今回は思いっきり特撮ネタですハイ…まあ前回あんな感じで予告しちゃったし。
「マジかよ、あのデルタ野郎一人じゃねぇか…!」
「ホントだ」
サンクキングダムのバトルエリアはたった今フリーバトルが行われていた。
形式は何故か3体1…最早いじめにも等しい人数差のバトルだが今日のGBNに置いては中々珍しいものだそうだ…その割にはよく見かける気もするのだが。
3機の方は皆そろいもそろってリックディアスだ、しかしご丁寧(?)にドムカラーに塗り替えられてある。きっとリックディアスに思い入れのある集団なのだろうが…この際3人組の方は問題ではない、俺やデンそしてカルにとって問題なのは、あの仮面ライダーデルタの様な…というかそのまんまデルタのガンプラだ。
この数億数十億・・・とユーザーが存在するGBNに置いて特撮系ガンプラ等決して珍しくないが、あのデルタの知名度は(特撮系ガンプラ界隈でも)格別だ。
彼は最近、傭兵ダイバーとして名を馳せ初めているデルタ使いで彼女らも旅を始める直前にベースエリアにてあのデルタの戦闘を目撃している。だからこそ分かるのだ、あのデルタの実力が…なので恐らくは結末も薄々見えている事だろう。
…どうせデルタが勝つ。
「…もしかしてあのデルタ、フォトンバッテリー式かな?」
「だろうな。
…とするとフォトンブラッドの部分はインビジブル・チタニウムで再現してるのか」
「言われてみれば、確かにそうかも。
………やっぱりあの人強いよ、もう決着付きそうだよ」
「だな――――あ、ルシファーズハンマー」
あっという間にリックディアス2機を撃破したデルタが、最後の1機に向けて円錐型のエネルギー体…つまりポインティングマーカーを突き刺して動きを止め、その後にデルタ自身がマーカー目掛けてライダーキックを放った。カルも言ってくれたが仮面ライダーデルタの必殺技「ルシファーズハンマー」である。
赤い炎包まれた3体のリックディアスは、やがて炎に焼き尽くされて灰と化した…ここで初めて決着判定となったようだ。
「…まあ分かり切ってたと言うか」
「よく挑もうと思ったよね、あのダイバー達…言っちゃ悪いけれど、日が浅いように見えたし。
それよりも…やっぱり有名になると大変だなぁ、色々突っかかられちゃうし…」
「この前トビカスが変なゴロツキフォースに絡まれてたの面白かったわ、あれから2週間は粘着されたんだと」
「エクハザールさんも時々喧嘩吹っ掛けられるって」
「あたしらも今後そうなるのかね?」
「…わかんない。
一応動画には出たけど…全然知れ渡ってるって感じしないもんね」
「まあな」
「あ、でもカルは自称広報担当だから「自称ってなんだよ自称って」だって本当に広報担当してるのトビさんでしょ?」
「まーそーだけどなッ!
…というかデン、なんか口悪くね?いやな事でもあった?」
「え?そう?
別に…なんてことないけど…」
俺の口癖が移った…等とは考えたくない。
背後からBorVがものすごおおおおおおく「あなたでしょう…」という目で見ているが絶対俺じゃない…俺物凄く口調丁寧だもん。
――――え?マクベス?クソッタレのファッキンミソッカス野郎…いやまて、違う、ちゃうんすよ、ちゃうんだって。
「…」
「…お、おい、どうしたんだよデン」
「いや…やっぱり移ったのかなぁって」
「え、え、え!?(やっべ、まさかあたしの口調が!?)」
「まあいっか、行こ」
「あ、ああ…そうだ………ね…」
――――いや本当に申し訳ありませんでした。あの、そろそろ記録書きますんで…。
という訳で彼女達はサンクキングダムに来た本当の目的を果たすために宮殿から北東北の方角へと向かった。
…実を言うと二人の目的地とは正確にはこのサンクキングダムの宮殿ではない。
ここ最近サンクキングダム内において突如大型ボス系のミッションが発生したという情報が流れており、一部界隈において話題を呼んでいる…が、このミッションの情報というのがまた不安定で、ある掲示板の書き込みによればサンクキングダムの宮殿から南東の方角にて例の大型ボスに遭遇したという情報もあればその場所には何もなかったという報告、そして真逆の宮殿北西に遭遇したという情報とそこに何もないというまた別の報告…このように古く懐かしい都市伝説のように様々な情報が入り乱れているのだ。
彼女らはその真相をその目で確かめる為に、アマゾンの奥地ならぬサンクキングダム宮殿の北東北方向へと向かったのだった。
…因みに北東北という中途半端な方角は
「…しかしまぁ、噂の大型ボスなんざいるのかね………な?なんつったら…まあ、その、テンプレート?というか…」
「まあね、でも面白いからいいんじゃないかな?
見て歩くだけじゃ正直飽きるからね」
「…そっ、か」
「なんかカル、可笑しくない?
…もしかして怖いとか?」
「ち!ちちちち、ちが、違っ!うっ、って!!
――――そういうのじゃね…ない、うん!」
「ホントォ?
喋り方おかしいけれど…?」
「う、うるせーッ!
あ…」
「…?」
完全に先ほどのやり取りで自分の口調を気にするようになったカルと、それに気付かないデンはそのまま当初と同じく北東北方向を歩き続けていた。その道中といえば運営側の努力が伺える作り込まれた風景以外には特にこれと言った出来事もなく、たまに二人が「そこら辺とかに(噂のボスが)居そう」「そこはない、向こうのが怪しい」といった風な会話をする程度で景色にもやり取りにも進展が無かった。
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…しかしある事を機会に自体が密かに動き始めた。
その時デンがふと、何となく目を向けた方角に灰色の…頭にウサ耳のようなものを付けた誰かの後ろ姿があった。その後ろ姿はすぐ近くの洞窟へと颯爽と消えてしまった。
何故かその洞窟が頭から離れず、眼すらも背けられなかった彼女はしばらく硬直し、その後にゆっくりとソレを指さして口を開いた。
「ねえ、カル…あれ」
「んあ?ッじゃなくて…何…どうした?
…って、洞窟か…確かになぁ」
「行ってみる?」
「え?あ、ああ…そうだな――――――――…あ、いや、やっぱ止めておこう」
「どうして?
…あー、やっぱり怖いんだ」
「ち!違うわコンチクショー!!!
――――あ、やべ」
「まあいいや、ちょっと見るだけ見てみようよ」
「へ?いやだからそれは待てって!!
そっちには……だーもう!」
デンの気まぐれにどうしようもなく引っ張られる形で着いて行くカル。
…今思うとこの頃からだったかもしれない。
洞窟を進むたびに光は遠ざかり、見えていた岩壁の模様も足元の様子も次第に何もかもが黒い幕で覆われていく。
「…ねえ、ライト持ってない?」
「ああ待ってろ、確かインベントリの…この辺か、この辺りか…」
「僕も持ってたっけな?
…だめだ、ニュージーランドサーバーで拾った光るキノコしかない」
「充電器じゃねえかよソレ。
…お!あった!」
カルは取り出した懐中電灯(何故かテム・レイ回路型)を「タラリラッタラ~」という効果音が合いそうなポーズで見せびらかし、それをデンが「早くして」と言いたげな目で見ている事に気付くとそそくさと目前を照らすと……それでも洞窟内は“黒”かった。
黒、そう、黒。暗ではない…何故だ?と彼女らは一瞬疑問を抱いたが、直ぐにその黒の正体に気が付いた。
「よっ」
ただ目の前に黒いコートを纏った男がいた。それだけだった。
しかしいきなり目の前に人が現れると、人は誰しもビックリするわけで。
「…うわぁああ!?で、出た!?」
「コイツが噂の謎ボス!?」
そして失礼な驚き方も忘れない。
「…ハハハ、酷いなぁ。
どう見たって人でしょ、俺」
「え、あぁ…ご、ごめんなさい」
「ホントだ、人だ」
「ちょっとカル、失礼だよソレ」
「あ、ああ…そだった」
二人がちょっとした漫才を繰り広げている間、目の前に立つ黒コートの男は彼女らを面白いモノを見る目で見ていた。
まるで今にも「おもしれーな」とでも言いそうな表情で。
「面白いね、君ら。
……というか何でこんな所に居るの?ここミッションもアイテムも無いよ?」
ホントに言いやがった。
それはそうとこの男は今、結構有益な情報を吐き出してくれた。
「え?ってことはボスも?」
「ボス…?
…あー、やっぱりその話で。それはそうと君たちってELダイバー?」
「へ?
アンタ、分かるのか?」
「はい…RI所属のELダイバーですけど…」
「やっぱりそうだったんだ。
“勘”でピンと来ちゃった…それにしてもロッテンアイアンか、すっごい大手の所に居るんだ。まあ…気を付けなよ?最近物騒だから」
黒コートの男は、まるで人懐っこい飼い犬にも似た笑顔のままでずっと胡散臭い言動を続けている。
というよりこのエキセントリックな男、何故か気配も何もなかった…BorVですら気付かなかったらしい、サイナンタンの時もそうだが大概はダイバーの気配は辿れるものだが…。
「物騒…?」
「というかアンタ誰だよ」「ちょ、カル…」
「俺?
俺の名前はキタザキ、よろしく!」
キタザキ、そう名乗った男は束ねた人差し指と中指で……こう、なんか、こう、「シュッ」みたいなジェスチャーをした。
「キタ、ザキ…なんかどっかで聞いた事あるな。
あ、私はカル。んで、コイツがデンだ」
「デン、です」
「デンちゃんに、カルちゃんか「ちゃん付けすんな!」おお怖い怖い。
…それとボスの事だけど、まあ居るとしたらココじゃないんじゃない?
俺も長い事サンクキングダム歩いてるけど、こんな所で何か見かけたことも無かったし話も聞かないよ」
「そっか…。
あ!…あー、でも…」
「?。
何か有るのか?デン」
デンは何か思い当たるフシがあるかのような様子を見せた。
恐らくこの洞窟に入る直前に見かけたウサ耳娘の事だろう、しかしそこらのダイバーかもしれないソレを謎のボスと結び付けるには些か情報不足だ。
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……だがその瞬間、噂をすれば影とやか件のウサ耳が暗がりの向こう側にて一瞬姿を現し、直ぐに死角へと消えてしまった。
「「!?」」
「!…」
今度ばかりはデンだけではなくカルも(そしてキタザキも)その存在に気が付いたようで、互いにウサ耳が消えたその方角を見た。
「何だ今の、ウサギ!?」
「やっぱりだ…見間違いじゃなかった!
――追いかけよう!カル!」
「ああ!
…ありがとな!キタザキ!」
「え、なッ!?……しまった」
ウサ耳が消えた方向へ走り、何度も何度も角を曲がっていくうちに最初はちゃんと記憶していた帰り道も二人は忘れ、それでもあのウサ耳を探すために何処までも走り続けた…まるで何かが導いているかのように。
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「ッ!
あっちだ!付いてきて、カル!!」
「おう!」
何かを見つけたのか、デンが急に方向を指示しカルがそれに従ってそちらに全力疾走した。
その道の先にはうっすらと(間違いなく出口とは呼べない程の)光が灯っており、少なくとも何かがそこにあるのは目に見えていた。
――――道を走り切り、光の下に出ると、そこはかなり広いスペースだった。
少なくとも人が3,4人いるだけで窒息しそうだった背後までの洞窟とは違い通常サイズのMSが十分暴れられるだけの広さが確保されている。
「ここは…?」
「お、オイ、マジかよ…こんな……――――ッ!?」
行き着く間もなく、何故か二人の前にミッション受諾の是非を問う画面が現れた。
所々文字化けしているのが怪しいが…。
「これって…!」
「ああ、どうやら噂はマジだったらしいな…!」
「うん、それじゃ…!」
「おい待て!
クソっ…!」
二人はミッションを受託し、即座に自らの機体に乗り込んだ。
…すると目前の暗がりから華奢なシルエットをした、何やら穏やかでないエフェクトを放つウサギの頭のような角付きの機体が現れる。どうやらコイツが噂のボスらしい…。
角付きは、二人の前に現れるや否や有無を言わさずエボニーカイザーへと蹴りかかり早速に戦闘を仕掛けた!
デンは咄嗟に断艦剣槍で防ぎ、その隙にステッペンネロがデスマシーンの掃射で横槍を入れるものの角付きはハイジャンプで射線を振り切りステッペンネロの背後に立った。
「ッ!?
こ、のぉ!」
咄嗟にカルが高速回転するデスマシーンをぶん回し、こん棒代わりに角付きへ叩き付けようとした――――が、なんと角付きはその細い体のどこにそんな力があるのかという馬鹿力をつかって片腕のみでデスマシーンを掴み、その回転ごと動きを止めた後、もう片方の腕による手刀で銃身を綺麗に叩き切ってしまった。
「馬鹿なっ!?」
「カル!」
エボニーカイザーが剣槍の突撃を角付きの背後から仕掛けるが、それも回し蹴りで弾かれてしまし、その上で投げ飛ばされたステッペンネロに激突してしまい共に洞窟内の壁に激突した。
「クソ、私のデスマシーンが…!」
「なんか、なんか可笑しくない?このボス」
「そりゃそうだ…!あんな殺意、間違ってもゲームなんかで出せる訳が………ッ!!来るぞ!」
角付きが仕掛けてきた跳び蹴りを、今度はエボニーカイザーのスタッフフォームで防ぎ、その衝撃を逃がすように身をよじりつつ杖で反撃に出るがそれすらも腕で掴まれ、今度は機体ごと引き寄せられて11000111100000010101000111000111100000010111な、一体なん1101110001111000だ0001000100011100011110000001111101011100やめ0111100000011001010111000111100000011この10001011100011110000001110100011100011110000001001000大丈0111000111100000011100010111000111100000010110010111000ベ11110000001001000011100011101000001101100011111011100111101100000011100011110000001000110011100011101000001110000011100011110000カ00101111101110001111000000100000101111101110011110110000001
『…どうして?
どうしてアナタは…アナタのマワりには…』
「ッ!?
君は、さっきの…ウサギ…!!」
◆―――――――――――――――――◆
「おい!デン!どうしたんだよ!?」
◆―――――――――――――――――◆
『アナタも、ワタシも、同じなのに…ワタシだけ、ひとりぼっち。
クラいクラい…ヤミのナカ…』
「何を。
…ッ!!!まさか、君も…!?」
『ユルさない、ユルさないから…!
ワタシだけじゃ…ないッ………!!』
◆―――――――――――――――――◆
「おい!おい!!!返事をしてくれ!してくれって!してくれよぉ!!」
「避けろ!」
「!?、うわっ…あぶな!?」
◆―――――――――――――――――◆
『――――ギッ!?
ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!!イタいぃぃぃぃぃぃいッ!!』
「っ!?
な、何が…?」
『ッ!おマエか!!ぜぇぇぇぇろぉぉぉぉぉおおおおッ!!!』
「な、なに!?一体ッ………!!」
IIOOOIIIIOOOOOOIOIIOOIOIIIOOOIIIOIOOOOOIIOOOOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIIIIOOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOIIIOIOIIIOOOIIIIOOOOOOIOOIOOIOIIIOOOIIIIOOOOOOIOOIOIOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOIIOOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOIOIOIOIIIOOOIIIOIOOOOOIIIOOIOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOIIOIOOIIIOOOIIIIOOOOOOIIIIIOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIIOIIIOOIIIOOOIIIIOOOOOOIIIIIOOOIIIOOOIIIOIOOOOOIIOOIOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOOOIOOOIIIOOOIIIIOOOOOOIOOOOOIOIIIIIOIIIOOIIIIOIIOOOOOOI
申し訳ないが此処から一定の範囲は事後編集となる。
この時、デンを角付きから解放し俺らがスクランブルを突き抜ける足掛かりを作ってくれたのは――――あのキタザキだった。
黒いリーオーを駆けて双剣を構え、とんでもないスピードの回転斬りでヤツの右腕を断ち、背部ユニットをズッタズタにしてくれたらしい。
「え…あ……」
「デン!デンっ!!!!!!」
放心状態のデンの元にカルが駆け付け、エボニーカイザーのボディを起こした。
「…!
あの、リーオー…は?」
「キタザキだよ!さっきの…!
あの角野郎はもうアイツに任せよう…私達じゃ相手にならない…!!」
「任せるって…そのまま、殺すの…」
「!?、ああそうだろうな…!」
「ッ!ダメ!」
突如、デンが叫んだ。
その声はキタザキにも聞こえていたようで、黒いリーオーが顔をこちらに向ける。
「なッ…!
デン!どうしてだよ…!あんな奴ここで仕留めておかないと…!」
「ダメだよ…!あれも、あの子も…ELダイバーなんだ!」
「はぁ!?
どういう事だよ!」
「僕と同じ…暗い中から生まれて……!
それでずっと、昔の僕みたいに…自分の中の声に蝕まれて…ッ」
「…!」
どうやらあの角付き…というより中身のELダイバーは生まれた頃のデンと似たような環境下にあるらしい。
あのころのデンのような環境でどれ程の苦しみを味わっていたのか、感覚を共有するようになった今なら具体的に分かるし、そんな地獄の中にいる気分はずっと昔から知っていた。
「キタザキさん!無茶だけれども…どうか彼女を殺さないでっ…!」
デンの縋りつくような願いに、暫しの間キタザキは双剣で角突きの攻撃を受け止めつつ沈黙を続けていた。
そしてその重たい口を開いた時発した言葉は………
「――――…ごめん、もうこの子は…生きて、地獄から解放されることは…ない」
「ッ!?」
冷たく残酷な現実を告げた。
この時すでに俺とBorVは分かっていたのだが、あの角付きの中身は半ばコンピューターウイルスに近い状態となっており、正しく当時のデン(と俺)のようにGBNにとって非常に危険な状態となっていたのだ。
さらにタチの悪い事に、初期症状で問題を解決出来たデンとは違い、あの角付きは既に取り返しのつかない所まで行ってしまっている。
キタザキは戦闘を続けながら、話を続けた。
「お前達ッ…ELダイバーは、GBN内に溢れたダイバー達の感情という名の余剰データがッ…蓄積されることで生まれるッ…。
だが…ッ!その感情が常にいい物だって事は無いッ…!一種の憎しみや、哀しみを込めて作られるガンプラもあるんだ…ッ」
彼は一度、暴れる角突きの関節を極めて押さえつけ、話を再開した。
「その、そいつらの“陰我”が…こうして悲しい存在を生む可能性だってある…!」
「でも…!
それは僕も同じです!僕だってMtoEのッ!!」
――――デン、確かに人もELダイバーも生まれと将来は必ずしも同じ闇か光かとは限らない…が、どっちにしろ、闇に長く居過ぎると…もう戻れなくなる。
「MtoE、嘘だよね!
ねえ!BorVも何か…そんな」
BorVもまた生前闇の中から生まれた身として、彼女なりの意見を言ったが…結局のところあのELダイバーに助かる可能性を見いだせはしなかった。ただデンは(BorVと同じく)とりわけ運命に恵まれていただけなのだと。
「…そういうことだ。
だから――――ッ!?」
突如、角付きが暴れ出して拘束を振り切り、身震いをしたかと思うと…次第に華奢な輪郭を歪めて肥大化し、やがて一匹の巨大なドラゴンのようになってしまった。その様子を見ていたキタザキは臆することなく、ただ静かに双剣を握り直す。
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最早あの角付きが何をしゃべっているのか、何も分からなかった。
しかしキタザキは内容を理解しているだろうか…ただその“なき声”を静かに聞くだけであった。
「――――斬ってやるよ。
お前も、お前のかなしみも…ッ!」
振り払われた竜の尾を、黒いリーオーは高いジャンプで躱すと、空中で双剣の切っ先を使い二つの重なり合った円を書き…その円に白い穴が開いたかと思えば、銀色の何かが射出されてリーオーに纏わりつく…!
眩いソウルメタルの銀色で輝く、その鎧の名は…。
―■――■■―――■■■――――■■■■■―――
振り翳すその剣で 其の翼も 此の炎も 背負った過去の悲しみも 俺は恐れない 俺が断ち切る。
99.9
―■――■■―――■■■――――■■■■■―――
「狼…?」
「マジかよ」
銀色の狼騎士となったキタザキ――――否、絶狼は先程とは比べ物にならない攻勢でドラゴンと渡り合う。
振り下ろされた爪や牙を、片刃の双剣またはその四肢で正確にそして力強く弾き、その巨大な顎から吐き出された破壊の劫火を青く白い火炎の刃で押し返し更には竜の顎までもを焼き切った。
竜が吠え、破壊された頭部をどうにか維持させるような様子で口内にエネルギーを溜めて周囲まるごと絶狼を消し去るつもりのようだ。
しかし絶狼はそうはさせないと双剣を連結させて両刃剣とし、力の限りを使って竜の首目掛けて投げ付けた!
竜巻の様に回転しながら飛ぶ両刃剣は、絶狼の目論見通りに竜の首を断ち切る。
そして竜の首はグルングルンと縦に回りながら宙を舞い…なんと運の悪いことだったのだろう、丁度口が竜の胴体を向いた瞬間に蓄積されたエネルギーが放たれてしまい竜本体が大破した。
最早原形がほとんど残らない竜の脊髄から、先ほどまでデンとカルが戦っていた角付きの上半身が浮き出る。
しかしその背後には絶狼が立ちふさがっており、角付きが何か抵抗しようとするや否や…いつの間に回収したのだろうか、手に持った双剣で角突きをバッサリと断ち切った。
角付きが甲高い悲鳴を上げる。
しかしそれも長くは続かず、少しづつそのボディは竜と共にビットの欠片と化してデータの海の中へと消えて行く…その中で、あの先ほどから彼女らを誘い続けたウサ耳のELダイバーが現れ、ゆっくりと落下していく。
絶狼――――キタザキもまた絶狼の鎧、そしてリーオーをも消滅させてアバターとしてウサ耳と共に降り立ち、その着地地点でウサ耳を片腕で静かに受け止めた。
ウサ耳の少女が、キタザキに向かって小さく手を伸ばす。
…何を求めているのだろうか?その願いすら口にすることなく、やがて彼女はキタザキの腕の中で消えて行った。
「ッ…」
「デン…」
――――気持ちは分かる、が…お前とヤツでは決定的に違った部分がある。己を奈落に落としてまで救ってくれた者が居たか、孤独で全てを相手にしなくちゃならなかったかだ。
孤独を強さに出来る奴なんてそうそう居ない…守るべき何かも無ければ尚更だ。
――――それに身も蓋もない事を言ってしまえばELダイバーはデータの海の中で消えてもまた蘇る、ともいえる。あの人格は死ぬかもしれない…が…そうだな、ミームって奴は今後生まれる誰かにきっと…輪廻の中で受け継がれるハズ。
この時、俺は果たして適切な言葉を選べたのだろうか。
今でも自信がない…ずっと迷ってばかりいる。昔から…。
「うん、分かった」
追記
二か月後、某所にてある有名フォースにウサ耳のELダイバーが加わったという話を聞いたが…どうなのだろうか。
長くし過ぎた…次はもっとライトに…。