森林の静けさが不気味と一般人が感じる午前2時過ぎ。本来ならこのような場所に人はいないのが当たり前なのだが、その森の中で1人の少女が歩いていた。
「ふぁぁ…ダメだ…眠すぎる…」
少女の名はエヴァンジェリン 。
10歳の少女にしか見えないが、その正体は人の身ではない人外、真祖の吸血鬼である。
本来ならば吸血鬼にとって夜中は活発になる時間帯なのだが、彼女の場合とある"呪い"のせいで吸血鬼としての力が弱まってしまい殆ど人間と変わらない身体になってしまっている。
たがそれでも今宵は満月、吸血鬼としての力が少しだが戻っていた。
「くそ…私は
そうブツブツと文句を垂らしなら歩いていると北東辺りから不自然な爆発音が響いた。
その爆発はかなり遠いが、その衝撃は凄まじくこちらまで届くほど強烈だった。
「…ッ!?なんだ今の爆発は!?いやこれは」
エヴァは驚愕した。本来ならただの爆発ならばそれほど驚きはしなかったがそれとは別に強大な魔力を感じ取れたのだ。
学園の結界は使い魔程度の物はスラリと抜けてこれるが普通の魔法使いや魔物ならばそうやすやすと抜けれるはずはない。
だがその魔力は学園内から突如感じとれたのだ。
(これ程の魔力…
だがそうではないと言う保証もない。
もし仮にそうならば、今の自分には対抗できる術がないのが事実だ。
(ま、そうなった場合あのジジイ共に押し付けても問題なかろう)
この学園には教師共や
「さて、そうすれば運の悪いネズミの顔でも拝んでみるか」
そう言って服の中から
〜数分後〜
結論から言うと例の侵入者は直ぐに見つかった。
何故ならばあの場所から移動した直後にまた爆発音が鳴り響きものすごい勢いで自分の目の前を謎の物体が顔にかすりそうなくらいの距離で真横を突っ切っていったのだ。
あとを追いかけていくと森林の中ではそこそこでかい木の根本にぐったりと寄り掛かっている人物を遠目で見つけた。
「ふん、人間か。魔族ではなかったみたいだな」
安堵と少しがっかりとした感情を抱きながら横たわっている人間に近づいていく。
夜なので暗くまた灯りもないので姿がよく見えなくてさらに近づこうと体を前に出すとちょうど月明かりがさして姿が明らかになる。
その瞬間エヴァの足が止まった。
「なっ…そん、な…」
(バカな、ありえない───
髪は赤毛で肌も白い、顔も成人していない幼さが残っている顔つきだ。だが、あまりにも似ていた。いや似ているなどのものじゃない、これは───)
「………は」
(っ!?こいつ起きていたのか!)
「はろー?」
「………は?」
─士郎side─
目の前にいる少女に声をかけてみようと挨拶をしたら、まぁなんともいえない気の抜けた返事が返ってきた。
うーん発音が間違っていたのだろうか。しかし俺は昔から英語の発音は苦手でよく藤ねえにも「士郎は英語はダメダメねーw」とは言われたが……なんか思い出したらイラッときたぞ。
あ、もしかしたら国柄が違ったのかもしれない。それなら
「ボ、ボンジュール?」
「………」
これまた反応なし。
だがこれしきのことで諦めたりはしない!
思い出せ、イメージするのは常に最強のコミュ力のある自分…よし!!
「チャ「何か勘違いしているのかわからんが私は日本語でも分かるぞ」」
………あーーそうか、そうですか…何がイメージするのは常に最強のコミュ力がある自分だよ…今となって急に過去の自分を殴りたくなってきた。
…ん?日本語が通じるだと?
「すまない、日本語が通じると言ったが。ここはもしかして日本なのか?」
「あぁここは日本の麻帆良学園その郊外にある森の中だ」
麻帆良学園?日本にそのような場所があったなんて聞いたことないな。いや別世界に行くとは言われたが…
「日本のどこ辺りかわかるか?」
「どこ辺りだと?貴様日本人なのに
「あぁすまない、なかなか聞かない名前だったんでね」
「………」
うっ…やばいな警戒されているようだ。そんなに有名な場所だったのか。
「それよりも、ここは関係者以外立ち入り禁止の区域だ。そこに夜中侵入している所でも怪しいが、先程爆発が起きて来てみれば貴様がこんな所で座っているときた」
「………」
「貴様、何者だ?なぜこんなところにいる?」
少女はこちらの痛いところを突くとまるで氷のような鋭さを放つ目でこちらを睨んでくる。
まずい、非常にまずい状況だと改めて認識した。
どう言い分を考えていたら遠くの方から大人数の気配を感じ取れた。
「ちっ…タイミングの悪い奴らだ。おい貴様さっさと立て移動するぞ」
「えっ…なんでまた急に」
「いいから黙ってついてこい!」
そう言うと少女は俺の腕を引っ張ろうと力を入れるが重くて持ち上げられないようだ。
当たり前だ10歳も満たない少女が大のの大人を立たせることなんて普通はできないからな。
「あー!もう!なんでよりによって満月じゃない時にこんな目にあうんだ!!」
「あの少しいいか?」
「なんだ!?」
「なんで俺を連れていこうとするんだ?」
「なんでって、そりゃ貴様が怪しいから尋も…ん゛ん゛。事情聴取しようと」
おい待て、今さらっと恐ろしいこと言ってなかったか?
「事情聴取なら別に今でもできるんじゃないのか?」
「ほう、なら今この状況を来る奴らが見たらどーなると思う?」
「そりゃ…」
と答えようと思ったが今一度今の状況を改めて確認してみた。
時刻は大体夜中。
場所は薄暗い森の中。
明らかに不審者な自分と10歳くらいの少女。
………うん。どっからどう見てもヤバい光景だ、へたすりゃ問答無用で御用だ。
「理解したか?ならさっさと移動するぞ」
「移動するっていったってどこに…」
「この近くに私の住んでいる寝床がある、一先ずはそこに移動する」
それはそれでもっとヤバくないか?
「いいから黙ってついてこい」
「っ……あーもうわかったよ。で、どこにあるんだその寝床ってやつは」
「よし、ここから南西の方角にある小さなログハウスが私の寝床だ」
「よしわかった」
南西の方角だな。そろそろ気配が近くなってきて見つかるのも早いと見た。
身体は強打は打っていても先程とは違い全身に魔力が行き渡っていて問題なく動ける。
そうと決まれば…
「ではいくz」ヒョイッ
少女が何か言いかけたが急ぐため抱き上げた。いまの状態はさながらお姫様抱っこで抱き上げている。
「なっ貴様!何をしている!?」
「急いでるんだろ?ならこっちの方が速い」
「ふざけるな!こんな格好…きゃっ!?」
(
言い訳は後で聞くとして走る為、心の中で脚に強化の魔術を唱え猛スピードで走り抜ける。
走り始めた数十秒後俺たちがいた場所に10数名いる気配を感じ取れた。だがこのスピードでは追いつくのは無理だろうな。
「しっかり掴まってろよ」
「な、な、な!?」
「あと舌噛むぞ」
〜数分後〜
さっきいた場所から数キロ離れた所に小さなログハウスが見えて来た。あれが抱えている少女が言っていた場所か。家の外装は綺麗でまだ建てて数年しかたってないと見た。
「おい…降ろせもういいだろ」
「ん、あぁすまない」
抱えている少女がぼそぼそと呟いているのに気づきすぐさまゆっくりと降ろす。
しかし少女は顔を下に向きこちらをみようともしない。
「どうした?何かあったのか?」
「いやなんでもない」
そう言うが顔は一向にこちらを向かない。もしや具合が悪くなったのか?様子を見ようと顔を覗かせようとするが
「平気だと言ってるだろ!!」
うーむ、どうやら具合が悪いんじゃなく機嫌が悪そうだ。なにかしてしまったのか…もしや先程の
「……ふぅ、よし。とりあえず中に入るぞついて来い」
深呼吸をして落ち着いた所で家の中に入れと言われついて行こうとするが、肝心なことを教えてもらいのを忘れていた。
「待ってくれ」
「なんだ?今更躊躇うのか?」
「いやそうじゃない」
「だったらなんだのだ「私は君の名前を教えてもらってないのだが」」
そう、お互い名前も知らない状態なのだ。
これではいつまでも貴様とか君とかで話が進むのもおかしなもんだ。
「あ…そういえばしていなかったな」
「できれば教えて貰えると有り難いのだが?」
「ならまずは貴様から名乗れ、名前を聞こうとして自分から名乗らないのは礼儀としてなってないんじゃないのか?」
む、それを言われるとこちらは何も言い返せないな、スジは向こうが通っているわけだしここは自分が名乗らないとな。
「それは失礼。では改めて、私の名は衛宮。衛宮士郎だ」
「………」
「ん?どうした?こちらは名乗ったのだが」
「あ、いやなんでもない少し遠縁の知り合いに似ている名前があってな」
「似ている名前?」
「あーいい、気にするなこっちの話だ」
似ている名前…もしや別世界での俺がいるってことなのか?衛宮なんて苗字はそんなにはいないはずだ。
だとすれば気になる所だが…いやそれは後で聞くとしよう。
「私の名だったな。聞いて驚くがいい、私の名はエヴァンジェリン 。エヴァンジェリン ・A・K・マクダウェル。かの有名な
「そ、そうかよろしくなミス・エヴァンジェリン」
「なんだその反応は!聞いたことくらいあるだろ!!」
「いやすまないがまったく」
おおかた年頃の子らしいカッコつけたいのだろう。
いやしかし二つ名か…元いた世界ならともかくこの世界での魔術師の確認ができてない以上安易に決定するのはよくないな。
「ふん!!まぁいい。ではエミヤ貴様の事情はきっちりと中で答えてもらうからな。覚悟しろ?」
「お手柔らかに頼むよ」
エヴァ「ところで貴様脚が速いとはいえあれは明らかに速すぎだ…」
士郎「ギクッ…」
エヴァ「じーーー」
士郎「さ、さぁとっとと中に入ろうじゃないか」
エヴァ(それも含めてとっちめてやろう)