朝
「ン…。」
港湾棲姫の朝は早い。
「……。」
身体を起こして、数秒間ぼーっとした後…。
「起キナクチャ…。」
布団から出て、朝食の支度…。
「デキナイ…。」
材料が無かった。
「ドウシテ…?」
買い置きしてあったものも含めて、無くなっていたのだ。
昨晩
「オネーチャンノ オ料理 美味シイノ!」
「嬉シイ。」
北方棲姫が正直に、とても美味しそうに言うものだから、港湾棲姫も照れる。
「モット 作ル?」
「作ル!」
港湾棲姫はよほど嬉しかったのか、大量に作ってしまった。
「モウ オ腹一杯…。」
「エ…。」
結果…。
右隣の家の玄関前
ピンポーン
インターホンを押す港湾棲姫。
「オネーチャン?ドキドキ シテルノ?」
「少シダケ…。」
二人が待っていると…。
『ハイ。』
インターホンから声が聞こえた。
「ア、アノ…。隣ノ 港湾棲姫ト…。」
「ホッポナノ!」
『ハーイ。』
ガチャ
「コンニチハ。」
「「コンニチハ。」」
白髪に頭の両横から黒い角が伸びていて、衣装は潜水艦娘同様のセーラー上着の下に、おそらくはレオタード型の下着を着けている格好の者が来た。
「五島沖海底姫、オスソワケ。」
「アリガトウ。」
港湾棲姫が作り過ぎてしまったおかずを眠そうな五島沖海底姫に渡す。
「渡シタイケド 今 何モナクテ…。」
「イエ、作リ過ギタ ダケデスシ…。」
五島沖海底姫が申し訳なさそうに言い、港湾棲姫が手を振りながら言う。
「五島沖 オ姉サン!」
「ポッポチャン ドウシタノ?」
「今度遊ブノ!」
北方棲姫が目をキラキラさせて言う。
「約束ナノ!」
「ウン。約束。」
二人はゆびきりげんまんをした。港湾棲姫はそんな二人を微笑ましく見ていた。
左隣の玄関の前
ピンポーン
今度は北方棲姫がインターホンを鳴らした。港湾棲姫に持ち上げられて。
『はーい。』
「隣ノ 港湾ト…。」
「ホッポナノ!」
『あら、港湾ちゃんとほっぽちゃん。』
ガチャ
「こんばんは。」
「コンバンハ 山田サン。」
「コンバンハナノ!」
玄関から山田さん(おばちゃん)が出てきた。
「コレ オスソワケ。」
「あら良いのに〜。」
「美味シイノ!」
山田さんは笑顔で貰う。
「あっ、そ〜だ。ちょっと待っててね。今ちょうど…。」
「アッ、ハイ。」
「待ツノ!」
山田さんが家の奥へ行き、何か袋を持ってきてくれた。
「はい、うちもお裾分け。」
「ナノ?」
「『もなか』よ。うちの主人が好きでね〜。買いすぎちゃったの。貰ってくれると嬉しいわ〜。」
「アリガトウ ゴザイマス。」
「アリガタイノ!」
「いえいえ、わざわざありがとうね〜。気をつけて…て、言っても隣だけど、一応気をつけて帰ってね。」
「ハイ。」
「ワカッタノ!」
山田さんが玄関の明かりを付けたままにしてくれて、ドアを閉めた。
「…良イ人ナノ!」
「ウン。」
しかし、港湾たちの手にはまだ作り過ぎたおかずが…。
鎮守府
「オスソワケナノ!」
「わぁ〜!ありがとうございます!」
「ココニ アゲルナンテ オカシイケド…。特別。」
なんと、鎮守府までお裾分けに来た。
「いや〜、ありがとうございます。うちも結構艦娘が多くて…。」
「知ッテルノ。」
イベントがあるたびに燃やされている北方棲姫はよく知っているだろう。知らない方がおかしいと言うものだ。
「あっ、港湾さんにほっぽちゃん。こんなところまでありがとうございます!」
「司令官!」
提督直々に来て、頭を下げる。
「アレ〜?港湾〜。何シテンダ〜?」
「アンタコソ 何シテンノ?レ級…。」
すると、片手に酒瓶を持っている隼鷹と肩を組みながらレ級が来た。二人ともベロンベロンに酔っ払っている。
「アァ?マァ!チョットナ!」
「ウッ、酒臭イ…。チョットッテ ナニヨ チョットッテ…。」
「まぁ、飲もうじゃん?朝までずーっとさ〜。」
「隼鷹。お前もやめろ。」
レ級は港湾棲姫に、隼鷹は提督に注意される。
「…オ互イ、大変…。」
「そうですね…。」
港湾棲姫と提督はため息をついた。
「元気ダスノ!」
「お、おう…。ありがとうね…。」
「アリガトウ。ホッポ…。」
北方棲姫に元気付けられた。
「ヤッパ、『シンカイ』ヲ 飲マナカッタカラ 怒ッテルノカ〜?」
「違ウ…!」
「ま、どうでも良いっしょ。ほらほら、提督もいっぱい飲んで、いっぱい飲もう!」
「「あはははは(アハハハハ)!!」」
「「……。」」
二人がくだらないことを言ったり、見当違いなことを酔っ払って言い、港湾棲姫と提督が黙ったままだ。
「はい。ほっぽちゃんは向こうで、お姉さんたちと一緒に遊びましょうね〜。」
「?」
艦娘はこの後どうなるか分かり、北方棲姫を連れて行った。
「あっ、そうだ。少し待っていてください。こちらからも何かお裾分けを…。」
提督が急いで鎮守府に戻る。ちなみに、頭にタンコブのあるレ級は肩身の狭そうに港湾棲姫の隣にいる。その隣には正座させられている隼鷹も…。二人は既に酔いが覚めていた。
「これです。」
「のわー!提督ー!それあたしの秘蔵のお酒ー!」
「アッ、コッチモ 渡スモノガ…。」
「ギャー!コレクションノ 勲章ー!」
提督と港湾棲姫は叫ぶ二人を全く気にせず、交換した。
「それと、これです。」
「?」
「この前、うちで作った羊羹です。皆んなの料理教室で…。」
「アナタモ 大概ネ。」
港湾棲姫が羊羹を貰う。
「ソウ 思ッテ ミレバ ホッポハ…。」
「あっ、こちらです。」
艦娘が北方棲姫と手を繋いで来た。北方棲姫は眠そうに目を擦っている。
「眠イノ…。」
「ゴメンナサイネ…。ホッポ…。遅クナッチャッテ…。」
「ウウン…頑張レルノ…!」
北方棲姫が笑顔で言う。この笑顔でその場が全体的に和んだ。
「アッ、デモ…。」
港湾棲姫は片手にある、残っている作り過ぎたおかずを見る。
「……。仕方ナイカラ 近クノ 猫ニ…。」
「それはやめて!マジでやめて!それだったら俺が食う!」
提督が半ば引ったくるように貰ってくれた。
帰り道
「スー…スー…。」
「疲レタ ミタイネ。」
港湾棲姫は北方棲姫を背負いながら帰っている。もなかも羊羹も持っている。
「持ツカ?」
レ級が心配した。
「ウウン。大丈夫。」
「ソウ 固イコト 言ウナッテ。」
「ア…。」
レ級が袋を持ってくれた。
「デ、デモ…。」
「イイジャネーカ。友達ジャン。」
レ級が笑顔で言う。
「…ウン。…アリガトウ…。」
「ドウイタシマシテッ!」
その日はとても明るく、温かな夜だった。
『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。
タイトルはそのままで良いのかな…?
シリアスなど存在しない。
次回があるとすれば買い物です。
誰を登場させたいか
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集積地棲姫
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戦艦棲姫
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駆逐棲姫
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南方棲姫
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空母棲姫
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軽巡棲姫
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重巡棲姫
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水母棲姫
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潜水棲姫
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離島棲姫
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船渠棲姫
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護衛棲姫
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防空棲姫
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飛行場姫
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