ポケットモンスター Let’s Go! ピッピ   作:ディヴァ子

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アオイ:「ナナシマがもっとフューチャーされてれば、オレンジ諸島みたくナナシマ限定のリージョンフォームとか出たんじゃないかと妄想してみたり」


花園のお嬢様とオーレンの片鱗

 そして、大した苦も無く最終ステージへ。

 ……いや、あのね、さすがにここまで来て、レベル40前後とは言え、マダツボミだのナゾノクサだのタマタマだの、タネポケ程度に押し負けるとかね、あり得ないのよ。タイプもまる被りだし。

 特にミニスカートのミサコさん、マダツボミ三連星は止めろ。将来の就職先はキキョウシティで尼さんかな?

 という事で、二人のファルコンで一匹残らず串焼きの刑に処してやった。さすがタイマン勝負が大の苦手なくさタイプ、力押しに弱い。進化して出直しなぁ!

 ちなみに、ムコニャ(変装済み)とマツリカちゃんは見学のみで、最初こそはちゃんと応援してくれてたものの、途中からは仲良くニビあられをボリボリ食い散らかしてやがった。ぶっ殺すぞ。

 そんなこんなで、お目当てのエリカお嬢様にご対面。

 少し緑掛かった黒髪のおかっぱ頭に赤い櫛を差し、上が黄緑で下が紅色という組み合わせの袴姿をした、まさに大和撫子な風貌。顔立ちも優し気というか、ゆる~い感じで、おっとりした性格なのが窺える。親友ミカンちゃんとの会話を聞く限り、腹の内は若干黒いようだが……。

 さて、そんな自然(とからかい)を愛するお嬢様のエリカさんだが、

 

「ZZZzzz~♪」

 

 開幕早々、安定の立ち居眠りをかましてくれた。フジ老人といいカビゴンといい、何か寝てる奴ばっかりだな。コッチヲ見ロォ~!

 

「おっと、いけない。あまりにも良い陽気で、ついつい眠ってしまいましたわ」

「さいですか」

「あらあら、お爺様にお客様? それとも、わたくしへの挑戦者かしら? 言っておきますが、いくらわたくしを説得しても、シルフカンパニーに取り入る事は出来ませんよ?」

 

 ああ、こいつ穴久保版なのか。マジもんのお嬢様じゃん。

 LPLEでは生け花教室の他、この若さでタマムシ大学の講師を勤めたりしてるらしいけど、こっちだとどうなんだろうね。本人曰く「いくら脅しても無駄」らしいし、本格的な関りはまだ無いのかもしれない。

 あるいは、ジムリーダーとしての矜持か。ウダウダ言ってないで、実力で屈服させてみろ、と。袴姿の似合う大和撫子とは思えない、随分と強気な女性である。

 なら、こっちもそれに応えてやろうじゃないか。もちろん、先鋒はこの私ィッ!

 

「……そんな事に興味はないわ。私は貴女を倒しに来ただけよ」

「あらあら、試合の申し込みですの? そんな……わたくし、負けませんわよぉ?」

 

 ――――――ジムリーダーのエリカが勝負を仕掛けて来たっ!

 

「お願いしますわ、モンジャラ!」『ジュラァン!』

 

 エリカの一番手はモチのロン、ツルじょうポケモンのモンジャラ(Lv48)だ。

 今作では進化出来ないが、特攻種族値100から放たれる特殊技の威力は馬鹿にならない。

 さらに、意外と忘れられがちだが、モジャンボになる前から防御種族値が115もあり、低いHPを差し引いてもかなり固く、不一致の弱点攻撃程度では落とせない事も多々ある。突くとしたら特殊技で、だろう。

 

「なら、この子だ! お願い、ヒナゲシちゃん!」『ヒィリリリリィィッ!』

 

 という事で、特殊アタッカーのヒナゲシちゃん(Lv50)を召喚。ヘドロ爆弾がまだ無いのが少々不安だが、毒を食らわず草も半減(あと粉技無効)という意味では、彼女こそがモンジャラの相手をするのに相応しい。

 

「モンジャラ、「ヘドロばくだん」!」『オヴェェエエッ!』

『ラァッ!』「うへぇぁっ!?」

 

 チクショウ、向こうは搭載してんのかよ!

 どいつもこいつもズルしやがって……私にもくれよ、ヘドロ爆弾っ!

 

「ヤロー! ヒナゲシちゃん、「ようかいえき」で弱らせてから「ムーンフォース」!」『ヒィリリリィン!』

 

 しかし、所詮はタイプ不一致かつ等倍の威力。大したダメージにはならず、ヒナゲシちゃんはすぐさま立て直し、まずは溶解液で抜群を取りつつ特防を下げ、ムーンフォースを叩きこむ。ただでさえ40しかない特防種族値を更にダウンさせたんだから、効果が今一つだろうと関係ない。

 

『モジャラァァ……!』「お疲れ様ですわ、モンジャラ」

 

 怒涛の連続攻撃で倒れたモンジャラがボールに戻っていく。

 

「頼みましたよ、ラフレシア!」『ビュリリリィィッ!』

 

 お次に繰り出されたのは、切り札である筈のラフレシア(Lv50)。原色と色違いとのミラーマッチとは、胸が熱くなるな。

 

「ラフレシア、「ヘドロばくだん」!」『……ゥゥゥラァッ!』

 

 そして、このヘドロ爆弾である。だから、私にも技マシンを寄こせと、あれ程……っ!

 

「躱して「メガドレイン」!」『ラァイフチュッチュ!』

 

 むろん、二度も同じ手を食う程間抜けでもないので、躱させてメガドレインをお見舞いする。お花の蜜が美味しんじゃ~♪

 

「「メガドレイン」!」『フラワーッ!』

 

 すると、今度は向こうもメガドレインを発動。お互いに命を吸い合う形になる。

 

『『ラァアアアアアアアアアアアアッ!』』

 

 両者、一歩も譲らず吸って、吸われを繰り返し、

 

『ラァ……!』『リリィッ……!』

 

 同時に力尽き、倒れた。そりゃあ、同レベルで同程度のダメージを受けた状態で吸収技を撃ち合ってたらそうなるよね。

 

「お疲れ様です、戻って下さい」「よくやったわ、ヒナゲシちゃん」

 

 各々の花を労い愛でつつ、次のポケモンを召喚する。

 

「討ち取りなさい、ウツボット!」『カァアアアッ!』

「やったれ、ハヤテ!」『フォグルドォヴッ!』

 

 バトンを繋いだのは、ウツボット(Lv50)とハヤテ(Lv50)。これまた同レベル対決だ。何気に同格同士の戦いってしばらくしてないから新鮮だ。

 

「ハヤテ、「ネコにこばん」!」『ケァアアアアアアアッ!』

「ウツボット、躱して「ヘドロばくだん」!」『カァォッ!』

 

 だぁぁぁかぁぁぁらぁああああっ!

 これ見よがしにヘドロ爆弾使うなっつぅのぉおおおおおっ!

 大体、お前ステータス的には物理寄りだろうが。覚える技的に特殊寄りじゃないと差別化難しいけど。

 どうでもいいけど、こいつのどこにウェザーの要素があるんだろう。だったらオムスターがパワージェムを覚えたり、マグカルゴが卵産みを習得したっていいじゃないか。ブースターにフレアドライブ振ってる場合じゃないんだよ!

 

「クソがぁ! 小判に小判を小判まくれ!」『キェエイッ!』

「いや、ちょ、あの……眩しっ!」『キャアアアアアアッ!』

 

 うるせぇ、天罰覿面だ。そのままムスカってろ。

 

「トドメだっ! 「ドリルくちばし」!」『ホォグルルッ!』

「させませんわ! 「ふいうち」よ!」『キャォオオオッ!』

 

 だが、見えないながらも不意打ちを的確に当ててくる辺りは、さすがジムリーダーと言ったところか。ポケモン界における命中率は「100と0以外は信じるな」、はっきり分かんだね。

 だからいい加減外させて下さい、お願いします……あ、駄目ですか、そうですか。だったら早く倒せよ!

 

「もう一発「ドリルくちばし」!」『ケァルゥン!』

「ウツボット、「メガドレイン」!」『カァアア!』

 

 ハヤテのドリルが、ウツボットの見えない力が、光を伴い交差する。

 

『ホォグルドォッ!』『カァォォ……!』

 

 結果は、ハヤテの圧勝だった。そりゃそうだよね。いくら「100と0以外は信じるな」って言っても、外れる時はちゃんと外れるから。パワーウィップとかいう賭けに走らなかっただけ、まだマシだろう。

 さぁさぁさぁ、大人しくメガドレインの技マシンとレインボーバッチを貰――――――、

 

「切り札を使うしかないようですね! お行きなさい、フシギバナ!」『バァナァアアヴォッ!』

 

 知ってた。マチスも手持ちが四匹だったし、エリカお嬢様(・・・・・・)な時点で、こうなるとは思っていたよ。

 だけどさ、居眠り→ヘドロばくだんと来て、フシギバナの天丼ネタは止めーや。何で皆フシギバナを使うんだ。もっとリザードン使いなさいよ。カメックスはブルーが使ってたから許す。

 あと、ヘドロ爆弾は使うなよ!? 絶対に使うなよ!? フリじゃないからね!?

 

「行って、アカネちゃん!」『ピッピャーッ!』

「「パワーウィップ」で迎え打ちなさい、フシギバナ!」『バァナァアアッ!』

 

 よしよし、ちゃんと別の技を使ったね。

 しかし、タイプ一致パワーウィップの直撃は結構キツい。アイアンテールより威力あるからな。

 

「くそっ、アカネちゃん、「コズミックパンチ」!」『オラーッ!』

「倒れる訳にはいきません! フシギバナ、メガシンカ!」『バァヴォオオオオオッ!』

 

 さらに、アカネちゃんの渾身のコズミックパンチを、メガシンカして耐え切る。

 チクショウ、メガシンカ(それ)も天丼かよ、吸血植物みたいな声しやがって!

 

「フシギバナ、「じしん」で動きを止めてから「メガドレイン」!」『パァヴァァォッ!』

 

 重量級の身体がジムを揺らし、どこぞのアタック光線のような物が放たれ、アカネちゃんに大ダメージを与える。コスモパワーを引いてなかったらヤバかった。

 

「トドメですわ、「ヘドロばくだん」!」『パァヴァアアアアッ!』

 

 そして、このヘドロ爆弾である。いい加減にしろぉぁっ!

 

「頑張れ、アカネちゃん! 「ウルトラクッキング」!」『ドリャッピー!』

 

 だが、アカネちゃんは何とかメガドレインを持ち堪え、嫌がらせのようなヘドロ爆弾を悲しませまいと耐え切り、反撃として新たに習得していた「ウルトラクッキング」をお披露目した。

 技の分類はほのおタイプの特殊攻撃で威力は150もあり、与えたダメージの半分の数値だけ体力を回復するという破格の性能。

 また、この技中は長帽子のコック姿にコスチュームチェンジしており、手にはモンスターボールのような中華鍋とオタマを持っている。攻撃方法は相手を粒子化させてから鍋に吸い込み、そのままクッキングして食べてしまうという、割とおっかないものだ。

 しかし、相応のデメリットはあり、次のターンは反動で動けない上に素早さがガクッと下がってしまう。

 さらに、本来は「反動で動けない!」と表示すべき所を、この技は――――――、

 

『ブビッ!』

 

 ――――――アカネは太ってしまって動けない!

 

 そして、これである。ピンチを乗り越え、会心の逆転劇を決めたと思ったら、この有様だ。どいつもこいつもいい加減にしろ。

 アレだな、この技は余程の事が無い限り使わないようにしよう、そうしよう。可愛くないもん。

 私は絶対に、この子をギエピーにはしないぞ! これもフリじゃないからね!?

 ……何かもう手遅れな気もするが、気のせいである。

 

『ギュバァァァァ……!』「フシギバナ……っ!」

 

 何とも言い難い技で倒されたメガフシギバナが哀愁をさそう。再生怪獣、永眠って感じ。

 ともかく、これでエリカの手持ちは全滅させた。技マシンもバッチも我々の物だっ(キリ○マ感)!

 

「お強いのですね。いいですわ、レインボーバッチを差し上げましょう……それと、この技マシンも。さっきの戦いでも使われた、「メガドレイン」ですわ」

 

 活躍頻度で決めるのなら、ヘドロ爆弾下さいお願いします。

 まぁ、貰って困る物ではないし、バッチは必要不可欠な物なので、ありがたく頂戴するが。

 

「……そちらのお方も、挑戦ですか?」

「当然だぜっ!」

 

 その後、シンくんも恙なく勝利を修め、バッチをゲット。フシギバナにメガドレインを覚えさせた。

 ちなみに、現状の面子と技構成はこんな感じ。

 

《私のメンバー》

◆相棒ピッピ(アカネ)Lv52:「ゆびをふる」「ウルトラクッキング」「コズミックパンチ」「ムーンフォース」

◆オニドリル(ハヤテ)Lv51:「ネコにこばん」「ドリルくちばし」「ドリルライナー」「とんぼがえり」

◆ラフレシア(ヒナゲシ)Lv49:「ようかいえき」「メガドレイン」「ムーンフォース」「どくどく」

◆スピアー(アキト)Lv50:「どくづき」「ミサイルばり」「げきりん」「こうそくいどう」

◆ニドクイン(アンズ)Lv51:「どくづき」「かみくだく」「いかりのまえば」「ドリルライナー」

◆イーブイ(ユウキ)Lv50:「めらめらバーン」「いきいきバブル」「びりびりエレキ」「どばどばオーラ」

 

《シンくんのメンバー》

◆相棒プリン Lv57:「ふわふわドリームリサイタル」「ころころスピンアタック」「トライアタック」「かなしばり」

◆相棒ピカチュウ Lv55:「ばちばちアクセル」「10まんボルト」「ふわふわフォール」「でんじは」

◆ピジョット Lv58:「ねっぷう」「エアスラッシュ」「すなかけ」「はねやすめ」

◆フシギバナ Lv55:「メガドレイン」「やどりぎのタネ」「どくのこな」「まもる」

◆アローラガラガラ Lv56:「シャドーボーン」「フレアドライブ」「ホネブーメラン」「おにび」

 

《マツリカちゃんのメンバー》

◆バリヤード(バリバリ)Lv48:「サイコキネシス」「ひかりのかべ」「リフレクター」「マジカルシャイン」

◆プクリン(おやかたさま)Lv49:「マジカルシャイン」「トライアタック」「10まんボルト」「はかいこうせん」

◆アローラキュウコン(キュウ)Lv49:「ふぶき」「マジカルシャイン」「あやしいひかり」「さいみんじゅつ」

◆ウィンディ(バウワウ)Lv66:「じゃれつく」「おにび」「げきりん」「フレアドライブ」

 

 ハヤテは完全に偵察要員、ピジョットは威力偵察機みたいな構成になってるわね。アンズちゃんとアローラガラガラは物理アタッカー、フシギバナは居座り型に変化しつつある。これで毒々の技マシンが手に入ったら、更にえげつない事に……。

 マツリカちゃんの手持ちはレベル以外の変化が殆どないものの(氷の石はカンナさんから貰ったそうな)、バウワウは相変わらずレベルが先走っている。全速前進DA☆!

 あ、そうだ。

 

《ムサシの手持ち》

◆アーボック Lv52:「どくづき」「じしん」「かみくだく」「へびにらみ」

◆ラフレシア Lv50:「ヘドロばくだん」「はなびらのまい」「ムーンフォース」「まもる」

◆カブトプス Lv43:「いわなだれ」「たきのぼり」「アクアジェット」「きゅうけつ」

◆プテラ Lv35:「いわなだれ」「そらをとぶ」「かみくだく」「ステルスロック」

 

《コジロウの手持ち》

◆マタドガス Lv52:「どくどく」「へどろばくだん」「クリアスモッグ」「まもる」

◆ウツボット Lv45:「パワーウィップ」「どくづき」「ふいうち」「つるぎのまい」

◆オムスター Lv43:「ハイドロポンプ」「れいとうビーム」「まもる」「からをやぶる」

◆カビゴン Lv35:「あくび」「ねむる」「ずつき」「ばかぢから」

 

《ニャースの相棒》

◆ミュウ Lv52:「サイコキネシス」「あくのはどう」「かえんほうしゃ」「10まんボルト」

 

 ムコニャの手持ちがこれ。まだ見ていないが、ウツボット持ってたのかコジロウ。ムサシがラフレシアを持っているのは若干違和感があるが、もしかしたらあのそっくりさんのせいかもしれない。

 というか、案外いわタイプ率が高いな。ニビジムで修行でもして来たらどうだい?

 つーか、ミュウの持ち主ニャースになってんのかよ。コジロウの手持ちと見せ掛けて、そっちが本命か。何でやねん。翻訳してくれるからか。

 さて、回復を済ませたら、タマムシシティのどこかで途方に暮れている筈のタケシへ会いに行くとしよう。挨拶しに来ただけなのに出禁食らうとは可哀想に。タマムシジムは男子禁制だから仕方ないね。

 まぁ、同情も金もくれてやらないし、通路の警備員に賄賂する為のお茶を分捕るだけなのだが。不憫な男だ。

 

「……いないなぁ」

 

 回復後はすっかり陽も傾いて来たので自由時間としたのだが、何故かタケシが見付からない。原典ではタマムシデパートの近くにいる筈なのに。

 どしよう、このままだとお茶が貰えず、ゲートが通れな――――――、

 

「あ、いた」

 

 いた。それもタマムシジムの前に。こいつ、まさか……。

 

「……っ、違う! これは違うんだぁっ!」

「いや、何も言ってないよ!?」

 

 ――――――ジムリーダーのタケシが勝負を仕掛けて来たっ!

 

「何でだよ!?」

 

 だが、ポケモンバトルは始まってしまうのだった。

 

「い、行けぇ、イワーク!」『クゥルヴォォオオオォォッ!』

 

 初手はいきなりの切り札、イワーク……なのだが。

 

「クリスタルイワーク、だと……!?」

 

 それはいわ/じめんタイプの通常種ではなく、全身がヒンヤリとした結晶で構成された、クリスタルなイワークだった。

 えっ、この世界、オレンジ諸島あるの!?

 いや、その前に、こいつ何タイプだ!?

 おせーて、ポケモン図鑑!

 

◆イワーク(オーレンのすがた)

 

・分類:てつへびポケモン

・タイプ:はがね/こおり

・レベル:55

・性別:♂

・性格:ずぶとい

・種族値: HP:75 A:45 B:160 C:85 D:105 S:90 合計:560

・図鑑説明

 地中の奥深くで静かに暮らす。オーレン諸島の豊富なクリスタルが身体を構成する鉱物に変化を与え、この姿になった。口から吐く冷凍ビームは眼前の全てを凍てつかせる。

 

 オーレン、しょとう……?

 オレンジ諸島、もしくはナナシマの代替えか?

 それにしては専用のリージョンフォームがあるみたいだし、重要マップっぽいな。他にもオーレンの姿があるのだとしたら、是非とも見てみたい。

 ……と、今は目の前のオーレンイワークか。

 水に強く火に弱いというアニポケの設定を尊重したのか、はがね/こおりタイプになっている。いわとじめんをどこに忘れて来た。能力も何となく特殊寄りになってるし、合計種族値もまるで違う事から、別物と見るべきだろう。

 というか、赤の他人のポケモンをスキャンするとこんな表示なのね。さすがに技構成までは分からないかー。

 

「頼むわよ、ユウキ!」『ブイッ!』

 

 ここはユウキの出番ね。めらめらバーンがあるし。

 え、アカネちゃんのウルトラクッキングがあるだろうって? そんなの知らんなぁ。

 大体、こんな耐久寄りのポケモンを相手に反動技なんぞ使ってたらジリ貧になるわ。技構成も分からないのに、そんな危険な真似は出来ない。

 決して、太るのが嫌だからとか、そんな理由じゃない。ないったらない。

 

「イワーク、「れいとうビーム」!」『コァアアアアアッ!』

 

 オーレンイワークの冷凍ビームがユウキを襲う。

 チクショウ、こいつ、こんな図体して素早さ種族値が90もあるんだよなぁ!

 

「ユウキ、「めらめらバーン」!」『イィィブィッ!』

 

 しかし、やる事は変わらない。まずは四倍ダメージと確定火傷を負わせ、スリップダメージを稼ぐ。

 

「イワーク、「ラスターカノン」!」『ヴォヴォォオオッ!』

「躱して「どばどばオーラ」!」『ブッブゥゥイ!』

 

 さらに、どばどばオーラで光の壁を張って、被弾ダメージを減らす。これで場は出来上がった。あとはガンガン行こうぜ!

 

「イワーク、「冷凍ビーム」!」『コァアアアアッ!』

「うぐぅっ……耐えて「めらめらバーン」!」『ブゥゥ……ィイイイイッ!』

 

 敵の冷凍ビームを壁越しに耐え、反撃のめらめらバーン(火傷ダメージ込み)で仕留める。

 

『グォォオォォ……!』「ギャーッ!」

 

 タケシが倒れたオーレンイワークの下敷きになっているが、知った事じゃない。襲い掛かって来たのはそっちだからね。

 そもそも、ポケモン世界の住人はやたら頑丈なので、たぶん大丈夫な筈。

 

「ぬぐぐぐ……ふぅ……落ち着いた」

 

 ほらね。重さ200キロ超えの巨体に潰されても、落ち着いて対処すればこの通りである。さすがタケシ、何ともないぜ。

 まぁ、それはそれとして、

 

「何で覗きなんかしてたんですか?」

「いや、だから違う! シルフの社長さんからエリカさんに届け物を頼まれたんだが、何故か入れてもらえなくてな。もしかしたらジム戦で忙しいのかと思い、ずっと待っていたんだが……」

「そこ、男子禁制なんですよ」

「何だとぉ!? ば、馬鹿な……!」

 

 本当に不憫な男だなお前は。

 

「良かったら、お届けしましょうか?」

「おおっ、それは助かる! それと、これは迷惑代だ。受け取って欲しい」

 

 そう言って、タケシは「おーいニビ」という冷たい(目で見られそうな)緑茶とニビあられ、何かのフリーパスチケットを差し出してきた。お茶とあられはいいとして、このチケットは何だろう?

 

「それはオーレン諸島を行き来できるフリーパスチケットだ。オーレン諸島はカントー本土とは環境がまるで違い、それに合わせて姿形が変わった珍しいポケモンがたくさんいるから、是非訪れてみるべきだぞ。俺の隠し玉である、このイワークもそこで手に入れたんだ」

「おおっ……!」

 

 これは素晴らしい贈り物じゃないか!

 LPLEでは何故か存在を抹消されたナナシマの代わりにして、リージョンフォームの先駆けっぽいポケモンが多数生息していたオレンジ諸島の要素も取り込んだ、魅惑の離島・オーレン諸島。これは行くしかないっしょー。

 さぁ、早く用事を済ませて、シンくんたちと合流だっ!

 

「ありがとうございます、タケシさん! このお礼は三分くらい忘れません!」

「そこは一生にしておいてくれ。俺もちょくちょく行ってるし、向こうで会えたらよろしくな」

 

 そして、タケシとお別れを済ませ、エリカお嬢様にお届け物をして(その際、「またヨワシのパイですの? わたくし、これ好きじゃありませんのよね……」というアレな台詞を頂いた)、シンくんたちにオーレン諸島の事を話した。

 ちなみに、集合場所はいつものポケセン――――――ではなく、何とホテル。イーブイを探すのに夢中で気付かなかったけど、タマムシマンションがホテルになっていたのだ。

 正確に言うと、ホテルではなくデイリーマンションで、名前もタマムシマンションのまま。探していなくとも気付けなかったかもしれない。ゲームにはいらない要素だからね、そういうの。

 蛇足だけど、私たち三人とムコニャの二組で、複数人用の大部屋を一つずつ使っている。

 いや、別に全員個別に出来るっちゃ出来るけど、小市民特有の勿体無い精神が働きまして。ロケット団員は社宅として利用出来るから、更に料金が下がる上に期限もないって言うし。申し訳なさ過ぎて個室なんて使えません。

 アポロさん、ずっと影の薄い最高幹部(笑)とか思っててごめんなさい。メッチャ良い人やん、アンタ。

 何にしろ、久々にまともな個室だし(ポケセンの宿泊施設はタコ部屋かカプセルホテル形式)、思う存分休むとしよう。

 ……で、今は隣接されたレストランでお食事中。ポケモン世界も便利になった物ね。

 

「へー、凄いじゃないの!」「オーレン行きのチケットは高い上に色々規制があるから、なかなか行けない事で有名なんだぜ?」『それをフリーパスでゲットするとか、もはや意味不明にゃ!』「すごいすごーい」

 

 ムコニャとマツリカちゃんが、和風のステーキやハンバーグをがっつきながら、次々と称賛の言葉を贈ってくれる。

 ハハハハハ、そうだろう、凄かろう。もっと言って、もっと褒めて。これは私のお手柄ですよ~♪

 

「スッゲェじゃん。……でも、離島を探索するなら、せめてヒジュツ・ミズバシリやヒジュツ・オシダシくらいは覚えておきたいよな」

「それもそうね」

 

 シンくんのおかげで冷静になって気付けたけど、確かに離島マップはミズバシリやオシダシが無いと辛い。そうなると、最低でもセキチクシティを攻略しないと駄目か。

 いや、せっかくだからヤマブキジムもクリアしていくか。まだロケット団は事を起こしてないし、何かあれば連絡が来るだろうから、動くタイミングを掴みやすい。嵐が吹き荒れる前に、さっさと攻略してしまおう。

 グレンジムは母上様に近況報告するついでに。正直、あんまり負ける気しないからね。純正ほのおタイプしかいないもん。

 トキワジムは……アレだし、除外する方向で。楽しみは最後に取っておいてこそでしょ。

 

「じゃあ、まずはヤマブキシティに行ってから、セキチクジムとグレンジムを攻略して、それからオーレン諸島に行こうか」「そうだな」「わかったー」

「なら、アタシらはちょっとジム巡りでもしてくるわ」「サカキ様からも、幹部に相応しい実力を付けて来いって言われてるしな」『移動もプテラとギャラドスのおかげで楽ちんだから、スイスイ行ける筈にゃ』

 

 おっと、しばしムコニャとはお別れか。

 ま、今の三人の実力なら、そう苦労せずクリア出来るだろうし、セキチクジムをクリアしたらまた一緒になるんだから、別に寂しくも何ともないけど。

 

「……さっさとクリアしてきてよね」

「ハイハイ、分かってるわよ」「心配しなくても、幹部確定の俺たちが、そんなミスをする訳ないだろ」『大船に乗ったつもりでいるのにゃ~♪』

「おう、頑張れよー!」「ふぁいとー」

 

 そんな感じで私たちは部屋に戻り、眠りに着いた。ベッドに三人、川の字でした。イヤン♪

 さぁ、明日からは少し忙しいぞ。何せピンクの汚い忍者にエスパー少女(強)、熱血クイズおやじを倒さなきゃいけないからな。

 大丈夫、時間は掛かるだろうけど、私たちなら勝てる。

 大した月日じゃないけど、キミたちと積み重ねた時間は、今までの人生で一番に濃密で、楽しい日々だから。

 

 だから行こう、シンくん、マツリカちゃん。ポケモンマスターに続く、未来へのロードを……。




◆オーレンの姿

 カントー地方の最南端であるオーレン諸島に見られるリージョンフォーム。基本的にカントー地方のポケモンしかおらず、“他のリージョンフォームがあるポケモンはオーレンの姿に変質しにくい、もしくは全くしない”“他の地方で進化後が発覚しているポケモンは、進化出来ない代わりに種族値が同等レベルに上昇する”“メガストーンやZクリスタルなどの影響下にあるポケモンは変化しないが、逆に最終進化形でもオーレン諸島に居続ければ変化する可能性がある”などといった特徴がある。
 オーレンの姿は島中にある“青い輝石”の放つ「オーレン粒子(見た目は青い素粒子。ガラル粒子と似ているが、波長が違う)」が影響しており、濃度が高い場所ではポケモンが巨大化する事もあるという。
 ちなみに、似通った物が赤道付近の大陸にも存在するらしい。
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