凪のあすから~ heart is like a sea~【新装版】 作:白羽凪
そのため、大まかな展開やストーリー、結末に変化はありません。
しかし、本文の変更、大幅書き換え、新ストーリー等を今作では予定しています。
その点に留意して、今作をお楽しみください。
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さて、久しぶりの凪あすですね!
前書きは前回同様かしこまりません!
作者は亜睡める改め、白羽凪でお送りします。
どうぞ最期まで、よろしくお願いします!
第一話 海の色ゆれて
感情はいつだって脆い。
揺れる水面のように、いつ崩れるか分からない。
でも、感情はいつだって美しい。
遥か遠くまで透き通ってる海のように。
俺は知りたい。
感情とは何なのか。好きになることはどういうことなのか。
ずっと、そんなことを思ってる。
好きになることをやめた、あの日から・・・。
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~遥side~
「おーい、遥ー! 遊びに行こうぜー!!」
朝8:00。家のベルが鳴る。この甲高い声はよく聞きなれた声だ。
俺は父さんに目配せする。
「だってさ。父さん、母さん、行ってもいいよね?」
「ああ。ただ、昼までには戻って来いよ」
「気を付けていってらっしゃい」
優しい表情と共に、俺は送りだされた。やはり子供なんてのは、遊んでなんぼのものだろう。
「じゃあ、行ってきます。父さん。母さん」
元気のよい行ってきますとともにドアを開ける。その向こうでは、ちさき、まなか、要、光のいつもの四人が待っていた。
「ったく、遥が最後だからな!」
俺が最後に出てきたことが不服らしく、光が少し不満げに声を荒げる。少々語気が荒い。
というか、ちょっと待て。最後に誘っておいて遅いなんてのは、論理が破綻してないか?
そんな俺の困惑を言葉にしたのは要だった。
「まあ、一番最後に誘ってる以上はしょうがないけどね・・・」
「でも、お前やちさきはもう俺が行こうと思ったときには家の外にいただろ」
「そう毎日、遊ぶ要領が変わらないと、光の考え、分かっちゃうしね・・・」
はぁ・・・、と小さく息を吐くちさき。
「じゃあ、まだ私はひーくんの考えが分かってないってことなのかな・・・」
弱弱しい声でまなかが言う。
そんな様子は見ていられなくて、慌てて俺はフォローを入れた。
「別にいいじゃないのか、まなか。俺なんて分かろうとすらしてないし。それに、光だって、いちいちそんなこと考えてないだろうし」
「うっせ! ・・・まあ、確かにどうでもいいことだよな」
光の感情も抑えると同時に、まなかのフォローもする。俺の立ち位置はつまるところ、そんな感じだった。
「・・・んんっ、まあそれはいいんだ。んで光、今日は何するんだ?」
「んー・・・、たまには違うことやりたいと思ってるんだよな」
毎日遊ぶとなれば同じ内容には飽きてくる。マンネリと言うやつだ。
それをみんなも分かってるようで、うーんと頭を悩ませた。
「そうだね、鬼ごっことかそういうのは、もうずいぶんとやったし」
「鬼ごっこ一つとっても、汐鹿生全体でやるには広いし、大人の目は冷たいしな」
「うーん・・・」
案に詰まったのか光は頭を掻く。それと同時に皆に沈黙が訪れた。
打開したのは、まなかだった。
「はい!! ・・・あ、あのさ、ちょっといいかな」
「言ってみ?」
「まだ汐鹿生で行ったことのないとこに行くってのは・・・どうかな。多分、まだあるかもしれないし、いいかと思ったんだけど・・・」
所謂ところ、探検だ。
確かに言われてみればあるかもしれない。大人に怒られるのが怖くて行けないことがしょっちゅうだけど。
「ま、いいんじゃねえの。なかなか楽しそうだし。サンキュー、まなか」
「えへへ、そうでもないよ、ひーくん・・・」
光に褒められると、まなかはいつだってご機嫌になる。見ているこっちまで穏やかになるのが不思議だ。
「うん、決まりだね」
「あまり目立たないように、だけどね」
要もちさきも案に同意する。最後は俺だった。
「・・・ま、大人への小さな反抗期ってことで。それで行くか」
「ちょ、隊長は俺だからな!!」
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それから、あちこち汐鹿生を回ってみた。
が、探検と行っても行ったことがあるところが殆ど。大人に禁止されている区域にはいくことも出来ず、ほとんど手ごたえはなかった。
・・・ある場所を除いては。
「・・・ん? ストップ、みんな」
俺が手を出し後ろの皆を静止させる。
目の前には大きな穴倉があった。しかし、奥が深いのか、中が暗くてよく見えないため、何があるのかはっきりしなかった。
「どした、遥」
「ああ、ちょっとこれ見てほしいんだが・・・。こんなもの、見たことないよな」
俺は少し右に避けて、後ろにいる皆に確認をとった。
「ねえな」
「ないよ」
「ないかも・・・」
「はぁっ・・・追いついた。・・・えと、なにこれ?」
答えは皆同じ。
目の前のものは、全く分からない何かだった。
中が深く、子供では危ないかもしれないと思った俺たちは、一旦引いて、会議を始めた。
「さてと・・・、あれ、何なんだろうな」
「分かんねえよさすがに」
「情報が少ないからね・・・」
さすがに今の俺たちにあれを理解するだけの知識はなく、皆頭に疑問符を浮かべていた。
そんな雰囲気の中、時計を持っていた要が思い出したように時間を確認する。次に浮かべたのは、申し訳なさそうな表情だった。
「あー、ちょっといいかな」
「どうした?」
「そろそろ11:30なんだけど・・・。昼までには帰らなきゃいけない人、何人かいるよね」
「あ、俺だ」
「ごめん、私も・・・」
「何だよ。みんな用事ありかよ」
汐鹿生筆頭のわんぱく小僧、光は何もなさそうだった。こいつ、遊ぶことが用事なんじゃねえの?
昼に用事が入っているのは俺とちさきだけだったが、みんないなきゃ意味がないと、一旦解散することにした。
「ったく、もう少し発見が早けりゃ、もう少し探索で来たんだろうなー」
「文句言うな。誰も悪くないんだし。またいつでも行けるだろ。いくらでも遊ぶ時間はあるんだしな」
「そうだよひーくん。また今度行こう?」
俺とまなかは先に光を宥めておく。荒々しい性格の奴だからな、光は。
それが功を奏してか光は、ん、とだけ短信して、それ以上は何も言わなかった。
「・・・っと、ここらへんか」
どうやら汐鹿生の中心部についたようだ。
「んじゃ、またな。・・・って、ちょっと待ってくれ」
「? どうしたの? 遥」
「さっき見たものの事、大人にはシーッ、な」
「いいけど・・・なんで?」
「見た感じ不思議なものだから、多分何かある。出禁喰らうのも嫌だしな」
子供の行き過ぎた行動に歯止めをかけるのが親。あれは間違いなく、行き過ぎた行動に関わってくる。
せっかく見つけたネタだ。ストップされるのだけはごめんだ。
「あぁ、そういうこと。分かった」
こういう時、一番理解が早いのは要だ。要領がいいのは本当に助かる。
「じゃあ、そういうことだ。俺は帰らないといけないから帰るぞ」
「うん、またね」
「じゃあな」
「またね、はーくん」
「また今度ね」
全員からそれぞれのじゃあねコールを受け取り、俺は一旦家へ帰った。
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家に帰ったのはいいが、なにやら様子がおかしい。
明るさがなく、家全体がまるで片付いたような雰囲気だった。
そんな中、リビングへ向かうと両親がテーブルを挟んで座っていた。
その顔つきは・・・果てしなく険しい。
「あぁ、おかえりなさい遥。ちょうどよかった」
母さんが俺に気づくなり、少しだけ表情筋を緩ませて俺を歓迎する。
「ちょっとそこに座ってくれるか」
父さんが自分の隣の椅子を指さして、ここに座れと合図を送る。
そのパスを受け取って、俺も席に坐した。
どんな話をされるのだろう・・・。さっき行ったところの事、もうバレたのだろうか。
思索を巡らせる俺をよそに、俺の想像以上の話を、父さんが切り出した。
「なぁ遥。父さんたち・・・汐鹿生から出ようと思うんだ。もちろん・・・ついてきてくれるよな?」
「えっ・・・?」
大波が動き出したのはその時。
俺の何かが、崩れだしたような気がした。
一話からセリフや地の文を大幅に書きかえました。
今後どうなるか楽しみですねぇ!(マゾ)
感想、評価等頂けたら嬉しいです。
また会おうね(定期)