「まずは自己紹介からしようか」
なのはの部屋にはゆうきとフェレットが集まっていた。
「私は高町なのは。なのはでいいよ」
「僕は高町ゆうき。ゆうきって呼んで」
「僕の名前はユーノ・スクライアです」
「ユーノ君か……」
「う、うん……」
なのはが微笑みながら、ユーノを呼ぶ。微笑みながら呼ばれた為、ユーノは若干顔を赤くした。
「で、ユーノの探し物ってあの青い宝石でいいのかな? あれってなに?」
「あれはロストロギア、ジュエルシードと言われるもので、さっきみたいな暴走が簡単に起こってしまう危険なものなんだ」
「なんでそれが私達の世界に?」
「それは……」
なのはが疑問の声を口にすると、ユーノは目線を下に落とす。
「僕のせいなんだ。僕は故郷で遺跡の発掘をしていて、古い遺跡の中にあるジュエルシードを発見したんだ。ただ危険なものだという事はすぐに分かったから、然るべき所に送っていたんだけど……」
「だけど?」
「途中で事故が起きて、この世界に散らばったってしまったんだ。そして回収できたのは貴方達が手伝ってくれた、あの3つだけで……」
「あと何個あるの?」
「……20個あります」
「そんなに……」
1個でも危険なのに、それが20個もあることに驚きを隠せないなのは。
「それでもやるしかないよね」
それに対して、ゆうきはとても落ち着いていた。
「僕達には力がある。守れる力が」
「いいんですか?」
「正直言って、何をいまさらなんだけどね」
「ご、ごめんなさい……」
どことなく沈んでいた空気はゆうきによって幾分か明るくなっていた。
「まぁ、僕はユーノの探し物を手伝うよ。なのはは?」
「勿論、私も手伝うよ」
「なのは……ゆうき……ありがとう」
ユーノが涙を浮かべながら、礼を言う。
「じゃあ、夜も遅いし寝ようか」
「うん」
「おやすみ、なのは」
「おやすみ」
ゆうきとユーノは部屋から出ていく。
「僕は下だから」
「おやすみ」
「おやすみ」
ユーノは下に降りる。ユーノの寝床は姉の美由希の希望でリビングになっていた。ゆうきは自分の部屋に移動する。ゆうきの部屋には物はあまりなく、ベッドと机があるくらいだった。
その机の上には写真が飾られていた。1つは高町家での写真。もう1つは
「お母さん、お父さん」
ゆうきの両親の写真だった。覚えているかどうかの歳で両親と別れたゆうきにとって、唯一姿を確認できる写真だった。小さなゆうきの両肩に手を置き、優しげに微笑んでいるのはゆうきの母のゆうこ。茶色の髪に紫色の瞳、ゆうきに色濃く面影を残している。その横で同じように微笑んでいる黒髪、黒い瞳の男性は父のキース。2人がとても仲のいい夫婦である事は、疑う余地がなく、幸せそうな家庭に見えた。
ゆうきはそれを、暫らく見た後、静かに倒し見えないようにする。その写真には懐かしさと、寂しさの両方をゆうきに感じさせたからである。
「シャイニングハート、僕達も自己紹介しようか。僕の名前は高町ゆうき」
<
「僕が魔法を使えたのって、お母さんとお父さんが魔法使いだったって事だよね?」
ゆうきはシャイニングハートに、問いかける。
〈
「僕は遺伝って考えるけど、なのはは?」
シャイニングハートに更に質問していく。その口調は事実の確認をしている様に淡々としている。
〈
「その影響で狙われる危険性は?」
〈
「たとえば?」
〈
「最悪の場合、どうなる?」
〈
相も変わらない、無機質な音声がゆうきに死の可能性を告げる。
「そうだよね」
それなのにゆうきはとても冷静に受け止める。
「でも、魔法の特訓をして強くなったら?」
〈
「上等。シャイニングハート、訓練メニューを組んでくれない?」
〈
「ありがとう。じゃ、おやすみ」
〈
同刻のとあるビルの屋上に、人工的な光を放つ町を見下ろしている少女と少年がいた。
「ここが、第97管理外世界、現地名称地球……」
少女の美しい金髪が月明かりに照らされ、風で棚引いている。身に纏う漆黒の服装と儚げな雰囲気から、その美しい髪を残して夜の闇に溶け込んでしまいそうだった。
「ここに母上の探し物があるのか」
少女の傍に立つ少年は同じように漆黒の服装をしており、その身から放つ雰囲気は、まるで抜き身の刀の様に鋭く、武人という言葉がぴったりであった。
「行こう、エクス。母さんの探し物を見つける為に」
その翌日の朝、海鳴市にある公園にゆうきは1人でいた。その手にはここに来る途中で買ったのか、3つの缶ジュースが握られていた。
「ええっと……シャイニングハート、聞こえる?」
〈
魔法を使いし者、魔導師が声に出さずに会話する方法、念話でシャイニングハートと会話する。
〈この訓練は、マスターの最も優れている能力、マルチタスク能力と空間認識力を活かす思念誘導系の魔法、ディバインシューターの訓練です〉
シャイニングハートの説明と共に、魔力で作られた弾が6つ現れる。
〈
「次の段階?」
〈
「分かった」
と、ゆうきは缶のジュースを飲み干す。
〈
「覚えているよ。じゃあ、いくよ!」
3つの空き缶をそれぞれ宙に放る。それと同時に浮いていた魔力弾が1つの空き缶につき2発ずつ追う。缶が落下しようとした瞬間、魔力弾が缶の下を弾き、回転させながら真っ直ぐに上げる。真っ直ぐに上げる為には、缶の下を正確に捉える必要があった。さらにある程度の高さになると上からも弾いていく。下、上と交互に弾くことにより、缶が一定距離を行ったり来たりする。それを3つ同時にこなしていた。シャイニングハートの補助があるとはいえ、魔法を使い始めてから1日と経たないにも関わらず、それをやれるゆうきには、ユーノの言う通り、素質があると言えた。
〈
「くぅ……」
シャイニングハートの移行の知らせの直後、ゆうきがの顔が苦痛に歪む。今まではシャイニングハートが完全に補助していたが、その補助を緩めたのだ。自転車で言うなれば、補助輪をはずした状態。そして、今ゆうきの脳には膨大な量の情報はストレスとなってゆうきに押し寄せている。膨大なストレスにより、魔力弾のコントロールが乱れ、缶が真っ直ぐ上がらなくなる。
〈
「……分かった……」
シャイニングハートの言葉に従い、2つの缶を自分の近くに落とし、それを弾いていた魔力弾を消し、1つの缶と2つの魔力弾に集中する。ゆうきの顔からは苦痛は消え、だんだんと真っ直ぐ上がる様になっていく。
〈
「よか……った……」
シャイニングハートの訓練終了の音声に安心したのか、今までのストレスの影響か、不意にふらつく。
〈
「大……丈夫。ちょっと疲れただけだから」
暫らくその場で深呼吸して、息を整える。
「時間は?」
〈
「了解」
訓練で使った缶を近くにあった、缶のごみ箱に入れ、その場を後にした。
家に帰ったゆうきは気づかれない様に中に入り、なのはの部屋前に立ち、朝という事で弱めにノックして起こす。
「なのは、朝だよ起きて」
暫らく待ってみたが、返事がない。ノックを強めるが返事がない。ゆうきの頭に昨夜のシャイニングハートとの会話を思い出す。
「なのは、入るよ」
一言入れてから、部屋の中に入る。部屋は特に変わった様子がなく、なのはは未だベッドで寝ていた。
「考えすぎか……」
杞憂で終った事に胸を撫で下ろす。ゆうきは本来の目的であった、なのはを起こすことにしたのだった。
「ここはこの様にして……」
先生が黒板に問題の解き方を解説していく。今は学校で算数のなのは達は受けていた。小学3年生とはいえ、私立校であるため、その授業内容は普通の小学3年生が学ぶには難しいものが多くあった。
「シャイニングハート、いいよ」
そんな中、ゆうきはシャイニングハートに念話で合図する。
〈
その瞬間、ゆうきを取り巻く景色が教室から空中へと急激に変わる。
〈
「OK。習うより慣れろで分かりやすい!」
ゆうきは仮想空間の空を駆けだした。空中にはチェックポイントが設置されており、それを制限時間内に回らなければならないというゲーム形式になっていた。またあらゆる場所に動く障害物が仕掛けてあり、最初のトレーニングにしては難易度が高いとすら思える程だった。
「この問題をゆうきさん」
「はい」
現実世界では、ゆうきが先生に問いを当てられていた。ゆうきは席を立ち、黒板に歩いていく。
「ゆうき君、がんばって……」
何を頑張ればいいのかとなのはの言葉に苦笑しながら、目で「大丈夫」と伝える。しかし、なのはが頑張れと言った理由は、その問題の難易度にあった。その問題はとても難しく、現に成績優秀なアリサと理数系は得意ななのはでさえ現在進行形で解答中だった。
「あと、1つ!」
仮想空間では、ゆうきは空を駆ける。初めのうちはおっかなびっくりといった部分が目立ったが、順応性が高いのか、仮想空間とはいえ飛ぶ事に慣れていた。迫りくる障害物の速度、自分の飛行速度の2つを考慮して取るべき道を選んでいった。
「はい正解です。じゃあ、これは解けるかな?」
先生が黒板に新たに問題を書いていく。書き終わると先生が離れ、ゆうきに問題を見易くする。問題を数秒眺めた後、チョークを手に持ち、答えを書いていく。
「これで……終わり!」
その頃、仮想空間ではゆうきがゴールしていた。驚く事はゆうきが仮想空間でのトレーニングと、解答を同時に行っている事だった。先程の問題はトレーニング前に解いていたと考える事ができる。だが、今現実世界で解いている問題はそうではない。つまり、ゆうきは仮想空間での飛行、現実世界での計算を同時進行で行っており、飛行は魔法初心者という意味で、問題は高難易度という意味でどちらも複雑な思考を要した。それを同時にこなしていたのだった。
「せ、正解です。よくできました」
ゆうきが出された難しい問題をあっさりと正解した事に驚く先生。
「戻って大丈夫ですか?」
「い、いいですよ」
ゆうきは席に普通に戻り、座る。
「ゆうき君、凄いね」
「算数は得意だからね」
念話でも普通に会話するゆうき。なのは側から見たら、ゆうきがトレーニングしながら授業を受けているなどと、思わないだろう。
「さて、次行きますか」
「次って?」
「こっちの話だから、気にしないで」
「?」
ゆうきは学校でずっとトレーニングをしていたのだった。
「じゃあね、なのはとゆうき」
「また明日」
アリサとすずかは習い事の為に車で帰る。普段ならば、それを惜しむのだが、ジュエルシード探しをする2人には丁度良かった。
「ユーノ君、おまたせ」
「じゃあ、始めようか」
「2人とも、よろしく」
2人と1匹が移動しようとした矢先、巨大な魔力の反応を感じた。
「この感じ!」
「多分、こっち!」
反応のあった方向へと駆け出す。
「ユーノ、たしか結界魔法使えるよね?」
「つ、使えるけど……」
「今、展開できる?」
「今展開しちゃうと、異相体との戦闘で展開できなくなっちゃう」
「了解。なのは、ちょっとごめんね」
「えっ?」
ゆうきが一言入れた後、なのはを抱えた。その状態は俗に言うお姫様抱っこの状態である。
「え? え?! えぇぇ!!」
「ユーノ、僕の肩に乗って」
「わ、分かった」
「じゃあ、行くよ!」
ゆうきはなのはを抱え、ユーノを乗せて走り出す。飛んでいる所を見つけられると問題になると思い、魔力で足を強化し速く走る事にしたのだが、女の子と抱えて異常な速度で走っている時点で問題であり、爆走小学生という名で海鳴市の七不思議の1つに加わることになるのだが、2人は知らない。
「ゆ、ゆうき君。重くない?」
「全く」
なのはは頬を軽く赤く染めながらゆうきに質問するが、ゆうきは不思議と重みは感じなかった。
「スピードアップだ!」
爆走小学生は更に速度を上げたのだった。
「到着……?」
「なんで疑問形?」
「いや、感覚で来たから」
着いた場所は森が生い茂り、その中央には大きな湖があった。あまりにも静かである為、ここであっているか心配になったなのは達だが、その心配は杞憂に終わる。
突如として、巻き起こる魔力反応その大きさはなのはクラスだった。
「ユーノ!」
「結界発動!」
一般への認識妨害と被害防止の為にユーノが結界を発動させる。
「なのは!」
「うん」
「シャイニングハート!」
「レイジングハート!」
「「セット・アップ!!」」
ゆうきとなのはが光に包まれる。その光が晴れると、昨夜の姿に変わっていた。
「行こう、ゆうき君」
ゆうきにそう声を掛けるなのはの心の片隅に恐怖が無いと言えば嘘だった。正直言うならば怖い。異相体という非日常の塊に追われ、襲われた記憶は下手したらトラウマに一直線である。
「うん」
しかし、なのははそれに立ち向かう。なのはは1人ではない、ゆうきがいる。不思議な事にそれだけで強くなれる気がした。
2人は地面を蹴り、宙に出る。2人は空から、ユーノは地上からジュエルシードを捜す。と、何かの爆発音の様なものが辺りに響き渡り、爆煙が上がる。その正体は異相体である事は間違いないが、その場所が移動していた。どうやら何かを追っている様だった。
「レイジングハート!」
異相体がいるであろう場所へと文字どうり突撃しようとするなのはを空いている左手で制する。
「なのは、僕より前に出ちゃダメ」
「ど、どうして! もしかしたら誰かが追いかけられているかもしれないんだよ!」
「今、前に出たら危ない」
なのはの焦りと困惑の声にゆうきは落ち着いて答える。
「そこにいるのは誰ですか?」
「え?」
なのははゆうきが誰に話しかけているのか分からなかった。しかし、ゆうきの言葉に応じたかの様に、1人の少年が2人の前に現れる。その身に纏わせるのは漆黒の鎧、その鎧は動きを阻害しない様に設計されながらも防御を損なうことない。そしてその手には剣が握られていた。刃を除き灰色の剣は、
「気配に気づくとはな」
「なんとなくだよ。僕の名前は高町ゆうき」
「わ、私は高町なのは。貴方は?」
「私はエクス・テスタロッサだ。すまんが、ここから先は通す訳にはいかないのでな。ここで足止めさせてもらおう」
2人に向けられていた。
「なのは、君は下がっていて」
「でも!」
「なのはは戦う術を知らないでしょ。でも、僕は知っている。こんな時の為に練習したんだから」
「安心しろ、先に行かぬ限り私は彼女に手を出すことはない」
逆を言えばもしなのはが先に進めば斬るという事である。その場合2対1になるのだが、そうなっても別に構わないといった雰囲気があった。
「なのはは見ていて」
ゆうきがなのはを巻き込まない為に離れていく。その際に隙はあるのだが、その意図を理解したのか、エクスは攻撃せずただ一定の距離を保って追う。十分に離れたと判断したゆうきはエクスと向き合う。
「では、始めるか」
「ディバインシューター!」
エクスの言葉と共に、魔力弾を生成し放つ。エクスが避けようと移動するが、思念誘導のディバインシューターはゆうきの誘導を受けて追尾する。
「ほう……」
関心気味に呟いたエクスは回避を止め、逆に魔力弾に突っ込んでいく。攻撃に突っ込んでいく事には驚きだが、それを超える驚愕が待っていた。エクスは自身に迫りくる魔力弾を次々と斬っていったのである。
「シャイニングハート!」
<
ディバインシューターだけでは対応不可と考えたゆうきはシャイニングハートをバスターモードに変え、いつでも砲撃を放てるようにする。魔力弾を斬る際には少なからず隙が生まれる。その隙を狙い砲撃を放とうしているのだ。
「なるほどな」
エクスは一旦間合いを取り、砲撃されてもすぐさま回避、反撃できる様にする。
「これは、一筋縄でいかなそうだな」
<
「分かるか、カリバー」
剣に話しかけるエクス。どうやらエクスの剣、カリバーもゆうきのシャイニングハート同じらしかった。
「こいつはカリバーだ」
<
「シャイニングハートです」
<
エクスはゆうきの実力を認めたのか、自身の相棒も紹介する。それに対しゆうきも同じ様に紹介する。
「フェイトもそろそろ終わる頃であろう。すまないが、そろそろ終わらせてもらおう」
「……」
エクスが身に纏う雰囲気が明らかに変わる。ゆうきはそれを敏感に感じ取り、無言ながらもシャイニングハートを強く握り、備える。
「ソニック」
突如としてエクスがゆうきに迫る。その移動速度は慣れないゆうきにとって、瞬間移動と言えるほどの速度だった。迫りしエクスは剣を振りかぶる。ゆうきはそれを受ける為にシャイニングハートを構えた。しかしその瞬間、エクスの姿が青い残像と共に突如消える。消えた直後、背後に現れるエクス。背後を取ったエクスはゆうきを一閃しようとする。必勝のチャンスのエクスは躊躇うことなく剣を振るった。その瞬間、まるでエクスが背後にいる事を知っていたかの様にエクスの一振りを正確に避け、避けた勢いを利用してシャイニングハートをエクスに振るう。攻撃後の思わぬ反撃に、エクスは剣で受ける選択をする。火花を散らしながらぶつかり合う杖と剣。
「中々やるな……」
「くぅ……」
エクスは喋る程の余裕があるが、それに比べゆうきは全く余裕が無かった。
「だが……」
「!」
不意に剣を押す力を弱める。いきなりの事に体勢を崩すゆうき。エクスは回転しながら体制の崩れたゆうきを避け、今度こそ完璧に背後を取る。そして、鋭い一撃がゆうきに襲い掛かった。
その頃、見ている筈のなのはは1人の少女と対峙していた。その少女は少年、エクスと同じように漆黒の防護服を身に纏い、手には漆黒の斧を手にしていた。
「わ、私は高町なのは。貴女は……?」
遠慮がちに、控えめに尋ねる。
「私はフェイト・テスタロッサ。貴女もジュエルシードを捜しているの?」
と、その手に持つ青い宝石、ジュエルシードをなのはに見せる。先程の爆発音と移動していると見られた異相体は実はこの少女に追われていたのだった。結果はその手にあるジュエルシードが物語っていた。
「う、うん」
「そっか。なら私達は敵かな?」
「ど、どうして?」
「それはね……」
なのはの声に落ち着いて応対するフェイト。その前に自分から敵と言っていたが、それにしては落ち着き過ぎである。
「私にはどうしても願いを叶えてほしい人がいる。そして、その人の願いを叶える唯一の手段がこのジュエルシードなんだ」
「でも……」
「私も貴女も譲れない。なら敵でしょ、私達」
そう話すフェイトの瞳は驚くくらいとても落ち着いていて、よく大人びいていると言われるなのはから見てもとても大人びいていた。
「あ、でも」
敵という発言に暫らく沈黙しているなのはに付け足すの様にフェイトは話し始める。
「敵って言っても、ゲームしない?」
「ゲーム?」
「そう。ジュエルシードを互いに集めているならきっと暴走している場に居合わせるでしょ?」
「うん」
「そこでジュエルシードの封印は協力して行って、どちらが貰うかは魔法で勝負して決めない? 買った方がジュエルシードをもらうって事で。どうかな?」
フェイトの提案はある意味蛇足であった、何故ならお互いに同じものを求めるなら争うのは当たり前で、勝者がジュエルシードをもらうのも当然である。では提案になんの意味があるのか。それは2つの意味であった。
1つ目は協力要請である。ジュエルシードはロストロギアであり、一体どんな事があるか分からない。そこで、自分達だけでは、勿論その逆の時もそうだが、ダメな場合の予備策として協力しようといったのだ。2つ目は実力の向上させる為であった。フェイトはなのはから何かとてつもない違和感を感じていた。暫らく話しているとその違和感の正体が判明した。その体に途轍もないセンスを持ちながら魔法に関して初心者なのだ。そこでゲームを通じて魔法の経験を積ませて強くしようとしているのだ。何故そんな事をするかと聞かれたら、理由は特に思いつかない。なぜかそうした方がいいとふと思ったのだった。
「……いいよ。私もそれが一番いいと思う」
「本当? じゃあ、早速「待って」どうしたの?」
「今回はフェイトちゃんのでいいよ。フェイトちゃんが頑張って封印したんだし」
「本当に? いいの?」
「うん」
なのはに言われたフェイトは自身が握る斧に近づけ、中に入れる。と、フェイトが何かに気づく。
「どうやら、終わったみたいだね」
フェイトの言葉につられてエクスとゆうきの方を見ると、エクスがゆうきの背に剣を当てる形で止めていた。
「不意打ちは本意ではないのでな」
「でも、エクスと真剣勝負なら僕は今頃地に墜ちていたよ」
「負ける訳にはいかんからな」
「ゆうき君」
なのはがゆうきの傍に寄る。
「ごめん、負けちゃった」
「ううん。いいよ」
「エクス」
「フェイト」
フェイトもエクスの傍に来る。
「じゃあ、またね」
「うん」
軽い挨拶を交わし、2人の姿は消える。
「またねってどういう事?」
「帰ったら説明するね」
と、張られていた結界が解除されていく。
「帰ろうか」
「うん」