鉄血の旗の元に《完結》   作:kiakia

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After33話 世界渡り 後編

 

 

 

 サディア帝国首都。チッタ・エテナールは、柔らかな陽光に包まれていた。石畳の広場では噴水の水がきらめき、遠くから響く鐘の音が、歴史ある都の息吹を静かに伝えている。サディア帝国の宮殿の正門前には、儀仗兵が整然と並び、その脇を威厳に満ちた黒塗りの馬車が進んでいく。

 

 

 

 馬車の中では、アイリス教国の枢機卿ジャン・バールが、無表情のまま窓の外を眺めていた。荘厳な建築と並ぶ彫像の数々、そのどれもが、サディアという国の誇りを象徴しているのだがそれに興味はないようだった。

 

 

 

 隣には、彼女の右腕たる指揮官が座していた。寡黙なその男は相変わらず口を開くことなく、ただ静かに進行する馬車の振動に身を委ねている。

 

 

 

「……まだ話さないつもりか?」

 

 

 

 ジャン・バールがぼそりと呟くも、彼は微動だにしない。やれやれ、と彼女はため息をついた。

 

 

 

 やがて、馬車は宮殿の正門前で止まり、従者が扉を開く。

 

 

 

 迎え入れたのは、サディア帝国の総旗艦・ローマだった。彼女は整った姿勢のまま、柔らかな微笑を浮かべ、ジャン・バールを見据えた。以前のような傲慢さは影を潜め、どこか慎重に言葉を選んでいる気配がある。

 

 

 

 

「遠路はるばる、お疲れさまでございます、枢機卿殿。」

 

 

 

 その言葉に、ジャン・バールの眉がわずかに動く。

 

 

 

「……丁寧な挨拶だな、サディア総旗艦殿。」

 

 

「本日は友好の場ですから。どうぞ、こちらへ。」

 

 

 

 ローマは静かに手を差し出す。ジャン・バールは一瞬、それを見つめ――やがて、わずかに口角を上げて、その手を取った。

 

 ジャン・バールはローマの差し出した手を取ると、一瞬だけ相手の顔を見つめた。

 

 

(……いつ馬脚を表すのやら?)

 

 

 そんな考えが、彼女の脳裏をかすめる。

 

 

 

 ローマは、以前は常に自信満々に振る舞っていたはずだ。だが、今日はやけに礼儀正しい。妙に丁寧な言葉遣いまでしている。アイリスとサディアの外交関係を考えれば、慎重になるのは当然かもしれないが――それでも、ここまで態度を変えるものか?

 

 ジャン・バールは、ちらりと横目でローマの表情をうかがうが…ローマの穏やかな微笑みは崩れない。

 

 

 

「ご案内します。どうぞ、こちらへ。」

 

 

 

 ローマは落ち着いた歩調で宮殿の奥へと歩き出す。ジャン・バールは小さく鼻を鳴らしながら、それに続いた。後ろを歩く彼女の右腕は相変わらず沈黙を保っていたが、その視線だけは鋭く、ローマの背中を見据えている。油断するな、とでも言いたげに。

 

 

 やがて三人は、サディアの宮殿にある一室へと通された。そこは、小さな応接間のような場所だった。

 

 

「どうぞ、おかけください。」

 

 

 ローマが促すままに、ジャン・バールがソファーに腰を下ろすも寡黙な男はチラリとローマを一瞥しただけで、ドアの前から離れる様子はない。

 

 

 

「どうぞ、おかけください。」

 

 

 

 

 再びローマは促した。寡黙な男はやはり無言のまま、しかし、ゆっくりとジャン・バールの隣へと腰を下ろす。

 

 

「さて……まずは改めて自己紹介をさせていただきましょう。私はサディア帝国総旗艦・ローマと申します。そして……」

 

 

 

「アイリス教国枢機卿。ジャン・バール」

 

 

 

 

 ジャン・バールは名乗りながら軽く会釈をするが、その目はローマを鋭く見据えている。その視線は訝しげで、どこか値踏みするような色さえある。

 

 

 

「…変わったな、お前は」

 

 

 

 外交の場とは思えない程ジャン・バールの言葉は率直だった。ローマはわずかに微笑みを崩さないものの、そこには戸惑いの色が見て取れる。

 

 

「……変わった、とは?」

 

 

「以前のお前はもっと傲慢だったはずだ。」

 

 

 

 ジャン・バールの指摘にローマは小さくため息をつく。言葉数は少ないが率直なその物言いは、ローマにとってあまり心地の良いものではないのだろう。ただし、枢機卿とは思えない言動では無く。寧ろ自身の過去の言動を断罪されているような気分になるのは皮肉だろうか?

 

 

 

「以前のお前ならば出会って早々自身の美貌だの才能だの聞いてもない自慢話でもしていただろう。」

 

 

「なるほど……それは確かに、以前の私ならそうだったかもしれませんね。」

 

 

 

 ローマはわずかに目を伏せる。その口調にはどこか自嘲めいたものが含まれていたが、すぐにいつもの笑顔に戻る。

 

 

 

「ですが、今は違いますよ。枢機卿殿の仰るように私は以前とは少し変わりました。もう、ローマは如何に素晴らしい人物であるかどうかと演説するような愚かな女はいません。」

 

 

 

 

 その言葉には皮肉めいたものこそあったが、それでも偽りのない真実が含まれているように思えた。今のローマは確かに以前の彼女とは雰囲気が違う。

 

 

 

「あまりこの様な事は言いたくはありませんが……実の所数ヶ月前に失恋、してしまいましてね。」

 

 

 

 ローマは苦笑しつつ肩をすくめる。「失恋」というワードにジャン・バールは小さく眉を上げる。それは意外な言葉だったが、同時に納得のいく答えでもあった。

 

 

 

「……それで、変わったというわけか。」

 

 

 

 そう呟くとローマはどこか遠い目をしながら小さく頷く。

 

 

 

「ええ、まあ……そんなところです。」

 

 

 

 その口調からは、彼女の心情を読み取ることはできないが……少なくとも嘘ではないらしい事は確かなのだろう。

 

 

「それはもう酷い、失恋以前の問題でしたよ。余りにも愚かで、余りにも傲慢で、余りにも……何もできない女でしたから。」

 

 

 

 ローマは自嘲気味に笑うが、その目は笑っていない。それはまるで自分自身への怒りの炎を燃やしているようにも見えた。

 

 

「……ですが、故に自分のこれまでの言動や行動を客観的に見つめ直す事が出来たのです。「能無し」「嫌悪されし者」「蛮族」と……能力だけ優秀であったとしても品性を疑う言動や人の心に寄り添う事が出来なかったのが過去のローマであり。それをほんの少しだけ改善しようとした。その結果が姉から総旗艦の地位を受け継いだ今に至るわけだす」

 

 

 

 ローマはそこまで言うと、今度は真っ直ぐにジャン・バールの目を見つめてきた。その目は力強いもので、凛とした態度であるものの敵意のようなものは全く感じられない。だが、同時に同類の匂いを嗅ぎ取ったような……そんな感覚もジャン・バールは感じていた。

 

 

 

「余計な忠告なのでしょうが貴女も気をつけるべきでしょう。自分は大丈夫、自分は平気だと油断していれば取り返しのつかないミスや人間関係の破滅に繋がりますよ。」

 

 

 その口調は先ほどにも増して鋭く、まるで何かの警告のようにも思えた。ローマは気づいていたのだ。ジャン・バールの横で無言で腕を組んでいる周囲を警戒する白髪の青年に向ける視線はどこか過去の自分を幻視させる。

 

 

 

「……忠告は素直に受け取ろう。」

 

 

 

 ジャン・バールは小さくため息をつくと、ローマに軽く頭を下げるのであった。白髪の青年はそんな彼女たちのやり取りなど気にもせず窓に目を向ける。その目は今も憎悪と怒りが渦巻いて殺気を放っており。他のモノを眼中に入れる余裕が無い事をローマは気づいてしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光景が暗転してぐるりと視界が動く。信濃はその後何度も、何度も『世界渡り』を行い、情報を少しずつ集めていく。情報を整理すると、如何に数多もの『枝』を体験してきた彼女であってもこの『枝』は異常であると断言せざる得ない。

 

 

 アズールレーンとレッドアクシズが戦争を行うも、レッドアクシズが勝利した。それは良い。数少ないがその様な『枝』を信濃も観測してきた。

 

 

 しかし、祖国が北方連合と手を組み。サディアとヴィシア主導で再統一なされたアイリスでは指導者がまだ1940年代だと言うのに世代交代しているのは、その観測の範疇を明らかに逸脱していた。

 

 

 ならば戦争に敗北した側は……アズールレーン。否、ロイヤルはどうなっているのだろうか?そう疑問が頭によぎった途端世界は光に包まれていく。信濃の疑問に答えるかの様に。信濃は光に身を委ねつつ、『世界渡り』の次の光景に意識を集中させる。

 

 

 光が晴れるとそこはロイヤルの海軍基地であった。重桜のそれとはまた違った雰囲気だが、それでも気品と歴史を感じさせるその造りは信濃も好む所だ。

 

 

 だが明らかに様子がおかしい。本来あるはずの高価な調度品が存在せずまるで誤魔化すかのように安物や絵画や植物によって誤魔化されてる。訓練の為に常に響くであろう火砲の音も、銃声も、今のこの基地にはない。まるでロイヤルが衰退していく光景を見ているかのようだった。

 

 

 ロイヤルは戦争に敗北した。

 

 

 それは信濃が少なからずこの『枝』を巡り知り得た事実。重桜が北方連合と手を結び第三勢力となり、タラント空襲に失敗した挙句、なにかとんでもない暗殺未遂事件を引き起こした。

 

 それにより国民とアズールレーン加盟国であるユニオンからの信頼を失い継戦が困難となり、レッドアクシズとの和平……実質的な敗北宣言をせざる得なかったと。

 

 あのロイヤルが。重桜の海軍にも多くの影響を与えたロイヤルが敗北する。この時点で信濃にとっては驚きではあったが彼女の想定を上回る程にはロイヤルの敗戦後の条件は明るいものではないのだろう。

 

 

「覚悟は決めたはずだろう」

 

 

 信濃が驚き、目を向けると二人のkansenがベンチで話し合っていた。一人はまだ幼さの残る風貌の白髪の少女。クイーン・エリザベスの姉妹艦ヴァリアント。そしてその傍らに座るのは特別計画艦のモナークだ。

 

 物憂げな仕草でヴァリアントが手を振るわせながら呟く。その姿は痛々しく、自信なさげな弱々しい女の子と言った様子であった。

 

 

「わかってるわよ…」

 

「今回の粛正によって旧エリザベス派の信奉者達は多く植民地海軍に左遷された。こちらに忠誠を誓ったのはハーミーズ、グロリアス、セントーなどを中心に空母系は5割ほど手綱を握れた。最も戦艦は私とハウ、あとはロイヤル・オークの3名だけだがな」

 

 モナークは一瞬だけ目を細めてヴァリアントを一瞥する。

 

 

「ロイヤル・オークをよく説得したな。アイツは騎士だけあって正直反対だったのだが……」

 

「ロイヤル・オークね……あの子、少し前に陛……エリザベスに外交のホストに指名された事があったんだけど自分には無理と他の子に丸投げして欲しいって言い出すくらい自己評価が低かったのよ」

 

 

 ヴァリアントが苦笑する。

 

 

「だから私が代わりにエリザベスにお願いしたの。あの子の変わりに私を任命して頂戴。この子はナーバスになってるだけだから無理に任命しても良い事ないわよ?って」

 

 

 その言葉に、モナークは意外そうに目を丸くすると、やがて小さく笑い出す。

 

 

「そうか……それは知らなかったな」

 

 

「ええ、だって言ってないもの」

 

 

 そう答えるヴァリアントもどこか楽しげだった。

 

 

「だから粛正騒ぎの時に真っ先に私に忠誠を誓ってくれて驚いたわ。あの日庇ってくれた恩を返す為に現陛下に忠誠を尽くしますって。周りにはジョージもいて内心怒ってる子達も沢山いた中で真っ先に忠誠を誓ったのよ?本当に…あの子は…」

 

 少しの間モナークは目を背け、その瞬間ヴァリアントはハンカチを片手に目元を拭い始める。

 

 

 

「よしっ!この話は終わり!」

 

 

 モナークは小さくため息をつくと、やれやれと言った具合に肩をすくめた。

 

 

「血が流れなくてよかったわ…勿論、流れた時の対処は考えてはいたけど。流れない事への努力を最後まで怠ってはいけないって改めて学ぶ事ができた」

 

 

「無論ネルソン、フッド、アークロイヤル辺りは隙あらば簒奪について策謀も巡らせているようだが、アイツらもバカじゃない。たった一人を除けばエリザベスを神輿にkansen内でクーデターをしたが最後。ロイヤルとという国家からkansenは1人残らず抹消され、鉄血が先日公開したあの重力兵器の餌食になりかねない」

 

 

 

 重力兵器の単語に信濃の耳はピクリと反応する。

 

 

「残り一人は…」

 

 

 

「キングジョージ5世。あの狂信者はまず間違いなくエリザベスの復権の為ならば全てを犠牲にするだろう。あの女の目にはロイヤルの未来よりもエリザベスが導く未来しか写っていない」

 

 

「……だから自国じゃなくてアズールレーン本部に送ったんでしょ?そこでなら彼女も流石に…」

 

 

 

「見くびるな」

 

 

 ピシャリと甘い目をしたヴァリアントに、モナークは厳しい言葉を放つ。

 

 

 

「あの狂信者がエリザベスを害した者を見逃すと思うのか?ロイヤルの未来の為に犠牲になるなら本望とでもいいながらお前と差し違える覚悟でテロを起こしかねない事を忘れるな」

 

 

 

 その言葉にヴァリアントも思わず息を飲む。それだけキングジョージ5世の狂気は常軌を逸しているのだ。そして、それは信濃にも理解ができた。

 

 

「……そうね、そうだったわ」

 

 

「だが……それでも私は希望を捨てない」

 

 

 その口調には強い意志が籠っている。

 

「粛正によって軍のウミであった旧エリザベス派は一掃した。後は残った連中の思想を正すだけだ。」

 

 

 

  モナークはそこで言葉を区切り、真剣な眼差しでヴァリアントを見据える。その目には強い決意と覚悟が見て取れた。

 

 

「私は……いや、私達はこの戦いに勝利するぞ」

 

 

「……ええ、そうね」

 

 二人は頷き合う。友情でも、恋慕でも、忠誠でもない、ただ同じ目的の為に。

 

 

「私はロイヤルの未来を信じている」

 

 

「私もよ……モナーク」

 

 

 

 

 二人は手を取ると強く握り合う。その絆はきっと何者にも断ち切れはしないのだろう。信濃がそう確信する程、それは強固なモノであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリトリア。旧サディア植民地であり、現在は重桜に売却申請がなされ。数年後にエチオピアに返還させる事が決まったこの自然豊かな土地に誰も知らない地下シェルターが設置されたのはつい最近の出来事だ。

 

 

 獣すら寄り付かない薄暗く不気味な原生林の奥底にシェルターの入り口は隠されており。その入り口はロイヤル製である事を示す紋章が刻まれていた。

 

 

 シェルターの中に入ると、そこはまるで別世界だった。壁一面に施された美しい絵画と調度品の数々、そして床に敷かれたロイヤル製の上質な絨毯。テーブル、椅子などは全てアイリスで採れた素材で作られた最高級のモノであり、その一つ一つの芸術的な価値は計り知れない

 

 

 シェルターの主である旧アイリス枢機卿とリシュリューにとってもこの環境は高級ホテルと変わらないと断言できてしまう。常にメイドのエディンバラが調理や掃除、ベッドメイクに至るまで全てを行っており、彼女達の生活に不自由はない。

 

 

 

「エリザベス様、昼食の準備がととのいました。」

 

 

 

 エディンバラが恭しく一礼し、エリザベスに声をかける。

 

 

「ありがとう、エディンバラ」

 

 

 

 彼女は優しげな声でそういうと、ゆっくりとベッドから起き上がる。その顔はどこかやつれている様にも見えるがそれでもなお気品を感じさせる美しさがあった。

 

 

 

「今日はテラスで食べたかったのだけれど……そんな事したらどうなると思う?」

 

 

「三分生きていれば御の字ですね。私は参加しませんので、死地の旅がご希望であればどうぞご勝手に」

 

 

「つれないわね…」

 

 

 

 エリザベスはいたずらっぽい微笑みを浮かべると、手を組んで背伸びをする。

 

 

 

「日の光もまともに浴びれないなんて……こんなに辛いとは思わなかったわ」

 

 

 人工的な電気の灯りに照らされ、エリザベスは紅茶を嗜む。

 

 

 

「でも、これも必要な事だから……」

 

 

 

 

 

 

彼女はそう言ってティーカップを置くと、少し寂しげに微笑み、不自由な心地の良い牢獄を見回すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイリス元枢機卿リシュリューは、自身が祖国を離れる直前。とある指揮官から最後に送られた一言を忘れられない。

 

 

『朽ちろ』

 

 

 もはや権力の移譲も終わった彼女に役目はなく、むしろ存在そのものが新たな火種になりかねない。かと言って粛清、処刑の様な排除は旧枢機卿派の反発を招きかねない上、レッドアクシズの総本部となるマルタ基地稼働も控え穏便に物事を進めたいサディア、鉄血に要請されていたのだ。

 

 

 多くの旧アイリスkansenはクリジス・エルサレム共和国に再所属した。それでも、元枢機卿はかのディアスポラ達の安住の地を踏むことは許されなかった。彼女のカリスマは本人が望む望まないに関わらず反体制派を生み出しかねない。それは国内の安定を望む現政権にとっては好ましくない。

 

 

 多くの移住先の候補が挙げられる中、最終的に決まったのはこのエリトリア地域であった。いわば第三国エチオピアへの押し付けでもあり、エチオピア帝国もまた有事の際は彼女達を戦力として徴用するという密約を持って受け入れたのだ。

 

 

 実の所このエリトリア地域には既にエディンバラ、シェフィールド。前大戦のロイヤル敗戦での戦犯ともいえる2人が既にシェルター内で暮らしていたという事情もあった。エリザベスが2人の為に作り上げた巨大シェルター。

 

 

 そこにリシュリューに加えて最終的に、この牢獄を作り上げたエリザベス本人までヴァリアントからの『命令』により移住する羽目になったのはなんという皮肉だろうか。

 

 

 彼女達に与えられた役目は朽ちる事。

 

 

 祖国への帰還を禁じられ、人里離れた地下シェルターで当然子孫も残す事も許されない。シェルターの外を出ようとした瞬間生身の彼女達は備え付けられた自動排除システムに撃ち殺されてしまう。

 

 

 緊急時へのエチオピア政府への協力?現在進行形でレッドアクシズや重桜から技術提供を受けkansenの保有や海軍の近代化を進めている彼等が、果たして外交問題に発展しかねないエリザベス達を必要とするだろうか?

 

 

 何も成さず、何も望まれず、ただ静かに死ぬのを待たれている。今までの激務と比べてなんという自由。だがそれはもはや祖国に必要とされたない事への証であり、時折りヴァリアント経由で商品カタログや生活用品、嗜好品などは送られるが新聞やラジオの様な情報媒体の類は許されない。いわば時が止まった牢獄での暮らしであった。

 

 

「っ…シェフィ!?」

 

 

 エリザベスとリシュリューが紅茶を嗜んでいると、最後の同居人であるシェフィールドが言葉も発さずに現れる。しかし、その姿は酷いものであった。

 

 

 用意されたメイド服こそ着用しているがそれまで整えられていたはずの髪は一切の手入れもされないまま乱れきっており、表情は虚ろなモノに変わっていた。片手に握りしめているのは

まだ匂いの残るビールの空き瓶であり、口元には絶え間ないアルコール臭を漂わせている。

 

 

 彼女は叱責するエディンバラは勿論リシュリュー、そして彼女にとっては忠誠を尽くすべきエリザベスの事さえも無視して空き瓶を部屋の隅に置き、壁にもたれ掛かって俯く。

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 数刻、沈黙が場を支配する。シェフィールドはその後何事もなかったかの様に新たなビール瓶を開封し飲み始めるが、その眼に生気はなく。ただ酒の快楽と現実逃避に全てを委ねた者がいるだけであった

 

 

 

「シェフィ……少しは酒は控えなさい」

 

 

 

 エリザベスがそう声をかけるもシェフィールドは反応しない。まるで人形の様に虚ろな表情でビール瓶を傾け続ける。その後もう一つのビール瓶を片手に無言で彼女は足を引き摺る様に部屋へと去っていった。

 

 

 

「そ、その!申し訳ございません!シェフィには後できつく言っておきますので!」

 

 

 

 エディンバラは戸惑いながらも慌ててエリザベスとリシュリューに頭を下げる。同僚の失態と醜聞。それを主人に見られたのだ。

 

 

 

「いいのよ……別に怒ってはいないわ」

 

 

 

 エリザベスは優しげな笑みを見せるが、その目はどこか寂しげにも見える。エディンバラは何か言いたげではあったが、リシュリューの目配せでそのまま引き下がった。

 

 

 

「……本当は断固としても止めた方がいいんでしょうね」

 

 

 

エリザベスはポツリとそう呟く。

 

 

 

「でもあの子が望む以上、止める資格なんて私達にはないわ……私だって気持ちはわかるもの」

 

 

 

 リシュリューはその言葉には何も答えなかった。その合間にエディンバラがあれで裏方はちゃんと仕事をしているだの、夜は少しずつ回復しているだの、言い訳がましく色々と述べているがエリザベスはどこか上の空だった。

 

 

「ねぇ、リシュリュー」

 

 

「……何でしょうか」

 

「私は……あの子に何をしてあげられるのかしらね」

 

 

 

 2人は沈黙する。その問いに対する答えを2人とも持ち得なかったからだ。

 

 

 シェフィールドの心の傷を癒す事は出来ない。そしてそれはエディンバラも、そしてこのシェルター内にいる誰もができない事であった。彼女達はただ静かに死を待つだけの存在だ。

 

 

「……ウォースパイトは今、鉄血で治療を受けているわ」

 

 

 シェフィールドの為にフォローを続けていたエディンバラであるが、鉄血という単語を聞いた途端グッと言葉を飲み込んでみせる。

 

 

 ロイヤルメイド隊の中でもエディンバラは自身の感情を誤魔化す事が苦手であり、本人にとっては無意識かもしれないが露骨に嫌悪の感情を顔に浮かべていた。

 

 

「……鉄血は心の研究に関しては世界トップクラスの国よ。いずれ治療を終えたらウォースパイトはここに来る。その時にシェフィの治療も頼みしかないわね」

 

 

「……もしかすると、その頃にはガスコーニュはお母さんになっているかもしれませんね。きっと、あの指揮官は私にガスコーニュ共々引き合わせようとするでしょうが…」

 

 

「その時にはイラストリアスだって妊娠してそうね。なんにせよ未来に楽しみが一つでも待っているの幸運に思わないと」

 

 

 リシュリューとエリザベスはそう言って笑いあう。朽ちる者達の取るに足らない平和で残酷な戯言。

 

 

 彼女達はただ死を待つばかりの存在だ。しかし、今の彼女達にとってそれは希望である事も事実であった。少なくともその瞬間が来るまでを精一杯生きる事こそが彼女らが行える最大限の抵抗だとも言えるだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 今まで、一度たりとも経験のない世界。

 

 完璧ではなく、少なからず痛みを伴っている。あのシェフィールドの姿を見て信濃もまたショックを受けない訳でもなかった。

 

 しかし、それまで多くの殺戮の宴を目の当たりにしてきた信濃にしてみればこの世界は一つの理想と言える程に『軟着陸』に成功した世界と言えるだろう。

 

 レッドアクシズとアズールレーンの戦いが泥沼化せず、最悪の惨事へと繋がっていない。北桜同盟という第三勢力が設立したことで産まれた平和という均衡は一種の理想と言えたからだ。

 

 アズールレーン、レッドアクシズ、北桜同盟。3つの勢力は互いに警戒を重ねつつも利害の調整に慎重となっており、これからこの『枝』は新たなる新秩序の元に独自の発展を遂げるに違いない。それが絶望の果ての未来に手を伸ばそうともがき続けてきた信濃にとってどれ程喜ばしい事であったかは語るまでもないだろう。

 

 

 

 ────故に、だからこそだ。

 

 

 

「これでは……」

 

 

 

 

 思わず信濃は手を握り締める。

 

 

 

 

 『枝』の世界の理を理解した信濃だからこそ、その光景は信じられないモノであり同時に迂闊に理解できてしまう存在でもあった。

 

 

 

「これでは……勝てぬ……」

 

 

 

 

 どれ程理想的な世界であっても。どれ程この知識を携え今すぐにでも長門に『北桜同盟構想』を相談したいと願おうと。最後に待ち受ける理不尽の権化たる『黒い影』にはどう足掻いても『勝てない』。

 

 

 信濃は見てきたのだ。多くの血と殺戮の果てに生き残る事に成功した世界であっても『黒い影』が顕現した瞬間100%滅んでしまうと。『黒い影』は必ず出現する訳ではない。しかし、まるで世界を嘲笑うかの様に。砂上の楼閣が一種で崩れ去るかの様に。『黒い影』は突然この世界に降臨し、破壊し尽くし、滅ぼし尽くすのだ。

 

 

 

 何処までも優しく、何処までも献身的で、何処までも自己犠牲をも厭わず『世界渡り』を繰り返し続ける信濃。彼女はこの『枝』を何処までも羨ましく思いつつも手を伸ばしてはいけないのだと胸を締め付けられる様な感覚に苛まれる。

 

 

 

 信濃が望む未来は平和であると同時に万が一顕現する可能性のある『黒い影』への対抗策を掴む事。故に、それが出来ない以上煌めく宝玉の様に極上なこの『枝』の知識だけを持ち帰ろうとも目的は達成には繋がらない。

 

 

 

 そして、この世界もあの『黒い影』が現れたが最後、徹底的な陵辱により全てが無に還るという事実に吐き気を覚えた瞬間……。

 

 

 

 世界は再度。そして最後の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 地下に作られた秘匿された造船所にて様々な工作機械の音が響き渡る。溶接による金属同士の接触音がどこか心地よさすら感じさせ、ペンチやナットレンチによって工具が命を吹き込まれていくのを信濃はじっと眺めていた。

 

 

 ここは鉄血の基地だろうか?以前の記憶から導きだした信濃の前で作られるそれはそれまで見たどんな無人艦艇よりも巨大な戦艦であり。不気味な赤いネオン色が血の鼓動の様に明滅したる様はセイレーン艦のコピーをも彷彿とさせた。

 

 

 

「……ラグナロクの完成はもうすぐ、か」

 

 

 ポツリと呟くその声に後ろを貼り付けば鉄血の陣営代表ビスマルクが試験管を眺めつつ一人呟いている。だがその瞬間信濃は思わず小さな悲鳴をあげてしまう。ビスマルクの腹部が妊娠によって膨らんでいる事など瑣末に思えるほどの衝撃に信濃は思わずゾワリと背に寒気が走る。

 

 

 それは肉塊としか言いようが無いものだ。

 

 

 

 緑色の試験管に収まったサッカーボールサイズの肉塊は時折弱々しく脈動し、ゴポリと気泡を浮き上がらせながらゆっくりと脈動し続ける。理解の範疇を超えたグロテスクなソレに抑えようのない吐き気を堪える様に口を抑えるのだった。

 

 

 

 

「っ……うっ!?」

 

 

 

 自身の瞳孔が激しく収縮するのを信濃は自覚する。まるで吸い寄せられるかの様に肉塊に意識が集中してしまう。生きてはいない。生体反応は感じない。しかし、リュウコツに刻まれた一種の感覚はソレが何物なのかをはっきりと理解してしまう。

 

 

 

 

 ────あれは、ビスマルクから作られたものだと。

 

 

 

 

「本当に……我ながらこの子には見せたくないわね。こんな研究を母は実行中だなんて、どう説明すればいいのよ…」

 

 

 

 

 ビスマルクは自身の腹部を優しく撫で付けながら僅かに後悔

の入り交じった笑みを浮かべていた。迷いと覚悟を捨てた軍人としての瞳。 

 

 

 

「黒キューブによる抑止論……それは成功したわ。ロイヤル以外の大国は黒キューブの研究、複製、量産を目指しているけれど……問題はあの重力砲を使えるのは私だけだった。例えば重桜の大鳳というkansenは黒い鳥を生み出していて……kansenの力を増幅させる力を持つけれど街一つを破壊出来るほどの破壊力はなかった」

 

 

 

 そして、母親失格という引け目が混ざったものでありビスマルクはお腹の赤子に言い聞かせる様に呟く。

 

 

 抑止力とは全員同じ概念のモノを保有するからこそ成立するものだ。別の世界で行われた戦艦の建造競争、そして未来に行われる事になる冷戦期による核兵器の開発もまた威力の差こそあれど全く同じ効果が保証されているものを各勢力が開発したからこそ成立したもの。

 

 

 

 黒キューブを使った都市を壊滅させるレベルの重力球を引き起こす事が出来るのはビスマルクで無ければ不可能。つまり抑止力として成立しないのだ。

 

 

 抑止力は全ての勢力が同じものを持って初めて成立する。だからこそビスマルクは戦後新たな研究に没頭したのだ。あの重力球を再現する為には自身の細胞が。リュウコツに刻まれた情報が必要不可欠であると理解して。

 

 

 

 その結果産まれたのがこの脈動する肉塊だ。ビスマルクの細胞を培養する事により産まれた肉塊に人口心臓を取り付け、セイレーン技術を宛て作った培養液に満たされた試験管に保存する。

 

 

 

 その上で試験管と黒キューブに適合させる事により、無人艦による都市破壊を実現する事を目指したのだ。

 

 

 

 実験は成功した。

 

 

 

 もちろん、肉球は一発放てば機能は停止するが、逆に言えば黒キューブと肉球がある限りは何度でも、何発でも都市破壊を可能とする虐殺兵器を量産する事が出来るという事に他ならない。倫理観と絵面は最早邪悪としか言いようがないが、それでも抑止力としてはこれ以上ないモノである。

 

 

 

 後は黒キューブを量産化し。世界中にこの肉塊を配れば、間違いなく世界中に今も残るセイレーン要塞を駆逐できるとビスマルクは予想していた。

 

 

 

 それが終われば始まるのは国家間の争いであり、その為にビスマルクはペーネミュンデにて研究中のV2ミサイルという弾道兵器を無人艦に最適化する為の研究を進めていたのだ。

 

 

 

 

 より遠くに、より早く、より強い兵器を開発する。

 

 

 

 剣が槍となり、槍が銃となり、銃が火砲となって、火砲がkansenとなったこの世界において、ビスマルクは新秩序の為の新たなる抑止力たる海上展開可能なV2ミサイルプラットフォームと言えるこの無人艦をこう名付けた。

 

 

 

 

 『ラグナロク(終末の日)』と。

 

 

 

 

「その覚悟……見事なり」

 

 

 

 生理的嫌悪感を持つ肉塊を眺めながら、自身の腹部を撫でる母親を信濃は見つめる。それは忌避すべき者を眺める視線ではなく、全ての業を背負ってでも愛する我が子の為に護国の鬼とならんとする姿への憧れの眼差しだった。

 

 

 

 

────その平穏は薄氷の上を歩くようなもの。

 

 

 

 あの『黒い影』の理不尽さを誰よりもこの世で理解してしまった信濃は、例え一人の母親が作り出した覚悟の証たる巨大戦艦をもってしても。勝つ事は出来ないと嫌でも理解していた。最早あれは破壊という指向性を概念。故に権能の範疇である『ラグナロク』を量産した所でアレ『では』勝てない。

 

 

「……」

 

 

 

 しかし、信濃の胸中には小さな光があった。

 

 

 今は勝つ事ができない。しかし、この世界の住民であればあの『黒い影』という災厄を乗り越える事が出来るのではないか?と。理不尽の権化と化したそれに叛逆の顎をもたらせる事が出来るのではないか?と。

 

 

 小さな、暗闇に差し込む光の如き儚き希望。しかし、それは信濃にとって数百の星の瞬きにも匹敵する宝玉であった。

 

 

 

 

「希望……」

 

 信濃の意識が暗転していく。『世界渡り』の最後にこの光景を。母となり、覚悟を決めた女の決意の笑みを。『黒い影』に蝕まれる絶望に抗えるかもしれない希望を最後に見せ付けたのは大いなる意志が導いた奇跡か。それとも、ただの偶然か。

それは誰にも分からない事だった。

 

 

 ────しかし。

 

 

 

 

「願わくば……」

 

 

 まるで命を吹き込むかの様に全身を包み込んでいく光を感じながら、信濃はこの光景を、記憶を、その全てを新たなる世界の何処かへと持ち去る為に己が瞼を落としていく。

 

 

 

「そなた達の未来に…幸があらん事を」

 

 

 

 その祈りを聞いたものは誰もいない。

 





・ヴィシアとサディア
サディアはローマが新たな総旗艦に。失恋を得て自信を見つめ直した事でそれまで心配していたリットリオ達から見ても後継者に相応しいと称されるほど彼女もまた変わりました。ヴィシアは国名を正式にアイリスと戻した上でジャン・バールが枢機卿に。今も旧枢機卿リシュリューへ忠誠を誓うものは多数いるとはいえ権力固め終わりその横には常に一人の指揮官が寄り添って…いやぶっきらぼうに護衛していたそうな。


・ロイヤル
ヴァリアントとモナークが粛正を行なった事で旧エリザベス派は世界各地のロイヤルの植民地やアズールレーン本部送りに左遷される事に。何気にロイヤル・オークの忠誠を勝ち取った事はモナークは高く評価しています。とはいえキング・ジョージ5世という不確定要素やネプチューンの様な王家そのものに憎悪を燃やす派閥もあって今も舵取りは難しく、それでもモナークとヴァリアントは決して諦めないでしょう。

・リシュリュー達
リシュリュー、エリザベス、ウォースパイト、エディンバラ、シェフィールドの五人は少し前に出てきたエリトリア地域でシェルター生活。
ウォースパイトは現在イラストリアスと同じく鉄血での治療を行なっているもの、シェフィールドはどんどん悪化してアルコールが手放せない。おそらく早期の段階からシェフィールドも鉄血送りになるでしょうがその時にでもどこぞの指揮官はガスコーニュ、イラストリアスを引き連れて枢機卿に会いに行くでしょうね。


・ビスマルク
 ビスマルクが研究していたものは2つ。一つは確実にゲーム本編でも見せた重力球を他の勢力でも扱える様に、抑止力とする為にビスマルク本人がいなくても使える武器とする為の研究。そしてもう一つは戦後に必須でなるであろう大陸弾道ミサイルのプラットフォームと化した新型戦艦……そう、アニメにも登場したあの「オロチ」と全く同じものを製造していました。

 より早く、より強く、より遠くに。この言葉はアニメ内でもフッドやセイレーン達も話題にしており、常に人類の戦いの歴史は長射程からの攻撃への追求。それを突き詰めていけばミサイル戦艦オロチというアニメと同じ技術へと収束していきました。今後はセイレーン要塞を駆逐した後、世界各地でビスマルクの肉塊と「オロチ」のような重力球をkansenに頼らず放てるようにした兵器が研究されていくでしょう。その果てに待ち受ける未来とは…

・信濃
 ある意味今回のお話の狂言回し。信濃が語った『黒い影』とはゲーム本編でも登場したエックス……セイレーンが未来に完全敗北を決した上、それに抗うために並行世界を実験場とする要因となった全ての元凶です。
その力は余りにも理不尽であり、はっきりと断言しますがこの作品内でエックスが顕現した場合100%世界は滅びます。交渉の余地もなく、破壊の概念と化したソレは最早知識や勇気や愛情といったものを全て焼き尽くす災害でありバッドイベント。とはいえ100%エックスがこの世界に現れて全てを焼き尽くすかどうかは不明であって完全に運ゲーなのが実情です。

 信濃の勝利条件は人類同士の戦いによる破滅の未来、セイレーンとの戦いへの勝利だけではなくこの『黒い影』に確実に抗える方法を探すというのが最も難しく、前並行世界の信濃達が解放されない理由の一つ。それでも、とある世界の信濃はこちらのビスマルク達を見て……何処までも愛する我が子の為に抗おうとする母を見て、この『枝』に希望を見出したのでした。

 次回最終回。少し遅れるかとしれませんが6月までは確実に投稿させて頂きます。4年以上にも渡る連載もいよいよ後1話となりましたがどうか最後までお付き合いして頂けると幸いです。

 コメント、感想、評価などをお待ちしております。

指揮官の後世の評価はどうなる?

  • 戦争を終わらせた立役者
  • サディアを救った救国の英雄
  • ロイヤル最大の敵
  • 女の子に手を出しまくりの色を好む英雄
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