博麗の呪縛   作:こーくへぃ

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ヲーーーー!!!
更新がカタツムリより遅い!!!\( ‘ω’)/
ごめんなさい!!!(´つω⊂)


17:土塊の鬼

 妖怪の山のどこか、岩に寝転がる少女がいる。名は伊吹萃香。

 ここ最近、幻想郷の秘密を探り続けているもののなかなか手がかりを掴むことができない。能力をフル活用できればもっと楽に事が進むのであろうが、下手に動けば賢者に情報が伝わってしまう。

 

「雁字搦めってやつか……」

 

 カチャリ

 

 聞き慣れない音に瞬時に振り向くと、黄を基調とした色使いの少女がいた。

 

「………へぇ、気配すら感じなかったよ。

 私に何か用があるのかい?」

 

「お前を拘束する」

 

「ふぅん、礼儀がなってないね?生きる限り敬意は払い続けるもの」

 

「私に生命や魂などの不安定で不純な物は宿っていない。

私は神の御手によって造られた誇り高き土塊だ」

 

「つまり破壊してそのままほっぽっても環境に優しいってこったね」

 

 刹那、萃香が踏み込み拳を振るう。反応が遅れた磨矢は剣を抜かず合わせるように拳を突き出しし、ぶつかり合う拳は山に鈍い音を響かせた。

その瞬間、磨矢の腕は文字通り粉砕され後方に吹き飛ばされ、その先にあった大岩に叩きつけられた。

 

「いてて……あんなに硬いもの殴ったのは久しぶりだね……これじゃ手が赤くなってしまうよ」

 

 手をぷらぷらと振りながら自分が殴り飛ばした相手の元へと接近する。

 

(すこしやりすぎたかな……)

 

 土煙が晴れて行き次第に埴輪の姿が見えてくる。めり込み、手から左胸部まで欠損し、全身にヒビが入っている姿は何とも痛々しい。

 

「…………」

 

 そんな状況にありながらも磨矢の表情は一切変わらず、ボロボロな姿で岩を崩しながら這い出てくる様子は不気味にすら感じる。

 

「どうする?ボロボロのままやるかい?」

 

「私は完璧だ」

 

「……何だって?」

 

「神とは信仰によって成り立つ存在だ。そして神が偶像を用いて信仰を集める際、偶像そのものにも信仰が集まる」

 

「……魂がなくても気が触れるのかい?」

 

「今や私も一柱の神に等しい存在なのだ。感じるだろうこの神威を。私は今その力実感している、そしてこの力を授けてくださった創造主(けいきさま)への忠誠心は滾り止まることを知らない」

 

 突如として地面が盛り上がり、轟音を立てて形取られていく。一対の機械的なフォルムをした図太い剛腕へと変貌した。

剛腕からバーニアから吹き出したエネルギーによって浮き上がり、いつの間にか修復が完了していた磨矢の肩から細い腕にかけて包み込むように装着された。少女の体躯に羅刹の如き機械の剛腕が装着されているのはなんともミスマッチである。

 

(これは……⁉︎)

 

 知っている、この腕から溢れる赫い気質に似た物を、この気質を持っている少女を。

 

 “怪力乱神”

 

 その古くからの悪友はそう呼ばれていた。

 

「一応弾幕勝負という建前だったな。宣言させてもらうぞ、 擬似造形術『偶像腕部装甲(イドラ・ハンマー)』」

 

 ただ、淡々とスペルを宣言する磨矢。構えると、腕のバーニアに火が灯り轟々とエンジンを蒸すような音が鳴り出す。

 

「へぇ、素晴らしい名前のスペルだね。私には到底思い付かないセンスだ」

 

 軽口を叩くも、萃香は身震いをしていた。それが武者震いか、恐れから来るものかはわからない。ただ一つはっきりしているのは相手の拳は凄まじい霊力を放っていて、下手するとただでは済まない。

 

 しかし、萃香は鬼である。鬼の意地としてあんな模造品に負けたくはない。

 

 “正面から拳で迎え撃つ”

 

それ以外の選択肢なぞ選ぶ余地はない。この判断が吉か凶かなんてのはもはや些細なことである。

 

 向かい合う両者、お互いの霊力は最大までたまり合っている。刹那、人の目では追えない速度でお互いの拳が交じり合い、山中にとてつもない爆発音が響きわたった。

 

* * * * * * * * * *

 

 清鈴堂にて吉報を待つ人間に化けた藍と袿姫、団子を嗜んでいると突如テーブルに置いてあった小さな埴輪(髪型は磨弓)が騒ぎ出した。

 

『ハニッ!ハニッ!ハニッ!ハニッ!』

 

「これは?」

 

「通信端末よ、磨矢ちゃんからの連絡ね。もしもーし」

 

 埴輪がピシッと敬礼し、流暢に喋り出す。

 

『恐れ入ります袿姫様。こちら磨矢です』

 

「おつかれ様〜。で、結果は?」

 

『伊吹萃香を半分捕獲しました』

 

「……半分?」

 

『ハンマーを使用し、正面から衝突した後伊吹萃香は沈黙しました……が、捕獲しようとした瞬間に伊吹萃香の“背後”より干渉が入りその隙を突かれ伊吹萃香は魂レベルで2つに分離し川へと逃走しました』

 

(あからさまにあのお方だな……)

 

 心当たりがありすぎる藍はつらりと汗を垂らす。

 

『切り捨てられた半分は捕獲用のポッドに収容しました。こちらの損害はハンマーが中破し、ただいま自己修復中のため一時的に使用不可となっております』

 

「………ふぅん、わかったわ。及第点だけど期待外れね」

 

『……大変申し訳ございません』

 

「良いのよ、まだまだ調整不足って事ね。

 ブラスター、ブースター、センサー、シールド、バスター、レイダーのそれぞれの貴方側からの調整は?」

 

『平均70%です。まだまだ使用するには不安要素が多いかと』

 

「クリア基準を高くしすぎたかしら?まぁ……半分を手に入れたなら良いわ。早いとこ戻ってきなさい」

 

* * * * * * * * * *

 

 川下、そこに小鬼はいた。川から這い上がったばかりのようで、全身びしょ濡れでうずくまっている。

 

「くそ……ゴホッ……は、『半分』も……ウグッ……使っちまった……!!」

 

 自分でもわかる。今の自分の弱さ、どれだけ矮小なのかが。自分が半分になることで減る力は単純な半分ではない。自分が多ければ多いほど、少なければ少ない程に加速度的に強くも弱くもなる。

 

「くそっ……飛ぶ力も残ってないのか……!?」

 

 霧になろうにも今の自分に、もう一度自分を(あつ)めれるかわからない。はっきり言ってこの状況はかなり追い詰められている。

 

「とりあえず……はぁ……あそこにでも隠れないと……」




バーニアっていうのはロケットとかロボットの火が出て飛んだらジャンプしたりするとこです‎(ง ˇωˇ )ง
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