人類種の敵セイレーン。その人型個体について知られていることは実は殆どなく、正体不明の存在として認識されている。ただ分かっていることと言えば、彼らは一時は人類の制海権の9割を奪う程の巨大な組織、もしくは組織的行動を行なっている集団の一員であり、人類の生存圏を脅かしている存在ということだけだ。
ピュリファイアーはそんな人型セイレーンの一体であり、記録によれば鉄血近海も含めた世界中でその姿は目撃されている。同一個体であるのか、複数個体であるのかは未だに不明ではあるがコミュニケーション能力は存在しており、数名のkansenや指揮官に話しかける事例も存在していた。しかし、言葉は通じても話は通じず、彼女が人類種の敵の一員である事実は変わらないのだろう。
現在の科学技術では製造が極めて難しい光学兵器や、空母kansenが現れる前から航空兵器を初期から使用していたなど彼女の戦闘能力は相当なものだ。しかし、先人たちはピュリファイアーの撃退に何度か成功している。
そう。航空兵力もなく、技術力も拙く、戦術なども構築されていなかった過去の闘いにおいても数で押し込み、飽和攻撃を行い、時に捨て身の近接攻撃を行うことで先人たちは必死になって撃破に成功している。そのことは俺に確かな勇気を与えていた。
鉄血は昔とは違う。セイレーンから奪った科学技術で生体艤装を製造し、航空兵力や磁気魚雷といった新兵器、個人においてもkansenたちの個々の能力は確実に上昇している。鉄血はセイレーンに立ち向かうために牙を研ぎ続けていたのだ。
相手は幽霊や無敵の怪物ではなく確実に殺せる存在である。ならば、歴戦のヒッパーたちであれば、俺が間違うことさえなければ必ず勝てるはずだ。一刻も早くピュリファイアーを撃破して逃亡したスパイを拘束するために、俺たちは戦いを開始した。
ただ……どんな形であれ交渉相手であったピュリファイアーと戦うことを。もう二度と彼女が好きだった焼き菓子を贈ることもできないと考えてしまうと、少しだけ寂しく思う自分もそこにいるのであった。
白い霧が全てを包み込むように辺りに立ち込める戦場にて、ピュリファイアーはシュモクサメを模した黒い艤装に跨り海上を滑り、ハイテンションに辺り一面を砲撃する。もはや狙いを定めるとかそういう次元ではない。
「あははっ!!やっぱり楽しいなぁ!!私は観察よりこっちの方が向いてるからね!死にたくなけりゃ避けなよ!さっさと終わると面白くないからねェ!!!」
まるで、無秩序な破壊を楽しむかのように、彼女は笑いながら主砲と副砲を撃ち続ける。それは彼女にとっては遊びのようなものなのだろう。彼女は無邪気な子供のような笑顔で無差別に砲撃を敢行する。
しかし、その光景は傍目から見れば脅威以外の何物でもない。シュペーとヒッパーは必死でその攻撃を避け、俺は操舵の指示を出しながら少しでも2人のサポートを行うべく、慣れない指揮を行なっていた。複数の敵を相手にしたら指揮は難しくとも、たった一体の相手なら!!
「あははッ!ねぇ?なんで逃げるの?何でなの?あんなにさっきは威勢のいいこと言ってた癖に逃げ回るなんて、臆病風に吹かれたわけ?」
ピュリファイアーの挑発にも似た言葉を聞きながらも俺は冷静さを保とうとしていた。ここで怒ってしまえば相手の思うつぼだろう。だからといって黙っていればいずれこちらが不利になるだけだ。かといって下手に出れば良いという訳ではない。今は耐えろ、シュペーとヒッパーの2人では素早く動くピュリファイアーを撃破するのは難しい。既にグラーフに援軍は要請した、後はグローセさんが包囲網に穴を開け、グラーフがここまで来てくれれば航空機によってピュリファイアーが相手でも数の有利が取れるはずだ。
ランチェスターの法則により、1対多の状況下なら相手が優秀な個体であっても数的優位さえあれば戦力差を覆すことができるはず。だからこそ、増援が来るまで時間を稼ぐ必要があるんだ。
しかし……ピュリファイアーは相変わらず不気味だ。あれだけの砲撃をしているのにも関わらず、息切れ一つ起こさず、それどころかまだまだ余裕があるようにも見える。一分一秒が長く感じる中、その予感は悪い方向で的中した。
「つまんなーい!!ならとっておき!」
ピュリファイアーがパチンと手で合図をすれば、彼女の巨大な艤装から二つの飛翔体が現れる。それはピュリファイアーの周りに忠実に付き従い、ピリピリと独特の音を立てて周囲を旋回した後、次の瞬間こちらに向かって突撃する。
「シュペー!ヒッパー!あれはピュリファイアーの子機だ!母機から分離して遠隔操作で飛び回って撃ちまくってくるぞ!」
「よく知ってるわね!じゃあ対策は!?」
ヒッパーが怒鳴るように通信を送るも、俺は冷や汗をかきながら返答する。
「子機自体も硬いが撃破可能だ!でも狙いにくいからグラーフが援軍に来るまでは気合いで避け続けろ!!」
「はぁ!?それ対策になってないわよ!?仕方ないわねぇ!!」
ヒッパーは舌打ちをしながら飛び回るピュリファイアーの子機を避け続ける。シュペーの方も話す余裕はないのか時折子機を狙おうとするも、狙いをつけている間別の子機に攻撃されて回避に移るしかないという悪循環に陥っている。俺の指揮艦?もうシールドの耐久3割くらい吹き飛んだよバーカ!!
「それじゃあ最初の獲物はお前だよ!死ねぇ!」
「っ…さすが人型…!」
「ヒッパー!右から砲撃だ!シールド展開いそげ!」
狂気の笑みを浮かべながらピュリファイアーは子機で牽制してヒッパーの動きを止めると、四発の主砲を一斉に発射する。その瞬間、ヒッパーは自身のスキルによって青色のシールドを空中に形成し防御を試みるが、その威力は凄まじく一瞬でシールドは破られてしまい、ヒッパーに吸い込まれるように主砲の一撃は命中する。
「ったぁ…!」
四発の砲撃の内の一発が彼女に命中し、ヒッパーの悲鳴が耳元に届く。どうにか生きてはいるがレーダーの上では一撃でヒッパーが中破判定になったことが示された。
クソっ!!シールドじゃなくて回避を指示していれば!!と罪悪感と悔しさ、何よりヒッパーが傷ついたことに吐き気がこみ上げてくる。
しかし、そんな感情を押し殺して俺は声を出す。
まだだ、まだ終わらない。ピュリファイアーの奴はまだ本領を発揮していない。そう自分に言い聞かせながら俺は操舵と指揮を続ける。するとまるでタイミングを見計らっていたかのように何かがピュリファイアーの後方より接近する。
「よくも、ヒッパーちゃんを……!」
それはシュペーだ。普段は物静かな彼女も仲間を傷つけられたことに怒りを覚えている様子で、ピュリファイアーすら反応する前に至近距離に近づくと迷わずに主砲を発射する。
轟音。彼女の放った一撃はピュリファイアーの艤装の装甲を削り、その一部を剥ぎ取る。だが至近距離からの砲撃でも小破認定されていない辺りピュリファイアーの装甲はこちらとは比べ物にならない強度なんだろう。
「おっと!やるねぇ!でもまだお楽しみはこれからだよ!」
「にがさ、ない…!」
元気いっぱいに煽るように叫ぶピュリファイアーにシュペーは追撃の一撃を放つ。破損したために立て直そうとするピュリファイアーを逃さないと言わんばかりに、獲物を追い立てるようにシュペーは主砲を連射する。
しかし、ピュリファイアーもただやられるわけもなく、自身の周囲に浮遊していた子機の一つを呼び戻し盾にする。
そして次の瞬間、シュペーが放った主砲が直撃した子機は爆発を起こし、シュペーはその衝撃に弾き飛ばされて体勢を大きく崩す。それを見たピュリファイアーは感心した様子でシュペーに賛辞を送る。
「いいね!でもまだまだ甘いよ!」
「っ!」
しかし、ピュリファイアーは褒めながらも容赦なく主砲を放ち、彼女は必死にその一撃を回避する。二つある子機の内の一つを撃破し、少しは弾幕の嵐もマシになったがこのままではジリ貧だろう。
「それじゃこっちもお返──」
ピュリファイアーがシュペーに反撃の砲撃を行おうとした途端、上空より複数の爆撃機が飛来してくる。悪魔のサイレンと称された独特の音を鳴らすJu-87Cスツーカ爆撃機からばら撒かれた攻撃はピュリファイアーに命中し、ようやくピュリファイアーは小破判定となっていた。
「待たせたな皆。これより戦線に復帰する」
「遅いわよグラーフ!大丈夫なの!?」
「少し命中弾を貰ったが戦闘には支障はないさ」
セイレーンの包囲網を突破して後方から飛び出してきたグラーフは既に小破判定となっており、無茶をしたというのは本当のようだ。しかしその瞳に諦めの文字は無く、ギラギラと燃える炎を宿している。
その姿に安心したのかヒッパーは小さく息を吐くと表情を引き締める。
「頼りにしてる。任せるぞグラーフ」
「任せるが良い。ふふっ卿も凛々しい顔になったな」
これで鉄血艦隊は全艦揃った。ピュリファイアーの子機相手ならば数的有利は取れた。ここから一気に攻勢に移れるはずだ。
そう思っていた時だった、ピュリファイアーは艤装から複数のセイレーン空母も使用する黒い艦載機を発艦させる。
「相手が艦載機を使うなら、こっちも使っちゃおっかなぁ!でないとズルになるからね!これでイーブンだ!」
ピュリファイアーの艦載機は機銃で上空のスツーカを撃墜しながらこちらへと向かってくる。それに対して、俺は即座に声を上げる。
「対空射撃用意!狙いは敵艦載機のみだ!撃て!!」
「了解!」
俺の声に応えてヒッパーとシュペーが副砲と対空砲を発射する。それと同時にピュリファイアーの放った艦載機を撃墜していく。イラストリアスとの戦いで空母との戦い方は学んでいる。敵が艦載機を放ったのなら、こっちはひたすら防御して敵の艦載機が尽きるまで無理に攻撃せずに迎撃をすればいい。逃亡するロイヤルのスパイは友軍に任せよう、さっさと降伏しろよなあのスパイコンビ!?
上空では熾烈な艦載機同士の戦いが繰り広げられている。しかし数が多いのは向こうで、質も相手の方が良いのかこちらは徐々に押され始めている。
だが、それでも負ける気はしない。
ピュリファイアーの攻撃がこちらに届く前に撃ち落とす。それができないなら被害を最小限に抑えながら逃げる。この二つの選択肢さえ選べば負けることは無い。そして、グラーフがやってきた以上、俺にはこうすることが一番だと、足止めをしながらチクチクとダメージを蓄積させていくしかない。
「切り札っていうのは……最後の最後まで取っておくもんなのさぁ!」
戦場が思い通りにならないピュリファイアーは狂気的な笑みの裏に苛立ちを隠さずに、シュモクサメ型の艤装をゲシっと八つ当たりのように蹴りつける。するとサメの口に当たる部分にはピンク色の粒子が少しずつ蓄積していき……あれ、絶対ビームだよなぁ!?相手は本気でこちらを潰すつもりなのか、過去の戦いの記録にもある極太のビームを発射するべくチャージを始める。
「ヤバい、逃げろ皆!!回避だ!急げぇえ!!」
「バカ!もう間に合わないわよ!全員衝撃に備えて!」
流石にこんなものを喰らうわけにもいかないので、全員が全力でその場から離れようとする。
その時だった。グラーフがニヤリと猛禽類のような笑みを浮かべると、一機の艦載機が突然ピュリファイアーの目の前に現れる。それは本来ロイヤルのスパイを監視するためにグラーフが初期に放った偵察機だった。
今の今まで、俺の頭の中からも忘れ去られていた偵察機はグラーフの指示の元でピュリファイアーの艦載機の迎撃を紙一重で避け続け、チャージ中のシュモクサメ型の艤装に突っ込んでいく。
「えっ」
「イラストリアスの時と同じだ。自身が勝利を確信した瞬間こそ、最も隙が多くなる。砲撃前、発艦前、そしてチャージ中とて同じこと……チャージなどさせるものか」
その言葉と同時にシュモクザメの口から放たれようとしていた極太のビームは航空機に命中して爆発を起こす。
ピュリファイアーが驚いている隙に、グラーフは更に上空から爆撃機による急降下爆撃を行い、ピュリファイアーは爆炎に包まれる。
「よし、総攻撃だ!火力を束ねて集中砲火を浴びせろ!ピュリファイアーを仕留めるまで徹底的にやれ!」
「了解!」
ヒッパーたちの一斉砲撃によって敵は爆炎に包まれる。生体艤装は興奮のあまり唸り声を上げているが、俺は構わず指示を出す。彼女の周囲の霧が晴れ、やったか?と死亡フラグ満載の台詞を吐こうとするが、案の定人型セイレーンはしぶとかった。
「チャージなんてさせないか……なら、チャージなんてするものかよおぉぉぉ!!!」
「…っ!?…グラーフさん危ない!」
その瞬間爆炎から一筋の光線が放たれる。ピンク色の熱量を持った光線は回避行動を取るグラーフの艤装を擦り、一気に中破判定にもっていく。もしシュペーが気が付かなければそのまま直撃していただろう。
「はぁ…全く!こっちは縛りプレイで護衛呼んでないのに、数で囲んで1人を叩くだなんて正義の味方とは思えないよ!」
ピュリファイアーの表情は狂気のような笑みと同時に怒りに満ち溢れていた。恐らくこちらの一斉攻撃の直前にシールドを張ったんだろう、崩壊寸前のひび割れたシールドに覆われた彼女の艤装は所々ひび割れており、シュモクサメの口のようなビーム砲口はショートしているのかバチバチと火花が散っている。
だが、それだけだ。武装の一部を破壊したものの、鉄血艦隊のエリートとも言える皆の攻撃を受けて、未だに中破判定にもいっていないであろう事実に背筋が寒くなる。
「色だけじゃなくて、生命力までゴキブリじみてるわねあいつ…!」
「おいそこ聞こえてるよ!!人をゴキブリ呼ばわりするなんて殺すぞ!!」
ヒッパーは吐き捨てるように言うと主砲を構え直す。今やピュリファイアーは傷だらけで頭からは黄色い血が流れているが、こちらの猛攻を凌ぎ切ったという自信があるのか、相変わらずの狂気的な笑みを浮かべながらこちらを見据えてくる。
このままでは負けはしないがジリ貧だ。それにさっきの縛りプレイ発言を聞く限り、恐らく相手は本気をまだ出していない。もし気が変わって量産型のセイレーンを呼びだし、こちらを包囲すれば一気にこっちが不利になる。
だが……ここで待ち望んでいた通信がこちらに届く。
「了解……ヒッパー、シュペー!魚雷を一斉射!グラーフはピュリファイアーが空に逃げないように牽制を!派手にぶちかましてやれ!そして、バルト海を思い出すんだ!」
まさに絶体絶命のピンチに他ならない状況だというのに、シュペーたちは「バルト海」の一言を聞いた途端、その意図を理解したのかニヤリと笑みを浮かべる。
そうだ……あの時も同じだったな。
「オラっ!よそ見してる暇は無いんじゃないかな!?」
ピュリファイアーはこちらの発言を無視して主砲をこちらに向けて無差別に砲撃するが、ヒッパーたちは回避行動を取りつつ魚雷の発射準備に入る。グラーフの爆撃機も編隊を組み、空に逃れようとするピュリファイアーを押し止める。
「指揮官、いつでも!」
「ぶちかませ!」
その言葉と同時に一斉に放たれた大量の魚雷は、まるで一本の巨大な槍のようにピュリファイアーへと襲いかかる。流石にこの量は予想外だったのか、ピュリファイアーは慌てて回避行動を取るが……
「新調品の磁気魚雷よ!さっさとくたばれってのセイレーン!」
ヒッパーが放った魚雷の中には追尾可能な磁気魚雷もあり、逃げ道を塞ぐように迫る魚雷から逃げるのは不可能と判断したのかピュリファイアーは防御態勢を取った。その直後、巨大な水柱が上がる。
「アハハハッ!!やるねぇ!だけどこっからが本番だよ!」
……不意打ちで磁気魚雷が直撃して中破しても相手は元気いっぱいである。憎たらしい程の微笑みはいっそ愛嬌すら感じるが、同時に俺たちからしたら不気味でしかない。シュペーたちの一斉攻撃でも仕留められないとは化け物かこいつは? だが、これでいい。今の一撃はただの時間稼ぎに過ぎないのだ。
そして、その時がついに来た。
「本番?いいえ、違うわ。ここが貴方の終焉の地よ」
…… その時、上空から何かが飛来する。そして次の瞬間、凄まじい轟音と共にピュリファイアーの右半身は血飛沫を上げて吹き飛び、ガァ!?と声にならない悲鳴が喉元から空気のように漏れる。
「お、お前……!?」
「鉄血の特別計画艦、フリードリヒ・デア・グローセ。もっとも、今からヴァルハラに旅立つ貴方に名乗っても無意味でしょうけど」
それはまさに一瞬の出来事であった。彼女が放った徹甲弾は、こちらの攻撃を物ともしない圧倒的な防御装甲を持つピュリファイアーの専用の艤装の右半分を一撃で抉り取り、同時に彼女の身体すらもその余波で引きちぎったのだ。海はセイレーンの黄色い血に染まり、同時に俺の胃袋から吐き気が込み上げる。
「鉄血にとって最も許されないことは、同胞を傷付けるということ。貴方は大切なボウヤたちを傷つけた、多くのセイレーンをばら撒いて国土を犯そうとした。だから私は貴方を殺すわ。何度でも、そう……貴方の心がへし折れるまで」
戦艦とは思えない程の速度で一気にこちらに合流したグローセさんは目を瞑りながら歌うように話す。どこまでも優しく、どこまでも慈悲深いその美声は聖母のような安心感を与えるが、その圧倒的な力でピュリファイアーすらも蹂躙しようとする暴力性は正に闇の聖母といったところだろうか?
「私のことは何とでも呼べばいいわ。これより貴方たちの艦隊を援護します」
「感謝します……それと色々すいませんでした、グローセさん。このお詫びはまた後日」
「ふふっ、礼儀正しいボウヤね。私としてはこのまま貴方を抱きしめて口づけの一つでもしたい気分だけど、今は我慢しておくわ。それに……ほら」
そう言って彼女はピュリファイアーの方を見据える。そこにはあの余裕たっぷりだった表情からは想像できない程に怒りに歪む彼女の顔があった。
「まさかあんなに速く量産機を蹴散らすなんてなんてね……この落とし前は高くつくぞゴラぁ!!!」
「油断大敵よ?ピュリファイヤー?」
その瞬間、チンピラのような怒声と共にピュリファイアーは自身の専用艤装の一部である大型砲塔をグローセさんの方に放つ。しかし、その砲弾は全て彼女に着弾する前に空中分解を起こしてしまう。
「対空砲にはこんな使い方もあるのよ?ボウヤたちもよく覚えておきなさい?」
まるで幼児に接するように俺たちにグローセさんは語りかけるが、対空砲で敵の砲弾を迎撃するなんて真似、普通はできないだろう。
俺達が行っていた海戦を戦いと言うのなら、グローセさんとピュリファイアーの戦う姿は正に蹂躙、圧倒と呼ぶに相応しいものであった。ピュリファイア―の砲撃は悉く命中することなく、ならばと命中重視のピュリファイアーの副砲や高角砲が放たれれば、グローセさんの対空砲が空中でその全てを粉砕した。
時折ピュリファイアーも迎撃不可能なビームを乱射することで反撃を試みるが、そもそもまともに当てることすらできず、ただいたずらにピュリファイアーの傷は増えていく。
「凄い……」
シュペーは呟く。俺達は戦闘に参加することもせず、ただ美しいまでに。そして恐ろしいまでの力の差を見せつけるグローセさんの戦いに見入っていた。
「死ねよオラァ!!」
再び放たれたグローセさんの砲撃を気合いで回避したピュリファイアーは左手だけで半壊した艤装を操舵しながら、距離を詰める。正に執念、だがそんなピュリファイアーに対してグローセさんは優雅な笑みを浮かべたまま、何時の間にか取り出したタクトを構えると、ピュリファイアーの眼前にそれを突き付けた。
「終わりよ」
音楽の指揮者のようにタクトを振るうとピュリファイアーの艤装から何かが剥がれ落ちる。同時にバキン!!っと音を立ててその艤装は砕け散り、破片の一つがピュリファイアーの身体を切り裂いた。
「あ……!?」
それはグローセさんの副砲だ。同時に遅れて音が響き渡る。副砲のあまりの攻撃速度に音が遅れてきたのだ。
一瞬の出来事であった。グローセさんはタクトを振り下ろしたと同時にピュリファイアーの背後に回りこみ、背後からその艤装を破壊したのだ。
それは正しく芸術的な一撃。それと同時にピュリファイアーの身体は血を噴き出しながら空を舞う。
(あーあ……楽しかったけどここまでみたいだね?じゃあね鉄血の指揮官クン)
「Sinfonie Nr. 9…合唱せよ!」
割り込めないはずの通信、いや俺の脳裏に直接ピュリファイアーの声が響き渡る中、グローセさんは必殺の弾幕を放つ。破壊の奔流はピュリファイアーを飲み込み、細胞の一つすら残さず吹き飛ばすのであった。
「終わった…のか?」
戦闘、いや一方的な虐殺が終了し思わず息を吐く。正直言って俺たちの出る幕が無かった。
「えぇ、これでピュリファイアーの戦力は大幅にダウンしたわ。後は残りの量産型セイレーンの始末、そして逃げ出した『所属不明のスパイ』の撃破なのだけど…」
そう言ってグローセさんはこちらに向き直る。先ほどまでピュリファイアーと激闘を繰り広げていたとは思えない程に柔和な表情を浮かべるも、霧が晴れた後も戦いの痕跡は硝煙と火薬の匂いと共に残っていた。そして、ピュリファイアーの右腕も、主を失った後も海面に漂い続けていた。
「シュペー。悪いけど浮かんでるピュリファイアーの右腕を回収してくれ。貴重なサンプルだ」
「うん、了解」
人型個体のセイレーンは完全に撃破すると不思議とその痕跡も残さない程に分子レベルに消滅すると判明しているが、ピュリファイアーが死ぬ前に千切れた腕は例外なのかそのまま残っていた。シュペーにそんなことを命令するのは罪悪感を感じるが、彼女は嫌な顔を一つもせずにピュリファイアーの右腕を掴み取る。
……初めて、人を殺した。正確にはピュリファイアーは人類の敵であり、人語を話すだけの知性を持たない機械人形に過ぎないが、それでも俺は彼女を殺めたことに変わりはない。
殺した時の衝撃は、覚悟していたとはいえ想像以上だった。
ピュリファイアーにヒッパーたちを殺されかけた時、あの時は恐怖もあったがそれ以上に殺意が沸き上がった。過去にセイレーンが行った非道の数々に怒りも感じている。
しかし、実際にピュリファイアーは俺たちの艦隊と交渉を行い、ときに焼き菓子のプレゼントをしていた訳で……例えピュリファイアーが復活する可能性が高いとしても、それは果たして俺たちが話し合ったことのあるピュリファイアーなんだろうか?そう考えれば思わず吐き気が込み上げてくるが、サディア戦の時とは違い今度は吐瀉物を撒き散らす前に飲み込むことに成功する。
「さて……私も皆の援護に行きたいところだけど、ボウヤ?お願いがあるの。今は大人しくビスマルクが次の指示を出すまで待機していなさい。いいわね?」
「……了解です」
俺は、結果的には彼女の攻撃を妨害してスパイ2人を拘束しようと無線まで切って邪魔をしたのだ。それにセイレーンを優先してスパイ2人の逃亡を許してしまった。シュペー曰く、今は足の速い駆逐艦たちが追撃しているそうだが、果たしてどんな結果に終わるのやら。
命令ではなく、グローセさんはお願いという形で話しかけてきた。それはきっと彼女なりの気遣いだろう。しかし、それはつまり次に勝手な行動をとれば許さないという意思表示と同じだろう。心配そうに視線を向けるシュペーたちに申し訳なさを感じつつ、俺はグローセさんに監視されながら、スパイ2人の降伏を願い、運命の時を待つのであった。
バルト海のレス島付近にて、奇しくもかつてヘルブスト指揮官たちとヴァリアントたちが交戦した海域にて戦いはまだまだ続いていた。
「逃がさないで!!」
「装填完了!いくよ!」
「魚雷発射!」
幼い声が、中には舌足らずな声も入り混じった鉄血の駆逐kansenたちは次々と目標に群がり、その手やその腰に身につけた小型な艦砲を使って目標に次々と打撃を与える。円の動きで追い込み、ノロノロとした動きで前進するロイヤルの軽巡2人へと波状攻撃を仕掛けるその姿は、手負いの草食獣に群がる狼の群れを感じさせられた。
彼女たちはその任務を果たすべく、相手を休ませないように攻撃をし続ける。その多くが小学生女児を思わせる幼い彼女たちであっても躊躇いはその目には見えず、その表情は真剣そのもの。それこそ獲物を狙う肉食動物のようですらあった。鉄血では潜水艦艦隊を群狼と名づけることもあるが、それは駆逐艦たちも変わらない。狼は決して傷つけられた仲間を見捨てない。狼は献身的であり、そして決して諦めることは無い。
「はぁ…はぁ…しつこいですよ…!」
「っ……流石にキツくなってきましたね…」
既にボロ雑巾のようになったスパイの2人。ロイヤルの軽巡シェフィールドとエディンバラは逃走を図ろうとするも、周囲を取り囲むように陣形を組んだ駆逐艦たちの猛攻に成す術もない。
グローセの弾幕によってエディンバラは駆動系にダメージを与えられてその動きは鈍くなり、シェフィールドは煙幕装置が壊れている。それでもまだ2人が生き残っているのは武装の多くを捨てて回避に専念しているためなのか、ロイヤルメイドとしての意地なのか。はたまた目の前にスカゲラック海峡が、あと少しで中立海域に逃げ延びることができるための最後の足掻きなのかもしれない。
「…エディンバラ。そのアタッシュケースを持って急いで逃亡してください。私が殿になります」
「シェフィ!?何言ってるの!?」
「今議論してる場合ですか!?ここで私たちが捕まれば女王陛下に何も伝えられない。情報は全て無駄になるんですよ!」
専用の拳銃を構えて最後の突撃を図るシェフィールドは、エディンバラに怒鳴りながら最後の魚雷を片手に自爆攻撃を図ろうとする。彼女たちは未だに自分たちが何をしてしまったのか理解していない。
目の前の鉄血艦隊は、自分たちが鉄血軍人に発砲したからこそ激怒していることは何となく理解しているが、まさかその相手がイオニア海海戦の英雄であり、ロイヤルの怨敵でもあるヴァイスクレー・ヘルブストであると知る由もなかった。
だがシェフィールドは悔やむ。この事態を招いたのは間違いなく自分のせいなのだから。確かにロイヤルも末端とはいえロイヤルの憲兵を傷つけられば間違いなくクイーン・エリザベスは報復のために艦隊を動かすだろう。しかし、鉄血のそれは最早次元が違う。まさかキール全ての海軍を動かし、自分たちを潰そうとするだなんて、シェフィールドは予想すらしていなかったのだ。
鉄血海軍の行動は正に別の世界で行われたフッド卿を目の前で殺される。或いは瀕死の重症に追い詰められ、ロイヤルのkansen全てがたった一人を仕留めるために動いた『ビスマルク追撃戦』に匹敵するか、それ以上の執念と言えるだろう。それがまさかビスマルクの命令によってロイヤルを追い詰めるために行われているのだから、もし戦場を観察する傍観者(オブザーバー)がいるのなら、きっと興味深い目で見つめていただろう。
(鉄血は先程の言動からセイレーンと繋がってる可能性もあり、なによりそのアタッシュケースには……ここが命の使い所、ですね)
シェフィールドは故郷の姉妹に、友人たちに、そして女王陛下に内心謝罪する。しかし彼女は何としてもエディンバラだけは本国に帰還させようと決意していた。例え自分が犠牲になろうとも、シェフィールドにとってそれは使命にも近かった。
「いい加減にしなさい!!これは命令です、早く行きなさい!!」
「……嫌よ!そんなことできる訳ないじゃ──」
その一瞬の議論の隙が命取りだった。鉄血の駆逐艦たちは一斉に魚雷を発射する。その多くは外れてしまうも、一発の磁気魚雷がエディンバラに直撃……寸前に舌打ちと共にシェフィールドが盾になり、そのまま海面を何度も跳ねながら彼女は遥か彼方へと吹き飛ばされていく。
「シェフィぃ!?」
エディンバラは悲鳴をあげるも、その声はもう届かない。そして彼女の姿を見た駆逐艦たちは一瞬動きを止めるが、もう一人のターゲットを仕留めるために再び行動を再開する。
「っ……どうして……なんでこんな…!酷いことを…!」
「正気ですか貴女は!?」
絶望するエディンバラに向かって駆逐艦の一人が信じられないと言わんばかりに激怒した様子で叫び、意識を失い海面に浮かぶシェフィールドに止めを刺すべく冷徹に向かっていく。Z級駆逐艦の中でも特に真面目である彼女は一連のロイヤルの凶行にもっとも義憤にかられており、何よりも姉妹たちにその手を汚させまいと覚悟を決めて、シェフィールドに向かって主砲の狙いを定める。
「貴女たちは私たちにとって最もしてはならない禁忌を……鉄血の仲間を、同胞を傷つけ、更にセイレーンまで利用して逃げようとしました。それを私は許せません……!恨むなら幾らでも恨んでくれて結構です!ここで沈んでください!」
紫色の瞳で睨みつける彼女は一切の躊躇いもなくその主砲をシェフィールドに向ける。エディンバラは叫ぼうにも、助けようにもZ級駆逐艦たちが邪魔で何もできない。最早一刻の猶予もないだろう。
ある意味エディンバラにとっては最後の分岐点と言えるこの状況。全てを明かして降伏するか、それともここで二人まとめて海の藻屑になるか。ここで降伏してしまえば、激怒した鉄血は自分たちに何をするのか分かったものではない。そのアタッシュケースの中身を知れば更に鉄血の怒りは増すだろう。だがこのままでは二人とも死ぬことになる。
(ごめんなさいシェフィ…ごめんなさい陛下…ごめんなさいベル…!)
エディンバラの人生にとって最も長い10秒間の迷い。そして、彼女は全てを諦めたように両手を上に挙げると悔しそうに呟いた。
「……降伏します……」
「え?」
予想外の言葉に思わず駆逐艦たちの動きが止まる。エディンバラが次の言葉を紡ぐ前に、表情を一瞬で消した先程の駆逐艦が拳を握りしめながら口を開く。
「所属を…貴女の名前と所属を言いなさい!!今すぐに!!」
「えっ…それは」
「早く!」
「ロ、ロイヤルネイビー!軽巡エディンバラ級一番艦エディンバラ!及び、サウサンプトン級軽巡五番艦シェフィールド!お互いロイヤルメイドの一員です!」
慌てるようにエディンバラが答えると、紫色の瞳をした金髪の少女は返答する。
「……降伏を受諾します。今の言葉、忘れないでくださいね。貴女はロイヤル王国の兵士の一人として私たちの国の捕虜になりました。しかし、もしそれを否定するのであれば……私たちは貴女を国際条約で定義される捕虜として扱わないということをお忘れなく」
「ニーミ姉さん!?何言ってるの!?私たちの任務は!!」
ピンク色の髪をしたZ駆逐の一人、Z26。ニームが自身の姉であるZ23ニーミに問い詰める。しかし、振り返ったニーミの表情を見てZ駆逐たちは絶句する。
ニーミは……泣いていた。
悔しさのあまりに、あと一歩で同胞を傷つけ、セイレーンに押し付け、更に自分たちに酷いとまで言い切ったスパイを仕留められたはずの状況。責任感が強い彼女は最もスパイに怒りを覚えた鉄血kansenの一人であった。
しかし、同時に彼女は何処までも鉄血軍人の一人だったのだ。所属不明勢力ではなく、『ロイヤルネイビー』とエディンバラたちが名乗った以上、彼女たちはロイヤルの軍人。つまり武装解除して降伏した敵国軍人であり、鉄血は国際法に乗っとりスパイ二人を捕虜として拘束し、本国へと送り返す義務がある。
ニーミはそのことを理解し、涙を流していた。その涙の意味を知る姉妹たちはニーミの悔しさを理解して言葉を出せなかった。
「きっと……Z1姉さんならこうしたと思うから……ごめんなさい。今は耐えて」
「……はい」
この場にはいない、今はセイレーン相手に戦っている長女の名前を口にしながらのZ23の謝罪にZ26は小さく返事をする。同時にZ23はロイヤルの二人に向き直る。
「私は貴女たちを……ロイヤルを、クイーン・エリザベスを許すことはできません。サディアの英雄を傷つけた貴女たちが…」
「えっ…サディアって何を…」
「こいつ…!!」
「やめなさい!!!」
恐らく、エディンバラの返答を挑発と感じたのだろう。鉄血駆逐の中から怒りのあまり主砲を握りしめる者が数人現れたが、Z23は彼女たちを叱責する。
「……詳しくは全て尋問の際に吐いてもらいます。鉄血は卑怯なことはしません。サディアの英雄のように、国際条約に乗っとり丁重に貴女たちを捕虜として扱います。しかし、貴女たちを拷問するなどは無くとも監視の目が、そして鉄血艦隊の皆の目が厳しくなっていることだけは理解してください」
「……了解です」
エディンバラはアタッシュケースを海に投げ捨てるか、破壊しようと一瞬思ったが、駆逐艦たちの怒りを肌で感じて素直に要求を飲む。後にエディンバラは何故Z23たちが激怒していたのかビスマルクたちにより伝えられて驚愕したが、今はまだ何も知ることはなかった。
こうしてエディンバラ、そして気絶したシェフィールドが駆逐艦たちに回収されることで、後にスパイ追撃戦と世界に称された戦いは終わりを迎えるのであった。
『聞こえてるかしら?こちらビスマルク。ヘルブスト指揮官応答しなさい』
グローセさんたちと戦場のど真ん中で待機すること数十分後。本部で指揮を取っていたビスマルクさんからの通信が耳に届く。いきなりの通信に驚いてしまうが、ビスマルクさんは気にせずに状況を説明する。
『とりあえず戦闘は終了したわ。結果だけど……彼女たちは『王家の戦士』として捕虜になったわ。ギリギリのタイミングで、だけどね』
「そう、ですか」
思わず安堵の息を吐いて床に倒れ込んでしまう。饅頭が気遣う様子で蜂蜜入りのミルクを入れてくれて、それをグイっと飲み込む。これでスパイの逃亡という最悪の事態だけは防ぐことができた。それに生きていれば……彼女たちから色々と聞き出せる。
『ただし、それはそれとしてよ。貴方にはこのまま本部に帰還して緊急の軍法会議に出てもらいます。今回の件は流石に覚えが良い貴方だとしても上層部は貴方に叱責の言葉をかけるでしょう。覚悟は良いかしら?』
「……はい。大丈夫ですよ。俺は軍人です。処罰も、責任も、罰を受けることも覚悟しています。ただ部隊の皆──」
『黙りなさい』
ビスマルクさんは冷たく俺の言葉を切り捨てる。こうして海戦が終了して自らの行動を振り返れば、グローセさんが横に並び、数十分も冷静になれば、ロイヤルの二人を捕虜にするために、そして、ピュリファイヤーとの戦いを優先した結果、自分がどれ程の馬鹿な行動を繰り返したのかが嫌でも自覚できてしまった。
『……全ては軍法会議次第。そこで貴方の処分について決まるはずよ。私が言える言葉はそれだけです。一刻も早くフリードリヒの指示に従い本部に向かいなさい』
「了解、しました」
こうして俺たちは勝利の余韻に浸ることもなく、柔和な表情を浮かべるグローセさんに誘導されるがままに本部に向かう。シュペーたちも通信を聴いていたのだろう。時折励ましてくれるが、その言葉の多くは耳元から通り抜けていく。
そして、俺は本部の軍法会議で初めてビスマルクさんの口から知ることになったんだ。
この戦いの真相を。グローセさんを出してまで何故鉄血艦隊が激怒していたのか、それは名誉や情報漏洩の防止の意味合いもあるが、最も大きい理由はサディアで英雄となった俺を射殺されかけた鉄血の上層部は人も、kansenも問わず傷つけられた俺のために怒っていたという真相を。
そして、俺は。そんな鉄血海軍の期待を裏切るような行動をとってしまったということを。
……吐きそうだ。
・スパイ追撃戦成功!エリザベスの尖兵の行方。
鉄血海軍は逃亡するスパイを討伐するためにキールに所属する95%の戦力を率いて追い詰め、見事スパイを捕縛することに成功する。但し人型個体であるピュリファイヤーを中心としたセイレーンの乱入などもあり、鉄血海軍は混乱に包まれ、少なくない傷を負ってしまった。何よりも……
(中略)
とはいえ相手がロイヤルネイビー所属のスパイであり、クイーン・エリザベスの尖兵であることが発覚したのは今後の戦争に大きな影響を与えるだろう。我々は捉えたスパイに対してどのように対処するべきであろうか?
①拷問にかけて情報を引き出す
②丁重に捕虜として扱う
③公開処刑だ!ロイヤルに首を送り届けろ!
④????
情報部より報告
内容
鉄血公国の動向
同国政府の連絡によると
「スパイ追撃戦成功!エリザベスの尖兵の行方」
において
「????」
を選択したとのことです。
・指揮官達の問題点について
①無線を勝手に切って独断で突撃。
②忠実に任務を果たそうとするグローセに妨害行為を働く。
③ピュリファイヤー戦を優先する余りスパイを取り逃がす。
④本部の指示も仰がずに勝手にピュリファイヤーと交戦する。
⑤本来それを止めるべきだったシュペー、ヒッパー、グラーフ達は指揮官の行動を何一つ咎めなかった。
⑥何よりもこの海戦は救国の艦隊の英雄、ヴァイスクレー・ヘルブストが傷付けられた事を発端とするものだと指揮官達は入院生活や見舞いを優先していた為にするよしもなかった。
などの問題点は挙げられますが特に問題なのは⑤なのかも知れません。実はサディアでイラストリアスを捕虜にする為に無茶をしたあたりでマインツだけはその辺りの危険性も既に把握していました。
指揮官達は激戦を乗り越えて固い絆て結ばれていますが、同時に指揮官の突拍子のない行動に慣れてしまい、そして指揮官に関して厳しくするはずのヒッパーやグラーフ達ですらその事を忘れて同調するようになっていました。もしも、今回の戦いが出会って一週間以内であれば彼女達は断固として指揮官を止めたかも知れませんし、捕虜を捕らえる為に優先で行動したかもしれません。しかし、よく言えば絆が深め過ぎていたから。悪く言えば身内贔屓によって一歩間違えば最悪の事態を引き起こすのでした。
今回のスパイ撲滅戦はそんな指揮官とkansen達の絆が良くも悪くも示された戦いと言えるでしょう。時として殴ってでも指揮官を止めると決めていた筈のグラーフ達ですら無意識にそれを忘れていたのですから。第三者目線で見ていたマインツの危惧は悪い形で命中していました。
・スパイの行方
裏設定としては確率として、実はスパイ降伏に関しては、グローセと共に待機して最中に全てが決まることになったのですが。
ピュリファイヤーとの戦闘後、逃亡するスパイついて
dice1d10=4 (4)
1.えっ、逃げた?
2~4.駆逐の子が足止めしてるっぽい←確定
5~7.軽巡組で足止めかぁ…
8~9.悪いが、逃がさんぞ
10.あっ
指揮官の行動
1~3.あっ闇ママが監視になってる…←確定
4~6.…それでも
7~9.じゃあちょっとロイヤル組は自分たちの手でケリをつけるんで…
10.*おおっと*
スパイ判定
dice1d10=9 (9)
1~8.現実は、優しくはない
9~10.えっ?←降伏
20%の確率により、エディンバラとシェフィールドは王家の戦士として降伏を選びました。もしもここで二人が駆逐艦達に仕留められていればまた別の物語となっていたでしょう。
こうしてスパイを巡る戦いは幕を閉じましたが、次回はヒッパー視点で軍法会議の行方、そして指揮官の処分に関して描かせて頂きます。
また宣伝となりますが、アンケートの結果人気であった北方連合指揮官とパーミャチ・メルクーリヤのR-18初夜も先日『アズレン 赤ちゃんプレイ短編集』の『鉄血の旗の元に 外伝』にて投稿させて頂きましたのでR-18に抵抗がない方は是非ご覧下さい。原則としてR-18の外伝には特に赤ちゃんプレイなどは関係のない真面目な……真面目な?R-18となりますので赤ちゃんプレイなどアブノーマルなプレイに抵抗がある方も安心してみられると思います。ただし一言だけ言ってきましょう、本当にひっどい初夜です。そちらもコメントや評価などもお待ちしております……
別のアンケートにもあったロイヤルネイビーの計画艦の話や、姉妹艦についてのお話も何れやりますのでご安心くださいませ。
そして、今年の投稿はこれで終了。次回投稿は1月となりますのでお待ち下さいませ。
そして、2月から投稿させて頂いた今作のUAが10万を突破したのは全て皆様のお陰です。心より感謝させて頂きます、それではメリークリスマス。そして良いお年を。
来年2022年も『鉄血の旗の元に』をよろしくお願いいたします。
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戦争を終わらせた立役者
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サディアを救った救国の英雄
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ロイヤル最大の敵
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女の子に手を出しまくりの色を好む英雄