鉄血の陣営代表ビスマルクが本国に帰還、本来であれば国中を上げての報道となるであろう知らせは徹底とした情報規制と情報管制が敷かれた。
一方幹部の者たちの反応は様々なものだ。ある者は頭を抱え、ある者は怒り、ある者はストレスに胃を抱え……そして大半の者は彼女の姿を見た瞬間絶句する
なんせ、彼女の腹部には新たな命が宿り、妊娠初期でありつつもはっきりと分かる膨らみがあったのだ。愛おしそうに、まるで我が身の様に彼女は自分の腹を摩りながら目を伏せこう話す。
「皆、聞いてちょうだい。色々あって妊娠したわ。よって、しばらくの間ティルピッツに陣営代表の代理を勤めてもらいます」
意味がわからなかった。
質問に次ぐ質問、だがその答えとして得られたものは納得に値しない。
代理を勤める?ティルピッツが?どうしてそうなった?とどのつまりなんだ、つまりそれはどういうことだ。
理解が追い付かず混乱の渦中にいる中、ビスマルクは話を続ける
「それともう一つ、これは私的な事だけど……私はこの子を出産したら正式に陣営代表をティルピッツに引き渡し、陣営代表を引退させて貰うつもりよ」
『引退』という二文字に一同は驚愕する。それもそのはず、戦争を勝利に導いた彼女の人気は最早絶頂を迎えており、多岐に渡りその才能を遺憾なく発揮している。そんなビスマルクの唐突な引退宣言は間違いなく混乱を招くであろう。
だがしかし、そんな彼らの驚愕などつゆ知らずビスマルクは静かに語り始める。
「ごめんなさい。一応は宰相閣下やティルピッツ。上層部の人達とは予め話し合った事ではあるけれど、各方面の根回しは既に済ませてあるわ。だから……後は私の口から皆に話すのが筋よね」
そう言うとビスマルクは立ち上がり、皆の前で深々と頭を下げた
「ごめんなさい。でも……もう私は戦えません。勿論引退するといっても陣営代表としてだけだから、化学方面での研究者や政策などへのアドバイザーとしての役割は継続するわ。だけど……私はもう、私は戦えない」
深々と頭を下げ謝罪するビスマルクに対して誰も何も言えなかった。だがしかし、そんな中で一人が静かに手を挙げる
「質問、しても良いですか?」
「どうぞ」
「そのお腹の子の父親って誰なのでしょうか?」
静かにそう語るのはメガネをかけた長髪の才女グナイゼナウだ。その目は優しさと同時に何故最初に述べないといわんばかりの怒気を孕んでいた
「……ヴァイスクレー・ヘルブスト」
「まぁ……予想はしてました。男女二人で国外に滞在。そうなる事もありえますね」
私も、経験はありましたからとボソリと呟きつつ彼女はメガネをクイっと上げる。因みに彼女な妻仲間であるZ1は既に妊娠しており今回の会議には参加していなかったようだ。
「では何故最初に父親を明かさなかったのですか?皆、少なからず疑問に思っていた事です。わざわざ相手を伏せる必要があったとは思えないのですが?」
グナイゼナウの問いに対してビスマルクは頬をポリポリとかきつつ気まずそうだ。
ヴァイスクレー・ヘルブストの名を知らぬ者はこの円卓に集まった幹部達の中にはいない。いついかなる時でも騒動を引き起こし、その度にロイヤルネイビーを追い詰めた男。
今では国の英雄として祭り上げられた指揮官の名を何故ビスマルクは述べなかったのだろうか?
もしや、あのアホはビスマルクに手を出した上で責任なんて取らないとでもほざいたのだろうか?それは流石に発想の飛躍であるが、なにか面倒な事が起こったのではないか?
その上でビスマルクが彼を庇って一人でこの子を育てるとでも言ったのだろうか?とグナイゼナウ達は推測をしつつも、最近彼氏ができたと言うドイッチュラントが真っ先に暴発しようとした所で。
「だって、その……恥ずかしい、から…」
……ビスマルクは赤面しながらそう告げた。
そこから先の空気は言い表し辛いものとなった。
厳格なる大君主とも言えるビスマルクの意外な乙女な一面を目の当たりにしてしまった事による気恥ずかしさと、その相手があのアホである事への呆れが混ざり合いなんとも言えない空気が円卓を支配する。
なんだこの可愛い生き物は。
普段は鉄面皮な癖にこんな所でそんな可愛い一面を見せるなんて反則だ、ギャップ萌えにも程があると鉄血の同胞達は心の中で叫ぶ。
「……それで、我が栄光なる陣営代表サマはお義兄サマの何処を好きになったかしら?」
ニヤニヤと面白そうにオイゲンがそう突っ込むとビスマルクは小さく首肯する。
「……全部よ」
ぷしゅーと頭から煙が吹き出すがごとく顔をトマトのように赤面させたビスマルクは机へと突っ伏し、更にそのまま動かなくなってしまった。
もじもじと内股で膝をすり合わせながら恋する乙女と化したビスマルクの姿は滑稽でもあり、だがそんな姿を見て一部の者たちは安堵したのだ。
ようやく、ビスマルクが人並みの幸せを得られたのだと。
(ずっと、アードラーの事を気にしてましたからね)
グナイゼナウは自身の幼い夫を思い浮かべる。彼はこの事を知ればどう思うのだろうか?自身が敬愛するビスマルクの呪縛となっていた事実は彼の心に大きな影を落としていた。
ビスマルクの今の様子を知れば彼はきっと自分の事の様に喜ぶだろう。
想いは成就し、こうして新たな命がまた生まれようとしているのだ。ならば私達はその新しい命の誕生を祝福するだけだとグナイゼナウは思う。そしてそれは鉄血の同胞達も同じであった。
我が同胞のために鉄血の力とならんことを。
同胞の幸せは自身の幸せなのだから。
「さて、それでは議題は決まったな。本日の議題は……」
いつもは仏頂面であるオーディンは満面の笑を浮かべ、口を開く
「自国の陣営代表に無責任中出しを何度もした挙句、現在サディアに滞在中の馬鹿者を誰が最初に殴ろうか、だ」
オーディンの言葉にビスマルク以外の全員が頷く。
それはそれとして本人は幸せそうとはいえ、一度あの男を分からせるべきであるという意見は統一されており、オイゲンやドイッチュラント、ペーターですらにっこりとそれはもうスッキリとした笑みを浮かべている。
こうして、鉄血の円卓会議は今日も平和に進行していくのだった。
「何故だエセックス…!」
自由の国、ユニオン出身のkansen。エンタープライズは震え、怒りに震えていた。
「何故だ……っ!」
ユニオンのトップエースである彼女はその実力はロイヤル、鉄血にも決して劣る事はない。だがしかし……そんなエンタープライズが今、自身の目の前で起こった事を信じる事が出来なかった。
震える手で一通の手紙を握りしめたその姿は悲痛で、そして怒りに満ちている。
「何故なんだ……っ!エセックス!!」
そんな彼女の悲痛な叫びがユニオンの空に響き渡る。
「何故……私には……恋人が出来ないんだ…!!」
───正確には酒場の片隅で。アルコール混じりの涙声で
「あの……エンタープライズ先輩……?」
おずおずとエセックスは声をかけるが、今の彼女に反応は無い。もはや焦点の定まらなくなった視界の中、彼女が凝視しているのは彼女の妹であるホーネットからの手紙だ。
数ヶ月ほど前フィリピン、マニラ基地に異動となった彼女の妹であるホーネットから送られてきたその手紙には要約するとこう書かれていた。
『色々あって指揮官とケッコンする事になりました〜♪レンジャーと恋のトライアングルしてたけどエンプラ姉のアドバイスのお陰だよ!』
『よく考えたら私、別にレンジャーの事嫌いじゃないしエルドリッジもシアトルも誘って全員で指揮官を押し倒して……きゃー!と言うわけで今度記念パーティする事になったから絶対エンプラ姉も来てよね!!』
「…よ、良かったじゃないですか。エンタープライズ先輩」
恐る恐るとまるで不発弾に触れるかの様に彼女の後輩であるエセックスは慎重に言葉を選びつつそう語りかけた
「あぁ、そうだな。良かったなエセックス」
だがしかし、その努力も虚しくエンタープライズの返答はおざなりで、彼女の目は虚ろだ。そして彼女は再びグラスに並々と注がれた酒を一気に飲み干すと……
「やっぱりおかしくないか?何故私には浮いた話の一つもないんだ? なぁエセックス。教えてくれ、私はそんなに魅力がないのか?」
「いや、あの……その……」
「確かに私は口数も少ないし人付き合いも得意じゃない」
でもなと彼女は続ける
「私だって女なんだ、恋にだって興味はある!なのに何故私には浮いた話が……何一つ無いんだ!!」
ダンっと机を叩きながら叫ぶ彼女の姿に酒場の客は何事かと視線を向けるがエンタープライズは一切気にしない、というか気にする余裕がない。
それもその筈、大戦の終結の影響で世界各地でkansen達は想い人と結ばれたり、新たな命を宿すなど色恋が景気良く成就している真っ最中なのだ。
つい先日長門とソユーズが「せめてゴムは使え」と赤面しつつ共同演説を北桜同盟の国民に訴えていたのは記憶に新しい。
勿論そのブームはユニオンにも波及しており多くのkansenに春が訪れた。あの敗戦の苦難の真っ只中であるロイヤル出身者ですら、本国は兎も角、アズールレーン本部に勤務する面々の中では大変な今だからこそと婚約するkansenが増えていた。
だが、エンタープライズにはその様な話は一切なかった。一つもなかった。微塵もなかった。何一つなかったのだ。
最初は周りを祝福していたエンタープライズも次第に不安になり、そして一週間ほど前にホーネットからの手紙が送られてきて……
「ふざけるなぁ!?私の何がダメだと言うんだ!?」
ついぞ我慢の限界を迎えた彼女はそう叫ぶと机に突っ伏して泣き出してしまった。エセックスはそんなエンタープライズを慰めつつ、周囲を見渡す。
「(うわぁ……)」
酒場に集う客達からは奇異の視線、あるいは同情の視線だ。
それもその筈でユニオンのトップクラスの実力者である彼女がここまで取り乱す事などまずあり得ない。
そもそも彼女は有名人ではあるがこんな場末の酒場で管を巻くイメージもなく、何があったんだ?とヒソヒソと囁く声が酒場に渦巻く。勿論色恋に関して何故自分はモテないと悲嘆にくれていると予想している者は一人もいない。
「あの……エンタープライズ先輩、もう今日は帰りましょう?ね?」
「なぁ……私の何がいけないんだ?顔は客観的に見ても悪くはないはずだ。スタイルだってヨークタウン姉さんやセントルイスと比べれば劣るが、それでもユニオンでは平均以上だと自負している」
「あの……エンタープライズ先輩?」
「なのに何故だ?どうして私には浮いた話の一つもないんだ?なぁエセックス!教えてくれ!私は一体どうすればいい!?」
「え、えぇと……」
面倒くせぇなこのコイツ。
とエセックスは生まれて初めて尊敬と嫉妬が入り混じった感情を向けている先輩に対してそう思った。
そもそもだ。エンタープライズに告白しようとする男性なんて現状存在するはずがないのだ。
彼女は世界初の空母対決に勝利した『黒衣の狩人』ことグラーフ・ツェッペリンと比べれば甘く見られがちであるがセイレーンとの戦いには連戦連勝。
幾度となく繰り返されてきた人類種の敵相手に一歩も引かずに戦い、そして勝利を納めてきたユニオン陣営のトップエースだ。
そんな彼女に多くの男は恐れ慄き、近寄りがたく思うだろう。容姿端麗で頭も切れて頼り甲斐があり、寡黙ではあるが実は意外と可愛らしい所もある。
だが多くのユニオン男性にとってその凄まじすぎる戦果は彼女を高嶺の花に、それこそロッキー山脈のごとき険しき山として認識する者ばかりだ。
これでは余程の勇者か余程の馬鹿かでない限り彼女を口説こうなどとは考えないだろう。仮にエンタープライズから少し一緒にコーヒーでも飲まないか?と誘われたとしても命の危機を感じて断りを入れるだろう。
(しかもエンタープライズ先輩って結構恋愛に先入観というか、幻想を抱き過ぎているというか)
生真面目過ぎるが故に今まで軍務以外男性との関わりも少なかったエンタープライズにとって恋愛観はほぼ全て実体験ではなく本や映画などで得た知識だ。故に彼女の男性像は偏っている上に幻想的だ。
例えば心を虚無や憎しみで満たされていた女を変えるだの、とある男性一目惚れした貴族の女性が大好きだと手紙を送るだの、無垢な女の子を染め上げた挙句に恋という感情を芽生えさせるだの……何処の世界にそんな小説でしかあり得ないような恋愛があり得ると言うのだろうか?
そして、そんな物語に登場するような男性が基本だと思っているエンタープライズの当たり前に付いてこられる男がこの世界に何人いるのだろうか?
やがて愚痴り疲れたのか酔い潰れて寝てしまったエンタープライズを相手にエセックスはため息をついた。
「もう……自分の事ちゃんと見てくれる男性くらい自分で見つけて下さいよ、先輩」
エンタープライズの愚痴に付き合う為に酒ではなくソフトドリンクを飲み続けていたエセックスは苦笑しつつも、心を蝕んでいたプレッシャーから解放されたのかその表情はどこか明るい。
ずっと、ずっと手を伸ばそうとしても届くことすら出来なかったグレイゴースト。そんな彼女もこうして悩み、酒を飲み、みっともなく泣き言を言う事が出来る。その姿はエセックスにとって実に新鮮だ。
「ねぇ、先輩」
そして彼女は眠っているエンタープライズに語りかけた。その寝顔はとても安らかで普段の凛とした表情からは想像も出来ないほど可愛らしいものだ。
(あぁ……)
だがしかし、そんな無防備な彼女を見てエセックスは思ってしまった。
この可愛い人を自分のものにしたいと。
………なんて思うはずも無く、性的嗜好がノーマルであるエセックスが芽生えた感情は全く別のもの。
「……ちょっと前に告白されたって言わなくてよかったぁ…」
なおエンタープライズがエセックスが若手の指揮官候補生に。
ついでにヨークタウンもまた自分の担当軍医と付き合い出したと知り、その鬱憤でセイレーンの基地を一つ消し飛ばす事になるのはまた別のお話だ。
「実験は成功したのね」
夜桜が水面にゆらゆらと漂う中、一人深夜に外で手紙を読んでいたまるで無垢な少女の様に。それでいて狂気に満ちた瞳で手紙を眺めながら赤城はそう呟く。
北桜同盟の軍事支援として北の海で戦い続けら何の因果か鉄血に派遣され戦争の終結を間近で見ることになった彼女であるがそのどちらも瑣末なものであった。
彼女にとって他国の陣営同士がいがみ合おうが、殺し合おうが全てはどうでもいい事だ。だがその副産物として暗躍した甲斐があったものだ手紙をぎゅっと抱きしめる。
「イラストリアス……イオニアの海で敗北した愚かで愚鈍な女。貴女のせいで私も遠回りする羽目になってしまったけれど今回の功績で一応は許してあげるわ」
イラストリアスという空母に対する赤城の評価は極めて低いものであった。
本来ならばユニオンの真珠湾に奇襲攻撃をしかけ、本格的な開戦を望んでいた赤城であったがその全てがイラストリアスの港湾奇襲攻撃の失敗と無様な敗北により立ち消えとなってしまったのだ。
お陰でとある……いや、多くの世界の『枝』に置いては巫狐である長門から軍事的采配権を授与され、歴史に残る真珠湾攻撃を指揮する事になる赤城であったがこの『枝』に相手はその影響力も削がれてしまっていた。
恨んだ事もあった。憎んだ事もあった。だが、赤城はイラストリアスへの憎悪は全て消し去る事にしたのだ。
───『比良坂計画』最後のピースであった人体実験の被験体としての責務を果たしたのだから。
明石から送られてきた手紙には実験が成功したと詳細なデータも添付されていた。赤城はそれに目を通す。何度も、何度も目を通す。
そこには仮称『リトル』と呼ばれるイラストリアスの遺伝子情報をコピーされた子供が問題なく生み出されている事。更に遺伝子情報から得られたモデルをベースに赤城自身の好みに合わせて調整が施す事も理論上は可能である事が記載されていた。
「あぁ……とても素晴らしいわ」
計画の第一段階は成功した。次だ、次こそが本番であると赤城は邪悪な笑みを浮かべる。
倫理観皆無。人権無視。外道の極み。鬼畜の所業。神に対する冒涜。悪鬼羅刹。倫理もへったくれもない外法。命や尊厳を踏みにじり、死者を弄ぶ最悪の計画。
実験に参加した明石でさえ暗い笑みでそう自嘲する悪魔の計画。
大戦初期に活躍した実践経験豊富な戦死したkansenの分身を生み出し、更に戦闘データや記憶の情報を組み込む事で即戦力とするという余りにも狂った計画のスポンサーであり、参加者でもあるのがこの赤城の裏の顔だ。
全ては愛する姉を蘇らせる為に。リュウコツの欠陥という理不尽によって寿命を迎えた天城を。重桜屈指の策謀家であり、彼女さえ生きていればと何度も上層部を嘆かせた屈指の傑物である彼女を蘇らせる事が赤城の悲願であった。
戦死したkansenを蘇らせる?そんなモノは副産物に過ぎない。天城さえ甦れば、愛する天城姉様さえいれば全ては万事上手くいくという盲信。いや、もはや妄執と言えるその行為こそが赤城の狂気の正体である。
「ふふっ……うふふふふ」
赤城の目には最早天城の姿しか映ってはいなかった。一目会いたい、もう一度言葉を交わしたい。どこまでも純真でどこまでも純愛、それでいてどこまでも狂っている赤城の願い。
「あぁ……天城姉様、貴女に会える日はきっとそう遠くないはずよ」
とある世界の『枝』に置いては様々な要因や都合の良い状況。そして奇跡が重なり大惨事を引き起こした上で天城は復活した。
しかし、この世界は違う。セイレーンすらも注目する特殊な『枝』であるこの世界では天城を復活させる為の計画もまた違ったものに。そしてまず間違いなく万人が反吐を吐く様な狂気に染まったものになる。
『比良坂計画』その大詰めはもうすぐだ。赤城は狂気に満ちた瞳で笑う。最愛の姉が復活する時を夢見て、心の底から嬉しそうに笑う赤城は……その計画の果てに幼い少女の命を犠牲にする事をまるで気にしない。
そう、『比良坂計画』の最終目標とは……天城の分身として生み出した『リトル』の人格を全て抹消した上で、生前の天城の記憶や人格を付与、上書きする事で。幼い肉体を媒介としてこの世に再び天城を生み出す事であった。
「天城姉様の細胞はこちらで用意しているわ。式神が一時的にこの世に魂を宿らせる術であると言うのなら黄泉の国から天城姉様の魂をサルベージする事も難しくないはず。もしくは並行世界というものが存在していると言うのならあちら側の世界の天城姉様の魂を『リトル』に宿すことだって……過去の陰陽や外道の術に対する魂をアプローチした資料は立場であれば幾らでも用意できる。北連と鉄血から提供された医療や鹵獲セイレーンのデータは結果的に『リトル』を生み出せたのだからもっと上手く活用出来るはず。魂のサルベージ、やはり鍵を握るのは御神木の桜の木?それとも聖域そのモノや大和や信濃にしか知らない知識?えぇやってあげるわ。例えどれだけ時間と犠牲を払おうが必ず天城姉様を蘇らせてみせる。そう!どんな事があっても!!!」
ぶつぶつと独り言を述べ、唐突に叫び出す赤城の姿は異様であった。
無論、倫理的な問題は赤城にとっても無視できる問題ではない。だがそんなモノは気にもならないとばかりに平然と彼女の中では潰える話であった。
ただ姉に会いたい、もう一度言葉を交わしたいと願う赤城にとってはその程度の犠牲など取るに足らない事なのだから。
なお数年後。魂のサルベージも含めた準備を終え、後は天城のリトルを『調整』した上で、重桜全土を巻き込んだ大惨事の計画を実行に移す事になる……はずであったのだが。
「赤城、あーん。はい、次は天城ですね。あーん。…うん、美味しいです!次はまた赤城ですね〜」
「あぁもう!!天城ちゃんが可愛過ぎますわぁ〜〜♡♡♡」
余りにも純真に赤城を慕う天使の様な幼い天城『ちゃん』にメロメロになった赤城は完全浄化された挙句、計画を全て破棄して母性と責任感に目覚める結果となり。
「これで……良かったのだろうか……?」
冷酷な狂気に満ちた姿から天城ちゃんを溺愛するようになるのを間近で見続けてきた加賀は今は亡き天城を想いそう口にするが、赤城が幸福そうなのでまぁ良いかと丸投げするのであった。
「ねぇ、ティルピッツ、U-556」
「私は……一つだけ、個人的に研究してるテーマがあるの」
「それは────……分かってるわ。そんな事しなくても良いのにって貴女達の意見はごもっとも」
「でも、私は……怖いのよ。だから私は必ずこの研究を完成させるわ」
「それがどれほど困難な研究であっても、ね」
今回は短編ということで三カ国についてスポットを当たる事に。前半と描きつつ後編は誰をスポットするのか?どんな話にするのかは特に決めてませんので案や見たい物があるのなら感想欄にでも書き込んでくださいな。
・鉄血組
ビスマルクがやっと自分の幸せを優先できるようになったよいうお話。国の為に全てを犠牲にして贖罪として戦い続けてきた彼女ですが好きな人が出来、その子を授かったと言うことで軍務方面に関しては距離を取り科学や政治方面で働く事を表明します。とはいえ元々最前線で戦うタイプでもありませんし立場はティルピッツに譲るとはいえ基本的にやる事はあまり変わりません。逆に言えば研究方面で本来科学者や研究者としての方がイキイキしてるとユーザーに言われがちなビスマルクが研究により集中する結果となるのでロイヤル辺りからすればもう勘弁してくれと言いたくもなるでしょうね。そして現在サディアに滞在してるのは仕方ないとはいえアホは一発責任とって皆に殴られた方がいいでしょう。色々な意味で
・ユニオン編
エンタープライズがエセックスに愚痴るお話。彼女や見た目も性格もアニメのようにナーバスになっていなければ問題なく、むしろかなり尽くしてくれる良妻となり得た女性なのですが……この『枝』では最初から心を通わせる指揮官が存在しない上にグレイゴーストという異名や活躍が余りにも有名になり過ぎたけ結果ファンは出来ても彼氏はできないと言う羽目となり、さらにそのストレスをセイレーンにぶつけて異名が高まるというある意味悪循環に陥っています。彼女が想い人と出会えるのはいつの事やら……なおそんなエンタープライズを見てゲームの様にコンプレックスを拗らせなかったエセックスは割と早い段階で彼氏が産まれたそうな。
・重桜編
比良坂計画の秘密裏とそれに関わる赤城のお話。最新イベントにて天城の復活の手法としてオブザーバーやヘレナMETA達により構成されたシュミレート世界から天城の魂をサルベージする事などが描かれましたが、今作においてはキューブから産まれた天城のリトルをまず素体として生み出す事で、その後オブザーバーなどに関わらず自力で調べ上げて魂のサルベージして、それを天城ちゃんに上書きするという結構鬼畜な計画を。
別作品であれば、からくりサーカスのフェイスレスの計画の様なもの?を行おうとした所で、天城ちゃんによって冷静になった挙句完全浄化。メンタル的にもCW世界並に安定してしまい加賀はいいのかそれで……となりつつも、結果的には赤城の意思を優先するのでした。
コメント、感想、評価をお待ちしております。
指揮官の後世の評価はどうなる?
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戦争を終わらせた立役者
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サディアを救った救国の英雄
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ロイヤル最大の敵
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女の子に手を出しまくりの色を好む英雄