戦姫絶唱シンフォギアVSルパン三世 〜奏でろ!泥棒交響曲〜   作:ケングレンオー

21 / 21
カリオストロの城映画館で観たいなぁ...遂に迎えました最終回です。

追記 インレさん。誤字報告ありがとうございます!


さらば愛しき戦姫よ

まだ陽は登っていない港。そこにはアルファロメオが停車していた。運転席には次元が、タイヤが設置されているトランクに五ェ門、不二子が座っている。

 

「おい、ルパン。枕元に置いといてあげてりゃよかったんじゃねぇのか?」

 

「そろそろ銭形も起きる頃であろう?」

 

「もうちょい待ってくれ......来た!」

 

本部の方から人影が走ってくるのが見えた。

   

最終話     さらば

          愛しき戦姫よ 

 

「ごめんよ、朝早くから呼び出して」

 

全力疾走してきたのか息も切れ切れの状態のクリスに後ろを向かせる。そしてポケットからネックレス状にしたスノーアメジストを取り付けた。

 

「......やっぱりそっくりだ。親子ってのは似るもんだねぇ」

 

「そ、そんなに似てるか?」

 

「似てる似てる!にしても最後にあった頃に比べて...可愛さはそのまま、それに加えて少し大人になったような感じがするな」

 

「ありがと...」

 

そう言われクリスは、頬を少し赤く染めながらポリポリと掻いた。

 

「とっつぁんも起きる頃だし......これでお別れだな」

 

「........」

 

「...あばよ、クリ———「待ってくれ!」く、クリス?」

 

頭を撫でて、クリスの元から去ろうとするルパンをギュッと抱きしめる。

 

「何かさ...ちょっとだけ寂しくなっちまった...ッ!アタシも...アタシも連れて行ってくれ!」

 

「クリス...」

 

「ノイズが出てきたらアタシが相手をする!泥棒の手伝いだってなんだってする!......いっしょにいたいんだ。役に立ちたいんだ!そのためなら仲間だってッ!........」

 

唇に指が添えられる。続きの言葉は紡がれることはなかった。ルパンは諭すように語り始める。

 

「バカなこと言うんじゃないよ。切り離して連れて行ったりしたら、君の仲間から大目玉喰らうし、それに天国にいるアイツらから天罰が降りそうでとてもじゃないができっこないよ」

 

「けど...」

 

「それになクリス、あのとき見たろ?俺がアイツを撃ったのを。人様のお宝盗むのと人様の命だって奪ってきたりしたんだ。そんなわるーい大人といっしょにいたいなんて言うんじゃないよ」

 

別れるのは辛いというのはお互い様だった。眩しい朝焼けが2人を包み込んだ。少しの沈黙の後、ルパンはある約束をする。

 

「クリス、約束して欲しいことがあるんだ」

 

「どんな?」

 

「一つ、自分を大事にする。二つ、仲間を友達を大切にする。そして三つ」

 

「........」

 

「...誰よりも幸せになる。これは約束というより俺からのお願いだ。というか前の二つもそうなんだけどな。それに、寂しくなったらいつでも電話して頂戴。スリーコール以内には必ず出るからさ!あとクリスが...そうだなぁ、北極にいようが南極にいようが、宇宙にいようが...おじさんの名前を呼んでくれたらすーぐ駆けつける。約束するよ」

 

そう言って優しく頬を撫でた。後ろから急かす声がする。

 

「ルパン!そろそろとっつぁんホントに起きちまうぞ!」

 

「わーってるって!そんじゃなクリス。ママよりずっと綺麗になるんだぞ?」

 

遠ざかる後ろ姿にクリスは呼び止めるように叫んでいた。

 

「...ッ!ルパン!」

 

「ッ!........」

 

仲間たちの元へと走っていた足がピタッと止まる。振り向いてしまったら最後、これまで盗みを働いてきた仲間たちを捨てるかもしれないという気持ちに襲われていた。グッとその気持ちを堪え、再び足を進める。車のエンジンが掛かった。

 

「クリス!達者でなー!さいならー!」

 

「さよなら...さよなら!」

 

「さいならー!さいならー!」

 

完全に姿形が見えなくなるまでクリスは手を振り続けていた。

 

後ろからけたたましいサイレンの音を流しながら一台のパトカーが停車する。

 

「またしても逃げられた!おのれーあんな手を使いやがって!」

 

「なぁオッサン」

 

「なんだ?」

 

「今回だけ...今回だけ見逃してあげてくれないか?コレとアイツの友達を取り返すために戦ってくれたんだ。だから...」

 

その言葉に一瞬キョトンとする銭形だったが、すぐ我に返って、

 

「な、何を言う!ならん!ヤツをとっ捕まえねばならんからな!」

 

「そうだよな...」

 

「それに」

 

「...それに?」

 

小っ恥ずかしいのかなかなか続きの言葉が出せないでいた銭形だったが、真剣な表情でしっかりとクリスの目を見る。

 

「ヤツはとんでもないものを盗んでいった!」

 

「........」

 

トントンと自分の胸を叩きクリスにだけ聞こえる声でこう言った。

 

「心だよ。君の心」

 

その言葉を聞いたクリスの頬がさらに赤くなった。

 

「ッ!うん...うん!」

 

頷くクリスを満足気に笑みを浮かべながら見ていた。すぐにいつもの険しい表情に戻して、

 

「...ワシはこれからヤツらを追う!弦十郎さんたちにもよろしく伝えといてくれ」

 

姿勢を正しクリスへ敬礼をした。

 

「君の...いや!君たちの幸せをワシらは心より願っている!まだまだ若いんだ。親御さんの分も人生楽しめよ!...ルパンを追え!地の果てまで追うんだ!」

 

パトカーを先頭に後ろから二台のトラックが後を追う。荷台から部下たちが手を振っていた。

 

「おたっしゃでー!」

「体に気をつけてなー!」

 

「あ、ありがと———「響ちゃんもお幸せにー!」!?...」

 

いないはずの名前を聞いてクリスはギョッとする。周りを見渡すと港には不似合いな草むらのハリボテが建てられている。

 

「ま、マズイよこっち近づいて来てる」

 

「言い出しっぺは響でしょ?こっそり後をつけようなんて」

 

「ど、どうするんデスか?」

 

「ゆっくり、ゆっくり動きましょう」

 

少しずつ、少しずつ確実にクリスから距離を置いていくハリボテ。

 

「おーまーえーらー!」

 

「あわわ!」

 

ハリボテから4人の少女が飛び出した。それを必死の形相で追うクリス。

 

「お前らいつからいた!?」

 

「あ、アタシも連れて行ってくれってところから!」

 

「〜〜〜ッ!最初からじゃねぇかー!」

 

どこかでやかんが沸騰する音が聞こえた。クリスは、顔を茹で蛸のように真っ赤にさせて追いかける。

 

「待てコラー!」

「あーばよークリスちゃーん!」

 

少し離れて観察していたマリアと翼。気になったことがあるのかマリアに質問をする。

 

「マリア、雪音のあんな顔見たことあるか?」

 

「貴方が知らないなら私だって知らないわよ」

 

「それと警部が言っていた盗まれたものとは...」

 

「そうねぇ...」

 

顎に手を当て考えるマリア。

 

「あのジェスチャーを見る限り...ズバリ!心ね」

 

「心...なるほど心か」

 

「ロマンチックよねぇ...」

 

走り去るトラックに向けて手を振る。それに一生懸命に振り返す銭形の部下たち。

 

「新しいアルバム買いましたー!」

「家族でライブ行きまーす!」

「クリスマスのライブ、有給取って行きまーす!」

 

「それにしても...」

 

「ああ...なんて気持ちのいい人たちだろう」

———————

—————

——

一本のタバコを取り出し火をつける。ルパンはボーッと外を眺めていながら思い出に耽っていた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この年のクリスマスもルパンが雪音一家にお邪魔していた。膝に座っていたクリスがある一言を放つ。

 

「大きくなったらおじちゃんのお嫁さんになるー!」

 

突然のその一言に若干の困り顔を見せる。

 

「そういことはねクリスちゃん?パパに言ってあげたら喜ぶとおじちゃん思うんだけどなぁ...」

 

「だってママにはパパがいるもん。とっちゃったら可哀想でしょ?」

 

当然のことじゃないかと言わんばかりの顔でそう言った。

 

「...ハハハ!いい娘持ったなぁ2人とも!」

 

小さな体を抱きしめて頭を撫でる。膝の上でクリスはコロコロと笑っていた。

        〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ルパン、引き返すんなら今のうちだぜ?」

 

「........」

 

「泥棒なんか辞めてあの子の親代わりにでも———「冗談キツイぜ。俺たちは泥棒。そんでもって人殺しまでやってる悪党だ。両手血まみれの親なんて嫌だろ?それに俺は生涯泥棒でやってくって決めてんの」そうかい...」

 

「そう言うお前はどうなのよ次元」

 

今度は次元が黙りとする。少し考えた後口を開いた。

 

「もともと俺は子どもは苦手だ。だが、アイツらといると変わった気がする。ガラにもねぇが少し憧れちまったな子どもを持つことに......」

 

ルパンはニヤニヤしながら次元の横顔を見て、

 

「俺に言ったことそっくりそのまま返すぜ。次元、引き返すんなら今のうちだぜ?」

 

「ハハハ!バカ言うなよ。アイツらみたいなのはな、側から見守っとくぐらいが丁度いいんだよ。どんな壁が2人に立ちはだかろうが、力を合わせて乗り越えることだってできる。俺はそう思うんだ...」

 

明るくそう話す次元だったがその声とは裏腹に帽子の隙間からは若干寂しそうな顔を覗かせていた。

 

「いい夢見せて貰ったぜ...」

 

灰皿からシケたタバコを口に咥える。そして横から差し出されたライターで火を着けた。

 

「そういえばルパン。お宝ゲットできた?」

 

「...そうそう!ちょっとこっち寄って。宝物庫で見つけたんだけどさ」

 

その言葉に手を叩き巾着から取り出した。その中に入っていた宝石を見て不二子の目の色が変わる。

 

「コレってアレキサンドライト!?それにパパラチアサファイアまで!すごい、すごいわ!貴重な宝石がいっぱい!ねぇ、もっと近くで見せて?」

 

「ヌフフ!見せる見せる!あら?いつの間に日傘なんか持って...」

 

クルクルと傘がプロペラのように回り始めた。少しずつ回る速度を上げてトランクから宙に浮いていく。

 

「「あーあ...」」

 

「あらー...ハッ!返せ!まだあげるなんて一言も——「バカね、何十年も同じ手に引っかかって」返しなさい!返しなさいったら返しなさい!」

 

ため息混じりで呆れた顔をした五ェ門が呟く。

 

「...何も成長しておらんな」

 

「いいじゃねぇか。これでいつも通りさ」

 

両手で不二子を捕まえようとするも宙を切った。ガクッとトランクに倒れ込んでしまう。

 

「コラー!人の物盗ったら泥棒だぞー!」

 

「泥棒の貴方に言われたくないわ。じゃあね!」

 

呼び止める声も虚しくそのまま不二子は飛び去って行った。

 

「キーッ!いーつもこんな目に遭うんだからもー!」

 

「それはお主が気を抜いているからであろう」

 

その言葉にムッとして、

 

「うーるせーうるせー!俺だってな注意はしてんだぞ!...こーなったらヤケクソだ!どっか美味いすき焼き屋に行くぞ!」

 

「む?すき焼き———「五ェ門、日本人なんだから肉ばかりじゃなくネギも食えよ?」...わかっておる。昔みたいなことはせん」

 

『コラー!前の車止まりなさーい!』

 

「お!何十年もお前の追っかけやってるファンがやって来たぜ」

 

「あら、ホント」

 

けたたましいサイレンの音と拡声器越しの怒鳴り声が聞こえてくる。窓から顔を出した銭形の顔は険しい顔...ではなく嬉しそうな顔をしていた。

 

「不気味だな」

 

「近くにいるのに手鎖が掛けられない状態が続いてたんだ。そりゃ、あんな顔にもなるだろ」

 

「お早いお目覚めでー!お薬入れたんだけどなぁ。昨日はぐっすり眠れたかしら!」

 

『クソー!やっぱり一服盛ってやがったな!公務執行妨害だ!貴様を逮捕する!』

 

「銭さんこーちら!手の鳴る方へ!次元、運転変われ!」

 

「あいよ!」

 

執念深く追いかける銭形と、煽りながら一目散に逃げる一味。再び追いつ追われつの関係が始まった。

 

「しまった!タイヤが...」

 

銭形が乗るパトカーのタイヤが次元が放った銃弾でパンクを起こしてしまう。しかし銭形は諦めない。トランクに納められていた折りたたみ式の自転車を取り出し、それで追いかけ始めたのだ。

 

「あらら、ボロっちぃチャリで追いかけて。危ないよー!それに過度な運動は体に毒よー!」

 

「うるせー!男銭形、舐めて貰っちゃあ、うわわ!」

 

全速力で漕ぎすぎたのか前輪が外れた。

 

「言わんこっちゃない。あーばよーとっつぁーん!」

 

「ぐぬぬ、諦めん!諦めんぞ!ワシは必ずお前を————「警部!我々のトラックに!」遅ーい!」

 

遅れてやって来たトラックに乗り込み再び追いかける。

 

「ルパーン!逮捕だー!」

 

追いかけて大橋へと差し掛かったその時である。大橋がバラバラに砕け銭形を乗せたトラックと後続のトラックが海へと落ちていった。

 

 

 戦姫絶唱シンフォギアVSルパン三世 〜奏でろ!泥棒交響曲〜

 

           THE END




これまで読み専だった私が書いてみて思ったこと。それは、「毎日投稿している人ってスゴイ」ということでした。毎日投稿してらっしゃる作家さんたちには脱帽ものですよ。

この小説を読んでくださった読者の皆様。本当にありがとうございました。こんな...ね、タイトルだけで人を集めたようなヘッタクソな小説を読んで貰ってもう大感激ですよ。だって初めて投稿した作品ですから。正直、もう少し腕が上がったらリメイクとしてまた書き直したいと思いましたね。

最後になりますが、一度でも読んでくださった、一度でも登録してくださった、感想を送ってくださった、登録してそのまま最後まで読み続けてくださった読者様方には感謝の言葉しかありません。本当に本当にありがとうございました。それではご機嫌よう、さよならー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。