海軍基地内に設置された応接間に連れてこられた少女、ツィトローネはリラックスした様子でソファーに座っていた。掃除が行き届いた部屋で出された高級そうな菓子類をパクパクと口にする彼女はその味に満足げに頬を緩めており、たった一人で孤立無縁の状態だというのに不安そうな素振りを一切見せていない。
なんせ彼女視点からすれば自分はなんら悪い事や後ろめたい事などが全く存在しないのだから。サディア海軍の人々が自身を傷つける可能性を全く考慮にいれていないのだ。
正確には自身の兄である鉄血海軍の『英雄』たるヴァイスクレー・ヘルブストの異名は既にこの欧州にてその名を轟かせており、イオニア海海戦の後に一般市民たる彼女の目線から見てもこの国は親鉄血路線へと大きく舵を切っている。
そんな状況で自分を傷つけてしまえば一気に鉄血との関係が悪化する事は火を見るよりも明らかであり、何よりも愛する夫を産んだ第二の祖国であるこの国が悪意を持って自身を傷つける何て事は万が一にもありえないと確信していたのただ。
もしもこれが慎重かつ臆病な兄であれば菓子類に手を付けず、緊張しながら心臓の鼓動を乱動させつつ、相手の出方を慎重に窺う為に脳内で策謀や予想を張り巡らせているに違いない。まさに兄妹同士の関係こそ良好であるがその性格や心情には大きく差がある事を示していると言えるだろう。
(多分兄さん関連のイベントだよねぇ……)
とは言え一市民である彼女の目から見たとしても、サディア海軍は恐らく兄に関連する『ナニカ』を求めている事は間違いないだろう。どれ程までに話は長くなるのだろうか?愛する夫に今夜作ってあげるはずの鉄血風シチューは未完成、今晩の夕食が気にはなるのだが流石にこのまま放置して帰ってしまうわけにはいかないだろう。
(まぁ、でも大丈夫だよね。私に危害を加えるなんて選択肢はサディア海軍には無いんだからさ。もし何かあったら……うん、その時は兄さんにお願いしよう)
そう考えると安心したのか、ツィトローネは出された甘い紅茶に舌鼓を打ちつつ、クッキーに手を伸ばそうとすると。
「お待たせいたしました、申し訳ございません。少々緊急の案件が発生してしまいまして」
ノックの音と共に、入ってきた女性を見て彼女は伸ばした手を引っ込めて姿勢を正す。そしてその女性が誰であるのかを理解した途端ツィトローネは思わず絶句する。
赤を基調とした軍服に身を包み、腰まで伸びた美しい銀髪と、宝石のように輝く灰色の瞳。すらっとしたモデル体型でありながらも、豊満な胸元が自己主張しており、思わず視線がそちらに行ってしまうのを抑えられない。その美貌はまさしく絶世の美女と言うに相応しいものでありながら、何処か幼さを感じさせる童顔も相まって見るものを惹きつけて止まない魅力に溢れていた。
「初めまして。私の名はヴィットリオ・ヴェネト。サディア海軍に所属するkansenの一人であり、総旗艦を務める者です」
絶句するツィトローネに握手を求めるヴェネトの表情はとても友好的であり、同時に何処か長い間待ち侘びていたのではないか?と感じつつ、ツィトローネは恐る恐る差し出された手を握る。
「願わくば今後とも長いお付き合いになる事を望んでいます、私としては、ねっ?」
緊張するツィトローネに微笑みかけるヴェネト。その笑顔の裏では捕食者や策謀家としての一面を隠しつつ、愛する男性の妹に本心からの言葉をかけるのであった。
(ヴェネトさん、何やってんの!?)
妹とまさかの再会を果たした俺はパーティ会場を抜け出し、人気の無い庭の片隅を探しだすと兄妹水要らずの時間を過ごしていたのだが……ドレス姿の妹、ローネの口から放たれた言葉に思わず驚愕する。
兄妹同士の和やかな時間は一瞬で凍りつく。ヴェネトさんの『真意』を知るはずもない妹はあっけらかんと楽しそうに笑っており、更に話は進んでいく。
曰くヴェネトさんが俺の妹であるツィトローネを呼び出した理由は二つあり、一つは身の安全のために、夫の新たな職場も斡旋するので今住んでいる場所からロイヤルから奪取したマルタ島に移住しないかと?という提案。
ロイヤルが奪われたこの地を取り戻す為に部隊を派遣さて、戦火に包まれるのではないか?という可能性こそあれど、現在マルタ島はサディアだけではなくレッドアクシズの総力を上げて軍事基地化が進んでおり、サディア海軍の約半数のkansenにヴィシアや鉄血からも戦力を抽出して派遣されているなど、まさにレッドアクシズの要衝となっている。一度空襲で焼き払われかけたタラント港以上に対策を重ねた最もサディアで安全と言える場所へと変化していた。
同時に旧ロイヤル系の国民を全て追い出したサディア帝国はマルタ島の実効支配を進める為に自国民の移住を積極的に奨励しており、今は北桜同盟に売却するはずのエリトリア地域に住んでいたサディア系住民が中心として入植を行なっているが国を挙げて帝国内全土で移民の支援しているそうな。
新たな新天地として今ならロイヤルの住民が残した家や土地といった財産が二束三文で手に入ると紹介している事を妹から聞いて、実効支配とはいえなんとも言えない感情が湧き上がってくる。とはいえツィトローネ達も断る理由がないと、サディアの庇護を受ける為にマルタ島への移住を決断したそうな。
「他にも色々と話したよ?サディアの総旗艦ってだけあってすっごく怖い人かな?と思ってたらめちゃくちゃ優しい人でね!この国に移住して何か困った事はありませんか?とか、この国はどうですか?とか、凄い気を使ってくれて……あっ!もちろん兄さんについても色々聞かれたよ?」
余程楽しかったのか、ツィトローネは興奮気味に語る。その様子から察するに本当に楽しい時間を過ごしたのだろうが……こちらとしては、ついでの様に付け加えられた言葉を聞いて吐き出さなかった自分を褒めてやりたい。
「へ、へぇ……ヴェネトさんに何て言われたんだ?」
「えっとね……まずは兄さんがどれだけサディアに尽くしてくれたのかって言葉から始まって色々聞かれたよ?兄さんの子供の頃の話とか、兄さんの好きな料理とか……ねぇ兄さん?もしかしてヴェネトさんに惚れられてない?なーんて冗談冗談!でもそれくらい兄さんの事を色々と聞きたがってたんだよね?色々聞かせてあげたら喜んでくれたよ!あっ安心して、兄さんから軍関係で口止めされてる事は一切話してないから!」
「あぁ、うん。そうか……」
今ほどポーカーフェイスを取得していて良かったと思ったことはない。妹の前で無様な姿を晒さないで済んでほっとする。あぁうんこれって……重桜の言葉でこの状況を表す言葉があったよな。確か「外堀を埋める」だったような。
ヴェネトさんは以前、俺に愛していると告白してくれた。そんな彼女が妹を呼び出してまで接触を図りつつ、俺の事を聞き出してきたという事は……。
改めて、ロイヤルと鉄血の戦争が終わり次第、それだけ俺の事を本気で愛してくれている女性の為に、自身の想いを告げに行くという決意を固めていると、ローネは話の続きを語り始める。
「それにヴェネトさんから聞いたんだけど兄さんの晴れ舞台って、えーと…ビスマルクさん?からヴェネトさんに連絡があったらしくてね?折角だから貴女も参加して欲しいってヴェネトさんも気を使ってくれて、サディア海軍の参加者の人に混じってこうしてやってきたって訳ね。ヴェネトさんはビスマルクさんに連絡してたらしいけど兄さんは何も聞いてないの?」
『とっておきのサプライズを用意したわ』
式典にて勲章を授与される際にビスマルクさんは微笑んで俺にそう言った。正直に全部話してくれても良かったのにと思ったが、もしかすると普段から上司である彼女の胃を痛める行動ばかりする俺に関するちょっとした仕返しのつもりだったのかもしれない。
それにローネは気がついてはいないが……実は彼女の周辺には目立たない様にまるで壁に溶け込んでいるかの様に気配を消している憲兵がじっと彼女を眺めており、恐らく彼らはローネに気づかれる事もなく護衛の任務を果たしていたんだろう。気を使ってくれたのか今は視界からは消えているが、今も何処かに潜んでいるはずだ。
「まさか送迎までしてくれる、なんて思っても見なかったけど…そりゃこんなに派手なやつなら納得だよね。わざわざドレスを用意してくれて料理も美味しかったけど……なんか兄さんと私って住む世界が違い過ぎてちょっと寂しいかも?」
「本音は?」
「美味しい料理を食べられて、高いドレスまで無料で貰って満足!兄さんまた勲章貰えない?今度は旦那と一緒に参加したいなって!」
ふふーん!と鼻歌交じりに妹はご機嫌な様子でその姿を見るだけで何も変わっていない事に安心感を覚える。故郷のフランクフルトからサディアに嫁いだ可愛い妹のツィトローネ。鉄血の指揮官となっていつのまにか『英雄』とまで呼ばれる様になった自分。そんな対照的な二人ではあるが兄妹同士の絆は何一つ変わっていなかった。
「…まあその、なんだ、わざわざ祝いに来てくれたってんなら…ありがとうな?お前も元気そうで何よりだよ」
俺も素直に感謝を伝える。ビスマルクさんのサプライズは大成功だろう。再び妹と再開して俺も嬉しく思えたし、彼女も久しぶりに会えてとても喜んでくれた。ただローネの旦那であり俺の義弟は仕事で忙しくて参加できなかったらしく、悪い事をしてしまったと思うが。今度彼に手紙を出す時は何か贈り物も一緒に贈ろうかな?
「ふふー、いつも昔から兄さんに可愛がって貰ってたし、これくらいなら、ってね?」
そんな風に二人で談笑をして兄妹話に花を咲かせるこの時間が最高に楽しい。だが、同時にそろそろ会場に戻らなければならないだろう。
一応は今回のパーティの主役は『英雄』である俺であり、主役が不在のまま抜け出したとなるとビスマルクさんにも迷惑をかける羽目になるのだから。
「えー、もうお話終わりなの?」
「仕方ないだろ、こっちも色々あるんだよ……サディアや鉄血の人々に迷惑かけないようにな?それと父さんと母さんに顔見せておけよ?っておい目を逸らすな」
「うぅ……会わなきゃダメ?」
不満そうに頬を膨らませるローネ。14歳の時に半ば喧嘩別れの様な形で家を飛び出してサディアに嫁いだ事もあって今も両親、特に父さんとは折り合いが悪い。それでも、俺は彼女の肩を掴んで諭す様に語りかける。
「あの時は俺もローネの味方をしたが、普通に考えて14歳の可愛い娘が国外に嫁ぐと聞いて賛成する父親がいるわけないだろ?次にいつ鉄血に戻れるのかどうかも分からないんだから、ちゃんと顔合わせる事くらいは済ませておくべきだぞ?」
「む~……でもさぁ」
「俺からも頼むよ、兄の為にも。なっ?」
「……分かったよぉ……」
渋々と言った感じではあったが何とか了承してくれたようだ。このまま両親との関係がすんなりと修復するかどうかは分からない。それでも、歩みよる事すら出来ずに後に後悔する事になってしまう事だけはローネにも、父さんにも、そして母さんにもさせたくはない。
「……変わらないね、兄さんは」
ポツリとローネが呟いた言葉には何処か安心感の様な響きが含まれており、ローネはぎゅっと俺の手を握り締める。小さな頃は二人でフランクフルトの街を駆け巡る際にこうして手を繋いで走っていたっけか。
「絶対に生き残ってね、兄さん。せめて私に子供が産まれて、大人になるまでは生きていて欲しいから」
「縁起でもない事を言わないでくれ……俺だってまだまだやりたい事が沢山あるんだから」
少しだけしんみりとした空気が流れるが、直ぐにローネは笑顔を向けてくれる。そんな彼女に言葉を投げかけ、先に会場に戻ろうとすると、ふと思い出したかの様に後ろからローネの声が響き渡る。
「あー、そうだ兄さんに言っておかないとね」
「ん?どうした?」
「ありがとね、私達を守ってくれて!」
振り向けばローネが満面の笑みを浮かべていた。そうか、俺は……俺達は人々を守る軍人の一人として、妹を守ることが出来たのか。
……その事実だけで胸の奥底にあった重荷が取れたような気分になり、自然と頬が緩んでしまう。そして彼女の方へと振り返ると俺はこう言葉を返したのだ。
「妹を、家族を守るのは兄貴の役目だ。気にするなよ」
最後にそう言葉を交わしあって俺と妹は別れ、それぞれの生活に戻っていった。
……そう思ったんだけどなぁ。
「あっ兄さんお疲れ様ー」
「ヘイ、マイシスターよ。何故お前はホテルに戻っていないんだ?」
ビスマルクさんの用意した厳重な警備のおかげもあってか、特に厄ネタに会う事もなく、つつがなくパーティを終えた俺を入り口で出迎えたのは別れたはずの妹だった。
既にドレスを脱いでおり、今は動きやすいようにラフな格好になっている。ただ花の髪飾りはそのままつけており、俺を見つけるとパタパタとこちらに向かって走ってくる姿はまるで子犬の様で癒されるが、問題はどうしてここにいるのかと言う事だ。
「いやー、実は帰るのは数日経ってからなんだけどね…ほら、こっちって久しぶりじゃない?……しかもキールの街なんてくるの初めてで、その、ほら、ホテルとかの場所覚えてなくて?」
「何してんのお前!?」
いや無理もないか。祖国とはいえ見知らぬ土地に来てしまった以上、迷ってしまうのは仕方がない。ただ彼女に気づかれない様に護衛をしていた憲兵らしき人も「えっ、マジで!?」と言わんばかりに彼女の爆弾発言に呆気を取られている様で申し訳ないが。
「あー、ちょっと待ってろ。今どうにかするから」
「ごめんね〜兄さん♪」
あとは任せてくださいと隠れていた護衛の人に合図を送る。恐らく彼らも純粋に会場での護衛だけを命じられている為ホテルの場所も分からないはずだ。となるとビスマルクさん辺りに連絡するか、もしくはサディア軍関係者の人を見つけて声をかけるべきか。
「……ああ、居たわね、全く、私達を雑用なんかさせんじゃないってえの!」
そう思案していると背後から見知った声が届き、振り返ると海上で警備を行なっていたらしい、ヒッパーが文句を言いながらこっちに近づいてきていた。シュペーにグラーフ、それに本来は来賓の筈だが本人の希望でシュペー達と行動を共にしていたガスコーニュまで揃っており、艦隊メンバーが全員揃い踏みだ。
「雑用を命じたのはビスマルクであって卿ではないがな」
「それにヒッパーちゃんも仕事が終わったら『じゃあヴァイスを迎えに行くわよ!』って言ってたよね。ノリノリで」
「うっさいわよシュペー!」
微笑むシュペーに噛み付くように反論するヒッパー。最初の頃と比べると二人とも距離がかなり近くなったなーと思わず笑みが溢れてしまうが、ふと妹が横にいた事を思い出す。
「照合未完了……主(メートル)。親しそうに話してたけど彼女はいったい……」
「えっと、どう言ったもんか───」
「あ、コレの妹のツィトローネって言います!いつもアホの兄さんがお世話になっています!」
俺が口を開く前に妹の方から挨拶を始めた。相変わらず行動力のある奴だ。しかし妹にコレだのアホ呼ばわりされるのは地味に心に刺さるものがあるんだが否定出来ないと遠い目になってしまう。
「…一応指揮官の麾下のアドミラル・ヒッパー…です、よろしくお願い、します…それで…ちょっとシュペー?」
「え?あ、うん…アドミラル・グラーフ・シュペー…よろしくね、妹さん」
前衛コンビの二人は一瞬だけ目を丸くした後、慣れない丁寧語で即座に対応するヒッパーと少しだけ嬉しそうに手を差し伸べるシュペー。ツィトローネの性格は俺と比べるとかなり社交的で明るく、ぶんぶんとシュペーの手を振り回すローネを見て、本当に兄妹なのか?という目で見つめてくるヒッパーであるが、グラーフとガスコーニュは今も驚きから立ち直れていなかった。
「……卿に妹がいる事は知っていたが…まさか鉄血に滞在中とはな。ビスマルクめ、我にも黙っているとは…」
「主(メートル)の、妹さん…」
グラーフはビスマルクさんに毒を吐いているが、ガスコーニュは俺の妹に興味津々の様でまじまじと見つめている。その視線に気づいているのかいないのか、ローネの方は笑顔で次々と手を差し出すとぶんぶんと握手を交わしていく。
(何でアンタの妹がここにいんのよ!?)
小声でヒッパーは俺に問いかけるが、俺は「色々とあってな」と苦笑いを浮かべる事しか出来ない中、ローネはシュペー達に質問攻めをしており、そろそろ引き剥がさないといけないかな?と声をかけようとすると。
「ねえ兄さん、私ちょっと皆さんの話とか聞いてみたいかなー!」
唐突に、そんな事を言いやがりましたとさ。いや無理に決まってるだろ。
「あのなローネ?俺達の住んでる場所は軍事基地で一般人の立ち入りは禁止されてるからちょっとなぁ……」
家族とはいえ彼女は一般人、もっといえば殆ど同盟国とはいえサディア出身の部外者だ。スパイであるという可能性は0だとしても鉄血の機密の塊であるマンジュウなども含めて、とてもでは無いが基地司令として案内する訳にはいかない。そう思ってグラーフ達に助けを求めようとするが……
────皆の視線は好奇心に満ち溢れていた。
「…私は一日だけならいいと思うよ、多分指揮官の妹さんなら変な所には入らないだろうし…それに、私も、その…」
もじもじしながらシュペーは頬を染めて妹を見つめる。
「……まあ、寒空に一人放っておく、と云うのも流石に出来まいよ」
「ガスコーニュも、連れて行ってあげるべきかと」
それに続けと言わんばかりにグラーフとガスコーニュも言葉を紡ぐ。グラーフは何処か面白そうに笑みを浮かべており、ガスコーニュは真剣な表情だ。
「ちょ、アンタら正気なの!?いいの!?」
唯一ヒッパーだけが反対意見を述べ、一般人であるツィトローネを基地に連れて行くことに難色を示す。俺だって個人的に恥ずかしい過去を暴露されるなどの可能性を考慮は一旦置いておいても反対なんだけとなぁ……。
忘れがちだが、俺を基地司令に推薦したのはビスマルクさんの右腕とも呼ばれている幹部であるグラーフだ。書類上の権限では俺がトップではあるのだが、その実グラーフはその気になれば俺の権限を即座に剥奪できるほどの権限を待っている。
いわばグラーフは新人指揮官である俺のサポーター役であると同時に、暴走した際に真っ先に止めるストッパーとも言える本部直属のエリートなのだ。
つまり、何が言いたいのかと言えば……グラーフが賛成している以上、俺は彼女を説得しなければならない上に、彼女が妹に基地滞在の許可を出した以上そう簡単には決定は覆らない。もっと簡単に言えば俺より偉い人の決定に逆らえるはずがない。
「え、良いんですか!ありがとうございます!!」
「ああもう……!!分かったわよ、好きにしなさいよ」
そして俺が何かを言う前にシュペー達はあっさりと許可を出してしまい多数決で敗北、ヒッパーは頭をガシガシと掻きながら諦めた様に呟く。
こうして、グラーフがその手続きを行う為に少しだけ帰りが遅くなる中、我が妹は何故かキール第三基地で夜を明かす事になるのであった。
「取り敢えずさ、うろついて余計な場所には行くなよ。あとあのヒヨコの事とかここで見た事は誰にも言うなよ!絶対だからな!」
「もー、分かってる分かってるって!」
「信用できないから言ってんだよ……」
基地に着くまでの間にしつこく何度も口にした俺の言葉にローネは唇を尖らせる中、空いていた部屋へと案内する。見るもの全てが新鮮と言わんばかりにヒヨコ型ロボットのマンジュウの頭を撫でつつ辺りを見回すローネに俺はため息をつく。
「とりあえず、余計な所は触らない事。余計な所には行かないこと。後は必要に応じて艦隊の人にはきくこと、でしょ、大丈夫。兄さんの迷惑にならないように過ごすから安心してよ、ね?」
本当に大丈夫かこれ……と不安になる俺であるが、ここまで来てしまえば仕方ない。せめて面倒事が起きないように祈るばかりだ。
「じゃあ、おやすみ」
「うん、それじゃあね。兄さん」
俺は一抹の不安を抱きつつも、その場を離れていく。あくまで今回のローネの滞在は緊急避難であり、明日には迎えがやってきて元のホテルまで連れて行ってくれる筈だ。せめて妹が何もやらかさない事を祈ろうとしつつ、俺は自室へと向かう。
だが、俺は妹を舐めていた。まさか───
「それでは皆さんお待ちかね!!これより第一回!秘密の鉄血女子会の開催を宣言します!!」
その夜の内にヒッパー達を部屋に集めて女子会を開いていたと後日聞いた時、俺はそういえばコイツ皆さんの話聞きたいとか言ってたわ!!と頭を抱える羽目になるのであった。
・ツィトローネ
サディア滞在中に少しだけ出てきた指揮官の妹。2年前、14歳の頃に当時留学生だった16歳のサディア人の旦那さんに猛アピールを受け相思相愛になりつつも父親に結婚を反対。それでも兄の援護をうけてどうにか結婚を許してもらい現在はサディア帝国にて主婦をしている。兄である指揮官との関係はダイスによるとかなり良好であり、イオニア海海戦の後に自分が兄の艦隊に救われていたと判明してからはずっとお礼を言いたいと心に秘めており、今回の式典パーティでやっとその想いを告げることが出来た。因みに選択肢によってはロイヤルの暗殺者に銃撃された兄を庇って負傷する可能性もあったのだが。
ホテルを忘れた妹への対応。
dice1d10=10 (10)
1~3.急いで迎えを寄越してくれるようだ…
4~6.繋がらねえ!?
7~9.手違いがあった…?
10.*おおっと*←ファンブル
*おおっと*
dice1d10=7 (7)
1~3.あなたは、急に嫌な予感に襲われた
4~6.…それなら、今日明日のこれ以降は予定は白紙に出来るから…少し、帰ってみてはどうかしら?
7~9.艦隊メンバーがあなたを迎えに来たようだ←確定
10.*おおっと*
結果として艦隊メンバーの四人と鉢合わせする事に。その上でツィトローネが是非基地で一夜を過ごしたいと言った所。
ヒッパー、シュペー、グラーフ、ガスコーニュ
dice4d4=2 2 1 2 (7)
1~3.で私はいいと思う、4のみ一緒に止める、ヒッパーだけ2~4が止める方に変更
ヒッパー以外全員が妹さん呼んでも良くない?グラーフが許可出すよ?と言ってしまい多数決的にも負けた指揮官はその滞在を許すことになるのでした。ちなみに妹さんに挨拶された際の反応は。
dice4d10=7 10 1 1 (19)
左からヒッパーシュペーグラーフガスコーニュ
1~3.妹…妹!?
4~6.あ、よろしくお願いします…?
7~9.あくまで指揮官の部下の、として自己紹介返し
10.(アピールチャンス…!?)
ヒッパーは困惑しつつ即座に対応して部下としての顔になり挨拶。
グラーフとガスコーニュは呆気を取られる。
そしてシュペーはこれはもしかして大好きな指揮官の妹さんにアピールするチャンスなのでは?と思い込むのでした。
次回は秘密の女子会から。男子禁制の女子会に集う五人の女性達。既婚者であり指揮官の妹から根掘り葉掘り聞かれる中、彼女達の心境にも変化が及び……そして、ヒッパーは本当に色々な意味で可哀想なことに。
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指揮官の後世の評価はどうなる?
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戦争を終わらせた立役者
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サディアを救った救国の英雄
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ロイヤル最大の敵
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女の子に手を出しまくりの色を好む英雄