深海棲艦のゆるい日常   作:とある組織の生体兵器

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今回は結構長いです。


弐拾肆話 親友ダカラナ

 

「キノコ♪キノコ♪」

 

「キノコッコッコーノコ♪」

 

「元気ナノ♪」

 

現在、紅葉狩りついでにキノコ狩りと栗拾いをしている駆逐棲姫と港湾棲姫と北方棲姫と…。

 

「姉貴、コレ食ベレルノカ?」

 

「白…ヤメテオケ。」

 

「コレハ…ドクツルタケ。猛毒。」

 

『礼文島支部』の北方棲妹、港湾水鬼、軽巡棲姫がいる。

 

「栗モ良インダヨナ?」

 

「ウン。デモ、落チテイル奴ダケ…。」

 

「分カッタ。」

 

港湾水鬼は落ちているイガグリを(艤装付きの)手に取り、向いてみる。

 

「虫…。」

 

「『バグズキングダム』ネ。」

 

「ヤ、ヤメマショウネー。」

 

クリに穴が空いており、それを捨てる港湾水鬼。

 

「姉貴!コレ!」

 

「ドレ…。」

 

「オネーチャン!コレナノ!」

 

「コレネ?」

 

北方棲妹に頼まれて港湾水鬼が。北方棲姫に頼まれて港湾棲姫がそれぞれイガから栗を取る。

 

「アッ、オッキイ。虫食イ跡ナシ。」

 

「虫食イ跡ハナイガ…小サイ。」

 

二人は開けてみて一喜一憂。

 

「デモ、取レルダケ取ッテイイッテ言ッテタ。デモ…。」

 

「篭ニ入ル分ダケ。ダロ?」

 

「ウン。」

 

二人でとっているうちに、背負い篭に入りきらなくなってくる。

 

「大量大量。」

 

「栗ゴ飯…渋皮煮…栗キントン…栗羊羹…。」

 

二人は大量に取った栗を見て、調理を考える。その間…。

 

「コレ!」

 

「食ベレル。」

 

「コレナノ!」

 

「ダメ。」

 

「コレハドウダ?」

 

「ウーン…。分カラナイカラ、ダメ。」

 

軽巡棲姫に審査してもらいながら、キノコを採る北方棲姫と妹、駆逐棲姫だ。彼女たちの背負いカゴにはキノコを入れるらしい。

 

「ノノノ?」

 

北方棲姫は周りのキノコを取り尽くし、斜面のキノコを見つける。

 

「ン〜…!」

 

北方棲姫は無理して取ろうとしていたが…。

 

「ホッポ!?何シテルノ!?」

 

「!」

 

危険な斜面にいる北方棲姫を港湾棲姫たちが見つけた。

 

「アッ、オネーチャ…。」

 

ズル…

 

「ノ…?」

 

「ホッポ!!!」

 

「アッ、港湾!待テ!」

 

北方棲姫が滑り、港湾棲姫が迷いなく坂を滑り降りて、手をとる。港湾水鬼は港湾棲姫たちを助けようと、近くの木に捕まってもう片方の港湾棲姫の手を掴んだが…。

 

バキッ!

 

「「「!?」」」

 

流石に、木も大人二人分と子供一人分では折れるというもの。

 

「グヌヌヌ…!」

 

しかし、港湾水鬼がなんとか艤装である爪を地面に突き刺し、耐えることが出来た。

 

「姉貴!」

 

「北方棲姫!港湾棲姫!港湾水鬼!」

 

「アッ!大変!」

 

急いで、助けようとする北方棲妹たちだが…。

 

ズルッ…!

 

「「「!」」」

 

滑った。しかし、それで終わらなかった。

 

ドシャシャシャ…!

 

「グオオオオ…!」

 

「ア、姉貴…。」

 

「アラ、ゴメンナサイネ。」

 

「ヤバイナ…。」

 

港湾水鬼の上に全員が乗っかる。

 

「…スマン…。無理…。」

 

「「「!?」」」

 

ザァァァァァ…!

 

港湾水鬼の艤装の爪を突き刺していたが、土が崩れて全員滑り落ちてしまった。

 


 

「…ココハ…。」

 

目覚める港湾棲姫。起き上がり、枯葉が港湾棲姫の服からパラパラ落ちる。

 

「ホッポ!皆ンナ!」

 

「「「…?」」」

 

北方棲姫たちが周りにいることを確認して、起こす港湾棲姫。

 

「随分深イトコロニ来チャッタミタイダケド…。」

 

港湾棲姫が周りを見てつぶやく。周りに道はなく、森の中だ。そこに…。

 

「フゴフゴ…」

 

「!」

 

イノシシがやってきた。2〜3mある山の主だ。港湾棲姫を見た途端…。

 

「フー…!」

 

敵意をむき出しにした。

 

「……。」

 

港湾棲姫は無言で立ち上がり…。

 

「失セロ…!!!」

 

「!?」

 

港湾棲姫の…深海棲姫の、五島支部長を務める港湾棲姫の殺意ある威嚇をした。流石に、山の主といえども猪は猪。一瞬で意気消沈してしまう。そこに…。

 

「ノ!イノシシサンナノ!」

 

「アッ、ホッポ!」

 

北方棲姫がそのイノシシのところへ行く。

 

フー…!

 

猪は脅かすだけに威嚇をする。危害を加えたら確実に港湾棲姫にステーキにされるとわかったからだ。

 

「ノンノンノン。」

 

「フー…!…?」

 

「ノノンノンノン。」

 

「フゴフゴ。フゴ。」

 

「ノンノン。ノノノン。」

 

「フゴ?フゴゴ。」

 

「ノンノ。ノ〜。ノンノンノン。」

 

「フゴ…。フゴ、フゴゴンフゴ。」

 

「ノン。ノノン。」

 

「「「…?」」」

 

港湾棲姫たちは北方棲姫と、猪の会話を聞いて疑問しか抱かない。危ナイカラ、近ヅクノハダメナノ。ホッポトノ約束ナノ。そんな会話を終えたあと、戻ってきた。

 

「帰リ道知ッテルノ。」

 

「「「エ…?」」」

 

「アノ猪サン、秋ナノニ人間ガ森ヲ切リ倒スセイデ、食べ物ガナクテ困ッテイルノ。可哀想ナノ。」

 

「ソ、ソウナノ…?」

 

猪を改めて見ると、少し痩せていた。

 

「ウン。食べ物ヲアゲタイノ。ソウスレバ、帰リ道ワカルノ。」

 

「デモ、コノ坂ヲ登レバイイカラ…。」

 

港湾棲姫が、斜面を見る。充分登れそうだ。

 

「ソウ…ナノ…。」

 

シュン

 

「!」

 

北方棲姫がしゅんとして、港湾棲姫が見た。

 

「食べ物…可哀想ナノ…。ホッポモ、オ腹空クノ…。オ腹空クノハ辛イノ…。助ケテアゲタイノ…。」

 

北方棲姫が呟きながら言う。

 

「…ホッポハ優シインダナ。」

 

「ソウネ。」

 

「良イ子ネ。」

 

「スゴイナ。」

 

「姉貴、スゴイ。」

 

港湾水鬼に撫でられて、優しいと賛同する深海棲姫たち。そして…。

 

「ホラ、沢山トッタカラヤルヨ。」

 

「コッチモアル。」

 

「アゲルノ!」

 

「ヤル!」

 

「アゲルワ。」

 

「ン。」

 

港湾水鬼たちが、取った栗やキノコを分けてあげる。

 

「フゴ…。」

 

イノシシはそれをありがたそうに見た後…。

 

「フゴフゴ。」

 

「…ブヒ?ブヒブヒ…。」

 

「ブヒ。」

 

「「「!?」」」

 

後ろからウリ坊(イノシシの子供)たちがやってきたのだ。ウリ坊たちは美味しそうに栗やキノコを食べる。すると…。

 

「アゲルノ!」

 

「!」

 

その親イノシシに、栗とキノコをミトンの手に乗せて言う。

 

「フゴ…。」

 

それを美味しそうにありがたそうに、北方棲姫の手を傷つけないように食べた。そして…。

 

「フゴフゴ。」

 

「乗セテクレルノ?」

 

イノシシが座り、港湾棲姫たちに乗るように促した。猪に乗る港湾棲姫たち。

 

「シュッパツシンコーナノ!」

 

「フゴ。」

 

北方棲姫の掛け声と共に、立ち上がりゆっくり歩きながら進む猪。その後ろをウリ坊たちがトテトテついてくる。

 

「可愛イ…。」

 

「エエ…。」

 

「可愛イノ。」

 

北方棲姫たちは後ろのウリ坊を見ていた。そのうち、イノシシが止まって、座り出した。着いた合図なのだろう。北方棲姫たちが降りる。

 

「フゴフゴ。」

 

「ノンノノン。」

 

イノシシと何か会話をした後、北方棲姫は手を振ってさよならをした。

 

「コノ先真ッ直グ行クト出口ナノ。」

 

「マァ、流石ニアレニ乗ッテ街ハ大騒ギヨネ…。」

 

深海棲艦が巨大イノシシに乗って街を徘徊など、次の日のニュースのトピックで大注目であろう。

 

「マダ森ネ〜。」

 

歩き始めて5分後、軽巡棲姫がつぶやく。すると…。

 

スンスン…

 

「『コーヒー』ノ香り…。」

 

「アラホント。」

 

駆逐棲姫が気付いて、軽巡棲姫も気づいた。

 

「コッチカラスルワネ。」

 

軽巡棲姫が歩き、港湾棲姫たちもついて行く。すると…。

 

「コンナトコロニ、『カフェ』?」

 

「『コーヒー』?」

 

軽巡棲姫たちがたどり着いたのは、森の中でポツンとある一軒家。しかも、カフェと書かれている。

 

「…『ネット』ニナイ…。秘境ノオ店…?」

 

「コンナノガアルッテ、近所デモ聞イタコトナイ…。」

 

「ツマリ、知ラレザル店ッテワケカ。」

 

港湾水鬼は店に入るドアを見て、準備中じゃないか確認した。

 

「入ッテミルカ…?」

 

「ウーン…。デモ、少シ歩イテ疲レタシ…。少シ休ミマショウ。」

 

港湾棲姫たちがその店に入る。北方棲姫と北方棲妹が歩き疲れたような顔をしていたからだ。

 

「イらっしゃいませ。何名様のご来店ですか?」

 

「!」

 

そこに現れたのは、白色のショートヘアの髪をして、目は明るく澄んだアメシストの色をした、外人っぽい見た目をしている執事姿の青年だ。

 

「六人。」

 

「かしこまりました。ゴ案内します。…外国カラ来たので、少し日本語が分かりづらイかもしれませんが…。」

 

「イ、イエ別ニ…。」

 

(外国カラナンテ言ッテモ、コッチハ深海カラダカラ…。)

 

港湾棲姫が心の中で思う。そして、テーブル席に座った。客は港湾棲姫たち以外いない。すると…。

 

「おや?お客さんかい?レオク。」

 

「あっ、はい。店長。」

 

店長がカウンターに出てきた。

 

「ここは秘境のコーヒー店。ようこそ、あなた方は第8回目のお客様だ。」

 

「ド、ドウモ。」

 

「あっ、そうそう。ここはインターネット掲載禁止してるから。もししたら、色々権利の侵害で大変だから、しちゃだめですよ〜。」

 

「ワカッタワ。」

 

港湾棲姫たちがメニューを見る。どれもお手頃価格で、主婦には嬉しい金額だ。

 

「…店長、時間ガかかりそうなので、少し休憩してきます。」

 

「あっ、どうぞどうぞ〜。」

 

その青年は店の休憩室へ向かっていった。

 


 

(ヤッベェーーー!ドウシヨウ…!港湾タチガ来テル…!何デココニ…!?今日ハ紅葉狩リッテ言ッテタノニ…!ナンデ…!?)

 

わかっていたかもしれないが、その青年の正体はレ級である。レ級が肌色のおしろいを塗りたくり、執事姿になって、人間に化けていたのだ。

 

(ト、トニカク…。港湾タチニ気ヅカレナイヨウニシナイト…。男装シテマデ『バイト』シテルッテバレタラ、絶対ニ揶揄ワレル…。ソレニ、色々面倒ダ…。)

 

レ級は心拍数が上昇している。

 

「ドウスルカ…。」

 

レ級が休憩室をうろちょろしていると…。

 

「レオク、注文だから入ってくれない?」

 

「ア、ハイ。分かりました。」

 

店長に言われて、すぐに出てくるレ級。

 

「ご注文ハお決マりでしょうか?」

 

「『コーヒー』ヲ三ツト、紅茶ヲ一ツ、ソシテ子供用ノジューストカハアル?」

 

「子供用ノミルクはありますが…。」

 

「ナラ、ソレヲ二ツ。」

 

「かしこまりました。ご注文ヲ確認します。『コーヒー』ヲ三つ、紅茶を一ツ、子供用ミルクを二ツ。以上でよろしいデしょうか?」

 

「ハイ。」

 

「かしこまりました。どうぞゆっくりしてくださいね。お姉様方とお嬢様方。」

 

レ級は軽く笑みを浮かべた後、厨房へ行き、店長に注文を伝える。

 

(港湾棲姫…気ヅイテイナイ…?気ヅイテイナイナライイガ…。)

 

レ級は厨房で、コーヒーを用意している店長を見ながら思った。

 


梨畑

 

「……。」

 

艦娘がそれを見て、立ち尽くしている。

 

「卯月…お前…。」

 

提督の怒り心頭した顔。

 

「う、うーちゃんじゃないぴょん!ホントぴょん!勝手に倒れたんだぴょん!!」

 

「梨の木を倒すとはな…。まさか、ここまでいたずらの度を過ぎるとは…。」

 

「無実ぴょん!!」

 

「薪と滑車と縄を用意しろ。ついでに火もだ。」

 

提督が指示して、艦娘たちが従う。そしてテキパキと土を露出させたところに薪を置いて滑車台を作る。

 

「さて、卯月…。戦艦棲姫さんの名誉を傷つけた罰…。山ほど説教があるから楽しみにしてろよ…。」

 

「びょーーーーん!!!」

 


 

「俺は紅茶作るから、レオクはミルクを入れて運んであげて。」

 

「分カった。」

 

「もう少し、火加減を強くした方が良いかな…?」

 


 

「燃えろ燃えろ〜♪今日の夜はうさぎ肉の炙り焼きかな〜♪」

 

「ぴょーーーん!うーちゃんは無実ぴょーーーん!違うぴょーーーん!やってないぴょーーーん!」

 

土を露出させたところで薪を燃やし、艦娘を縄で縛り、滑車にかけて炙ろうとしていた。

 

「やっていないと言っているが…赤城はどうおもう?」

 

「…え?あ…はい…そうですね…はい…。」

 

「怪しいぴょん!絶対に何か知ってるぴょん!!!うーちゃん疑っているぴょん!!」

 

艦娘たちがやんややんやする。

 

「ふむ…。そう言われると、たしかに道具もない卯月が梨の木を倒すのはおかしいか…。でも、艦娘の怪力を考えると…。」

 

「思い出してほしいぴょん!うーちゃんは、いたずらはするけどこんなことはしないぴょん!!」

 

「…それもそうだね。となれば、真犯人は誰か…だな。」

 

艦娘は降ろされて、危機一髪だった顔をした。提督は考える。

 

「そ、それよりも、早くこれらを片付けないと…。また農園の人に言われますよ。さぁ、片付けましょう。あっ、それと、私はもう少し他の場所で梨をとりに…。」

 

「…赤城、ちょっと待て。」

 

「……。」

 

艦娘は提督に引き止められる。

 

「ど、どうせ元々木が腐っていたとか…。」

 

「腐った木に、こんな青く葉っぱがしげるかな?梨を作れるかな?」

 

「…た、たまたまですよ。たまたま…。」

 

「そうか…。たまたまか。」

 

「そ、そうですよ。」

 

「……ほう。」

 


 

「素早イさばき…。俺ジャなくちゃ見逃しテいたな…。」

 

「何のこと…?というより、今紅茶やっているから他の注文頼むよ。」

 

「わかっタ。コーヒーダな。」

 

「頼むよ。」

 


 

「見逃してください!悪気はなかったんです!こんなことになるなんて思わなかったんです!」

 

「燃えろ〜燃えろ〜♪」

 

現在艦娘を炙ろうとしている提督。

 

「か、加賀さん!一緒にいたことを提督に説明してください!」

 

「さすが赤城さん。私たちにできないことを簡単にやってのけますね。そこにシビれ、憧れます。」

 

「加賀さん!?」

 

艦娘が助けを求めるが、勘違いしているようだ。そこに…。

 

「煙でてっと思ったら…あんたら何しとんだ?」

 

農園のおじさんがやってきた。そして、状況を見た。

 

「これ!女を火炙りにするやつがあるか!今すぐおろせ!」

 

「でも、大切な梨の木が…。」

 

「そんなんいいからおろせ!」

 

艦娘が降ろされ、バケツで火を消した。

 

「はぁ…。で?あんたら何したんだ?」

 

「いえ、赤城が梨をもぎ取ろうとしたら、力が強すぎて木が倒れちゃったらしくて…。」

 

「ち、ちがいます!…いえ、違わないかもしれませんが…。でも!すぐには倒れなかったので、私じゃない可能性も…。」

 

「赤城、いさぎよく散れ!」

 

「散れってなんですか!?散れって!」

 

提督と艦娘が言い合っている最中、おじさんがその梨の木を調べる。

 

「あー、蟻が群がっとる…。木の表面が腐ったのが問題だな。勝手に倒れたんだ。」

 

「え?そうなんですか?」

 

「ああ。」

 

「…そう…ですか…。」

 

そこに…。

 

ガバッ

 

「ほら!提督!私のせいじゃなかったんです!」

 

艦娘が提督の腕に抱きつく。

 

「はっはっは。戦艦ちゃんの名誉のために叱っとったんだろう?今回は、しっかり出来たんだなぁ提督さんよ。来年も、うちに来ても良いぞ。」

 

「…ありがとうございます…。」

 

「もっと元気だせぃ!間違えて叱っとった子も、あんたにくっついてるんだから。こんなにええことないぞ?」

 

「…はい…。」

 

農園のおじさんが笑顔の艦娘と目が死んでいる提督を見る。艦娘は提督の腕にひっついて離れない。提督は分かっていた。

 

(これ、逃さないように腕組んでいるだけなんだよなぁ…。だって…力入れても振り解けないもの…。)

 

艦娘は提督の腕に組んでいるのはラブラブだからなどではない。鎮守府へ帰っても逃さないように組んでいるだけだった…。

 


 

「お待たセ致シました。コーヒーを3つ、紅茶ヲ1ツ、ミルクを二ツ。注文に間違イはございませんか?」

 

「ア、ハイ。大丈夫デス。」

 

「では、ゴゆっくり。」

 

レ級が頭を下げて、他のテーブルを磨いたりする。すると…。

 

「…レ級ニ似テルノ。」

 

「エ?」

 

北方棲姫が言い、港湾棲姫が見る。レ級は知らないふりをするが、内心めちゃくちゃ焦っていた。

 

「…マサカ。レ級ハアンナニ丁寧ジャナイ。」

 

「…ソウ言ワレテミルト、ソウナノ。」

 

「ソモソモ、レ級ハ『ガサツ』ダカラナ。アンナ接客デキナイ。」

 

「が、がさッ…!?」

 

港湾棲姫たちが話し、レ級が少し手を止めた。しかし、仕事に集中するため再開する。

 

「コラ、駆逐棲姫。本当ノコト言ワナイ。」

 

「ほ、本当…!?」

 

「レ級カ。レ級ノ接客トカ、砲ヲ構エテ『モウ一回言ッテミロ』トカ言イソウダナ。」

 

「……。」

 

「ソウ思ッテミレバ…前レ級ガ集積地棲姫ノ部屋ヲ荒ラシタミタイナンダ。ヤッパリ、ソウイウ所ガアルカラ乱暴者ニ見エルンダヨナ。」

 

「……。」

 

港湾棲姫たちが言っていた。

 

「…店長…気分が悪イ…。休憩しテ来る…!」

 

「え?でもさっき…。」

 

店長の言葉を待たずに、レ級は休憩室の中に入り、ドアを閉じてそのドアに寄りかかってうずくまってた。

 

「…港湾棲姫達…イツモソウ思ッテタノカヨ…。…確カニソウイウトコロハアルケド…。乱暴者…。」

 

そんなことを呟いた。けど…。

 

『…港湾水鬼、北方棲妹、軽巡棲姫、駆逐棲姫。ヨク聞イテ?』

 

港湾棲姫の声が聞こえる。

 

『デモ、レ級ハソンナ『イメージ』カモ知レナイケド、現実ハソンナ乱暴者ナンカジャ、決シテナイ。』

 

『ソウナノ!レ級ハイツモ優シイノ!集積地棲姫ノ部屋ヲ荒ラシチャッタノハ、ホッポモ同ジナノ!』

 

『ホッポノ言ウ通リ。レ級ハイツモ優シイ。言葉ハ少シ荒イケド、酷イコトハ絶対ニシナイト断言デキル。』

 

『ソウナノカ?』

 

『ウン。コノ前、『ストライキ』シニ行ッタ時、ホッポノ面倒ヲ見テクレタノハレ級ヨ?』

 

『ソウナノ!』

 

『ソレニ、散歩ダッテ行ッテクレルシ、ホッポノ為ニ、海ニ行ク許可モ取リニ来タ。3時間ホド説明シテモ、投ゲ出サズニソレニ耐エタシ。ソモソモ、本当ニ、ホッポト同ジクライ大切デ、信頼シテイテ、昔カラノ大切ナ仲間ニシカ、ホッポヲ預ケナイシ。』

 

『ナラ、ワタシガ許可ヲ求メテモ?』

 

『絶対ニ海ニハ行カセナカッタ。』

 

港湾棲姫がレ級のことを言う。

 

「…港湾棲姫…。」

 

レ級は心の中が温まるのを感じた。

 

『レ級ハ大切ナ仲間…ウウン。親友ヨ。』

 

『…親友カ。イイナ。』

 

『姉貴ヲ信頼シテ預ケラレル親友。』

 

『ホッポモ、レ級ハ親友ナノ!』

 

「…親友…ソンナノ、コッチモズット前カラ分カッテイタゾ。」

 

レ級は休憩室から立ち上がり、ドアを開けて出てきた。

 

「あっ、休憩できた?」

 

店長が聞く。

 

「はい。とってモ気分が良くなリました。」

 

レ級は笑顔で答えた。

 


 

「さぁ、梨狩りもやりましたし!帰りましょう!提督!」

 

一方、農園だ。そう艦娘は言っているが実際、終わるまでずっと提督の腕を組んでいた。提督の目は死んだままだ。

 

「…ま、待て!せめてお礼を言うんだ。」

 

提督が呼びかけて、艦娘たちが集合した。

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

全員、丁寧に頭を下げてお辞儀する。

 

「おう、気ぃつけて帰れ。」

 

農園のおじさんは笑顔で答えた。そして、農園を後にする提督たち。

 

「さぁ…火炙りの時間だ。」

 

提督は清々しい顔で、甘んじて受け入れた。

 


 

「ウーン。美味シカッタ。」

 

「ソウダナ。」

 

「モウ夕方…。」

 

港湾棲姫たちが話す。外を見れば、少しオレンジ色に染まっている。

 

「ソロソロ帰ラナイト、レ級ガ心配スル…。」

 

「ソウダナ。」

 

港湾棲姫たちが立ち上がり、会計を済ませようとする。

 

「レオク、お願い。」

 

「はイ。」

 

レ級が行き、レジを打つ。

 

「会計、1500円でス。」

 

「1500円。」

 

港湾棲姫が現金を出した。

 

「アッ、ソウダ。何カ持チ帰リノ『メニュー』トカアリマスカ?」

 

「エ?持ち帰リ…?」

 

「実ハ、家ニ親友ガイテ…。今日ハ『アルバイト』デ色々出来ナクテ、セメテ何カ買ッテ行キタクテ…。」

 

「…きっト、喜びまスよ。その親友ハ。」

 

「ソウダト嬉シイケド…。アッ、ナラコノ『エクレア』ヲ…12ツ。」

 

「かしこマりました。」

 

レ級は口元を緩ませながら、箱の中に保冷剤と一緒に入れる。港湾棲姫はお金を払い、店を出て行った。

 

「またのお越シヲお待チしておりマす。」

 

レ級はドアが閉まる瞬間まで、頭を下げていた。

 

「…親友…カ。分カッテイルガ、イザ言ワレルト嬉シイモノダナ…。」

 

「レオク、そろそろ店を閉めるから支度して?」

 

「ワカッタ。…明日モ、客ガ来ルトイイナ。」

 

「最初は密かな隠れスポット的にしようかと思ったんだけど…。隠れすぎて、誰も来ないね…。今度、街と森の間に店を建てようと思うけど、その時もバイトやってくれるかい?」

 

「勿論。働カセテモラッテイルカラナ。」

 

「来月で変わるから、張り紙もしないとねぇ。」

 

レ級と店長は店を閉めながらそんな話をしていた。

 


五島支部

 

「タダイマ〜。」

 

「レ級ナノ!」

 

「オカエリ。レ級。」

 

レ級が帰り、北方棲姫と港湾棲姫が出迎えてくれた。

 

「アア。…タダイマ。」

 

「何デソンナ恥ズカシソウナ笑顔ヲシテイルノヨ。」

 

「ソ、ソウカ?」

 

「ソウヨ。…マァ、ソンナコトヨリ、レ級ニオ土産ガアルカラ。」

 

「…ソウカ。」

 

「問題ナノ!何ノオ土産ナノカ当テルノ!」

 

「ウーン、栗ト『キノコ』ト梨ト葡萄カ?」

 

「ブブー!」

 

「ナンダロウナ。」

 

レ級は分かっている。だが、辻褄を合わせるためにわざと分からないフリ。

 

「『エクレア』ナノ!」

 

「『エクレア』カ〜。」

 

レ級が居間に出ると…。

 

「帰ッテキタカ。」

 

「姉貴ノ親友…。」

 

「オカエリナサイ。フフ。」

 

礼文島支部のメンバーもいた。

 

「フフ…ヘーエ、帰ッタンダァ。」

 

「オカエリナサイ。」

 

「…オカエリ…。」

 

「オカエリ。」

 

防空棲姫、戦艦棲姫、集積地棲姫、駆逐棲姫など、五島支部メンバーも勢揃いしていた。

 

「『エクレア』ヲ皆デ頂コウッテワケ。」

 

「ソウカ。ナラ、『コーヒー』ガ合ウカラ、淹レルゾ。」

 

「ウウン。レ級ハ休ンデ。バイト帰リデショウ?」

 

「イイヨ。ソンナ疲レナイシ。…ソレニ、親友ダカラナ。」

 

「…フフ。」

 

港湾棲姫とレ級が話して、レ級がコーヒーを淹れる。

 

「サァ、手ヲ合ワセテ…。」

 

「「「イタダキマス!」」」

 

皆、それぞれエクレアを持ち、レ級の淹れたコーヒーと一緒に食べる。とても美味しいようで、皆笑顔で喜んで食べた。

 


 

「……。」

 

レ級は夜、屋根の上に上がって月を眺めていた。満月だ。

 

「レ級、危ナイ。」

 

「ヨク分カッタナ。」

 

ふと気づけば、港湾棲姫が隣にいる。

 

「ホッポハ?」

 

「寝タワヨ。」

 

「ソウカ。…港湾水鬼タチハ…。」

 

「明日帰ルカラ、モウ寝テイル。」

 

二人で月や星空を眺めている。冬の入り始めで、少し肌寒い気がする。

 

「…港湾棲姫。気ヅイテタンダロ?」

 

「…ウン。」

 

「アソコデ『バイト』シテタコト。」

 

「一眼見テ、少シ気ヅイテ、淹レテクレタ『コーヒー』デ確信シタ。」

 

「…ソウカ。」

 

「…皆ニ言ウツモリハナイワヨ。」

 

「分カッテイルサ。」

 

「…デモ、親友ッテコトハ…。」

 

「嘘ジャナイコトクライ分カル。」

 

「ソウヨネ。」

 

「…コッチモ、港湾棲姫ヲ…。」

 

「分カッテイルワヨ。ズット…ズット昔カラノ仲ジャナイ。」

 

「…ソウダナ。」

 

二人が空を見ながら話す。

 

「…港湾棲姫。」

 

「?」

 

「…港湾棲姫ガ親友デ本当ニ良カッタ。」

 

「…照レルジャナイ。」

 

「本当ノコトダ。」

 

「コッチダッテ同ジヨ。レ級ガ親友デ、本当ニ嬉シイ。」

 

「…照レルナ…。」

 

「同ジ気持チ。」

 

「ハハハ。ソウダナ。」

 

「フフフ。」

 

笑い合う二人。

 

「…今日モ一日色々アッタナ。」

 

「ソウネ。」

 

「…モウ少シ、コノ夜ヲ眺メテイタイナ。」

 

「…ソウネ。」

 

港湾棲姫とレ級は、この美しい満月の星空を見ていた。港湾棲姫たちが話していることは、五島支部や礼文島支部の大人たちは気づいていたが、入り込めなかった。二人の見ている場所の裏で、軽く酒を飲んでいた。それほど、港湾棲姫とレ級は他人に入り込めないほどの深い仲なのだろう。

綺麗な星空を見ながら…美しい満月を見ながら、二人は夜が明けるまで楽しそうに話していた。しかし、きっと、二人の輝く友情に比べたら、綺麗な夜空も美しい満月も負けてしまうのだろう。

『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。




長かった…。
コメディよりすぐれたシリアスなど存在しねぇ!
次回は、五島支部にオバケが誕生するみたいです。

誰を登場させたいか

  • 集積地棲姫
  • 戦艦棲姫
  • 駆逐棲姫
  • 南方棲姫
  • 空母棲姫
  • 軽巡棲姫
  • 重巡棲姫
  • 水母棲姫
  • 潜水棲姫
  • 離島棲姫
  • 船渠棲姫
  • 護衛棲姫
  • 防空棲姫
  • 泊地棲姫
  • 飛行場姫
  • その他
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