へいわしゅぎしゃ短編集   作:へいわしゅぎしゃ

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 この作品は、大和物語という古典の中にある、姨捨、という作品の二次創作、おばを山に迎えに行った時におばが死んでいた場合、というIF Ver.となります。

 作者は古文はさっぱりなので、有識者からしたらアレですがゆるし亭ゆるして
 作風的にこの作品集に出したかったので、二次創作は興味がない人はすいません。

 こことはわけて二次創作枠で出せっていう人が多かったら、投稿しなおします。


我捨

 死んでいた。

 

 目の前には、獣に食い荒らされ、ただの肉塊と化した己のおばが転がっており、地面を赤黒く汚していた。

 

 何で。

 

 何でおばは死んだんだ。

 

 そういう権利は己にはなかった。この現実に疑問を呈す権利は己にはなかった。

 

 なぜなら、おばを、実の親のように幼い自分を育ててくれたおばを、こんな山奥に騙してまで連れて行き殺したのは他ならぬ自分自身であったからだ。

 

 若くして両親を失った俺を、実の息子のように育ててくれたおばが、こんな、その育てた子供に山に捨てられ、一人暗闇の中で獣に喰われ、看取るものもなく死ぬ、そんな最期を迎えて良いはずがなかった。

 

 ねえ、何で。

 

 言えなかった。言えるはずがなかった。殺したのは、山奥に捨てたのは、己の、己の過ちだから。

 

 捨てたのは一時の気の迷いなんだよ。こうやって連れ戻しにきたじゃないか。なんで、なんでこんな刹那の間に死んでいるんだ?

 

 

 

 嘆く権利はない。慟哭する権利はない。ただ、止めどなくボロボロと落ちる滴が薄い衣を濡らしていた。

 

 ぱちぱちと燃える松明が、鉄臭い空気の漂う闇を照らし、肉塊と紅く照らされた木々が狂えるような妄執を演じていた。

 

 

 

 なぁ?ほんとに俺が殺したのか?なぁ?うそだろ?

 

 あたりを照らす松明とは裏腹に光を失った彼の目には、赤黒くものが渦巻いていた。

 

 知ってるぞ?私は知っているぞ?

 

 むせ返るような鉄の臭いが鼻を腐らせた。

 

 こんなにおばが死んで悲しむような人間が、おばを殺す訳ないだろ?

 

 火に集う虫どもは、塒をまくように松明に飛び込んで行った。

 

 なぁ、私は知っているぞ?悪逆非道の祖を知っているぞ?

 

 肉塊に蝿がたかり、ぶんぶんと不快な音をたてた。

 

 嫁は、あの女は、私を育ててくれたおばに対し、罵詈雑言を並べ立て、まるでおばが悪の権化かのように、いつも邪険に扱っていたではないか!

 

 松明の煙と死肉の臭気が混ざり、松明に照らされた空間に不快な空気をぶちまけていた。

 

 あの女は今日も!今日も私に対してあのおばを山に捨ててこいと言ったではないか!おばを殺せと!あの女が!あいつが私の、私の大切なおばを殺したのか!おばにこんな最期を負わせた悪逆非道の化け物め、殺してやる!殺してやる!殺してやる!私が、この手で!殺して!

 

 彼の濁った目には、最早おばの無残な死体は映ってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの邪魔な婆も死んだし、これからは私と夫の二人で暮らせるわけだ。」

 

 暗い家で一人家事をする女は、どうにも上機嫌であった。

 

「婆の癖に、私の私の夫の愛をいつもいつも浴びているから悪いのだ。」

 

 彼女はこれからの二人きりでの生活に想いを馳せると、うっとりとした表情を浮かべた。

 

「これからが楽しみだなぁ。」

 

 ふと、足音が近づいてきた。彼女がそちらを向くと、彼女の夫の姿がそこにはあった。

 

 しかしあまりに様子がおかしい。足がふらつき、目は暗く光を失っていた。

 

 ただ、願いが叶った彼女は、それを意に介さずにいった。

「どうしたの?あの婆は捨ててきた?ね、ね、ご飯作ったから、晩ご飯にしよう!そうしよう!ね!」

 

 そう彼女はいうも、彼はずっと何かをぶつぶつと唱えていた。

 

「……ぇ……ぃで…」

 

「どうしたの?」

 

 彼女はボソボソと何かを呟く夫に対して、疑問を抱く。ただ…

 

「お前のせいで、おばは死んだんだ…!」

 

 彼の振り上げたその手は見えていなかった。

 

 

ガンッ

 

 

 

 寝静まる家家の間に、鈍い音が響き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血でぐちゃぐちゃに染まったいえの中で彼は目を覚ました。あたりをには蝿がぶんぶんと飛び交っており、目の前には、顔を失った愛する嫁の姿があった。

 

「ぁ…」

 

 罪を重ねた。大切なおばを失い、今度は愛する嫁を失った。どちらも、自分で殺して。

 

「ぇあ……ぁ……」

 

 見慣れた家に、嫁の死体と血があり、男はどうにも現実のものだと思えなかった。

 

「ぅぁ………ぁ…………」

 

 男は壊れていた。もう完全に壊れきっていた。

 

「ぉ……」

 

 ふと、男は何か思い出したように、言った。

 

「そうだ、おばを山に行って連れて帰って来なきゃ。し、死んでしまってはいけないからな…。」

 

 男は、ふらふらと、乾いた血で汚れたまま、外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔々、信濃の更級というところに、こんな噂があった。

 

 そこは、妖に取り憑かれた家だと。

 

 ぐちゃぐちゃに血で汚れた古い家で、痩せ細った男が暮らしており、そこにある二つの死体を、生きた人のように扱って暮らしているらしい。

 

 近くの人たちはたいそう怖がって、陰陽師を呼んだけれども、一向に解決せず、仕舞いには男が陰陽師を襲ったため、今ではその家は隔離されているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おばあちゃん!嫁さん!朝だよ!ご飯を食べよう!え?俺に作って欲しいって?しかたないなぁ!ちょっと待っててね!えーと、今日は何があったっけ…」

 




 殺すぐらいならその独占欲強めの嫁さんくれよ(迫真)


 ヤンデレ書きたい欲と(リア友に垢バレしてるし)黒歴史になるぞって言う感で戦っている…

次回作なんにしよう

  • これでおなかいっぱいです(婉曲表現)
  • ヤンデレとかの恋愛
  • SCPモドキとかのホラー
  • VRMMOとかの異世界ぽいやつ
  • こんな感じの短編
  • なんでもいいから出せ
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