「ノンノ〜…。」
北方棲姫が窓の外を見ながら、畳の居間で鼻歌を歌っている。
「ドウシタンダ?悲シイ顔シテ…。」
レ級が通りがかり、声をかけてあげる。
「雨…。」
「アー…。梅雨ダカラナ。」
2人は雨の降っている外を見た。
「遊ビニ 行ケナイノ…。」
「雨ダカラナァ…。」
「暇ナノ…。」
「暇ダナァ。」
そんな時…。
「フッフッフ…。ナラ、コノ引キコモリノ 代名詞ニ 任セロ!」
「ソレソンナニ 生キ生キトシテ 言ウ言葉ジャナイカラナ!」
集積地棲姫が言い、レ級がツッコミを入れる。
「全ク…。港湾棲姫ガ イナイカラッテ…。」
「オネーチャン、朝カラ イナイノ…。」
「アァ、ナンカ会議ガ ドウトカッテナ。」
「支部長ハ 大変ナンダ。」
北方棲姫に2人が説明してあげる。
「他ノ皆ンナハ、バイトトカナ。コンナ雨ナノニ、精ガ出ルナ。」
「働イタラ 負ケダ。」
「オ前ハ モット働ケ。」
「レ級ヨリハ 働イテイル。」
集積地棲姫が言う。レ級と港湾棲姫は、港湾棲姫自身に何かあった場合の、北方棲姫を安心して預けられる仲だ。だからこそ、こういう日もあるためあまり働かない。
「マァ、少シイライラスルノモ 雨ノセイカモナ…。」
「…ソウダナ。」
「ソウナノ…。」
三人は窓の外の雨を見て、嫌な顔をする。そこに…。
ガララララ…
『タダイマ…。酷イ雨…。』
バッ!
「オネーチャン!」
北方棲姫はうだうだしていた体を瞬時に起こして、玄関へ走っていく。
「遅カッタナ。…テ、誰ダ?」
レ級たちがタオルを持って玄関へ行くと、見知らぬ深海棲姫がずぶ濡れで立っていた。
「……………。」
しかも、ブツブツ死んだ目で呟いている。レ級たちは少し距離を置いて、港湾棲姫にコソコソ話す。
「オイ、誰ダ…?アイツ…。絶対ニ ヤバイ奴ダロ…。色々ナ意味デ…。」
「鎮守府カラシタラ、一番ヤバイノハ レ級ダケド…。今回ノ 招集ニ 関係ガアッテ…。」
会議
「ハ、ハイ『五島支部』カラノ、『深海レンジャー』ヘノ報告ハ 以上デス…。」
真っ暗で真面目な雰囲気の中、港湾棲姫が緊張しながら話す。
「『深海レンジャー』…。…イイワネ。」
「脅サレタ 訳ジャナクテ 安心シタ。」
「ナラ、イツカマタ 会エルッテ コトネェ。楽シミ。土産話 聞カセテモラオウット。」
お偉いさん方が納得して、場が和む。
「トコロデ、アト頼ミガ アルンダガ…。」
「ハ、ハイ。」
「ウチノトコロノ 駆逐棲姫ガ 梅雨デ 鬱状態ニナッテイル…。ユルユルフワフワナ 『五島支部』ニ 一時預ケサセテ モラエナイカ?」
「エッ。デモ…。」
ピンポンパンポーン
『市民文化センターからお知らせします。深海棲艦様の借りている『第三会議室』のお時間がそろそろです。』
ポンポンポンポーン
放送が入った。
「ヤバイ!ソロソロ オ開キニシナクチャ!」
「延滞料金ヲ 取ラレル。」
「ジャア!各自解散!」
「チョ、アノ…。」
蜘蛛の子を散らすように解散した。
「テ、コトガ アッタノヨ。」
「ソノ会議ドコデヤッテンダヨ…。ソレニ、延滞料払イタクナイカラ 終ワル会議ッテ…。…コノ組織 本当ニ大丈夫カヨ…。」
敵も、市民文化センターの一室を借りれるゆるい世界。
「マァ、ソレハ置イテオイテ…。」
レ級が駆逐棲姫を見る。
「ブツブツ…ブツブツ…。」
(ヤッパリ、近寄リ難イ…。)
レ級が微妙な顔をして思っていると…。
「コンニチハ!駆逐オネーサン!ホッポナノ!」
そんな鬱を吹き飛ばすように、北方棲姫が挨拶をする。
ピカーーー!
「ウッ!眩シイ…!」
サラサラ…
「集積地棲姫ガ!!」
港湾棲姫とレ級は北方棲姫から放つ光で周りが見えず、思わず手でガードしながら目を逸らす。集積地棲姫はモロにくらい、真っ白な灰となって消えた。しかし…!
「ブツブツ…ブツブツ…。」
「オォ、今ノ光ヲ モノトモシナイトハ…。コイツ…デキルッ…!」
駆逐棲姫の暗いオーラには届かない。miss.
「…ホッポチャンハ、雨好キ…?」
「ガハッ!語リカケダケデ、コノ暗イオーラガ…!」
シュウウウウ…
「ン?一体何ガ…?」
「集積地棲姫ガ 現レタ!」
駆逐棲姫の語り掛けで、汚い集積地棲姫が復活した。
「雨ハ 好キジャナイノ…。」
「フフフ…。」
「デモ!集積地オネーチャンガ、雨デモ楽シク遊ベルッテ 言ッテタノ!ホッポハ 信ジルノ!」
「グハァ!!」
駆逐棲姫にカウンターの大ダメージ。Critical hit!!
「大ダメージダ…!駆逐棲姫ニ、クリティカルヒットダ。」
「オゥフ…。」
「ギャー!港湾棲姫ー!血ヲ吐クナー!尊死スルナー!」
サラサラ…
「正気ヲ保テ集積地棲姫!!」
北方棲姫の言葉により、外野たちが瀕死に…。
「負ケ…タ…。月ガ…綺麗…。」
「月出テナイ!勝手ニ 死ヌナ!」
まさかのワンパン撃沈。
「ハァ…何カ 疲レタ…。」
港湾棲姫がグダーっとする。
「雨ナノニ、体力ヲ 使ウカラダ。血モ吐イタシナ。」
レ級に言われる港湾棲姫。
「オネーチャン、コノ袋ハ?」
北方棲姫は、玄関にあった袋を持ってくる。駆逐棲姫は椅子に座って、顔色を悪くしていた。まだ呟いている。
「アァ、ソレネ…。ホッポニ プレゼント。開ケテミテ…。」
「?」
ガサガサ…
「ノ!?」
「長靴ダナ。」
北方棲姫は開けて驚く。可愛い感じの長靴だった。
「ソレヲ履ケバ、雨デモ 足ガ濡レナクナル。」
「オォ!」
北方棲姫は長靴を見て、目を輝かせる。
「ム!」
そして、窓の外を見た。
バッ!
「雨サンモ、怖クナイノ!」
北方棲姫は玄関へ行き、長靴を履いた。そして、勢いよく飛び出そうとしたが…。
ヒョイッ
「1人デハ ダメダゾ。」
「ノー!」
レ級に簡単に持ち上げられた。
「雨ノ日ハ、事故モ 多クナルカラナ。」
「ノー!ノー!ノー!」
「チョ、コラ。暴レルナッテ。港湾棲姫ニ 聞クカラ。」
「……。」
「急ニ 大人シクナッタ。」
レ級は持ち上げたまま、港湾棲姫の所に行く。
「ナァ、港湾棲姫。ホッポト一緒ニ 散歩行ッテクル。」
「ンー。」
「ジャ。」
レ級は、だらけたままの港湾棲姫に聞いて、北方棲姫と一緒に外へ行く。
「…エ!?」
港湾棲姫が気づいたのは、しばらくしてからだった…。
「ノ〜♪ノンノンノ〜♪」
北方棲姫は新しい長靴を履いて、傘をさしてご機嫌に歩く。
「ドウシテ…。」
「ホッポガ 一緒ガイイッテ 言ッタンダ。」
「駆逐オネーサンモ 一緒ニ行クノ!」
レ級の隣には駆逐棲姫がいる。無理矢理連れてこられた。
「ツイテナイ…。」
駆逐棲姫が呟いた。すると…。
『あらあら〜。』
「!何カ 聞コエタノ!」
北方棲姫が反応する。
「何カ 聞コエタカ?」
「サァ…。」
2人は首を傾げるばかりだ。
「コッチナノ!」
「アッ!コラ走ルナッテ!」
北方棲姫は走って行き、草むらの中を分けて探す。しばらくして…。
「イタノ!」
「?」
北方棲姫が何やら手を大きく振ったりしている。
「カタツムリ?ナノ!」
「アー…。カタツムリネ。」
レ級と駆逐棲姫はカタツムリを思う。巻貝のような殻を持った、軟体動物。触覚がありウネウネ動くのだ。
「…最恐ト呼バレテイルケド、少シ苦手ダナ…。」
「苦手ナノカ…。」
レ級が少し苦笑いをして、駆逐棲姫が初めて知る事実。
「オッキイノ!」
「大キイノハ 勘弁ダナ…。」
「大キイノハ 少シ…。」
そんなことを話し、北方棲姫が手を大きく振ったり、ぴょんぴょん跳ねているのを見て和んでいると…。
ガサガサ…
「あらあら〜。」
「オッキイノ!」
「イヤイヤイヤ!デカイッテ!デカスギルッテ!!シカモ、カタツムリ…?ナノカ…?艤装ガアル…。」
「1メートルアルゾ!」
草むらから未確認生物が出てきて、困惑する面々。一応、レ級たちは興味津々の北方棲姫を抑えながら、少し離れている。
「…カタツムリ…?ナノカ…?新種…?誰カニ 似テルナ…。」
「何故ココニ…?」
「オッキイノ!オッキイノ!」
ゆっくり動く未確認生物に、レ級たちが少し興味を持つ。すると北方棲姫がレ級の手を振り解き、近づいて…。
「ノンノン?ノン。」
「あらあら〜。あら〜。」
「ノン〜。ノンノン〜?」
「あら〜?あらあら〜…。」
「ノン!ノンノンノン!」
「あら〜。」
「「?」」
意思疎通。レ級と駆逐棲姫は、対等に話している北方棲姫を見て困惑。そして、北方棲姫が戻ってきた。
「迷子ナノ…。柱島ニ 行キタイミタイナノ…。ドコカ分カルノ…?」
「エ?ハ、柱島…?テカ、ドウシテ言葉ガ…?…マァイイヤ。柱島カ…。ウーン…。何処ダッタカ…。」
レ級が悩んでいると…。
「知ッテル。」
「「!?」」
駆逐棲姫が言う。
「柱島ノ場所ハ知ッテル。」
「本当カ?」
「ウン。」
駆逐棲姫が頷いた。
「…コノ向キカラ、東ヘ行クト柱島ダ。」
駆逐棲姫が、ある方向を向いて言う。
「ドウシテ、直グニ分カッタンダ?」
「…言イ忘レタ。『深海棲艦 怒和島出張所』所属、駆逐棲姫ダ。柱島ハ、隣ノ島ダ。」
駆逐棲姫が、所属するカードを持って言う。
「早ク言エ。」
ポカリ
レ級が殴る。
「アリガトウナノ!」
北方棲姫は輝かしい、嬉しそうな笑顔で駆逐棲姫に言った後、未確認生物のところへ行く。駆逐棲姫は自然と、とても嬉しそうに微笑んでいた。
「ノン!ノンノン!ノン!」
「あら〜。あらあら〜。」
「ノン。ノノン。」
「あら〜。あら〜。」
そして、未確認生物が頭を下げて、触覚?の部分を北方棲姫に向ける。
「ナノ。」
北方棲姫はミトンの手で、それの先を触れた。
ピカー!
「ドッカデ 見タコトアルゾ…。」
「著作権!」
某映画の有名なシーンだ。
「あら〜。」
「ナノ!」
未確認生物はそれを果たした後、どこか海の方向へ向かった。北方棲姫は手を振っている。
「…未知トノ遭遇ッテ、今ノコトナノカ…?」
「…多分…。」
2人は、今起こった一連の流れを全く理解できていなかった。
ガララララ
「タダイマ。」
「タダイマナノ!」
「タダイマ。」
三人が支部に戻る。
「エ、ア、ウン。オカエリナサイ…。」
部屋に戻ると、外へ行く支度をしていた港湾棲姫。
「…ホッポ、マダ少シ散歩スルカ。」
「ノ?」
「イ、イイノヨ!気ヲ遣ワナクテ!」
港湾棲姫は支度していた手を止めて言う。
「今日カタツムリ?ト オ話シタノ!」
「エ?ア。エエ。ソウナノネ。楽シカッタ?」
「ウン!」
「良カッタワネ〜。カタツムリサン、何テ言ッテタノ?」
「迷子ダッタカラ、話ヲ聞イタノ!ホッポモ、ワカンナカッタケド、駆逐オネーチャンニ 助ケテモラッタノ!」
「「!」」
北方棲姫の言葉に、2人は少し何かを感じた。
「…ソウ。良カッタワネ。キット、カタツムリサンモ、喜ンデイルワ。」
港湾棲姫は膝の上の北方棲姫の頭を優しく撫でて、北方棲姫が柔らかな、思わずぎゅーっとハグしたくなるような笑顔になった。レ級はニヤニヤしながら駆逐棲姫を膝でつついている。しばらくしたら、北方棲姫は寝てしまった。
「…駆逐棲姫。」
「?」
「…貴女、気ヅイタ?」
「何ニ?」
「気ヅイテナイカ。」
2人に言われて、不思議がる駆逐棲姫。
「ホッポ、最後ニ貴女ノコト、何テ呼ンダカ 覚エテル?」
「…『駆逐オネーチャン』?」
「最初、ナンテ言ッタカ 覚エテルカ?」
「…『駆逐オネーサン』!」
「分カッタジャナイ。」
港湾棲姫とレ級が笑う。
「ホッポニトッテ『オネーサン』ハ、年上ノ他人ト 認識シテイルワ。逆ニ『オネーチャン』ハ、年上ノ家族ノヨウナ、親密ナ関係ニ ナッタ者ニ言ウノヨ。」
港湾棲姫は微笑みながら言った。
「ソレト同時ニ、ホッポハ心ヲ 癒ス力ガアル。信頼シテイル人ホド、癒ヤシテクレルンダ。…駆逐棲姫、鬱ハドウナッタ?」
レ級はニヤニヤしながら聞いてきた。
「…アッ。」
駆逐棲姫は気がついた。鬱が完全に治っていることに。
「…スゴイナ。」
駆逐棲姫はスースーと、可愛く寝息を立てている北方棲姫を見て呟いた。
「…サテト、今夜ハ 梅雨ノ期間ノミノ 駆逐棲姫ノ歓迎会ヲ 開クワ。」
港湾棲姫は、北方棲姫を起こさないように、座布団を枕がわりにさせ、もう一つを北方棲姫の体の上に乗せて布団にしてあげた。
「美味シイ料理ヲ 作ルカラ楽シミニシテイテ。」
「…分カッタ!」
港湾棲姫が優しい笑顔で言い、駆逐棲姫が元気に頷いた。レ級は同年代の友人が出来たような感覚であり、ニヤニヤしていた。そのあと、皆バイトから帰ってきて駆逐棲姫の歓迎会は盛大に行われたようだ。
『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。
ちなみに、今日は未確認生物が柱島に集まる日です。
シリアス?で、味は?
次回は、梅雨の時期の天敵がきそうです…。
誰を登場させたいか
-
集積地棲姫
-
戦艦棲姫
-
駆逐棲姫
-
南方棲姫
-
空母棲姫
-
軽巡棲姫
-
重巡棲姫
-
水母棲姫
-
潜水棲姫
-
離島棲姫
-
船渠棲姫
-
護衛棲姫
-
防空棲姫
-
泊地棲姫
-
飛行場姫
-
その他