アマゾネスとして生まれた私は〇〇になる。   作:だんご

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気がついたら睡眠時間を削って書いてしまっていました。
なんだかんだで楽しかったです。


紐、だと……。

 人の数だけエロがある。

 

 よくNTRはだめだとか、ケモナーは気が狂っているとか、他人の興奮するものをただただ非難する人たちがいる。

 確かにそれらのジャンルを社会の常識と照らし合わせてみれば、まともと呼ばれるようなものではないのかもしれない。

 

 しかし、私たちは人間だ。

 多種多様な価値観を育て、自分という玉を磨き上げてきたのが人間なのだ。

 

 人として生まれた以上、真善美を目指し生きることを咎める者はいないだろう。

 その過程で人が得た性癖という尊いものを、自分や他の価値観によって貶めてはいけないと私は思う。

 

 無理やりに自分に合わない価値観を受け入れろとは言わない。

 ただ、そういうものもあるのだと存在を認知するリスペクトが重要なのではないだろうか。

 

 同じ人間、同じエロの道を進む者が得たその時の答えが、たまたま自分のものと同じものではなかっただけのこと。

 同じエロの道を進むものとして、その道のりに敬意を表す心意気。そして数多の性癖の存在を認める度量が自分を育て、そしてエロを深めていく上で何よりも大切なのだと私は考えている。

 

 あくまでこれは私の一個人としての意見。強制するつもりはもちろんないし、みんな自分の意見の方を大事にしてほしい。私もこの意見を大事にする。

 

 「だから、今回の寝取りエロマンガの出版に関しての苦情を、私は一切受け付けません」

 

 「ソフィーネ様……」

 

 「いや、多くの冒険者、多くのファミリアからの苦情が酷いんですよ。なんてものを見せてくれるんだって。謎の人気も非常に高いわけですが」

 

 「終いにはソフィーネ様が、あの闇派閥の回し者じゃないかって話まで上がっていますね。同じぐらい、こういうのを見たかったっていう感想も多いのですが」

 

 イシュタル・ファミリアのアマゾネス達に冷めた視線で囲まれながらも、私は自分の意思を曲げない。ソフィーネは自分を曲げないよ。

 

 「いや、そもそもちゃんと表紙に『これのジャンルは寝取りものです』って書いただろう」

 

 「そのジャンルが新しいものであったために、誰もその注意書きの意味を知らなかったんですよ。今はみんな痛いほどに理解したと思いますが」

 

 「解せぬ、寝取りに快楽堕ちは王道パターンだ。薬漬けというワンアクセントだって、流石に寝取りものの最初からこれはと諦めたのに、どうしてここまで表現の自由を叩かれなくてはいけない」

 

 「理由をいわなければいけませんか?」

 

 「先日のオークやゴブリンに、冒険者が性的に襲われるエロマンガはどうだ?」

 

 「それも、説明が必要ですか?」

 

 最近、イシュタル・ファミリアのアマゾネス達が逞しくなってきた気がする。

 

 ちなみに、何故かあれ以来、ダンジョンの中でオークとゴブリンの討伐数がえらいことになっているらしい。

 特に一部の女性冒険者達は、ダンジョンで彼らを見た時に滅殺する勢いで殺しにかかっているのだとか。

 

 あと聞いた話では、初心者の女性冒険者がダンジョン入門モンスターであるゴブリンに対して、過度な恐怖を感じてしまうことも最近では少なくないらしい。

 

 いや、現実の折り合いや、判断がつかない18歳未満は見ないでねって。わざわざこの世界初のレーティングを設けたというのに、なんで見てしまったんだろうか……。

 

 いや、見ないでねっていうと見たくなるよね。そっか、それが大人になるということだな。

 

 しかしなんとも酷い風評被害だ。魔物の種で人間が妊娠するわけがないというのに。

 「現実と妄想の産物を混同してはいけない」という言葉は、エロマンガにおける鉄板の大原則だ。エロに暴走して、社会と周りに迷惑をかけてはいけないのである。

 

 とはいっても、まだまだ迷信の存在が重いこの世界。思った以上に、そのまま話の内容を受け止めてしまう連中も少なくないらしい。もっと注意書きを大きく書かないとだめだな、これは。

 

 いや待て。これは流れ的に、オークやゴブリンとのイチャコラ女騎士を描くしかないのではないか。逆張りでいくべきなのか。

 

 「描かないでとは、もちろん我々は言いません。というか、言えるわけがありませんので。ついでに、言っても止まらないのは十分知っているので。ただ、ソフィーネ様の本は発想がイカレている……。いえ、突拍子がなさすぎるのですよ」

 

 「この前描かれていた知性がある魔物との純愛本。設定がぶっとんでいるのにも関わらず、謎の人気になってしまい、オラリオでちょっとした話題になっていますよね。ギルドからは、変な追及がしつこく来たらしいですが」

 

 「ああ、あれか。なんだかんだで人気があるんだよな……」

 

 モン娘・人外娘は、ちょくちょくファンレターがくるジャンルだ。ハマる人はすんごいハマるらしい。

 

 モンスターが身近な存在である分、大きな衝撃が冒険者たちにあったようだ。エロとそうでないもの、両方で様々なテーマを数冊描いたが、これが中々の評判を呼んでいる。

 

 そして実は、一番問題が起こったジャンルだった。

 

 私はジャンルに分けて複数のペンネームを使い分けているのだが、ギルドの連中はこの本に対してのみ、何故かしつこく作家の詳細な情報開示を要求してきたらしい。不思議な話だと思う。

 

 ギルドはイシュタル・ファミリアに対して、いろいろとしてやられた苦い経験があるらしく、うちのファミリアへの対応には何かと及び腰になっていたはずだ。

 だからこそ、こうして私はのびのびとエロマンガやマンガを描いていられる。何か苦情が来ても、ギルドはイシュタル・ファミリア相手に戦うつもりはない。せいぜい、無意味に近い軽い注意がなされるくらいのものだった。

 

 だが、このモン娘・人外娘に関しては違う。

 

 どういう意図が働いているかわからないが、ギルドの追及は想像以上に強く、マンガへの窓口になっているアマゾネス達が困惑していたと聞く。

 

 最終的には、イシュタル・ファミリアはそれらの要求を全て跳ね除け、封殺したらしい。よくある展開と言ったらそれまでなのだが、どうにもモヤモヤする。

 

 知性あるモンスター、モンスターとの恋愛やエロなんてものは、こんな世界において妄想以外の何物でもないだろうに。

 それを一番分かっているはずのギルドが、出版停止の圧力をかけてくるのであればまだしも。どうして作家の情報開示なんてものに、あんな努力を尽くしたのだろうか。キナ臭いったらありゃしない。

 

 「モン娘・人外娘は良い文明だ、破壊されてたまるか」

 

 「一部の冒険者達が、女性型モンスターに攻撃しにくくなったと証言しています。それを理由に、あのシリーズに対して批判の声が上がっているのですが……」

 

 「だ・か・ら、フィクションと現実をいい大人が混同するな!命がかかっているのだぞ!?もっと自分の命を大切にしろ!ちゃんと注意書きには『これはフィクションです。知性を持ったモンスターなんていないし、モンスターとはエッチできません』って書いただろ!?何が悲しくて、そんな当たり前のことをわざわざ書かなければならないわけ!?」

 

 「中には女性モンスターと無理やり行為をしようとして、大けがをしてしまった冒険者もいたそうです。それに対して、所属ファミリアの主神は、あのシリーズに洗脳の効果があるのではないかとギルドに対して調査の依頼を」

 

 「それはそいつの性癖が目覚めてこじれただけだ!主神も頭がおかしいのか!?」

 

 「恋人であった冒険者も、涙の苦情をギルドにいれたそうです」

 

 「しかも彼女持ちかよ!?もっと彼女さん大事にしようよ!?」

 

 ええい、私が突っ込み側に回るなんて、このオラリオはなんて可能性を秘めた都市なんだ。オラわくわくしてきたぞ。

 

 歓楽街っていうリアルエッチができる都市がオラリオにはある。にもかかわらず、あえてモンスターとやろうとするなんて相当な上級者だ。でも彼女さんを泣かせるんじゃないバカ野郎。

 

 「本当、酷い変態もいたものね」

 

 「どうせなら歓楽街にきてくれればいいのにさ」

 

 「しかもまだ若く、それなりに有望だったらしいぞ。顔も悪くないとかで、余計に評判になったらしい。おかげでさらにあのジャンルの口コミは広がったらしいが……」

 

 「えーっ!?ますますうちに来てほしかったじゃんっ!本当に勿体ないなー」

 

 横で騒いでいるアマゾネス達の肉食系会話に、結局はどこのアマゾネスも同じなんだなぁと実感する。もちろん、あのテルスキュラほど酷くはないのだが。

 

 団長のフリュネなんかは男を再起不能になるまでヤってしまうので、非常にテルスキュラ感を感じる。でもあのフリュネであっても殺さないだけ、まだマシなんだなぁって……。

 

 「ねー、ソフィーネ様。そういえばさ、聞きたいことがあるのだけど、いいかな?」

 

 「ん、なんだ?」

 

 「ソフィーネ様の描いているマンガについてなんだけど、ほら、この前出版された青春ラブコメディってやつ?」

 

 「ああ、あれか」

 

 内容的にはよくあるものだ。

 この世界に合わせて学園ものではなくダンジョンものではあるものの、井之頭五郎さんが「こういうのでいいんだよ」と言ってくれるぐらいの仕上がりにはなったと自負している。

 

 パンチラももちろんあるが、オラリオではそのフレンチさや純朴さ、清純的で真っすぐな人間の恋愛模様などが結構人気になっているようだ。

 

 「面白いんだけど、なんであいつらヤらないの?」

 

 こいつらのような一部を除いて。

 

 「それは私も思った。どうしてあそこで女の子は主人公君から身をひいちゃうのかなー。そのままベッドに一直線で連れ込めばいいのにね」

 

 「ああ、私もそれは思った。そもそもなんで他の女に譲る?上下関係、社会関係でそうせざるを得ないならわかるのだが、自ら進んで良い男を他に譲る必要がどこにあるのだ」

 

 「男だってきっとパンツよりも、中身の方を見たいに決まっているのに。ちょっとお子様すぎると思うんだよね!」

 

 違う、違うんだよお前たち。

 しかし説明してもわかってくれないし、彼女たちには相互理解の土壌すらないのである。

 

 肉食系、良い男が何人も女を持つのは当たり前、良い男はとりあえず食っておけ、ガンガンおしておしまくれ、相手の年齢とか良い男には関係ないだろう、逆レ上等なアマゾネスにとって、清純性やフレンチなんて言葉はない。知ってた。

 

 「私はあれよ。話は最初に戻ってしまうけど、最近はなんだかんだ寝取りものも良いんじゃないかって思えてきたわ。やっぱり、良い男を危機感がない女から奪い取るのは最高よね……」

 

 「あー、わかるわかる!」

 

 「同感だ。何度かやったことがあるが、女として勝った感覚が半端なく気持ちがいい。激怒するかつての女の前で、男の首筋をなめ上げた時など天にも昇る気持ちだった……」

 

 お前ら、あれは私はフィクションとして描いてるからね?

 実際の私はピュアピュアのピュアだからな?

 妄想で楽しむのと、現実でやってしまうのは天と地ほどの差があるんだからね?

 

 「……私は、ソフィーネ様のおかげで最近は寝取られもいいと思った。大好きな男が他にとられる快感、あれは苦しいのに何故か気持ちがいい。それを奪い返し、ベッドに入ったあのシーンはもう最高だった」

 

 「寝取りだけではなく、寝取られ……。そういうのもあるのか」

 

 「悔しいけど、苦しいけど、確かになんか惹かれちゃうよね……。ここにいるといい男が他の女のところに行ってしまうなんて、しょっちゅうあることなわけじゃない?これまでは怒りが込み上げてきたけれど、あれ読んでからは……。なんか、もやもやが気持ちよくなってしまったというか」

 

 「実は、私もそうかもしれない……。ぶっちゃけ、奪い返せなくてもそれはそれでなんか興奮する」

 

 「待て、もしや先ほどの主人公を逃したヒロインは、今私たちが感じるようなものを求めて、あえて逃がしたという線は考えられないだろうか」

 

 「なるほど……。流石はヒロイン。天才か」

 

 違うわボケ。

 あれは切なさと寂しさ、それ以上に若い青さと未熟さが相まってそうなっただけだ。断じて寝取られに興奮するからと、他のヒロインに主人公を譲ったわけではないのである。

 

 ここにいると私がおかしい気がしてくるので、そっと抜け出すことに決めた。またエロを求めて街中に繰り出そう。

 

 歓楽街から出かける途中、副団長に出会った。

 

 この前のお詫びと、エロマンガやマンガの市場展開に関する感謝を述べたら「気にしていない」と笑いかけてくれた。なんだかんだで、この男も良い男である。

 

 ふと気になったので、寝取りや寝取られに関してタンムズに尋ねてみる。「主であるイシュタル様ならばともかく、私がそのようなことを考えることすら烏滸がましい」と嫌悪を露わにしていた。素直に謝罪した。タンムズは公私ともに純愛至上主義らしい。

 

 ごめんな、タンムズ。でも、「100日後に寝取られるタンムズ」って謎の言葉が突然脳内に浮かんできたんだ。本当にごめん。

 

 さて、街に繰り出してお気に入りのカフェで人間ウォッチングを開始。

 

 ヒューマンや獣人もエロいし、パルゥムもエロい。エルフなんてもうエロエロのエロだ。神様も流石は神域の美を持つ方々で、服装も変わったものが多くもちろんエロい。

 

 アマゾネスは恰好やら雰囲気がスケベでエロいが、流石に歓楽街に住んでいるとよく見ているので新鮮味はなくなってきた。贅沢な悩みだなぁ。だがもちろん、見逃すわけではない。むしろ妄想が捗る。

 

 と、見覚えのある姿が目に入った。

 

 「あれ、ヘスティア様じゃないですか」

 

 「へ?あ、ソフィーネくんじゃないか!久しぶりだね!」

 

 「ええ、お久しぶりです。今日のアルバイトはお休みですか?」

 

 ヘラクレスやゼウスで有名なギリシャ神話。その女神の一柱である、竈の女神のヘスティア神だ。

 

 だが、そんな前知識はどうでもいい。

問題は彼女がちっこくて、美人で可愛くて、黒髪ツインテールで、胸が大きい。そしてその豊満なお胸を紐で支えているという事実だ。紐だぞ、紐。もう脱帽のセンスである。

 

 私が初めて彼女と相対した時には、この性癖のオンパレードに天を仰ぎ、地に伏して感謝したほどだ。ヘスティア様には盛大にドン引かれたが。

 

 「いや、いろいろあってさ。まだ今日は出勤に時間があるのさ」

 

 「……なるほど、良かったらこちらでお茶をしていきませんか。お誘いしたのはこちらですから、ご馳走しますよ?」

 

 「え、本当かい!?いやぁ、いつもありがとうソフィーネくん!それじゃ、遠慮なくお邪魔させてもらうよ!」

 

 ヘスティア神は顧みるに、非常に人格的にできた神だと思う。

 

 だいたいの神様はくそったれで愉快犯なところがあるのだが、彼女は倫理観があって地上の存在にもやさしく、自身と平等な立場で接する稀有な存在だ。

 

 時折、私は彼女に対してバブ味を感じてしまい、オギャりたくなってしまう衝動にかられる。

 

 そう、こんなに小さな存在なのに、彼女は母性の塊と言ってもいい温和な性質を持っている。もう私はヘスティア様をママと呼びたい。彼女に思う存分甘やかされたいと願うばかりだ。

 

 「せっかくですから、貴方の眷属のためのお土産も包んでもらいましょう。クッキーは大丈夫ですか?一人分でよろしいですね?」

 

 「う、うーん。いつもありがたいけれど、本当にいいのかな?なんか奢ってもらってばっかりで悪いような」

 

 「私が好きでしていることですよ。私はあなたと話すことが大好きなんですから。あなただけがこうして飲み食いをしたら、大好きな眷属を気にしてしまうでしょう?私はあなたに心配なく笑っていてほしい。もし気にかかるのでしたら、いつかあなたに余裕が生まれた時にでも、そのお気持ち分だけ返してくれれば結構ですよ」

 

 「そ、ソフィーネくん……っ!君はなんてできた子なんだ……っ!」

 

 このヘスティア様、今はこんな感じだが昔は酷かったらしい。

 

 下界におりたものの、知り合いの友神のところでぐーたら三昧。

 流石にこれはマズいと思われたのか、知り合いの神様にホームを追い出され、今はボロい教会に住みながらアルバイトをして日銭を稼いでいるらしい。

 

 そう、彼女は裕福ではないのである。資本金ゼロの零細企業よろしく、零細ファミリアの主神なわけだ。

 だからこうして遠慮を覚えながらも、お誘いすると喜んできてくれる。かわいい。

 

 神話の原典では自分の神の有力な立場を他の神に与えるほどに、優しく慈悲深い神様として描かれているが、この様子だとこのヘスティア様は絶対に面倒くさい立場につきたくないからって譲った気もしてくる。なんというか、新解釈ができて面白いなぁ。

 

 「うー、やっぱりソフィーネ君がうちのファミリアに入ってくれなかったのは残念だなぁ」

 

 「私をお誘いいただいたのは嬉しいですが、流石にやりたいことができない状況は苦しいので……。申し訳ございません」

 

 「あ、未練たらしくごめんね!そうだよなぁ、外で冒険者やっていたぐらいだもの。引く手数多なソフィーネくんに悪いよ」

 

 「そんなことは……。でも、最後には私もよい女神様と巡り合えました。私の夢も果たせる場所です」

 

 「それは良かった!」

 

 実はこのオラリオに来たばかりのころにヘスティア様と出会い、私はファミリア参入へのお誘いを一度頂いていたりする。その時は残念ながらお断りをさせて頂いたのだ。

 

 彼女はこう言って卑下しているが、正直、かなり私は悩んだ。だってママだぞ、巨乳だぞ、紐だぞ。

 

 だが、結局は彼女のファミリアの財政状況を鑑みて、参入してもエロマンガを描き続けることは難しいだろうと判断せざるをえなかった。

 

 あと、彼女は処女神なのでなんか気が引けた。カーリーやイシュタル様といった、私の所属する歴代とんでも女神とはわけが違うのである。

 

 実際、彼女の気苦労を考えるとその選択は正解だったと思っている。

 

 うちの半分ヤクザな連中が跳ね除けている様々な私の問題を、ヘスティア様の場合は真剣に受け止め過ぎてしまい、つぶれてしまったかもしれない。残念ながら、ヘスティア様と私とでは、生きる道が交わらなかったということだ。

 

 だが、たまにこうしてお茶するぐらいは許してもらっている。彼女はしきりに私に感謝しているが、むしろ私の方が感謝感謝だ。

 ヘスティア様は私の心の清涼剤。そしてエロスピリッツを高めてくれる偉大な存在なのだから。

 

 「しかし、聞けばヘスティア様にも、眷属が一人できたそうじゃないですか」

 

 「そうなんだよ!ベル君はすごくいい子でね!この前もダンジョンでゴブリン一匹倒して、大喜びで戻ってきてしまうぐらいには……純粋な……子で……」

 

 最初は大盛り上がりだったヘスティア様も、だんだんと尻すぼみしていった。

 

 内容は確かに可愛らしい話だが、見方を変えれば情けない新米ルーキー以下の話とも考えられる。

 つまり、ヘスティア様は大事な眷属を私にバカにされないかと、気にかかってしまったのだろう。彼女はベル君とやらを愛しながらも、不安になって気にしてしまっているのだ。

 

 私はふと自分の記憶を思い返し、思わず笑ってしまった。

 

 「ゴブリンをはじめての冒険で……。素晴らしいですね。私は最初、ゴブリンやコボルトにさえ勝てず、他のアマゾネスにバカにされていましたから」

 

 「え、あ、ご、ごめんよ!そんなつもりはなかったんだ」

 

 神はウソを見抜く。

 私の話が真実であるとわかったヘスティア様は、驚きながらも必死に謝ってくれた。しかし、私が言いたいことはそうではないのだ。

 

 「違いますよ、ヘスティア様。私はコンプレックスがあるのではなく、もっとあなたに自分の眷属を誇ってほしいのです。命がかかった初めての戦いの場で、逃げることなくゴブリンと戦いきったその精神は褒められるもの。私のように、涙を垂れ流し、怯え、無様にナイフを振り回して、最初の戦いで負けた戦士もいるのです」

 

 本当に私の時は酷かった。

 

 嘲笑と侮蔑の中で尊厳を失い、生きる価値なしという烙印がおされた。

 他の戦士の糧にすらならない愚か者。みっともなく生き抜いてしまったゴミ。人間としての扱いを受けなくなり、メンタルもやられ、死にたいほどに辛い日々だった。

 

 まぁ、エロに出会ってマンガ描き始めてからは、全部解決したんですけどね!

 

 「あなたはやっぱり素晴らしい神様ですよ。どんな結果であっても、ちゃんと眷属を温かく迎えてあげたではありませんか。勝敗は様々な要因が絡むために、時の運とも言われます。その時の結果に関わらず、眷属を長い目で大事に見守っているあなたは、私の知る中でも特に素晴らしい神様の一人です」

 

 「ほ、ほめ過ぎじゃないのかい?流石に顔が赤くなってきたよ」

 

 「本気なのは神様なのでわかることでしょう?どうかご自分を卑下なさらないでください。何度も言いますが私があなたのお誘いを断ったのは、私に事情があっただけの話。それによって、貴方という神の格が下がるということは決してない。むしろ私はあなたに深い親愛と、神様に対しておこがましい話ですが、友情すら感じているのですよ?」

 

 「……ソフィーネくん。僕にとっても君は大切な友達だ。なにか、なにか僕に力になれることがあったら、遠慮なくいってほしい!絶対に力になるからね!」

 

 「ありがとうございます。私がもし何か力になれることがあったら、遠慮なく仰ってください。すこしばかりは戦う力もありますからね」

 

 「……あれ?」

 

 「ん?あぁ、そうか、神様相手には謙遜もだめなのですね。誤解されてしまったら大変ですので訂正いたします。私、結構強いんですよ」

 

 「そっちなのかい!?」

 

 驚いてころころと表情を変えるヘスティア様を見ていると、どうにも心がぽかぽかしてくるなぁ。

 ヘスティア様とはその後も会話を重ね、互いに笑い、とても楽しい時間を過ごすことができた。

 

 この時の約束が、近い将来に果たされるとは思ってもみなかった。

 私がヘスティア様の眷属、ベル・クラネルという可能性の獣を深く知ったのは、これよりずっと後の話になるのだから。

 

 ……まさか、ハーレムを求めてダンジョンにくる若人がいるとは。興奮してきたな。




●深夜12時ごろ。
画面「感想10件ぐらい」
だんご「お、もう結構感想がきてくれた。嬉しいな。明日はのんびり返してから次を投稿しよう」
●今日の夜7時ごろ
画面「感想66件」
だんご「……あれ?」

「勝ったな、風呂入ってくる」の気持ちになりました。

三時間から四時間、なんだかんだで楽しく返信しておりました。
あれだ、ランキングが原因なのでしょうか。これが一位にある光景に、ランキングを毎日ざらっと見る勢として、我ながら違和感しか感じません。畏れ多い。

やっぱりエロとダンまちは偉大なんですね(確信

あと感想欄を見て、ソクラテスの弟子のプラトンは、アカデメイアをこんな気持ちで見てたんだろうなって思いました(小並感

この二次を書くのは楽しいのですが、流石に急ピッチで書いて疲れてしまったので、次回はもっと時間がかかるかもしれません。
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