鉄血の旗の元に《完結》   作:kiakia

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After2話 ヴェネトの想い 後編

「どうぞ、指揮官様っ♪」

 

 当初こそ自室に指揮官様をお招きした事実に緊張していましたが、やはり大好きな彼と二人きりで過ごす事が出来ると言う事実は私にとって何よりも嬉しいものでした。甘党である彼の為にコーヒーの中に生クリームと砂糖、更にハチミツを混ぜ込んだ特製のカフェオレをテーブルに置くと、指揮官様は恐縮した様子で私に感謝の言葉を述べてくださいました。

 

 

「ありがとうございます、ヴェネトさん……っと、中々甘いですね」

 

「お気に召しましたか?指揮官様が依然ホテルに滞在していた時によく頼んでいたコーヒーのレシピをザラから聴いて、私なりに再現してみたのですが」

 

 

 手紙とのやりとりの際にもかなり指揮官様は甘党と言うのが分かっていましたので、寧ろザラから聴いたレシピよりも生クリームの量を多めにして渡したカフェオレ。それを指揮官様は笑顔で受け取ってくださいました。それだけで私の心は幸福感で満たされていくのです。

 

「美味しいですね。あの時サディアで飲んだコーヒーそのものです。鉄血でも再現しようとしたのですがどうもサディアのコーヒー豆じゃないと好みの味にならなくて」

 

「鉄血のコーヒー豆は苦味が強いそうですが我々サディアのコーヒー豆はカフェオレや砂糖を入れる前提で作っておりますので、きっとそのせいもあるのでしょう」

 

「成程……だから俺の舌に合うのか」

 

 

 指揮官様は満足げに呟くと、私の方を見て微笑みました。あぁ、もう駄目です。何気ない、こんなやりとりが嬉しくて嬉しくて……私は涙が出そうになるのを必死に堪えながら笑顔で応えます。

 

 ずっと、ずっと、ずっっと……あの日、マルタ島で指揮官様達が我々をロイヤルの攻撃から救ってくれて以降、私は彼と二人きりで話す時間を待ち侘びていました。手紙のやり取りだけじゃ満足出来ない、もっと彼と話をしたい。彼と触れ合いたい。そう思いながら、私は毎日を過ごしてきました。

 

 

 しかし、いざこうして二人っきりになると……言葉が上手く出てきません。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 無言の時間が続き、私も指揮官様も黙り込んでしまいました。しかし、居心地が悪いのかと言えばそうではありません。穏やかな陽光が差し込む室内に、時折聞こえる小鳥の鳴き声。窓から見える景色は平和そのもので……平和になった世界で彼と再会し、同じ空間で甘いコーヒーを飲む。

 

 

 そんな時間が、とても……愛おしく思えました。

 

 

「……俺からも話していいですか?」

 

 

 

 

 沈黙を破ったのは指揮官様の方でした。私は慌てて首を縦に振り肯定の意思を示すと、彼は小さく息を吐いてから私を見つめて……そして、ゆっくりと口を開きました。

 

「あークソ……すいません。ヴェネトさんに会ったら色々話さないと行けない事が沢山あったのに、我ながら色々とあり過ぎて言葉が上手く出てきませんね」

 

「時間は幾らでもありますからゆっくりとお話しくださいませ。その、私は……貴方と一緒の時間を過ごせるだけで幸せですので」

 

 

 本音を言えば指揮官様のお顔を見た時点で私の胸の中は一杯でしたが、それでもまだ……彼の口から直接聴きたかった。

 

 私達は暫くの間、お互いに見つめ合っていました。すると、指揮官様は躊躇いがちに口を開きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……実は俺、結婚しました」

 

 

 

 

 

 

 

「っ…!」

 

 

 彼の口から出た一言は、私にとっては余りにも衝撃的な言葉でした。乙女気分で彼から甘い言葉を囁かれる事を期待していた私には、あまりにも残酷な現実でした。

彼が……既に誰かと結ばれている。その事実に思わず泣き出しそうになりましたが、どうにか堪える事が出来ました。

 

 

「そう、ですか……指揮官様、ご結婚したのですね。相手はどなたでしょうか?」

 

「……グラーフ、シュペー、ヒッパー。それともう一人ヴィシアのジャン・バールさんの妹であるガスコーニュの四人です」

 

 ズキズキと胸が冷たいナイフで突き刺されたような痛みを感じます。あのジャン・バールに妹がいて彼と結ばれているという事実にも驚きましたが、何よりも辛かったのは彼が名を上げた三名のkansen達は我々を救ってくれた『救国の艦隊』の一員である事。

 

 初めて指揮官様と出会った頃の記憶を思い出せば、少なくとも彼はサディアに滞在していた頃にはまだ誰も恋愛関係には陥っていなかった筈です。ですが……私と離れてから、私が文通で指揮官様とやり取りをする事にはしゃいでいた頃には彼と彼女達との間に結婚に至るまでの何かがあった事は明白です。

 

 

 

 

 ずるい、なんて口が裂けても言えません。

 

 

 

 指揮官様と直接顔合わせた事が今日も含めると片手の指で数える程でしかない私と、ずっと彼と死線を潜り抜けてきたあの方達。どちらが絆をより深めるかと言えば言うまでもないでしょう。私がサディアの事でかかりきりとなっていた時も指揮官様を支え続けてくれたのですから。

 

 

「そうですか……」

 

 

 私はどう反応すれば良いのか分からず、ただ曖昧な返事をするしか出来ませんでした。しかし、不思議と嫉妬心は湧いてきません。元々指揮官様に一目惚れしただけの私にとって、彼の隣にいるのは自分だという考えは思い上がりも甚だしい事実だと嫌でも自覚できてしまうのですから。

 

 きっと、彼は今幸せなのでしょう。あの方達が傍に居るだけで、指揮官様は満たされるのでしょう。そして最早私が彼の横に寄り添える未来はもう……ない。

 

 

「……」

 

 

 

 私は自分のカップを見つめました。そこに映るのは酷く醜い表情をした私。彼にはこんな姿を見せたくありません。

 

 

 

 だから、涙を堪えて微笑みました。

 

 

 

 これが、私なりの精一杯の強がりです。

 

 

 

 この瞬間、私の恋は終わりを迎えたんだ。指揮官様がわざわざ遠い鉄血からこの国に来てくれたのはそれがケジメだと真摯に告げられた気がして、私は小さく息を吐いてからゆっくりと首肯しました。

 

 

 

「失恋、しちゃいましたね」

 

 

 ……私は何を言っているのでしょうか?ただ黙って指揮官様の結婚を祝福すればいいというのに未練たらたらの自分が情けなくて仕方がない。だけど、私の口は止まらない。

 

 

「貴方の事が好きです。貴方に愛して欲しいです。貴方の妻になりたいです。貴方の隣にいたいです」

 

 

 あぁ、ダメだ。止めないと。これ以上は指揮官様を困らせてしまいます。だと言うのに、私の口は勝手に動き続けてしまっていて。

 

 

 

「……ごめん、なさい。こんな事をいっても貴方を困らせるだけだと言うのに…ですが、どうしようもなく貴方の事が……ヘルブスト様の事が好き、なんです」

 

 

 敗者はただ立ち去るのみ。

 

 

 そんな言葉が頭を過りました。これ以上は本当に迷惑をかけてしまう。必死で頭の中に冷や水を何度も浴びせさせ、震えそうになる声を抑えながら、ゆっくりと席を立ってから私は指揮官様へと頭を下げました。

 

 

「申し訳、ございませんでした」

 

「ヴェネトさん」

 

「どうか……お幸せになってください。ちょっとだけ、ショックを受けてしまいましたが私の事はお構いなく……ですが。せめて友人として、これからも貴方とは仲良くさせ──」

 

 

「ヴェネトさん!!」

 

 

 彼は私の名前を呼んで、そのまま部屋を立ち去ろうとする腕を強く掴みました。強く握られているせいで少し痛くて…ですが絶対に離さないと言わんばかりの彼の力強さに、思わず心臓が跳ね上がってしまいます。

 

 

 

「待って下さい!!俺は貴女を傷付けてしまった!貴方に告白されておきながら他の女性と婚約してしまった最低の男だ……!!幾らでも殴って構わない、罵倒してくれても構わない。ですが、あと少しだけ……俺の話を聞いて欲しい」

 

「……貴方が望むのであれば」

 

 

 

 正直に言えば今すぐ消えてしまいたい。出なければ彼に無様な泣き顔を見せてしまう、何故私ではなくあの人たちを選んだのですか?と泣き喚き散らしてしまいそうです。

 

 

 

 ですが、彼は私に想いを伝えてくれたのです。ならば、私もそれに答えねばなりません。

 

 

「ありがとうございます……」

 

 

 彼は深々と頭を下げると、じっと私を見つめます。罪悪感と共に何かの決意を感じさせる瞳で、彼は静かに懐から小さな箱を取り出しました。

 

 机の上にそれを置いた後、彼はゆっくり深呼吸をしてから、その赤い小箱を開くと……そこには、綺麗に輝く指輪が収められていました。

 

 

 そう、指輪が。レッドアクシズと銀色の刺繍が箱の中は描かれており、中央部には鮮やかなルビーが埋め込まれています。

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

「俺と、結婚してください」

 

 

 

 一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。結婚?誰と誰が?私と彼が?えっ……えっ!?

 

 

「ま、待ってください!?指揮官様はもう結婚して……ッ」

 

 さっきの流れだと私は完全に失恋したじゃないですか!?彼は私より、もっとふさわしい女性達と結婚して、私は失恋した。こうして初恋が実らず一つの恋が終わったはずなのにどうしてこんな展開になっているのでしょうか? 混乱する私に指揮官様は苦笑を浮かべると、小さく首を横に振りました。

 

 

 彼の指先がそっと私の手に触れて、優しく包み込む。そして、ゆっくりと口を開きました。

 

 

「ヴェネトさんは俺が謹慎していた事を知っていますよね?」

 

「えっ、ええ……それが何か…?」

 

 

 唐突に放たれた言葉をどうにかして脳内で咀嚼しながら記憶の海を駆け巡る。彼は確かにサディアでの任務を終えた後、ロイヤルのスパイとトラブルとなり発砲され、指揮官様の怪我はそれ程のものではありませんでしたが、その事に激怒した数日後に鉄血艦隊がスパイ撲滅戦を敢行。

 

 同胞を傷つけた唾棄すべき下劣な暗殺者に裁きの鉄槌を。ロイヤルのクイーン・エリザベスに暗殺者の頭蓋を送りつけ、血の報復を。存在を髪の毛一本すら決して許さず根絶せよ。我が同胞の為に鉄血の力とならん事を。クズ共を絶対に赦すな殲滅せよ。

 

 それだけサディアで『英雄』として活躍した指揮官様を傷つけられた事実にビスマルク達は激怒していたのでしょう。しかしスパイは殺される事も無く捕虜となり、そのきっかけを作ったのが……まさにスパイに殺されかけていた筈の指揮官様なのでした。

 

 

「あの時の俺は本当に馬鹿でした。正義感や偽善に陶酔を覚え、今度もまた捕虜にしてやると言わんばかりに味方の行動を妨害。その上で出現したセイレーンとの戦闘のゴタゴタでスパイの二人の逃亡の手助けをしてしまったのですか……全方位に迷惑をかけて……更迭どころか銃殺されても文句は言えませんよ」

 

 

 沈痛な表情で指揮官様は話しますが、余程後悔しているのでしょう。当時の事を思い出せば思い出すほど、辛そうな顔をしています。

 

 

「結果的に査問会では、今俺が処罰されるとレッドアクシズの戦勝ムードに水を差し、サディアと鉄血の関係にヒビを入れてしまうかも知らないと実質的なお咎めは無し。ですが一度自分を見つめ直しなさいと言われて……ずっと、ベッドの上で無気力に過ごしていて……我ながら恥ずかしい限りです」

 

 渇いた笑い声を漏らしつつ、指揮官様は虚空を見つめました。彼の目にはきっと、過去の光景が浮かんでいる事でしょう。指揮官様の言動を見る限り悪意を持って行動した訳ではない事は明白ですが、同胞との絆を重視する鉄血海軍にてその信頼を裏切ってしまったであろう彼のその時の絶望は想像を絶するものです。

 

 気がつけば私は彼の手を握りしめていました。過去のトラウマが蘇ったのか微かに震える指揮官様の手は何処か幼児のように思えて……ですが震えもやがて収まり、彼はゆっくりと私に視線を合わせました。

 

 

 

「そんな時に……ヴェネトさんとの手紙のやりとりが本当に助かったんですよ。互いの事を知る為の手段だった手紙がいつの間にか心の支えになっていて、特に色々とキツかった時期もヴェネトさんが何かあれば率先して味方になってくれるって書いてあった時、まるで暗闇の中で一筋の光が差し込んだような気持ちで……ヴェネトさんのおかげで俺はまた立ち上がろうって思えるようになったんです」

 

 ぎゅっと手を握られると、心臓が跳ね上がるのを感じます。顔が熱くなるのが分かり、思わず俯いて目を逸してしまいました。恥ずかしくて目を逸らそうとしても、何故か目線が吸い寄せられるように彼の瞳に釘付けになってしまいます。

 

 私にとってあの手紙のやり取りは指揮官様を知る為の手段。あわよくば指揮官様と結婚する為の情報収集。そう思っていたのですが……そんな打算的な考えなんてすぐに吹き飛んでしまう程に彼との手紙のやり取りが楽しく感じたのも事実。

 

 今日はどんな事があっただとか、互いの好みだとかを話題にし、指揮官様の日常や彼の人柄を知るきっかけとなり、だからこそ指揮官様を傷つけたロイヤルへの怒りともっと早く彼と再会して直接話がしたいという想いが募るばかり。

 

 それが、私にとって戦争を終わらせる為の原動力となったのです。例え側から見れば下らないと思われてしまうかもしれませんが、ただ指揮官様ともう一度話がしたい。そして、好きと言う気持ちを改めて伝えたい。それだけで私は今日まで頑張れた。

 

 

「手紙に勇気を貰って……その上でリットリオから自分に正直になれば良いと。恋愛観だとか、未来像とかは関係なく。自分の横で笑っていて欲しい人に指輪を渡せとアドバイスを貰って……」

 

「し、きかん…様…」

 

「遅くなって申し訳ございません。もしもヴェネトさんが……ずっと貴方を待たせた俺を、先に告白してくれた貴女の前に、他の女性に指輪を渡したこんな最低な俺を許してくれるのなら……どうか、俺と結婚してください」

 

 

 私の手をぎゅっと握り締め指揮官様は真っ直ぐに私の瞳を見つめてきました。彼の言葉に胸の奥が締め付けられるように痛み、視界が涙で滲んでいきます。

 

 

 

 

「……貴方はズルい人ですね。私がどれだけ……待ち望んでいたと思っているのですか?どれだけ……その言葉を待っていたと思うのですか」

 

 

 

 感情が抑えきれなくなり、ぽろりと大粒の涙を流してしまいました。ああ、本当に……本当に……

 

 

「私は……ずっと……ずっと待っていました。鉄血出身の貴方とサディアで産まれた私。その関係に悩んだ事もありましたし、貴方が他の人を愛するのなら身を引こうとも思いました。それでも……諦めきれなかった。だから……貴方の言葉をずっとずっと……心の底で待ち続けていたんです」

 

 

 指揮官様は優しく微笑むと、そっと私を抱きしめてくれました。そのまま指揮官様の胸に顔を押し付けると、ドクンドクンと心臓の鼓動が聞こえてきて、その音を聞いているだけで安心感が溢れてくるようです。

 

「ヴェネトさん?その、返事を」

 

「今更話す必要はありますか?答えは決まっています」

 

 指揮官様に抱かれながら、私は小さく呟く。

 

 

「ずっと、貴方の事をお慕いしておりました……愛しています。指揮官様……私を、貴方のお嫁さんにしてください……!」

 

 あぁもう……これ以上は感情が昂りすぎて上手く喋れませんね……だけど、そんな事どうでも良くなるくらいに幸せです。やっと……ようやく……! 私の告白を聞いた指揮官様はぎゅうっと強く私を抱き寄せました。まるで離さないと言っているかのように。強く抱き寄せられて苦しい筈なのに、その苦しさすら心地良く感じてしまいます。

 

 

「本当に怖かったんですよ…!指揮官様が他の人と結婚したって聞いて……!もう私は貴方の側に立つ事も出来ないのかと思って……!!」

 

 

 今まで溜め込んでいたものが決壊したダムのように流れ出していきます。嗚咽混じりに彼の胸の中で泣いてしまいました。慌てた指揮官様が背中をさすってくれていますが、この涙を止める事は出来そうにない。

 

 

「意地悪です……先に指輪を渡して頂ければこんなにショックを受ける事も無かったのに…」

 

「本当すいません!!告白した後に実はもう四人もお嫁さんがいるだなんてヴェネトさんに説明するより先にその事を伝えておかないとと思ったものですから……」

 

 

 そう言いながらも指揮官様は私を慰める為に頭を撫で続けてくれる。子供扱いされているようで少し不服ではありますが、この温もりをずっと求めて夜は寂しく自身を慰めてもいたのですから文句は言えません。

 

 

「いえ、指揮官様が悪いわけではありませんから。それに、指揮官様が誠実な方だという事もよく分かりましたし……」

 

 

 

 そう言うと指揮官様はほっとした表情を浮かべた後に、真剣な眼差しになりました。

 

 

「改めて、国も違ってヴェネトさんには色々と苦労をかける事になるでしょうが……男として、貴方を幸せにする努力は惜しみません。これからも、よろしくお願いします」

 

「ふふっ、そんなにかしこまらなくても良いですよ。私も指揮官様を幸せに出来るように頑張ります。改めて、こちらこそ末永く宜しくお願い致します」

 

 

 

 お互いに笑い合うと、指揮官様は私の頬に手を当ててきました。そのまま私の顔にゆっくりと近づき、唇を重ねられました。

 

 

 初めてのキスはほんの一瞬でしたがとても長く感じるものです。そしてそれは私だけではなく、彼も同じだったみたいで……。

 

「ふぅ…んっ…♡…私のファーストキスの相手は貴方になってしまいましたね?出来れば指揮官様のファーストキスも頂きたかったのですが」

 

「……すいません」

 

「謝らないで下さい。貴方は私の旦那様になる人なのですから。なんなら私の事を他の方の様にヴェネトと名前呼びしても良いのですよ?」

 

 我ながらファーストキスを指揮官様に捧げた事でテンションがおかしくなっている自覚はありましたが、これくらいは許して欲しいものです。

 

 

「そ、そうですか?それじゃ…その、ヴェネト?」

 

 

 ヴェネト…ヴェネト…!姉妹以外でプライベートの際に私の事を名前で呼んでくれる人など初めてで、嬉しさで胸がいっぱいになっていました。

 

 

「はい、ヴァイス様♪」

 

 

 思わず満面の笑みで返事してしまいました。だって仕方がないじゃないですか。好きな人に名前を呼ばれる事がこんなにも嬉しい事だとは思っていませんでしたし。彼を求め続けた夜は本当に辛くて悲しかったのに、今は幸せな気持ちで満たされているんですもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ……ですが……まだ、足りません…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官様……私達は両想い、という事であってますよね?」

 

「勿論……えっ、ちょっ…ヴェネト!?」

 

 

 

 流れる様に私は指揮官様をベッドに押し倒していました。彼は困惑した様子で私を見つめていますが、今の私にとってはそんな事はどうでも良かった。ただ……この人と一つになりたいという欲望だけが私を突き動かしていました。

 

 

「指揮官様……愛しています……!もう、我慢できないんです……!」

 

「お、落ち着いて!待って!ステイ!ヴェネトさんステイ!!」

 

「ヴェネトですよ指揮官様っ!ロイヤルと鉄血の会談が終わって以降しばらく手紙のやり取りも出来なかった時、どれだけ私が溜まってたか……!」

 

 

 私達はそう、夫婦です。夫婦ならば夜の営みがあって当然です。もう我慢しなくてもいい、どれだけ指揮官様を求めても許される。そう思うだけで身体の奥底から熱くなってきました。

 

 

「身体の火照りが収まらないんです……!お願い、貴方の熱いのを……!」

 

「えっ、ちょっ、ヴェネト……!まっ……!!」

 

 

「指揮官様ぁ……♡」

 

 舌を絡めて濃厚な口付けを交わした後、私は指揮官様の上に覆い被さる形になりました。これでもう彼は逃げる事は出来ません。後はもう、指揮官様の全てを私の中に迎え入れて愛してもらうだけ……!指揮官様と恋仲になれたと同時に溢れ出したのは愛情だけでは無く、ずっと我慢し続けてきた情欲や肉欲といった感情までもが爆発する勢いで流れ込んでいきました。

 

 舌を絡ませる度に理性が蕩けていき、指揮官様を求める事しか考えられなくなってしまいました。彼の首に腕を回し、貪るように何度も何度も唇を重ねて、互いの唾液を交換し合いました。

 

 

「んっ……ちゅっ……はむっ……ふぅっ……」

 

「うっ……ふふっ…♡指揮官様…可愛いです……♡」

 

 

 

 普段は凛々しい表情をしている指揮官様がこんなに可愛らしい表情を見せてくれるだなんて思いもしませんでした。普段からこんなに甘えた声を出してくれるのであれば、もっと早くこうしていれば良かったですね。

 

 

 

「あれぇ!?ヴェネトさんってもっとこう……大人しいというかエッチな事って苦手な性格だと思ったんだけどなぁ!?」

 

「何を今更♡私は一目惚れした貴方の為に裸でお風呂で裸体を見せつける程度にはエッチな事も……ふふっ♡女の子は誰でもこういう一面があるんですよ?知らなかったのですか?」

 

 

 

 指揮官様は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていました。いつもの頼れる姿とは打って変わって、フランクな反応を見せて下さるのはとても嬉しいものです。彼はきっとグラーフ様達と既に肉体関係を結んでいるでしょうが、それが羨ましくて仕方ありません。

 

 ならばそれを上書きすればいい。ならばグラーフ様達より多く指揮官様と身体を重ねればいい。そう考えた私は指揮官様を押し倒しました。

 

 

「リットリオが3日も休暇を用意してくれて助かりました。指揮官様は何かやりたいシチュエーションやプレイなどはございますか?私はどんなものでも構いませんよ?」

 

「えーと…ヴェネト?取り敢えずデートから始めようって提案を受け入れる気は?」

 

「いやです♪甘えたいだとか、犯したいだとかなーんでも言う事聞いてあげますし、指揮官様の望むままの事をして差し上げますから♡」

 

そう言って指揮官様に抱きついて彼の頭を胸元に抱き締めると微かな抵抗もなくなりました。男性はおっぱいが大好きだと聞いたことがありますが、今程自身のB110超えのバストに感謝した事はありませんでした。

 

 

「ふふっ…私も初めてですが出来る限り頑張りますから……一緒に気持ちよくなりましょうね♡」

 

「落ち、落ち着…ヴェ、ヴェネトォ…!」

 

 

「お乳をつく?ふふっ…♡お乳も、お尻も、おまん○も私の全ては貴方だけのもの……♡全部、ぜーんぶ使ってご奉仕しますので…今宵は私の身体に溺れてくださいませ♡」

 

 こうして、まだ朝の日差しが差す時間だというのに部屋からは互いの嬌声が響き合う中、私達の関係は今この時から始まりを告げるのでした。

 

 

 ふふっ♡今夜は寝かせませんよ指揮官様…♡

 

 

 





・ヴェネトへの告白

指揮官は最初からもし、ヴェネトが許してくれるのであれば彼女を待たせ続けた事や先にグラーフ達に告白した事を全て謝罪した上で彼女を娶る事を最初から決めていました。明石から貰った最初の指輪をわざわざ装飾などを全て自腹で変更した上でのルビーの指輪。ずっと自身を想い続け、謹慎期間中に心の支えとなってくれたヴェネト。そんな彼女との結婚は互いに違う国家の軍人である事や互いの立場から一筋縄ではいけませんが必ず指揮官はヴェネトを幸せにするでしょうね。その上で絞り取られますが。


・ヴェネトの暴走
ダイス判定では彼女が告白を受け入れた後いくつかの選択があり。


dice1d4=4 (4)
1.泣かれたー!?
2.ご、ごめんなさい…感極まってつい…
3.唇を奪われる
4.両思いなら、やることは一つですよね? ……なんか息荒くなーい?←確定

 最終的に色々と我慢し続けたヴェネトの感情が爆発してしまい指揮官を告白と同時にベッドに押し倒してその上で彼を搾り取る事に。以後アフターサディア編は別名総旗艦大暴れの巻とされる程に今後も暴走する事になるのですがそれはまた別のお話です。

おまけ
リットリオの感想

Qリットリオさんアンタのお姉さん指揮官君とヤったみたいよ?

Aリットリオの反応
dice1d10=6 (6)
1~3.爆笑
4~6.えっマジでヤったの?←確定
7~9.さてこのあとは忙しいな…
10.…少しだけモヤモヤするな

リットリオ「正直良い雰囲気になってキスをすれば御の字と思っていたが、私はあの色ボケ姉を舐めていたよ……明らかなゴム無しの生ハメだがヴェネトが妊娠すれば……久々に胃薬を飲むか……」




 次回はそんなヴェネトとの事後のお話。告白と初夜が終わったとはいえまだまだやる事山積み。英雄と総旗艦という二つの立場かは始まったこの恋は一筋縄ではいかないようで……。


コメント、感想、評価をお待ちしております。

指揮官の後世の評価はどうなる?

  • 戦争を終わらせた立役者
  • サディアを救った救国の英雄
  • ロイヤル最大の敵
  • 女の子に手を出しまくりの色を好む英雄
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