深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

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ゆるゆる…。現代社会を生きる者には欠かせないもの…。


拾壱話 頑張リ屋サンノ提督

「スー…スー…。」

 

浜辺のパラソルからすこやかな寝息が聞こえる。デッキチェアでくつろぎながら、寝ている者がいた。パラソルの影で肌の焼ける心配もない。

 

「コンナ所デ 寝テイタラ、マタ 西日デ 痛イ思イヲ シマスヨ。」

 

「ン…。」

 

起こしたのは、淡いピンク色のツインテールに片目隠れ、そして黒いビキニ姿というなかなかセクシーな出で立ちで扇情的な肉体を誇る南方棲戦姫だ。鉤爪のような手の艤装をしていないため、素手で揺さぶってきた。

 

「オハヨウ…。」

 

「オハヨウジャ アリマセン…。」

 

寝ぼけた優しそうな顔をしているのは港湾夏姫。港湾棲姫の従兄弟に該当する存在で、港湾棲姫にお姉さんと言われている。巨大な花が乗った白い大きな麦わら帽子を被っており、服は胸元が露出した白いワンピースを着ている。青色の瞳に、白い肌に白く長い髪を持っており、左目は髪がかかって隠れていて、体つきは豊満な美しい女性である。その微笑み顔は見るものを癒してしまいそうだ。

 

「集積地棲姫サンガ 帰ッテカラ、ズット 気怠ソウヨ。」

 

「ソウカシラー…?」

 

「マダ 寝ボケテル…。」

 

港湾夏姫が眠そうに欠伸をして、涙を指で軽く拭う。

 

「あら、また寝てるの?寝坊助さん。」

 

「提督サン…。」

 

「やっ。元気にしとるか?」

 

すると、女提督が砂浜を歩いて来た。隣には艦娘もいる。

 

「今日は戦いには来てないわ。出撃組が疲労しているから、暇潰しにゲームを持って来たのよ。」

 

「…?」

 

港湾夏姫が眠そうな顔をして、そのゲームを見る。

 

「『人生ゲーム』って言うボードゲーム?を。」

 

「ここらじゃ品揃えはアレやったから、自作やけど。」

 

艦娘がそれを見せる。

 

「やらない?」

 

「ンー…。眠イカラ…。」

 

港湾夏姫は欠伸をして言う。

 

「またまた、そんなことを言って…。前はすごく気性が荒かったじゃない。」

 

「安眠ヲ妨害スルカラヨ…。」

 

「まぁ、そん時はしつこくして悪かったなぁ…。酔っ払ってた隼鷹は、提督から雷落ちたから許してな〜?」

 

「……。」

 

港湾夏姫が身体を起こす。

 

「じゃ、早速やろうか。」

 

「ヤルッテ 言ッテナイケド…。」

 

「始めるで〜。」

 

提督たちは有無を言わさずにやる。

 

「提督からや。」

 

「わかった。」

 

「ン…。」

 

「ナニヲ シテイルノ?」

 

その後、南方棲戦姫も混ざった。

 


 

「3…。夜戦ノシスギデ 眠イ…。一回休ミ…。」

 

「あなた、ここでも寝るのね…。」

 

港湾夏姫がほぼ全て、眠り系の一回休みだ。

 

「それに比べて私は…。…4…。男を逃して嫁き遅れ…一回休み…。うっさいわ!!!」

 

提督がカードを床に叩きつけた。先ほどからずっと、こんな感じのほぼ男関係のマスだ。しかも、不幸系なものばかり…。

 

「えーっと?2は…。ズイズイを踊る?なんやこれ…。こうか?」

 

「…急ニ歌ウ…?加賀岬…?」

 

もうカオスに近くなってきた…。

 


 

「あとは提督と港湾夏姫だけやで〜。」

 

「早ク。」

 

「うっさいわね!今不幸マスで運気が下がっているんだから…。」

 

「4…。死ヌホド 寝カセテ〜。…一回休ミ。」

 

先程から、女提督には不幸系や、日常の婚活系の災難に(現実でも)悩んでいて、港湾夏姫は寝てばかりだ。そして…。

 

「よし!上がり!結婚は出来なかったけど…!」

 

その提督の顔は嬉しそうだが、どこか…。……。

 

「最下位はゴールしても、なんもお金もらえんよ。」

 

「今まで休んでばかりだったから、お金も貯まってないし…。」

 

二人が港湾夏姫の所持金を見て言う。

 

「…株チャレンジ?」

 

すると、初めて普通のマスに止まった港湾夏姫。

 

「ルーレットをすれば、株券とお金を交換出来るってやつ。艦娘、ルーレット回してあげて。」

 

「ほい。」

 

艦娘がルーレットを回したら…。

 

「…オール10や…。」

 

「え!?」

 

信じられない顔をした艦娘。

 

「…うちらの所持金とほぼ同じになっとるで…。」

 

「てか!保険も全部使ってない!寝てばかりいたから…!」

 

結果、すぐにゴール出来た港湾夏姫。所持金はおかしいほどあった。

 

「コツコツ貯めたのに…。所持金はあるけど…。男に逃げられて…。」

 

「て、提督!?暗く考えたらアウトやで!ポジティブシンキングや!」

 

泣きそうな女提督に、すかさずフォローする艦娘。

 

「ソウヨ。私タチハ 結婚シタケド、ソノ分 人生ヲ 満喫デキルホド オ金ガ 貯マッテイマス…。」

 

「愛がない!愛はお金で買えない!」

 

女提督はより深く傷ついた。

 

「第一、こんな辺境の地で男を探すなんて無理だし…。まだ私だって若いもん…。頑張れるもん…。日本人の文化じゃないから、モテないだけだもん…。本気を出せば結婚できるもん…。」

 

女提督は少し離れたところで、座りながら呟いている。三十路まであと2年…。南方棲戦姫は憐れんだ目をして見ていた。

 

「あぁー…。スイッチ入ってしもうた…。提督はああなると、しばらく立ち直れないんや…。」

 

艦娘が走って行き、女提督を必死にフォローする。

 

「提督もまだ若いって!全然余裕や!日本に帰れば、声かけられること間違いないって!収入もいいし!男が放っておくはずがないって!」

 

「ほんと…?」

 

「…………ほんとや!」

 

「なんか間があった!どうせ、貧相な身体つきですよ…私は…。」

 

「アッ、モット イジケタ。」

 

「ナカシチャ ダメデスヨ。」

 

「泣かす気はなかったんや!」

 

女提督がいじけて、港湾夏姫らに艦娘が責められた。

 

「貧相な体つきって言ったって、うちほどじゃない。提督も、きっと需要があるはずやで?」

 

艦娘が提督の隣で慰める。

 

「ソウデスヨ。隣ヲ 見ナサイ。提督ヨリ ヒドイノガ イマス。」

 

「うっさいわ!」

 

南方棲戦姫が言い、艦娘が怒鳴る。

 

「てか、この中じゃうちが一番貧相やし…。子供っぽいのもうちやし…。うち、軽空母なんやで…。なのになんなん…。」

 

「アッ、コッチモ スイッチガ…。」

 

艦娘までいじけた。

 

「モウ…。仕方ナイワネ〜。」

 

港湾夏姫が二人の近くに行き、同じ目線にしゃがむ。

 

「提督。」

 

「なに…?」

 

「大丈夫。」

 

「なにが…?」

 

「嫁グ努力ヲ シテイル 頑張リ屋サンノ 提督ハ、キット結婚デキルワ。陰ナガラ 努力ヲ シテイル 提督ノ 良サガ 分カル人ハ 絶対ニ イル。モシ、ソレニ 気ヅカナイナラ、男ガ 見ル目ノナイダケ。本当ノ 姿ヲ 見レナイ 男ナンカト、長ガ続キシナイワヨ。最低ナ男ト 一緒ニイテ 楽シイワケガ ナイワ。」

 

「そう…?」

 

「ウン。提督ハ 頑張ッテイテ 可愛イカラ。」

 

「うん…。ありがとう。」

 

女提督が元気になる。

 

「アナタモ、体型ガ 気ニナルノハ 仕方ナイワ。デモ、悩ンデモ 変ワラナイ。ダッタラ、違ウ所ノ 良サヲ 活カシマショウ。第一、胸ガ ナンナノヨ。大キイト 良イッテ、誰ガ 決メタノ?ソンナ 小サナ問題ヲ 気ニセズ 自分ラシク 生キル子ガ モテルノヨ。」

 

「…せやけど…説得力がないって言うか…。」

 

艦娘が港湾夏姫の胸を見る。豊満だ。艦娘は変なところにダメージが入った。

 

「ソコマデ 辛イナラ、戦艦新棲姫ノ 胸ヲ 思イ出シテ。同情スルクライ 残念ダワ。」

 

「ホ〜ウ…。何ガ 残念ナノ…?」

 

「ア…来テタノ…?」

 

振り向けば戦艦新棲姫。カニが赤く、茹で蟹のようになっていた。

 

「エエ。デ、何ガ 残念ナノ?」

 

「……。」

 

港湾夏姫はいつもの顔に似合わず、微笑んだまま冷や汗を流していた。

 

「ナルホドネ…。言エナイヨウナ コトナノネ…。」

 

「イ、イイエ…。ソンナ…ネ…。」

 

「ソンナ…ナニ?」

 

戦艦新棲姫の顔が怖い。港湾夏姫は、こういうタイプは苦手のようだ。

 

「え、えっと…。強くて残念なくらい羨ましいってこと!」

 

女提督が見ていられなかったのか、肩を持ってくれる。

 

「…ソウナノ?」

 

「エ?エ、エエ…。」

 

「せやでせやで。」

 

艦娘も頷く。ここで暴れられても困るからだ。

 

「イヤ、強イナンテ…。ソコマデ 強ク ナイワ。」

 

戦艦新棲姫はコロっと騙されて、照れる。

 

「つ、強いよ!うん!」

 

「せ、せや!深海棲艦の中で一番や!」

 

「ヨッ!世界一!」

 

「イヤイヤ…。」

 

戦艦新棲姫の機嫌が良くなり、内心ホッとする面々だったが…。

 

「港湾夏姫サン。」

 

「アラ、南方棲戦姫。」

 

「胸ヲ 大キクスル方法ハ アルソウデス。近クノ ウィーフィ スポットデ 確認シテ 来マシタ。」

 

南方棲戦姫が余計なことを言った。その後、どうなったかは知る由もない。

 


 

「イイ、嘘ヲ付クト 碌ナコトガ ナイワ。」

 

「知っとるで…。」

 

「痛い…。」

 

頭にタンコブがある三人は、仲良く正座させられている。

 

「ッタク、体型ガ ナニヨ。人ハ 心ヨ。」

 

「せやけど…。気になるっちゅーか…。」

 

「生マレモッタ 体型ハ 変ワラナイワ。ソレ以外デ 何ヲスルカニ 意味ガアルノヨ。」

 

戦艦新棲姫が言う。

 

「…戦艦新棲姫ハ 男ガ 出来タコト…。」

 

「アン…?」

 

「イ、イイエ。ナンデモ ナイワ〜…。」

 

港湾夏姫が聞いたところ、怖い顔をした。

 

「ト言ウヨリ、コンナ 辺境ノ 地デ マトモナ 男ハ イナイワ。提督ハ 有給ヲ 使ッテ 本土ニ 帰リナサイ。コノママ ズット ココニ 配属ダト、本当ニ 結婚出来ナイワ。」

 

「ソウヨ。ココラノ 海域ハ 任セテ、行ッテキナサイ。」

 

「ソウデス。貴方ノ 幸セモ 考エナイト。」

 

「なんか深海棲艦がいい人にしか見えない…。てか、本当にいい人だし…。…本当にいいの?」

 

「もちろんや!うちらも、港湾夏姫らと仲ええしな。提督も、はよええ人探さんと、本当にうちも心配や。」

 

「そう?」

 

「「「ウン(ええ)。」」」

 

「そうかな…。じゃあ、溜まっていた有給使おうかな。一週間くらい、留守にすると思うけど…。」

 

「十分羽伸バシナサイ。」

 

「せやせや。休息も大事や。」

 

「イッテラッシャイ。」

 

「う、うん!ありがとう!」

 

提督は早速、有給の電話を本部に入れに帰った。

 

「…提督はあんなにかわええのにな。」

 

「本当、可愛イワ。」

 

「ドウシテ モテナイノカ 分カリマセン…。」

 

「…モシ、提督ガ 結婚シタラ、ドウスル〜?」

 

「結婚かぁ〜。そこまでは考えとらんかったなぁ。ここで暮らすんちゃう?」

 

「ソウカモ シレナイワネ。」

 

「ダト イイデスネ〜。」

 

そんなこんな話をして、ゆるく過ごす深海棲艦と艦娘。提督は休暇を使って日本へ帰港するようだ。

深海棲艦も艦娘も、提督の無事や成功を祈って、仲良く送り出し、鎮守府でどうかるか話をして盛り上がったそうだ。

『深海棲艦 ユーマン島支部』は今日も平和です。




ゆる。
奴はとんでもないものを盗みました。この小説のシリアスです。
次回は…ネタが出来たらやります。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
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