「
真改が放った濃い闇の塊は、
「何故だ、確かに捕らえた筈だ」
そこに、征山の姿はなかった。次の瞬間、真改は背後に巨大な殺気を感じた。それは、真改が身動きを封じられるほどに、巨大な圧を醸していた。征山はそんな真改に静かに歩み寄り、こう言った。
「checkmateだ、
真改が自分の死を悟ったその時、征山が放った緑光色の光が、何かに相殺されたように消えた。
征山が辺りを見渡すと、そこには、真改の師匠である
「流石は
征山が笑顔で言うと、桜龍は黙って構えた。それを見た征山は真剣な表情に戻り、鼓膜破壊を放った。
1テンポ遅れて桜龍は、終焉ノ黶子を先程と同じように放った。すると、桜龍の放った漆黒はいともたやすく、征山に放った緑色の光を飲み込んだ。鼓膜破壊を飲み込んだ漆黒は、肥大化して、征山に迫った。手応えは完璧だった。しかし、桜龍の終焉ノ黶子は、真改のそれとは段違いの威力であったのにも関わらず、先刻のようにそこに征山の姿がない。真改に悪寒が走った。
「
先の戦いの一部始終を見ていない桜龍は、真改の言うことが理解できなかった。桜龍は膝をつき、休息を取ろうとした。すると、背後から征山の声がした。
「師弟揃って間抜けだな、あれは囮だ」
次の瞬間、桜龍を緑色の光が包んだ。桜龍は外界からの情報の一切を遮断されたような不思議な感覚に襲われ、その場に倒れた。
「師匠、師匠!」
真改が駆け寄った。
「無駄だ。俺は今、こいつの五感を奪った。こいつは植物状態だ」
真改はふつふつと音を立てて、五臓六腑から怒りが湧いてくるのを感じた。
「何故、、こんなことを、、、」
真改は無意識のうちに終焉ノ黶子を放っていた。もはや彼の怒りは、意識の範疇に収まるものではなかった。征山は、終焉ノ黶子をいとも簡単に躱すと、真改に笑顔で言った。
「生殺与奪の権限を俺に握られても、これほどの威力の技を出すとは、面白い。気に入ったぞ。黶子族を根絶やしにするつもりだったが、お前だけは見逃してやろう」
そう言うと征山は静かに去っていった。去っていく征山の姿を見て、真改は、お情けで生き延びた自分の無力さを責めた。征山が去って心の隅で安心している自分を呪った。
15年間、3歳の時から、本当の子のように育ててくれた桜龍は真改の全てだった。辺りには全てを失った真改の虚無感を表すように、更地が広がっていた。ポツポツと雨が降り始め、やがて盆を返したように大雨となった。真改は、植物状態と化した桜龍を抱え天を仰ぎ、歯を食いしばった。
真改は臥薪嘗胆を誓った。
--------------------------------------------------
担当K
なろうに投稿しているものを編集して投稿しています
複数人で作成しているので各話の最後に担当者を書いています
不定期更新ですがコメントやアドバイスをいただけると幸いです