博麗の呪縛   作:こーくへぃ

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牛歩投稿ですみません!!!
少しずつペース上げていこうとおもってむす!!( ; ; )


14:青娥と月の刃

「ふんふーん♪」

 

 鼻歌まじりに青い髪を靡かせて竹林を飛ぶ青娥。先ほどから竹の隙間に兎がチラチラと見えるのは、おそらく監視されているのだろう。

というか、この兎らによって自分が目的地である永遠亭へと向かっていることを月人達は把握しているに違いない。

 

 青娥の企み、それは月人達が保有する蓬莱の薬である。蓬莱人は真の意味での不死、細かくいえば不滅なのだ。即ち自分の擬似的な不死とは違いかの亡霊少女に対する真の対抗策なのである。しかし、自分が薬を飲む気はサラサラないようだ。

 

(なんとかキョンシーに使えるようにしなきゃねぇ……まぁ、そもそも薬の現物があるとは限らないけど、ついでに月人関連で調べたいこともあるし)

 

 この仙人は意外と行き当たりばったりな所がある少女である、そのせいで敵に回す存在も多い。

 

 しばらく飛行を続けて後15分も飛べば目的地に着くだろうかと言う頃、ポツンと一つの人影が見えてきた。

刀を携え、黄緑のリボンで紫色の髪を結んだその姿からは聖徳王に引けを取らないオーラが放たれている。

 

「ごきげんよう、お迎えかしら?」

 

「警告です。今すぐ引き返すか、私ではなく死神に迎えてもらうかを選びなさい」

 

「けほっけほっ、わたくし体調が悪くて永遠亭にお世話になりたいのですが……」

 

「無駄な嘘はやめてください、あなたの事は八意様から聞いています。」

 

「あらまぁ、わたくし有名人なのかしら〜♪」

 

「そうですね、もちろん悪い意味ですが」

 

「どうしても通れないのかしら?」

 

「残念ながら通す気は一切ない。

 ここから立ち去るか、鬼神長の元へと案内されるか選ぶがいい」

 

「もちろん永遠亭に行きますわよ」

 

「よろしい」

 

 依姫の体に光が灯る。それは“神降し”という巫女の奥義を体現する灯火。手を抜く事はなしない、今彼女の身体に宿る神の名は“武甕槌(タケミカヅチ)”と呼ばれている軍神である。

 依姫から放たれる凄まじい闘気、そして神威が彼女が本気だと言うことを物語っていた。

 

「すごい霊力ですわねぇ。これで動きを封じ込めておこうかしら?」

 

 青娥のはなった呪札は赤い光を纏って依姫へと襲い掛かる。しかし依姫は当然の様に軽々とそれらを躱す。

 

「フン、遅いわ。博麗の巫女の使う物に比べればとまってるも同然よ。

 一撃、一閃、それで決めてあげます」

 

「警告しておきますわ。切ろうとしたら、貴女は負ける」

 

「ほざけ!」

 

 ダンッ!と地面を蹴った時の音とは思えないような爆音を発した踏み込みは、瞬時に刀の間合いへと詰めるには十分な加速を生み出した。

 

(もらった……!)

 

 勝った。依姫だけでなく、誰もがこの状況ならそう確信するだろう。

 刃が首を跳ねようとして瞬間、依姫は“本能的に”後退し、踏み込む前への位置へと戻った。踏み込んでこうなるまでの時間、推定1/100秒。

 

「……う、うぷ……おぇぇ……」

 

 吐き気が、吐き気が依姫の身を襲う。神降しはとけ、ガクガクと弱々しそうに膝が震えている。

 

「な、なんですか……“それ”は……!」

 

「ふふふ、対月人……そうねぇ……兵器、対月人兵器と呼んでも差し支えないかもしれないわね」

 

「悍ましい、そのような悍ましい物……うぷっ……!」

 

 青娥の前に佇む幼女……の死体、キョンシー。それを見て依姫は恐れ慄き、吐き気さえ催している。

 

「ふふふ、“コトリバコ”という呪物を知っていますか?胎児を素材にして作る呪物なんですけど、“箱”を人間の死体で作ってみたのがこれですの〜。

 生命や死を穢れと称して忌み嫌う月人の貴女には、より生を渇望する死の存在である水子は効果抜群って奴でしょ?」

 

 キョンシーはまるで中で何かが這い出ようと蠢いているかの様に不規則に揺れている。

 

「それに、入ってる水子の量はコトリバコとはくらべものになりませんわよ?彼岸に行ったらたくさん材料が落ちてたのでつい張り切っちゃいまして〜」

 

「外道、外道にも程がありますよ貴女は!」

 

「よく言われますわね、その言葉〜。

 でも病人を病院(?)に行かせてくれない人にそう言われるのは心外ですわよ?」

 

「バカにしてっ!」

 

 青蛾は左右に大量の弾幕を展開し依姫を包み込む。

 

(左右は弾幕密度が高い、正面は生理的に無理……!)

 

 

先程と同じように轟音を立て大地を蹴り、今度は上へと高く飛び上がって刀を構えた。シンプルだが、左右の弾幕を避けつつキョンシー飛び越えて懐に入ろうというのだ。

 

 それをみて青蛾はニヤリと悪意のこもった笑みを浮かべた。

 

 

「上へ飛ぶのは悪手ですわよ〜。

 いくら速くとも、上方向から下方向へ転換する際、必ず静止する瞬間がある」

 

 依姫の視界の端に赤い光が見えた。

 

 まさか最初の_______

 

 思考が結論を導き出す前に依姫は視点を動かすが、それを目にとらえた時点ですでに命中必至であった。

 

「ホーミングアミュレット、たしかに博麗の巫女がよく使うものですわね。でも、巫女よりも遅い代わりに追尾性能は桁が違いますわよ〜。

 止まってるも同然の弾速は、止まっている相手にしかなかなか当たらないのがネックですわね」

 

 直撃した札から赤黒い鎖が飛び出してきて一瞬で依姫を縛り上げる。

 

「くっ!こんな鎖なんて簡単に……!」

 

「やめといた方がいいですわよ?」

 

「なにを……ひぃっ!?」

 

 鎖を引きちぎろうとする直前、目の前の超至近距離にキョンシーが立っているのに気づいた。

 

「その鎖に少しでもヒビが入った瞬間、その子が溜め込んでいる穢れが貴女を包み込むことになりますわよ?それでも貴女は精神を保っていられますか?」

 

「この卑怯者!!!」

 

「ふふふ、私の思惑通りに踊って頂いて誠に感謝しますわ。

 安心してください、約30分ほどでその鎖は勝手に消えますわよ〜」

 

 くすくすと笑いながら飛び立つ青蛾、それを見ても依姫はギリッと歯を食いしばる事しかできなかった。

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