「センタク♪センタク♪ドンナ 汚レモ…♪」
「センタク♪センタク♪オチチャウノ〜♪」
港湾棲姫が庭で洗濯物を干し、北方棲姫が手伝っている。空は青空、ポカポカして気持ちの良い日だ。
「「フゥ…。」」
二人が干し終わり、腕で額をこする。汗はかいていない。
「洗濯 終ワッタノ!」
「アリガトウ。ホッポ…。」
港湾棲姫が北方棲姫の頭を優しく撫でる。北方棲姫は笑顔になり、港湾棲姫も笑顔になった。
「今日 オ出カケナノ?」
「ウン。海域ニ 行カナクチャ 任務ガ 出来ナイミタイ…。多分、夕飯マデニハ 帰ッテクルカラ…。アッ、オヤツハ コタツノ上ニ アルカラ。ソレト 食ベ過ギチャダメ…。アト…。」
「ガンバルノ!」
「ウン。」
港湾棲姫は自信のあるように言い、玄関へ向かう。そして、艤装を持った。
「行ッテキマス。」
「行ッテラッシャイナノ!」
港湾棲姫は軽い足取りで行った。
「暇ナノ…。」
北方棲姫は家の縁側で寝転がる。温かな日が当たっている。
「ブーンナノ…。」
北方棲姫は自分の艤装である、たこ焼き型艦載機を手に持って飛ばすように遊ぶ。
「……。」
しかし数分後には飽きて、大の字になっている。微動だにしない。完璧なまでに暇なのだ。ちなみに、艤装は勝手にどこか飛んで行った。
「…ゼロ…ホシイノ…。」
本音が出た。
「レ級 イルノ?」
北方棲姫はふと思い、立ち上がってまだ見ぬ秘境、『2階』へ行くため、階段の前に立ち止まる。
「……。」
『ホッポ 2階ハ 危ナイカラ 一人デ 行ッチャダメ…。』
港湾棲姫に言われた言葉を思い出す。
「…ヤメテオクノ…。」
姉の言いつけを守る偉い子。居間へ向かおうと歩き始めたが、しかし…。
ヒュー…
「!」
北方棲姫の艦載機が2階へ行ってしまった。
ガシャーン!カランカラン…。
「……。」
それだけではなく、何かにぶつかったような音と、落ちた音がした。
「…行キタイケド 守ルノ…。オネーチャントノ 約束ナノ…。」
北方棲姫はとても悩んで、階段に座って考え込んでいると…。
ガララララ
「マイッタ マイッタ…。イキナリ 海域ニ 来ルナンテ…。LINE シ忘レトカ 卑怯ダ…。」
レ級がぶつぶつ文句を言いながら帰ってきた。
「?何シテンダ?」
「レ級!」
北方棲姫がレ級に駆け寄り、手を振ったり、飛んだりして事情を説明した。
「ツマリ カワイイカ!」
「違ウノ!」
レ級の心の声が漏れた。
「2階ノ 艤装ヲ 取ルノカ?」
「ソウナノ!」
「自分デ 行ケナイノカ?」
「オネーチャンニ 一人ジャ ダメッテ 言ワレテイルノ…。」
「ナラ 行クカ?」
「行クノ!」
レ級が北方棲姫をおんぶしてあげる。
「ココガ 二階ダ。」
この家の2階…。それは、少し長い廊下を挟んで、それぞれ部屋がある場所だ。
「オー…。」
北方棲姫は少し残念そうな顔だ。
「?ドウシタ?」
「想像ト チガウノ。」
「?」
北方棲姫が想像していたものは読者の想像に任せよう。
「アッタノ!」
北方棲姫はネジの山にある艦載機を手に取る。
「……。」
そして、数秒ネジを見た後…。
「コレ ホシイノ!」
「?ネジ?本当ハ 鎮守府ノ 任務ノ 報酬ナンダガ…。一個クライ イイカ!」
今この瞬間、どこかの提督に嫌な予感がした。
「見ツケタカラ スグニ 降リルノ!」
「エ…。今 来タバカリジャネーカ…。」
レ級はせっかくおんぶして運んだのに、すぐ降りられてしまうのが名残惜しいみたいだ。
「デモ、ヤルコトナイノ…。」
「ンー…。」
レ級が悩んでいると…。
「『レ級ノ部屋』ナノ?」
「!」
北方棲姫がレ級の部屋の前にいた。
「オトト…。ココカラハ 立チ入リ禁止ダ。」
レ級が持ち上げて、ドアノブに触れさせないようにする。
「気ニナルノ。」
「気ニナルカモ シレナイガ…。ソウダ、集積地棲姫ノ 部屋ナラ イイゾ。」
レ級が今はバカンス中の集積地棲姫の部屋を差し出した。
「…勝手ニ 入ッテ イイノ?」
「平気 平気。」
レ級は勝手に開けて、ズカズカ侵入する。北方棲姫はドアからちょこんと覗くだけにしている。
「人形 沢山ナノ…。」
集積地棲姫の部屋はフィギュアだらけだ。
「大キナ 機械…。」
パソコン用の機械だ。
「メガネ 沢山ナノ…。」
部屋の端にはメガネの保管所のように、たくさん置いてある。
「暗イナ。窓開ケヨウ。」
レ級がカーテンを開けて、光を入れた。
「「「シャァーッ!」」」
「「!」」
その瞬間、集積地棲姫が仕掛けていたのか、番犬代わりの砲台小鬼が起きて、撃とうと構えてきた。
「攻撃…壊レル…外…出シタラ…家…壊レル…。」
北方棲姫が考える。
「ツマリ!」
バタン!!ガチャリ!
「エ!?」
北方棲姫が外に出さないように扉を閉めて、鍵までかけた。
『チョ!待テ!マダ 中ニ イル!開ケテ!』
「ンー…!」
レ級が中にいて開けようとするが、北方棲姫が外で押さえて開かない。
『本当ニ!ヤバイ!ヤバイ!』
『『『シャァーッ!』』』
『ギャーーーー!』
ドガーーーン!ドゴーーーン!
集積地棲姫の部屋で色々壊れる音や爆発音がした。しばらくして、音が止み、北方棲姫がドアから手を離す。
ガチャ…
「ハァ…ハァ…。」
レ級が鎮圧したみたいだ。レ級の片手には気絶している砲台小鬼たちがいた。ちなみに、集積地棲姫の機械やフィギュアはめちゃくちゃである。帰ってきたら何て言われるか…。
「無事ダッタノ!良カッタノ!」
「……。アァ…ナントカナ…。」
レ級 中破。
「ヤッパリ、下デ 遊ブノ。」
「ソウダナ。」
二人は一階の居間にいる。深海棲艦の怪我は自然経過で治るようで、もう完全に治っているレ級。
「何シテ 遊ブ?」
「ン〜…。」
レ級が悩む。…いや、悩んでそうで、実際は何も考えていない。北方棲姫の上で飛んでいる艦載機がずっと気になってしまっているのだ。
「オヤツ食ベルノ?」
「イイノカ?アリガトウ。」
北方棲姫がこたつの上のお菓子をレ級に勧めてあげる。本当は自分のものだが…。
「イタダキマ…。」
シュパッ!
「「!」」
レ級の尻尾がお菓子をとってしまった。
「アッ、コラ!返セ!」
「♪」
レ級は自分の尻尾を追いかける。
「カワイイノ…。」
そんな姿を北方棲姫が見て、心が和む。
「本当ニ 欲シイナラ オ尻カラ タドルノ。」
「シ、尻カラ…。」
「ドウシタノ?」
「イヤ…。ソレハ チョットナ…。」
「?」
「マ、マダ ホッポニハ 早イ!」
「?」
レ級が恥ずかしそうにして、北方棲姫に疑問だけが残った。
「オネーチャンノ為ニ ゴ飯 作ルノ!疲レテルト 思ウノ!」
「偉イナ…。本当ニ…。」
北方棲姫の100%の善意に心が洗われそうになったレ級。
「デ、ナニ 作ルンダ?」
「オムライスナノ!」
「食ベタイダケジャ ナイノカ?」
「チガウノ!!」
「オ、オウ…。ゴメン…。」
北方棲姫に怒られ、謝るレ級。
「実際ニ…。」
「作ッテミタノ!」
二人がキッチンでエプロン姿になる。北方棲姫はちゃんと土台に乗っている。
「ホッポハ 危ナイカラ 包丁ハ ダメダゾ。」
「ワカッタノ。」
北方棲姫がお肉を冷蔵庫から出したり、玉ねぎの皮を剥いていると…。
「ク…。」
「!」
レ級が玉ねぎを切って泣いている。
「…タマネギ…切ル…泣ク…ツライ…。」
北方棲姫が考える。
「ツマリ、テキ!」
「?」
「テキ リョウリ シチャウノ!」
北方棲姫が意気込んでいるが、レ級は全く分かっていなかった。
ジュー…ジュー…
「……。」
「ドウシタ?」
北方棲姫が玉ねぎから目を離さない。
「フッフッフ…。オイシクシテ タベチャウノ…。ヤッツケルノ…。」
「???」
北方棲姫が悪い顔をして、レ級が心底困惑するのだった。
ガララララ…
「タダイマ…。」
港湾棲姫が疲れた声を出して帰ってきた。
「オカエリナノ!」
「オウ、帰ッテ 来タカ。」
二人が出迎えてくれる。
「コノ 匂イ…。」
「オ料理シタノ!」
「ホッポ、頑張ッテタ。港湾棲姫ノ為ダッテ。」
「ソウナノ…?」
港湾棲姫が二人を見た。二人はいい笑顔だ。
「アリガトウ。」
「マァ、最初ハ 二人ダッタケドナ…。」
「?」
港湾棲姫が台所へ行く。
「アラ、アナタタチ…。」
「オカエリナサイ。港湾棲姫。」
「アッハハハ!オ帰リ!」
戦艦棲姫や防空棲姫たちが人数分オムライスを作っていた。
「早ク 帰レタカラ 手伝ッテイルノヨ。」
「北方棲姫ノ 気持チニ 胸ヲ 打タレタカラ…。」
どうやら寄り道せず、早く帰ってきたみたいだ。そして、北方棲姫が作っているのを見かけて、手伝ってくれていたのだ。
「アリガトウ…。本当ニ…。疲レテイルノニ…。」
「ナニ、疲レテイルノハ オ互イサマダ。」
「コンナ 遅クマデネ。」
「ソレニ、沢山イタホウガ 早ク終ワルシ。」
深海双子棲姫と深海鶴棲姫が口元を緩めて言う。
「ウン…!アリガトウ!」
そして、港湾棲姫も手伝い、早く終わった。
それを皆んなで一緒に食べたオムライスは、今まで無いほど美味しかったそうだ。
『深海棲艦 五島支部』は今日も平和です。
和む…。次回は、前回投票により検討中です。
シリアスは…犬の餌だ…。
次回があるとすれば、鎮守府のイベントに振り回されるお話です。
誰を登場させたいか
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集積地棲姫
-
戦艦棲姫
-
駆逐棲姫
-
南方棲姫
-
空母棲姫
-
軽巡棲姫
-
重巡棲姫
-
水母棲姫
-
潜水棲姫
-
離島棲姫
-
船渠棲姫
-
護衛棲姫
-
防空棲姫
-
泊地棲姫
-
飛行場姫
-
その他