12月も半ばとなりペトロパブロフスク・カムチャツキーの寒さは氷点下まで下がり、防寒着を着た軍人達が軍港で騒がしくラジオや白黒テレビを見守っていた。
『北桜同盟!それこそが新たなる陣営の名であり、我ら北方連合は同志たる重桜と共にセイレーンの撲滅、そして父祖の地を奪還する事を誓おう!』
北方連合の陣営代表ソビエツキー・ソユーズは普段の氷の様な冷たい表情を脱ぎ去り熱の篭った演説を行なっており、その傍らには重桜の陣営代表である長門が並んでいる。
『政治、民族、宗教、イデオロギー。我らは余りにも違う国家と言えるだろう。だが今こそ団結の時である。人類種全ての怨敵であるセイレーンを駆逐する。それがレッドアクシズとアズールレーンの共通の目的であって我らもその理念を共有できると確信している。更に我らはこれよりセイレーンとの戦いを重視する為に平和への第一歩としてレッドアクシズの各国との講和を提案しよう!』
画面の中で力強く語る彼女達は確かにこの世界では異質でしかない。宗教を重視した議会制民主主義である重桜と共産主義を信奉するコミュニスト国家北方連合。その二つの国家が手を組む事は本来ではあり得ない事は周知の事実だ。
しかし、現実に彼女達はこの場に立っており、その言葉に嘘偽りはない事を証明しているのだ。北方連合と重桜の国民だけではなく、二カ国の同盟とレッドアクシズとの個別講和の提案は世界に衝撃を与える事は言うまでもないだろう。
鉄血公国、サディア帝国、ヴィシア聖座といったレッドアクシズ所属国家は困惑しつつも即座に北桜同盟の個別講和の提案に乗り、講和会議に参加する事を発表する。特にヴィシア聖座はそれまで曖昧な立場であった旧アイリス教国の正当後継国家である事を事実上アズールレーンに所属しているこの二カ国から承認を受けたのだ。これにより自由アイリス教国の正当性は更に低下する事は間違い無いだろう。
ロイヤル王国は重桜と北方連合を裏切り者だと痛烈に批判し、同時に北方連合が生体艤装を使用としてる事に言及する。現在数々の醜態とビスマルクの演説によって外交的に孤立しつつあるロイヤルではあったが、これによりユニオンが参戦しなければロイヤルは自由アイリスという亡命政府が参戦しつつもほぼ単独で欧州戦線を戦わなければならなくなったのだから当然だろう。
報復としてロイヤルでは共産主義者を一斉摘発を行ったのだが、ただ北方連合の憎悪を買っただけであり急速にロイヤルと重桜+北方連合の関係は冷え込み、ユニオンに存在するアズールレーン本部ではロイヤル出身者と北桜同盟を発表しつつもアズールレーンには残留し続ける重桜、北方連合出身者の諍いが激化する事になる。
なお、ロイヤルの陣営代表クイーン・エリザベスは報復としてのアカ狩りや、北桜同盟への非難に関しては最早取り返しが付かなくなると反対の立場であったのだが、絶大な人気にヒビが入り始めた彼女の言葉に耳を貸すものはいなかった。寧ろクイーン・エリザベスが何度も自身の正当性を示す為にレッドアクシズを煽り続け、非難を続けていた為に事実上の背任行為である個別講和を行った北桜同盟への憎悪は最早政治力がある彼女であってもコントロール出来なくなっていたのだ。
クイーン・エリザベスは王族待遇ではあるがあくまで絶対服従として付き従っているのはロイヤルのkansenのみであり、彼女は議会においては議員の一人にすぎない。その影響力はあくまでも国民の支持によるものであり、政治的支持を失いつつある彼女には失墜しない為に立場を維持する事はできても、もはや絶大な政治力は存在しないと言い切れるだろう。
クイーン・エリザベスは理解する。最早この戦争はロイヤル単独で戦い続けるしかないと。真珠湾攻撃こそ最早絶望的ではあるが、ユニオンからのレンドリースは続いており、政治的には失墜したが彼女の軍権は未だに健在であった。更に初期から彼女を支持した軍人や政治家達に今自分が失墜すれば同時に貴方達も私を支持していたのだから連座される事になると脅迫をする事で事実上ロイヤルネイビーの保有戦力の大部分は手中に納め、絶大な軍権の維持には成功したのである。
同時にこの戦争に負ければ脅迫した自分達はいよいよ後がなく。政治家だけでなく軍人、国民の支持を失えば最後は王家だけではなくkansenの立場も危うくなると理解したクイーン・エリザベスは計画の修正を行う事になるのであった。
そう、全てはこの戦争に勝利する為に。没落の未来を回避する為に起こした戦争によって『史実』よりも孤立してロイヤルが没落する事は避けなければならない。最早戦後ロイヤルが覇権を握る事は難しい可能性が高くなったが、それでもこの戦争にだけは勝たなければならないのだ。本末転倒であると誰もが理解するが最早勝利以外の道はロイヤルネイビーには、クイーン・エリザベス達には存在しないのだ。
戦力は未だにレッドアクシズと比べてロイヤルは植民地防衛軍を少しずつ引き抜けば上であり、各個撃破を行えば勝利は可能。勝てば良いのではなく、最早勝たなければ未来はない。最低でもロイヤルが有利な勝利を収めなければ最早ロイヤルのkansenの未来は暗いものになり、祖国は孤立する事なるのだからと、クイーン・エリザベス達は足掻く事になるのであった。
同時に自由アイリスも最早一蓮托生であると、とあるスキャンダルをもみ消しつつクイーン・エリザベスの動きに同調する。
中立国である国々の反応は様々ではあるが概ねの反応はアズールレーン内部でなにか内部抗争でもあったのだろうと呆れるか、藪から蛇が出ない様にと余計な事は言わない国ばかりであったが、唯一東煌は敵対している重桜が北方連合と手を組んだ事に態度を硬化させる事になるのであった。
「なっ…!?正気なのか重桜は!?」
緊急のラジオ放送を聞き、ユニオンの空母kansenエンタープライズは驚きを隠せない。
そして、アズールレーンの総本部が存在する最大の加盟国ユニオンでは、同じく北桜同盟のようにロイヤルと手を切るべきなのでは?と主張する議員も存在したが、大多数はエンタープライズの様に正気かこいつら?と共産主義者と取引を行った重桜の神経を疑っており、長門は実は脅されているのでは?や長門が共産主義者に目覚めた可能性があると警戒を露わにする。
ユニオンはレンドリースの支援を「セイレーンの活動の活発化による部隊の再編成の為に」といいつつ共産主義に染まったと予測した重桜と北方連合への支援は打ち切られる事になるのであった。それでも今までの支援物資の代金を払えと言わなかったのはユニオンの優しさ……ではなく北桜同盟が態度を硬化させ、モンロー主義を国是とするユニオンが戦争に巻き込まれる事を嫌がった為であった。
ユニオンの専門家の意見は概ねこの同盟は早期に破綻する。もしくは重桜でクーデターが起きて長門は失脚するという意見が主流であったが、まさか長門が自発的に支援を送り、手を結ぼうとしたと予想したものは皆無であった。それだけ重桜は世界から見れば正気を疑う行動をしており、複雑怪奇な極東情勢を指差しユニオンやロイヤルでは「極東情勢複雑怪奇」と揶揄される程であった。一方アズールレーン本部ではユニオンがロイヤル・自由アイリスの面々と重桜の面々との衝突を回避する為に奔走しておりその仲介役として働いた一人である軽巡ブルックリンは一週間で三キロ痩せた程であったと言う。
北桜同盟の成立は世界に衝撃を与え、その衝撃は『イオニア海海戦』を超えており、世界中の国々では『ビスマルクの演説』と『北桜同盟』の話題に持ちきりとなっていくが、何れにしても一つだけ確かな事はレッドアクシズは北桜同盟との個別講和に賛成しており、ロイヤルが更に追い詰められる事だろう。
P・カムチャッキー基地では一人の金髪の美女が焦った様子で通信室へと向かっていく。北方連合と獣のような身体的特徴を身につけた重桜の軍人達をかき分けて進んでいくが、周りの人々はラジオで陣営代表の放送を聴きながらもウォッカを飲み干しながら笑顔で語り合い、それが彼女……金剛にとっては抑えきれない苛立ちに繋がっていく。
(二カ国の友好が深まるのは私も祝福しますわ……だねど、このままじゃ……!)
彼女は重桜本国では最も親アズールレーンなkansenの一人であった。正確に言えば彼女は元ロイヤル出身者であり数十年前にロイヤルから重桜に派遣されてそのまま帰化した元ロイヤル出身者。短いながらもクイーン・エリザベスに忠誠を誓った事もあり、彼女はロイヤルと重桜。二つの祖国を平等に愛し、赤城達親レッドアクシズ派の真珠湾攻撃案を真っ向から反対してアズールレーンから重桜を離脱させまい、愛する二つの祖国が争う事がない様にと水面化で親ロイヤルの派閥を形成して戦争回避を望み続けた苦労人であった。
彼女としては赤城達の不安である資源のない重桜の現状の不安を理解しているが、ロイヤルやユニオンの資源地帯の奪取を願う赤城達とは違い、ユニオンやロイヤルとの対話による経済協定の樹立や重桜内に経済特区樹立による結びつきの強化を目指すなど彼女は穏健な形でアズールレーンに残留しつつユニオンやロイヤルとの連携による資源問題の解決を目指していたのである。
故に彼女は決して売国奴ではないが、元ロイヤルという事もあってか親ロイヤル感情は強い。だからこそこの放送を聞いて彼女は居ても立っても居られなかった。今すぐ長門に問いただし何故『単独講和』という選択を、自身の主君達は選択したのか聞き出そうとしたのである。
通信室にたどり着いた彼女はすぐさまに暗号コードを打ち込み、現在樺太・サハリン国境で演説を行う長門達に連絡を、そしてもう遅いと理解しながらも説得を行おうとするも、金剛の背後から冷たい声が突き刺す様に耳に届く。
「大方予想はしていましたが……長門様は今忙しいというのに、貴女は彼女の演説の邪魔を行おうとしているのですか?」
「赤城……」
九尾の様な狐の尻尾が特徴の空母kansen赤城を見て金剛は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。赤城は金剛とは逆の親レッドアクシズ、反アズールレーンの派閥を形成し、失敗には終わったが一時は真珠湾攻撃の案を実行寸前まで進めていた重鎮であり、いわば金剛の政敵でもある人物であった。
とはいえ北方連合滞在中は金剛は無用な諍いを産まない為に出来る限り赤城と話す事は事務的な会話を除いて最低限にして衝突を回避しようしており、こうして二人きりになるのはもう何年振りだろうかと金剛は頬を引き攣らせる。
「赤城……貴女にとっては、ロイヤル嫌いの貴女にとってはこの現状は好ましく思っているのでしょうね。単独講和による戦争からの離脱はユニオンとロイヤルの関係を間違いなく悪化するでしょうし、そこからなら方針展開によってレッドアクシズとの連携だって可能なのですから」
皮肉気味に金剛は赤城を睨みつけるが、当の本人は何処吹く風と言った様子で通信室の椅子に座り込む。その様子はまるで自分は関係ないと言わんばかりに無関心な態度であったが、それは事実だった。
「金剛。貴方は何か勘違いしているようですが二つだけ訂正しましょう。まず一つ目は私は別にロイヤルが嫌いな訳ではありませんし、貴方個人を嫌っている訳でもありませんわ。それと二つ目は……」
どの口が金剛は赤城の言葉を内心吐き捨てる。赤城は真珠湾攻撃と並行してロイヤルの植民地攻撃を嬉々として提案しており、かつての会議で嫌らしく金剛を煽ってきた事を金剛は忘れていない。ロイヤルレディは恋と戦争では手段を選ばないと言われているが受けた中傷を忘れる事もないのだ。
「私はもう、レッドアクシズなんて興味はありませんわ。結びつきを強める?方針を転換?そんな馬鹿げた事をするくらいならセイレーンとの戦いに集中するべきなのですから」
しかし、次の言葉に金剛は水をかけられたかの様に耳を疑う。親レッドアクシズ筆頭で派閥のリーダーである赤城の口からは絶対に出てこないであろう言葉が出た事に金剛は驚きを隠しきれない。
「なっ!?何を言っているんですの赤城!!貴女はあれ程までにレッドアクシズとの提携を模索していたはずじゃあ……まさか貴女も長門様達と同じ考えで……!」
「同じ、ですか……えぇ、確かにそうですね。少なくとも私は重桜の未来の問題を解決出来る長門様の提案に賛成しますわ。最も手っ取り早く戦争を終わらせ、最も資源や外交の問題を解決出来る選択肢を長門様は導き出したのですから愛国者としてそれを支持するのは当然ではなくて?」
赤城は通信室の椅子に座りながら金剛に背を向ける形で窓の外を見つめる。灰色の低い雲が空には広がっており、まるで金剛の内面を示している様であったが、赤城は困惑する金剛に静かに語りかける。
「貴方の考えは読めますわよ。北方連合と重桜の関係の結びつきを強くする事は貴女にとっては望ましい事だったのでしょう。万が一ロイヤルやユニオンとの関係が悪化した時に北の熊が東洋の番犬と共に暴れるのであればユニオンやロイヤルは下手な事が出来なくなる。対レッドアクシズの側面を見ればこの同盟の結果レッドアクシズは戦力を東に備えなければなりませんし、場合によっては北方連合を経由して鉄血本国に奇襲攻撃を仕掛けることが可能であると」
赤城の言葉に金剛は睨みつけるだけであるが沈黙は肯定であった。確かにそう本来の形であれば鉄血の戦力の分散を招き間接的にロイヤルを支援でき、場合によっては北方連合と重桜がレッドアクシズに襲い掛かる事も可能なのだから。
アズールレーンに所属してレッドアクシズと本格的に交戦するのであればロイヤルは喜び、ユニオンも警戒はしつつも特に行動は起こさないであろう。金剛達親アズールレーンの派閥にとってはとある一つの事柄を除けば正にこの北方連合との結びつきの強化は望ましかったのだ。
単独講和という点さえ無ければ。
「しかし、北桜同盟の単独講和という発表がその全てを台無しにしてしまった。貴女は北方連合と共にレッドアクシズの攻撃、もしくは介入をチラつかせる事でレッドアクシズを脅迫してこの戦争の講和の仲介を行う予定でしたでしょうけど……それは全て水泡に帰した」
赤城の言葉に金剛は更に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるが図星だったのか反論はない。赤城はその様子に満足げに微笑むと金剛に向き直り、そして先ほどとは打って変わって真剣な顔つきになる。
「単独講和によって私たちがこの戦争を離脱する事でロイヤルは欧州戦線で孤立してしまう。暗殺未遂事件やイオニアの蛮行によって国際的に孤立しつつあるロイヤルは最早単独で戦う以外の道はないでしょう。エリザベスの馬鹿が招いた自業自得の結果ですけどね」
「先程から貴女は何を言おうとしているのですか!?私に皮肉を伝える為にここで待ち受けていたとでも!?」
普段であれば皮肉気味に反論できる挑発的な赤城の言動に、図星をつかれ、更に元主君を馬鹿にされた金剛の怒りの声を上げる。しかし赤城は全く動じず、寧ろどこか楽しげな表情で窓の外を眺め続ける。その姿に金剛は苛立ちを覚えつつも、赤城の言葉を聞き逃すまいと耳を傾けた。
「いえ、私は純粋に善意で貴女が長門様の邪魔をしない様に話しかけただけですわ。ついでに今の貴女を見ているとP・カムチャッキー基地から樺太の会見場まで殴り込みかねない形相ですわよ」
「そんな事……!」
「いつもの貴女なら私の挑発も受け流したと言うのに、貴女は今冷静さを失っていますわ。だからそれを止める必要がある。重桜を守るものとして、そして『平和』に向かいつつある世界の存続の為に」
金剛は赤城の言動に怒りを覚えるが、思わず腰元のホルスターに無意識に手をやっていた事に気がつき、深く息を吐き出す事で感情を落ち着かせる。
「恐らく長門様が個別講和を選択したのは、ビスマルクの指揮官暗殺未遂事件の暴露によるものでしょうね。あの演説と数々のロイヤルの醜態の暴露によってエリザベスの権威は地に落ちる。だからソユーズと長門様は切り捨てたのでしょう。自分達はロイヤルとは違う、戦争をするなら好きにやってくれと、一抜けて国際的な非難を受けない様にロイヤルを切り捨てた」
「しかし!それではレッドアクシズとアズールレーンの戦争は終わりませんわ!!」
「ロイヤルと、レッドアクシズの違いではなくて?」
赤城は鋭い目つきで金剛を見つめると金剛も睨み返すが、その言葉に対しては何も言い返せなかった。
アズールレーン陣営とレッドアクシズ陣営の違いは、レッドアクシズ陣営は鉄血を中心にヴィシア、サディアとまとまっており現在ではイオニア海海戦をきっかけに共同作戦も可能な程に関係は密接となっているが、一方アズールレーン陣営で現在交戦をしているのはロイヤルと自由アイリス教国だけである。
ユニオンと北方連合、重桜も形式的にはレッドアクシズと交戦中ではあるが一度も彼らは砲火を交わせた経験はなく、欧州戦線は支援こそあれどロイヤル単独で戦っていた。だからこそ金剛はそんなもう一つの祖国を救う為に重桜を巻き込もうとしたのではないか?と言われれば否定は出来ない。
「これは分岐点です。あの暗殺未遂事件でロイヤルの国威は大きく削がれたと同時にレッドアクシズ各国の怒りは最高潮となりました。貴女は穏便な形で重桜と北方連合がアズールレーンに所属し続け、第三国としてロイヤルとレッドアクシズの白紙講和の仲介をやろうとしていたのでしょうが……もはやそれではレッドアクシズは納得しないでしょう」
白紙和平……今までの事は全て水に流し、それぞれ賠償なども行わない戦前の状態に戻る講和。とある世界の『枝』ではセイレーンという人類共通の敵に対処する為に全陣営がそれまでの憎しみを(表向きは)捨て去り、休戦協定を結ぶ事に成功したがこの世界ではロイヤルはやり過ぎてしまったと言えるだろう。
メルセルケビール海戦における卑怯な不意打ちと傷ついた瀕死のブルターニュの写真。
停船勧告を無視しての領海侵犯と砲撃。
防げたとはいえ最悪数万人の死者を出したと予測されるイラストリアスによるタラントへの空襲。
そして、鉄血の若き英雄ヴァイスクレー・ヘルブストの報復としか思えない暗殺未遂事件の指示。
それらはビスマルクの演説によって世界中にロイヤルの蛮行として広められた結果、レッドアクシズの国民はロイヤルに憎悪し、同時に上層部はそんな国民を納得させる為に白紙和平など論外。ロイヤルも、レッドアクシズ各国もこちらが有利である講和をもぎ取らなければ、焼き討ち事件が起こりかねない程の状況となっているのだ。
「最早怒り狂ったレッドアクシズはロイヤルを貶めなければ納得出来ませんし、世界に悪評をばら撒かれた以上ロイヤルも譲れない。だから我々は戦争が激化する前に孤立するロイヤルを単独講和によって間接的に追い詰めて孤立無縁にする事で、さっさと講和のテーブルにつかせる必要がありますわ。そうでなければレッドアクシズは納得出来ないのですから」
レッドアクシズとロイヤルとの戦いはどちらに肩入れしてもこのままでは血で血を洗う血みどろの報復合戦にしかならない。ならば少しでも早く終戦に持ち込み、両陣営の傷口を広げる事なく孤立しつつある、自業自得なロイヤルの一人負けという形で終わらせるべきだ。
そして、赤城の言葉は正鵠を射ていた。
確かに孤立無援となったロイヤルは最早単独で戦い抜くしかないだろう。しかしそうなるとレッドアクシズは怒りのままに最後の一人まで憎悪を糧に戦い続け、民間人も犠牲となる程の大戦争に陥る可能性は高い。ロイヤルもそれを理解しているのだろう。
ロイヤルは既に二択を叩きつけられていたのだ、このまま憎悪に燃えるレッドアクシズと血で血を洗う戦い続けるか、それとも人的被害がほとんど出ていない今が最後のチャンスと、こちらが不利な降伏をする事でレッドアクシズの溜飲を下げて傷口を抑えるべきか。
重桜はそんなロイヤルやレッドアクシズの戦いに付き従う義理もメリットも存在しない。だから北桜同盟を形成して単独講和により両国との戦争には一切関わらないと宣言しつつ、ロイヤルにさっさと降伏しろと無言の圧力を北方連合と共にかけているのだ。場合によってはユニオンもロイヤルに全ての責任を負わせてこの戦争を終わらせる為に水面化で動いてる可能性も存在していた。
そう、ロイヤルさえ。悪逆非道なロイヤルさえ折れれば世界は『平和』となるのだ。エリザベスが処罰され、ロイヤルが世界の敵となり孤立して、悪評が広まり誰も彼もがロイヤルを憎むような未来が訪れば、重桜もレッドアクシズの全員もアズールレーンも笑顔になれる関係を構築出来るのだ。
世界の敵であるロイヤルを犠牲にした上での『平和』が。
「しかし……しかし!!それではロイヤルが戦後孤立しますわ!それにそんな犠牲の果てに得た平和なんて……!」
本当に世界の皆が笑顔となり救われるのはロイヤルが降伏し、世界に謝罪した上で講和を結ぶ事でのみ達成される。だが、その講和にはロイヤルが敗北する事が必須条件であり、勝利はあり得ない。そして戦後のロイヤルは間違いなく世界の敵として非難され、暗く、苦難の道を歩む事になるだろう。
金剛は受け入れられないと机をバン!と叩くが赤城はそんな金剛を冷たく切り捨てる。金剛も内心理解しているのだ、赤城の言う通り自業自得のロイヤルだけが泥を被れば世界は平和になると。
しかし、金剛はその意見に賛同出来なかった。元ロイヤル出身者として金剛はロイヤルを愛しており、元主君である女王クイーン・エリザベスへの敬意と忠誠を巫狐長門と同じように誓っている。
彼女はこの戦争の犠牲を最小限に抑え、一番の目標は再びレッドアクシズを流血を最小限に抑えて解散させて世界を元のアズールレーンという統一勢力の名の下に再び団結させる事であった。奇しくもそれはとある世界の『枝』では三笠が望んだ未来であり、金剛は同じ夢を求めたが、このままでは夢は夢で終わってしまう。
アズールレーンとレッドアクシズの再統合は不可能となり、ロイヤルは世界の敵となり、世界はアズールレーン、レッドアクシズ、北桜同盟の三陣営に分かれ、鉄のカーテンによって遮断されてしまう。
それが嫌だからこそ金剛は必死に考える。そんなふざけた未来は認めない。どうすればこの最悪の結末を回避できるのか……しかし、何度考えても答えが出ないまま時間が過ぎていく。都合の良いこの戦争を裏側で煽る黒幕も、世界を統合させる唯一無二のヒーローもこの世界には存在しない。あるのは分断を迎えつつある各勢力と対話不可能な人類種の敵であるセイレーンだけなのだから。
「もう一度だけ言いましょう。ロイヤルがここまで追い詰められたのは自業自得であり、今重桜はターニングポイントを迎えたと言えますわ。このままズルズルと戦いを続けるであろうロイヤルに協力して巻き込まれ、国民から後ろ指を刺され続けるか。それとも外交的に孤立しつつある遠国ロイヤルを切り捨てて、隣国北方連合と手を結びつつロイヤルに戦争終結の為の圧力をかけ続け、全ての悪意を背負ってもらうか」
赤城はあえて自由アイリスとユニオンに関しては触れなかった。自由アイリス教国は最早ロイヤルの傀儡であって論外であり、ユニオンはモンロー主義の結果この戦争に参戦する事はない。場合によっては北桜同盟へのレンドリースの再開と、ロイヤルへの圧力を掛ける方向に向かいかねないのだから。
「しかし……仮にこんな講和が成立しても戦いの火種は残り、お互いの遺恨から新たなる戦いが…」
「金剛」
それでもなおロイヤルへの味方を続けようとする金剛に赤城はこの日初めて金剛に殺意のこもった視線を向ける。その瞳には明確な怒りの色が宿っており、静かでドス黒い本気の怒りに金剛は思わずたじろいでしまう。
そして、赤城はゆっくりと立ち上がると彼女に、二つの祖国を愛する金剛に決定的な一言を口にする。
「金剛。貴方の祖国は重桜とロイヤル王国のどちらなのですか?貴方の忠誠の向かうべき先はクイーン・エリザベスと長門様の二者択一。貴方はどちらを選択しますの?」
その言葉に金剛は何も言えなくなってしまった。
赤城が指摘したように金剛にとって重桜とロイヤル王国は大切な祖国である事は間違いない。だが、同時に彼女の現在所属している祖国は重桜でもあり、主君は長門でもあるのだ。もし重桜を選んだら、きっと彼女は二度とロイヤルに戻る事は出来ないであろう。かといってここでどちらもと答えるのであれば目の前の赤城は金剛を粛清しかねない程の威圧感を放っている。
「…………私は」
金剛が絞り出すような声を漏らす。
「私は……私には選べませんわ。重桜もロイヤルも、私の大切な故郷ですもの……でも、私が愛したのは……仕えるべきなのは……! 」
言うべきことは一つである。重桜所属である彼女の選択肢は実質的には一つなのだ。今まで金剛は二つの祖国を愛してきた、しかし最早その様なことは認められない。
赤城がここで金剛に問い詰めたのはもしや、自身の忠誠の向かう先を確認させる為であると金剛は理解してしまうが、彼女は拳を握りしめながらようやく静かに口を開いた。
「私の……祖国は重桜であり、主君は長門様ですわ。陛下を今も尊敬していますがロイヤルからやってきた私を長門様は受け入れてくれた。重桜には大切な私の守るべきものが沢山存在しています。だからロイヤルか、重桜かを選択しないといけないのなら私は……重桜と長門様を選びますわ」
それは金剛にとっては紛れもない本音であった。しかし、その返答を聞いた赤城はやはりそうですかと呟くと再び席に座りこむ。
「少し私も熱くなりすぎたわ。それに関しては貴女に謝罪しましょう。しかし、その言葉を決して忘れる事なく……恐らく長門様は貴女や三笠サマが元ロイヤルであり、この選択で貴女達が傷つく事を承知の上で行動したはずよ。長門様の覚悟を無駄にする事だけはやめなさい……もしも私が長門様に傀儡にしてこんな事を吹き込んだと思うのであればその通信機を使って今から連絡を取ってみるといいわ」
それだけを言い残すと赤城は椅子から立ち上がり、そのまま通信室を後にしようとするも、金剛は待ちなさいとその背中に語りかける。
「一つだけ、理解出来ない事がありますわ。何故貴女は……レッドアクシズ派であり、真珠湾攻撃をこの北方連合に来るまでは諦めなかった貴女はそんなにあっさりと自身の主張を変えて長門様に同調したのかしら?」
金剛の言葉に赤城は苦笑を浮かべると、確かにあの時は随分と悩んだわねと口にしながら返答する。
「私は天城姉様から託された重桜を守れるのなら元からレッドアクシズなんてどうでもいいわ。ロイヤルとユニオンの経済奴隷になる事が脅威だから私はレッドアクシズとの連携を模索したのだけど、今は北方連合の資源がある。収奪した後の統治の困難さを考えれば北方連合の海路奪還と復興の支援をする事で貸しを作り蜜月関係になった方が重桜にとって都合がいいと判断しただけよ」
「でも貴女はあんなにレッドアクシズを……」
「だからどうしましたの?私はレッドアクシズやアズールレーン、北方連合にも親しみや仲間意識なんて微塵も感じていないわ。私は天城姉様より任された祖国の為に敵なら粉砕して、邪魔なら切り捨て、利用価値があるのなら利用しようとしただけ。ロイヤルと手を組む方が国益になるのであれば貴方と歩みを進めていたでしょうし、セイレーンと手を組めば良いとなればセイレーンとだって連携していたでしょうね」
赤城は本心からどうでも良さげに北方連合やレッドアクシズを興味がないと言い切り、更に場合によってはセイレーンと手を組んでもいいとまで発言するがようやく金剛は赤城という人物の根底を理解する。
この女は愛国者であるが、必要で有れば味方ですら容赦なく切り捨てる苛烈な一面があると。彼女の根底は姉から託された重桜という国家の存続であり、『愛』する重桜のそれ以外には全く興味がない。なんなら加賀すらも真顔で切り捨てると金剛は確信して背筋が寒くなる。姉妹やロイヤルを捨てる事が不可能な自分とは違い、この女は『重桜』への『愛』以外の執着は最早存在しておらず、精神構造からして全く別のナニカであると。
事実、赤城はもしも長門が流されるままのお人形であるのなら、容赦なく傀儡にする事で国益のために行動しようと考えており、『枝』によってはセイレーンからの技術、鏡面海域の提供を受け入れ、記憶を消去してリセットできる見込みがあるとは言え、同胞を犠牲とする人体実験すら平然と行っており、場合によっては国民の血税を湯水の如く秘密裏に使う事も、セイレーンからの支援により決戦兵器であるセイレーン技術を満載にした巨大戦艦オロチの開発すらもしていたのだから、金剛の懸念は正解であると言えるだろう。
彼女の目に映るものは大好きだった姉から託された『重桜』を守れという願いのみ。赤城の存在意義は重桜という『愛』する天城から託された国家を『愛』し、その存続の為であればコミュニストとでもセイレーンとでも、悪魔と手を組む事に躊躇わない所存であった。
しかし、それは全て祖国の『愛』の為であり、赤城目線からみて重桜の未来の一つである資源奴隷からの脱却が実現した今レッドアクシズにこだわる必要もない。だから彼女はあっさりと自らの主張を取り下げ、長門の考えに同調したのだ。
「未来は何者にも分かりませんわ。例えば貴方はあのイオニアの戦いをどう思いました?鉄血の英雄によってロイヤルがマルタ島を失う羽目になる。あんな結末、誰も予想できるはずもなく、最終的に私の真珠湾攻撃案は酷い事に覆された。しかし、その次は北方連合でコミュニストと手を結び、我々は第三の陣営を立ち上げた。どうやら長門様はお人形ではなく、重桜を導く君主としての素質がある様で幸いでしたわね」
赤城は長門がここまでの行動力を持っており、誰も選択肢にいれなかった第三の選択を選び、統制し、そして実現した事を素直に賞賛する。こんな未来を誰もが、赤城も何一つ予想していなかったが、少なくとも共産主義者との同盟によって懸念であった問題は解決に結びついたのだから。
「とはいえ北方連合との蜜月がいつまで続くのかわかりませんので、第三国からの資源の輸入や国内の開発、北方連合が最早同盟を切ることが不可能になる程の状況にする必要があるのでこれからは忙しくなりますけどね、それに……」
赤城は窓から海を眺めると、金剛も同じく赤城と同じ方向に視線を向ける。そこには丁度模擬戦を行なっているのか、重桜の駆逐kansenである綾波と夕立が北方連合の駆逐kansenであるストレミテルヌイ、グレミャーシュチと交戦していた。
防寒コートを見に纏った綾波と夕立は重桜の駆逐kansenの中でもトップクラスの力を持っており、このままユニオンと戦争になれば『鬼神』や『ソロモンの悪夢』の異名を持つ程の活躍をする未来もあり得た程の猛者であるが、そんな二人に北方連合の駆逐kansen達は食らいついている。
そしてストレミテルヌイとグレミャーシュチの艤装は綾波達とは違い、寒色系の目を持ち、まるで生きているかのように雄叫びを上げてその主砲を綾波達に向ける。そう彼女達の艤装はセイレーン技術を満載した生体艤装であり────
「赤城?」
「……なんでもありません。それでは金剛、私はそろそろ帰りますわ。色々と忙しいので」
赤城は窓の外にいる綾波達の戦闘訓練をぼんやりと見つめていたが、金剛に声をかけられてハッとするとそのまま通信室から出ようとするも、今度は無言で金剛に肩を掴まれる。
「……赤城。貴方が本当に祖国を愛して同時に危険な人物であることは分かりましたわと。だからこそ一つだけお願いがあります」
「……なんですか?」
赤城は静かに金剛の言葉を待つ。彼女が何を考えているかなど全くわからないが、それでも何かしらの要求があることだけは理解できたからだ。
「飲みましょう」
「────はっ?」
しかし、金剛から告げられた言葉に赤城は思わず間抜けな声を上げてしまう。彼女の要求はただ一言、一緒に今から酒を飲むというシンプルな一言であり、流石の赤城もこの流れでそんな言葉があの生真面目な金剛の口から出るとは思えずに聞き間違いではないか?と推測する。だが金剛は力無く微笑むと赤城に呟いた。
「赤城、貴方の心中はいまだに分かりません、ですがその反応だけは素のようですわね」
「……どういうつもりですの?」
「簡単ですわ。貴女には私の酒に付き合って頂きます。ロイヤルへの望郷の願いや、傷ついたメンタルの回復など理由はありますが何よりも……今日は一晩中話し合いましょう、腹を割って互いについてを知り本当の貴方を私に見せてください。本当に貴女が祖国を愛する忠臣か、それとも重桜を害する乱世の奸臣なのか」
「いや待ちなさい金剛、だから私は色々と忙しくて」
「いいから来てください。ウォッカだけではなく私の秘蔵のワインも用意しますから」
金剛はそれだけ言うと強引に赤城を連れて行き、赤城は抵抗することもできずにズルズルと引きずられていく。そしてその様子を万が一の為に影から銃を構えて潜んでいた加賀は、小さくため息をつくと静かに通信室から後にするのであった。
「酔い潰れるなよ、赤城……」
結果としてその晩二人の間に何があったのかは始終金剛も赤城も語る事はなかったが、その日以降金剛は赤城に馴れ馴れしくなり、赤城は金剛を見ると皮肉も言わずに注射を目の前にした飼い猫の様な不機嫌な表情で金剛を避けようとする事になり、榛名や飛龍達はその変化に首を傾げる事になる。
ただ一つ言えることは、その後重桜本国に一時的に帰還した後の二人は即座に並んで長門の支持を表明。これにより一時期に分裂の危機であった重桜派閥間の抗争は終焉を迎え、重桜は北方連合をパートナーとして独自の戦いを狼煙を上げる事になるのであった。
そして、ロイヤルの孤立と北桜同盟による事実上のヴィシア聖座をアイリス教国の後継国家として認めた事により、ロイヤルは最早真珠湾攻撃の不発もあって、未来を自分の手で掴まなければならなくなり、真珠湾攻撃以降の歴史の『再現作戦』をクイーン・エリザベスは嘆息して震えつつも、多くを凍結せざる得なくなるのであった。
北桜同盟──史実通りの締結──
1940年12月、重桜と北方連合は北桜同盟と呼ばれる軍事同盟を締結した。この同盟の裏では水面化より重桜の陣営代表長門と北方連合の陣営代表ソビエツキー・ソユーズの密約があったとされており、事実後に公開された文書では秘密裏に重桜からの使者としてかつて重桜海海戦で英雄的活躍を見せた『軍神』三笠を中心とした使者団が派遣されていたとされている。宗教国家である重桜と共産主義国家である北方連合の唐突な同盟宣言は世界に衝撃を与え、更にレッドアクシズとの個別講和を二カ国は提案。事実上の戦争からの離脱を宣言したのである。セイレーンという共通の脅威に対抗するための、この宣言をレッドアクシズは支持するもロイヤル・ユニオン・自由アイリス教国は反発。レンドリースの打ち切りやロイヤルのアカ狩りによってアズールレーン陣営の結束にヒビが入ることになり、アズールレーン、レッドアクシズと並んで誕生したこの陣営によって世界は三つの陣営に分かれ、世界には新たなる秩序が誕生しようとしている。
①脅威には連携して当たるべきだ
効果
国民不満度-5.0
北方連合との関係+100
重桜との関係+100
ロイヤル王国との関係-50
自由アイリス教国との関係-50
ユニオンとの関係-30
東煌との関係-20
鉄血公国との関係+20
サディア帝国との関係+20
ヴィシア聖座との関係+20
研究修正+2.5%
生産効率+5.0%
重桜が「北方連合式生体艤装」「北方連合式セイレーン基礎研究」の設計図を入手。
北方連合が「空母戦闘ドクトリン」「発展型kansen空母技術」の設計図を入手。
政策方針が2ポイント介入主義に傾く
重桜と北方連合との間に「軍事同盟」「技術協定」「貿易協定」が締結される。
ロイヤル王国と重桜の間の「技術協定」「貿易協定」が破棄される。
ロイヤル王国と北方連合の間の「技術協定」「貿易協定」が破棄される。
イベント「緩衝国の樹立提案──河豚計画──」が発動する。
イベント「北方海路奪還作戦準備」が発動する。
イベント「レンドリースの打ち切り」が発動する。
イベント「ロイヤルによるアカ狩り」が発動する。
イベント「派閥抗争の終焉」が発動する。
イベント「共産党の非合法化」が発生しなくなる。
イベント「乱れゆく重桜」が発生しなくなる。
イベント「重桜による講和仲介」が発生しなくなる。
イベント「真珠湾攻撃」が発生しなくなる。
②単独講和はやめておこう
国民不満度+2.0
北方連合との関係+50
重桜との関係+50
ロイヤル王国との関係+20
ユニオンとの関係+20
鉄血公国との関係-30
サディア帝国との関係-20
ヴィシア聖座との関係-20
研究修正+1.5%
生産効率+3.0%
重桜が「北方連合式生体艤装」「北方連合式セイレーン基礎研究」の設計図を入手。
北方連合が「空母戦闘ドクトリン」「発展型kansen空母技術」を入手。
政策方針が1ポイント介入主義に傾く。
重桜と北方連合との間に「軍事同盟」「技術協定」「貿易協定」が締結される。
イベント「オハ油田北桜共同開発」が発動する。
イベント「北方海路奪還作戦準備」が発動する。
イベント「派閥抗争の終焉」が発動する。
イベント「ロイヤルによる共同攻撃提案」が発生する
イベント「北方絶対国防圏」が発動する。
情報部より報告
内容
重桜の動向
同国政府の連絡によると
「北桜同盟──史実通りの締結──」
において
「脅威には連携して当たるべきだ」
を選択したとの事です。
北方連合の反応
『ようこそ極東の同志よ!』
重桜の反応
『 北桜同盟万歳!』
ロイヤルの反応
『血を流さない偽善者どもが!』
ユニオンの反応
『我らも行動を選ばなければなるまい』
レッドアクシズ所属国家の反応
『これで少しは楽ができると良いのだが」
その他国家の反応
『極東情勢は複雑怪奇なり』
「三笠、大丈夫ですか?」
時を同じくして三笠は北桜同盟の会見が終わった夜。外で静かに涙を流しており、旧友でありアヴローラは心配した様子でハンカチを差し出す。アヴローラは三笠がクイーン・エリザベスが誕生する前とはいえ元はロイヤル出身のkansenである事を知っており、この北桜同盟によってロイヤルとの関係が悪化する事を理解している人物の一人であった。
「すまない……ただ、な」
三笠は涙をハンカチで拭うと空を眺める。この同じ空をロイヤルのkansen達も眺めているのだろうかと何気なく思いつつ、アヴローラに一言だけ。長門にすらいえなかった本音を口にする。
「これで我はもうロイヤルに里帰りする事は不可能になった。もう2度とビッグベンの鐘の音を聞く事も、レンガでできた街並みを見る事も、懐かしいキドニーパイを食べる事も叶わぬのだな……」
それは悲しみではなく寂しさだった。三笠は主君と定めた長門の決断を支持し、別の世界の『枝』の様に長門を傀儡にする事も、独自の判断で動く事もなく、ただ長門の決断を受け入れる選択をしたのである。
三笠は現状を理解しており、長門が裏で自分達元ロイヤル出身者の現状に心を痛めている事も、この選択こそが重桜にとって最も最良でなくともベターである事を理解する。だからこそ彼女は涙を流すのだ。元祖国を苦しめる要因を作り上げた自分はもう二度とロイヤルに帰る資格はない。彼女は今日一つの祖国を失い、その寂しさから涙は自然と流れてくる。
しかし彼女は重桜のkansenである事を金剛と同じく選択したのだ。現状を理解した上でロイヤルを切り捨てるという冷徹さを彼女は持っていても、それでも望郷への思いだけは今は抑えきれなかった。
アヴローラは無言でウォッカ差し出し、三笠はそれを静かに受け取ると一気に飲み干す。ウォッカの味はいつも通り辛く、喉を通る熱さを感じつつも彼女はグラスを置くと再び口をウォッカを口に含む。
既に時刻は夜更け、月明かりだけが辺りを照らし、星々が輝く中で三笠はポツリと呟く。
「────」
その言葉をアヴローラはなんと呟いたのか結局最後まで分からなかった。ただアヴローラはその時三笠が見せた表情を見てその夜三笠が酔い潰れるまで、そして翌日いつもの三笠に戻るまで夜酒に無言で付き合い続けるのであった。
・北桜同盟
アンケートの結果、北方連合と重桜の軍事同盟の名前は「北桜同盟」に。アズールレーンに所属しながらユニオンからのレンドリース(無償支援の打ち切りであって史実とは違い禁輸措置などは受けてはいない)を事実上打ち切られ、ロイヤルからアカ狩りや各種条約の破棄など厳しい船出となりそうですが、重桜目線では金剛と赤城という軍事派閥のリーダーが長門派に回ったことから長門の地位は盤石なものに。北方連合からは軍事物資の支援は重桜中心となったものの強力な空母kansenを中心とした重桜艦隊の支援を受けて海域の安定化を目指すなどそれぞれの思惑が重なり二カ国は同盟を結ぶ事に。その結果世界は。
アズールレーン
ユニオン、ロイヤル、自由アイリス
レッドアクシズ
鉄血、サディア、ヴィシア
北桜同盟
重桜、北方連合
の三つの勢力に分かれることになりました。長門とソユーズの選択が果たして本当に正しいのかどうかは神のみぞ知る事となり、一つだけはっきりと言えるのは最早ロイヤル。クイーン・エリザベスは歴史の崩壊を認め、計画の修正を行わなければならないという事でしょうね。
ちなみにレッドアクシズにとってもこの同盟は寝耳に水であり、ビスマルク達は突然の極東情勢の変化に戸惑いを受けつつもこれで潜在的な敵国を減らす事に成功するのでした。
・クイーン・エリザベスの現状
陛下の現状は
政治的には積み重ねや戦時中という事もあり今の地位を維持する事には成功していますが、発言力は最早開戦前と比べて大きく低下。その立場は厳しいものとなり。
軍事的には主力であるkansenからの忠誠を勝ち取っているだけでなく、開戦前から陛下を支持して戦争参加に踏み切った軍人達を半ば脅迫する形でその軍権は維持。
そして、市民人気はビスマルクやマルタ島の事もあり徐々に陰りを見せていますので、陛下としては目に見える戦果を欲しているという所でしょうか?外交的にはレッドアクシズとは最早白紙和平は不可能であると断言出来るほどに関係は悪化して、やる気のないユニオンに別陣営を立ち上げて戦争を離脱した北方連合と重桜の事もあって事実上、政治的に扱いづらい自由アイリス教国の面々を除けば孤立無援の状況に。
しかし、クイーン・エリザベスはまだ諦めません。レンドリースはまだ続いており、海軍戦力は例えレッドアクシズが軍拡中である事を差し引いてもまだ7つの海に広がる植民地海軍のkansen達やアズールレーン本部に在籍中の面々を引き抜けば力技でヴィシアやサディアであれば、格好撃破を行えば損害を差し引けば物量によって戦争の脱落は可能なのですから。それでも陛下は最早自分達ロイヤルのkansenの地位やロイヤルの戦後の立場を「維持」する為の戦いをせざる得なくなり、没落の未来を回避するなんて言っていられない状況に。まさにロイヤルvsレッドアクシズは時間との勝負と言えるでしょう。
・赤城について
彼女はあっさりとレッドアクシズ派の代表的人物でありながら、長門の支持に周りましたが元から彼女はレッドアクシズ贔屓でもなんでもなく、ただ天城から託された重桜を守る為にアニメ、原作ゲームではあれ程までに苛烈な行動をおこなっていたという解釈に。事実天城からの遺言をきちんと託たれ、平和な世界と思われるCW世界では長門の補佐をしながら重桜の為に尽くす忠臣としての赤城という珍しい姿がみられます。
だからこそ彼女の全ては天城と天城から託された重桜だけであり、その重桜を守れる為であれば彼女は現在の状況を鑑みて、長門に同調する事を選んだのでした。そして彼女は大好きだった天城の復活も望んでおり、その為に国防のためだけではなく、原作やアニメでは参戦の見返りとしてセイレーンや鉄血からの技術提供を受けてましたが……北方連合は彼女の予想以上に宝の山であり、今なら北方連合から数多くの譲歩を迫れるタイミングである事も彼女が長門派に鞍替えした理由なのでした。
指揮官の後世の評価はどうなる?
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戦争を終わらせた立役者
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サディアを救った救国の英雄
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ロイヤル最大の敵
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女の子に手を出しまくりの色を好む英雄