鉄血の旗の元に《完結》   作:kiakia

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番外編 第七話 戦いの裏側にて 後編

 私は恋をしました。

 

 最初はただの一目惚れ。初めて出会った彼を見た瞬間、脳に電流が駆け巡ったとでも言えばいいのでしょうか?ロマンス小説にありがちな運命的な出来事が起きた訳でもなく、かといって何か特別な事情があった訳でもなく、惚れ薬を盛られた訳でもありません。特別なイベントが起きた訳でもない。ただ、彼の姿を見るだけで驚く程呆気なく、私の心は彼に奪われてしまいました。

 

 私はサディア人で彼は鉄血軍人。お互いの地位や立場も全く違いますし、何より私は彼のことを何も知りません。そう、彼の名前も知ることさえも出来ずにいるのです。

 

 なのに毎日彼のことを考えてしまう、彼のことをもっと知りたい。彼と二人で話したい。彼と手を繋ぎたい。恋人になりたい。彼と共に残りの人生を歩み添い遂げたいと願う気持ちは毎日のように強くなっていく。それは軍人として、貴族として、兵器としての役割を期待されてkansenとしてこの世に生を受けた私の生まれて初めての個人的なワガママなんだと今では思ってしまいます。

 

 ザラによれば彼の傍には常に顔立ちの整った四人の鉄血のkansenの方々が居て親しく話していると聞き、同時に胸にチクリとした痛みを感じてしまいます。この感情が嫉妬であると気がつくのにさほど時間はかかりませんでした。

 

 彼女らはあの指揮官様をどう思っているのでしょうか?そして指揮官様はもしかして誰か好きな人が居るのでしょうか?もし、そうであるのなら私のこの想いは実ることはないのでしょうか?

 

 彼を好きになったという高揚感と同時に、その恋が実らないのではないか?そして、私の立場では彼の傍に居られないという現実的な思考が胸の痛みとなっていく。全ての地位を捨てて彼の胸に抱きついて好きだと伝えることができるのであればどれ程楽だったでしょうか?

 

 運命の日は着実に近づいていく。祖国を愛する愛国心と彼への想いの板挟みになり、中には全裸になって混浴だなんて、馬鹿みたいなことをしてしまう程に私は浮かれていたと同時に混乱していました。

 

 

 今でも毎日冷たいシャワーで体の汚れと仕事の疲れを洗い落とそうとすれば、どうしても混浴した時の彼の顔を思い出してしまう。あの人は私の身体をみて下腹部が盛り上がっていましたが、私の身体を魅力的だと思ってくれているのでしょうか?

 

 濡れている自身の乳房を手で掴めば余計に身体の火照りは増していく、あの時のことを思い出せば今でも羞恥心で叫びたくなりますが、仮にこの乳房で彼が喜んでくれるのであれば私は彼に乳房を差し出して、なんでもしてあげたいと思ってしまう。リットリオからはヴェネトは人に尽くすタイプか?と揶揄われましたが、案外その通りなのかも知れません。

 

 

 シャワーを浴び終え下着とタンクトップだけを身につけてベッドの上に倒れ込む。こんな姿、鉄血の方々は勿論姉妹以外には誰にも見せつけられませんねと自嘲しながらも、同時に枕元に置いてある計画書を手で掴むと、何度も読み込んだ演目の内容を再び繰り返して読み込んでいく。

 

 

 自分自身の想いに決着をつけることができず、彼とその後話す機会もないままに。総旗艦としての職務に励む日々。Xデーが近づくにつれてマルタ島を巡る計画への職務に忙殺された結果、少しだけ冷静になることができたのは幸運なのやら、不幸なのやら。

 

 この作戦を実行すれば、成否に関わらずレッドアクシズとの関係構築と同時にロイヤルとの対立は最早避けられなくなるでしょう。一瞬だけ過去に何度も共にお茶会をした小さな女王様の姿が頭によぎりますがそれを振り払う。力強く放たれた弓矢が戻ってこないように、過去を振り返っても、もう後戻りはできないのですから。

 

 

 悩みながら今は前を向くしかない。全てが終わった後に、もう一度ゆっくりと考えよう。そして演目が終わった後に指揮官様と話し合い、この気持ちに決着をつけよう。それまでは私は総旗艦として、サディア帝国の未来だけを考えようとする多忙な日々。

 

 

 そして、1940年11月11日。私は自分の気持ちの整理も付かぬままに、運命の夜を迎えるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヴェネト、どうやら鉄血に借りができたらしい。本当にやってくれるよ、あの男は』

 

 

 

 夜間のタラント海軍基地にて、多くのオペレーターが次々と上がってくる前線からの報告に叫ぶように指示を出し、次々と状況が鮮明になる中、私は大混乱に陥る司令部の中心にて秘匿通信をリットリオから受けていました。

 

 

 結論から言えばどうやら私達の演目はロイヤルにバレていたようで……作戦予定時間が数時間もロイヤルの都合で遅れてしまい、司令部に蔓延するピリピリとした空気は、遠方の空に放たれた赤い信号弾と共に霧散してしまうのでした。

 

 私達がマルタ島に奇襲を仕掛けようとすると同じく、クイーン・エリザベスも同じことを考えていたようです。彼女は私達サディアを最初から信頼していなかったようで、こちらが奇襲を仕掛けようとした瞬間、空母による夜間空襲を行なって逆奇襲を仕掛けてくるのでした。

 

 

 赤い信号弾と同時に一斉に放たれた無数のロイヤルの航空隊は油断をしていたサディア海軍のkansenや無人機に次々と襲いかかり、爆撃機がタラント基地を、愛した祖国を浄化の炎で焼き払おうとする。

 

 戦場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。何故こんなことに……敵空母の空襲の危険性に気が付けなかったのかと一生後悔をした上で、自分のミスで全てが焼き払われた後に敗北を受け入れ、クイーン・エリザベスに頭を下げ、不平等で屈辱的な講和を結ぶ。そして帝国の存続のために裏切り者と呼ばれてもアズールレーンへの復帰を視野に入れた外交を行う未来もあり得たのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 そう、彼らがいなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鉄血艦隊より通信!!我、ロイヤルの空母と交戦す! 』

 

『グラーフ・ツェッペリン様の航空隊がロイヤルの奇襲攻撃を防いだようです!総旗艦様、ご指示を!! 』

 

『ザラ隊、ロイヤルの艦隊と交戦を開始!現在優勢とのことです! 』

 

『リットリオ様達より通信です!現在逃亡を図ろうとするウォースパイトの捕捉に成功!これより交戦を開始すると! 』

 

『何をすればいいのかって!?見れば分かるだろ!抜けてきた航空機を迎撃するんだよ!急げ! 』

 

 

 

 

 司令部は将兵達の必死の怒号で包まれていく。漆黒の闇に包まれたタラントの空では熾烈な航空戦が行われ、その航空戦はグラーフ・ツェッペリン様が優勢だと報告が届き、それと同時に全ての戦線で交戦が開始され、図らずも逆奇襲の逆奇襲に成功したようで全ての戦線で有利に物事が進んでいく。

 

 本来であれば炎に包まれるはずだったタラントを守るためにサディア海軍の皆は無傷のまま交戦を開始、時折飛来する少数の敵艦載機の迎撃を行う。鉄血艦隊と比べればその撃破数には差が生じてしまい、色々と課題が残る戦場ながらも物事はこちらの想定以上の道に進んでいく。

 

 そう、課題が残るということは未来に反省を生かせるということ。その反省を生かせる状況を作り上げたのは我らサディア海軍ではなく、間違いなく遠く離れた鉄血から、援軍に来てくれた救援部隊の皆のおかげとしか言いようがありませんでした。

 

『悔しいが今回の演目の主役は我らではなく、本来観客のはずの鉄血艦隊となってしまったな。それでも鉄血だけに負担はかけられないよ。ウォースパイトはこちらでどうにかする』

 

「……幸運を。絶対に生きて帰ってください」

 

『当たり前だ。このリットリオはベッドの上でしか死ぬつもりはないよ。後は全て貴女に、後ろは全て任せたよ……姉さん』

 

 リットリオに姉さんと呼ばれたのはいつ以来だったでしょうか。様々な感情が胸中を支配する中、彼女との通信が切れたと同時に戦場に広域通信が響き渡ります。

 

 

 

『この海域に存在する全てのサディア海軍に告げる!こちら鉄血艦隊!これより戦闘に参戦する!!!』

 

 

 それは数日ぶりに聞いた鉄血の指揮官様の声でした。怒号で包まれていた司令部は彼の声と同時に一瞬で沈黙に包まれる。

 

 

『友邦サディアを襲うロイヤルの『卑劣な騙し討ちによる奇襲攻撃』を防ぐための迎撃行動を行う!繰り返す!こちら鉄血艦隊!これより戦闘に参戦する!!』

 

 それは本当に短い通信でしたが確実に司令部の空気を変えたといえるでしょう。彼の発言によってこの瞬間よりロイヤルは奇襲を仕掛けた卑怯な外敵となり、彼らは祖国を守ろうとする地中海の守護者となる。司令部に蔓延するのは祖国を焼き払おうとした『卑劣』なロイヤルへの怒り、自国を守ろうとする愛国心、そして、祖国を救ってくれた鉄血艦隊への期待感。

 

 私達は一人ではない。戦場で共に戦う盟友が存在する。彼らは自らの命を惜しまずに最前線でロイヤルと交戦し、彼らの存在がサディア軍人、kansenに少なからず勇気を与えていく。彼の短い通信は少なからず、サディア帝国の戦士達に爪痕を残したといえるでしょう。鉄血はこの瞬間サディアのために血を流し、サディアはその想いに報いる必要があるのだと。

 

 

 

 

 あぁ……あの人はズルい人です……

 

 

 

 

 私は何度も悩みました。自身の立場や責務について、何よりも本当にこの気持ちを持ち続けてもいいものなのか?この想いを捨て去らなくてもいいのか?と。

 

 あの赤い信号弾の後、もし鉄血のグラーフ・ツェッペリンさん達がいなければ多くの犠牲者を出した可能性もあり、ロイヤルにプライドや威光を捨て、不利な立場で頭を下げる未来もあり得たのです。

 

 ロイヤルの航空隊に気が付かなかった時点で本来サディアを蹂躙されていたでしょう。しかし、あの人達はサディアの敗北の運命を壊し、そして勇気を与えて演目の主役となり、私達に希望を与えてくれました。

 

 

 

 

 こんなの……こんなの!!ずるいじゃないですか……!!

 

 

 

 好きという気持ちはもう抑えることはできない。私は彼への想いを捨て去ることはもう不可能。鉄血の指揮官様への愛情や感謝によって、気がつけば私の瞳からは一筋の涙が流れていました。

 

 

 あぁ……私は本当にどうしようもなく……あの人を好きになってしまいました。

 

 

 彼を好きになって良かった。彼は命をかけて見ず知らずのサディアのために戦ってくれる。それは彼だけではなく鉄血艦隊の皆も同じであり、ただ愚直なまでにその任務を果たそうとしてくれる。

 

 ビスマルクは、鉄血の戦士達はその行動によってサディアは孤立してしていないと、サディアは盟友であると。ロイヤルのように格下で見ることもなく、同じ目線で共に未来を作ろうとする意思を示してくれました。

 

 

「……カラビニエーレ。これより演説を行います。サディアの戦士だけではなく、国内全てに伝わるように。サディアが使える全てのチャンネルも利用して出来るだけ広範囲に私の声が届くようにと連絡してください」

 

「はっ!!さ、再度確認しますが全てのチャンネルでよろしいのでしょうか! 」

 

「ええっ、文字通り民間、軍事、国際チャンネルも含めた全てでお願いします。音量も最大で、この戦いを帝国臣民に伝えるために。急いで伝達してください」

 

「了解しました!! 」

 

 傍らでカービン銃を片手に戦場の趨勢を見守っていた護衛の駆逐艦カラビニエーレにそう通達すれば、彼女は役目を果たすために駆け出していく。その表情には困惑と共に隠し切れない笑みが浮かべられており、彼女も鉄血艦隊と存在に勇気を与えられたのでしょう。

 

 

「やりますか……皆が戦っているのですから、私もやれるだけのことはやってみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サディア帝国の皆様。私はヴィットリオ・ヴェネト。偉大なる皇帝陛下より、サディア海軍の全権を委任された総旗艦です』

 

 

 

 

 

 あの指揮官様への好きという想いはもう抑えられない。その全てを私は独占したい、あの人が常に側に居てくれる日々を送ることができるのならば私はそれだけで幸せでしょう。あの人の恋人になりたい、あの人のことが知りたいと思う気持ちは抑えきれず、もう私は恋を捨てるという選択肢を取ることは到底できませんでした。

 

 

 

 

『我々サディア海軍は現在敵勢力と交戦を開始しております。その勢力の名前はロイヤルネイビー。クイーン・エリザベスが海軍を率いるアズールレーンに所属する国家の一つであり……まず国民の皆様に私の不徳がこの戦闘を招いたことを謝罪させていただきましょう』

 

 

 それでも今はあの人への気持ちを抑えよう、そして私は瞬時に自らのすべきことを理解する。ただ司令部から軍を全体的に統括するのではなく、サディアにはサディアなりの戦い方があるということをクイーン・エリザベスに教えて差し上げましょう。

 

 

『我々サディア海軍はロイヤルネイビーと共に、人類種の敵であるセイレーンと戦うための共同作戦を予定していました。その後、待機していた彼ら鉄血海軍の皆様方と会談を行い、この戦争を終わらせるために三国で話し合い、武力ではなく対話によって平和を……元の争いのない世界を取り戻すために、我々は努力を重ねていました。だというのに……!! 』

 

 

 拡声された私の声が、サディア全域に響き渡る。このプロパガンダによって私はサディア帝国の臣民や貴族の方々に、これからの未来は鉄血と共に歩むという決意を示しました。それは色恋にボケた愚かな女の所業でしょうか、恩義に報いるための義理としての行動なのでしょうか、はたまたサディア帝国の威光を世界にしめすための総旗艦としての判断なのかは自分でも分かりません。いえ、恐らく全て当てはまっているのでしょう。

 

 

 

『我らサディアは!!平和を望んでいたのです!!だというのに!!卑劣なロイヤルは!!それを利用して!!タラント港に待機するサディア海軍を襲い、空襲によって火の海にしようと目論んだのだ!!なんたる卑劣!!なんという外道!!ロイヤルはこの和平への道筋を踏み躙り、私たちの想いを奇襲攻撃のための踏み台にしか思っていなかったのです!!!これを許すべきか?否!!断じて否です!! 』

 

 

 

 サディア海軍のほぼ全軍を使ったこの作戦は乾坤一擲、いかにロイヤルネイビーが強大とはいえ、マルタ島の保有戦力がサディア全軍に匹敵するとは思えず、逆奇襲によって全ての戦線が優勢に進んでる以上、大混乱に陥っているであろうマルタ島は奇襲攻撃によって陥落するはずです。

 

 

 クイーン・エリザベスは慎重に物事を進める人物であることはこれまでの付き合いから理解しています。ジブラルタルやアレクサンドリア基地より陥落したマルタ島を奪還しようにも、マルタ島の住民達が人質になっており、彼らが犠牲になりかねない以上不用意に軍を動かすことはできないと。

 

 

 確実な奪還が可能な戦力を集め、民間人の被害を抑えるような計画を立案しなければロイヤルのkansen達は本国より糾弾されてしまい、その発言力が落ちることをクイーン・エリザベスは恐れるはずだという、傲慢ながらも慎重に物事を進める彼女の性格に対する一種の信頼と理解が今もありました。

 

 

 

『ロイヤルは!!青き航路を守るためにアズールレーンに所属していながら、優雅や栄光と口にしながらもセイレーンではなく自国の国益を重視し、平和を願うサディア国民を傷つけようとしたのだ!!あのヴィシア海軍を襲ったメルセルケビールと同じように!!だから我々は許せない!!だから我々は抵抗する!!そしてあと一歩でサディア軍港が火の海にされようとする中、鉄血海軍は……私達を守ろうとその力を示してくれました!! 』

 

 

 同時に私はこの放送によって一つの策略を練り込みます。それは咄嗟の判断とはいえ一種の博打ともいえる行動、あの人が私の意図に気がつくといいのですが……こればかりはあの人の手腕を期待するしかありません。

 

 

 

『だからこそ我々サディア帝国は鉄血とも歩みましょう!我々はこれより一蓮托生!!皆様は忘れないでください!!今!必死にサディアを守ろうとする鉄血の皆様を!!そして祖国を卑劣な侵略者より守ろうとする気高きサディア軍人、サディアkansenを!!我らは二度とロイヤルの暴挙に犯されないために!!レッドアクシズの旗の下に!!これより地中海のロイヤルの重要拠点マルタ島の攻略作戦を急遽宣言します!!』

 

 そして、司令部内で歓声が沸き起こり、私達の心は一つとなりました。これよりサディア帝国と鉄血公国は一蓮托生。勝利の美酒をビスマルクと共に満喫するか、血を吐き力が尽きる最後の瞬間まで戦い抜くかという二択の選択肢以外は消え去りました。そう、私がサディア帝国の未来を固定してしまったといえるでしょう。

 

 

『錨をあげよ、サディアの戦士達よ!!侵略者から祖国を守るためにその力を貸して欲しい!!臆するな!!躊躇うな!!そして後ろを振り向く必要はない!!!我らの後ろには鉄血の同胞が……フローテ・ディ・サルヴェッツァ(救国の艦隊)がついているのだから!!国民の皆様にはあと少しだけ耐えていただきたい!!次の朝には朝刊に華々しい記事を大々的に載せることを総旗艦ヴィットリオ・ヴェネトは誓いましょう!!サディア帝国に栄光あれ!!!サディア海軍!!全力を以て……進軍せよ!!」

 

 

 私の演説を最後に司令部内では拍手が沸き起こり、最前線の士気は最高ともいえる状況となるでしょう。ウォースパイトをリットリオが、ロイヤルの空母を鉄血艦隊が抑えてくれる今がその時だと私は全軍にマルタ島を攻撃するように命じます。

 

 そんな彼女達に私は幸運を、と呟くことしかできませんでした。強力な巨砲を持ちながらも陣営代表である以上不用意に最前線で戦えない現実にもどかしさを感じてしまいますが。

 

 私は、サディア帝国の総旗艦として成すべきことを成すべく再び司令部にて全体の動きの統括を行うのでした。

 

 

 頼みましたよ、サディア海軍の戦士達。

 

 

 

 頼みましたよ、鉄血艦隊の皆さん。

 

 

 

 そして、私の意図に気がついてくださいね……ジャン・バール!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界で現在最も士気が高い部隊が地中海のサディア海軍というのなら、最も士気が低い部隊は同じ地中海を進むマルタ島から脱出したロイヤルネイビーの面々であると断言できるだろう。

 

 セイレーン大戦への従軍経験を持つ将校、ラムリー・リスター少将が率いる数千人の部隊は最早陥落が必至となったマルタ島より脱出し、快速の船団に乗り込み、夜間の地中海を慎重に進んでいく。

 

 

「まさかマルタ島を見捨てるだなんて……ごめんなさい……本当にごめんなさい……!」

 

 

金髪の少女、軽巡オーロラは表情を歪め、罪悪感で胃から込み上げてくるものを堪えながらも、船団の先頭を進んでいく。その側面を二隻の駆逐艦、殿は軽巡ペネロピが務めている輪形陣。彼女ら四隻はタラント空襲の『再現』の情報を知る、別の世界であれば地中海戦線にて活躍が約束されていた武勲艦となり得た存在ではあるのだが、この世界ではその武勲を得る機会は消失してしまった。

 

 鉄血艦隊が『再現』を崩壊に導いたという情報はヴィットリオ・ヴェネトの大音量かつ無差別に流された演説によってこの艦隊にも届いてしまう。何故あんな所に鉄血の空母がとオーロラは内心絶望と怒りで叫び出したくなってしまう。鉄血艦隊の空母の存在は既にロイヤルネイビーでは公然の事実として情報が広まっており、正に怨敵といえる存在となっていたのだ。

 

 彼女達は仕方ないとはいえマルタ島に残る住民を全て見捨ててしまった。彼らは自分達のことを何と思うのだろうか?戦略的には作戦に失敗した以上彼らを見捨てざるを得ないとはいえ、船団の中にはマルタ島が故郷の将兵も存在したらしく、彼らの士気は最早崩壊寸前になっている。それでも統制を失わないのは歴戦の将軍であるリスター少将の手腕か、訓練を重ねたロイヤルネイビーの軍人としての矜持なのか、はたまた生きることへの渇望なのだろうか?

 

 

 

「今は軍人として……陛下の命を優先するしかありません。でも、私達は必ず戻ってきます……必ず!!」

 

 いつ現れるかも知れないレッドアクシズの部隊やセイレーンに不安を覚えながらも、彼らは進んでいく。夜間に身をひそめ、たとえ敗北という恥辱に身を焦がし、民間人やカニンガム中将といったマルタ島に残した人々に後ろ髪に引かれながらも、ただ情報と戦力を持ち帰り、次の戦いに生かすために。それがロイヤルの未来に繋がるのだから。

 

 

 

 

 地中海に面しているリビア・アルジェリア周辺は地域はヴィシア、サディア領土・領海になっており、彼女達は僅かな油断さえできずに怯えながら進んでいく。特にヴィシア聖座はメルセルケビールの海戦の後に強烈なまでの反ロイヤル国家に変貌しており、もし見つかれば間違いなく強硬的な対応を取るはずだ。しかし、オーロラ達は本国の女王陛下により、仮に『再現』に失敗してしまい、脱出する羽目になっても夜間であればヴィシア聖座は恐らく動かないと予測していた。

 

 

 最短ルートで逃亡するためにはヴィシアの領海を通り要衝ジブラルタル基地に向かうしかない、スエズ方面を通ってアレクサンドリア基地に向かう選択肢も存在していたが、一刻も早く情報・書類・人員をロイヤル本島に届けることを優先するのであればジブラルタルに向かうしかなかった。

 

 

 例え不幸にもヴィシアの夜間パトロール隊やセイレーンに発見されても、余程の戦力でなければこの四人で対処可能といえるだろう。

 

 

 しかし、いそがなければならない。今は基地に残ったカニンガム中将達の奮戦と無人艦隊によって時間を稼げているが、多くの将兵が離脱したと知れば確実にサディア海軍は送り狼を出撃させるだろう。そうすれば守るものが多く、オーロラ達を除けば、無人艦の多くをマルタ島に残してきた以上、ロクな武装が存在していないこの離脱艦隊では太刀打ちすることは不可能なのだから。

 

 

 焦燥感にかられながら進むオーロラ達、あと少しでジブラルタルにたどり着ける。今は祖国に帰るという希望を胸に、必死に警戒しながらも離脱艦隊がヴィシア領海に入った途端。

 

 

 

 

『あれ?めちゃくちゃ早かったね?ロイヤルのみなさーん、ちょっと停船してくださーい』

 

 

 何処からとも無く通信が耳に届き、甘ったるい猫撫で声の女性の言葉に、ゾクリとオーロラの背筋が凍りつく。その瞬間、赤、白、青と三色で色付けされた強烈な砲撃による弾幕がオーロラのすぐそばに着弾し、その衝撃で彼女は無傷ではあるものの、水飛沫でその身をびしょ濡れにされてしまう。

 

 

『あー、今のは挨拶ね。こっちとしてはロイヤルの皆に迎撃してくれてもいいけど、それだと皆沈んじゃうよ?次は本気で当てるから黙って話を聞いてよね? 』

 

 

 

 水飛沫に包まれながらも瞬時に迎撃体制を取ろうとするも、通信越しにゆるゆると戦場に似つかわしくないリラックスした声が再び響き渡る。その瞬間後方の船団より悲鳴のような報告が彼女に届く。

 

 

 

『て、敵反応を複数確認!!戦艦……3!?更に複数の重巡や軽巡に多数の無人艦!!識別コード、レッドアクシズ……ヴィシア聖座です!! 』

 

 

 

 それはパトロールのための部隊ではなく、怒りと殺意に満ち溢れたヴィシア『艦隊』。世界で最もロイヤルを憎悪し、復讐心に燃える国家が完全にこちらを待ち受けており、あまりの事態にオーロラは勿論、冷静を装うリスター少将ですら事態の把握を図ろうにも呆然としてしまう。

 

 

 

 なんで!?何故!?こんな短期間にとオーロラは焦るが、次の瞬間、脳裏に浮かび上がったのは二つの仮説。ここまでヴィシア聖座が素早く動くために予めサディアから退路を絶つように伝えられていたのか、もしくは……

 

 

 

「まさか、あの演説で!?」

 

 

 

 サディア帝国の総旗艦ヴィットリオ・ヴェネトの反ロイヤルとマルタ島攻撃を宣言した演説。それは国際チャンネルなども通じて逃亡中のロイヤルネイビーにまで届いていたが、恐らく隣国であるヴィシアもこの放送を聴いて動いたのだろうと。

 

 

 あの演説はまるで現在の状況を国民に説明するために分かりやすく、丁寧に伝えられていたとオーロラは思い出す。詳しい戦況や念入りにロイヤルの非難を述べているが、それはサディア国内でもロイヤルネイビーでも、鉄血でもなく……もしや、隣国のヴィシアの護教騎士を。復讐に燃えるヴィシア艦隊を動かすためのものだったのではないか?とオーロラは推測してしまう。

 

 

 サディア帝国とヴィシア聖座の関係は同じレッドアクシズとはいえ、セイレーン大戦中の確執や領土問題によってそこまで良好とは言えない。サディアの要請に即座に動く程の信頼関係はまだ構築されておらず、そこにクイーン・エリザベスは気が付いていた。この二つの国が組んでマルタ島を攻撃する可能性は低く、ウォースパイトを使者として送り込んでもヴィシアの名が挙がることは一度もなかった。

 

 

 仮に脱出の際にサディアがヴィシア艦隊にも動くように要求しても、ホットラインが未だに構築されていない以上、ヴィシア艦隊が夜間に動くにはどうしても時間はかかると女王陛下は予測しており、その考えは決して間違いではなかった。

 

 ヴィシアはレッドアクシズに加入はしているがそれはあくまで反ロイヤルの動きに同調したのと、上層部に存在する親鉄血の面々の働きかけによるもので、共通の敵に辛うじて団結しているが、決してヴィシアは鉄血・サディア艦隊と共同で作戦を行うための信頼関係は未だに構築できていなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 しかし、あの演説はヴィシアになんの要請もせずに、ただ状況の説明だけを行なっている。つまり借りなどをサディアは作らず、作らせず、ヴィシアに暗に伝えたのだ。

 

 

 

 

 

『ロイヤルが卑劣にも奇襲攻撃を仕掛けてきた。その報復措置としてサディア艦隊はロイヤル領マルタ島を今から全軍で攻撃する。我々は本気だ、マルタ島は恐らく陥落する。後はどうするのかはそちらの勝手にしろ』

 

 

 

 

 そして、夜間隣国からの大音量の通信によって、眠りを妨げられたジャン・バール率いるヴィシア聖座の面々は、総旗艦からの秘密のメッセージに気がつき、防衛すら捨て去り、トゥーロン海軍基地の全てのkansenと無人艦隊をサディア・ヴィシア領海の国境に移動させる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 世界で最もロイヤルを憎む国家であり、復讐に燃え、同時にロイヤルを警戒する国の動きはあまりにも早かった。ヴィシアを動かすためにヴェネトはサディアとヴィシアの友好関係ではなく、国防意識と反ロイヤルへの憎悪という感情を利用することに成功したのだ。

 

 

 マルタ島が陥落しなければヴィシア艦隊の面々が少し寝不足になるだけであり、もし陥落すれば間違いなくロイヤルはヴィシアの領海を夜間に無断で通って脱出に動くだろうと。その絶好の機会に、それを黙って通すほどにジャン・バールは優しくも、甘くもなかった。

 

 

 

「じゃっ、こっちの要求を伝えるねー、降伏するかここで死んで魚の餌になるか。3分以内に答えないと砲撃を再開するので! 』

 

「待ってください!私たちはここを通らせてもらえば敵対する意図はーー」

 

 

 オーロラの必死の願いは桃色の髪を伸ばし、ヴィシアと敵対する異端者を殺戮するための巨大な斧を片手にもった少女、軽巡ラ・ガリソニエールの空砲によって妨げられる。

 

 

『………言ったよね?選択肢は降伏か交戦かって。メルセルケビールでそっちがダンケルクやブルターニュにやったことを考えたら、あたし達かなり我慢してるんだよ?次、余計なことを言ったらその瞬間、総攻撃をしかけるよ?後方の皆さーん、機密書類なんかを処分した痕跡がみつかれば……わかってるよね、異端者の皆さん?それとも、もっと分かりやすくこう言った方がいいかな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーPerfide Albion(さっさとしないとぶち殺すぞ、この嘘つきライミー野郎)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背筋が凍りつくとはこのことだろう。彼女の言葉は広域通信によってロイヤルネイビーの耳に届いてしまう。ラ・ガリソニエールは決して怒鳴ることもなく、静かにロイヤルへの想いを口にする。その言葉の裏に凄まじいまでの殺意、憎悪、怒りが隠されており、レーダーに映る他のヴィシア艦隊の面々も親しく同じことを思っているだろうと。

 

 説得は不可能。ジブラルタルの面々がヴィシアに襲いかかると脅しても彼女達は笑顔で離脱艦隊の面々を魚の餌にするだけだ。例えオーロラ達が抵抗しようにも多勢に無勢。結局来年のこの地域の漁獲量を上げる結果にしかならないだろう。

 

 

 

『さぁ、あと2分。それ以上は待たないよ、こっちとしては問答無用で砲撃しないだけ紳士的だと思って欲しいって理解してね?さぁ返答は? 』

 

 

 考えろ、考えるんだとオーロラは必死に頭を動かす。前方のヴィシア艦隊を突破するのは到底不可能であり、ジブラルタルやアレクサンドリア基地の援軍は確実に間に合わない。

 

 自分達kansenであれば、この包囲網を一人なら突破してジブラルタルまで辿り着ける可能性はある。しかし、それは非武装の離脱艦隊の面々を見捨てると同義であり、できる筈もなかった。

 

『あと1分、全艦砲撃準備を通達っと』

 

『……降伏しよう』

 

 八方塞がりの状況で無情にも時間は過ぎていく、そして後方より国際チャンネルにて初老の男性の声が地中海に響き渡る。

 

 

「リスター少将!?」

 

『他に道は無いだろう。私はカニンガム中将に将兵の命は必ず守ると約束したのだから。悪いが付き合ってもらうぞ、女王陛下のkansenの諸君』

 

 

 悲鳴を上げながらオーロラは彼の名前を呼ぶも、リスター少将は疲れたように通信機を手に取る。最早皆が生き残る道は降伏しかなく、それがロイヤル本国にとってどれだけの損害を与えるのかを少将は理解しつつも、託された想い。そして若い水兵達の命をここで失う選択を選ぶことは出来なかったのだ。

 

『マルタ海軍基地副司令ラムリー・リスター少将だ。これより武装解除を行い投降させてもらう。だが、その前に一つ。将兵の命の安全は保障していただきたい。君達がメルセルケビール海戦の件で我が軍を憎んでいるのはこちらとしても理解している。が、だからこそだ。兵士の安全を口約束でも保証して貰わなければ投降はできないのでね』

 

 

『ふーん……だってさ、どうする?ジャン・バール? 』

 

 

 リスター少将の要請を聞き、つまらなさそうにラ・ガリソニエールがそう呟くと戦場はしばらく無言と緊張に包まれる。そしてしばしの時を経て後方より一人の女性の声が届く。

 

 

『オレ達、ヴィシア聖座をお前たちと一緒にするな。ロイヤルなら兎も角、捕虜虐待を本気でオレ達が行うと思っているのか?』

 

「……了解した。貴官の慈悲にロイヤルネイビーを代表して感謝をーー」

 

『うるさい、黙れ。主砲の中に頭を詰め込まれたいのか?お前達のロイヤルの世辞なんて何の価値もなく不快だ。もう、お前たちは喋るな。さっさと武装解除して黙ってついてこい』

 

 舌打ちと共にジャン・バールは通信を切る。無礼であることは百も承知とはいえジャン・バールはロイヤルに礼を見出す価値は最早存在しないと断言しており、ラ・ガリソニエール達に命じて武装解除したロイヤルの捕虜達をトゥーロン基地に連行していく。

 

 これでメルセルケビールから始まったロイヤルへの鬱憤は少しは晴れたが、彼女の気分は最悪に近かった。

 

 これから彼女はメルセルケビールによって怒りに燃えるヴィシア国民、軍人によってロイヤルの捕虜達が虐待されないように目を光らせなければならない。更に捕虜を収容する場所の管理やそのための書類などの作成を考えれば、一日二日の徹夜では済まないだろう。

 

 アイリス教国は宗教を重視した国家であり、その政治はトップである教皇が命じた枢機卿によって司法、立法、行政の全てが統括される。しかし、枢機卿でありジャン・バールの姉であるリシュリューがロイヤルに亡命した以上、ジャン・バールは姉に代わって凄まじいまでの激務に追われていたのだ。

 

 そして、その激務に疲れてようやくベッドで安眠に包まれたかと思えば、耳元から聞こえるのは隣国からの広域通信。彼女からすれば睡眠という唯一の安息の時間を耳元で叫ばれて台無しにされた挙句、大嫌いなロイヤルの面々の対処までサディアに押し付けられたといえるだろう。

 

 国益と防衛の観点からすれば最上の結果、とはいえ個人としてはあの演説に隠された意図に気づいてしまった自分の頭をぶん殴りたい。次に安眠ができるのはいつの日だろうかとジャン・バールは再び舌打ちを繰り返す。

 

 彼女が大嫌いな人物ランキング1位はクイーン・エリザベス、2位がリシュリューであったが今この瞬間だけは、ヴィットリオ・ヴェネトがクイーン・エリザベスよりも嫌いだと断言できるのだった。

 

 

「あのビスマルクにヴェネトの馬鹿め……面倒事に巻き込みやがって……! 」

 

「ふふっ、でも総旗艦には感謝しないといけないわね。その内会談の要請もあるだろうからその準備も進めておくわ」

 

 

 舌打ちをするジャン・バールにメルセルケビールより生還を果たしたダンケルクが苦笑する。そんな二人を眺める一人の少女は不思議そうな表情を浮かべているのだった。

 

 こうしてロイヤルネイビーは降伏を選択し、マルタ海軍基地に所属していた将兵達は全てヴィシア聖座の捕虜となる。

 

 総旗艦ヴェネトの演説がヴィシア聖座を動かし、結果としてはレッドアクシズに所属する主要三ヶ国すべてにおける共同戦線となってしまった『イオニア海海戦』は、ロイヤルネイビー最悪の一日としてその歴史に不名誉な足跡を残すことが確定してしまったのだ。

 

 長きに渡る演目はいよいよ終わりに近づこうとしているのだった。

 

 

 

 




 マルタ島
 活動報告にてマルタ島に関する情報を追記、なぜロイヤルやサディアはここまでマルタ島を重視するのか。そしてマルタ島を巡る動きについてもし宜しければご覧くださいませ。



 ラ・ガリソニエール

 ヴィシア聖座に所属する異端審問官の役割を担う軽巡洋艦kansen。その役目は自国の宗教や教皇に仇をなす異端者、セイレーン、裏切り者の処刑であり、彼女が身につけている斧は現実世界においても処刑で多く利用された専用の斧がモチーフとなっている。(有名作品であればゲーム、スカイリム冒頭の処刑シーンの斧は彼女の斧の元ネタと言えるでしょう)

 詳細は今後のネタバレとなってしまう為に詳しくは書けませんが、ラ・ガリソニエールという少女は戦闘狂であっても狂戦士ではなく、ヴィシア聖座。ひいてはアズールレーンというゲーム内に存在する人々の中でも、上位に位置するといっても過言ではないほどの良識人である可能性があります。

・メルセルケビールからまだ日も浅くロイヤルへの憎悪が国全体に広まっている。
・ゲーム内で行われたイラストリアスの謝罪などは時系列の上ではまだ。
・ヴェネトの演説が誇張されてる可能性もあるとはいえ、ロイヤルは隣国に理不尽かつ卑劣な攻撃をヴィシアにやったように仕掛けていた。
・その上でロイヤルネイビーが夜間にヴィシアの領海を土足で入り込み、オーロラはただ通りたいだけと発言。

 そんな彼女だからこそ、ここまでの状況でラ・ガリソニエールは「極めて真面目かつ穏便な」対応となっており、もし彼女以外の護教騎士であれば更に苛烈な対応になっていてもおかしくはありませんでした。


 『ーーPerfide Albion(さっさとしないとぶち殺すぞ、この嘘つきライミー野郎)』

 古くから現実世界でも伝わるイギリス及びそれに類する国を罵倒する言葉。意味は不誠実なイギリス、不義理なイギリスと言う意味なのですが実際の所日本語で訳すのならば「このブリカス野郎」が最も合ってると思われます(作者及びGMに反ロイヤルの思想は全くありません、ただ作劇の上でこうなってしまい、実際にその様な意図としてこの言葉は使われていたそうな)

 第二次世界大戦、ドイツに降伏したヴィシー・フランスはメルセルケビール海戦以後この言葉を繰り返しながらイギリスへの怒りを示して、対独協力を行なっていたらしく、本作のヴィシア聖座もレッドアクシズの理念に賛同したからではなく、あくまで上層部は親鉄血とはいえ反ロイヤルを唱える為にレッドアクシズに所属していたという解釈に。

 図らずもヴェネトの策略によって史実には存在しなかったサディア・鉄血との共同戦線を行う事になったヴィシア海軍。ジャン・バールの舌打ちが響き渡る中、ヴィシア聖座も戦いに巻き込まれていくのでした。

指揮官の後世の評価はどうなる?

  • 戦争を終わらせた立役者
  • サディアを救った救国の英雄
  • ロイヤル最大の敵
  • 女の子に手を出しまくりの色を好む英雄
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