戦姫絶唱シンフォギアVSルパン三世 〜奏でろ!泥棒交響曲〜 作:ケングレンオー
朝———マンション(クリスの号室)
クリスはボーッとしながらテレビを見ていた。
『ルパン三世が○○港で目撃されたと情報が出てから2日経ちましたが近隣住民の皆様は戸締りをしっかりしてお過ごし下さい。』
「ルパン...ルパン三世か。うーん、ちっちゃい頃会った気がするんだけどなぁ...」
そこでクリスの携帯に通知が入る。
「うたずきんの見逃し配信...あ!今日原画の当選発表の日だ!」
エレベーターを待つ暇も惜しいのか階段を降って行き郵便受けまで走るクリス。そこに入っていたのは一枚のハガキと手紙だった。それを自分の号室まで持ち帰る。
「(ゴクリ)...雪音クリス様、此度の怪傑うたずきん第一巻の原画が当選致しましたのでこのハガキを送ります。やった...やった!ハハハ!やったぞー!当たったー!」
舞い上がるクリス。その後ふと我に返ったのか静かになった。
「あ、近所迷惑になっちまったかな...?それにアタシ宛の手紙...」
いっしょに入っていた手紙の中身を見る。
「...!いちおうあのオッサンとこに見せに行くか。いるかどうかわからないけど...」
クリスは朝食を終えた後すぐ本部へと向かった。
第六話 パパとママとルパンと
朝———SONG本部司令室
「まさかあの2人が同じように試合をしたいと言い出すとは...」
「ええ、やはり剣の達人同士いい試合だった。負けた後でもニコニコしてましたからね翼は。」
時は昨日に遡る。
昼———どこかの体育館
「これより!風鳴翼と石川五ェ門の試合を始める!時間の都合上一本勝負だ。それでいいな2人とも?」
「はい...」
「...」
ルパンたちが侵入した後に翼は銭形に五ェ門と試合をさせてくれと頼んでいた。一度はそれを断ったが何度も頼まれるので銭形は折れた。その後五ェ門に確認を取りに行くとそちらも承諾した。よってこの試合が実現したのである。翼は上段の構え、五ェ門は腰を下ろし逆手抜刀の構えをした。
「どっちが勝つかな?(小声)」
「さぁな、剣に関してアタシは素人だがあの五ェ門って奴只者じゃねぇ...(小声)」
「逆手持ちデスよ調!木曜市みたいデス!(小声)」
「切ちゃん、それ木曜市じゃなくて座○市だと思うんだけど...(小声)」
「はじまるわよ。(小声)」
「...始め!」
試合開始の合図が出されたのにも関わらず両者はピクリとも動かずお互いの出方を見ている。
「...」
「...ッ!」
先に動いたのは翼だった。打ち付けられる瞬間、五ェ門は勢いよくそれを振り抜ぬく。館内に木刀と木刀がぶつかる音が響いた。そこからは壮絶な木刀の打ち合いで一進一退の攻防を繰り広げる2人。回数は軽く100回を超えていた。
「ハァ...ハァ...」
「........」
だんだんと息が上がってきた翼。五ェ門は涼しい顔をしている。そして、
「...ハァ!」
「テェヤァ!」
翼の持っていた木刀が天井へと打ち上げられ五ェ門が持っていた木刀が翼の首筋にあてがわれる。木刀は天井に突き刺さっていた。
「参りました...」
「...し、勝負アリ!」
試合は五ェ門の勝利に終わった。銭形に連れられパトカーに乗る前に五ェ門は翼に呼び止められる。
「五ェ門さん。」
「...何用か?」
「試合を受けてくださってありがとうございました。やはり上には上がいると痛感しました。それに...楽しかった。」
翼は笑っていた。
「........」
「おい、いつまでボサッとしている!行くぞ!」
「拙者もそなたに会えて、もう一度戦うことができてよかった。」
「...はい!」
五ェ門は銭形といっしょに刑務所へと連れて行かれた。
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談笑している2人の元にクリスが来た。
「クリスどうかしたのか?」
「どうしたもこうしたも...銭形のオッサンこれ見てくれ。」
クリスから銭形に手紙が渡される。
「えーっとなになに...今夜、7時頃に○○公園で会いたい。君のパパとママのことで大事な話がある。ついでに思い出でも語ろうぜ。ルパン三世!?」
「なに、ルパン!」
「なぁ、オッサンこの手紙ってやっぱり...」
「ああ、これはたしかにルパンが書いた君宛の手紙だ。ワシも同行しよう。」
「警部、私も同行してよろしいでしょうか。ルパンがなにを企んでいるか聞きたい。」
「わかりました。何か怪しい動きを見せたら奴を取り押さえましょう!」
その日の夜7時頃———○○公園
クリスはベンチに座ってルパンを待っていた。
「こんばんは。お隣座ってもいいかな?」
「!?ルパン...」
音もなく現れたルパンにクリスは驚く。
「そんな驚かなくたっていいでしょ?」
「突然現れたらビックリするに決まってんだろ!」
「口も悪くなっちゃって...ちっちゃい頃は「るぱんおじちゃ〜ん」なんていって抱きついてきたのに時の流れは残酷だ...」
「やっぱり昔に会ったことあるんだ...」
「覚えてないの?そうだなぁじゃあ...」
ゴソゴソとリュックから少しだけ汚れた白いクマのぬいぐるみを取り出した。
「久しぶり!クリスちゃん!覚えてる?私クマのシロちゃん!」
14年前のクリスマス———雪音家
ルパンはインターホンを鳴らした。
「よぉ雅律。メリークリスマス!今年も寒いなぁ。」
「ルパン!ありがとう今年も来てくれたんだね。さぁ、入って入って。ソネットもクリスも喜ぶよ!」
「あら!ルパンさん今年もいらしてくれたのね!」
「あ!るぱんおじちゃんだ〜!」
「やぁ!ソネット、クリス。メリークリスマス!さてクリスちゃんは良い子にしてたかな〜?良い子にはね俺様からプレゼントをあげよう!ルパンサンタからのプレゼントさ。こっちおいで。」
ルパンは持って来たプレゼントをクリスに手渡す。その中身を見てクリスは喜んだ。
「かわいい〜!ぱぱ、まま!くりすね〜おじちゃんからくまさんもらった!」
「よかったわねクリス!おじちゃんにお礼を言わなきゃね。」
「ありがとう!」
「ルパン、その白いクマって限定品じゃなかったのかい?まさか...」
「違う違う、ちゃんと予約してた物だから盗んだんじゃねぇよ。それに盗んだ物を子供に渡せるかって。」
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「パパ...ママ...グスッ...」
「思い出した?って泣くなよ〜クリス。まぁ俺と家族との思い出の品だもんな仕方ねぇかぁ...」
しばらくしてクリスが泣き止むとルパンは
「なぁ、クリス。突然だけどさパパとママの馴れ初め聞きたい?」
「...家帰っても今日おもしろいのやってねぇし...まぁ、聞いてやるよ。」
「じゃあクリスこれから俺が話すことはホントの話だからな。よく聞けよ?...昔、お前のパパは泥棒で俺と組んでたことがあるんだ。」
「パ、パパが泥棒!?」
「うん。あれはアイツと泥棒やってて俺が相棒と認めた頃だった。アイツはお前のママ、ソネットの家が大切にしていたある宝石を狙ったんだ...」
21年前———とある国の路地裏
ルパンをある1人の男が後を付けていた。ルパンは足を止める。
「ちょっといいか?なぜ俺の後を付ける。」
「........」
「何か言ってもらわなくちゃ困るなぁ...」
胸にしまっていたワルサーに手を掛けるルパン。
「神出鬼没の大泥棒ルパン三世さんですね?」
「...ああ、俺の名はルパン三世。かの名高き怪盗アルセーヌルパンの孫だ。それがどうした?」
「僕は雪音雅律と言います。」
「雪音雅律ねぇ...またの名を雪小僧だろ。雪の降る季節に出てくる泥棒だったな?去年の冬は牛若丸の横笛を盗んだんだろ?」
その言葉に雅律は頷く。
「それで?その雪小僧が俺様に何のようだ?」
「貴方に協力してもらいたいことがある。」
「どうせ盗みだろ?ちょっと待った、何を盗むかはさっぱりわからないが俺たちは今さっき会ったばかり。色々やって相性確認してからにしていいか?」
「...そうですね。その方がいいかもしれない。」
そこから2人は手を組んで様々な宝を盗み出していった。
「ハハハ!上手く行ったなぁおい!」
「ええ!まさかこんなに上手く行くとは思いませんでしたよ!ルパンさん!」
ルパンはその言葉に苦笑いを浮かべる。
「おいおい、いつまでもかしこまった呼び方すんなよ雅律。」
キョトンとした顔でルパンを見つめる雅律。
「何度も俺たちは盗みを働いて来たんだ。それに何度かアンタに助けてもらう場面もあった。だから雅律、お前は俺の相棒だよ。だから【さん】付けなんてかしこまった呼び方すんな。」
そう言われた途端嬉しそうな顔をする雅律。そして出会った時に協力して欲しかった理由をルパンは聞いた。
「実はこの国にある"スノーアメジスト"という宝石を狙ってるんです。」
「スノーアメジスト?」
それを持っているのがソネットの実家だった。ソネットの家系は有名な音楽家の家系でその実家が運良くお手伝いを募集していたことに気づきルパンと雅律は潜入した。雅律はもともとヴァイオリンをやっていて声楽家の養成学校に通っていたソネットとは意気投合。
「ルパン...僕は世界中にある宝石や財宝よりもっと美しい人を見つけたよ...」
「お前さてはソネットちゃんに惚れたな?」
「あはは...バレた?」
雅律は宝石どころではなかった。日に日に仲良くなっていく2人。しかしソネットの父親はそれをよく思わなかった。自分の娘がよくわからないお手伝いの男と仲良くなっているのが心配になったのか気に食わなかったのか、ついに雅律はソネットの父親に
「君はただのお手伝いだ。できる限り仕事以外でいっしょにいないで欲しい。」
と言われてしまう。落ち込む雅律。それを見兼ねたルパンは一肌脱いだ。
「...両親公認でソネットちゃんと仲良くなって最終的にいっしょになりたい?」
「...あわよくば。」
「うーん...雅律、耳貸しな俺にいい考えがあるんだ。」
ある日ルパンから予告状が届いた。その内容はスノーアメジストの強奪、娘のソネットを誘拐するという内容だった。警察は宝石、お手伝いたちはソネットの護衛をした。ルパンは誘拐しようとソネットの部屋へと向かい雅律以外は全員倒されてしまう。ソネットに襲い掛かろうとした瞬間、雅律はルパンを殴りつける。そのままルパンは逃走。その日から雅律といっしょに働いていた男の姿は見なくなった。
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「大事な娘を守ったアイツは父親に見直された。そしてその3年後上手いことアイツらは結婚。ま、つまり俺はあの2人の恋のキューピット役を買って出たのさ。もちろんアイツは泥棒稼業を交際を認められた時に辞めて、そこからヴァイオリンでどんどん有名になって結婚したらおしどり音楽家夫婦として話題になっていった。」
「その、出逢った時ってパパとママって何歳だったんだ?」
「えっと、雅律は20でソネットは18だったかなぁ...あ、そうそう結婚して子供が出来たって聞いて会いに行ったんだ。」
17年前のクリスマス———雪音家
クリスが生まれてあと3日で1年が経とうとしていた。クリスマスパーティの準備中インターホンが鳴る。
「アナタのお友達が来たのかしら?」
「じゃあ、出迎えに行ってくるね。」
扉を開けるとそこにはルパンがいた。
「よぉ雅律。シャンパンに七面鳥、新しいベビー服も持って来たぜ。」
「待ってたよルパン、来てくれて嬉しいよ。さぁ、上がって上がって。」
「わかってるわかってる、何も押すこたぁねぇだろ?」
「ふふふ、ルパン実はね妻には友達が来る事を伝えてるけどその友達がルパンだって知らないんだ。しかもソネットは君のファンなんだよ。昔、君が起こした事件が載ってる記事を切り取ってファイルに入れてるくらいだったんだ。」
「ごめんなさい。ちょっと準備で出迎えに行けなく...て。」
「は、はははは...どうもー4年ぶりですね...」
「うそ!?ルパン三世!?ほ、本物!?ゆ、夢でも見てる気...分。」
ルパンを見たソネットは驚きのあまり気絶して後ろから倒れそうになるところを2人は急いで支えた。そこから毎年クリスマスにはルパンが雪音一家といっしょにパーティをすることになった。
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「いやー、いろんな思い出があるなぁ。そんなことがいつまでも続くと思ってたんだが...」
10年前———ルパンのアジト
2人はNGOの活動で南米バルベルデ共和国へと向かうことが決まっていた。それを電話で止めるよう話していた。
「あの国に向かうのは止めとけ。根拠は無いがなんだか嫌な予感がするんだ...」
『大丈夫だよ。また帰って来ていっしょにパーティをしよう。』
そして3人は紛争に巻き込まれて...
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「........」
「クリス、お前には悲しい思いと寂しい思い怖い思いをたくさんさせてしまった。許してくれとは言わない。恨んでくれても構わない...俺があの時どんな手を使ってでも止めていたらよかったんだ。」
ルパンはずっとその事で後悔をしていた。
「...もう過ぎた話じゃねぇか。」
そこからしばらく沈黙が続いた。
「実は今度俺が盗み出そうとしてる物はな。1つはインドのとある寺院に隠された財宝。そして2つ目がインドにいる資産家アティクシュってやつが何故か持っている宝石スノーアメジスト。模造品は作れないと言われている世界に1つだけの宝石。本命はスノーアメジストで財宝はオマケさ。クリス、俺たちといっしょに取り返しに行こうぜ?そうすれば2人は喜ぶと思う。さぁ...」
ルパンはクリスに手を差し伸ばす。クリスはその手を取ろうとするが、
「どんな理由であれ彼女にそんな道を進ませる訳にはいかないな。」
「やっぱりいたか。これで会うのは3回目だな風鳴弦十郎。」
遊具の物陰に隠れていた弦十郎といっしょに涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔の銭形も出てきた。
「うぅ...グスッ...まさか彼女にこ、こんな辛い過去があったとは...ズビッ...だが、弦十郎さんの言う通りどんな理由であれ犯罪は犯罪だ。ルパン、盗みをする事を唆そうとした罪で召し捕る。神妙にお縄につけ...」
「あ〜あ、とっつぁんたらそんなに泣いちゃって。でも俺にはやるべき事があるしまだ捕まる訳にはいかないのよね。」
クリスに向き直りクマのぬいぐるみと一枚のメモを渡す。
「これ返すよ10年前からの落とし物だ。今度は無くすなよ?後、寂しくなったらねこの番号に電話して。」
逃げ出すルパン。いつもなら手錠を投げている銭形だが、
「ク、クソぉ!涙で視界がボヤけて...」
そんなこんなでいつも通りに取り逃してしまった。去って行くルパンの後ろ姿が見えなくなってもクリスはずっと見つめていた。
「俺のことをしつこく追いかけ回すとっつぁんになんとICPO直々にクビと言われてしまった。捕まえたと思いきや逃げられるわ無茶苦茶したり色々と悪目立ちしすぎたしなぁ...追いかけっこもこれで終わりかぁなんて考えていたらクリスちゃんから電話が。次回!『最後の追いかけっこ?』また会おうぜ!」