「なにか倒れてる!!」
横たわっている動物から出血はないものの、ボロボロで弱っている事が一目見て分かった。なのはが駆け寄り、腕に抱え込む。
「なのはって……あんなに足速かったっけ?」
「なのはちゃん、その動物は?」
アリサとすずかが追いついたが2人とも息切れをしていた。どうやらなのはとゆうきは相当速く走ったみたいだった。
「分からない。でも、ケガしているみたい」
「近くに動物病院はないの!?」
「……着いてきて。たしかこっちだから」
アリサに従い、一行は動物病院を目指した。
「ケガはそんなに深くないんだけど、衰弱しているわね」
「大丈夫なんですか?」
「暫らく安静にしていれば大丈夫よ」
「よかった……」
院長の言葉で安心する4人。
「院長先生ありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ、このフェレットをここに運んでくれてありがとね。そのままにしていたら最悪、死んでしまったかもしれないから」
「これってフェレットなんですか?」
「獣医として恥ずかしい事なんだけど、多分。変わった種類で、体の大きさとか明らかに分かる特徴と飼われる頻度からフェレットかなって」
5人ともフェレットを見つめる。
「そういえばこのフェレット、ゆうきと似たような宝石ぶら下げているね」
「たしかに……」
ゆうきが首から下げている白い宝石を出す。フェレットの下げている宝石は赤よりも真紅と言ってもいいくらいで、とても綺麗だった。2つを比べるとよく似ていた。
「誰かのペットかしら?」
「それしては去勢されてないのよね。普通、フェレットをペットにする場合は去勢する筈なんだけど……」
「あ、起きた」
話していると、そのフェレットが起きた。自分が倒れた場所から景色がかなり変わった事に戸惑っているのか、辺りを見回す。
暫らく見回すと、なのはとゆうきの中間辺りで視線が止まった。
「なのはちゃんとゆうき君、見られているよ」
「うん」
ゆうきがゆっくりと手を伸ばして触ろうとすると急に怯え、なのはに飛びつく。飛びついてきたフェレットを何とかキャッチして、腕に抱える。
「な、なんで逃げるの?」
「手を伸ばしたからじゃないの?」
「まだ、慣れてないんだよ」
「それにしてはなのはの方に逃げたけど……」
「な、なんでだろうね?」
と、なのはの腕の中でフェレットは丸くなり、再び眠り始める。
「ど、どうしよう……」
「ゆっくり置いてみて」
院長に言われた通りゆっくりと置くと、目覚めることなく置けた。
「とりあえず、今日は安静にした方がいいから。預かるわね」
「お願いします」
「ちょっと、やる事があるから待っていて」
院長が部屋の奥に消える。
「そういえば、なのはとゆうきが言っていた、声ってどうなったの?」
「あの動物を助けたら、聞こえなくなったよね」
「なんだったんだろうね?」
ケガをしている動物に気を取られた事もあるが、その時には声が聞こえなくなっていたのだった。
「もしかして、あのフェレットなのかもね」
「はい、これ。ここの連絡先。何かあったらここに連絡してね」
「はい」
「って、もうこんな時間! 塾に遅れるわよ」
アリサが時計を見ると塾開始までもうあまり時間が無かった。4人は大急ぎで塾に向かったのだった。
その夜、ゆうきはなのはの部屋にいた。
「メール、送信っと」
「それにしてもよかったね。あのフェレットを飼う事ができて」
なのはの家は翠屋という喫茶店営んでおり、その仕事上ペットを飼う事ができない可能性があった。アリサとすずかはそれぞれ犬と猫を飼っている為、飼う事はできない。つまりフェレットの受け入れ先がない状況になる所だったのだ。幸い、なのはとゆうきがしっかり面倒を見るという条件で飼う事が許可されたのだった。その事を今、2人にメールしたのだった。
「それにしてもなんだったんだろうね。あの声」
と、疑問に思った瞬間、2人に大音量の耳鳴りがする。
『誰か……僕の声が聞こえますか』
「なのは! あの声だ」
『聞こえたらお願いです。僕を助けて!』
昼間聞こえたあの声と同じ声だった。しかも昼間よりも鮮明に聞こえた。
「ゆうき君!」
「行こう!」
2人は誰にも見つからない様に慎重にかつ迅速に家を飛び出す。どこに向かうかは分からなかった。しかし、どこに向かうべきか感覚が理解していた。その感覚に従い、向かった先はあのフェレットがいる動物病院だった。
「ここって……」
「中に入ってみよう」
2人が中に入ろうとした瞬間、轟音が辺りに響いた。
「なんなの!」
なのはの疑問に答えるかのように、動物病院の壁を突き破り、何かが飛び出してくる。月明かりに映し出されたのは、あのフェレットだった。落ちてくるフェレットの下には偶然にもなのはがいた為キャッチする。
「僕の声を聞こえたんですね」
「えぇぇぇ!」
「フェレットがしゃべった!」
驚きの声を上げるが、それ以降は驚く暇さえない。崩れた病院の壁から何かが出てきて地面に着地する。月明かりに照らされたその姿は犬だった。しかしただの犬ではない。ギリシャ神話を少しだけ知っている者ならば、その姿を見てとある名を叫ぶだろう。その名は
「ケ、ケルベロス!」
ケルベロスは鋭い牙を月明かりで光らせながら低く唸る。その3つの頭は2人を真っ直ぐ見ていた。ケルベロスは突如、2人の所に突撃してくる。
「なのは! 避けて!」
「きゃあ……!」
2人は分かれる様に横に倒れ込む様に跳び込みケルベロスの突撃を避ける。ケルベロスは勢い余って木にぶつかった。
「な、なんなの!」
「なのは!」
なのはがゆうきを見ている隙にケルベロスがに突撃する。地面に倒れ込んでいるなのはがその突撃をまともに受けるのは不可避な未来だった。
「なのは!」
このままではなのははケルベロスに殺されてしまうかもしれない。そう思った瞬間、ゆうきの心が孤独の闇に包まれる。
――――なのはが死ぬ? 僕はまた1人になるの?
ゆうきが両親の死から立ち直れた最大の理由、それはなのはの存在だった。なのはがいなければ、今のゆうきはいなかった。
――――そんなのは嫌だ。なのはを……僕を助けてくれたなのはを守るんだ!
孤独の闇から灯る決意の炎。しかし、現実は決意だけでは変えられない。変える為には力が必要だった。
――――力が……力が欲しい。なのはを守れる力を!
その瞬間、世界が静止したかの様な感覚におそわれる。
『願いなさい』
それと共に謎の声がゆうきに響く。その声はどこか懐かしく、安心すら覚える程だった。
『何をしたいのか願いなさい。力を求めなさい。未来を変えたいのならば』
なのはが恐怖のあまり目を瞑る。来たる衝撃を覚悟して。ケルベロスが目前に迫り、その牙がなのはの身を引き裂こうとした時
「なのはに触れるな!」
そんな声と共に拳がケルベロスに撃ち込まれ、病院の内壁にめり込む様に吹き飛ぶ。その拳を放ったのはただ1人。
「ゆうき君……?」
なのはが見たのは自分を庇う様に前に立つゆうきだった。
よく見るとゆうきの両方の拳、両足に明るい黄色の炎の様な物が纏わりついている。
「ゆうき君、それは?」
「分からない」
と、吹き飛ばされたケルベロスが再び突っ込んでくる。
「ゆうき君!」
「大丈夫」
なのはの心配の声にニヤリと笑い答える。
ケルベロスの突撃をわざと紙一重で避けて、右腕のアッパーを腹部に向けて繰り出す。まともに食らったケルベロスは空中に吹き飛ばされた。
「やった!」
「いや、まだだ!」
フェレットの声に従うかの様に、宙に放られたケルベロスの首が突如伸びる。ゆうきを危険と判断したのか、伸びた3つの首はゆうきだけを狙う。
「ゆうき君!」
「大丈夫!」
ゆうきはギリギリまで迫る首を引きつける。牙がゆうきの体に食い込むかどうかの瀬戸際に、身を捩りかする程度に済ませる。咄嗟に避けられた事で、ゆうきに当たる筈だった3つの首は地面に刺さる様にぶつかる。その隙に首の1つを掴み本体を引き寄せる。
ゆうきに引き寄せられた事で真っ直ぐ落下してくるケルベロスの体。それを待ち構える様にゆうきは構え、右手に力を込める。右手に纏っていた明るい炎の様なものは他の部位にあったものをそこに集めたかの様に大きくなる。
「砕け散ろ!」
大きく突き出した拳は、落下してくるケルベロスの体にジャストタイミングで当たり、体を粉々に砕く。
「凄い……」
「生身であれを倒すなんて……」
驚愕の言葉を口にする。
「なのは、どこかケガはない?」
「だ、大丈夫」
地面に座り込んでいるなのはに手を出す。なのははそれに掴まり、立つのを手伝ってもらう。その際、当然ながらゆうきはなのはの方を向いている。それ故気づけなかった。ケルベロスの残骸が地を這い集まっている事を。
「ゆうき君! こっちに!」
「えっ?」
ゆうきの背後に黒い大きな腕が振り下ろされ、牙に劣らない程の鋭い爪がゆうきを引き裂こうとしていたのだ。なのはが咄嗟の判断でゆうきを引き致命的なダメージにはならなかったが、本当に咄嗟だった為に、力の加減ができず、引かれたゆうきの勢いに負け、ゆうきがなのはに覆い被さる形に倒れ込む。
「まずい!」
再び振り下ろされる腕。この体制では避ける事はほぼ不可能だった。せめて自分の体でなのはを守ろうと、ゆうきがその身で受けきる覚悟をする。しかし、その覚悟はいい意味で裏切られる。
ゆうきは目を瞑り、来たるべき痛みに備えていたが一向にこない。目を開けると、緑色の半円が2人を守っていた。
「これは……」
「すみません。僕の魔力が中々回復しなくて」
フェレットが謝ってくる。話の内容からだとこの半円はそのフェレットが出したものらしかった。
「特にゆうきさんには無理をさせてすみません」
「それはいいから、これは?」
「魔法と言われるものです」
「「魔法?」」
自分達を守っているのが未知のものだという事は分かった。ゆうきとなのははそれぞれ、地面に座り、フェレットを正面にする。その間も黒い腕が半円を叩くが、何故か安心していられた。
「僕達の魔法は、自然摂理や物理法則をプログラム化して、それを自由に書き換えたりする事で作用させます。このサークルプロテクションやゆうきさんがさっき手足にあった炎の様なものが魔法ですね」
「あれが!?」
「はい。僕も驚きましたが」
数秒不思議に思っていたが、ケルベロスの叩く音で現実に戻される。
「君は一体……」
「僕は君達とは違う世界から来ていてある物を探す為、この世界に来ました」
「その探し物とケルベロスって、どういう関係が?」
「あれはおそらく僕の探し物が異相体と言われる状態になったもので、簡単に言えば暴走したものです」
「その他の探し物も暴走する危険性があるの?」
「はい……」
フェレットが申し訳なさそうに頷いた。
「あれを止めるにはどうすればいいの?」
「封印すればいいんですけど、僕の力は弱くて封印できないんです。ただ、君達には僕とは比べものにならないくらい魔法の素質があります。自分勝手なお願いですけど、僕の探し物を手伝ってくれませんか」
2人は顔を見合わせ小さく頷いた。
「やるよ、私達」
「ありがとうございます」
フェレットが頭を下げて感謝の言葉を言う。
「で、どうすればいいの?」
「実は問題があって、これをやるには少し時間がかかるんです。その間、もしかしたら僕の魔力が持たないかもしれない」
本当に申し訳なさそうに項垂れる。
「その魔法で違う所に移動させたりできないの?」
「できますけど、あれを飛ばすことは今の僕の魔力じゃ……」
と、そこにゆうきがフェレットに質問をした。異相体を飛ばすのかと思ったフェレットはできないと答えた。ところが
「なら僕ぐらいは飛ばせる?」
ゆうきが思わぬ事を質問した。数秒の後それがなんの意味なのかなのはとフェレットは気づいた。
「ダメだよ、ゆうき君!」
「なのは、僕は何故か魔法が使える。その魔法の効果は動いた感覚だと、身体能力の強化だと思う。合ってる?」
「おそらく……」
「時間が掛かるのなら、稼げばいい。それができるのは僕だけ」
「でも!」
なのはが本当に心配そうにゆうきを見つめる。
「大丈夫。僕を信じて」
「……絶対だよ、ゆうき君」
「うん」
なのはの言葉に力強く頷くゆうき。
「あと3回攻撃されたら、その直後に僕をあれの上に跳ばして」
「分かりました」
1回目、ゆうきは目を瞑りながら息を吐く。2回目そのままの状態で、息を吸う。三回目、目を開ける。
「転送!」
「うおぉぉぉ!」
フェレットの転送の言葉と同時にゆうきの姿が暴走体の真上に正確に転送される。重力に従い、落下していくゆうきはそれを利用して魔法で強化された拳をさらに重い一撃とした。上からの奇襲に異相体は反応できず、まともに食らう。しかし、その拳は貫く事ばく、暴走体の体にめり込むだけで終わる。
「ゆうき君、危ない!」
なのはの声と共に体の一部が変化し、ゆうきを捉えようとする。異相体の体を魔力で強化された蹴り強く踏みつけて難を逃れる。
「僕達も始めよう」
「うん」
「まずはこれを持ってください」
首に下げていた真紅の宝石を外す。
「そしたら、目を閉じて、心を澄まして」
なのはは言われた通りに、目を閉じ、心を澄ます。すると真紅の宝石がそれに応える様に鼓動を刻む様な錯覚がしだす。
「管理権限、新規使用者設定機能フルオープン。これから僕が言う言葉を繰り返して」
「う、うん」
さらに意識を澄ませる。
「風は空に、星は天に」
「風は空に。星は……天に……」
鼓動が一つ大きくなる。
「不屈の心はこの胸に」
「不屈の心はこの胸に……」
真紅の宝石が温もりを持ち出す。
「この手に魔法を!」
「この手に魔法を!」
まるで真紅の宝石が身体の一部になったかの様な錯覚と共に、紡ぐべき言葉を紡ぎだす。
「「レイジングハート、セット・アップ!」」」
その瞬間、桜色の柱が表れた。
「くっ!」
ゆうきの顔が苦痛に歪む。右足首の辺りから血が出ていた。半円に入る際、直撃は免れたものの、足首に爪の一撃を食らっていた。その影響で、ゆうきの動きから次第にスピードが失われていく。今ではさっきの様にギリギリまで引きつける事などできず、本当の意味で紙一重になっていく。
「しまった!」
暴走体の爪を避けた途端、その体一部から縄の様なものが放たれ、ゆうきの右足と左腕を拘束される。それを振り払おうとしている隙に黒い一撃がゆうきに迫る。
――――なのは、ごめん。
心の中でなのはに謝るゆうき。しかし、
「ゆうき君、おまたせ」
その必要はなかった。先程とは逆にゆうきを庇う様に前に出る。桜色の円が異相体を阻む。桜色の円にぶつかった黒い足は粉々に砕け散る。警戒したのか、異相体は電柱に上に上る。
「その姿は……」
なのはの服装純白のものに変わり、おそらく通っている私立聖祥大学付属小学校の制服が元になっているのだろう。そして左手には紅と白金の杖が握られていた。
「私も分からないけど、レイジングハートがやってくれたの」
〈
杖の真紅の球が音声を発する。無機質でありながら、魔法がどんなものか分からない2人には頼もしさが感じられた。
「これからどうすればいいの?」
〈
「封印?」
〈
「大威力魔法?! と、とりあえず、あれをゆうき君達から離さなきゃ」
〈
なのはは地面を蹴り、宙に浮く。
危険度がなのはの方が上と判断した異相体は体の形を変え、翼を生やし、宙に出たなのはを追う。その後体の一部を再び鞭の伸ばし、なのはを捕らえようとする。
〈
レイジンクハートが靴から光の羽根を伸ばし、攻撃を避けられる様に誘導していく。次々と攻撃がなのはを襲うがそれらはレイジングハートによって防ぐか、避けていた。
それをただ見ている事しかできないゆうき。
「僕は何もできないのか」
偶然にも強化の魔法を使用できたゆうきは、流石に飛行魔法はできなかった。と、ゆうきにある事を思い出す。自分の首に下がっている白い宝石を取り出した。
「そ、それはまさか……!」
「お母さん……僕に力を貸して!」
その瞬間、巨大な光の柱が出現する。
『貴方には平穏に過ごしてほしかった』
柱の中で聞こえたのはあの懐かしさと安心感を懐く声だった。それは間違いなく白い宝石から発せられていた。その声の正体はゆうきにも予測できていた。
『力を持つ者にそれは許されない事なのでしょうか……』
まるで嘆くように、自分に問いかける様な声が響く。
『この力を取れば、平穏はなくなり、戦いの日々になるでしょう。それでも力を望みますか?』
「たとえそうなろうとも、僕は力が欲しい」
『ならば手にしなさい、絶望を希望に変える力を』
その瞬間、体の一部に何かが溶け込む様な感覚がする。
「我が心は希望を見出すもの。我が光は希望を照らすもの」
自然と言葉を紡いでいくゆうき。
「そして、我が力は全てを貫くもの! この手に希望を!」
白い宝石を手に握る。
「シャイニングハート、セット・アップ!」
光の柱がより一層巨大になる。そして、ゆっくりと光の柱は収束していく。収束した柱の中心には、ゆうきが立っていた。なのははと同様、服装がかなり変わっていた。上半身はどっしりとしていて、逆に下半身の方はすらっとしており、杖をもつ右手は鋭利な爪の様な装飾が施されていた。
「いくよ、シャイニングハート」
〈
ゆうきに応え、靴から光の羽根を伸ばし、宙に出る。
「いきなりで、悪いんだけど戦闘だけどいける?」
〈問題ありません。私はマスターを全力でサポートします〉
出会ったばかりなのに、まるで長年の付き合いの様にしっくりきていた。
「ありがとう。じゃあ……いくよ!」
〈
シャイニングハートの音声と共に、光の球が一つ出現する。
「シュート!」
ゆうきの声と共に打ち出される光の球。その光の球はなのはを捕らえようと奮闘している異相体の体を貫いた。
「ゆうき君!」
「なのはだけを戦わせはしないよ」
貫かれた異相体は体を3つに分離させる。ゆうきが来て1対2という数の不利を分離する事で3対2になり、有利に変える。
「レイジングハート、大威力魔法での封印ってどうやるの?」
〈
「なら、僕とシャイニングハートが隙を作る。やれるよね。シャイニングハート」
〈
3匹がゆうき達に襲い掛かろうとする。それに対処する為、ゆうきの近くに光る球が一つ出現した。
「シュート!」
放たれた球は襲い掛かる異相体の一匹を貫く。しかし、残りの2匹を貫くことはできず、そのまま、襲い掛かってくる。
〈
シャイニングハートが反応して防御する。
「ゆうき君!」
「なのはは封印に集中して!」
力を込めて、2匹を押し返す。
「シャイニングハート、もっと数を出せる?」
〈
「上手く操るには?」
〈
「了解!」
目を閉じてイメージする。その間にも貫かれた1匹は再生し、再び3匹で襲い掛かる。
「ゆうき君!」
「ディバイン……シューター!」
ゆうきの周りに6個の球体が出現する。
「貫け!」
ゆうきの声と共に放たれる6個の球体は同時に、しかも正確に3匹を蜂の巣にする。
「なのは!」
「レイジングハート!」
〈
レイジングハートからまるで天使の羽が広がる。その杖先に4つのリングが現れる。
「ゆうき君、1か所に纏められる?」
「簡単……だよ!」
貫かれては再生を繰り返していた異相体を球体で中央に寄せる。
「なのは!」
「うん。お願い!」
〈
放たれたのは一筋の光り。その光は奔流となり、異相体を跡形もなく消し飛ばした。
「終わった……?」
「多分……」
地上に降りたなのはとゆうきが目にしたのは青い宝石が3つ落ちていた。
「これが……」
「それをレイジングハートで触れて」
「うん」
なのはがフェレットに言われた通りに杖でふれると、杖の中に光る何かが入った。
「封印できたのか?」
「はい、できました」
なのはとゆうきが持っていた杖は宝石に、不思議な服は消えてしまった。
「とりあず、うちに来たら?」
「いいんですか?」
「魔法とか、あれとか色々知りたいしね」
なのはがフェレットを抱える。
「こんな夜遅くに家を出て怒られないかの方が心配だね」
「そうだね……お母さんとお父さんが怒ってなければいいけど」
残念ながら、ゆうきの心配は当たり、こってり怒られる事になった。