「フ、フギャァァァァァ!!!」
「「「!?」」」
ここは、『深海棲艦 五島支部』と言う家…ゴホン、支部。その支部に悲鳴がこだました。
「ダ、大丈夫!?」
「悲鳴ガ 聞コエタノ!」
「集積地棲姫、大丈夫カ?」
たまたま家にいた港湾棲姫、北方棲姫、レ級が心配してとんできた。集積地棲姫が階段の下で膝を押さえて悶絶していた。
「大丈夫…?」
港湾棲姫が覗き込むように、心配して聞く。
「…カ、階段ノ 手スリ…アルダロ…?」
「ウ、ウン。」
「急イデ 下ニ 降リヨウトシタラ…端デ…ブツケタ…!」
「アァ…。」
港湾棲姫の顔はなんだと、心配して損した顔になった。
「コレハ、嫌ナ日ノ 前兆…!」
「イヤイヤ、不注意ダロ…。」
「イヤ、コンナ日ハ 前ニモ アッタ!アレハ、少シ 前ノコトダ…。」
「アッ、コレ 回想アルノカ…。」
「イヤ、大体ハ 省ク。」
「省クンカーイ。」
「コンナ日ハ 大抵燃ヤサレル日ダ…。」
「イツモダロ。」
平然と返すレ級。
「5年前ノ 冬モ…(ギャァァァァ!!!熱イィィィィ!!!)、4年前ノ 夏モ…(ギャァァァ!!集メタ 物資ガ…!)、3年前ノ 秋モ…(ギャァァァ!燃エルゥゥ!!)、一昨年ノ 冬モ…(ギャー!燃エテシマウ…!)、去年ノ 夏モ…(ギャー…。)。」
「イツモジャネーカ!ソレニ、ソレヲ イチイチ 覚エテイル オ前怖イゾ…。」
集積地棲姫がトラウマを思い出して、レ級たちがなんとも言えない顔をした。
「トニカク!断言スル!今日ハ 嫌ナ日ダ!」
「痛イノ 痛イノ、オ空ニ 飛ンデクノ!」
「アァ〜、癒サレル…。」
「胸キュン 不可避…。」
「聞ケ!!!」
北方棲姫が集積地棲姫の膝を撫でて飛んでゆくようにして、港湾棲姫とレ級が胸キュンする。集積地棲姫は北方棲姫にそうしてもらえて内心とても嬉しいが(ぎゅーってしたいくらい)、聞かない二人に怒鳴った。そこに…。
ピンポーン
「ハーイ?」
チャイムが鳴って、港湾棲姫が玄関へ行く。
ガララララ
「こんにちは!」
「アラ、コンニチハ。」
艦娘がいた。
「今日ハ ドウシタノ?」
「本日は、司令官からの頼み事を…。」
「何故、アナタガ?」
「司令官は今とても忙しくて…。あっ、その忙しさと関係するお話です。」
「?」
港湾棲姫はとりあえず、その艦娘を居間へあがらせてお茶を用意する。
「忙シイッテ、何ガ?」
「えと…。実は、今週の日曜日に公開演習があるみたいで…。」
「公開演習?テ、日曜日ハ 明後日…。」
「はい…。国のお偉いさん方や一般の優しい方々が視察しに来るんです。」
「へェ〜。」
港湾棲姫は興味深そうに聞く。
「そこで、折り入って相談が…。」
「…マサカ、八百長ヲ…。」
「いえいえ!違います!第一、演習ですので敵はいません。」
「ソウ…。ナラ、相談ッテ?」
「その…受け付けや中の屋台をやってくれませんか…?」
「…受ケ付ケ…?屋台…?」
「はい…。司令官が演習のことを忘れていて、他の子たちに休みを与えてしまって、鎮守府に最低限の艦娘しかいなくて…。」
「休ミヲ 貰ッタカラッテ、何処ニモ 行クトコロ ナクナイ?此処 田舎ダシ…。」
「あっ、皆んなで旅行です。」
「旅行…。…エ?デモ、アナタハ…。」
「お留守番ですが何か?」
「イ、イエ…。」
港湾棲姫が改めて艦娘の顔を見ると、その笑顔に闇を感じた。
「鎮守府に最低限の艦娘しかいなくて…。演習に参加する私たちもたまたまで…。あっ、それと監視カメラも壊れてしまったので、その警備も…。それと、案内役も…。マスコットキャラクターの中の人も…。」
「側カラ 見タラ 乗ッ取ラレテイルト 勘違イサレルワヨ…。」
艦娘の話に半ば呆れながらも聞く。
「司令官は今急いでプログラムや説明の紙をなるべく手抜きとバレないように書いています。それと、私たちも今急いで練習をしています。」
「大変ネ…。ハァ…仕方ナイ…。手伝ッテアゲル。」
「ありがとうございます!これでもっと頑張れます!」
「何時カラ?」
「えっと…朝の10時ごろに始まるので、9時にはもう…。それと、ほっぽちゃんにはキツいと思いますので、お留守番という形で…。」
「ワカッタ。ソレト、コレハ 貸シニ シテアゲルカラ、今度必ズ 返シテネ。」
「はい!」
「気ヲツケテ 帰ッテ。」
艦娘は喜んで鎮守府に戻って行った。
「…ヤッパリ 嫌ナ日ダ…。」
ちなみに日曜日、集積地棲姫はバイトの休みである。
「あっ、おはようございます!」
「オハヨウ。」
港湾棲姫らが鎮守府に到着する。
「ほっぽちゃんに事情は…。」
「ホッポハ 寝テイタカラ、書キ置キヲ 残シテ 来タ。」
「良かったです。ところで、何故集積地棲姫さんだけ普通の格好なんですか?皆さんは普通の人のように変装しているのに…。」
「ワカラン…。伝エラレテイナイ…。トイウカ、帰リタイ…。」
「デモ、手伝ッテモラワナイト…。」
「イヤイヤ、顔合ワセラレナイ、一人ガ イイ、話スノ 苦手ダ。何モ 出来ナイ。」
集積地棲姫が当然のように言うのが不味かった…。
「ソウ言ウト 思ッテイタカラ 大丈夫。」
「?」
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「「「!?」」」
「集積地棲姫ハ、中ノ人ヲ ヤッテモラウ。」
問答無用でその衣装に着替えさせられる集積地棲姫。
『アッツ!!燃エル!』
「燃エナイ。」
着ぐるみを被った集積地棲姫がたまらずに声を上げる。例え気温が春でも、中は暑い。
『イヤ、普通ニ暑イ…。』
「顔合ワサナクテモ イイシ、一人ニ ナレルシ、話サナクテモ イイ。」
『…ソウダガ…。…アッ、モシカシテ 変装ノコト 伝エナカッタノモ…。』
「ナンノコトカシラ。」
港湾棲姫がしれっとした。集積地棲姫がブツブツ言うが、気にもしない。
「レ級ハ、案内役ヲ 頼ムワ。」
「任セロ。」
「防空棲姫ハ 屋台ヲ オ願イ。」
「フフ、任セナサイ。…港湾棲姫ハ?」
「艦載機ヲ 使ッテ、警備。」
港湾棲姫が艦載機を出す。
『メチャクチャ 暑イ…。死ヌ…。』
「皆ンナ、後ハ 頑張ッテ。」
「ン…。」
北方棲姫が丁度その頃起床した。
「今日ハ 晴レテルノ…。」
北方棲姫が朝の日課である、ガラス戸を開けて背伸びをしようとしたら…。
ビュゥゥゥ〜
「ウッ…。」
ガラス戸を開けた途端に突風が入り、目にゴミが入ってしまった北方棲姫。
「ウ〜…。ゴミ テキ!」
北方棲姫がゴミを取り除き、空を見た。
「……。紙ガ 飛ンデルノ…。」
空に紙が飛んでいる。それは港湾棲姫の書き置きだった…。突風で飛ばされ、目を擦っている間に飛んで行ってしまったのだろう…。
「オネーチャン?」
そして、港湾棲姫を探しに家中(2階を除く)を捜索した。
ピンポーン
『ハーイ。』
五島沖海底姫の家のインターホンが鳴る。
「グスッ…。」
『……。』
ガチャ
「ドウシタノ?ホッポチャン…。」
「オネーチャンガ イナイノ…。出テ行ッチャッタノ…。」
「出テ行ッタ!?」
「キット、ホッポガ 我儘ヲ 言ウカラ…。」
「ソンナコトナイワ。ホッポチャン、イイ子ダモノ。オネーチャン、幸セノハズヨ。」
「ソウナノ…?」
「ウン。キット、近クニ イルワヨ。探シニ 行コウ?」
「ウン!」
北方棲姫と五島沖海底姫が手を繋いで、歩いて行く。
「鎮守府ノ イベントナノ?」
鎮守府で公開演習を目の当たりにする二人。
「ココニ イルカモ シレナイワネ。」
五島沖海底姫と北方棲姫が人混みに紛れながら入る。
「ハグレナイヨウニ シナイト…。…アレ?」
手を繋ごうとしたら、北方棲姫がいなかった。
「ホッポチャン…?」
サーー…
五島沖海底姫の顔から血の気が失せた。
「大元帥様、こちらでございます。」
「うむ。」
大元帥到着。そして、門へ行く。
「オ、オハヨウゴザイマス…。コチラハ 案内役ダ。地図ハ コレダ。」
「う、うむ。」
案内役の変装したレ級に気づかない大元帥。
(丁寧にお辞儀、少し恥ずかしいのか、戸惑っているけど挨拶をしっかりしている…。自身の役割をまず最初に伝えて、地図を渡してくれるのも良いな。)
大元帥はそんなことを思いながら、中に入った。
「人ガ 沢山イルノ…。」
人混みを縫うように進んで行く北方棲姫。そこに…。
ドンッ!
「ワプ…。」
「おや、大丈夫かい?」
「ゴメンナサイナノ…。」
おじさんに当たり、謝る北方棲姫。
「…見たところ保護者がいないようだけど…。君一人で来たの?」
「ウン…。」
「一人は危ないよ。…後で鎮守府の者に訳を話すか…。でも、多分演習を観に来たのだよな…。一般に公開されることも滅多にない…。親は何かしらの事情で来れなかったと見るべきか…。」
おじさんが呟いた後…。
「演習を観てから、鎮守府の人に訳を話そうか。」
「?」
(演習ヲ 観ルノ…?デモ、他ニ 人イナイノ…。)
北方棲姫も考え…。
「ウン。」
北方棲姫はおじさんに連れられて、何やら大層な観客席に行く。
「大元帥様、こちらでございます。」
「うむ。あと、子供用の椅子も頼む。」
「御意。」
(大元帥…?階級分カラナイノ…。)
北方棲姫が子供用の椅子に座った。
「屋台疲レター…。」
「案内役モ 意外ト 疲レタワ…。」
「フウ…。」
お昼の休憩。深海棲姫たちが鎮守府の裏で休む。
『……。』
「アラ、集積地積姫。休憩ダカラ、脱イデモ イイワヨ。」
「ヤッテラレルカ!!!」
秒速で脱ぎ捨てる集積地棲姫。
「暑イワ!!燃エルワ!!死ヌワ!!」
汗がものすごい出ていた。
「水。」
「……。」
ごくごく
集積地棲姫がペットボトルのスポーツドリンクをすぐに飲み干す。
「プハー!」
「ソノ調子デ 午後モ…。」
「鬼カ!」
「違ウ。姫…。」
「ソウイウ意味ジャナイ!」
集積地棲姫がギャーギャー騒ぐが、有無を言わさないつもりだ。そこに…。
「アッ!イタ!」
「五島沖海底姫サン?」
五島沖海底姫が慌てて来る。
「ホッポチャンガ イナクテ…。」
「…エ?」
五島沖海底姫が訳を話す。
「ドウシテ 連レテ来タノ!?」
「アナタガ イナイッテ 泣イテ来タカラヨ!」
「デモ、書キ置キガ…。」
そこに…。
ピトリ
「?」
港湾棲姫の目に紙が当たった。
「……。」
書き置きの紙だった。そして、風で飛ばされたことを理解した。
「トニカク、ポッポヲ 探サナイト…。」
港湾棲姫たちが変装しながらも、集積地棲姫は変装するものが無いため、着ぐるみを積極的に被って探しに行く。
「いい?今日は司令官の上官である大元帥が来ています。こんな辺境の地まで態々足を運んでもらいましたので、絶対に失敗は許されません!気を引き締めて行きましょう!」
艦娘たちが控え室で気合を入れる。
『次に、艦娘からの公開演習をはじめます。』
提督からの放送が入り、艦娘たちが海に出撃する。
『まずは…。』
このように、プログラムは淡々と問題なく進行。かと思ったが…。
(大元帥も観ている…。え!?ほっぽちゃん!?)
大元帥の観客席を見た途端、北方棲姫の姿があるではないか。しかも、隣に座っている。
(なんで…?どういう…。)
『…撃て!!』
「あ、はい!」
北方棲姫を見つけた艦娘が遅れて発砲、しかも的に命中せず。
ざわざわ…
『…次は…。』
失敗してもプログラムは進行。その艦娘は顔が青ざめていた。
「失敗は誰にでもあるクマ!次頑張るクマー!」
「そうにゃ。次があるにゃ。」
「ちょっと緊張しすぎだったんじゃな〜い?」
しかし、仲間からすぐに声援を送られた。もちろん、放送されている。
「ありがとうございます…!」
艦娘が感謝の言葉を述べる。これはただの元気付けではない。仲間同士で支え合っているというアピールにも繋がるのだ。そんな感じで淡々と演習は進行。そして終わる。
「大元帥殿、あの時外した者は…。」
「…その瞬間、何かに驚いて集中が途切れた。これは練度不足ではない。」
「はっ!」
(難シイ 話ヲシテイルノ…。)
原因が自身だと知らない北方棲姫。そんなことを言っていると演習が終わった。
「演習が終わったね。なら、鎮守府の人のところに行こうか。」
「ウン。」
おじさんが北方棲姫を案内所へ連れて行く。
「おや…?いないようだな…。」
「?」
案内所には誰もいない。レ級は今必死に北方棲姫を捜索中だ。
「仕方ない…。鎮守府の提督の所に行くか。」
「ナノ?」
次は、提督室へ直々に行く。
コンコン
『今忙しいので少しお待ちください。』
「待てん。」
ガチャ
「うおっ!?問答無用で入ってきた!て、大元帥殿!」
提督が慌てて敬礼をする。
「いい。それより、案内所に誰もいないんだが…。」
「え、誰も…。て、ほっぽ…あ…。」
「ほっぽ?」
「い、いえ!なんでもありません!」
「まさか、北方棲姫…。敵ならば…。」
大元帥の顔の雲行きが怪しくなっていた時に…。
バァン!
「ココニ イタ!心配シタゾ!!」
ぎゅー
「苦シイノ…。」
「無事デ 良カッタ…。」
レ級が心配した分だけ抱きついた。
「…君は案内所の…。」
「ア…。」
レ級の正体がバレた。
「ふむ…。」
大元帥は今のを見て、少し考えた。
「…案内役はレ級だったのか…。」
「…レ、レキュウ…?ワカラナイナ…。」
「変装がもう出来てないから、今更無理だよ…。」
レ級がとぼけようとしたが、ダメだった。
「ふむ…。案内役が君なら、問題はないか。」
「「え(エ)?」」
「いや、深海棲艦が侵入して民間人に危害を加えるのだと思ってな。案内役であったレ級を見る限り、そんな気はない。なら、態々追い出す必要も、倒す必要もない訳だ。」
大元帥の顔は少しスッキリしていた。
「…我々が目指すのは深海棲艦との和解…。こうして仲良く出来ているのなら、問題はないだろう。」
「大元帥殿…!」
「オォ…。」
大元帥がカッコよく言い、提督と北方棲姫が反応した。そこに…。
「ホッポ!」
「ホッポチャン!」
「ホッポ!」
港湾棲姫たちがなだれ込むように入ってきた。
「おーおー…。まさか、こんなにいたとは予想外…。」
「…ですよね…。」
提督と大元帥は北方棲姫に抱きついている港湾棲姫たちを見て、少し微妙な顔をした。しかし北方棲姫を見つけた反応は、子供を見つけた母親と同じで、とても和み、口元が緩んだ。
「では、失礼する。」
「はい。またいらしてください。」
「それでは。」
夕方、大元帥は用意された車に乗って空港へ行く。
「……。」
大元帥は途中、木々の中で手を振る北方棲姫を見つけた。隣には港湾棲姫もいる。大元帥は可愛いものを見るような顔をして、車の窓を開けて手を振りかえした。
ちなみに、提督は後で高額なバイト代を請求されたのはまた別の機会に…。
『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。
ゆるいのは最高だ。
おそろしく速いシリアス、オレでなきゃ修正できないね。
次回は従姉妹のお姉さんの話になりそうです。
誰を登場させたいか
-
集積地棲姫
-
戦艦棲姫
-
駆逐棲姫
-
南方棲姫
-
空母棲姫
-
軽巡棲姫
-
重巡棲姫
-
水母棲姫
-
潜水棲姫
-
離島棲姫
-
船渠棲姫
-
護衛棲姫
-
防空棲姫
-
泊地棲姫
-
飛行場姫
-
その他