深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

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紅葉狩りって、どうして狩ってもないのに紅葉“狩り”というのだろうか…。


拾参話 深海レンジャー

 

「ファ〜…。」

 

大きな欠伸をする港湾棲姫。

 

(イザ、海域ニ 行カナイトナルト、暇ネ…。職業病カシラ…?)

 

そんなことを思いながら煎餅を食べている。お昼の暇な時間の主婦そのものだ。

 

「オネーチャン、何ヲ 食ベテルノ?」

 

「ホッポ。煎餅?ダッケ?前提督カラ 貰ッタヤツ。」

 

「オネーチャン…。最中モ 食ベナイト…。」

 

「ソウネ。」

 

最中を取り出しに行く港湾棲姫。そこに…。

 

プルルル…

 

「?ハイ、コチラ『深海棲艦 五島支部』。」

 

電話が鳴り出して、港湾棲姫が出る。

 

「…本部…。…ハイ…。…居マス。…ハイ…。…エ…今…?…ハイ…。…分カッタワ。…ハイ。デハ…。」

 

港湾棲姫が電話を切った。

 

「…ハァ…。急ガナイト…。」

 

その後、急いで何かを準備しに行った。

 


 

「オ留守番、頼ンダワヨ。」

 

「少シ 行ッテクル。」

 

港湾棲姫とレ級が玄関にいる。

 

「少シ、家ヲ 空ケルケド…。…大丈夫?」

 

港湾棲姫は今残っている集積地棲姫、防空棲姫、北方棲姫を心配する。

 

「ホッポノコトハ 任セロ。」

 

「フフ…。オ土産 ヨロシクネ。」

 

「……。」

 

「…ホッポ…。」

 

北方棲姫は黙ったままだ。最近、港湾棲姫と一緒に過ごす機会が少なくて、少し拗ねているのだ。

 

「……。」

 

「アッ…。」

 

そして、北方棲姫はリビングへ行ってしまった。

 

「…帰ッタラ、遊ンデヤレヨ。」

 

「フフ…。ソウネ…。」

 

二人は言った後、リビングへ慰めに行く。港湾棲姫はテンションだだ下がり、お先真っ暗な顔で行こうとしたが…。

 

「アッ、行ク前ニ トイレ行ッテクル。」

 

「……。」

 

レ級がトイレに行き、港湾棲姫は先に行った。

 


 

「……。」

 

港湾棲姫が無表情で海上を走っていると…。

 

「悪イ。待タセタ。」

 

レ級が追いついた。背中のリュックが不自然に膨らんでいるのは気のせいだろうか…?

 

「所デ、何デ 行クンダ?」

 

「…本部カラノ 命令ヨ…。アル日、突然組織ヲ 抜ケ出シタ 深海棲艦ノ 居場所ガ 分カッテ、コノ支部ガ 一番近イカラ 見ニ行ケッテ…。」

 

「ナルホドナ。」

 

「…トコロデ、ソノ膨ランダ リュック…。」

 

港湾棲姫がレ級の背中にある、普段から特に意味のないリュックに触れようとしたら…。

 

「ブハッ!来チャッタノ!」

 

「ホッポ!?」

 

北方棲姫がレ級の背中のリュックから頭を出した。

 

「レ級!」

 

「シ、仕方ナカッタンダ…。トイレカラ 出タ途端ニ 泣キツカレテ…。」

 

「ナ、何ト…!」

 

港湾棲姫が驚いた。

 

「ホッポ、ダメジャナイ!」

 

「ゴメンナサイナノ…。」

 

港湾棲姫が姉として…支部のリーダーとして、北方棲姫を叱る。

 

(マァ、ソウダロウナ…。危険ナコトカモ 知レナイノニ ツイテキチャッテ…。ホッポダケジャナイ…。勝手ニ 連レテキテ…。…反省シナイトナ…。)

 

レ級が自身を責めた。

 

「レ級ニ 泣キツクナンテ!」

 

「ソッチカイ!」

 

どうやら、怒っているのは自分を差し置いて、レ級に泣きついたことについてらしい。レ級は今の反省を返せと思った。

 

「…モウ 引キ返セナイシ…。一緒ニ 連レテ行クシカナイナ。」

 

「オネーチャント レ級ト 旅行ナノ!」

 

「何嬉シソウニ シテンダヨ。」

 

レ級は器用に、背中の北方棲姫の頭を撫でる。一方、港湾棲姫はヤキモチを焼いていたが…。

 


 

「ココガ 例ノ島ダガ…。」

 

「イナイワネ。」

 

「イナイノ…。」

 

島に到着したが、見る限りだと誰もいない。北方棲姫はレ級のリュックから出ている。

 

「コウナッタラ、イナイ連絡ダケシテ 本当ニ 旅行ニスルカ。」

 

レ級はのんびりと島に上陸してリュックから、明らかに物理法則を無視して、デッキチェアを出した。

 

「ソノリュックノ 中ヲ 見タイワネ…。」

 

「中ハ 意外ト 広イノ。艦載機ヤ 甲標的ガアルノ。」

 

デッキチェアとパラソルを人数分展開しているレ級を見て、二人が話した。

 

「…海…。」

 

北方棲姫は海の中の砂浜に、足が軽く埋まっているのを見て呟いた。

 

「…遊ビマショウ。ホッポ。」

 

「ウン!」

 

港湾棲姫と北方棲姫は海で遊び、全て設置したレ級はパラソルの中、デッキチェアでくつろぎ、サングラスをかけていた。完全にオフモードだ。

 

ガサガサ

 

「「「……。」」」

 

そんな中、森の中でその様子を覗く人影が三人…。

 

「…!」

 

「「?」」

 

港湾棲姫がいち早く察して、森をじっと見る。

 

「…ドウシ…。!?」

 

「ノ…。」

 

レ級と北方棲姫が森を見て、なんとも言えない顔をした。

 

……クジラネ…。

 

……クジラダナ…。

 

……クジラナノ…。

 

港湾棲姫たちが隠れきれていない鯨に注目する。

 

「ヒャッヒャヒャ…バレタノカナァ?」

 

「ソレハナイワヨォ。」

 

「アア。バレル訳ガナイ。」

 

こっちの方を見たままの港湾棲姫たちを見て、話す三人。

 

……アンモナイトネ…。

 

……生キタ化石…。

 

港湾棲姫が思い、レ級が間違った知識の感想を述べる。

 

「アレ?ホッポ…?…!?」

 

「♪」

 

北方棲姫はクジラによじ登っていた。クジラ型の艤装は落ちないかどうか心配していて、少し嫌がっているように見えた。港湾棲姫たちが北方棲姫に、降りるようにジェスチャーをする。

 

「慌テテルヨウニ 見エルケド…。」

 

「ヒャヒャヒャ。クジラガ 大キスギルンジャナイ?」

 

「馬鹿ナ。完璧ニ カモフラージュサレテイル。」

 

三人は何が起こっているのか分からずに流暢に話している。

 

ズルッ

 

「ン!」

 

北方棲姫が足を踏み外して、落ちそうになった。クジラも港湾棲姫たちもハラハラドキドキで慌てている。

 

「ヒャッヒャヒャ!変ナ 踊リシテイル!」

 

「馬鹿ミタイダナ…。」

 

「ヤッパリ、慌テテナイ?」

 

そして…。

 

パッ

 

「ノー!」

 

北方棲姫が落ちて…。

 

ガツン!!

 

「ッ!?!?!?」

 

クジラの艤装を持った本体の頭にヒット。

 

「痛クナイノ。アリガトウナノ!」

 

しかし、北方棲姫にダメージがない。クジラが本体を犠牲にして、北方棲姫をキャッチしたのだ。ちなみに、クジラがキャッチする時、生えている手が本体の頭にクリーンヒットしたのだ。

 

「オォ…!」

 

頭を押さえてうずくまる本体。

 

「ヒャ!?バレタ!」

 

「沢山人ガ イルノ…。」

 

北方棲姫が、頭を抱えている者、丸い巨大タコ焼き、アンモナイトの艤装をした者を見る。

 

(ホッポ、挨拶ハ 大事ヨ。)

 

「挨拶ナノ…。」

 

港湾棲姫にいつも言われていることを思い出す。

 

「コンニチハ!ホッポナノ!」

 

「エ?ア、ウン。コンニチハ…。」

 

「コンニチハ…。」

 

北方棲姫の挨拶に、戸惑う二人。一方、まだ頭を抱えている。

 

「ホッポ!大丈夫!?」

 

港湾登場。

 

「クジラサンガ 助ケテクレタノ!」

 

「ソウナノ?アリガトウ。クジラサン。」

 

港湾棲姫がクジラを傷つけないように撫でる。

 

「トコロデ、貴方達ガ 例ノ…。」

 

「ゲ!本部ノ 差金カ!?」

 

「裏切リ者ハ 殺サレル…。」

 

怯える二人に、北方棲姫が首を傾げる。

 

「エ…。オネーチャン…。殺シチャウノ…?」

 

「マジカヨ…。ソノタメニ 呼ンダノカヨ…。最低ダナ…。ホッポヲ 置イテキタノモ…。」

 

「オネーチャン 嫌イ!」

 

北方棲姫たちが港湾棲姫にプイッとそっぽを向いてしまう。

 

「違ウ!違ウワ!ダカラ、嫌イニ ナラナイデ!ホッポ!レ級!誤解ヨ!話ヲ 聞イテェェェ!!!」

 

港湾棲姫がすがるように二人に叫び、何に対してわからない許しを懇願した。その様子を見ていた2人にとっての、港湾棲姫の威厳は完全になくなった。

 


 

「本部ガ 心配シテタノ?」

 

「エエ。イキナリ 抜ケ出シタカラ…。脅サレテ イルンジャナイカッテ。」

 

「ソウダッタンダァ!」

 

「アンツィオ沖棲姫ガ 殺サレルナンテ 言ウカラ…。」

 

「ヒャヒャ。バタビア沖棲姫ガ アンナ映画 見セルカラ…。」

 

港湾棲姫が事情を全て話して、丸く収まる。

 

「コレデ ワカッタデショ?ネ?ホッポ…。」

 

「……。」

 

北方棲姫のまだ疑いの目。

 

「私ハ モウ 破滅ネ…。」

 

「大袈裟大袈裟。」

 

レ級が落ち込んだ港湾棲姫の背中をさすってあげる。

 

「本当ニ 痛カッタ…。」

 

「アッ、ヤット来タ…。」

 

本体が立ち上がる。そして、持っていた艤装の棒でペシペシとクジラを叩いた後だ。クジラにダメージは0だ。

 

「トコロデ、コノ者タチハ…?」

 

ジー

 

「ナ、ナンダヨ?」

 

北方棲姫が本体を見る。

 

「コンニチハ!ホッポナノ!」

 

「オ…オゥ…。」

 

北方棲姫が小さな手を出して、本体がそれを優しく握る。

 

「オォ…。」

 

北方棲姫が握ってくれて嬉しそうに笑顔になった。そして、本体がそれを見て、何かがときめいた。

 

「…オ名前…。」

 

「ハッ!ウ、ウン!ワタシハ…。」

 

「太平洋深海棲姫ダヨォ!ヒャハハハハハ!」

 

太平洋深海棲姫がアンツィオ沖棲姫を見る。そして、北方棲姫と比べて…。

 

「…コッチガイイ。」

 

「ヒャー!裏切ラレタ!」

 

アンツィオ沖棲姫がなんともなさそうに、愉快そうに言う。

 

「ヒャヒャ、ソレヨリ 遊ボウ?太平洋深海棲姫。」

 

「…イヤ、今少シ 頭ガ 痛イカラ…。休ム。」

 

「チェーッ!」

 

「……。」

 

太平洋深海棲姫が少しムッとした。しかし…。

 

「太平洋オ姉サン?」

 

「オ、オォ…。オ姉サン…。」

 

太平洋深海棲姫が戸惑う。そんなこと、アンツィオ沖棲姫に言われたことがなかったからだ。

 

「オ姉サン、遊ブノ!」

 

「イイゾ!」

 

「即答!?」

 

「アッ、デモ、頭ガ 痛イハズナノ…。無理ヲ 言ッテ ゴメンナサイナノ…。」

 

「イヤ!今治ッタ!遊ボウ!」

 

「扱イガ 違ウ!!」

 

すっかり、北方棲姫のトリコになった太平洋深海棲姫。しかし…。

 

バシャァ!

 

「ブクブク…。」

 

「太平洋深海棲姫ーー!」

 

「太平洋オ姉サン!」

 

太平洋深海棲姫は海に入った途端に倒れ、二人に救助された。頭を打った後、危ないから水ものに入らないようにしよう。北方棲姫との約束なの。

 

「トコロデ、何デ 抜ケ出シタノ?」

 

港湾棲姫が聞く。

 

「…実ハ、ワタシタチ…。コノママデ イイノカナッテ 考エテ…。」

 

「ソウ…。」

 

「ナルホドナ…。」

 

港湾棲姫とレ級が、バタビア沖棲姫の話を真剣に聞く。

 

「モウ少シ、ワタシタチ 自身ニシカ 出来ナイコトガ アルンジャナイカッテ…。」

 

「ウン…。」

 

「マァ…ナ。」

 

「ダカラ、思イ切ッテ 正義ノヒーロー『深海レンジャー』ヲ 結成シテミタノ!」

 

「思イ切リスギ!」

 

「転職ニモ 程ガ アルワ!」

 

バタビア沖棲姫が言い出し、先ほどまでの真面目な雰囲気がぶち壊れた。

 

「一応悪役ダロ!コンナダケド!」

 

「ヒーローガ 悪役ニ 転職ハ 聞イタコトアルケド、逆ハ 聞イタコトガナイ!」

 

レ級と港湾棲姫がギャーギャー言う中…。

 

「決メポーズハ 考エテアルワ!」

 

「チョ、話聞イテルノカ!?」

 

「決メポーズガ ドウコウデハナクテ…。」

 

「アンツィオ沖棲姫!太平洋深海棲姫!ヤルワ!」

 

「ヒャハハ!ヨシキタ!」

 

「……。」

 

三人が一点に集まり…。

 

「モオォ…シワケ…アリマセンガァ…ワタシタチガァ……オアイテ…スルノォ……カカッテ…キナサイナァ!…バタビア沖棲姫!」

 

「名前ノ 前ノ セリフガ 長イ!!」

 

「…キヤガッタ…カァ…ッ。オシオキ…シナイトネェ…シズンジャエバァ…!?ブルー!」

 

「セリフガ 完全ニ 悪役!!」

 

「シカモ、名前モ 統一シテナイ!」

 

「カエレッ!太平…ゴフゥッ!!」

 

「頭打ッテ 激シイ 動キハ ヤメナサイ!死ヌワヨ!」

 

「太平洋オ姉サン 頑張ルノ!」

 

カッ!!

 

「カエレッ!太平洋深海棲姫!ワタシノ…スベテデ…カンゲイ…シヨウ!」

 

「オ前ノ 全テハ ロリコンカ!?」

 

「アンナニ 激シク 動イテ…。」

 

「「「三人揃ッテ『深海レンジャー』!!参・上!!!」」」

 

ドガーン!

 

「モウ無茶苦茶ネ…。」

 

「モウ ツッコミガ 追イツカナイ…。」

 

「カッコイイノ!」

 

新規結成した深海レンジャー。悪の存在を探し、平和な日々を取り戻す旅は…まだまだ続く!

 

「エ?コレ 続クノ…?」

 

『深海レンジャー』は今日も平和です。




続きます。
シリアスは犠牲になったのだ…。
次回はこの話の続きです。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
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