遊戯王ZEXAL-星騎士の決闘者-   作:クロスワード

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第一話 お別れデュエル 対決ゼンマイデッキ!(後編)

「変わんないねぇ」

「ん?」

「いや、普段は雷にもビビるぐらいなのに、いざデュエルとなると相手を倒すことを優先的に考える。今だって防御にカードを使うのではなく、次のターンの攻撃に繋げるために使った。結構、ARでのダイレクトアタックって怖くて、トラウマになる奴も多いぐらいなのに」

「……」

 

父は和哉が学校で1.2を争うほどのデュエルの腕前だというのは知っている。だが、実際に見たことがあるのは一回か二回程度だ。

カードを教えたのは叔父であり、練習相手は坂間。自分は昔カードを買いたくてねだられたことはあったものの、最近では近所の大会の賞金などで自力で集めているらしくそういう話をすることは少なかった。

何時だか弟の空次から聞いたが、学校でも負けなし(坂間君以外には)の和哉は一部のクラスメイトから『カードデザイナーの父親に強いカードを作ってもらっている』と中傷された事があるらしい。

それからだろうか……和哉がデュエルに関係することで父を頼らなくなったのは。

 

「良しも悪しきも、このターンで決着だな。ここで勝てなきゃ流れ的に和哉の負け―――兄さん、どした?」

「あ、ああ、いや、何でもな―――」

 

などと少し考えに耽っていると、和哉の気合一声が父の言葉を遮った。

 

 

 

「ラストターン、ドロー!!」

 

星埼 手札3

 

「僕は手札から《セイクリッド・ソンブレス》を召喚!」

 

《セイクリッド・ソンブレス》Lv4 ATK1550

 

「そしてソンブレスの効果発動。1ターンに1度、墓地の【セイクリッド】と名のついたモンスター一体をゲームから除外して、自分の墓地の【セイクリッド】と名のついたモンスター一体を選択して手札に加える。僕はこの効果で《セイクリッド・シェアト》を除外して《セイクリッド・ポルクス》を選択!

さらに、この効果を発動したターンのメインフェイズに一度だけ、手札の【セイクリッド】を一体召喚する事が出来る。それによって僕は《セイクリッド・グレディ》をさらに通常召喚! そして、召喚に成功した《セイクリッド・グレディ》の効果発動! 召喚に成功した時、手札からレベル4の【セイクリッド】を特殊召喚する事が出来る。僕はその効果でさっき墓地から回収した《セイクリッド・ポルクス》を召喚だ!!」

「一気に三体のモンスターを……ッ!!」

 

星埼 手札1

《セイクリッド・グレディ》Lv4 ATK1600

《セイクリッド・ポルクス》Lv4 ATK1700

 

「そしてっ! 僕はソンブレスとグレディの二体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!! 星塵から生まれし無数の目を持つ星騎士! 《セイクリッド・ビーハイブ》!!」

 

《セイクリッド・ビーハイブ》Rank4 ATK2400

 

三度開いた光の扉から現れたのは腕に巨大な鋏を持ち、周囲に小型の攻撃端末を浮かばせている第二のセイクリッドエクシーズモンスター《セイクリッド・ビーハイブ》。

 

「そして《セイクリッドの星痕》の効果でカードを一枚―――……」

「……」

 

このドローであのモンスターを引かなければ敗北する……だけど、デッキを信じなくては勝利は掴めない。それは一番最初に叔父に教えてもらった事だ。

だから、全てを信じ一枚のカードを引く!

 

「ドロォォォー!!」

 

一瞬の静寂―――……そして、

 

「……《セイクリッド・ポルクス》の効果発動! このカードの召喚に成功したターン、モンスターをさらに一体召喚できる! それによって、僕は《セイクリッド・カウスト》を召喚する!!!」

 

《セイクリッド・カウスト》Lv4 ATK1800

 

「……こいよ!」

 

召喚された弓を持った星騎士を見て、坂間は全てを悟ったのか大きく叫ぶ。

それに応えるよう、力強く効果発動を宣言した。

 

「《セイクリッド・カウスト》の効果! 1ターンに2度、フィールド上の【セイクリッド】のレベルを1つ上げる、あるいは下げることが出来る! 僕はカウストとポルクスのレベルをそれぞれ1上げる!!」

 

《セイクリッド・カウスト》Lv4→5

《セイクリッド・ポルクス》Lv4→5

 

「いくよ、これが僕の切り札! 二体のレベル5モンスターでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!

―――宙の美しき星の守護者、夜空を彩る輝きの星騎士! 現れろ最強のセイクリッド!! 《セイクリッド・プレアデス》!!!」

 

《セイクリッド・プレアデス》Rank5 ATK2500

 

光の扉が開き、そこから放たれた閃光が星座を描く。そしてその中心から黄金の大剣を携えた白銀の星騎士《セイクリッド・プレアデス》が召喚される。

これぞ最強の【セイクリッド】。総ての星騎士の頂点に立つ騎士の中の騎士である。

 

「―――……和哉ッ!!」

 

その威光を見て、一瞬だけ怯む坂間であったが、先ほど以上に大きな声で和哉の名前を叫んだ。

 

「次は―――世界大会だぜ!」

「……ああッ! 《セイクリッド・プレアデス》の効果発動! オーバーレイユニットを一つ外し、相手フィールド上のカード一枚を選択し、手札に戻す!! 僕は《発条装攻ゼンマイオー》を選択、『セイントムーブ』!!」

 

プレアデスの大剣から放たれた閃光がゼンマイオーを包みこみ、消滅させる。

 

「よし、バトルフェイズに入る! 《セイクリッド・オメガ》で《発条機甲ゼンマイスター》を攻撃。この瞬間、《セイクリッド・ビーハイブ》のモンスター効果発動! 自分の【セイクリッド】が戦闘する時、このカードのオーバーレイユニットを一つ取り除き、戦闘する【セイクリッド】の攻撃力を1000ポイントアップする!!」

 

《セイクリッド・オメガ》ATK2400→3400

 

「ぐおあ!」

 

坂間 Life4000→3100

 

「そして、プレアデスとビーハイブでダイレクトアタック!!」

「うわああああああああああああああああッ!!?」

 

プレアデスの一閃、ビーハイブの鋏から放たれた光が交差し、さらに巨大な閃光となって坂間を貫く―――……と同時に、ライフポイント0を通知する甲高い音が響いた。

 

坂間 Life3100→0

 

WINNER 星埼

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「あああああ、負けたぁあああああ! 昨日は勝ったのになぁ……! くーやーしーいーぜぇ!!」

「昨日は昨日、今日は今日だよ」

 

昨日とは真逆の、仰向けに倒れた坂間に向かって苦笑しながら和哉が近づく。

自分たちは何時もこうだった。最近は和哉が負け越していたし、そもそも最初の方は経験の差で坂間が良く勝っていたが、徐々に勝率は縮まり、大抵は一回勝ったら次は負け、そしてその次は勝つという事を繰り返す日々だった。流石に毎日のようにはやっていなかったが、それでも一週間にいっぺんはやっていたのだ。

 

「……明日からは出来なくなるな」

「うん……」

 

覚悟はしていたが辛い。坂間には自分の希望でこの町を離れることを話したし、それを聞いて彼は「俺だってそうした」とチャンスをつかんだ自分を責めることはなかった。

そう、絶対に後悔はしていない。夢をかなえるためにも―――ずっと昔からの夢をかなえるためにも。

 

「いいか、さっきも言ったけど次は世界大会だ。それまでぜってー負けるんじゃねェぞ!」

「そっちこそ。僕以外に負けたら許さないからねっ」

「お、言いやがるな!」

「うわ、やめてよ」

 

突然起き上った坂間がガシっと首に手を回し下手なプロレス技を掛ける。ちょっと息が苦しいが。

 

「俺とお前で世界1位2位だ! どんなプロデュエリストだって……アジアチャンプのⅣにだって負けねーぞー!!」

「ああ、僕が1位で君が2位!」

「逆だよばーか!このやろぉ!」

「いたいいたたたたた!!」

 

この先様々な強敵と戦うことになるだろうか、自分は絶対に負けない。きっとそう思っているのは坂間だって同じだろう。

そんな微笑ましい決意表明を見て、クスクスと笑っているのは叔父だった。

 

「……いいデュエルだった、二人とも」

 

パンと手を叩きながら賞賛する。

 

「まだまだ甘いところとか、ミスはあったけど、概ね及第点だ。特に―――和哉、ドローを諦めなかったのは好印象だぜ。極限まで諦めず、勝機を探すのは決闘者の必須スキルだからな」

「俺だって同じ状況ならあきらめないッスよ!!」

「えー、坂間君ならびびっちゃうんじゃないのー?」

「な、こんにゃろ!」

 

からかわれた坂間はさらにプロレス技を強くする。痛い痛い。

 

「さ、そろそろじゃれてる時間も終わりだ」

「ういッス」

 

驚くほど従順に坂間は腕を離した。

そして、二人で立ち上がると、ドンっと和哉の胸を叩く。

 

「あっちでもファイトだぜ。頑張れよ」

「こっちのセリフだよ。お互い、次会う時には更にランクアップしていようね」

 

同じように坂間の胸を叩く。

男と男の約束だった。

 

そしてそれを離すと同時に、それまで傍観していた父が話しかけてきた。

 

「和哉、いいデュエルだったな」

「父さん……」

「私が帰ってくるまでに、出来る限り大きくなるんだ。身長じゃない、心を。私はカードデザイナーとして幾人もの決闘者と会ったことがあるが、その誰よりもお前は強くなれるさ……あ、坂間君もそうだからね」

「気にしないでいいっすよ~」

 

最後までカッコ良さが持たないのが父のいいところだ。

だけど、その言葉は胸に刻んだ。

 

「うん、わかった。任せといてよ! 必ず父さんを驚かせるぐらいな……いや、この街の皆を驚かせるような決闘者になってみせる!」

「ああ、約束だ」

 

さっき坂間とやったように、お互いの胸をドンと叩いた。

高身長の父と中学一年生の平均以下である和哉ではちょっと不恰好だが、それでも頑張った。

 

「おーおー、兄さんが父親っぽいことしてるよ。これは母さんに報告だな」

「茶化さないでくれ、空次……和哉の事、任せたぞ」

「おう。それじゃあそろそろ行くか。予想外のデュエルで時間採られたからな。急がないと母さんが孫の顔を早く見たいって怒るぜ」

「叔父さんがけしかけたんじゃないですか……」

 

二人で背を向け、歩き出す。

そして空き地から出る直前、少しだけ振り返り―――、

 

「行ってきます!」

 

そう言って、車まで走っていた。

 

 

 

ここから始まるのは数奇な運命を辿る一人の決闘者の物語。

それは三つの世界の巻き込んだ戦い。

本来であれば介入するはずもなかった彼の決闘(デュエル)が―――今、始まる。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「勝つぞ」

 

そこに立っていたのは一人の存在。男か女かわかり辛いが恐らく男。

だが、決して人間ではなかった。浮遊して青白く発光して透明っぽい人間がいるなんて少年―――九十九遊馬は聞いた事もなかった。

 

「だ、誰なんだよ、お前!」

 

思わず叫んだ。今、大切なデュエル中なのも一瞬忘れる。

それほどまでに非現実的な存在なのだ。いかに日々、かっとびんぐで不可能に挑戦しているとはいえ、いざ目の前にこういうのが現れられると常識的な反応しか出来ない。

 

「アストラル」

 

男は一言、そう答えた。

 




はい、第一話終了。本当だったらさっさと転校させて遊馬とデュエル→勝利&仲良くなる→シャークとデュエル→敗北&デッキ奪われるをやろうとしたんですが、一話目から負けさせるのはどっちもどうかと思いやめました。
一応、漫画版No.やイルミネーターとかの所持者がわかっていないNo.と戦いつつ、アニメゼアル本編に沿ってい行くストーリーとなります。
オリカは序盤では登場させず、話の節目にだけ登場させますのでご注意を、多分。

前後編に分かれていても一週間に一話は投稿するつもりなので、これからよろしくお願いします。
換装とかアドバイスも待っています。
それでは。

追記:遊戯王wikiが開けず、執筆に支障が出来たので次回の投稿が若干遅れます。無力な私を許してくれ……。
リアルでは紋章とインフェとアーティファクトと汎用カードぐらいしか持ってない弊害が出てきました。これは良からぬ状況です。
もしも遊戯王wiki以外にお勧めのカード検索サイトがあったら教えていただけると助かります。

再追記:これ書いてから五分で解決しました。申し訳ありません。
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