戦姫絶唱シンフォギアVSルパン三世 〜奏でろ!泥棒交響曲〜 作:ケングレンオー
追記 Othuyegさん誤字報告ありがとうございます!
とある日のお昼時———蕎麦屋
そこに竹刀を入れる袋を持った侍風の男が入店した。石川五エ門である。
「(創業80年の老舗か。クチコミによれば天ぷら蕎麦が美味いらしい...頼んでみるか。)すまん、天ぷら蕎麦を一つ。」
「はーい!ちょいと持っててくださいねお兄さん!」
少しして天ぷら蕎麦が運ばれて来た。それを黙々と食べる五エ門。
「(美味い。)...」
『最後に今週のオリコンランキング1位は!』
五エ門はテレビに映るランキング表を見ながら食べている。
「(演歌はランキング外か...今週出たのはどれも良い歌だと思ったが)...ッ!」
テレビに映る人物を見て五エ門は目を見開いた。箸で挟んでいた天ぷらがポチャンっと器に落ちる。
「(う、美しい).....」
『やっぱり翼さんはすごいですね!今週も不動の1位!あと、来月には武道館でライブと今でも人気のツヴァイウィングの新アルバムが発売されるとのことです。しかもそのアルバムには未公開の作品も収録されていると情報がありますのでファン必見です!」
五エ門の目に入ったのは風鳴翼。番組が次のコーナに変わってもじっとテレビを見て固まっていた。頬が若干赤くなっている。我に返った五エ門は急いで蕎麦を食べた。
「か、勘定を頼む。」
「はーい!天ぷら蕎麦1つで678円ですね!ありがとうございました!」
五エ門は蕎麦屋を後にした。
「あら!お兄さん忘れ物してる!ちょいとお兄さん、忘れ物ー!」
それを聞いてすぐに蕎麦屋に走って戻ってきた。
第三話 歌姫の声に聴き惚れた侍
ルパンのアジト
「うーん、形は出来たがどうやってこいつを組み込むかなぁ...またどっかで盗んでくるかなぁ...それに不二子ちゃんから連絡もこねぇし。にしてもあの時出てきたヘリは一体...」
弾丸と聖遺物を持ってブツブツと呟いているルパン。そこに五ェ門がやって来た。
「ルパン少し頼みたいことがあるんだが...」
「どしたの五ェ門?若干頬が赤くなって...風邪移しちまったかな?」
「そうではない。その、頼みたいことというのはだな...」
少しして意を決したのかルパンにこう言った。
「拙者、"らいぶ"とやらに行ってみたいでござる。」
「ら、ライブ?それで誰のライブに行きてぇんだ?」
「か、風鳴翼ちゃん...」
その名前を聞いたルパンは驚いた後笑い始めた。
「ンハハハハハ!演歌一筋のお前が、お前が風鳴翼ちゃんのライブに行きたいのか?」
「な、何も笑うことはなかろう!演歌以外を聴いて何が悪い!たまにはこういうのも良いなと思っただけだ!ええい、お前に頼もうとした俺が馬鹿だった忘れてくれ。」
「待てよ五ェ門、さっきは悪かった。んで、どこでやるんだそのライブは?」
「武道館...」
ルパンは携帯を使いチケットの予約を取ろうとするが、
「ありゃ、アクセス数が多くて入れねぇな。入れたとしても売り切れだろうし可哀想だが今回は諦めろ五ェ門。」
そう言われて落胆する五ェ門。それを見ていた次元は五ェ門にこう言った。
「五ェ門、そう落ち込むなよ。実際に行く事はできねぇが、行ってる気分になれる場所があるぜ。」
「!次元それはどういうことだ?」
「えーっと、風鳴翼武道館ライブにお越し出来ないファンの皆さんへ、武道館からお近くの映画館と中継で上映ライブを開催いたします。皆さんお早めに...だとよ五ェ門。」
それを聞いた五ェ門の顔が明るくなる。
「それは真か!して、どうやって予約を...」
「もう、予約は取った。今からコンビニ行って前売り券取ってくる。」
「かたじけない!」
「よかったじゃねぇか五ェ門!いつやるんだそのライブは?」
ニコニコしながら五ェ門は答えた。
「来月だ!あぁ楽しみだなぁ...そうだ!拙者これからTSUTAY○に行ってCDを借りて来る。では、ごめん!」
そう言って五ェ門はアジトを飛び出した。
「あいつ、突然どうしちまったんだろうなぁ...」
「大方、一目惚れだろ?さて、俺もコンビニまでちょっと行って来るわ。」
次元も後を追うようにアジトを出て行った。
上映ライブ当日の朝———ルパンのアジト
「念のための斬鉄剣よし!ペンライトよし!うちわよし!心の準備よし!では行って来る!」
らんらん気分で出て行く五ェ門を2人は眺めていた。
「やけに気合入ってんなぁ五ェ門のやつ。」
「あぁ、なんたって風鳴翼ちゃんのライブ当日だからな舞い上がってるんだろ。だが...」
「どうしたルパン?」
「なんだか知らねぇがイヤな予感がする...」
上映ライブ当日の昼———映画館
そこはもうすし詰め状態だった。
「すまんが、下に置いてある荷物が少し邪魔になると思われる。」
「ああ、気にしなくても大丈夫ですよ。その、何回かライブに行ったことあるんですか?」
隣に座っていた青年に尋ねられる。
「いや、恥ずかしながら拙者今回が初めてでつい最近ファンになったでござるよ。」
「僕も同じです!前までは普通に聴き流してたんですけど、しっかり聴いてみたらがっちり心を掴まれちゃって...」
その後、上映が始まるまで2人は語り合った。ライブが始まると館内は歓声に包まれ2人も大はしゃぎだった。途中にマリア・カデンツァヴナ・イヴがゲストとして登場すると館内はさらに歓声の渦に包み込まれた。だが...
「む、なんだ?」
上映が中止されアナウンスが流れ出す。
『上映の途中ですが、映画館付近にてノイズが出現しました。落ち着いて館内非常口から避難してください。繰り返します........』
アナウンスを聞いた観客たちはゾロゾロと非常口から逃げていく途中、そこから悲鳴が聞こえた。
「ノイズだ!こっちからもノイズがぁ!」
非常口の近くにいた観客たちは瞬く間に炭になった。残った観客たちは入場口へと走る。逃げる途中、
「うわぁ!」
青年が転けた。後ろに見えるのはゾロゾロとこちらに近づいて来るアルカ・ノイズ。助けようにも人が多く揉みくちゃにされる五ェ門。いるはずの所を見てもそこにあるのは炭だけだった。その時、五ェ門は友を失った。
「ッ!すまん...」
生きるため走る五ェ門。逃げる途中、五ェ門の耳に女の子の泣き声が聞こえた。
「(子供...どこだ!どこにいる!)...そこか!」
女の子に駆け寄る五ェ門。どうやら親と逃げる途中逸れてしまったらしい。五ェ門は女の子を背負い再び走り出した。その途中、アルカ・ノイズに向かって自衛隊が発砲していた。
「(そうか、あのノイズは銃火器が効く。ということは)........」
シェルターにはその子の親がいた。送り届けた五ェ門はアルカ・ノイズがいる場所へと走り出す。そして、竹刀を入れる袋の紐を解き斬鉄剣を取り出した。五ェ門はあの時語り合った青年の顔を思い出す。
「(見ていろ...拙者が仇を打ってやる!)」
途中すれ違う自衛隊員に引き返せと注意されるが聞いていない。
「石川五ェ門推参!ノイズども斬鉄剣を受けてみよ!テェヤァ!」
斬鉄剣を使いバッタバッタと斬り伏せて行く五ェ門。自衛隊員はその動きに呆然とした。
「な、なんだあの侍は!?」
「動きが全く見えない...」
その後シンフォギア奏者たちが到着した頃にはアルカ・ノイズは殲滅された後だった。
上映ライブ当日の夜———ルパンのアジト
「あいつメシ食わねぇのかなぁ...」
「色々聞いたが目の前で仲良くなったやつが炭にされちまったんだ。無理もねぇよ...」
不二子ちゃんからぜーんぜん連絡来ないから俺たちはまた予告状を出して盗みを働く。で、盗みに入った場所になんと風鳴翼ちゃんがいたんだな。どうやら翼ちゃん、五ェ門と手合わせをする事も兼ねて自分も警備させてくれと銭形のとっつぁんにお願いしたらしい。さて、翼ちゃんのファンである五ェ門は戦えるのか。次回『現代を生きる侍と防人』また会おうぜ!