桜諸刃流免許皆伝の天才剣士   作:反町龍騎

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四振目

 クロノ達と別れてから程なくして、神助は電話を掛けた。

 相手はもちろんミカヤだ。

 

「もしもし、ちょっと話があるんだが、今いいか?」

 

『⋯⋯なんだい?足でまといの戦力外に、何の用があるのかな?』

 

「ひねくれんなよ。話ってのはインターミドルの事だ」

 

 拗ねた声色のミカヤを宥めつつ、本題に入る。

 

「さっきの話でよ、俺前線で動くことになったんだわ。一週間で事が片付かないなら、インターミドルは棄権する」

 

『――そう、か、それは仕方ないね。何せ相手はとてつもない強さなのだろう?』

 

「ああ。だから、ヴィクター達に伝えといてくれ。その時はすまんってよ」

 

『ヴィクター達はガッカリするだろうね。相当、楽しみにしていた様だから』

 

「だろうな。そんじゃ、行ってくるわ」

 

『ああ。気を付けて、五体満足に帰って来るんだよ』

 

「はっ。そんなヤワなやつじゃねぇよ俺は」

 

『知っているとも。それでも心配なんだよ。あれだけの強さを持つ人が怯える程の者と戦うというのが』

 

 深く静かに、ミカヤは深呼吸をする。そして意を決した声色で話す。

 

『君が無事に帰って来たら、話したい事がある。――聞いてくれるかい?』

 

「なんだそりゃ?フラグ立てんなよ。――いいよ、そんときゃ聞いてやる」

 

 ふっ、と短く笑い、ミカヤは静かにありがとうと告げる。それに神助は、なんで礼なんかと笑う。

 

「じゃあ、切るぞ」

 

『ああ。気を付けて』

 

 電話を切った神助は、今自分の目の前にいる男、管理局最強と名高いパルトメスト・アーリーズに視線を向ける。金髪の髪を逆立て、瞳の色も金色。その綺麗な金色の瞳を、ニヤニヤと神助に向けている。

 

「なんだよ」

 

「いやぁ?彼女との電話はもういいのかなと思って」

 

「彼女じゃねえっつうの。俺の女は今も昔も、たった一人だ」

 

「全く、本当に一途だな、お前」

 

 苦笑気味に息を吐いたパルトメストは、先程と打って変わって真剣な表情になり、

 

「聞いているとは思うが、お前は前線で俺と一緒に戦ってもらう。もちろんそれは、アイズ・グランフリートとだ」

 

「他の二人はどうすんだ?」

 

「小鳥遊宗二と腸喰いに関しては、俺となのは、フェイトの三人で相手をする。ただし、小鳥遊宗二には、もしかしたらお前の出番があるかも知れねぇ」

 

「お前らで何とかなるだろ。一対一なんて騎士道精神、お前らにはないだろ?」

 

「ああ、そんな正々堂々なんか真っ平御免だね。だが小鳥遊宗二は義手義足してんだよ。それにAMFの機能を追加してあったという情報があったんだ」

 

「アンチ魔法の魔導師が二人もね。クソほど厄介だな、そりゃ」

 

「そうなんだよ。というわけで、今から捜査、って簡単な話じゃない」

 

「あ?」

 

「俺の信頼に足る情報源によれば、三人は今、ベテルギウスにいるらしい」

 

「なら、そこに行きゃいいだろ」

 

 パルトメストは笑って、馬鹿かと言うと、

 

「そこは管理局でも容易に手が出せない管理外世界だ。犯罪者達がうようよいる、な。そんなとこに俺たちが紋章付けて行ってみろ。即囲まれてフルボッコだ」

 

「返り討ちにすりゃいい」

 

「単細胞かよ。お前だって聞いた事あんだろ?犯罪者しか居ねぇ。歩く度歩く度喧嘩売られちゃ捕まえれるもんも捕まえられねぇ」

 

「なるほどな。ならどうする?相手の動きを待つってのか?」

 

「それもひとつの手ではあるが、そんな奥手じゃダメダメだ」

 

 と、パルトメストは一枚の紙を神助に見せる。

 

「管理局特殊捜査班のアルベド・アラーシャだ。そいつは便利なレアスキル『渡航者(トラベリング)』ってのを持ってる。簡単に言えば、ワープ出来るって事だな。ただ、一度見なけりゃ使えねぇってのが条件だが」

 

「なるほどな。こいつの力で、ベテルギウスに行くって事か?」

 

「まあそういう事になるが、一度こいつに見に行って貰わにゃならん。それに、アイズ・グランフリート達がいる場所もな」

 

「危険な出張だな」

 

「ああ。だからこいつとお前で、ベテルギウスに行ってもらう。もちろん私服でな」

 

「俺の私服はこれだぜ」

 

 神助が今着ているのは、赤を基調とし、黒い線が所々に入り、陰陽勾玉巴が胸元に縫われている着流しだ。

 

「なら別にそれでいいよ。とりあえず、こいつを呼んでるから、来るのを待つか」

 

 数秒の時を空けて、二人のいる部屋がノックされる。ドアが開き、入って来たのは女性。栗色の髪を方まで伸ばし、赤色の眼鏡を掛けていて、理知的な印象を受ける。彼女がパルトメストの言っていた、アルベド・アラーシャだ。

 アルベドは部屋に入り一歩進むと、一度お辞儀をする。

 

「失礼します。アーリーズ執務官、要件とはなんでしょう?」

 

「来たな。用ってのは、ここにいる神助と一緒にベテルギウスに行ってもらいたい」

 

「犯罪者の巣窟にたった二人で、ですか?」

 

「私服で行きゃ、下手なことしねぇ限り何も起きねぇだろ。ま、なんかありゃ神助が何とかするさ」

 

「⋯⋯分かりました。それではまず次元航線まで行きましょう。私はまず、私服に着替えてきますので、少々お待ちください」

 

 次元航線とは、次元世界間を移動する飛空機や列車。それがある場所だ。

 アルベドはまた一礼して部屋を出る。

 

「勝手なこと言うよな、お前」

 

「はっはっは。ま、お前なら何とかするだろ?」

 

「まあ、確かにな」

 

 文句を垂れたが、自身の評価に納得する。神助は紋章を外していつでも行ける状態にと準備する。

 

 

×  ×  ×

 

 

 場所は変わりベテルギウス。

 現在管理局に追われる身である小鳥遊宗二は、自身のデバイスで通信中だ。

 

「そうか、こちらに管理局がやってくるのか。二人で確定だな?一人は山形神助か。こちらも準備しよう」

 

 言って通信を切る。宗二はそばに居たアイズに一言。

 

「行ってくる」

 

 とだけ言うと、アイズも分かったと返す。

 すると、宗二の目の前の空間が歪み、人一人通れるサイズの穴が出来る。その穴に、足を踏み入れながら、「気持ち悪くなるんだよな、これ」と文句を呟く。

 宗二が歩みを進めると、穴は閉じた。

 先程まで穴があった虚空を睨み、アイズは口を開く。

 

「これがお前の、最終試験だ。愛も、情も、何もかもを捨てなければ、俺はお前を認めない。だから、管理局の戦力を何人か殺してこい」

 

 無論、返事はない。それでも、アイズは言葉を紡ぐ。

 

「お前がいなければ、俺の計画は完成しないのだから」

 

 疑念と信頼。その両方をもって、アイズは待つ。宗二の帰りと、朗報を。

 

「何もなければ、お前と娘を、先に殺すだけだ」




次元航線は多分原作に無いと思います
勝手に作りました
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