いやー……これどうしたらいいのかな?
なぜ、ユニコーンが出会った当初冷たい態度だったのか。
なぜ、エリザベスが「処刑されるかもしれない」と語るほど彼女が危ない立場にたたされたのか。
なぜ、エリザベスはイラストリアスを俺の下に送ろうとするのか。
なぜ、フォーミダブルはあそこまで俺の発言に反発したのか
なぜ、ユニコーンが俺にイラストリアスに酷いことしたのかと訪ねたのか。
なぜ、誰もがイラストリアスの今の状態について喋ろうとしなかったのか。
全ての疑問を俺はただ鉄血や俺個人への憎悪や怒りといった感情故の行動であると予想していた。
ロイヤルからすれば俺は憎むべき存在であり、間違いなくクソ野郎扱いだ。それは間違いないしフォーミダブル辺りが本気の憎悪を抱いているのも本当の事なんだろう。
だが、一つだけ勘違いしていたんだ。卑猥なドレスを着ながら嬉々として俺に擦り寄ってくるイラストリアスの姿はまるで今までのイメージと違う。
胸を押し付けられるたびにたわわに実った巨乳の柔らかさで理性が吹き飛ばされそうになる。蠱惑的な視線で見つめられるたびに、胸元をわざとらしくチラチラ見せてくるいやらしいドレスを押しのけようとする腕に全力で力を込めるが頭の中はある種のパニックで混乱して状況をどう利用すればいいのかも分からなくなっている。
「ご主人様…♡」
子猫のように喉を鳴らしてスキンシップを取るイラストリアスであるがその爆乳で胸をゴリゴリと押し付け、流れに任せて襲われるのを期待するような下品かつ情熱的な視線を向けてくるのだ。もう男という性を熟知してそれを上手く使ってやろうという意思さえ感じてしまうほどである。
押し倒したい。
もし押し倒せばイラストリアスは間違いなく無抵抗で全てを差し出してくれるだろうと確信できるほど、彼女の顔はすごく物欲しそうでこの後の事を期待していた。
しかし……それと同時に微かな違和感を覚えるのだ。
発情しきって雌の表情を見せつけてくるイラストリアスはそれこそ演劇で濃厚なラブシーンを演じている俳優となんら変わらぬ娼婦のようであったが、俺の知っているイラストリアスは貴族らしい淑女であり、男に媚びるような真似は決して絶対しない性格だ。
そんな彼女が今やっているこの行動に俺は肯定できず、今まで抱いてこなかった彼女の新たな顔を否定するように疑問を口にしたのだ。
「……イラストリアス。その卑猥な格好はなんだ?」
「ふふっ♡ご満足していただけるよう全力で頑張りました♡」
「……」
普段の清楚で知的な雰囲気は鳴りを潜め、今では頬を上気させ目を細めている。くねくねと身動きしながら指先をくわえるその仕草は明らかに俺を誘惑していてとても演技をしているようには見えない。
これがハニートラップの演技で俺を陥れるつもりならイラストリアスは歓楽街の夜の女王として君臨できるだろう。
「ご主人様♡」
むにゅり。と擬音が聞こえるレベルで柔らかいモノが腕全体に押し付けられる。服の下にこんなデカチチを隠していたのかという程たぷたぷと震えるのは豊満でこれ以上ない柔らかさであり、思わず胸の谷間に指を突き刺してしまいそうになるが強烈な自制心がそれを許さない。
このハリや肉厚に溢れた代物に手を滑らせたら理性なんてすぐ吹き飛んでしまうのは確実なほど生唾が出るほど発情を誘う質量のあるたわわな果実であった。
今すぐこの爆乳にむしゃぶりつきたい。舌を這わせてしゃぶりつくして滅茶苦茶にしたいという欲求が溢れてたまらなくなる。赤子のように無我夢中に母乳を求めて吸ってしゃぶりつきたくなる。
そんな理性さえ溶けていくような感覚が意識を支配する中、それでも尚何とか抵抗しイラストリアスに質問を投げかける。
「なぜだ」
短く放ったその言葉の意味をイラストリアスはしっかりと察してくれたようだった。グイッと乱暴に腕を胸の谷間から引き抜くと白い肌を赤く染め上げた彼女はうっとりと、恍惚とした笑みを浮かべながら薄く微笑んだ。
「貴方をお慕いしているからですよ♡ご主人様♡」
純粋無垢で清らかで可憐な笑みは、それが例え俺以外が対象でも「どきり……」と心音高鳴らせ一瞬思考が停止する魅力に満ちていただろう。もし、俺が既婚者でなければ間違いなく告白を受け入れ愛を育んでいるに違いなかった。
イラストリアスはより一層熱を帯びた表情のままドレスの裾をめくり上げた。扇情的であからさまに情欲を唆る過激なガーターベルトを身に纏い、むんむんと発情の熱で汗だくになった太ももに液体が伝っていた。
それでもなお、間違いなくロイヤル有数の極上の雌だと確信できる美女を相手に我慢が可能であったのは妻達への愛情だけではなく、あまりにも変貌してしまった彼女への違和感と疑問に他ならない。
やがてイラストリアスは俺の身体をギュッと引き寄せ、むしゃぶり胸の谷間に俺の顔を押し当てる。まるで甘いチョコソースでもかけているかのような柔らかくねっとりとした湿り気と芳醇な花の薫を混ぜ合わせた妖艶なにおいに鼻腔をくすぐられ、一瞬で脳内シナプスがバチバチと火花を立て脳回路を焼き切れてしまいそうになる。
鼻腔に広がるのは確かな牝の香りだ。汗で蒸れた彼女の乳肉からはじっとりと甘い蜜が滴っていて、腕にポタポタと零れていく様は頭を痺れさせる程に妖艶さを醸し出していた。
「離してくれ、イラストリアス」
「ふふっ♡妾のおっぱい枕はお嫌いでしょうか♡」
「嫌いじゃないし、君は魅力的だとは思うよ。その前に質問に答えてくれ。『どうしてこうなったんだ?』と」
身体はイラストリアスの身体を襲えと喚き続けてはいるが強靭な意志でねじ伏せる。ひたすら脳内に妻達の顔と裸体を浮かべ、ただ今は目の前の美女の変貌の正体を暴く事が優先すべき行動であると確信して心を落ち着ける。
そんな俺の問いにイラストリアスは恍惚とした表情を浮かべたまま「突き放す事も出来たでしょうに♡やはりご主人様は優しいお方です♡」とようやく身体を離しつつ質問に答えてくれたのであった。
「あら、私がこうなっているのもご主人様のせいですよ♡」
自らの変化について語る彼女はどこか楽し気で、俺の質問の答えというよりこの奇妙な舞台を演技するように仰々しい口調でペラペラと話し始める。
「イオニアでのあの日…あのような姿を皆に見せつけて、あまつさえぞんざいに扱われる…♡縛られ♡皆に晒され♡人権を剥奪され道具の様に扱われる無様さ……♡」
ええっ……。
思わず引いてしまう俺の表情が顔に出てしまった様だが、そのドン引きしてる表情ですら彼女にとってはご褒美であり頬を染めて嬉しそうに笑っていた。
「その日以降♡私の脳内には強い被支配欲がこびりついて取れなくなってしまいましたわ♡」
もう完全に恍惚とした笑みを見せたイラストは発情のボルテージをさらに加速させながら語り続けたのだ。
「私は元々とても慎しい女でした…♡ですがロイヤルに帰国して以降、あの日受けた衝撃を忘れようとしましたが…忘れられませんでした♡そしてある日気づいたのです♡自分の気持ちに正直に生きて良いんだと♡貴方に屈服したい♡私の全てをめちゃくちゃにして頂きたい♡ご主人様におっぱいで顔を挟んでしゃぶらせて差し上げたい♡ご主人様に乳を乱暴に揉まれてパイズリで滅茶苦茶にされて無様に敗北したい♡めちゃくちゃにして頂いた後はお前は肉欲を満たすための妾であると罵倒されたい♡グラーフ様達からこの妾がと蔑まれたい♡」
うっとりと自分のとんでもない性癖を語るイラストリアスであるがその顔に一切の後悔は見られなかった。
むしろ今まで溜め込んできたモノが解放された快感に満ちあふれているのだろう。はぁ……♡はぁ……♡と興奮しきった瞳をしながらハートを浮かべたその微笑みは、エロいというよりも可愛いという感情が強く浮かび上がっていた。
「誇り高いロイヤルの淑女が性に溺れてどうする……と貴方はお思いでしょう♡ですがご主人様♡貴方が敗北したあの日から、世界の全ては貴方を中心に廻り始めたのですよ♡猫を被るのはもうおしまいです♡愛して欲しいとは口にしません♡ですが一生をかけてお慕い致します♡ロイヤルの淑女ではなく性処理用の妾として今後も貴方に仕えたいのです……♡」
「………一応言っておくが縛ったのはヒッパーだよ?」
「ですが晒せと命令してウォースパイト様達に見せつけたのはご主人様ですよ♡」
おれじゃない。
あれはヒッパーのせい。
したのは確かだけど。
すんだ事。
なんて「おあしす」を叫びたくなる程に俺は頭を抱え込んでいた。比喩で頭を抱え込むと言う表現があるが本当に頭痛が痛いとアホな考えがぐるぐる脳内を巡る程度には本当に頭が痛くなっている。
いやー……不幸中の幸いだよ。ビスマルクさんもロンドンもいないって。いたら俺の尊厳まで消し飛んでたよ!!ちくせう!!!!
不思議と罪悪感は湧いてこない。結果的にイラストリアスの尊厳をもうボロボロになるまで破壊してしまったと言うのに余りにも非現実的な状況に脳が麻痺しているのか、それとも「俺にどうしろと…?」と泣きたい気分で頭がいっぱいになっていた。
「全てはご主人様のモノです♡本当に私を変えてしまった責任を取ってくださるのなら、今夜一晩中貴方専用の妾に調教してください♡」
その言葉に反応する様にゾクゾクッと背筋から痺れが走り理性を揺るがす甘言を浴びせられるが即座に誘惑を振り切り首を振る。いくら美人でもこんな状態の相手を口説けるほど俺はレベルの高い女たらしではないのだ。
いや、お嫁さんの数だとかガスコーニュやヴェネト云々は無しにしても百歩譲って鉄血国内ならともかくロイヤル国内で今イラストリアスに手を出せばフォーミダブル辺りは今度こそ俺を殺そうとするだろう。かくなる上は……
「とりあえず、顔合わせもしたしちょっと考えたいんで今日のところは帰って貰えないでしょうか…!」
「もしも、嫌だと言ったらどうなさいますか?」
思わず敬語になってお引き取り願おうとする俺に、何かを期待するようにじっと俺を、というか股間を見つめてくるイラストリアス。
思わず怖いよぉ…と弱音を吐きそうになるが妻達を思い浮かべながら手元にあったベルをチリンッと鳴らす。
「あら…それは…」
音にイラストリアスも気づいたようだ。俺の選択はすべてロイヤルに案件をぶん投げる事。
冷たい話だが正直ここでイラストリアスとこれ以上話してもぜっっったいロクな事にはならないと確信する。
故に俺は目の前の性職者を部屋から追い出したかったのだが、ベルの音に反応するように扉がガチャリと開かれるとそこから出てきたのは意外な人物であった。
「おっまたせー!で、本日はどーゆー用件…んん?」
やってきたのは先日会話もした特別計画艦のチェシャーの様だ。フォーミダブルの兼といいこれ以上の問題を起こさない為に少しでも鉄血へのヘイトをもってはいない子を連絡係にとヴァリアントは配属したのかもしれないが思わず胸を撫で下ろす。彼女ならイラストリアスを連れていってくれ「にゃに…してるの…?」畜生!!完全に勘違いしてるわこの子!!!
「あっ、待ってお願い引かないで、帰らないで…!」
「いやー……これはどうみても……」
以前会った時の和気藹々とした表情ではなく完全にドン引きした様子でチェシャーは俺とイラストリアスを見比べている。なんですか?ただ貴族並の高貴なkansenがSEXの事しか考えてない様なドスケベウェディングドレス着てはぁはぁとよだれを垂らして、興奮しながら客人として招かれた他国の指揮官に詰め寄ってるだけなのに引く要素あるんでしょうか?
「……ゴム、あったかにゃぁ…」
「あっお構いなく。妾の私にはそのようなものは必要ありませんから。さぁご主人様♡貴方のその逞しい肉棒で卑しいわたくしの蜜壺を滅茶苦茶に犯してください♡」
「うわきつ」
チェシャーのドン引きが加速していく。やめて?俺への信頼度がガンガン下がってるから。辛いから。
「ご主人様……♡」
発情した雌猫のようにイラストリアスはこちらにしなだれかかってくる。柔らかい肉の感触と甘い香りにクラクラとするが、俺の中の冷静な部分がこのままではいけないと理性を引っ張り上げてくれたのだ。彼女の肩を掴み無理やり引き剝がし、チェシャーに向かって弁論をし「ごめんなさい指揮官、今戻ったわ…イラストリアスの件で少し話……」畜生!!なんだよこの間の悪さは!!!!!
最悪のタイミングで戻ってきたビスマルクさんは目を白黒させて硬直する。そして俺の横で発情しきったイラストリアスを見て明らかにダラダラと冷や汗を流し始めていた。
「……指揮官?これはどういう事かしら?」
「あ、いや……イラストリアスが」
「ご主人様……♡さぁ早く私の処女を奪ってください♡」
「……あなた、イラストリアスの話は聞いたけれど…まさかもうロイヤルの子に…?」
「待って!違うんです!俺はヤってません!?」
「私としては…」
「それもういいからぁ!」
「うーん、チェシャーは流石に好きな人以外とそういうのはお断りかな?」
「そうだね!やる気もないけれど!!!」
あーもう!!めちゃくちゃだよ!!なんだよこの展開!なんだよこの状況!!もうどうにでもなーれ!!!
その後、混沌の坩堝と化した状況でどうにかビスマルクさんに全てを説明できたの我ながら褒めてやりたい。
積極的にスキンシップを図るイラストリアスの手をはたき落とし、チェシャーのドン引きした表情が事情を理解したのか可哀想に…と同情の色を浮かべ始めた頃、ずっと黙って事情を聞いていたビスマルクさんは疲れきった表情で「そう」と呟くと俺に向かってゆっくりと頭を下げたのだ。
「……ごめんなさい指揮官。まさかと思って気が動転していたわ……貴方が考えなしに妻以外の女性に手を出す筈がないものね」
そうですぅ…本当にそうなんですぅ…と指輪っかを作りながらもう片方の人差し指を差し入れしながら何かを期待する目となっているイラストリアスにげんなりしつつもため息を吐く。
いや……結果的にイラストリアスと政略結婚する身ではあるし、本人もノリノリな様子だが今はダメだ。ただでさえ複数人の女性と結婚してる身としてはケジメは大事だし、もしもバレたらどうなるかなんて想像したくない。
「…ともかく、とりあえず今日のところはお二人ともお帰り願えるかしら?彼も疲れてしまっているようだし、ね」
有無を言わさずチェシャーとイラストリアスにビスマルクさんは向き直る。ビスマルクさんの言葉にチェシャーは勿論意外なことにイラストリアスも頷いてくれた。
「流石にご主人様にこれ以上負担をかけさせるのは申し訳ありませんし…了解しましたわ」
「……何というか、頑張ってね?」
チェシャーから受ける同情の眼差しは余計に俺の心を抉っていき、彼女達が立ち去った後も暫くはビスマルクさんと会話をする事ができないのであった。
その10分後、落ち着いて改めて向き合うことになるビスマルクさんと俺はといえば…。
「ビスマルク…さん…!」
両手で、ビスマルクさんの胸を揉みしだき。
「しき、かん…貴方は…」
押し倒され、無抵抗ながらも身体を弄る俺の行動に頬を赤らめながらもされるがままとなっており。
床にこぼれ落ちたコーヒーから醸し出す、異様な香りが部屋に充満するのであった。
今回の後書きはお休み、一つだけ言えるのであればとんでもないファンブルの連発だよ畜生!!
次回はイラストリアスとチェシャーがいなくなった後のビスマルクと指揮官のお話。ですがイラストリアスはとんでもない置き土産を残してしまったようで……
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