戦姫絶唱シンフォギアVSルパン三世 〜奏でろ!泥棒交響曲〜 作:ケングレンオー
「じ、事件の匂いって何を言って————「うるさーい!お前たちが隠しているってことはな!この銭形平次7代目、銭形警部にはお見通しなんだよ!ということで邪魔するぞ」いや、だから!」
ゾロゾロと部下を率いて閉館中の博物館の中に入って行く。腰にしがみつく警備員を振り解き、部下たちに館内を厳重に捜査するよう指示を出していると、背後から警備員が銭形に襲いかかった。片手で拳を受け止め、振り返りもう片方の手を掴む。
「とぉおりゃああ!!」
そのまま巴投げを繰り出した。
「ぐわー!!」
投げ飛ばされた警備員が壁を突き破った。その壁には、
「隠し階段!お前たちこっちだ!」
銭形を先頭に勢いよく駆け降りて行く。それを見ていた不二子と響。実はこっそり銭形たちといっしょに乗り込んでいたのだ。
「不二子さん...ホントにやるんですか?」
「なぁに?さっきまでやる気満々だったのに。ふふ、怖気ついた?」
「ッ!いえ!へいきへっちゃらです!コレも人助けですから!行きましょう!」
2人は銭形たちの後を追う。
ここは競りを行なっていた地下会場。そこで多く集まった札束を見てニヤニヤと笑っている男がいた。
「アイザックからの連絡が来ないのが心配だが、ま、大丈夫だ——「ボス!大変です!」どうした?」
「あ、ICPOの銭形が!」
「な!?あのルパン三世専任捜査官がなぜ————「御用だー!悪党ども神妙にしろ!」蹴散らすぞお前ら!」
「怯むなー!ワシに続けー!」
銃を構える多くの犯罪者の集団に勇猛果敢に立ちはだかっていく。
第二十話 大いに頑張る大人たち
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先日起こったヴィマナの件について会議が開かれた国連本部。会議の途中モニターにある映像が映し出された。
『会議の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。インドのスリー・パドマナー・バスワーミ寺院近くのこの博物館で国際被疑者が人身売買の取引をしているという情報が入りました。現場の不〜二子ちゃ〜ん!』
『ハァイ!こちら現場ではICPOの銭形警部率いる警察隊が突入したところです。見てください!霰もない姿で少女たちが逃げ惑っているではありませんか!』
突然のことでざわめく要人と顔が青ざめていく一部の要人たち。
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「この
男が不二子に向かってくる。響は足元にあった椅子を蹴り飛ばす。
「い、痛ぇ!」
蹴り飛ばした椅子が脛に当たり蹲ったところを不二子が男の顔を蹴り上げた。
「響ちゃんやるー!警察隊と犯罪者集団の激突です!見てください!大乱闘、大激闘が繰り広げられております!」
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そそくさと退室するインドの大統領。足音を立てずに本部の外へと目指す途中、誰かの足に引っかかった。
「イテテテ........何をす、えぇ!?」
「トリックについては後で説明しましょう。貴方には少しお話を聞きたくてね」
腕を組んだ銭形が立っていた。
「連れて行け」
「「へい...」」
「は、離せ!離さんか!は、話って何だ!?わ、私は何も知らんぞ!」
横にいた部下2人に引きずられて行った。
「さーて、夢のタッグの結成だ...」
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銃弾が飛び交う中裏の扉から逃げ出そうとするボス。扉を開けた先には赤いシャツを着た大男が立っていた。
「く、クマさんだー!!」
弦十郎がバレルを掴むや否や垂直だったはずのバレルが上を向いている。人間の握力では出来るはずのないことをやって見せた弦十郎に腰が抜けた。
「は、ハハ...ヒィ!」
「誰がクマさんだー!!」
「うわー!!」
弦十郎は米俵のように男を担ぎ上げ放り投げた。
「おお!弦十郎さん!なぜここに?」
「援護の要請を出されたのでは?」
「え?」
「え?」
お互いポカンとした顔をする。向かってくる銃弾を物陰に隠れて少し頭を出しながら様子を伺う。
「ええぃ!この際要請してようがしてまいがどうだっていい!」
「本部に残った貴方の部下も援護に来ています。このまま押し切りましょう」
その言葉に銭形は頷く。銃撃が弱まったタイミングを見計らって飛び出した。
「「退くな!正義は我にあり!」」
相手のほとんどが銃を持っていて圧倒的に不利だと思われたが、2人の活躍は凄まじいものだった。1人は大人3人掛りで持ち上げられる程の机を軽々と持ち上げ振り回し、1人は銭を投げ怯んだところを十手で殴打し次々に無力化していく。その2人に恐怖し士気が下がっていく犯罪者集団たちに対し、部下たちの士気は格段に上がっていく。
銃を持つ男1人に対して警棒を持った部下たちが飛びついた。1人を3人でボコボコにしていく。
「に、逃げなきゃ...逃げなきゃ殺される........!」
制圧されていくなかボスは1人暴れ回る銭形たちに見つからないように裏口から逃げ出した。
「ん?しまった!1人取り逃したか!」
「ご安心を。我々には装者の他に心強い味方がおります」
「と、言いますと?」
そう聞かれると弦十郎は忍者がよくやっているような印を結ぶポーズをした。
「コレです!」
「こ、コレでありますか?」
銭形も同じようにそのポーズをした。
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バス停に一台のバスが停まっている。血相を変えた1人の男がバスに乗り込んだ。
「はい、1人4ルピーだ———「黙ってこのバスを寄越せ!」うわ!」
その男は運転手を外に引きずり出してそのままバスを強奪した。
「か、返せー!借金をしてまで家計のために買ったバスだぞー!つい最近俺のバスが盗まれたのにー!返せー!」
爆走するバスを前に1人のスーツを着た日本人が目に入った。避けようともせずじっと向かってくるバスを見据えている。
「自殺志願者か?ハッ!肝の据わった野郎だ...!?」
いたはずのスーツの男が視界から消えた。次の瞬間、ブレーキを踏んでいないにも関わらず、グッと重力が前へと掛かる。この時、シートベルトをしておらずガラスを突き破り地面へと打ち付けられた。
「......皆さん、車を運転する時は必ずシートベルトを着用して安全を心がけてくださいね」
バスの影には一本の短刀が突き刺さっていた。
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ルパンたちを回収した本部では祝勝会の準備が行われていた。各々が飾り付けをしたりと勤しんでいるところ1人ルパンは医務室へと向かう。
「お目覚めかなエルフナインちゃん」
「ルパンさん」
ベッドに腰掛けある物を見せる。それを見たエルフナインは少し驚いた表情を浮かべた。
「コレは...オリハルコンの指輪?」
それをエルフナインの指にはめた。
「え?」
「君には無理をさせた。コレはそれのお礼さ。何も言わずに受け取って欲しい」
続けてルパンは、
「君みたいなかわい子ちゃんにはよく似合うと思う。あ、とっつぁんにはナイショだぜ?それとな、祝勝会をやることになってるんだけど...動ける?」
「は、はい」
「よーし!楽しい楽しいパーティーの時間だ!」
小さな手を優しく握って会場である食堂へと向かった。
祝勝会は既に始まっていた。弦十郎の手品から始まりのど自慢大会へ。隅っこの方で1人バーボンを嗜んでいた次元のもとに切歌と調がやってきた。どうやら昔話を聞きに来たらしい。
「ラブロマンスとか聞きたいデス!」
「ハハ、そういう年頃だもんな........今のロシアがソ連と呼ばれていたうーんと昔の話だ」
モスクワで出会った1人の女の思い出。
「その時巻いてくれた包帯の中にな例のダイヤがあったんだ。まぁつまり、運び屋として利用されたんだ」
「何でそのダイヤを渡しちゃったんですか?」
「...2度助けられたからだよ。俺は仁義とか義理とかは大事にする男だからな」
語り終えた次元はクイっとバーボンを口に入れる。聞いていた2人の目はキラキラと輝いていた。
「カッコいい...」
「カッコいいデェス!他には他には!」
「そうだなぁ...昔アンジェリカって名前の————「よぉ、女の子2人引っ掛けてなーに話してんだ?」ん?ちょっとした昔話さ。それよりお前どこ行ってたんだ?」
3人のもとにルパンが現れた。いなかった事情を話そうとしたとき食堂内が薄暗くなってくる。なんだなんだと周りを見渡していると、曲のイントロが流れ出すのと同時に男たちの歓声が湧き上がりはじめた。
「うーわ、すっごい熱気。どしたのアレ?」
「歌姫2人の特別ライブだとよ」
食堂内はライブ会場さながらの熱気に包まれている。警棒をペンライト代わりに振ったりしている。その群衆の中にもちろん五ェ門はいた。
側からそんな五ェ門を眺める仲間たち。
「五ェ門てば演歌一筋じゃなかったの?」
「うん...でもなーんか変わっちまったらしい」
「一目惚れさ」
そんなこんなでライブは大成功し、その後サイン会が開催された。ちなみにこのサイン会の列に銭形も並んでいた。記念に取っておくとのこと。
弦十郎と銭形がカツンと酒が入ったコップを交わした。
「響くんは勇敢な若者ですなぁ!是非ともワシら警察の人材として欲しい人物ですよ」
「彼女はどんな壁が立ち塞ごうとも、それをぶち破っていきますからね」
「よぉ2人とも!呑んでる?」
「おお!呑んでる呑んでる!お前も呑んでるか!?ガハハハハ!」
ルパンが来た頃には銭形の顔が赤くなっていた。
「生きてるって素晴らしいなぁとっつぁん、弦ちゃん!」
「当たり前だい!お前が死んだと思ったときは、ワシは...ワシはッ!うぅ......」
「よせよ祝いの席だってのに。パーっとやろうぜパーっと!ほら、これでも呑んで!」
そう言ってお酌をする。その後2人は銭形の愚痴を聞き続けた。その途中疲れたのか船を漕ぎ出した。ルパンは銭形を弦十郎に任せてその場を後にするのだった。
「大変そうね。手伝おうかしら?」
「君は...」
銭形の肩を持ち歩く弦十郎に不二子が話しかけてきた。
「...遠慮しておくよ。何されるかわからんからな」
「ガードが硬いのね。でも好きよ?そういう
「...(違うはずだが)......了子くん...」
まるで少年のような顔でサイン色紙を眺めている五ェ門。
「.........ッ!何奴!?...お主は翼ちゃ...翼殿の」
「マネージャーの緒川です。実は翼さんからある物を五ェ門さんに渡して欲しいと頼まれまして」
ポケットから取り出したのは一枚のチケット。それを見た五ェ門は目を見開いた。
「こ、これは!?」
「今年のクリスマスに行うライブのチケットですよ。色々と世話になったとおっしゃってまして」
「か、かたじけない!」
サイン色紙を脇に抱えながらチケットを持った手で大きくガッツポーズをしながら走り去っていった。
祝勝会も終わりほとんどが眠りについた中1人自販機で水を買い飲んでいるクリスがいた。
「クーリースーちゃん!」
「ッ!ビックリしたー...」
クリスの背後にはルパンが立っていた。ベンチに座って話そうと先に座り横をトントンと叩く。
「いきなりだけどオバケって信じる?」
「ほ、ホントにいきなりだな...ま、まぁいるんじゃねぇのか?」
「......実は脱出するときにお前のパパとママの声が聞こえたんだ」
その言葉に驚いたのか飲んでいた水をむせた。
「とうとうお迎えが来たのかと思ったよ。でもな?沈んでいく俺の手を掴んでグッと引き上げてさ、次に透き通った声でこっちよって俺を導いてくれた。それに引き上げたあの手はたしかに雅律の手だった。水の音に混じってヴァイオリンの音も聴こえてきたんだ。ホントだぜ?だから取り返せてよかった、取り返してよかったって思ったんだ......」
「.........」
1人語るルパンの言葉を静かに聞いていた。続けてルパンは、
「もうちょっとだけ預からせてくれないかな?今よりずっと綺麗にして返す。そうだ!明日の朝5時頃には着くからさ、外で会おうぜ。古ーい車がある場所にいるからさ」
「......なぁルパン」
「ん?」
「.........ううん、なんでもない。おやすみ」
「うん、おやすみクリス」
何か言いたげな顔をしていたクリスだったが、その言葉を飲み込みその場を後にした。
「さぁ、ついに俺たちもさよならする時がやってきたぜ!何とクリスちゃん、俺たちといっしょについて行きたいんだって。あんないい子俺たち泥棒といっしょにいさせるわけにはいかないでしょ。最終回!『さらば愛しき戦姫よ』別れがつらいぜ...」