黒の軌跡   作:八狐

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申し訳ありません、注意書きを忘れていました。

今回は会話が多いために、誰が何を言っているのか分かりづらい!という状態を回避するため、【会話に参加する人数が多い時】【セリフが重なった時】【アーツ発動時】の時だけ台本形式と呼ばれる方式を導入してみました。

これからもそのような場面があるならば、逐一使用していくつもりです。


【特別】実技試験

昨夜の事件が発覚してから、ノルド高原の雰囲気は消え去り、空は戦闘用の飛行艇がときおり飛んでいる。そんな中ノルドの南高原、そのほぼ中央に位置する高台で二人の少女が話していた。もちろん、のん気にピクニックなどをしているような感じではない。

 

「・・・と言うわけです。」

 

「6人かー、数はそこまで多くないんだね。」

 

「数自体はそうでもないですけど、捕まえるとなると・・・。」

 

「ルディが頑張ればいけるんじゃない?」

 

「息の根を止めるのは得意ですが、手加減しつつ捕まえるのは苦手なんですよ。」

 

「それこそ、捕まえる技術ならミリアムと同じくらいだと思いますよ?」

 

「じゃあどうしよっか~・・・。」

 

「どこかに手伝ってくれそうな人材、都合よく居ないでしょうか・・・。」

 

「そんな都合よく居る訳ないジャン・・・。」

 

「・・・いえ、居ました。」

 

「どこに?」

 

「あそこに。」

 

ルディが指差した方向には、馬で駆け、こちらに向かってくるⅦ組のメンバーが居た。

 

「あちゃー・・・。見られてたかな?」

 

「こんな見晴らしの良い場所に真っ直ぐ来たのでは、見つかるに決まっているでしょう・・・。」

 

呆れたルディは月光蝶を使うと、その場から一旦姿を消す。少しして、また現れたときには黒い服に着替えていた。

 

「はじめて会った時の服だね。でもなんで着替えたの?」

 

「彼らと行動してる分け身の私が居まして、見つかるとアリサさんに怒られます・・・。」

 

「それだけ!?」

 

「アリサさんは怒ると怖いんですよ!?」

 

目の前にいる素性不明の不審者は、彼女より弱いであろう少女に気後れしているのか・・・。そう、ミリアムは思わずに居られなかったのだった。

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

Ⅶ組のメンバーは高台に上がると、白いスーツに身を包んだ少女と、黒い装束に身を包んだ二人組が彼らを出迎える。

 

ミリアム「僕になにか用?」

 

リィン「昨晩、この高原で襲撃事件があってね。調査中に怪しい飛行物があったから追ってきたんだ。」

 

ミリアム「ああ、あの襲撃ね。」

 

リィン「知っているなら話が早いな、少し話を聞かせてもらえないか?」

 

ミリアム「もしかして・・・僕を疑ってるの?」

 

アリサ「調査中に謎の小型飛行物体が現れれば、疑われるに決まってるでしょ?」

 

ユーシス「それに、貴様の姿はバリアハートでも見たのでな。」

 

ミリアム「あちゃー、あれか。」

 

ルディ「私はその時居なかったので見てませんね(本当は見たけど)。」

 

ガイウス「そちらの者からは敵意は感じない。だが良くない風を感じるな。」

 

黒装束「良くない風。黒い風、といった所か?」

 

エマ「・・・。」

 

黒装束「ふふ、そう睨んでくれるな。お前達と事を構えるつもりは無い。」

 

黒装束「少なくとも私は、な。」

 

ミリアム「ちょっと、まるで僕が犯人みたいな言い方しないでよ!」

 

リィン「・・・そろそろ話を聞かせてもらえないか?」

 

ミリアム「んー・・・別にいいよ?」

 

ミリアム「ただし!今回はちょっと危ないから、君達の力を試させてもらうね!」

 

白い少女が謎の物体を出現させて、いつでも戦闘できるように構えを取ると、彼女は自分の素性を明かした。

 

ミリアム「僕はミリアム・オライオン!それでこっちはアガートラムのガーちゃん!」

 

ミリアム「君達の力、見せてもらうよ!」

 

リィン「くっ!」

 

しかし戦闘は始まらない。なぜなら全員が戦闘態勢だと言うのに、ただ一人。武器も構えずに腕を組んで石の柱に寄りかかっていたからだ。

 

ミリアム「ちょっと・・・君も戦ってよ!?」

 

黒装束「何故私まで・・・。」

 

ミリアム「もー、ノリ悪いなぁ!」

 

黒装束「チッ・・・。わかった、私の名は・・・まぁ(ユエ)とでも呼んでくれ。」

 

月と名乗った人物は背中に背負っていた刀を抜き放ち、Ⅶ組に立ちはだかる。

 

ミリアム「それじゃ、気を取り直して。」

 

月「お前達の力・・・見せてみろ!」

 

リィン「くるぞ!」

 

ルディ「気をつけてください・・・あの二人強いです!」

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

「せーのドッカーン!」

 

「ぐっ!なんと重い一撃だ・・・。」

 

最初の一撃はミリアムのアガートラムが繰り出すパンチ。しかしその一撃は咄嗟に防御したガイウスを後ろにおし戻すほどのパワーを持っていた。体勢を崩したガイウスをサポートするようにアリサが矢を放つ。しかしそれはミリアムの前に現れた月によって切り払われてしまった。

 

「ただ矢を射るだけでは当たらんぞ?」

 

「そんな・・・矢を斬るなんて!」

 

「実体があれば打ち返すことも可能なのだが・・・。」

 

「どう考えても人間やめてるわよ!?」

 

そんな会話の最中も戦闘は進んでいく。ルディが月の上から暗器と小太刀で一撃を加えようと強襲する。しかしそれはまるで来る事が分かっていたかのように弾き返され、ルディは吹き飛ばされる。

 

「チャンスと思ったのですが・・・。」

 

「ふふ、そうだ。相手が会話中であろうと襲いに来い。」

 

「隙だらけだ!」

 

月の言葉を聞いてか聞かずか、ユーシスがいつの間にか月の背後に接近し、刺突を繰り出す。

 

「っ!なんだと!?」

 

「ふふーん、僕も居ることを忘れちゃダメだよ?」

 

だがそれは急いでフォローに回ったミリアムの謎の障壁に阻まれる。そしてお返しとばかりにアガートラムが地面を殴り、地面を揺らす。ほんの一瞬とはいえ小規模の地震によって動きを止めてしまったⅦ組。その隙を逃す月ではなく、すかさず闘気を高め、およそ普通の人間が耐えられないであろう一撃を放った。

 

「飛べ、飛燕剣!」

 

放たれた斬撃はⅦ組を両断せんと、真っ直ぐに彼らに向かう。それに対し、一番に動けるようになったリィン。僅かに遅れてガイウスが迎撃するためにクラフトをほぼ同時に放った。

 

「ハアアア・・・せいや!」

 

「ムン!」

 

気を乗せた斬撃と風の槍。ふたつのクラフトを受けてようやく止まり、月の放った斬撃は霧散。その場で消滅した。

 

「なるほど、この程度ならば対応できる・・・か。」

 

「二ノ型、疾風!」

 

「む?」

 

高速の縮地と同時に放たれる一撃。月は少し驚きながらも冷静に攻撃を見極め、受け流す。次々と放たれる互いの剣、隙を突く一撃。そのどれもが鋭い角度で放たれ、向かい合う二人は相手を一閃しようと剣を交差させる。

 

「良い動きだ、だがその程度か?」

 

「く、せいや!」

 

「オマケです!」

 

敵わないと見たリィンが後ろに下がりながらクラフト・孤影斬を放ち、ルディは暗器をいくつも投げる。当然、そんな物に当たってやるほどノロマではない月は悠々と避けるが、下がったリィンの後ろでアーツを紡ぐエマとアリサが居た。

 

「なら、アーツならどう?」

 

アリサ「ヴォルカンレイン!」

 

エマ「グリムバタフライ!」

 

二つの強力なアーツがミリアムと月を飲み込もうと、エマとアリサの二人から解き放たれる。このままでは二人は無事ではすまないだろう。

 

もちろん、そのまま甘んじて攻撃を受ければの話だが。

 

「ガーちゃん!ハンマー!」

 

「舞うは闇、詠うは月。眠れ・・・夜に惑う者よ・・・。」

 

ミリアム「それー!」

 

月「夢月!」

 

二人は大技を解放し、それぞれのアーツに対応していく。ミリアムは巨大なハンマーへと変形させたアガートラムを振り回して黒い蝶を吹き飛ばし、月は上空から降ってくる炎の塊の雨に向かって肉薄して、一つ一つを丁寧に、しかし目視すら困難なスピードでコマ斬れにして行く。

 

そして最後に炎を散らすように大きく太刀を振るうと、すべての炎は霧散した。

 

一人は巨大なハンマーをまるで釣竿を持つような気楽さで肩に担ぎながら、もう一人は太刀を鞘に戻しまるで呆れたようなポーズを取りながら口を開く。

 

ミリアム&月「終わり(か)?」

 

Ⅶ組の全ての攻撃を防ぎ、対処し、アーツすら跳ね除けた強敵たちを前に、彼らは絶望しない。だがこの二人に勝てるかと聞かれると、誰もが首を横に振るだろう。

 

今までに出会った事すらない絶対的強者との邂逅。Ⅶ組全員が冷や汗をかき、頭をフル回転させ考える。どうすれば勝てるかを・・・。

 

 

強者である二人は、まるで悪戯が成功した子供のようにニヤリとした笑みをたたえていた。

 

 

 

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