アマゾネスとして生まれた私は〇〇になる。   作:だんご

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なんだかんだでお待たせいたしました


テルスキュラを出る喜び

 私はオラリオに来て感動した。

 

 何に感動したのかいうと、そんなに壮大な話ではない。

 人生の意味だとか、宇宙の真理だとか、夢とか希望とか、この世において意味のあるとされているものではないのだ。

 むしろ大多数からすればくだらない話なのだろうが、私にとってはとても大事なことだった。

 

 それは今、私の目の前にあるこの光景だ。

 

 「もー、ずっと待っていたのに遅いよ」

 

 ふくれっ面のかわいい獣人、頭の上にぴょこんと生えている獣耳から想像するに、ネコの獣人だろう。

 息を切らして、いかにも急いでやってきたと見えるヒューマンは、両手を顔の前で合わせて、まるで首振り人形のように何度も頭を下げている。

 

 「ごめん、出る直前で団長に捕まってしまってさ!本当に悪かった!」

 

 「……しょうがないなぁ、その分、今日は楽しませてね?」

 

 ツンとしているが、しっぽは嬉し気に左右に揺れている。彼との逢瀬がもう楽しみで仕方がなかったのだろう。

 

 広場にて待ち合わせをしていた冒険者カップルが、互いに顔をほんのりと赤くして見つめ合う。

 そしてそのままお互いに手をつなぎ、嬉しそうに、楽しそうにオラリオの町に消えていったのであった。

 

 それを喫茶店の席からじっと眺めていた私。

 

 「……リア充どもめ、見せつけてくれるじゃないか」

 

 皮肉気な言葉とは裏腹に、私は満面の笑みである。

 

 こうしたロマンスはエロマンガを描く上で刺激になる。

 抜けるエロはもちろんいいが、シチューによってストーリー性マシマシのエロもまたいい。

 ただのエロに乙女の純情や優しさ、憧れが相まってよりエロい気持ちが昂るからだ。

 

 こうした恋愛の光景は、純情エロマンガを描く上で妄想を掻き立てる素材になる。

 リア充は撲滅するべきであるが、それはそれとしてモチベーションやネタとしては大切に保護されていくべきだと思うのだ。

 

 なんでこんなにありがたがっているかというと、こんな日常の光景がテルスキュラではこうなる。

 

 「あー、戦い終わったらムラムラするわ(血まみれアマゾネス21歳・独身)」

 

 「いい男いないかな、強くてチンコでかくてさ!(入れ墨アマゾネス18歳・独身)」

 

 「あそこのお店、新たに捕まえてきた男娼いるらしいぞ!しかも顔が良いって!(肉食系アマゾネス19歳・独身)」

 

 「マジかよ!他のやつに絞られて元気なくなってやつれる前に、いっちょ楽しみにいこうや!(土方系アマゾネス15歳・独身)」

 

 もうあれよ、萎えるよね。

 

 「そういうのもいいけどさ、エロいけどさ。流石に生まれ故郷がそんなのはいやだった」

 

 「お前の母ちゃん対魔忍」って言われるぐらい嫌だった。こんなに帰りたくない実家もないだろうに。

 

 あれだ、確かにそういうエロもあるよ。オープン系エロで、エロいことが挨拶レベルで出来るっていう世界観は、ロマンが詰まってていいものだよ。

 でもさ、年がら年中の間を『水龍敬エロマンガ劇場』の環境にぶちこまれてみなさいな。頭おかしなるで。

 

 男の人が「勘弁してくれ」とか、「もう出ない」と泣き叫んでいるのに獣の如く襲い続けるような女の集まりがテルスキュラだぞ。

 処女性とか道に捨てられたゴミほどの価値もなく、日常会話であそこの男のチンコがデカかったとかいっている女の園だぞ。

 

 「推しに彼氏ができるとか許せるか!」「推しが処女でないとか許せるか!」といった男たち、女性に清純性を求める俗にいうユニコーン系男子がこの国を見たら、きっとソドムとゴモラかと勘違いするに違いない。

 

 あんまりかわらないけどね!お互いに殺し合いもしているしな!

 

 「ああ、夢に見た文化的な生活。金、暴力、SEXなマッドマックス系女子はもうお腹いっぱいですわ」

 

 ちなみにテルスキュラにいる男が最後にはどうなるかっていうと、カマキリの雄が最後に幸せになれますかって話と同じことだ。これ以上は触れてはいけないゾ。

 

 それに比べて、このオラリオは様々な素材の宝庫である。

 

 多くの人、人種、ストーリー性が相まっていろんな妄想が捗るったらありゃしない。こいつは困ったものだ。先日描いた幼馴染系エロマンガは、なんと意外な人気を獲得している。

 

 エロマンガは性的な消費の産物と見られがちの嗜好品、売れることは難しいかと達観していたものの、よもやよもやだ。

 娯楽関係があんまり発達していないこの世界では、結構注目の的になってしまっている。

 

 「……意外に需要があるんだな。挿絵の文化もそんなに豊かではない上に、絵で吹き出しがついているというのは斬新すぎると思っていたのだけれども」

 

 マンガは歴史と共に、時代に合わせて変化し、成熟していった文化だ。

 

 現代の吹き出しや字体、コマ割り等の表現の技法は、先人たちの技術の結晶といっても過言ではない。このマンガもない世界で、一足飛びに先人たちの技法の結晶を世に出して受け入れられるのだろうかと心配もあった。

 

 それが受け入れられたというのは、未知に探究するオラリオの冒険者スピリッツと、その受容性も大きく関係しているのかもしれない。

 どちらにしろ嬉しい誤算だ。自分の作品が世に受け入れられることは無上の幸福である。

 

 この世界は中世っぽい、つまり娯楽の種類が少ない。

 

 その娯楽の一つである本も、ストーリーのバリエーションに数があるわけではなく、内容はせいぜいおとぎ話レベルなのは悲しいことだ。

 

 個々人への学校教育もまともにないために、知的な娯楽を生み出せる人間の土壌も余裕もあんまりない。

 印刷技術も拙く、しかも大きな組織にしか輪転機がないがその数も少ない。さらにコストも一般人が手を出せるものではない。

 

 こんな世界では素人が文学活動に参入できる余地は全くなく、悲しいことに同人活動が行えるわけがないのだ。

 結果、様々なジャンルの誕生もなく、創作活動も行われないために、才能の発掘も行われないし、人や時間と共に発展していく物語性の深まりもないのである。

 

 あの濃い創作が行われていた世界の魂を持つ私が、これに満足できるわけもなかった。

 エロ本もエロ小説もないなんて、今の私には耐えられない。マスター、よこせ、上質なエロをいっぱい私によこすんだ。

 

 神話レベルのおとぎ話とか、勇者とお姫様のお話でエロが感じられるかって話だ。お子様じゃないんだぞ私は。

 でもこの世界の住人にはそれが何よりも楽しい娯楽、大満足な代物なんだなぁって。

 

 この世界を否定はしない。マウントを取るつもりもない。ただ供給がない以上、満足できるように自給自足に向かうのが人の理よ……。

 

 幼馴染系エロ、お姉さん系エロ、冒険ものエロ、眼鏡っ子にポニテにスポーティに文学少女に。

 ありとあらゆるジャンルが、シチューが脳内をぐるぐると回っていく。いやー、たまりませんわ。

 

 町で活力を得た私はファミリアに戻り次第、早速原稿を仕上げていった。人との出会いがあり、エロとの出会いがここにはある。ホントの愛はけものフレンズ二期じゃなくて、ここオラリオにあったんだ……。

 

 そんな時、自室の扉をノックする音がした。

 

 「ソフィーネ、すまない。作業中に申し訳ないけど、所要があってね」

 

 「……アイシャか?今あける」

 

 イシュタル・ファミリアのまとめ役が何の用事だろうか。

 

 片方髪によって隠れ目という素晴らしい属性を持つアマゾネス。

 男娼である副団長の代わりに、女達をまとめることもあるレベル3の戦闘娼婦の一人。そして胸の形が良いのがポイント高い。

 

 このファミリアの団長である顔面ヒキガエル女は戦闘能力は高いわりに、脳みそはこれっぽっちも詰まっていない。悪口になってしまうが、あまりの人間性故にこのファミリアの団員全員が似たようなことを言っている。

 

 いや、むしろ私よりも酷い。女の陰口をなめてはいけない。

 

 おまけにファミリアとしての仕事も全くせず、そもそもできないだろうから、代わりにアイシャや副団長に仕事がたくさん回ってきていると他の団員たちから聞いている。

 

 ここにも仕事関係か、ファミリア関係での話が有ってきたのかもしれない。

 

 「やっぱり原稿の製作中だったのか」

 

 「ああ、良いインスピレーションを得てね。鉄は熱いうちに打てというけど、マンガも同じで早いうちにアウトプットしないと折角の機会を逃してしまうんだ」

 

 「ふーん、まぁ、流石作家さんは大変ね。その熱量も実ってきているようじゃないの。徐々にあなたのマンガってやつは街中でも話題が広がってきているし、うちの団員からもあなたのペンネームが話題でよく出てくるようになったからね」

 

 「ん、それは嬉しい話だな。テルスキュラにいた頃は描いたものは見向きもされずに死蔵されていて、挙句には変人扱いだった。やはり文化的な都市は違うな」

 

 「……変人扱いはここでもかわらないんじゃない?」

 

 「おーい、聞こえているんだけど。違うって、時代が追い付いていないだけだと信じたい」

 

 アイシャはその面倒見の良さから、信頼性という言葉においてはこのファミリアで五本の指に入っている。私もマンガを描く関係で、方々に繋がりを得るために大変お世話になった。

 

 ちなみに、うちの団長の信頼度は最底辺を常にキープしているぞ。私も何回かあっているが、人間性もあのテルスキュラですらなかなか見ないクズ具合だ。ある意味貴重である。

 

 そんな団長は前まではレベル5だからと幅を利かせていたが、あの戦いの後にレベル6になった私と一回喧嘩してからは少し大人しくなってたらしい。

 しばらく前に、アイシャが嬉しそうに話していたのが印象深い。あのカエル、どんだけ方々に迷惑かけていたんだろうか。

 あと、あいつが私の趣味を馬鹿にしたのが悪いと思うのだが、その戦いを見た連中からは何故か私の方が怖がられている。解せぬ。

 

 「それで、何かあったの?」

 

 「……いやぁ、うん」

 

 言いにくい話なのだろうか。どうにも話し始めるのに気が進んでいないようだ。

 

 「こっちに来てから私の存在を隠そうとして、何か別の意図があるのは知っているけど。それ関係の話かな?」

 

 どうにもこのイシュタル・ファミリアはきな臭い。

 まぁ主神の原点からして、いろいろ問題がある神様だ。実際直接会ってからもその印象は改善されるどころか、ますます強くなってきている。

 

 私の存在を隠して何を企んでいるのだろうか。

 

 ペンネームで活動することは、日常に問題が起こりにくいから私に不満はない。

 ダンジョンに潜らないでほしいという話も、他の力ある冒険者なら怒るだろうが、私にとっては創作活動に専念できるから良い話だ。

 オラリオで何があっても目立つな、戦うなと言われてはいるものの、素性を隠しておけば街中にだって自由に出かけられるしね。

 

 「いや、本当はファミリアの本拠地である、この歓楽街にずっといてほしいぐらいさ。何かあってももみ消すことが簡単だからね。でも、誰もあんたを止めることができないから、仕方がなくみんな見逃しているんだよ」

 

 「より良い生活、そしてエロのためだからそこはね」

 

 「団長のフリュネが大人しくなってくれても、問題が変わっただけなのがなんとも……」

 

 私だってオシャンティーなお店で意識高いものが食べたいんだ。

 創作活動だけやっていたって、人生の豊かさやエロにはつながってこないこともある。より良いエロには生活の質も必要なはずだ。

 

 気力も体力もないと、何回もエロマンガを楽しめないからな!

 

 「ほら、うちで出しているあんたの創作物についての話」

 

 「エロマンガか?」

 

 「あんたの作品って一部でしか取り扱ってないのだけれど、さっきの話のように人づてに話題になってきていてね。昔出版したものを含めて増刷が決定した。歓楽街以外での取り扱いも少しずつ広がって来ているし、都市の外からも一件話がきているのさ」

 

 「なんともまぁ、想像もしていなかったなぁ。内容も内容だろうに」

 

 歓楽街で本番があるからそこまで需要はないかなと考えていたが、それとは別にして楽しみの一つとなったことはエロの多様性と素晴らしさのおかげなのかもしれない。エロは偉大だ。

 

 しかも話が歓楽街の外にまで広がっているというということは、日本でもかつて見られたようなあの光景。

 純情ボーイが思春期に目覚めてエロ本をこっそり買いに行ったりする、あの光景が見られるような日も近いのかもしれない。胸が熱くなるな。

 

 「そう、それさ」

 

 「……それとは?」

 

 「あんたのエロマンガ、ストーリーが好評になってきているんだよ。最初は変わった性的な嗜好品の一部だったのが、次第に話の展開を楽しむことにも読者は目を向けるようになってきている」

 

 「嬉しいな。エロは良質なストーリーによってさらに高まるもの。人は結果だけではなく、そこにどれだけのドラマがあるのかと気になり、惹かれてしまう生き物だと思う。抜き目的以外のエロを結果とするならば、そこに行きつく過程、物語性もまたエロマンガでは大切なんじゃないかなってね」

 

 おかげで画力の向上、シーンの表現の研究には苦労した。

 この体のスペックは高いからなんとかなっているが、前世では絶対にここまで上達することはできなかったに違いない。

 

 「私もあんたのマンガのストーリーは嫌いじゃない。例えば、あんたの前作に私はらしくもない感動をさせてもらった。辛い環境にいた女の子が、男の子と出会い、自分という意思を手に入れてついには光の世界に男の子と共に歩んでいく。こんな世界だ、せめて物語の中ではあんな幸せな結末があっても良いものさ……」

 

 この前描いた幼馴染系エロマンガのことを言っているのだろう。

 

 アイシャの顔は楽しげだが、同時に少し影がある。まぁ人間いろいろ背負うものもあるし、嫌なものを見ることもある。

 自分、もしくは誰かの境遇にマンガのストーリーを重ねてしまい、センチメンタルな気持ちになったのかもしれないな。

 

 私も感傷的になってしまうことはよくあった。NTRものとか、脳がぶっ壊れるほどに気持ちが痛いのに、何故かより読みたくなり、傷つきたくなってしまうのである。

 恐らく痛みを和らげるために脳内物質がフル稼働して気持ちよくなり、ついにはNTRというジャンル自体に性的興奮を覚えてしまったに違いない。

 

 「私もわかるような気がする。既に私も汚れ、沼につかり切ってしまった人間だ。知らないあの頃に戻れたらと考えてしまうこともあるが……」

 

 「……そう、あんたはあの国出身だからね。助けたくても、この世界は闇が深すぎる」

 

 「ああ、この世界の闇(性癖)は奥が深いからな……」

 

 しんみりしてしまった。

 エロはいろんな気持ちを教えてくれる。むしろNTRを知ったからこそ、純情な方向の良さを私は改めて知ることができたのかもしれないな。

 

 「すまない、話がそれた。それで、あんたのマンガのストーリーについての話なんだが……」

 

 「ん?これまでは私が全部決めて全部描いてきたが、何か要望でもでてきたの?需要を考慮して編集が入るなんて、いよいよマンガ家じみてきたな」

 

 「いや、ストーリーは今までのようにあんたが考えてくれていい。むしろ私たちや読者の趣味嗜好を交えてしまったら、あんたの人気があるストーリー性を損なってしまうかもしれないからね」

 

 「随分と信頼してくれているな。流石に照れてしまう」

 

 「もっと自信を持ってもいい。次々と出される異なる物語に、みんな夢中になってきているんだから」

 

 ここまで言ってもらえるようになるなんて……。

 思わず涙が出てきてしまいそうになる。

 

 これまでの私は無駄ではなかった。くじけそうになったが、エロへの欲求に支えられ、何度も立ち上がってきて文字通りに戦い抜いてきた。

 

 そんな自分が多くの人間に、世界に認められてきている。

 これもひとえにエロのおかげに違いない。この世界の中で孤立していた私の心の受け皿になってくれたエロは、今やこの世界の人々の心に広がりを見せているのだ。なんて壮大な話なんだ!

 

 「それで、な。これからこの歓楽街を離れて一般の展開も考えていったらいいのではって話になってね。実際そういう話もここの外から来ているのさ。つまり、よりストーリー性に力を入れてほしいというか、ね?」

 

 「なるほど。長編のエロマンガを描くということか。確かにこれまでは短編のシチューが多かった。そして主人公やヒロインの成長性を描く余地は少なかった」

 

 互いに交わり、心を重ね、大人へと変わっていく。あるいは人間が変わっていく過程のドラマがエロに重なってくることを求められているわけか。

 

 それは確かに短編で表現することは難しい。長編で、それも何話か続くことを考えていかなければいけないのだろう。私がエロマンガ家として、新たに挑戦し成長する良い機会なのかもしれない。

 

 そんなことを考えいると、アイシャは何故か顔を曇らせた。どうしたというのだろうか。

 

 「いや、そうじゃない。市場に広く出すということは、より受け皿が広い形に変えていくことも必要になってくるというわけで……」

 

 「わかった。重かったり、特殊なものではなく、多くの人に刺さるような性癖とシチューが必要というということだな。あまり行為のシーンがねちっこかったりすると、エロにも感情移入が上手くいかなくなってしまうのは私も何度か経験している」

 

 「あー、そうじゃなくてなぁ……」

 

 どうしようかと困っているアイシャに、私もわけがわからなくなってきた。

 彼女は一体、何に悩んでいるのだろうか。

 

 「ほら、つまりはガキもみるし、エロに興味がない人にも見てもらうことも大事になってくるわけだよ」

 

 「性癖が子供のころから歪んでしまうのは大変だ。そしてエロに興味ない人間にいきなりきついジャンルを見せてしまっても逃げてしまう。歓楽街以外での出版の内容は最初に軽く、フレンチでいこうということを言いたかったんじゃないの?」

 

 「そうじゃなくて……。ああ、もう……。恨むぞ、タンムズ」

 

 なんで副団長、男娼のあの男の名前がここで出てくるんだ。

 困り果てているアイシャの姿を見ていると、この苦労人のことが心配になってくる。ここ最近、何に悩んでいるのか顔が暗いことも多い。

 

 心配りができる人間は苦労も多い世界だが、彼女もその一人であることに間違いない。彼女が言い出せない以上、その気持ちを汲んでやりたいのだが、言いたいことが私にはわからない。

 

 ならば、歩み寄ることが必要か。

 一息をついて気持ちを切り替え、戸惑うアイシャの瞳をまっすぐに見つめた。

 

 「アイシャ、何か悩みがあるのなら遠慮なくいってほしい。私はあなたに感謝している。このオラリオで右も左もわからない私に、エロマンガを描ける環境を用意してくれた。生活の基盤を整えてくれた。あなたからたくさんの恩を受けてきた私が、すこしでもあなたの力になれるというなら、喜んでこの力を貸そうじゃないか」

 

 仮にもレベル6。最強には劣るものの、並大抵の連中には負けるつもりはない。

 この力がエロのために力を貸してくれた恩人の支えとなるのならば、私は彼女のために最強にすら挑んで見せる。

 

 そう決意を伝えると、アイシャも意を決したのだろうか。

 深呼吸をした後に、覚悟を決めて私に向き直った。

 

 ……どうでもいい話だが、決意を決めた美人の顔って好きです。カッコかわいいというか、カッコ綺麗というか、ともかく良いエロさが感じられてどきどきします。

 

 「ありがとう、私も覚悟を決めた。ねえ、ソフィーネ」

 

 「なんだ、アイシャ。私はできる限り力になりたい」

 

 「あんたがエロマンガに並々ならぬ熱意を込めているのは、私はよく知っているつもりだよ」

 

 「ああ、ありがとう。確かにそうだ。私はそのためにテルスキュラを飛び出してきたのだから」

 

 「そんなあなたにこれを言うのはなんだが……」

 

 つばを飲み込んだアイシャに、自然と自分にも緊張が走る。

 

 「……あんたのマンガのストーリーは素晴らしい、だから」

 

 「だから?」

 

 「だ、だから──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え、エロいシーンを抜きにしたマンガを描いてくれないか?」

 

 「なんだァ?てめぇ……」

 

 ソフィーネ、キレた!!




正直、これでお気に入り100いけると思ってなかった(遠い目)
個人用でわかりにくいネタもあるのですが、反応もらえるとやっぱりうれしいものですね。
あとなんだかんだ書いていて楽しい。明日仕事なのに深夜二時まで書いて完成しちゃった。やはりエロいTSは人を選ぶがいいものだ……。

なんだかんだで季節の変わり目、体調も崩れやすいので皆さんもご自愛ください。

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