「……全く、私の指揮官はかの『英雄』殿とは大違いです」
「…荒れていますね?ローマ」
「と言うよりはあの指揮官に彼レベルの高望みをしすぎているだけ、と言うべきじゃないかな?」
レッドアクシズの総本部に成るべく準備が進められているマルタ島にて三人の美女がテーブルを囲み、甘ったるい蜂蜜やクリーム、砂糖をてんこ盛りにしたコーヒーを片手に会話に華咲かせている最中だった。
苦笑するのはサディア帝国の総旗艦ヴィットリオ・ヴェネト。やれやれと肩をすくめるのは彼女の妹の1人であるリットリオ。そんな2人に向かい不満を垂れ流している黒髪の美女はローマ。
普段はアフリカ植民地防衛の要である司令官を勤めあげている彼女だが今は本国に戻っているのだ。威厳の感じられる鋭い目つきに整った容姿、しかしそれは怒りによって吊り上がっていた。
「ローマの指揮官なのですよ?最低限でも『英雄』殿と同程度には活躍をして貰わねば釣り合わないと思うのですけれど。ローマの指揮官たるもの常勝不敗。例え敗北を喫しても決して狼のような誇りだけは失わない。威厳と慈悲を兼ね備え、誰よりも勇猛果敢。そのような人物でないと……相応しいと認めません」
ローマは自分の考えを熱弁するが、2人の反応は実に冷ややかなものだった。ヴェネトはいつもの様に柔和な表情で微笑み、私は何も言いませんよ?とリットリオに目を向ければリットリオは少し考えた後に呆れた様に口を開く。
「ローマ……訂正すべき点がいくつかある。一つは我が夫はそこまで完璧な神話の英雄ではない事。指揮能力はお世辞にも優れているとは言えないし、戦いにおいては勇敢と蛮勇を履き違えて余計な感情を戦場に持ち出す。そして一番の問題点として指揮官としての資質に欠ける部分が多すぎる。何より……彼は人間なんだ。どれだけ優れていようとも神話の英雄のように完璧じゃない」
諭す様に口にするリットリオであったがローマの目を見た瞬間勘付いてしまった。
──あ、これ無理だと。
その目は何を謙遜する必要があるんだと雄弁に語っていた。そしてそれを感じ取ったからこそ、リットリオは溜息をつくと諦めたように小さく首を横に振る。
確かにヴェネト、リットリオの婿である鉄血の『英雄』は数百年後の歴史書にすら名を残すであろう功績をあげており、客観的に見たとしても彼が凄くない。彼は普通の人間だと口にした所で説得力は皆無でありローマを納得させる材料にはならないだろうと悟ったからだ。
(やれやれ…あの男が常勝不敗で勇猛果敢か…全く、私もプロパガンダで彼の活躍を少し盛りすぎたのかもしれない)
内心でそんな自虐を漏らしながらローマを見れば彼女はふふんと誇らしげに胸を張っていた。彼女からすればそんな『英雄』と婚約した姉2人に尊敬の念を抱いているのだろうが、そのお陰で彼女を指揮する羽目になった指揮官はかなりの苦労を強いられているだろう。
彼女の任地であったエチオピアは現在重桜に売却予定であり現在は本国で対セイレーン戦に従事しているのだが、その部隊には新たに指揮官が配属されていた。
決してその指揮官は無能ではない。未熟ではあるが素直で、何よりやる気に満ち溢れている青年でリットリオ自身も好感を抱く相手ではあった。
──しかしそんな彼でもローマを御するには難儀するだろうと確信できる。何故ならローマは……
「いいかいローマ。君の気持ちは良く分かる。だがな……15歳の少年に世界を救う大役なんて荷が重いと思わないか?」
15歳という単語を聞いた途端、ローマはむっと頬を膨らませる。そう、総旗艦ヴェネトの妹であるローマを指揮する大任を任された指揮官とはまだ15歳の若輩者でありそんな彼に『英雄』と同じ様な働きを望むというのは酷というものであったのだ。
指揮官としては珍しい下級貴族出身の彼はあの運命の日、イオニアにて『英雄』ヴァイスクレー・ヘルブストの通信を聞いた若者であり、故に自身もあの日祖国を救ってくれた『英雄』に近づくべく、そしていつかは追い越さんとする野心に燃える若き将校だ。
その意気込みや良し。しかし、魅力的な男性の基準が『英雄』と同列であるローマはまず間違いなく小言を日常的に口にしているだろう。ローマは決して悪人ではないが四姉妹の誰よりも自尊心や理想が高く、そしてそれを他者に押し付ける傾向がある事をリットリオは危惧していた。
「ともかく……ローマが高く我らの夫を評価をしている事は理解したが、そちらの指揮官にあまり過度な期待を寄せないようにして欲しい。まだまだ先はある訳だ……もう少し長い目で見てやるべきではないかな?ローマ」
リットリオは今自分に言える事はこれまでだとコーヒーを口にする。彼が好きだった『ヘルブスト』とサディアで名付けられている糖分過多のコーヒーは、今ではすっかりリットリオにとっても好物となっていた。甘いクリームと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲んでいると彼と一緒にコーヒーを飲みながら会話を交わしていた日々を思い出す。
ヴェネトとは違いリットリオはヘルブストと半ば成り行きで婚約しており、自身の愛情もヴェネトや他の彼の妻たち。例えば明らかにリットリオから見ても献身的に彼を支えようとしていたシュペーと比べて薄かったという自覚がある。だがリットリオはそれを気にしてはいなかった。
自分は自分なりの方法で愛を育めば良いのだと。ナンパの為に数多くの恋愛小説を嗜んできたリットリオだがその中には政略結婚から始まる恋や肉体関係から芽生える愛情を描いた物も存在していたのだから。
そう考えると自分の選択は決して間違ってはいない。だからこそ今もリットリオはこうして幸せを感じていられるのだと確信していた。しかし、ローマはそうではなかったらしい。今度彼が好きだった干し葡萄のワインと共に姉としてローマのトリセツを描いた手紙でも送ろうかと嘆息混じりに思うのであった。
「…それはそうなのですが…やはり、こう、私の指揮官である以上は世界に名を轟かせる…やはり私も…」
「渡しませんよローマ?」
それまで黙っていたヴェネトはポツリと口にする。
「……ヴェネト姉?この前は少し考えると言ってませんでしたか?」
「あの時は私も浮かれてローマもインペロも彼に抱かれて四姉妹全員彼の妻になる未来を期待していましたけど……もうそれは無しです」
ヴェネトは穏やかな表情を浮かべたままだが目だけは真剣そのものだった。そしてローマもまたそれに気付きゴクリと喉を鳴らす。ローマの知る限りヴェネトは冗談でこんな事を言う女性ではない。つまり本気で言ってるのだという事を理解してしまう。
「冷静に考えると指揮官様が妻を増やせば増やす程、私が指揮官様と触れ合える時間が少なくなりますから。もちろん優しい指揮官様の性格上お嫁さん達に格差をつけたり、正妻や第二婦人、妾といった区別を付ける事はなく平等に愛してくれるでしょう。ですが時間は有限。誰か女の子が増えればそれだけ私とイチャイチャ甘々ちゅっちゅなでなでヘコヘコの営みをする時間が減ってしまいます。ですから……ね?」
にっこりと、ヴェネトが笑う。しかしその笑みを見た瞬間ローマはヴェネトから強烈なプレッシャーを感じた。人の旦那に手を出せば妹といえど敵に回るぞと。ローマとしては英雄に相応しい人材がいなければ自分もヴェネト達と同じ『英雄』の妻となり、引いては第一夫人にとほんの少しだけ野心があったのだが、それを口に出す勇気は彼女にはなかった。今のヴェネトの目は全く笑ってなどいない。
むしろ逆。その視線はまるでローマが下らない野心を抱いているのであればその命をもって責任を取らせる覚悟すら秘めていると言わんばかりにローマを捉えている。
ローマはその目を見た瞬間悟ってしまった。
──あ、これ無理だと。
間に入ろうとした途端、殺されはしないが政治的に排除される事は覚悟しなければなるまいと。
(ヴェネト姉をここまで狂わせた英雄……侮れないわ……)
ローマは内心で『英雄』に対する評価を改め、ヴェネトの狂気の一端に恐怖すら覚えた。その英雄はヴェネトの言う通り、確かに凄い人物なのかもしれない。しかしローマはそんな英雄より目の前にいる姉の方が何よりも怖く、今後はヴァイスクレー・ヘルブストの話題は出さないようにしようと心に誓うのだった。
「……んっ?紅茶が切れてる?」
ロンドンと会話をして数日が経つが、まだ戴冠式の準備は難航しているようで未だにヴァリアントか、の報告は届かない。
やる事と言えばこうしてビスマルクさんと紅茶を飲んだり、ビスマルクさんがいない時は一人で紅茶を飲んだり、ロンドンに紅茶を入れてもらおうと思ったけどなかなか足が運ばなかったり……俺この数日間紅茶しか飲んでねぇなぁ!?いや頼めばコーヒーも用意してくれるだろうけど!
とは言えそんな生活を数日過ごしていればあらかじめ用意されていた茶葉のストックも切れてしまう。書類に目をやりながら同じく紅茶を飲んでいたビスマルクさんも一瞬目を丸くするが手元のベルに手を伸ばしながら口を開く。
「出来ればメイドを呼ぶのは遠慮したいけど……仕方ないわね」
チャリンと澄んだ音が室内に響きつつ、彼女は愚痴るように呟きながらもベルを手放した。曰く彼女はここ数日ロイヤル内で内通者と接触したらしく、ここ最近部屋に戻らないのも独自にその情報を元に動いているからだとか。
あの忠義こそが美徳なロイヤルネイビーから離反者を作り出すだなんて、流石ビスマルクさん……と言いたい所だが本人は色々あったらしくこの件に関しては独自に調査するそうな。
ただ発信機を仕掛けられていたらしく常に今のビスマルクさんは余裕がない。下手したら今この瞬間も見張られている可能性があるとのことだった。あの時と一緒だな。思わずサディアに初めて向かった過去に想いを馳せてシンパシーを感じているとノック音も無しにバン!!と勢いよく扉が開かれる。
「はーい!!にゃんのご用?チェシャーが来たよ!!!」
……あれなんで重桜人がいるんだ?あっよく見るとこれネコミミのカチューシャか?ヒッパーがそういえば夜に付けてくれてご奉……なんてアホな事を考えているとやたらとテンションの高いネコミミを付けたメイドらしき女の子がぶるん、ぶるんと胸を揺らしながら部屋に入って来た。
「あの」
「あっ紅茶がたりにゃいのね?ちょっと待って!ネプチューンに教えて貰ったとびっきりのを用意してるから!」
「あの」
ビスマルクさんと俺が説明を求めるも、チェシャーと名乗った少女は凄まじいまでのハイテンションでガサゴソとポーチから茶葉……ではなく、インスタントのTバッグを取り出しふんふんと言いながら色々と混ぜている。
一瞬だけ毒を…なんて物騒な考えが脳裏に浮かんでしまうが、彼女からは悪意も殺意も感じられない。というかそもそもこの子本当に誰だよ。
「はいどうぞ!冷にゃい内に飲んでね!」
にかっと笑うと彼女は俺達の前にティーカップを置き、ゴロゴロと喉を鳴らしながら俺の隣に立ち、じっとこちらを見つめてくる。やだジロジロ見るなんて恥ずかしいわ……なんて思いつつ彼女は期待するような目つきを向けてきたため俺はそろりとティーカップを手を……
「あの……近いんですが」
「ん!?にゃんかご不満が?」
「いえ……まぁ……」
ほら…ビスマルクさんとか凄い顔でこっち見てるし……敵意は感じられないけど明らかにメイドの作法じゃない子だし……あとこの距離感で匂い嗅ぐのやめてもらっていいですかねこのケモ耳娘。
「あ~もう!にゃんでそんなにお堅いの?もっと気楽にいこうよー!あっそう言えば鉄血の人って堅物な人が多いドレイクが言ってたから?ねぇねぇ鉄血について詳しく───」
「貴女、特別計画艦ね?」
クンクンと匂いを嗅ぎながらフレンドリーを通り越して馴れ馴れしいすら超越し、最早若干ウザくなり始めたチェシャーにビスマルクさんは確信を持った声で問いかける。するとチェシャーは満面の笑みで頷いながら口を開いた。
「うん!そーだよ?ついでにダンナ様も募集中なの!それで鉄血から人が来たってモナークが言ってたからもしかしてこの人がダンナ様になるかも!!ってメイドの人に頼んで偶に待機室で代わってもらってたってわけにゃの!」
「……ちなみに代わってくれたのってニューカッスルさん?」
「そうだよー?」
チェシャーはにっこり笑いながら俺の問いに答える。いいのか?監査役の一人っぽいあの人が勝手に持ち場を離れてメイドでもない子に任せても良いのか?と思ったが余りにもチェシャーは邪気のない笑顔を浮かべており、この子なら特に問題は起きないと確信していたのかもしれない。或いは……なんて深読みをしてしまうがチェシャーは言葉を続ける。
「あっダンナ様って言っても結婚相手じゃにゃいよ?確かに結婚したい!ってくらいのダンナ様には会いたいけどチェシャーには指揮官がいないんだよね!指揮官がいなくてもロイヤルの皆は働いてるけどやっぱりチェシャーは指揮官って人の所で戦いたいにゃって!カッコよくて、頼りになって、強くて、優しい人!で!そんな訳でチェシャーはダンナ様募集中なんだけど……」
いよいよボディタッチも解禁したのか手でペタペタと俺に触れながらチェシャーは思案するように言葉を区切る。うーん?だのやっぱり?だのとぶつくさ言いながら俺をじろじろと見ながら彼女は何かを考え込むように腕を組み、そして再び口を開く。
「でもにゃんか違うかな?」
「はい?」
えっ?何が違うの?というかそもそも君にどんな評価を下されたの俺。いや、そもそも彼女はロイヤルの切り札でもある特別計画艦。俺の元に配属されるなんて事はあり得……いやガスコーニュって例外はあるけどね。
「うーん、キミからも何か感じるような感じにゃいような?顔は優しそうだし、真面目そうなのはわかるけどなんかこう……にゃんだろ?とにかくなんか違うんだよにゃぁ」
「は、はぁ……そうですか」
なんだろう、凄く失礼な事を言われている気がする。というかビスマルクさんもなんか怒ってない?ちょっと口元をヒクヒクさせてない?そんなビスマルクさんの様子に気が付かずチェシャーは品評を続ける。
「もっとこう、チェシャーは頼りになる旦那様の所で働きたい!って思うんだけどキミは……うんっ!頼りになると言うより支えてあげにゃきゃ!って感じ?だからチェシャーはキミの所に配属になってもあんまり嬉しくにゃいかも?うんっ!不合格だけど安心して!きっとキミを支えてあげたいって思う子は現れると思うからっ!」
ビシッと決めポーズを取りつつウインクをするチェシャー。いや、合格も何も……自分がビスマルクさんの様なリーダーシップとカリスマ性があるとは口が避けても言えず、案外彼女の言っている事は当たっているのかもしれない。ただ一つだけ訂正するならば既に俺には支えてくれる女性達が現れている事だが……それこそ今更言う必要もないだろう。
「あっ!もうこんな時間!早く戻らにゃいと怒られちゃう!んじゃね!ダンナ様じゃにゃいけどキミも元気出して頑張ってね!!」
そう言ってチェシャーは嵐のように現れ、去って行く。残された俺達は暫くの間無言で彼女が出て行った扉を見つめ続けていた。
「あの、大丈夫ですか?」
「えぇ、まぁ……とりあえずお茶を飲みましょうか」
ちなみに紅茶の味はTバッグである以上、一定の美味さは保証されているはずだが……余計なスパイスを色々ぶち込んだ為なのか、甘さと辛さと苦さとえぐみがごっちゃになった謎の液体になっており、正直に言って不味かった。
「……悪かったわね」
そんな事があったのが数日前だ。どうもチェシャーが俺たちの部屋にやってくるのはロイヤルの機密的にも、ボディチェックもロクに行われていないkansenが乱入したのも不味かったらしく、こっぴどくチェシャーとニューカッスルを叱った後、元ロイヤルの陣営代表エリザベスは疲れた様子で俺達の部屋にくるなり苦々しい表情で謝罪しに来ていた。
現在チェシャーとニューカッスルは謹慎で数日の間、自室にて待機する事になり、その報告とお詫びも兼ねてエリザベスは俺に対価を用意してくれた。
「本当に良いんですか?家族の為に長距離通信機を使わせてもらうだなんて……」
「……ダメに決まってるわ。私的な通信の為に使わせるなんて許可は普通なら降りないわ。そう、普通ならね」
先導するエリザベスはそう言って肩をすくめる。
「でもその、ね……これ以上の失点はヴァリアントの立場を悪くするわ。あの子の立場、かなり危ないのよ。出来る限りヴァリアントのために引き継ぎはしたつもりだけど……」
隠蔽せざる得ない程に。
ただでさえ望まない女王就任でプレッシャーに押し潰されていた彼女は正直ロイヤルネイビーを統括出来ているとは思えなかった。
軍事機密の塊である特別計画艦であるチェシャーが平然と他国の使者の前に現れる。未だに男女の使者、しかも片方は既婚者である二人を同室にして新しい部屋を用意出来ない。恨まれているであろう俺達鉄血組の来訪を皆にきちんと伝えられていなかったなどなど……正直、あまり言いたくは無いが陣営代表としては余りにも未熟だった。
比較対象がビスマルクさん、ジャン・バールさん、そしてヴェネトの三人である事も悪いんだろう。ヴェネトだって陣営代表になった当初は色々と緊張して大変だったと聞いている。
それを思えば仕方ないのかもしれないが……必死で頑張っている姿は痛々しく可哀想だと思う反面、もし俺達ではなく使者がジャン・バールさん辺りであれば最悪再度宣戦布告をされかねない状況になっていたかもしれないと考えると俺としては複雑だ。
「その、あのヴァリアントさんって他のロイヤルの子達からはどう思われてるんでしょうか?」
「他の子?ウチの子達はちゃんとあの子を新たな女王として認めてくれていると思う、けど」
一瞬声が強張るが、すぐに彼女は溜息を吐いて本音を語る。
「…私が補佐して見せるから大丈夫よ。そこっ、今傀儡政権とか思ったでしょう?」
「何のことやら」
今のヴァリアントは言ってみればエリザベスの操り人形だ。確か何処かの国では院政だとか何とか言ったっけ?彼女の言葉は嘘ではないと思うが現状では信頼に足るかと言えば疑問符が付く。
だが好き好んでエリザベスも半ばヴァリアントを傀儡にしているのではなく、ヴァリアントがエリザベスに頼りきりで独り立ち出来ていないのが原因。
それを解消するには彼女はエリザベスの庇護から離れなければいけないが……正直俺だってグラーフ達の補佐がなければ仕事なんて無理だろうし人の事も言えない、か。
「こほん。さて…ここがロイヤル自慢の庭園よ!…だけどまあ、ウチの子達が茶会をしてる事もあるからあなたはあまり寄らない方がいいかもしれないわね?」
なんて事を考えながら歩みを進めていると不意に視界に美しい花園が広がる。ロンドンが作り上げた花壇が丁寧な管理によって作り出す美しさとはまた違う、ツタが絡まった自然のままの草木で作られた庭園はどこか幻想的ですらあった。
「……凄いですね」
「でしょ?まぁ私も暇な時はここに来てボーッとしたりしているわ」
庭園を歩き回りながらそう自慢げにいうエリザベスの言う通り…そういう感覚はあまりよくわからない自分でもなんとなく凄い、というのは感じ取れる。
鉄血にも庭園は存在するがウチの基地はあまり派手な花々が咲くようなタイプじゃないからこういう感じの庭園は珍しい。彼女の表情や仕草を見る限り自慢の庭園を見てもらいたい気持ちが半分、先日の事件の迷惑料が半分と行った所だろうか。
その心遣いに感謝しつつ不意に開けた場所へ辿り着くと、小さな休憩所が存在しており、ティータイムを楽しむ為のテーブルセットが置かれており、先客で二名ほど既に席についており……二人の姿を見た途端、エリザベスの表情がピシリと固まっていた。
表情は変わらない。だが明らかに冷や汗を流し、動揺しており、彼女の視線は溺れるように彷徨っている。そんな彼女の様子を不思議に思いつつ俺が近寄ると……。
(……なんかもう…アレだな、うん)
最近、忘れかけていた自身の運の無さをここにきて改めて思い出す事になった。
「……ちょ、ちょっと気が変わったわ。それじゃあお邪魔する前にさっさと引く…「……あら、陛下?」あっ」
焦りからか露骨に狼狽する態度を隠さずに俺の手を取ろうとするエリザベスであったが、それを金髪の古代ギリシャ風の服を身に纏った美女が呼び止める。一方もうその横に座る辛いゴシックな服を見に纏う銀髪の令嬢は───
「……あの子達はヴィクトリアスとフォーミダブル…イラストリアスの、妹よ」
憎悪に染まった表情で俺を睨みつけているのであった。
他の作品目含めてシナリオの整理や色々あって少し投稿が遅れ気味で申し訳ない…8月中に後一話上げられれば良いのですが…
・ローマ
ヴェネトとリットリオの妹でもあり、指揮官にとっては義妹と言うべき存在。ヘルブスト指揮官に恋愛感情は抱いてはいないが高飛車でプライドの高い部分が存在しており自分に相応しい存在は姉の婿である『英雄』が最低ラインになってしまっている。現在では鉄血の技術投与やヴィシアの戦術なども加わり仮想敵をセイレーン・ロイヤルに定めて再編の真っ最中であるサディア海軍にて若き指揮官の元に配属されたがどうしても『英雄』と比べてしまいリットリオはこれは爆弾になりかねないとフォローするつもりであった。
元ネタは現在連載中の最新のダイススレである第二次サディア編ダイスに登場する指揮官とその元に配属されるローマ。何気に本作連載中に始まった作品であるが鉄血編と同じ世界観である事がダイスの導きによって示唆されており、常にローマに『英雄』と比べられてしまう若き貴族出身の指揮官とのすれ違いなどを楽しめる作品。なお今の所メインヒロインは扶桑であった。
・チェシャー
ロイヤル生まれの特別計画艦。今作では戦後生まれのセントーと同じく鉄血との戦争を知らないkansenの一人であり鉄血への悪感情は極めて少ない一人。元々指揮官に強い憧れを持っており自分の「ダンナ様」を求めて日々ヴァリアントに陳情しており、今回は鉄血の指揮官に興味が湧いたのか殴り込んできた。実の所ダイスによってはここでチェシャーが一目惚れしてダンナ様♡となる可能性も存在したが結果的には「なんか違うなー」とお眼鏡にかなわなかった様子。またチェシャーの乱入や、情報統制が完全に出来ていない事も含めて指揮官とビスマルクのヴァリアントへの評価はどんどん下がっていたりする。
・イラストリアスの妹達
ついに出会ってしまったヴィクトリアスとフォーミダブル。ユニコーンですら指揮官を睨む程に不信感を持っている中果たして二人は怨敵であり、イラストリアスの旦那になるであろう男に何を思っているのやら。なお元陛下にとっては完全に二人との遭遇は予想外なので、積み重なった鉄血との問題を長距離通信というアメでどうにか懐柔しようとした所、飛んでもない爆弾が降ってきてめちゃくちゃ焦っていたりする。
・レッドアクシズ海軍について
原作と比べれば審判廷が存在しない(クレマンソーがこの世界では誕生していない、仮に存在していたとしても中立組織であるが為にクレマンソーを説き伏せなければ味方にならない独自勢力)為障壁などの技術もないヴィシアは完全にたった一人の天才的な才覚をもつジャン・バールの右腕の手腕によって国土防衛をギリギリの所で補っているなど、かなり歪になっており、自由アイリスの解散に伴う粛正騒動などもあってかなり弱体化している。
サディアは戦争には勝利したがイラストリアスによって空母技術の保有を強く望んでおり現在アクィラの製造やコンバート改造による重巡の空母化の研究や対空砲など守りを重視した軍事強化に努めており。エルベとヴェーザーがサディアに派遣されてのもそれが理由であって、おそらくこの世界のアクィラは我々の想像するアクィラと比べ、鉄血風の艤装を身に纏うことになるだろう。
鉄血海軍は順調に強化中だが抑止力としての黒キューブの制御の研究や空母中心の強化を行いつつ、サディアとヴィシアの技術を投与する事で三国で仮想敵であるロイヤルに対抗しようとしているが為にレッドアクシズ全体の強化や第三勢力である北桜同盟との交渉に忙しい。
その為今回のロイヤル側の提案した戴冠式は自軍強化のための時間稼ぎとしては好意的にみられている。そう、本心からではなく時間稼ぎとしての友好関係の強化が目標であってビスマルク個人は別として陣営、国民間へのロイヤルへの悪感情は微塵も消え去ってはいない。
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指揮官の後世の評価はどうなる?
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戦争を終わらせた立役者
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サディアを救った救国の英雄
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ロイヤル最大の敵
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女の子に手を出しまくりの色を好む英雄