深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

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カビカビシッケ


拾陸話 カビアレルギー許スマジ

ギラギラ…

 

「フゥ…暑イ…。」

 

ここは『深海棲艦 五島支部』。現在構成されているメンバーは多い方で、10人程度だ。その支部長である港湾棲姫が洗濯物やコタツ布団や布団を干している。

 

「何デ コンナニ 暑イノカシラ…。」

 

港湾棲姫は太陽を見て呟く。

 

「キット、地球温暖化ネ…。コレナラ 早ク乾キソウ…。」

 

干している洗濯物を見ながらえんがわに座る港湾棲姫。

 

(意外ト、梅雨ガ 遅イワネ。)

 

そんなことをのんびり思っていると…。

 

「ギャーーー!」

 

「!」

 

レ級の悲鳴が聞こえた。

 

「ド、ドウシタノ!?」

 

港湾棲姫がすぐに来た。レ級の叫びなど珍しいからだ。

 

「…アソコノ…棚ノ奥…。」

 

「棚?」

 

レ級が指を差し、港湾棲姫がお菓子などが置いてある棚を漁る。

 

「…キャーーー!」

 

港湾棲姫も思わず叫んだ。

 

「ド、ドウシタノ…?」

 

「ナンダナンダ?」

 

一緒に遊んでいた北方棲姫と駆逐棲姫もやってきた。

 

「ウォー…。」

 

「真ッ黒ナノ!!」

 

棚の奥が真っ黒になっていた。

 

「最近…湿気テイタカラ…。」

 

カビが繁殖して大変なことになっていたのだ。

 

「…モナカト、羊羹…。」

 

レ級が袋を出す。そう、これは貰い物で、奥にしまっておいたまま忘れてしまっていたのだ。

 

「…掃除…シナイト…。」

 

港湾棲姫がマスクをして、ゴム手袋をする。雑巾持って、バケツを持って…。

 

「ヘプシッ!」

 

「ホッポ!」

 

「ナンカ、クシャミシチャッタノ…。目モ、カユイノ…。」

 

北方棲姫が少し涙目になっている。

 

「カビアレルギー…許スマジ…。」

 

港湾棲姫が怒りのオーラを纏っていた。

 

「カビ◯ラー!」

 

シュッシュッシュッシュッシュッシュッ…

 

「ココデスルナ!シカモ、ヤリ過ギダ!」

 

木製の棚にカビ◯ラーが直撃。

 

「…平気ナノカ…?」

 

シュワシュワ…

 

「…ダメダナ。」

 

レ級は仕方なく風呂場へ持って行く。防空棲姫も手伝っている。

 

「集積地棲姫、雑巾デ拭イテ。」

 

「エ〜…。何デ…。…分カッタ、ヤルヨ。ヤリマスヨ。」

 

滅多に怒り顔をしない港湾棲姫の顔の雲行きが怪しくなったため、雑巾でゴシゴシカビを拭き取る集積地棲姫。

 

「フゥ…。」

 

幸い、木製棚以外ツルツルした素材で出来ていたため、すぐにカビが取れた。港湾棲姫はカビの生えた食べ物を袋に詰めて燃えるゴミに入れた。

 

「ナントカ、ナッタワネ。」

 

「ソウダナ。」

 

2人が言っていると…。

 

「ギャーーー!」

 

「キャーーー!」

 

2人の悲鳴が聞こえた。

 

「ド、ドウシ…。」

 

港湾棲姫が固まった。洗濯機の裏に黒カビがびっしり…。集積地棲姫はいつの間にかいなかった。

 

「梅雨ノ前ニ コレジャ、家ガモタナイ…。」

 


 

「「「フゥ…。」」」

 

カビを消滅させて、一息つく港湾棲姫たち。

 

「集積地棲姫メ…。逃ゲタナ…。」

 

「フフ…ソウネェ…。」

 

そんなことを港湾棲姫と防空棲姫が呟く。一方…。

 

「真ッ黒…。ナンナノ?」

 

「ン?『カビ』ノコトカ?」

 

北方棲姫がレ級に聞く。

 

「『カビ』…。カビナノ!」

 

すると、北方棲姫が何かに気付き、虫取り網を持ってきた。

 

「捕マエルノ!」

 

「イヤイヤ…。」

 

「駆逐オネーチャンカラ 聞イタノ!マックロスケナノ!沢山イルノ!」

 

「ナンダ…マックロスケッテ…。」

 

(危ナイトコロヲ 突クナァ…。)

 

レ級は駆逐棲姫を見るが、駆逐棲姫は北方棲姫に『おねーちゃん』と言われて満更でもなさそうにニヤけていた。全く聞いていない。集積地棲姫は押し入れの隙間から、そんなことを思う。北方棲姫はテーブル掛けの下をめくってみたり、タンスの隙間を調べていて場が和みすぎた。

 

「イナイノ…。」

 

「…マァナ…。」

 

現実を知り、ガッカリする北方棲姫。港湾棲姫がなんとかしようと台所で何か材料を取り出していた。

 

「元気ダセ。」

 

レ級が北方棲姫の頭を優しく撫でる。港湾棲姫は嫉妬の目をして見ていた。

 

「トコロデ、ソレハ ドンナ形ナンダ?」

 

レ級が聞く。これ以上触れてはいけない気がするが…。

 

「…手足ガ生エテテ…。」

 

「ウン。」

 

(ソウダナ…。)

 

集積地棲姫は押し入れの中で2人の会話をこっそり聞いて思う。部屋にパソコンがあるから、見てはいないが知識はあるのだ。

 

「空ヲ 飛ブノ。」

 

「空ヲ?」

 

(マァ、飛ンダナ。)

 

「イッパイイルノ。」

 

「沢山イルノカ?PT小鬼群ミタイナモノカ。」

 

(イタナ。)

 

「沢山ノ色ガアルノ!」

 

「色ガ?」

 

(……ウン?)

 

「カビカビ話スノ!」

 

「…分カラナイナ…。」

 

「ドッチニシロ 危ナイ!コレ以上ハダメダ!イロイロト!」

 

聞いていられなかったのか、集積地棲姫が押し入れから出てきた。ナイスだ集積地棲姫。

 

「駆逐棲姫!変ナコト 教エルナ!苦情ガ殺到スル!」

 

「悪カッタ。」

 

しかしながら、集積地棲姫が押し入れから出て来たから港湾棲姫と防空棲姫に見つかり、叱られたのだった。

 


 

「雨ナノ…。」

 

北方棲姫はカレンダーと外の天気を照らし合わせている。

 

「明日ピクニックナノ…。」

 

「晴レルカ?」

 

北方棲姫のところに駆逐棲姫がやってくる。

 

「明日晴レルカ…?」

 

「分カラナイノ…。」

 

「天気予報ヲ見レバ…。…ブラウン管TV…。」

 

あるのは映らないブラウン菅テレビのみ。

 

「集積地棲姫ニ 聞ケバイイノ。」

 

「アァ、アレカ。」

 

押し入れから出てきた集積地棲姫を思い出す。罰として皿洗いしていた集積地棲姫を。

 


 

「集積地オネーチャン!開ケテホシイノ!」

 

北方棲姫がドアの前で言うと…。

 

ガチャ

 

「ドウシタ〜?」

 

だらけた感じで出てきた。

 

「明日ノ 天気ヲ知リタイノ。」

 

「明日?明日ハ…雨ダ。」

 

「ノ…。」

 

北方棲姫がそれを聞いて、ガーンとショックを受けた。

 

「明日…アー、ピクニックカ。外ハ、アンマリ好キジャナイカラ 良カッタナ。」

 

「ノ…。」

 

北方棲姫がまたショックを受けた。

 

「ウ〜…。」

 

北方棲姫はトボトボ階段へ向かう。

 

「…モシカシテ…。」

 

「…楽シミニシテイタンダ。北方棲姫ハ、皆ンナト 行クノガ 楽シミダッタンダ。」

 

「……。」

 

階段に座り込んでいる北方棲姫を見る。だが、天気は変えられない。

 

「…降リルカ?」

 

「…ナノ…。」

 

駆逐棲姫と北方棲姫は気をつけて下へ降りて行った。

 

「……。」

 


 

「ヨイショ…ヨイショ…頑張ルノ。」

 

「頑張レ頑張レ。」

 

北方棲姫と駆逐棲姫がコタツがあった、机の上で何かを作っている。

 

「何シテンダ?」

 

「ドウシタノ?」

 

レ級と港湾棲姫が来る。

 

「アラ…。」

 

「テルテル坊主カ?」

 

2人が一生懸命作っていたのはてるてる坊主。

 

「出来タノ!」

 

「コッチモ。」

 

2人が掲げるのは自身によく似たてるてる坊主。北方棲姫の作ったてるてる坊主は、短いツノが取り付けてあり、駆逐棲姫のは帽子が取り付けられて下のヒラヒラが短めだ。二つとも顔もそっくりである。

 

「…楽シソウダナ。」

 

「ソウネ。」

 

レ級も作り出し、港湾棲姫も作る。

 

「フフフッ楽シソウネェ。」

 

「ソウネ。」

 

防空棲姫も来て、戦艦棲姫も来た。さらにまだ来て、それぞれのてるてる坊主が窓に吊るされてゆく。集積地棲姫を除いて。その内に夜になったが…。

 

ザーーーー…!

 

「ナノ!?」

 

雨が強まった。

 

「ノー…。」

 

「明日ハ ピクニックナノニ…。」

 

「コレジャ、無理カモナ…。」

 

北方棲姫は外を見て、心配そうに声を出す。明日は確実に雨になりそうだからだ。

 

「テルテル坊主サン、頑張ルノ!」

 

北方棲姫はてるてる坊主を応援していた。

 


翌朝

 

チュンチュン…

 

「ノ…?」

 

小鳥のさえずり声が聞こえて、戸から光が漏れている。

 

「……。」

 

ガララララ…

 

「!」

 

1人起きて、戸を開けると…。

 

「ノ〜。」

 

朝日が差し込む。天気は雲ひとつない晴れ。

 

「良カッタワネ。」

 

いつの間にか隣にいた港湾棲姫が言う。

 

「良カッタノ!」

 

北方棲姫が笑顔で元気よく言った。

 

(本当、結局ハ良イ奴ナンダカラ…。)

 

港湾棲姫が、自分たちのてるてる坊主を見る。そこには、集積地棲姫の形をしたものが混ざってあった。港湾棲姫はそれを見て微笑む。きっと、昨晩丁寧に作って、誰もいない間にしれっと混ざらせたのだろう。

そして、この日は皆んなで楽しくピクニックをしたのだった。

『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。




集積地棲姫は北方棲姫をガッカリさせた償いをしたかったんですね。普段はアレですが、根はいい奴です。
悲しいけどこれ、シリアスじゃないのね…。
次回は、北の支部のお話のようです。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
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