プロローグから1週間以上たってしまいました。
とりあえず1話投稿します!
暗くジメジメして周りを石垣が積まれた部屋。
相当年期が入っているらしく、密閉されていて灯りは天井付近の壁にレンガひとつ分のスペースしか空いてない外の光があるくらいでそれ以外の灯りらしいものは見当たらない。
そんな部屋の中に鎖を両手大の字に壁に繋がれてぐったりとしている1人の人間がいた。
───名は"衛宮士郎"と言う男だ。
見た目から年齢は30代前半で髪は長く手入れしてないのかボサボサで伸びっぱなしのようで身体はあちらこちら傷や暴行が加えられている描写が確認できる。
さもこんなところに入れられているとなると凶悪な犯罪を犯したのかと思うが、実の所そうであってそうでなかったりする。
寧ろその男は戦争や紛争なので弱き立場の人々を救いつづけていた。
そんな話を聞くと何故こんな仕打ちを受けているともうだろう。
彼は救い続けた。だが彼はその代わりの見返りを一切求めなかったのだ。
一見そんなことがなんでと思うだろう。だが救われた人々はこれだけ命をかけて救ってくれたのに何にも求めてこないのは理解できなかったのだ。
そしてそれは次第に不安と恐怖を膨張させていったのだ。
そしてついに、その男は救った人々から事もあろうに嘘の罪状を突きつけられて死刑勧告、投獄されてしまったのだ。
───人々は思った。
"命の恩人を濡れ衣を着せて悪人にしてしまった"
"怒って全員殺してしまう"
だが人々の考えとは全く違う答えが出てきた。
"───そうか、なら仕方ないな。"
予想外の事が男の口からでて、人々はますます恐怖した。
"あれは人間じゃない、化け物"だと。
そして現在男は死刑執行までその部屋で時を待っている。
「…あ、あぁ」
男は後悔なんてしていない。
自分がやってきた事は救われない人を救ってきた。
たとえそれがこの様な結末だとしても受け入れる覚悟はある。
───けど、ふと頭の中である事がよこぎった。
『───士郎、どうしてもいくの?』
それは覚悟して1人で旅立とうとして、親友にして師匠であり恋人だった女性の事が脳内に浮かんできたのだ。
「あ……とお、さか……」
今頃になって心残りが出てきてしまった。
けどもうそんなのは無意味だ。
今更遅い、もう俺は───。
(遠坂、悪い…達者でな…)
そう心の中で懺悔した。
ギィィ…
何か音が聞こえた。
その音が聞こえる方向に顔をむけると扉が開いていて、目の前にはぼんやりと人の姿があった。
だが長い間この部屋にいたせいか目がぼやけていて姿形がわからなくなっていた。
「そう、か…もう時、間か…」
この部屋の扉が開くと言う事は即ち自分の刑の執行が今日行われるという事だ。
たが"衛宮士郎"は今日をもって死ぬが"エミヤ"はこれからも正義の味方として生きていける。
そう思えばどうと言う事はない。
死してなお俺は誰かを、弱き人を救えるなら───。
「久しぶりね、衛宮くん」
───衛宮士郎は驚いた。
それは自分が処刑を免れたことではなく。
そこにいるはずがない人物がそこにいたのだ。
忘れもしない、あのまっすぐで自分には眩しすぎる、かつて愛していた女性を。
♢♦︎♢
「なん、で…ここに…」
「呆れた、最初の第一声がそれ?相変わらずね衛宮くん」
そういって遠坂は両手が縛られている鎖を魔術で強化した手刀で切った。
久々に重しがなくなった両手は動かすのが出来なくてぶら下がっている感じだった。
「ちょっとまってね、今衛宮くんの魔力を回復してあげるから。話はその後、いいね?」
コクンと頷くと俺の上半身を脱がすと片手を胸の方に当て
ある程度魔力を貰うと視界が良くなってきて片言だった声も喋れる程度まで回復した。
「よし、さてなんで私がここにいるって話よね。それはもちろん身の程知らずの正義バカを助けるにきまってるわよ」
「いや、それもそうだが俺が聞きたいのは。なんでここの場所がわかったってことだ」
そうここは人間を隠し投獄するのにはもってこいの場所で高精度な隠匿の魔術が張られていていくら遠坂でもここを見つけるのは難しい場所だ。
「それについては私が説明しよう」
そう言って会話を挟んできたのは1人の初老の爺さんだ。
どこかで見たような姿をしていたがなかなか思い出せない。
「この
「なっ!?」
この爺さん今なんて言った?キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグってたしか遠坂の御先祖の師匠だった人で俺が投影した宝石剣を作った人じゃないか。
どうしてそんな人がここに?
「さて時間がないのでな、単刀直入で言おう。衛宮士郎お前はこれから死んでもらう」
「なっ!師範!それは!私はそんな話は聞いておりません!」
「まて話は終わっておらん。正確にはこの世界では死んでもらうと言うことだ」
「えっと…どうゆうことですか?」
正直今いきなりすぎて困惑している。この世界では死ぬ?なんでそんな周りくどい言い方をするんだこの人は。
「おことばですが師範、私は衛宮士郎を助けるために同行いたしました!それを殺すとは!」
「だから死んでもらうとは言ったが殺すとは一言もいっておらぬが?」
「あの…俺もよくわからないのですが」
「そうだな、お前達にわかりやすく話すと衛宮士郎をこの世界から別の世界へと移ってもらう。そのためにこの世界の衛宮士郎は死ななくてはいけないのだよ」
「「はい?」」
2人して声を揃えて言った。つまり俺がこの世界から別の世界に行くってことか?
「あの、なんで俺が別の世界にいくってなってるんですか?」
「それは
「その、ある人物とは…」
「悪いがそれは言えん。内容は言わないでくれと言われたのでな」
誰だそんなことを頼んだのは…遠坂はあの素振りじゃ知らなかったみたいだし、桜はもう魔術の世界とはきっぱり縁を切ったから無理だ。…イリヤ?けどもうイリヤは…。
「話を進めるぞ、その人物から衛宮士郎をある別世界に送ってくれと言われたのだ私の魔法でな」
魔法。
そう魔術ではなくて魔法と言ったのだこの爺さんは。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。その名を聞いて知らない魔術師はいない、魔術師が目指す根源。その根源にたどり着いたのがこのゼルレッチだ。そして魔術協会が定めた魔法の1つ、第2魔法"並行世界の運営"詳しくは知らないがなんでもあらゆる可能性がある並行世界へ行き来できるとんでもない魔法だと遠坂から聞いた事がある。
「だが実際に並行世界や別世界にいけるのは使い手の私のみだ」
「ならなんで」
「だが、1人分の魂なら送れることもない」
───あぁ…なるほど。
だからここで死んでくれと言ったのか、このゼルレッチ。話の内容そっちのけで結果だけ言うからわからなかったぞ。
「勿論これはもう決まったことだ。お前に拒否権などはない」
おまけに傲慢ときた。
いつぞやの金ピカを思い出す様な勝手だな。
けど少し疑問がある。
「わかりました。けど1つ確認が」
「なにかね」
「自分は…力を手に入れる為…せ「世界と契約をしたことか?」…っ」
そんな事か?と言わんばかりの素振りでこの魔法使いの爺さんはすっぱりと答えた。
そうか…これが"並行世界の運営"の力か…。
「っ!!衛宮くんまさか…!!」
「そうだ、この男は世界と契約して死後の自分を売り渡したのだ」
「っ!!」
パァン!!
と渇いた音が部屋に響くと同時に俺の左頬が叩かれた痛みが伝わってきた。
そして遠坂は俺を涙が出てきそうな顔で睨むとそのまま抱きついてきた。
「バカ!!…なんで…なんで衛宮くんまで…!!」
「……ごめん遠坂」
───あぁ俺はまた大切な人を泣かせてしまった。
もう誰も悲しませないと誓ったはずなのに、また泣かせてしまった。
心はもう壊れていたはずなのに、胸の奥が軋む痛さを感じた───。
♢♦︎♢
「さて、もう時間だ。これより衛宮士郎の魂を別世界へと移動させる」
「…はい、わかりました師範」
ゼルレッチが声をかけると遠坂は涙を拭き取りいつもの遠坂凛の顔に戻って返事をした。
これから俺はこの世界からさよならをするみたいだな。
「衛宮士郎、お前は世界の契約で死後アラヤの元へ行くのではないかと思っていたのだな?」
「はい、なので魂を別世界に送ると言う事は俺は1度この世界で死ぬことになるのではないでしょうか?」
「それには及ばん、正確にはお前の魂を肉体から切り離し第2魔法の力で別世界へと送りそこで受肉すれば問題ない」
なんとデタラメな、チート並の力を持つ魔法恐るべし。
でもその話を聞くと俺の新しい身体はまるで別の人間の身体をつかうことになるのか?
「あの俺の新しい身体は」
「そうさな、もしかしたら赤子からということになるのかもしれんな」
まじか、赤ん坊からとなると自我がある分長い時間を感じてしまう。まぁそれは仕方ない、遠坂曰くそれは"心の贅肉"だ。
「ははは……はい、わかりました」
「では儀式を執り行う」
そう言うとゼルレッチは懐からある物を取り出した。俺はその物をよく知ってる。1度見たものは決して忘れたりするものか。
───宝石剣ゼルレッチ。
ゼルレッチが作成した限定的だか第2魔法を行使するとこができる強力な魔術礼装。
使用すればあらゆる並行世界から魔力を集めて使うことができると言う。
その剣を俺の前に持ってきて首元に近づけてきた。
剣からは異常なほどの魔力が渦巻いており自分が聖杯戦争の時に投影したものとは桁違いの迫力を感じた。
───今からこの剣に斬られてこの世界の衛宮士郎は一度死ぬのだ。
「師範、お願いがあります」
「なんだ遠坂、これ以上はもう時間の」
「弟子の不始末をつけさせて下さい」
「…ほお」
遠坂がゼルレッチに待ったをかけたかと思えば弟子の不始末をつけさせてと懇願した。
あぁそういえば俺はまだ遠坂の元で弟子入りをしていたんだっけな。
俺はてっきりあの日出て行った時に破門されたのかと思っていた。
「いいだろう、お前の師範としての責任ここで果たしてみせよ」
「はっ!ありがとうございます」
そう言うとゼルレッチは遠坂に宝石剣を渡すと、遠坂はお辞儀をしてゆっくりと俺の方に向かってきて目の前に立った。
「てっきりもう破門されていたかと思っていたよ」
「ええ、でも貴方に直接は伝えていなかったわ」
「そうか、そうだよなあの時はすぐに出て行ってしまったからな…」
「……我が弟子、衛宮士郎。今日をもって貴方を私との師弟関係を切り、ここに破門を言い渡します」
「…はい、わかりました」
「そして、師範として貴方に最後の宿題を与えます」
「…え?」
「いい?衛宮くん。貴方はもうこの世界では数えきれない多くの人々を助けて、救って、幸せにしてきました。だから───」
"───今度は貴方が助けられ、救われて、幸せになりなさい"
───その言葉を聞いて俺は涙をこぼしていた。
まいったな、最後の最後での宿題がとても優しくて難しいモノになるとは。
「わかった。その宿題必ず達成してみせるよ」
「えぇ。それじゃあ、さようなら───士郎」
「あぁ、さようなら。凛───」
ザシュッ
こうして、この世界で多くの人々を救ってきた
♢♦︎♢
「───って感じで別世界に送られたのはいいのだが…!!」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜
「なんで現在進行形で俺は上空から真っ逆さまに落っこったてるんだよぉぉぉぉぉ!!!」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜
「とぉぉぉぉぉぉさぁかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
スコープで転移した衛宮士郎を覗く
ゼルレッチ「やはり遠坂の血は争えないな」
凛「………い、いや〜あははは〜///」