黒の軌跡   作:八狐

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銃の舞、剣の舞

中間試験も終わりホッとしていたのもつかの間、今日はその結果発表だ。Ⅶ組の面々は勤勉な者達が多く、初めての試験でほぼ全員が20位以内という驚くべき成績だ。

 

「・・・なんか疎外感。」

 

フィーだけがその中に入れなかったが、ゼロから勉強していたというハンデを考えれば十分好成績だろう。

 

「でも凄いじゃない、中々良い成績よ。」

 

「さ、さすがだなエマ君・・・。」

 

「あ、あはは・・・。」

 

Ⅶ組の委員長、副委員長は並みいる猛者たちを押しのけ、同点1位を取っている。

 

他のメンバーも負けず劣らず、ガイウス20位、ラウラ17位、アリサ8位、リィン7位、ユーシス3位と勉強でも特化クラスとしての地力の強さを見せていた。

 

最近クラスに入ったルディはというと、15位というかなりの好成績だ。

 

「15・・・普通の数字ですね。」

 

「本当に勉強は久しぶりなのか・・・?」

 

「日曜学校以来です。」

 

「とんでもないな・・・。」

 

リィンとルディの会話を聞いていた、他のメンバーは揃って苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

テストの結果発表をして間も無くだ。教室でサラが実技テストをすると期末テストで満身創痍なⅦ組の面々に向かって言い放った。一部の者をのぞき渋々といった表情でグラウンドに移動する。

 

「これより実技テストを開始する!」

 

組み合わせをサラが発表していく。どうやら今回テストは3人一組でやるようだ。次々とメンバーが決まっていき、いよいよテスト開始と言う所で問題が起きた。

 

「あの・・・私は誰と受ければ?」

 

Ⅶ組は10人だった。ルディが最後に残り、もう他にメンバーが残って居ない状態。このままでは彼女は一人でテストを受けることになってしまうだろう。その状況を見てサラはやっちまった・・・。とばかりに顔を手で覆って声にならない声をあげる。

 

「サラさん・・・計算も出来なくなるレベルまで、昼間から飲酒しないでください・・・。」

 

「飲んでないわよ。ちゃんとあなたの事は頭に入ってたわ。」

 

「一緒にテストを受ける人間は呼んであるから安心しなさい。」

 

「・・・遅刻しているみたいですが?」

 

「あー・・・素行は悪いけど、腕は立つから大丈夫よ・・・たぶん」

 

「たぶんなんですね・・・。」

 

不安を駆り立てられるような事を言う、目の前の教官を見てため息を吐くルディ。呼ぶ人間を間違えたかもしれないと額を押さえてため息を吐くサラ。あまり気が合うとは言えない二人だが、この時だけは同じ不安をその人物に向けている。

 

(あいつで(その人)大丈夫かな・・・。)

 

居ない人物ばかり気にしていても仕方ないとサラは開き直り、実技テストはいよいよ始まった。リィン・ラウラ・マキアスのチームから始まり、アリサ・エリオット・ガイウスチーム、ユーシス・エマ・フィーのチームで終わった。ルディ以外の全員が戦闘を終えて、一息をついている。

 

「・・・。」

 

「・・・来ないわね。」

 

「どうするんですか・・・。」

 

「来ないものはしょうがないでしょう・・・。仕方ないから私と組みましょう。」

 

「またですか?」

 

「文句は遅刻君に言いなさい・・・。」

 

渋々と二人は武器を構え、機械人形と対峙する。サラが開始の合図をしようとした時、その人物は現れた。

 

「おー、やってんな」

 

「ったく、遅すぎるわよ遅刻君・・・。」

 

「え?一緒にやる人って・・・。」

 

「その通り、お前さんのパートナーはこのクロウ先輩だぜ。」

 

「えぇ~・・・。」

 

「なんでそんなガッカリしてんだよ・・・。」

 

「だって・・・クロウ先輩ってダメ先輩なイメージしかないですよ?」

 

「マジかよ・・・。」

 

「はいはい、お喋りはその辺にして。さっさと始めるわよ。」

 

サラが開始の合図をして機械人形が動き出す。ルディとクロウの二人はそれぞれ自分の獲物を構え、目の前の敵と対峙する。

 

「期待してますよ、クロウ先輩?」

 

「ああ、任せな。」

 

機械人形が動き出し、ルディに向かって来る。それを見たクロウは銃を撃ち注意を自分に逸らすと、ルディが機械人形の視界から外れるように動き、一瞬で背後に回ると連撃を叩き込み、機械人形の体勢を崩す。

 

「はあぁ!」

 

「へ、良い的だぜ!」

 

クロウの撃った弾は、次々に人形へと吸い込まれていき、全く動けない人形はこのままではマズイと感じたのか障壁のようなものを展開し弾を防ぐ。

 

「チッ、アレを何とかしねぇと攻撃がとおらねぇな。」

 

「だったら壊してしまえばいいんですよ。」

 

「斬!」

 

何処からともなく気合の声と共に月輪を思わせる斬撃が出現し、人形の障壁が粉々になると、またしても何処からともなく現れたルディが続けざまに攻撃し、それを援護するようにクロウも銃を撃つ。人形はクロウを放置しては危険だと判断したのか、ルディの攻撃を掻い潜りクロウに急接近し攻撃しようとする。

 

「おいおい、俺ばっか見てていいのかよ?」

 

クロウが人形の後方を指差すとルディが近づき今まさに刃を振り下ろそうとしている所だった。だがもうルディの攻撃は見慣れたのか、人形は背後からの不意打ちも難なく防ぎ、クロウへと一撃を入れようと腕を振りかぶる。

 

「私達だけ警戒してて良いんですか?」

 

ルディのその一言のあと間も無く人形の体は横からの強い衝撃を受け、吹っ飛んだ。

 

「誰も二人しか居ないなんて言ってない。」

 

クロウの前に【二人目】のルディが現れ、吹き飛んだ人形に追い討ちをかけるように回し蹴りを当てると人形は倒れ、動かなくなった。

 

「そこまで!」

 

「かなりいい動きだったわ。」

 

一時的にタッグを組んだ二人は顔を見合わせるとニヤリと顔を綻ばせ、ハイタッチした。

 

 

 

こうしてルディの初めての実技テストは、人形に一度も攻撃をさせることなくクリアするというこれ以上無い結果を出し幕を下ろしたのだった。

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