今後、第一話の部分をTURN1とかに変えるなどそれっぽい事をするかもしれません
引っ越す理由は父親の海外赴任というありきたりなモノだ。
物心つく前に母を交通事故で亡くし、父と二人の生活を送っていた。幸いな事に父は某有名企業のカードデザイナーでそこそこ地位にいたためお金に困ることはなく、また一人息子の和哉を想い親としてきっちり自分をここまで育ててくれた。会社で忙しいはずなのに授業参観に来てくれたし、少ない休日は息子のために使っていくれたのだ。
今回の急な転勤の時も父は凄く申し訳なさそうな顔だった。久しぶりに夕飯を一緒に食べ、テレビを見ながら談笑していると、突然ばつの悪そうな顔になりアメリカに転勤することを伝えた。なんでもアメリカの有名な学者達と共同で新たなカードの開発を頼まれた。これが成功すれば【デュエルモンスターズ】がさらなる飛躍をすることになるらしい
和哉としては父が自分の大好きなカードの歴史に名を残すかもしれない事が嬉しかったが、父は日本に残すにせよ海外に連れて行くにせよ、大きな負担をかけてしまう事に引け目を感じているようだった。
そんな時、父の祖父母が海外勤務の間、和哉を預かると申し出てくれたらしい。さらに元プロデュエリスト、現在冒険家の父の弟も戻ってくることになったらしく、一人自分を残すよりも安心と父は感謝した。
―――そして、和哉も一つの決心をした。
現在日本でも最もデュエルの盛んな都市ハートランド。ARデュエル発祥の地でもあり、噂では近々世界規模のデュエル大会が開かれるとのことだ。
当初は祖父母と叔父がこちらに来てくれるはずだったのだが、自分の我儘で先方の家に居候させてもらう事となった。
自分勝手なのは分かっているが、それでも和哉はデュエリストの聖地ハードランドシティに住みたかったのだ。
さらなる自分の実力向上のため、そしてずっと昔から胸に抱いている『夢』のためにも……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「和哉の事は任せるよ、空次(そらつぐ)」
「おう、兄さんはしっかりと仕事してきてくれ。和哉の世話は俺と母さんに任せてさ」
玄関先ではっはっはっと朗らかに笑いながら父の星埼大地(ほしさきだいち)と話すのは叔父の星埼空次(ほしさきそらつぐ)だ。父とは10歳差の25歳であるが、男手一つで息子を育てた父が年齢よりも白髪交じりなど故老けて見えるのに対し、長い黒髪を一束にまとめた長身イケメンの叔父は年齢よりも2.3歳程若く見えなくもない。本人曰く、大学生の頃はモテモテで困ったらしい。
「それじゃあお祖母ちゃん、お祖父ちゃんに迷惑かけないようにするんだぞ。叔父さんは少しだらしないところはあるけど、それなりに信頼出来る奴だからいう事はきっちり聞くように」
「昨日の晩から言われててもう飽きちゃったよ。大丈夫だって」
おいおい、と叔父が横で苦笑する。
父は少し心配症過ぎる面があるのだが、それも仕方ないだろう。何せ一人息子を残して海外に行くのだから。
「よし、じゃあ行くか和哉」
バン、と少し痛いぐらいの勢いで背中を叩かれる。
むっとして睨もうとするが。既に叔父は指でくるくると鍵をもてあそびながら家の裏手のガレージに止めてある車へと向かっていた。
「空次は力が強いからな。良い機会だから鍛えてもらえ」
「そっくりそのまま父さんに返すよ。ひょろひょろのくせにっ」
無精ひげを軽くなぞりながら父が茶化すが、その顔は寂しげな色を隠せないでいた。
「……仕事を終わらせたら直ぐに帰るからな。ちょっとだけお別れだ」
「うん、分かってるよ」
玄関のドアノブに手をかけ、顔だけ振り向きながらそう答える。
「父さんが帰ってくる前に、僕はデュエルチャンピオンになってみせるからね」
「ふふっ、楽しみにしているぞ」
「任せといてっ!」
右腕を振り上げ宣言する。
そう、そのために我儘を聞いてもらったのだ。必ずデュエルの大舞台に出なくては―――
と、覚悟改めた瞬間、表から聞き慣れた、しかし明日からは聞くことが出来ないと思うと寂しさを覚える声が聞こえる。
「おーい……おーい、和哉ぁー!」
それは幼馴染にしてデュエルのライバルである坂間翔加だ。
先日、お別れデュエルとしてクラスの連中全員と戦ったのだが、唯一彼にだけ勝利することが出来なかった。
「坂間君……」
「ぜぇ、ぜぇ、間に合ってよかったぜ。朝寝坊しちゃってよ、あやうく遅れるところだった。あ、大地さんおはようございます!」
「坂間君は相変わらずだなぁ。おはよう」
彼とは幼稚園年長からの付き合いである。あまりコミュニケーション能力に自信のなかった自分を持ち前の強引さで色々と連れ回してくれ、いつの間にか友達もできるようになったのだ。
デュエルを始めたのも彼のおかげと云える。元プロデュエリストである叔父が遊びに来ている時、当時デュエルを始めたばかりの彼が夕飯時に「教えてくれ!」と突撃訪問してきて、まだ【デュエルモンスターズ】を知らなかった和哉はそれを片隅で眺め興味を持ったのだ。
多分、遅かれ早かれこの世界にどっぷりとつかる事になっただろうが、それでも自分をデュエルの道へと誘ってくれた坂間には感謝しきれない。
「今から出るのか?」
「……うん、これから出発するんだ」
「そっか。俺も大会とかあったら行くからさ、またデュエルしようぜ」
彼もまたデュエルチャンピオンを目指している。
この世界にハマった以上、当然の事だろう。
「おーい、和哉ー、早くしろ、と。友達かい?」
中々やってこない和哉を迎えに叔父がやってきた途端、坂間は背筋をピンッと張って90度に腰を折り曲げて頭を下げる。
「あ、空次さん、おはようッス!」
「翔加くんじゃないか。和哉の見送りかい?」
「はいッス。親友の見送りに来ましたッ」
「なるほど。じゃあ急かしちゃったね。すまないすまない」
「いえ、自分こそ長々と引き留めてしまって申し訳ないッス!」
翔加は叔父を一人の決闘者として尊敬している。デュエルの基礎を教えてもらった恩もあるが、それ以上に叔父がアジアチャンピオンを決める全国大会に出場し第三位の栄光をつかんだ事を知っているからだろう。何故かその後、叔父はプロデュエリストを引退したのだが、一度もその理由は教えてくれなかった。翔加も何があったのか知りたがらなかったが、それでも(大分誇張気味だが)偉大なる決闘者である叔父には彼なりの考えがあるとして余計な詮索はしない。
ともかくそんな叔父を尊敬している翔加は常日頃のやんちゃ坊主っぷりから一転、叔父の前では元気が少し有り余っている礼儀正しい少年決闘者となるのだ。
「気にしないでくれ。一年ぶりかな。元気にしてたかい……と、その姿を見れば一目瞭然だな」
「はいッス。健康は決闘者にとって絶対です!」
「良い心構えだ。…………しばらく和哉と会えなくなるが、こっちに遊びに来たくなったら気軽にメールしてくれ。すぐに迎えに行くからな」
「はいッス。ありがとうございます!」
はいッスは必須なのだろうか、と和哉が親友の普段と違う姿に苦笑していると、叔父がこちらを向き
「そういえば二人は昨日とか一昨日とか、お別れデュエルはしたのかい?」
「あー、うん、やったよ。僕の負けだった」
「はいッス。俺のパーフェクト勝利でした!」
「いやいやいやいや、結構な接戦だったでしょ!? 何叔父さんの前だからってええカッコしてるんだよ!」
「勝者の権利だ」
「不条理すぎる!」
ぎゃーぎゃーと言い争いをしている二人を見て、叔父は少し考え込むように顎に手をやると、それを離して「良い事思いついた」とつぶやきながら指をぱちんと鳴らす。
それまで笑顔で傍観していた父は嫌な予感がしたのか、恐る恐る叔父へと質問する。
「あー、空次、もしかしてと思うが……」
「おう、俺も久しぶりに二人のデュエルが見たいからな。どうだ、本当のお別れデュエルをこれからやらないか?」
父はため息をつき、叔父は楽しそうに笑っている。
そして二人は一瞬顔を見合わせると息を合わせて、
「「オッケー!!」」
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「二人とも頑張れよー!」
「任せて下さい、フルボッコにしてやりますよ!」
「それはこっちのセリフだよ……」
全員デュエルをするために家の裏にある空き地までやって来た。
ここなら車とかを気にせずともデュエルが出来る。
「んじゃ、やろうか」
「かかってきやがれ! 昨日の二の舞にさせてやるぜ!」
腰のポーチに入れていた決闘者必須アイテムを二人は取り出し、構える。
「「Dパッド、Dゲイザー。セット! デュエル!!」」
DUEL START
星埼和哉 LIFE4000 手札5
坂間翔加 LIFE4000 手札5
「俺が先行を貰う。ドロー!」
坂間 手札6
「俺は手札から永続魔法《ゼンマイマニュファクチャ》を発動!」
Dパッドにカードがセットされた瞬間、坂間の目の前に1mほどの大きさのカードが出現する。これは実際にその場に現れているわけではなく、Dゲイザーと呼ばれる機械を通して見えるAR(拡張現実)だ。Dゲイザーを装着していない者にはまったく見えることはないが、着けている者はリアリティ溢れる圧倒的な【デュエルモンスターズ】の姿を見ることが出来る。
当然、観客である父と叔父もDゲイザーを装着している。何故だか叔父は幾つもDゲイザーを常に持っているらしい。
「うし、《ゼンマイソルジャー》を攻撃表示で召喚! そして効果発動、このモンスターのレベルを1上げ、攻撃力を400ポイントアップする! ただし、この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、一度しか使えず、効果はエンドフェイズに上昇した攻撃力、レベルはダウンする」
《ゼンマイソルジャー》Lv4→5 ATK1800→2200
「さらに永続魔法《ゼンマイマニュファクチャ》の効果発動! 1ターンに一度、【ゼンマイ】モンスターが効果を発動した時、レベル4以下の【ゼンマイ】と名のついたモンスターを手札に加えることが出来る。俺はこの効果で《ゼンマイシャークを手札に加える。
先行は相手プレイヤーに攻撃することは出来ない。カードを二枚伏せてターンエンド」
《ゼンマイソルジャー》Lv5→4 ATK2200→1800
星埼和哉 手札5 モンスター 0 魔法・罠 0
坂間翔加 手札3 モンスター 1 魔法・罠 3
「(手札に《ゼンマイシャーク》……あのモンスターは【ゼンマイ】召喚、特殊召喚に反応して自信を特殊召喚で来て、しかもレベルを操る効果を持つ……確実に次のターン、『エクシーズ召喚』をする……ならっ)僕のターン、ドロー!」
星埼 手札6
「相手フィールド上にモンスターが存在し、僕のフィールドにモンスターが存在しない時、手札から《セイクリッド・シェアト》を特殊召喚することが出来る!」
《セイクリッド・シェアト》Lv1 DFE1600
「そして《セイクリッド・ポルクス》を守備表示で召喚。このモンスターは通常召喚権を一度増やす効果を持っているけど、僕はこの効果は使用せず手札から永続魔法《セイクリッドの星痕》を発動する!」
《セイクリッド・ポルクス》Lv4 ATK1700
二体のモンスターの召喚と永続魔法が発動するのを見て、叔父が楽しそうに口笛を吹いた。
「流石和哉だな。1ターン目でいきなり『エクシーズ召喚』か」
「分かるのか、空次」
「ああ、シェアトはレベルをフィールド上のモンスターと同じにする効果、そして《セイクリッドの星痕》は【セイクリッド】エクシーズモンスターを特殊召喚した時にカードを一枚ドローできる効果……どっちも『エクシーズ召喚』のための準備だな」
元プロの叔父としては見え透いた戦術ではあるが、【セイクリッド】の基本戦術はモンスター効果による連続召喚で強力なエクシーズモンスターを速攻召喚する事だ。
そして、この状況下で召喚するカードは――――、
「僕は《セイクリッド・シェアト》の効果でレベルをポルクスと同じ4に変更する!」
《セイクリッド・シェアト》Lv1→4
「二体のセイクリッドでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!
降臨せよ!星の加護にて仲間を守る高貴なる神星騎兵!《セイクリッド・オメガ》!!」
《セイクリッド・オメガ》Rank4 ATK2400
二体のモンスターが変化した光球が空中にて一つのゲートを開き、半人半馬の光り輝く紋章の盾を持つ聖騎士が現れる。
「僕はエクシーズモンスターを召喚したことで、《セイクリッドの星痕》の効果でカードを一枚ドローする!」
星埼 手札4
『エクシーズ召喚』はフィールド上に存在するレベルが同じモンスターをオーバーレイユニットとすることで、エクストラデッキからエクシーズモンスターを召喚する召喚方法である。
【セイクリッド】切り札の四騎士は全てエクシーズモンスター、その一角《セイクリッド・オメガ》高い攻撃力と強力なモンスター効果を併せ持つ。
「僕は《セイクリッド・オメガ》オーバーレイユニットを一つを取り除き効果発動! 自分フィールド上の【セイクリッド】と名のついたモンスターはこのターン、魔法・罠の効果を受けない。『セイントプロテクション』!!」
巨大な紋章がオメガを包み込み、消える。オメガの体はその紋章を身に受けてか、淡く白く輝いていた。
「よし、僕は《セイクリッド・オメガ》でソルジャーを攻撃!!」
オメガの右手から離れた光弾がソルジャーに迫る。
「……罠(トラップ)発動《螺旋式発条》!」
だが、その攻撃が通る直前、《ゼンマイソルジャー》が瞬間分解されてオメガの剣が空振った。
「このカードは自分フィールド上の攻撃力1500以上の【ゼンマイ】を一体リリースして発動する。これによってオメガの攻撃は空振りだ」
「こっちのモンスターじゃなくて、自分のモンスターを逃がす罠だったのか……」
「さらに効果発動。手札から【ゼンマイ】モンスター一体を特殊召喚する。俺は《ゼンマイドッグ》を選択。さらに、この効果で特殊召喚したモンスターと同じ攻撃力を持つモンスターをデッキから特殊召喚する。俺はもう一体の《ゼンマイドッグ》を召喚! 二体とも守備表示だ!」
《ゼンマイドッグ》Lv3 DFE900
「僕のターンに二体のモンスターを召喚……だけどバトルフェイズは続行している。片方の《ゼンマイドッグ》を攻撃!」
発条仕掛けの犬人形は光弾で粉砕される。
だが、守備表示のモンスターを破壊しても戦闘ダメージは発生しないため、坂間は無傷だった。
「くっ、僕はカードを三枚伏せてターンエンド」
星埼 手札1 モンスター1 魔法・罠4
坂間 手札2 モンスター1 魔法・罠2
「おお、坂間君は上手く攻撃を避けたな。自身の場にモンスターを残しつつ、相手からのダメージを防御する。《ゼンマイドッグ》もソルジャーと同じレベル変更を可能とするモンスターだ」
「……和哉ー! 頑張るんだぞ!」
冷静に場を観察する叔父と息子のピンチに声を貼って応援する父。
強大なのに全然似ていない姿に苦笑いしてしまうが、そんな事をして入れられる状況ではなかった。
「俺のターン、ドロー!」
坂間 手札3
「そっちがエクシーズ召喚なら、こっちもやらせてもらうぜ。俺は《ゼンマイジャグラー》を召喚、そして手札から《ゼンマイシャーク》の効果発動! 自分フィールド上に【ゼンマイ】と名のついたモンスターが召喚された時、手札から特殊召喚する事が出来る!」
《ゼンマイジャグラー》Lv4 ATK1700
《ゼンマイシャーク》Lv4 ATK1500
「さらに伏せてあった罠発動、《リビングデッドの呼び声》! 墓地のモンスター一体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する! 俺は《ゼンマイソルジャー》を攻撃表示で特殊召喚!」
《ゼンマイソルジャー》Lv4 ATK1800
「さて……ここからが本番だ!」
ビッ、と指で点を差し、坂間は叫んだ。
「俺はフィールド上に存在するジャグラーとソルジャーでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!《発条機甲ゼンマイスター》!」
《発条機甲ゼンマイスター》Rank4 ATK1900→2500
光の中から現れたのは四つのブースターで浮遊している巨大なゼンマイ仕掛けの巨人だった。エクシーズ素材の数の300倍攻撃力が上昇する強力なモンスターである。
「さらにさらに、俺はソルジャーの効果で自身のレベルを1上昇、ドッグの効果で自身のレベルを2上昇。そして永続魔法《ゼンマイマニュファクチャ》の効果によりデッキから《ゼンマイマジシャン》を手札に加える」
坂間 手札2
《ゼンマイソルジャー》Lv4→5 ATK1800→2200
《ゼンマイドッグ》Lv3→5 ATK1800
「今度はソルジャーとドッグの二体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! これが俺の切り札……《発条装攻ゼンマイオー》!!!」
《発条装攻ゼンマイオー》Rank5 ATK2600
再び発生した光の中からドリルの付いた腕などの機械パーツが幾つも現れると、それらが空中で合体し、ゼンマイスターと並ぶほどの巨大ロボット《発条装攻ゼンマイオー》となった。
「1ターンで二体のエクシーズモンスターを……ッ」
「いくぞ和哉! 俺は《発条装攻ゼンマイオー》の効果発動。オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手フィールド上にセットしてあるカードを選択。そのカードを破壊する!!」
「ミラーフォースがっ!?」
遠隔操作できるようにか光る発条のようなものでつながられた左手から放たれたビームが二枚のセットカードを破壊する。
破壊されたのは《聖なるバリア ―ミラーフォース―》と《邪悪なるバリア ―ダークフォース―》の二枚。前者は攻撃に反応し、相手攻撃表示モンスターを全破壊する強力な罠だったが、それはモンスター効果に対して発動することは出来ない。
「と、あぶねぇあぶねぇ……だけど、まだ一枚に残ってるか」
「攻撃やめてくれるかな?」
「……いいや、さっきお前は伏せを見ても攻撃した。俺も負けられねぇ!」
「そういう勝負じゃな「俺はゼンマイオーでオメガを攻撃!『ドリルロケットナックル』!!」」
発射された右腕がオメガを貫き、粉砕する。その勢いのまま、ドリルが和哉の体を掠った。
「うわぁ!?」
LIFE4000→3800
「さらにゼンマイスターでダイレクトアタック!『メタルプレス』!!」
ブースターを噴かせて飛び上がったゼンマイスターは空中で半回転、頭をこちらに向けながら再びブースターで急加速しながら突撃し、地面を(当然ARの世界のみだが)粉砕する。
LIFE3300→1300
「ぐぅぅぅ……」
「へへっ、効いただろ。俺はこれでターンエンドだっ」
「待った! エンドフェイズに罠発動《エクシーズ・リボーン》。墓地のエクシーズモンスターを蘇生し、このカードをオーバーレイユニットとする。僕は《セイクリッド・オメガ》を特殊召喚。そして、セイクリッドエクシーズを特殊召喚したことによって、《セイクリッドの星痕》の効果で1枚ドロー!」
《セイクリッド・オメガ》Rank4 ATK2400
星埼 手札2 モンスター1 魔法・罠0
坂間 手札2 モンスター2 魔法・罠0
「…………そのカードを使えばダイレクトアタックは防げたはずだぜ」
「ああ、だけどそうすれば次のターン、僕は君のライフを0に出来なくなっちゃうからね」
「ほお、いいぜ、やってみろよ!」
確かに状況は絶望的だが最初に《セイクリッドの星痕》で引いたカード、そして今の効果で引いた『コイツ』を使えば―――、
(状況はひっくりかえせる!!)
前後編にするつもりが予想以上にデュエル描写が長引きました。
どっちも1ターンで連続召喚するデッキだから、アニメ風な効果説明にすると文章量がどうしても多くなっちゃいます。
もうちょっと差っ引いてもいいのだろうか