魔法少女リリカルなのは~未来を変える者~   作:A,I,R

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遅くなりすいません。自分でも満足いけるものを書かなければ出せないと思い、執筆とやり直しを繰り返す毎日です。

これからも更新不定期となりますが、なにとぞ、よろしくお願いします





第15話「遺された予言」

「シャイニングハート!」

<ディバインシューター>

 

 生成された10個の魔弾は敵を穿つために飛んでいく。

 

「この程度!」

 

 が、エクスはその全てを避けるのではなく、魔弾に突っ込むように進撃してくる。自分に当たるような弾だけを斬り払い、突き進む。

 

「そんなのあり!?」

「てぇえい!」

 

 エクスの一閃を紙一重で避け、距離を取るために、再び魔弾を生成し放つ。今度はダメージを与えることが目的ではないので自動追尾、思念誘導のどちらもオフで。ただ単に真っ直ぐに進む弾を壁の様に配置し放つ。

 

「ちい」

 

回り込む余裕はない。故にゆうきの思惑通り、凪ぎ払うしかなかった。

「こうして相手すると厄介だね」

<どれだけ自分の間合いを保てるかが勝負の鍵かと>

「エクス相手にそれは厳しくないかな」

 

エクスは鋭く速い。気を抜くと一気やられてしまう。今、こうして足止めが精一杯といったところである。

 

「話してる余裕はあるのか?」

「余裕がないからこそだよ!」

 

背後に回り、振るわれるエクスの一撃をゆうきはシャイニングハートで受け止める。

 

「君相手だと、僕達二人で戦わないといけないからね」

「ふっ、ならば私に負ける道理はないな」

 

互いに弾きあい、間合いをとる。

 

「私は1人ではない、私はカリバーと共に戦っているのだから!」

 

明らかにエクスの雰囲気が変わる。普段も鋭いが今回はもっと凄まじい。まるで抜き身の刀が自身に向けられたかのような錯覚がゆうきを襲う。その雰囲気に怯むのは当然とも言えた。なにせ、ゆうきは戦い慣れていない。

 

が、その隙をエクスが、百戦錬磨とも言えるエクスが逃すはずがない。

 

エクスがゆうきの目の前に迫る。小細工なしの、 加速し迫っただけの行動。だが、呑まれたゆうきは反応が遅れてしまった。

 

 ただ、それだけのミスで勝敗は分かれた。

 

「一刀、両断!」

 

振るわれた一撃を防ぐことは叶わず、ゆうきは地面に叩きつけられることとなった。

 

 

 

 

 

「うん、分かった。結果は私達の勝ち、でいいかな?」

「うん。そういう約束だもん」

 

フェイトの勝利宣言に静かに頷くなのは。こちらでも戦闘は行われていたが、結果は圧倒的だった。フェイトのスピードの前に、応戦するも押し切られ、まさに死神が持つべきものと言える鎌をのど元に突きつけられて、終了。

 

 文字で見ると容易く捻られたようだが、そうではない。並みの魔導師ならばここまで保つことはなかった。

まさに一瞬で勝敗が決まるほどだ。それほどまでにフェイトの実力は高い。

 

 そのフェイトと、短いながらも攻防を繰り広げたなのはは賞賛されるべきだろう。

 

「じゃあ、またね」

「う、うん。また」

 

 空に浮く。ただ、単純なことなのに、なのはには素晴らしくきれいに見えた。それは基礎がしっかりできている証拠なのであろう。結界が解除されたことにより、広がる闇の中に解けるように飛翔し、消えた。

 

「全然刃が立たなかった」

 

 絶対的な、不動の、ある意味仕方がない結果に、なのははつい、言葉を漏らす。

 

<あの少女には何か負けられない事情があるのかと思います>

「うん、分かってる」

 

 自分よりもはるかに強い意志でジュエルジードを欲しているフェイト。目的も気になるが、それに勝るのが

 

「でも、なんであんなに……悲しそうなんだろう」

 

 初対面のときにもあった悲しみの色が、最近さらに濃くなった。それは気のせいではないとなのはの勘が告げている。

 

「何があったの、フェイトちゃん……」 

 

 なのはの疑問に答えるものはいなかった。

 

 

「これで大丈夫」

「ありがとう、ユーノ。大分楽になったよ」

 

いくら非殺傷とはいえ、体にダメージはある。ユーノは自らの能力を生かし、結界の維持と治療役として、ここにきていた。特に結界の維持は重要な役割で、そういった魔法が得意でないアルフにも協力してもらっている。

 

「やっぱり、力不足だなあ」

<気迫に呑まれてしまいましたね>

「いやゆうき、君は強いからね」

 

ゆうきの呟きにユーノが言葉を挟む。

 

「なのはもそうだけど、君達は凄すぎだからね」

 

慰めかと思ったがユーノにそんな様子はなく、客観的に事実を述べているように思えた。

 

「普通なら年単位でかかるものを数日で扱えるようになるんだから」

 

ユーノは魔法を扱う学校をしっかりと出ているだけにその凄さがよく理解できている。

 

「だから、自信を持っていい。君達は凄いと」

 

ユーノ、本心の一言だった。

 

「君達なら管理局でかなりの……」

 

と、ユーノの言葉が不自然に途切れ、顔が真っ青に染まっていく。

 

「ど、どうしたのユーノ」

「そ、そうだ。管理局が来たらどうしよう」

「ああ、それなら」

<私に考えがあります>

 

いつもと同じでありながら、自信がかなりあり、頼もしくように感じられる音声でシャイニングハートがその考えをユーノのにも話し出した。

 

 

 

 

 

「あいまいな推定でも魔導師ランクAAオーバー」

「しかも、それが4人」

「幸いなのはそれが1勢力じゃないことだねえ」

 

地球の衛星軌道上に―-見つからないように細工は当然して――停泊しているアースラの艦橋では先程行われた戦闘データを整理していた、エイミィ、クオン、シオンが思わず溢す。

 

「目的が分からないだけあって、下手な犯罪者集団より厄介だよ」

「見たところ、前衛2の中衛後衛2だから結託されると苦戦しそうだなあ」

「そうなったら、執務官組3人でないとだね」

 

苦戦するとは言ったが負けるとは言っていないというところに自信が見える。

 

「どう思いますか艦……長?」

 

 と、アースラの責任者である、リンディに意見を求めたところで、言葉が途切れる。なぜなら、そのリンディが顔面蒼白の状態で、戦闘データを眺めていたからである。

 

「か、艦長!?」

「うわあ、リンディ艦長が蒼白なんて……写真撮ろう」

「ねえさん、さり気に弱みを握ろうとしないでください」

 

 三者三様の反応を見せている内に、リンディが再起動し、ただ一言。

 

「私が出ます」

 

 と、言い放った。

 

 

 

 

 

 

「「「えええええええ!!」」」

 

 まさかの言葉に普段飄々としているシオン、常に凛として責務を果たさんとするクオンも驚きの声を上げる。

 

「か、艦長自らだなんて、一体どうしてですか」

「下手するとこの艦が潰されるからよ」

 

 そう言いながら、リンディが端末を操作し、戦闘データの、ゆうきが持つデバイスを拡大させて、投影する。

 

「これは……白い女の子と色違いのデバイスですよね?」

「2人の使用する魔法の類似から、姉妹機だと思われますが、これが何か?」

「このデバイスはユウコが使っていたデバイスよ」

 

 と、先日出した写真データと共に、現役時代にプロパガンダの一環撮ったとして、制服を身に纏い、デバイスを起動させている写真を表示させる。

 

「ホントだ……」

「自分の愛機を渡すということ、面影があることからおそらく子供だと考えられるわ」

 

 たしかによく見ると、ゆうきには面影があり、親子といわれたら信じるほど。更にリンディはユウコのデータを表示させる。

 

「管理局至上、2人しかいない規格外の存在がデバイスなしとは言え暴れたらこの艦は軽く……いえ、局の半分は持ってかれるわ」

 

 ユウコ・タカマチ。魔導師ランク EX(規格外) 簡単な文字がある種の絶望を告げていた。

 

「しかも、もう片方も必ず出てくる」

 

 キース・ミリアルド。魔導師ランク EX(規格外)。その文字がさらに絶望を深める。

 

「2人できれいに管理局は滅ぼされるわ。陸海空全てね」

 

 リンディの言葉に沈黙せざる得ない3人。

 

「さて、ちょっと準備するから、離れるわね」

「あ、はい」

「クロノにも伝えといてね」

 

 そう言いながら艦橋を離れ、アースラの自室、艦長室へと向かう。備え付けられているパネルに暗証番号を打ち込み、扉を開ける。初期から完備されている調度品以外にも個人で持ち込んだのもあるが、それほど物は多くない部屋である。

 

 その部屋の一番奥の壁を、一定リズムで叩く。すると壁の一部がスライドし、暗証番号打ち込むパネルが表れる。そして、この部屋に入るより長い番号を打ち込むと、さらに壁がスライドする。その先にあったのは、1通の封筒だった。

 

 それを取りだし、一枚の手紙を取り出す。

 

「全てが予言通りになってるわね、キース」

 

 それはキースからリンディに渡されたものでこう綴られていた。

 

 ――リンディ、君があるロストロギア追って現地名『地球』に来るとき、4人の魔導師による戦闘を目にするだろう。その4人は管理局の未来を担う才を持ち、連なる悲劇を断ち切る力を持つだろう。そして、友人である君にお願いがある。ゆうこのデバイスを持つ男の子は一目で分かると思うが私達の子供だ。その子のどうか力になってほしい。

 

「全て貴方は分かっていたというの? 自分達が消えることも」

 

 ――その時、私達は確実にこの世存在しないのだから。

 

 その手紙を今まで信じていなかった、信じようとしなかった。同期であるリンディはあの2人の理不尽さが誰よりも理解できている。

 

 どれだけ自分が巻き込まれただろう、どれだけ自分がその圧倒的な力に嫉妬し、憧れただろう。どれだけ……

 

 数えればきりがないほど2人との思い出がある。だからこそ、信じられない、2人が存在しないなど。

 

「今回限りは、予言が外れてほしいわね」

 

 たとえ2人の予言が100%当たると知っていたとしても、リンディは願わずにはいられなかった。2人の健在を。

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