へいわしゅぎしゃ短編集   作:へいわしゅぎしゃ

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 短編集にしました。よろしくお願いします。


さいこうのどりーむ

 夢を、見ていた… 。訳の分からぬ武器を担がされ、異形の化け物と殺し合う夢。出来のわるいおもちゃみたいにバタバタ倒れる味方、一向に減らない敵、最後には、いつも敗走していた。夢の中の俺は、一体なんのためにあんなに必死に戦っていたのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもどおりの悪夢から目覚めると、そこは教室だった。

 

「おーい、佐山、起きろー?」

 

 起こしてくれたのは、幼なじみのツンデレ美少女…ではなく友人の金木だった。

 

「もう学校終わったぞ。さっさと帰るぞ!やっぱ今日は待ち望んだアレがあるからな!」

 

 

 

 

  もう日も傾いており、夕焼けが空を赤く染めていた。金木は、運動部の帰りに俺を見つけ、起こしてくれたらしい。全く、起こしてくれなかったらどうなってたことやら…金木サマには頭が上がりませんわぁ…

 

 電車揺られながら話す。

 

「お前、数学の橋本が全然起きねぇって呆れてたぞ。昨日の夜何してたんだ?もしや、AVでも漁ってたのか?」

 

「な訳、寝てたわ。」

 

「で、あんだけ寝んのかよ…お前の体どうなってんだよ。まぁそんなこといいや。そんなことより、今日、ついに世界初の入り込み型VRMMO、『メルトワールド』の配信だろうが!」

 

 先程言っていた「アレ」とはこれのことである。何年も前から告知され、今日が初めてのリリースである。楽しみじゃないわけがない。

 

「俺の体調を『まぁそんなこといいや』ですますなよ。まぁ、楽しみではあるけどさ…」

 

「そんなツンデレみてぇな言い方しやがって、お前も楽しみでうずうずしてるタイプだろ?」

 

「そうだよ!世界初だぞ!入り込み型だぞ!楽しみじゃないわけないだろ!」

 

「夜の7時からな?ゲーム内でさっさと合流するべ。」

 

「先駆けとかするじゃねぇぞ?」

 

「お前こそな!」

 

 電車に揺られ、気がつけば降りる駅。金木に別れの挨拶をいって降りた。

 

 

 

 

 ところ変わって夜、時刻は7時。目の前には最新型のヘッドセットが一つ、ベッドの上に転がっていた。

 

「飯も風呂もトイレも済ませた…!ええぃ、男は度胸!イクゾー!」(デッデッデデデデッ、カーン!)

 

 意を決してヘッドセットを被る。そうすると、俺の意識は、泥濘の中へと吸いこまれるように落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おい!ようやく目が覚めたか!グクル!」

 

「……ファッ⁈」

 

 気がつくと、見知らぬ場所に目覚めていた。周りはSFチックな機械に溢れていた。アルェ〜?メルトワールドはザ・異世界ファンタジーって感じなオープンワールドのはずなのだがクォレハ…バグかな?

 

「…おかしい…俺、アバター登録も何もしてないぞ?しかも、入ったゲーム違うし…あの会社、こんなゲームも作ってやがったんですねェ…はえーすっごい。まぁバグなんで通報ですけど。」

 

 取り扱い書に基づいて、通報を行おうとするも、ででこない。

 

「アルェ〜?」

 

 そんなこと言ってたら、さっき話しかけられたおっさんに混乱した様子で声をかけられた。

 

「何言ってんだグクル!目ぇ覚ませ!ここがどこだか覚えてねぇのか?!」

 

 最新のゲームってNPCも多彩な反応をするンゴねぇ…と言っても初プレイのゲームの世界なんて知ってるはずが…アレ?

 

「ま、正夢?なんか、夢、で見た…?」

 

 じゃあ化け物と負け戦すんのか?…糞ゲーかよ……いやじゃいやじゃワシはファンタジーで(パワーバランス崩れない感じで)オレTUEEEEEEE!!したいのに…

 

 とか言ってたらまたおっさんに話しかけられた。

 

「何言ってんだ!ぶいあーる?んなよく分からんことをいうな!」

 

 そう言われて思いっきりビンタされた。痛い。……………ゑ?なんで痛い?ゑ?ええ?このゲーム、痛覚は搭載されてないぞ?な、なぜ?

 

「休眠マシーンから目が覚めたばっかで頭眠ってんのか?そんな場合じゃない!今もうあの忌々しい化け物どもに最後の拠点であるここが襲われてるんだよ!早く武器を持て!戦って、我々だけの平和な世界を築くんだよ!」

 

 その言葉で、ようやく思い出した。思い出してしまった。なんで、なんで忘れてしまってたんだろう、この、死にものぐるいで戦ってた記憶を。

 

 そうだ。ずっと化け物どもと殺し合って、押されて押されて押されて押されて、仲間が何人も殺されて、この最終拠点まで追い詰められて……じゃあ、じゃあ一体、

 

「さっきまでいた世界はなんなんだ?」

 

 そういうと、さっきから話しかけてきていたおっさん、ザガルフは答えた。

 

「おーおーよーやく目が覚めたか、グクル。ありゃあな、お前をはじめとした結構な奴らがあそこで寝てたんだ。あの、ドリームマシンでな。」

 

 ザガルフは後ろの卵を指差して言った。

 

「ありゃあな、一時的にしがらみを忘れさせて、人類の脅威となり得る外敵のいない世界で暮らすための装置だよ。心が壊れた兵士のためのもんだ。」

 

「平和な…?」

 

「ああ。あそこには主要な生命は人しかいないし、寿命も短く、ざっと数十年くらいにされてるから、長い寿命から起こるしがらみもないってもんだよ。機械の中で、死んでは全てを忘れみた一から生まれて、を繰り返すようになってんだ。お前も何度も別人の人生を生きただろうよ。さぞかし平和な生活だったろ?」

 

 そう言われて俺は寝ていたころのことを思い出した。最後の日本にいたころこそ平和であったが、その前の生はそうではなかった。その前も、その前も、その前も、その前も、その前も。あるときは差別地域にいて搾取ばかりされていたし、あるときは虐められていた。またあるときは徴兵され、他人と殺し合ってた。

 

「別に?殺し合ったり奪われたり、ここと大して変わらんよ。」

 

 そういうとザガルフは声を荒げた。

 

「そんなはずはないだろう!第一、略奪や殺しにかかってくる化け物なんていないじゃないか!」

 

「いるよ」

 

「へ?」

 

「人。僕らは人同士で殺し合ったり奪い合ったりしてたのさ。」

 

 ザガルフは呆けていた。信じられないものを見る目をしていた。

 

「皮肉なことだけど、多分あの化け物が俺たちをまとめ上げていたんだよ。あの世界じゃそんな存在はいない。ザガルフにも嫌いな奴はいるだろう?そういうのが積み重なって、国って言う大小さまざまなグループに分かれて、協力したり奪い合ったりしてたのさ。」

 

「そ、そんなはずが…」

 

「そんな国の中では、資本主義って言ってね、簡単に言えば出来高制みたいな社会が気づかれてたんだ。持つものと持たざるもの、はっきり分かれてたよ。そんな国の中にも社会主義や共産主義って言う、国民皆平等みたいなことをとなえてる国があったんだよ。それ、どうなったと思う?」

 

「わ、わからん。」

 

「崩壊した。軒並み崩壊したんだよ。どれだけ働いてもえられるものが平等だからね。ここみたいに明確な脅威もない。誰も働かなくなったんだ。いろんな国があったよ。完全な資本主義がられてる国、名ばかりの共産主義で実質的な独裁が取られてる国、などなど。ね。

 

「……」

 

「言っちまえば、奪うものがあの忌々しい化け物から一握りの人に変わっただけだったよ。ちなみに、俺がいた国での仕事の中で多かった仕事を教えてあげるよ。サービス業って言ってな?他の人の娯楽や快適な生活のために必死こいて働くんだよ。別に、食料生産やら医療やら防衛じゃない。正真正銘のサービスさ。」

 

「…」

 

「それ のために一日中働いてんだよ、みんな。サービスを作るために働いて苦痛を産んで、ほんと、側から見たら、奇妙で滑稽だよな?しかも、働きすぎて病気になったり、自殺しちまったりするんだぜ?最悪、働かなくても生かしてもらえる国でだぜ?」

 

「…」

 

「で、なんのために俺ら戦ってるんだっけ?我々だけの平和な世界?ハハッ、そんなものないよ?あの化け物との戦い、負けっぱなだったろ?追い詰められてんのに勝てるわけないだろ?俺ぁあの機械の中じゃゲンエキコウコウセイって言って勝ち組だったんだよ。俺はあの中に帰るよ。」

 

「……ッ…」

 

「戦って死ぬよか、幸福な中で死にたいんでね。俺は、メルトワールドって言う新作ゲームってをやらねばいかんのでね。」

 

「その、メルトワールドとやらはなんだ…?」

 

 ザガルフは生まれたての小鹿みたく震えている。

 

「あー、架空の空間で、勝てるかわからない化け物と殺し合う遊びだよ。じゃあな。」

 

「……じゃあな」

 

 俺は卵型の機械に向かった。使い方は覚えていた。

 

 卵型の機械の中で目を閉じる。乾いた音が、部屋で一つ、響いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、もう9時だった。急いでログインする。

 

 ゲームの中では金木が呆れた顔で待っていた。

 

「済まんな、送れて。」

 

「遅すぎて俺、結構遊んじまったよ。ホラ、レベル3。なんで遅れたんだ?」

 

「いやー寝落ちしちまってな。」

 

「また?!ばっかでぇ。お前、どれだけ寝たら気が済むんだよ。」




 アンチ・ヘイトではありません。諦念、と言うものです。

 pixivのイラストやニコニコの曲も見に来てくれると嬉しいです。(強欲)

次回作なんにしよう

  • これでおなかいっぱいです(婉曲表現)
  • ヤンデレとかの恋愛
  • SCPモドキとかのホラー
  • VRMMOとかの異世界ぽいやつ
  • こんな感じの短編
  • なんでもいいから出せ
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