの中央に堂々と聳え立つ巨大なパンケーキを前に、驚愕と感動の入り交じった声を上げていた。

 

その名もマウンテンパンケーキ。

 

七色の生地と苺クリームが何層にも重なった、食べれば間違いなく胃もたれする、山の如きスイーツだ。

璃奈としずくが慄き気味に言う。

 

璃奈「これが……伝説の…!」

しずく「ほんとに食べるの?」

 

かすみが得意げかつ自信満々に言う。

 

かすみ「マウンテンパンケーキ、0勝5敗のかすみんが、2人に完食の極意を教えてあげる!」

璃奈「勝ててない……」

 

これまで何度も挑戦していた上に、全て惨敗に終わっていたという事実が明らかになった。

いざ実食と思われたその時、しずくがある疑問を発する。

 

しずく「あの…かすみさん?どうして食器が一人分余計にあるの?」

 

よく見るとテーブルに座っているのは三人なのに、皿とナイフとフォークは四人分用意されているのだ。

店に入る時も、かすみは店員に四名だと言っていたので、ずっとその意味が気になっていた。

 

かすみ「う〜ん……もうそろそろ来ると思うんだけど〜」

 

何かを待っている様子のかすみ。

ちょうど噂をしていた所でかすみが振り向くと、待ち人がそこに立っていた。

 

宏高だ。

 

彼は店員の女性と問答を一言二言交わすと、かすみ達を見つけて、彼女達の元へと歩いていく。

 

宏高「いたいた。あれ、しずくちゃんと璃奈ちゃんも一緒だったんだね」

かすみ「宏高先輩!お待ちしてました〜!」

宏高「急に呼び出してどうしたのかと思ったら……一緒に遊びたいなら早めに言ってくれればよかったのに」

かすみ「すみませ〜ん。どうしても宏高先輩の協力が必要でしたので〜」

宏高「協力?」

 

宏高はテーブルに目をやり、そこに置かれたマウンテンパンケーキを見て驚きの声を上げた。

 

宏高「えっ⁉︎何だこれ⁉︎」

 

しかしかすみは華麗にスルーしてナイフとフォークを手に取る。

 

かすみ「助っ人の宏高先輩も来てくれたという事で、それじゃあ始めるよ!ひたすら食べ続けるべし!いざ、かかれ〜!」

 

璃奈もナイフとフォークで一部を切り取り、皿に乗せる。

 

璃奈「いただきます!」

宏高「マジっすか……」

フーマ『お前……かすみに良いようにパシられたな』

 

苦笑い気味にフーマが言った。

 

かすみ「はむっ」

 

パンケーキを口に運ぶかすみと璃奈。

直後、その甘さと食感にかすみは両拳を頬に当て、璃奈は笑顔の『璃奈ちゃんボード』を使って感想を言う。

 

かすみ「ん〜!美味しい〜!」

璃奈「ふわふわすぎる!」

しずく「ぁ……」

 

その様子を呆然と眺めていたしずくだったが、不意に何かをかすみから差し出された。

それはフォークに突き刺さったケーキの一欠片。

 

しずく「あっ」

かすみ「ほら。しず子も!」

 

ポカンと眺めていたしずくだが、やがて差し出されたケーキを小さく、一口啄む。

 

しずく「はむっ…ん……美味しい!」

かすみ「でしょ〜?」

 

笑顔を自然と浮かべるしずくにかすみはそう言い、璃奈もボードを使いつつサムズアップする。

 

璃奈「ハッピー」

 

その様子をしずくの隣で微笑ましく見ていた宏高も、かすみに急き立てられてパンケーキを皿に取り始める。

 

かすみ「宏高先輩もですよ!」

宏高「はいはい」

かすみ「行っくぞ〜!目指せ完食〜!」

 

 

────────────────────

 

 

十数分後。

 

四人は何とかマウンテンパンケーキを完食し、苦しそうだが満足げな顔を浮かべてファミレスを出た。

璃奈はボードを使って今の気持ちを表現する。

 

璃奈「璃奈ちゃんボード『お腹パンパン……』」

 

かすみは右手を上げて三人にハイタッチを求める。

 

かすみ「初勝利!イエーイ!」

 

それにしずくと璃奈、そして宏高が声に出して応じ、ハイタッチした。

 

しずく「やったね!」

璃奈「イェイ!」

宏高「ああ!」

 

 

 

時間もあったので、それから四人は色々見て回る事に。

 

先ずは雑貨屋。

そこでかすみは目をキラキラさせていた。

 

かすみ「可愛い〜!」

 

 

続いてオーディオショップ。

そこで璃奈は陳列されたBluetoothヘッドホンを見つめて「おおっ!これは…!」と声を上げる。

 

 

道中でしずくが、他の客が連れて歩いている一匹の大型犬を見つけ、頭を撫でながら喜ばしそうに言う。

 

しずく「この子、うちのオフィーリアに似てます〜!」

 

 

ヴィーナスフォート内の噴水広場。

 

宏高がかすみから渡されたスマホをカメラに三人の集合写真を撮る。

 

宏高「撮るよ〜」

かすみ「はーい」

しずく「フフッ」

璃奈「うん」

 

 

散々遊び倒した後、四人は喉が渇いたので外に停まっているキッチンカーの所に行った。

そこでメニューを眺めるかすみが、大いに悩む表情でメニューの看板と睨めっこしている。

 

かすみ「う〜ん……ん〜どうしよっかな〜?可愛いかすみん迷っちゃう!」

宏高「じっくり選んでいいからね」

 

どうやらこれは宏高の奢りのようだ。

その様子を既に注文してもらっていたドリンクを飲みながら見ていた璃奈だが、不意に離れた所に立つしずくの方に視線をやる。

しずくは窓ガラスに貼られている、昔に上映された映画のポスターを見ていた。

 

作品のタイトルは『AUDREY』──オードリー。

 

好きなものや憧れのものを見るかのような視線でポスターを眺めるしずくに、璃奈が話しかける。

 

璃奈「好きなの?昔の映画」

しずく「あっ」

璃奈「もしかして、しずくちゃんが演技を始めたのって、こういうの見てたから?」

しずく「そう…かな。それもあるけど……」

 

そこで句切ると、しずくはポツリポツリと話し始めた。

自分が演劇をするようになった理由と、その根底にあるものを。

 

しずく「私ね、演じてる時が一番堂々としていられるの。誰の目も気にならないし………自分が、桜坂しずくだって事を忘れられるの」

 

その刹那、しずくは暗い顔を浮かべた。

そこから浮き出ているのは自己嫌悪。

 

璃奈「ぁ……」

 

それに目敏く気づいた璃奈は、一瞬迷いながらも声に出して訊いてみる。

 

璃奈「自分が嫌なの?」

しずく「ご…ごめんね。変な話して。忘れて?」

 

しずくは両手を振って話を逸らそうとするが、一度聞いてしまった璃奈からすれば、早々忘れる事など出来ず……

そこにかすみが飛び込んでくる。

 

かすみ「あ〜っ‼︎また暗い顔してるぅ‼︎スマイルだよ、しず子!えへっ♪」

しずく「かすみさん……」

かすみ「今日は嫌な事全部忘れて、パーっと遊ぼ?それで元気出たら、オーディション頑張って、主役取り返そう!」

 

 

 

宏高「えっ……?」

 

後から遅れてきた宏高の小さな驚きの声にかすみと璃奈が振り向き、しずくは申し訳なさそうに目を伏せながら言う。

 

しずく「知ってたんだ……」

 

自分が気遣われていた事をしずくはこのタイミングで初めて知り、それを見たかすみは遠慮気味に萎縮してしまう。

 

かすみ「うん……でも、別に内緒にしなくても良いじゃん!私達応援するし!」

しずく「……」

かすみ「それに!もししず子が落ち込んでるなら、話を聞くぐらい…」

しずく「大丈夫!」

かすみ「えっ?」

 

かすみの言葉を途中で遮って、しずくは言う。

 

しずく「心配しないで?私は平気だから。二人共ありがとう!それに…宏高さんも」

璃奈「しずくちゃん……」

宏高「……」

 

何て事ないと言わんばかりに笑うしずくだが、璃奈と宏高には分かってしまった。

それが空元気な作り笑顔である事を。

 

しずく「今日はもう帰らなきゃ。じゃあね?」

 

そう言ってしずくは宏高に頭を下げつつ、先に帰ってしまった。

残された三人はしずくを追いかけて止めようにも、何故か足がそこに縫い止められたような感じがして、全く動く事が出来なかった。

 

 

続く。




マウンテンパンケーキの場面は、かすみに謀られた宏高を加えた四人でのシチュエーションにしました。

一人別れたしずくに闇の魔の手が…⁉︎


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