深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

17 / 32
カップ焼きそばは『焼きそば』じゃないような気がするのは自分だけだろうか…。


拾漆話 蟹食べタイ

 

ここは礼文島。北海道の宗谷岬から東へ少し行った、二つある島の細長い方。その島には深海棲艦と、筋肉ムキムキマッチョメェンの陸軍海軍元帥兄弟が戦っている。その鎮守府で…。

 

「アーア〜アアアア アーアー。」

 

「アア〜アアアア アー。」

 

「ンン〜ンンンン ン〜ンン。」

 

「ンンン ンンン ンン〜。」

 

「ラララ…。」

 

ガチャ!

 

「サッキカラ、人ン家ノ 玄関ノ前デ 何歌ッテンダ!?」

 

いや、鎮守府ではなかった。『深海棲艦 礼文島支部』の玄関前だ。

 

「ん?知らんのか?これは『北の国から』と言う代表的な…。」

 

「いや、兄者よ。おそらく説明してもわかるまい。」

 

「イヤイヤ、知ッテル!馬鹿ニスルナ!」

 

元帥兄弟と港湾水鬼が朝早く、玄関で言い合う。

 

「毎朝の日課でな。そうしないと落ち着かないのだ…。」

 

「毎朝ヤッテタノ!?毎朝何処カデ 何カ聞コエルト 思ッタラ、全部オ前タチカ!フザケンナ!毎朝五月蝿イ!」

 

「まぁ、俺たち兄弟は反省している。許してやれ。」

 

「上カラ目線ヤメロ!」

 

そこに…。

 

「あら、提督?何を?」

 

艦娘がやってきた。

 

「うっ…。赤城…。」

 

「提督…?毎日毎日…迷惑かけてはいけないと何度もおっしゃりましたよね…?すみません。港湾水鬼さん。私たちの提督が…。」

 

「アッ、イヤ別ニ ナントモ…。…イヤ、ナントモアル。毎朝来テイルラシイ。ハッキリト言ウト、近所デモ噂ニ…。」

 

「…そうなんですね〜。…わかりましたね?て・い・と・く…。」

 

艦娘が微笑んだままだ。声に何かを感じる。

 

「あ、兄者…助けてくれ…。怒ると本当に怖いんだ…。」

 

「行きますよ?さあ。」

 

「あ、兄者!兄者ーーー!」

 

艦娘にズルズル引き摺られて行く弟者。

 

「逃げたらまたここに集合だ。」

 

「オ前モ帰レ!!集合スルナ!」

 

当たり前のように言う兄者だったが…。

 

「隊長?何をしているのでありますか…?」

 

「……。」

 

後ろから何者かの声がして、振り向かない兄者。

 

「…御免!」

 

「家ニ逃ゲルナ!」

 

兄者が慌てて港湾水鬼の家に押し入った。

 

「…仲間でありますか?」

 

「イイエ。サッサト捕マエテクレタ方ガ 助カル。アッ、デモ家具ヲ 壊サナイヨウニ。」

 

「承知!」

 

何者かが瞬時に家に入り…。

 

「さぁ、行くでありますよ。」

 

「…どうしてそんなにも早く捕まえられるのか…。」

 

「謎あります。」

 

ズルズルと引きずって行かれる兄者。

 

「…コレデ、今日ハ平和カ。」

 

港湾水鬼は朝食の支度をするために家に入って行った。

 


 

「今日ハ 焼キ鮭ネ。」

 

「昨日安ク手ニ入ッタカラナ。」

 

港湾水鬼の作った朝食を囲んで、楽しく食事する北方棲妹と軽巡棲姫と港湾水鬼。朝食は焼き鮭と味噌汁、たくあんと白米だ。

 

「…アッ、ソウダ。手紙ガ 来テタゾ。」

 

「「!」」

 

北方棲妹と軽巡棲姫に渡す。

 

「軽巡棲鬼カラ…。」

 

「姉貴カラダ。」

 

2人がそれぞれ見る。

 

「…フフ。平和ソウネ。」

 

軽巡棲姫はふぅっと息を吐いて口元が緩んでいる。

 

「向コウデハ、ピクニックヲ シタラシイワ。」

 

軽巡棲姫が写真を見せる。集積地棲姫が嫌がっている顔をしている。気づいたレ級にからかわれて。

 

「…イイナ。」

 

「ピクニックネ〜。」

 

2人は羨ましそうに見ていると…。

 

「姉貴…。」

 

「「?」」

 

北方棲妹に届いている手紙を見る。北方棲姫からで、梅雨のことや港湾棲姫たちのこと、近所の人たちのことだ。

 

「…梅雨…羨マシイナ…。」

 

北方棲妹が呟く。こちらでは北海道のため、梅雨がないのだ。

 

「梅雨…我々の産まれた関東地方が懐かしき…。」

 

「兄者よ、今度艦娘たちを連れてって行くのはどうだ?」

 

「「「元帥兄弟…!?」」」

 

いつの間にか家にあがり、お茶を飲んでいる元帥兄弟。

 

「帰レ!」

 

「まぁ、そう固いことを言うでない。」

 

「勝手ニ上ガリ込メバ、ソウ言ッテ当然ダ!艦娘ー!ドコダー!元帥ココニイルゾー!」

 

「いいお茶ですね。」

 

「とても美味しいであります。」

 

「…イルノカ…。」

 

艦娘たちまで上がり込んでいた。

 

「あっ、これを。いつもお世話になっておりますから…。」

 

「こっちもであります。」

 

「エ?ア、ウン?」

 

港湾水鬼は艦娘から品物をもらう。

 

「私が渡したのは、朝潜水艦の子たちがとってきてくれたズワイガニ(大)を沢山です。」

 

「自分は、…なんとかって言う牛肉であります。」

 

「…コレ、最近話題ノ スゴク高イ肉…。ソレモ、高級部位…。」

 

2人に渡されたものはとんでもないものだ。北方棲妹と軽巡棲姫はそれらを見ていた。

 

「…デモ、コレヲ貰ウワケニハ…。オ返シモ ナイシ…。」

 

「「エー…。」」

 

返す港湾水鬼に、北方棲妹たちからブーイング。しかし、艦娘2人に返す。

 

「…ほらな?」

 

「…そうですね。」

 

元帥が言い、艦娘がうなずく。

 

「一応貰ってください。もう鎮守府ではたくさん食べましたし。」

 

「そうであります。自分、あげたものを返されるのは良い気がしないであります。」

 

2人に再度手渡された。

 

「デモ…。…今晩、ココデ食ベルカ?」

 

「えっ?いいんですか?」

 

「沢山貰ッタシ。棲妹ヤ、軽巡棲姫ガ良イト言エバ。」

 

港湾水鬼が2人を見る。2人は頷いていた。

 

「なら、何か手伝いますよ。」

 

「イヤ、持ッテキテクレタ。ソレダケデ 十分ダ。」

 

港湾水鬼は夕食の下準備に取り掛かる。エプロンと三角巾を被って、完璧な主婦姿だ。北方棲妹は艦娘たちと向こうで遊んでいる。

 

「…良い嫁になりそうだな。」

 

「弟者よ、艦娘の目が怖いぞ。まぁ、言葉を直せば尚よしと見るが。」

 

「…姉貴ノ身ガ危険…。」

 

「大丈夫です。あとでオホーツク海に流しますから。」

 

艦娘は北方棲妹に笑顔で言った。

 


 

「実際、港湾水鬼や軽巡棲姫にこの島の者からいろいろ言われないのか?」

 

「ソウネ…。」

 

頭にコブのある兄者が聞き、軽巡棲姫が考える。

 

「毎日ポストノ中ニ、手紙ヲ 敷キ詰メラレル嫌ガラセヲ 受ケテイルワ。」

 

「新手のイジメだろうか…。て、多分それはラブレターでは?」

 

「コレガ、証拠。」

 

「ふむ…。」

 

軽巡棲姫に渡されて、内容を読む兄者。

 

『こーわんすいきさんたちへ 

この前たすけてくれてありがとうございます。もう二どと下りられないくらい木の上にのぼりません。きっくんも、くろまじゅつのやり方をおしえてくれてありがとうって言ってました。こまった時にたすけてくれて、ほんとうにありがとうございました。

小学生1年生一同(担任)』

 

「……。」

 

「ホラ。」

 

兄者は何を見せられているのか、普段港湾水鬼が何をしているのか、黒魔術とはなんのことなのか色々ツッコミどころが満載で困った顔をしていた。

 

「マダアル。」

 

「…感謝状ばかりだな…。」

 

次々と町内会、学校関連、果てまでは警察の感謝状まであった。

 

「…弟者よ…。ひょっとしたら、我々兄弟より人々の助けになっているのではないか?」

 

「兄者よ…。それは言ってはいけないだろう…。」

 

元帥兄弟はそれらを見て、そんなことを呟く。

 

「他ニモ、脅迫状ガ…。」

 

「それはいかんな。」

 

2人が見る。

 

『港湾水鬼様

一眼見た時から貴女のことを愛おしく感じて夜眠れ…』

 

「読む気が失せてしまった。」

 

「同じく。」

 

元帥兄弟はそれを軽巡棲姫に返す。

 

「他ニモ、コンナ手紙ガ何通モ…。」

 

「大丈夫だ。玄関の鍵さえ閉めておけば、問題ない。もし、誰か入ってきたら遠慮なく吹っ飛ばしてやれ。」

 

「兄者の言う通り、襲われそうになったら殺さない程度に吹っ飛ばしてやれ。」

 

一応武装なしでも港湾水鬼たちは深海棲艦の上位種。襲われても事故に遭っても危険なのは相手側だ。

 

「…アッ、ソウソウ。港湾水鬼。」

 

「?」

 

「今度ノ日曜日、夕食ハ要ラナイワ。」

 

「エ?何故ダ?」

 

「魚屋サンノ息子ノ…名前ガ思イ出セナイワ…。」

 

「エーット…。…ウーン…。アッ!佐々木サンノ息子ダ!」

 

「ソウソウ。ソノ人カラ、夕食ヲ誘ワレテイテ…。」

 

「名前すら忘れた者と夕食を食べに行くのか…。」

 

「食事代ハ、相手モチダカラ…。」

 

「兄者よ…。恐らく誘った側の気持ちは微塵も考えていないぞ…。」

 

「わかっている…。」

 

「失礼ナ…。ワカルワヨ。」

 

「へぇー。」

 

「オ金ガ有リ余ッテイルカラ、貧相ナ生活ヲシテイル私タチニ 恵ンデアゲヨウトカイウ 上カラ目線ノ誘イヨ。」

 

「全くわかっていないぞ!」

 

元帥兄弟は軽巡棲姫のセリフを聞いて、相手が不遇に思えて仕方がない。そんな、この支部の立ち位置について詳しく聞いていると…。

 

「姉貴、オ腹空イター。」

 

「私も少し…。」

 

艦娘と北方棲妹が来た。

 

「アト少シ。」

 

「今日ノ夜ハ?」

 

「蟹ノフルコースダ。蟹ノ味噌汁、シャブシャブ、天プラ、蟹焼キ、刺身、鍋…。アト、肉…。」

 

「豪勢だな…。」

 

「楽しみで仕方がない…。」

 

「蟹食ベタイ…。」

 

元帥兄弟たちもそれを聞いてお腹を空かせる。そして、我慢できなくなった艦娘や軽巡棲姫たちが手伝い、すぐに終わった。

 

「港湾水鬼。」

 

「?」

 

港湾水鬼1人、椅子を準備しようと廊下へ出たら兄者が話しかけてきた。軽巡棲姫たちや弟者たちは料理を運んで廊下にいない。

 

「…これからもよろしく頼む。良き強敵(ライバル)として。」

 

「……。」

 

港湾水鬼は差し出された手を握らず、見るだけだ。兄者が困った顔をすると、理由を言った。

 

「何言ッテンダ。コレカラモヨロシク?今更言ウ言葉ジャナイ。…『当然』ダロ。」

 

港湾水鬼はその差し出された手から顔を上げて、兄者の目を見る。兄者は初めてその瞳を見た気がして、少し変な気持ちになった。

 

「サ、ソンナコトヨリ夕食ダ。セイマイガ腹ヲ空カセテイル。早ク行クゾ。」

 

港湾水鬼がやれやれとした顔をして、椅子を運ぶ。

 

『姉貴、少シ遅カッタガ平気?』

 

『ナンデモナイ。』

 

港湾水鬼たちが食卓で話す。

 

「…顔は本当に怖いがな…。」

 

兄者はそう呟き、食卓へ戻った。その料理を艦娘も、深海棲姫も、海軍元帥も、陸軍元帥も笑い合いながら、馴れ合いながら食べる。その料理の味は一級品に劣らないとても美味しいものだったそうだ。

…後日、その言葉が港湾水鬼に強敵(ライバル)としての心の闘志を滾らせて、演習を申し込まれて今まで一度もなかったD敗北したことを後悔するのはまだ誰も知らない。

『深海棲艦 礼文島支部』は今日も平和です。




イベントお疲れ様でした。
シリアスブレイカー…。
次回は、五島支部の例のイベントです。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。