深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

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コロナワクチン副反応で死ぬかと思いました…。


弐拾話 海ノ家ナノ?

 

ミーンミンミンミンミー…!

 

「暑イノ…。」

 

蝉の鳴き声が響く真夏。五島支部の畳の部屋で、ぐでんとなっている北方棲姫が呟く。ふと、空を見れば大きな入道雲があった。今回はてるてる坊主ではなく、風鈴が吊るしてある。

 

「今日ハ特ニ暑イナ…。ホッポ、大丈夫カ?」

 

レ級が隣で言い、持っていた団扇で北方棲姫をあおぐ。

 

「涼シイノ…。」

 

「ダナ。港湾棲姫モ居ナイシナ。本部ニ『ストライキ』シニ行ッタカラナ。」

 

そんなことを二人で話す。港湾棲姫は駆逐棲姫の件もあって、本州にいるらしい。しかも、経費削減のストライキを他の支部長とともに起こしている真っ最中だ。

 

「…海ニ行クカ?」

 

「海…。」

 

北方棲姫が考える。

 

「…デモ、危ナイノ…。」

 

「港湾棲姫ニハ許可ヲ取ッタ。…許可ダケデ、ドレホド大変ダッタカ…。」

 

『海?行ッテモイイワ。』

 

『オー。』

 

『デモ、決シテ目ヲ離サナイデ。面倒ヲ見テ。言動ニハ、イチイチ注意シテ。アマリ沖デ泳ガサナイデ。人ノイルトコロニシテ。怪シイ人ニハ近ヅカセナイデ。声ヲカケラレテモ、反応シナイデ。熱中症ニ気ヲツケテ。波ニ攫ワレナイヨウニ気ヲツケテ。岩ガ多イ所ニ行カナイデ。転バナイヨウニシッカリ手ヲ繋イデ。迷子ニナラナイヨウニ…。』

 

『オ、オウ。分カッタ。分カッタカラ…。』

 

「ソンナ感ジデ本当ニ大変ダッタ…。」

 

「オネーチャン…。」

 

レ級がその後2時間ほどずっと港湾棲姫の話を聞かされていたことを思い出し、嫌な顔をしていた。

 

「戦艦棲姫モ、防空棲姫モ誘ウシ。」

 

「集積地オネーチャンガイルノ!」

 

「…嫌ガルゾ?」

 

「一緒ジャナイト、ツマラナイノ!」

 

そうして、レ級たちは今いる支部の仲間を呼び、海へ行った。集積地棲姫は本気で嫌がったが、レ級に引き摺られて行った。

 


 

「ノ…?」

 

海に行くと、かつてないほどの人がわらわらいた。若者だらけだ。

 

「沢山人ガイルワネ。」

 

「避暑地ダカラナ。」

 

「秘書地ナノ!秘書ダラケナノ!」

 

「アッハハ。違ウワヨ。」

 

バカンスモードのレ級たち。一応、敵とはいえ美少女なため、人の注目を浴びる。しかし、それは必ずしも良いとは言えない。

 

『うわっ、深海棲艦いんじゃん…。このビーチ大丈夫なのかよ…。』

 

『あとで暴れたりなんて…。こわい…。』

 

『敵がいるし…。』

 

「ノ…。」

 

地元じゃない人たちにジロジロ見られた後、そんなことを言われるのだから北方棲姫のテンションは駄々下がりだ。港湾棲姫がこの様子を見たらどんな奇行に走ることやら…。そこに。

 

「レ級ちゃんたちも来たの?」

 

山田さんが声をかけてきてくれた。

 

「ドウシテココニ?」

 

「海の家の当番でね〜…。暑いけど、地元の観光のためだから…。」

 

「海ノ家ナノ?」

 

「鎮守府デハ、浜茶屋ダッタナ。」

 

今頃鎮守府では浜茶屋をやり、提督から金をふんだ…ゴホン、提督にささやかな安らぎを提供しているだろう。

 

「初めて見る人たちは、多分あなたたちのことを怖がっているんだと思うわ…。貴女達はとっても良い人達なのに…。無知ってやーね。」

 

「デモ、仕方ガナイノ…。」

 

「マァ、世間ジャ敵認識ダカラ、当タリ前ッチャ当タリ前ダケドナ。」

 

水着姿のレ級たちはなんとなく納得する。

 

「おっ?港湾ちゃんと一緒に暮らしてる子たちじゃねーか!こっちこっち!」

 

「アッ、前ノオ肉屋サンノ…。」

 

海の家の中で、肉屋のおっちゃんがいた。その他、商店街やそこに並ぶ店の人たちがいる。海の家がいつの間にか近所さんたちの溜まり場である。

 

「おう!少し海の家で休んでいてよー、あんまりにも心地が良くて、居座っちまったんだ。」

 

「オ店ハ?」

 

「今日は海に行くから休むって、店に張り紙した。この島で唯一の肉屋がな!」

 

「オイ、肉屋!」

 

「アハハッ。アナタ面白イワネ。」

 

昼間からお酒を飲んでいるみたいで、笑い声が響く。

 

「待たせたな。酒じゃぁ!」

 

そこに、若い酒屋の息子がビールを持ってきた。

 

「おう!にーちゃんあんがとな!」

 

「いいってことよ。うちも儲かるからな。…あん?」

 

酒屋の息子がレ級たちを見る。

 

「あ、あ、あ、あんたら…!人類の敵…!化けm…。」

 

ゴツン!

 

「失礼なことを言ってんじゃねぇ!」

 

「あったぁ!」

 

酒屋の息子が何か言いかけたところで、酒屋のおっさんが拳骨をくらわせた。

 

「港湾さんたちの連れだよな?すまんな。うちのバカ息子が…。本州にいて、勉強して帰ってきたばっかなんだ…。ほら!お前も謝れ!」

 

「す、すみません…。」

 

酒屋のおっさんが頭を下げる。息子の頭を掴み、無理やり下げさせていた。

 

「なんで親父は…。」

 

「馬鹿野郎!同じ町民に向かって化け物とはなんだ!それに、あちらのお方はうちの常連だぞ!」

 

「え、えぇ…?」

 

レ級は苦笑いだけしている。

 

「あ、あんた…歳は…?」

 

「オイオイ、初対面ノ女性ニ歳聞クカ…?普通…。マァイイケド。〇〇歳ダヨ。」

 

「詳しく聞こえないな…。」

 

「ダカラ、〇〇歳ダッテ!」

 

「いや、なんか…。よくわからないプロテクトがかかっているようだ。〇〇しか聞こえない…。」

 

「勝手ニシロ。」

 

レ級が冷たくあしらう。

 

(なんだコイツ…。生意気な…。そして、この胸の奥から湧き上がるこの怒り…。)

 

「お、おい…。お前…。」

 

「ア?ナンダ?」

 

酒屋の息子がフッと、良い顔をする。

 

「もっと罵ってください!」

 

「ナンダコイツ!今マデニ会ッタ奴ノ中デ一番怖イ!」

 

「あぁ〜!その罵倒!素晴らしい!もっとおなしゃす!」

 

「キモッ!来ルナ!アッチ行ケ!」

 

「あぁ〜!」

 

「……。」

 

レ級はドン引きした顔で心底怖くなった。もちろん、酒屋のおっさんもドン引きしている。

 

「…まー…。こんな息子だ…。これからどうぞよろしく頼む。」

 

「頼マレタクナイ!」

 

「おぉ〜!愛おしの我が女神様!もっと…!もっとお言葉を…!」

 

「ヤメロ来ルナ!気持チ悪イ!ホッポ!向コウヲ向ケ!目ニ毒ダ!」

 

「レ級…。変態ナノ…?」

 

「違ウ!断ジテ違ウ!オイ!集積地…」

 

カシャ!カシャ!

 

「オイ!何撮ッテンダ!」

 

抱きつかれそうになり、逃げているレ級は集積地棲姫に助けを求めようとしたが、面白がって携帯でその様子を写真で撮られていた。

 

「イイ加減ニシロ…!」

 

「おっ、やべぇ!レ級ちゃんが酔った時みたいに暴れっぞ!」

 

「おい!ボードだせ!俺ぁ、次こそぁ戦艦ちゃんが止めると賭けるぜ!」

 

「バカ言え前回の決着がまだだ!」

 

ワーワー!

 

「賭ケテルシ…。」

 

肉屋のおっちゃんがボードを出すように指示して、酒屋のおっさんが賭け金やら倍率を計算する。まさに地元ならではの賭けである。戦艦棲姫がその様子を見て、この人たちには心底敵わないなと少し笑顔で実感した。

 

「おや?戦艦ちゃんは止めないの?」

 

「エー…。ダッテ…。」

 

「おいおいおーい、戦艦ちゃんがやってくんなきゃ俺ぁ賭けに負けちまうだよー。」

 

ブーブー

 

「ブーイング!?」

 

魚屋のおじさんが言い、地元の…主にいい歳したおじさんたちがブーイングする。

 

「戦艦ちゃんは強いんだから、やってくんなきゃ!」

 

「じゃないと、賭けにもならないぜ。」

 

「ソウダソウダ。」

 

「集積地棲姫!アナタハ コッチ側デショウ!?」

 

「エー…。デモ、モウ戦艦棲姫ニ賭ケチャッタシ…。」

 

「イツノ間ニ!?」

 

集積地棲姫は戦艦棲姫に賭けていたらしい。

 

「おっと、ほっぽちゃんはダメだぜ。まだ早いぜよ。」

 

「ほっぽちゃんにゃぁ、ちと早いかねー。」

 

「そうだべ〜。」

 

「ガーン…ナノ…。」

 

「ホッポ、ダメヨ…。」

 

北方棲姫は流石に年齢もあって止められた。

 

「3分以内に終われば倍率は3倍に跳ね上がるぞ!」

 

「艤装なしだと2倍だべ!」

 

「モウ賭ケテルシ!」

 

「俺はやっぱり、大穴の港湾ちゃんに…。」

 

戦艦棲姫がこのままだと更に大変なことになると知り、急いで暴れているレ級を止める。

 

「レ、レ級!ヤメナサイ!」

 

「ダッテコイツハ危険ダ!」

 

「あぁ〜!この踏まれ心地…!最高だ…!」

 

「…ホラナ?」

 

「……。ト、トニカク!」

 

戦艦棲姫はなんとか、レ級と酒屋の息子を引き離す。レ級は離れていても蹴りを入れようと空を切り、酒屋の息子は蹴られようと追ってくる。防空棲姫はそれを見て大笑いしているだけだ。

 

「ほら!終わったぞ!」

 

「いいや!まだだ!決着は終わっとらんぜよ!」

 

「どちらかが気絶するまでだろう?蹴られすぎて気絶するうちの息子か、蹴り疲れて気絶するレ級ちゃんかの。」

 

「ヤレヤレー!」

 

「アナタ達モ手伝イナサイ!」

 

外野が盛り上がっていた。もはや海の家はおろか、酔った者たちの酒場だ。そこに…。

 

バァァァァン!

 

いきなりドアが蹴破られる。

 

「アノ仁王立チシタ姿…!港湾…」

 

「あんたら…!真っ昼間から酒飲んで…店ほったらかしてなんのつもりだい…?」

 

「アッ、違ッタ…。奥サンタチネ…。」

 

酒屋のおっさんの奥さん、肉屋のおっちゃんの奥さん、山田さん(おばちゃん)が仁王立ちしていた。

 

「え、えっと…。ほら!あれだ!親睦会?みたいな…。」

 

「そ、そうだぜよ。」

 

「イヤ、単純ニ酒飲ンデ賭ケゴトシテ楽シンデタゾ。」

 

「集積地ちゃん!?裏切っちゃった!?」

 

「ほーう…。お前さんがた…。どうなるかわかってるわよね…?」

 

「ひぇぇぇぇ!」

 

そして、おっさんたちはその場で奥様方に正座させられ、ガミガミ説教をされていた。この日から、酒屋の息子の性癖がおかしくなったのは言うまでもない。

 


 

ザザー…ザザー…

 

波打つ浜辺。

 

キョーキョーキョー…

 

カメモが鳴いている。

 

ミャーミャーミャー…

 

ウミネコが鳴いている。

 

「ノーノーノー。」

 

北方棲姫が鳴いて…。

 

「ホッポ?ドウシタ?」

 

「オ話シテイルノ!」

 

「へ〜。話セルノカ?」

 

「ウン!」

 

「本当?」

 

「ウン!」

 

「ナルホド…。ナラ、アノ『カモメ』ハ 何ヲ話シテイルンダ?」

 

レ級が北方棲姫になんとなく聞いた。

 

「アレハ…。難シイ話ナノ…。」

 

「ドンナ?」

 

「現代日本ノ経済デ、物価ガ値上ガリシテ、インフレーションガ起キテ、人間ノオ金ガナクナッテ、ゴ飯ガ貰エナイノ…。」

 

「???」

 

遊び半分だと思っていたレ級はなんの話だかさっぱり訳がわからないよ…。

 

「…アノ『ウミネコ』ハ…。」

 

「…アレモ難シイノ…。」

 

「……。」

 

「地球温暖化ニヨル、温水化ヤ海面上昇ニヨッテ引キ起コサレル、ゴ飯ヲ食ベラレルカドウカノ問題ト、住ム場所ガ減少シテ 数ガ少ナクナッテ、生態系ガ崩レルカドウカ 心配シテイルノ。」

 

「???」

 

レ級は全くわからない。

 

「…マァ、トニカク…。」

 

レ級は北方棲姫の頭を優しく撫でる。北方棲姫は嬉しそうに、幸せそうに目を閉じて撫でられている。

 

「ゴ飯ノ問題ッテコトカ…。」

 

「ノ?」

 

レ級はどれだけ考えても、その答えしか出て来なかった…。

 

「…レ級?何ヲ話シテイルノ?」

 

「ウッフフ…。楽シソウネ。」

 

戦艦棲姫と防空棲姫がやって来た。

 

「ゴ飯ノ話ダ。」

 

「ゴ飯ノ話?」

 

「『カモメ』達ガ話シテルッテ、ホッポガ言ッテテナ。」

 

「?。…ア〜、ナルホド。ホッポチャンハ、動物トオ話出来ルノネ〜。」

 

戦艦棲姫も遊びだと思っている。

 

「鳥ノ頭ナンテ、ソンナモノヨ。」

 

「ダヨナ。」

 

レ級…。

 

「トコロデ、ナンカ飛ンデルナ。」

 

「イタノカ…。飛ンデル?」

 

気配を完全に消していた集積地棲姫が、空を見上げて呟く。

 

「ア〜、アレ艦載機ダロ。鎮守府デハ演習モ盛ンダナ。」

 

「艦載機カ…。嫌ナ思イ出シカナイナ…。」

 

「…ショッチュウ燃ヤサレテイルカラナ。」

 

そんな呑気なことを、向かって来る艦載機の連隊を見ながら呟く。

 

「…トコロデ、ソロソロマタ『イベント』ダガ、呼バレテナイノカ?」

 

「…ドウダッタカ…。」

 

「郵便受ケトカ、確認シタホウガ良イゾ。」

 

「今度確認シテオク。」

 

「今度ッテ…。イツダヨ。」

 

「今度。」

 

集積地棲姫はうるさいなと、嫌な顔をしていた。

 

「……。」

 

呑気にサングラスをかけてパラソルをさしてデッキチェアに寝転がっている集積地棲姫。ふと、レ級が艦載機を見た。そして、集積地棲姫がバカンスモードだということに気がついた。

 

「…集積地棲姫。」

 

「ナンダ?」

 

「……。イヤ、ナンデモナイ。少シ、ホッポト一緒ニ泳イデ来ル。」

 

「ノ?」

 

「アー、ソウカ。頑張レ。」

 

集積地棲姫は一瞥もせず、手を振るだけだ。レ級と北方棲姫は少し離れた場所に行った。

 

「……。ワタシタチハ、トイレ行ッテ来ルワネ。」

 

「……。」

 

「アー、ソウカ。頑張レ。」

 

戦艦棲姫たちも避難…じゃない、少し離れたトイレへ行った。その後、爆音が聞こえたのはいうまでもない。

 


 

「オー。綺麗ニ焼ケタナ。日焼ケカ?」

 

「…白々シイコト言ウナ…。」

 

レ級が帰って来たのは音がしなくなった後だ。辺りはヒッチャカメッチャカである。

 

「…知ッテタダロ。」

 

「イヤ〜、ナンノコトダカ。艦載機ガ来ルナンテナ。ハハハ。」

 

「誤魔化スナラ、目ヲ泳ガスナ!モット上手ク誤魔化セ!」

 

集積地棲姫がレ級に色々言っているとそこに…。

 

「やっぱり、集積地さんに…。大丈夫。ちゃんと謝れば、きっと許してくれるわ。」

 

「は、はい…!」

 

二人の艦娘が走ってくる。

 

「ご、ごめんなさい…!」

 

着いた早々艦娘の一人が謝ってきた。

 

「…デ、今回ハ?」

 

「地中海の集積地棲姫IIをやっつけに行こうとしたんだけど…。」

 

「シタンダケド?」

 

「わ、私が間違えてしまって…。」

 

「少し、怖がって慌てちゃったみたいで…。」

 

一人の艦娘が頭を下げて、もう一人の艦娘がやれやれと、一人前のレディーらしくないと言う。

 

「オウオウオウ、テメー。新入リカ?随分トヤッテクレタジャアネェカ。」

 

「『アメリカ』ノ軽空母…新入リカ?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

ポヨンっ

 

艦娘が謝り、たわわな胸部装甲が揺れる。集積地棲姫はその胸部装甲が嫌でも目に入る。

 

「…新入リ、名ハ?」

 

「は、はい!」

 

ポヨンっ

 

頭を上げた時も揺れる。

 

「My name is Gambier Bay…。」

 

自身の胸に手を当てて、自己紹介をする艦娘。

 

「集積地棲姫、ステイステイ。ヤメロヤメロ。」

 

「オンドレァ!ソノタワワ実ッチュル胸部装甲デナンデモ許シテモラエント思ッタラ大間違イヤ!イテコマスゾゴラァ!?」

 

「ひ、ひぃぃぃ!」

 

「集積地棲姫、何言ッテイルノカ意味ガ不明ダ。冷静ニナレ。」

 

集積地棲姫から別の私怨が見える。艦娘は訳がわからずに恐れているままだ。

 

「ドウシタノ?」

 

「集積地棲姫ガ…。」

 

やってきた戦艦棲姫に、レ級が説明した。

 

「ヤッテシマッタコトハ、仕方ナイワ。今度ハ気ヲツケテネ。」

 

「は、はい!」

 

「ほら、深海棲艦は優しい人たちだから。」

 

「うん!」

 

「優シイッテ…。アリガトウ。」

 

戦艦棲姫が笑顔で言う。集積地棲姫は後ろでブツブツ言っているが…。

 

「あ、あの…。」

 

「…ンダヨ。」

 

「集積地棲姫さん本人にも、謝らなくちゃって…。」

 

「…ソウカ。」

 

「ごめんなさい!」

 

艦娘が名一杯頭を下げた。

 

「…結構痛カッタゾ。シカモ、『パラソル』ハ台無シダシナ。…デモ、マァ…。…イイ攻撃ダッタ。」

 

「ほ、本当!?」

 

「ソウダ。何度モ言ワセルナッテ…。」

 

「やったぁ!」

 

ポヨンっ

 

「……。」

 

艦娘が嬉しさのあまりジャンプして、そのたわわな胸が大きく揺れてしまった。

 

「…ヤッパソノ胸許セネェ!」

 

「ベイ!?」

 

「集積地棲姫、ステイステイ。」

 

レ級が集積地棲姫を止める。北方棲姫はもう一人の艦娘と話していた。カモメやウミネコの話だろう。やはり、艦娘もよくわかっていなかったが…。

 

「あっ、そう思ってみれば、今度鎮守府でお祭りがあるんだけど…。」

 

「オ祭リナノ?」

 

「祭リ?」

 

「うん。流石に、五島の人を招待するのは今の時期アレだけど、深海棲艦の人たちなら別に大丈夫かなって。」

 

「大丈夫ナノカ…。一応敵ナンダガ…。」

 

「オ祭リナノ…。」

 

「今度お祭りするから、来ない?って話よ。」

 

「ウーン…。ソウイウ話ハ、支部長デアル港湾ガ決メルカラナ…。今ハソノ話ヲ承諾出来ナイナ…。」

 

「そう…。でも、一応待ってるわ。どっちでも、一応司令官に連絡してね?」

 

「アア。伝エテオク。」

 

「じゃあ、待ってるわよ!」

 

「さ、さようなら!」

 

「ジャァナ。」

 

「サヨナラナノ!」

 

二人の艦娘は鎮守府へ戻って行った。

 


 

「ナンテ、コトガアッタンダ。」

 

「ソウ…。留守ニシテイテ、ゴメンナサイネ。」

 

「イヤ、別ニ気ニシテナイ。」

 

夜、帰ってきたレ級と港湾棲姫が、コタツ台で話す。

 

「ソレヨリ、『ストライキ』ドウダッタンダ?」

 

「完全勝利。」

 

「ソウカ!」

 

「給付金ガ大幅ニ上ガッタワ。」

 

「オオ!コレデ、ホッポニモ楽サセテアゲラレルナ。」

 

「辛イ思イモシナクテイイヨウニ。」

 

二人とも、幸せそうな笑顔で話す。

 

「鎮守府デノ祭リ、ドウスル?」

 

「ソウネ…。ホッポヤ、他ノ皆ンナガ行キタイナラ、行クワ。」

 

「マ、イツモ通リカ。」

 

「エエ。」

 

「キット、行キタイッテ言ウゾ。」

 

「多分ネ。」

 

二人して、北方棲姫のことを思い出して、ふふっと笑う。

 

「サテト、今日ハモウ寝マショウ。モウ遅イシ。」

 

「ソウダナ。」

 

「歯磨イタ?」

 

「アア。…オヤスミ、港湾棲姫。」

 

「オヤスミナサイ。レ級。」

 

そうして、港湾棲姫のいない一日の夜が終わるのだった。

港湾棲姫は支部の日記をつけて、北方棲姫の隣で眠り、レ級は祭りについて考えながら、いつの間にか寝てしまった。五島支部の夢はきっと良い夢を見れるのだろう。安心して眠れるのだから。

『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。




地中海イベントが…。今回は小規模ですね。
まったく、コメディは最高だぜ。
次回は、お祭りの話になるかもしれません。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
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