ポケットモンスター Let’s Go! ピッピ 作:ディヴァ子
「着いたーっ!」
――――――で、やって来ました、オーレン諸島最北端の島、バンジ島。現実で言う聟島に位置している。
最北端と言うだけあって、温暖なオーレン諸島にしては珍しく涼し目で、島の中心に行く程寒くなる……らしいよ、同船者曰く。何でも、生えている結晶の影響で島ごとに気候や棲み付くポケモンのタイプが変わるのだとか。
ちなみに、バンジ島はこおりタイプが多い。理由は言うまでもなく、この荒涼とした風景とヒンヤリとした気候のせいだろう。
ついでに、付近にあるマゴ島とイア島(現世の媒島と嫁島に当たる場所)は、それぞれはがねタイプといわタイプが多い。
基本的にこれら三つの島は草木が少なく、岩肌が露出した痩せた土地なのが特徴である。畑や田んぼなど夢のまた夢だ。
ようするに、ほぼ無人島である。
住んでいるのは、精々ジムリーダーとその関係者のみ。後は観光客か、私のような好き者だけだ。
だが、修行という観点に関しては、他の島よりも優れていると言えるだろう。何せ無人島だからね。頼れるのは自分と手持ちのポケモンだけ。強くなければ、成らなければ、生き残れない。
また、修行に訪れた各地の強いトレーナーとレイドバトルを通じて仲良くなる、という事も出来る。今日の敵は明日の友みたいな感じに。私に友達を作れるのかは怪しいけど。
そんなこんなで、私はバンジ島への一歩を踏み出したのだが、
「ギャーッ!」
いきなり踏み外した。
踏み外したというか、ズボッと穴に落ちた。何この天然の落とし穴!?
『イヴォァアアアアアアァァクゥゥゥッ!』
「オーレンイワークの掘った穴だったぁ!」
そして、このエンカウントである。ふざけるなよ貴様。主ポケモンじゃなかっただけまだマシだが、それでもオーレンのイワークはキツいよ。先頭アカネちゃんなんだけど!?
いや待て、落ち着け、落ち着いて虚数を数えるんだ。あいつははがねだが、こおりタイプでもある。アカネちゃんの相棒技があれば、楽に倒せる筈だ。タブンネ。
さっそく実戦訓練と行こうじゃないか!
「アカネちゃん、「コズミックパンチ」!」『ドリャッピーッ!』
まずはコズミックパンチで先制打。コスモパワーを誘発して敵の反撃に備える。
『ゴォヴァアアァアアアアアアアッ!』
『ギエピーッ!』「アカネちゃーん!」
すると、まさかのダイヤストームを放って来た。それ幻のポケモンが使う奴やん……。
しかし、こっちは既にコスモパワーを積んでいるので、余裕を持って耐え切った。所詮はポッポに毛が生えた程度の攻撃力か。でも防御が上がるのは痛いな。さっさとご退場願おう。
「アカネちゃん、「ウルトラクッキング」!」『オリャッピーッ!』
『グォォォォ……!』
よし、美味しく頂きましたよ。とりあえず捕まっとけ。モンスターボール!
「フゥ……それにしても寒いな」
ホッと吐いた一息が白い。今気付いたけど、穴――――――と言うか洞窟の中、霰降ってるわ。雪も積もってるし。地下の穴倉なのに、銀世界っておかしくない?
これも、結晶塔の為せる業か……!
「あ、アローラロコンだ」
だが、そのおかげで様々なこおりタイプのポケモンが棲み付いており、目に付くだけでもアローラキュウコン系やアローラサンドパン系、ガラルバリヤードにオーレンイワークなど、色々といる。
それにあれは……ニドランの♂と♀か?
よし、ちょっと調べてみよう。
◆ニドラン♂(オーレンのすがた)
・分類:つららばりポケモン
・タイプ:こおり
・レベル:35
・性別:♂
・種族値: HP:46 A:57 B:40 C:60 D:40 S:30 合計:275
・図鑑説明
ニドラン♂のオーレンの姿。草木も生えない過酷な環境で、氷を食べて生きていく内にこおりタイプになった。額の鋭い針には毒こそ無いが、刺されると凍傷に罹ってしまう。それでも倒せない敵には仲間を呼んで応戦する。
◆ニドラン♀(オーレンのすがた)
・分類:つららばりポケモン
・タイプ:こおり
・レベル:32
・性別:♀
・種族値: HP:55 A:47 B:52 C:40 D:60 S:21 合計:275
・図鑑説明
ニドラン♀のオーレンの姿。草木も生えない過酷な環境で、氷を食べて生きていく内にこおりタイプになった。鋭く頑丈な前歯は氷塊をも噛み砕いてしまう程に強い。強い敵には群れて対抗する。
へぇ、こおり単タイプなのか。進化したらこおり/じめんになりそう。近くにいたニドリーノやニドリーナもこおり単タイプだったし。
それとあの寝てるデカい奴は……オーレンのカビゴンか。何かフッサフサの雪男みたいになってるんですけど。
◆カビゴン(オーレンのすがた)
・分類:ふゆごもりポケモン
・タイプ:こおり/フェアリー
・レベル:71
・性別:♂
・種族値: HP:180 A:110 B:110 C:35 D:110 S:5 合計:540
・図鑑説明
寒冷地に進出し、怠け癖に拍車が掛かった。人生の殆どを冬眠して過ごし、夏の僅かな間のみ活動する。覚醒中の食欲は凄まじく、周囲のありとあらゆる生き物を食べ尽くしてしまう。その量、一日にして5トン。食べれば食べる程に成長する為、手が付けられない。
うん、象熊かな?
こおりタイプは受けに向いてないけど、ここまで硬い上に攻撃力もあるとなると、相当に厄介な要塞である。この世代にトリックルームが存在しないのが悔やまれる性能ね。それでも強いけど。問題はこおりとフェアリーの物理技自体がそこまで威力がない事だが、サブウェポンだけでも充分な気もする。
いやぁ、怖いなこいつ。せっかく眠てるんだし、そっとしておこう。
……と、思ったんだけどねぇ。
――――――モサッ。
「ん?」
何か踏ん付けたか?
『コパァァァル!』
「オーレンのコンパン踏ん付けちまったぁ!」
オーレンコンパンでした。毛が真っ白で触角が氷みたいになっとる。
◆コンパン(オーレンのすがた)
・分類:ゆきむしポケモン
・タイプ:むし/こおり
・レベル:41
・性別:♂
・種族値: HP:60 A:40 B:50 C:65 D:55 S:35 合計:305
・図鑑説明
寒冷地に適応した姿。どんな寒さもフサフサした体毛のおかげでヘッチャラ。食事の時以外は丸まって過ごす。雪景色の中に潜むコンパンを見付けるのは至難の業だ。ただ、分からな過ぎて間違えて踏まれる事も多い。
雪原のイシツブテポジションになったのか。何て迷惑な奴だよ、こんな時に!
『コッパァァアアアッ!』
「ドワォ!」
踏ん付けられて激おこぷんぷん丸になったオーレンコンパンが、オーロラビームを放って来た。
『ニドァッ!』
それ自体は避けられたのだが、射線上に運悪くオーレンニドラン♀がいて、バッチリ直撃。
『ニドニド!』『ギャウッ!』
どう見てもオーレンコンパンのせいなのだが、そんなの関係ねぇとばかりに仲間を招集、群れを成して襲い掛かって来た。
余談だが、オーレンコンパンはさっさと逃げ出している。クソッタレがぁ!
「仕方ない。行け、アンズちゃん!」『クィィイイン!』
ここはニドクインという立場を活かして、追い払って貰おう。
ちなみに、オーレンに旅立つ前に技の見直しをしている。それがこちら。
《私のメンバー》
◆相棒ピッピ(アカネ)Lv82:「ゆびをふる」「ウルトラクッキング」「コズミックパンチ」「ムーンライトフィーバー」
◆オニドリル(ハヤテ)Lv80:「ネコにこばん」「ドリルくちばし」「ドリルライナー」「とんぼがえり」
◆ラフレシア(ヒナゲシ)Lv77:「ヘドロばくだん」「メガドレイン」「ムーンフォース」「どくどく」
◆スピアー《メガシンカ》(アキト)Lv79:「どくづき」「とんぼがえり」「げきりん」「ドリルライナー」
◆ニドクイン(アンズ)Lv81:「どくづき」「かえんほうしゃ」「れいとうビーム」「じしん」
◆相棒イーブイ(ユウキ)Lv82:「めらめらバーン」「いきいきバブル」「びりびりエレキ」「どばどばオーラ」
せっかくなので、アンズちゃんには技のデパート嬢になってもらいました。前の構成だと接近戦オンリーだったからね。努力値を全ての能力に振れるピカブイの使用上、特化する意味はあまりない。アンズちゃん遅いし。地震はあの後サカキ様からプテラ便で技マシンを送って貰いました。ありがたや。
もちろん、向き不向きはあるので、アキトとハヤテは物理アタッカーのままだし、ヒナゲシちゃんは特殊技オンリーだ。ユウキに至っては一切変わってないしね。
ある意味一番変わったのはアカネちゃんかもしれない。相棒技もここまで揃うと感無量である。全部で四つあるらしいけど、最後の一つってどんな技なんだろう?
まぁいいや。とりあえず、あの氷兎共を纏めて、薙ぎ払えッ!
『ニドォーン!』『ニャーッ!』『キーィッ!』
直撃した者は瀕死となり、免れた者も一目散に逃げだした。倒れた連中は漏れなくゲットしましたとも。家族が増えたよ(オーレンのだけど)、やったねアンズちゃん!
――――――これで終われば、良かったんだけどなぁ。
『ガァァァゴォオオオオオオオオヴ!』
「あ、ヤバッ……」
アンズちゃんの炎が飛び火して、文字通りオーレンカビゴンの尻に火を付けてしまった。冬眠中に起こされたので、完全にブチ切れている。鳴き声が完璧に伝説怪獣ですよ。
ゴメン、今回は私が悪いや。
つーか、何でこう立て続けに色々起こるワケ!? 穴に落ちただけなのにィ!
だけど、このままむざむざと食べられてしまうつもりはない。倒させてもらう!
「サンドパン、「アイアンテール」!」『パギュウッ!』
『ゴァァアアアッ!?』
しかし、私が覚悟完了する前に、アローラサンドパンが割って入って来た。タイプ一致のアイアンテールが見事に当たり、四倍ダメージを受けたオーレンカビゴンは戦意を喪失し、ゴロゴロと転がって逃亡する。ゴローニャかお前は。
というか、今の声って……?
「お久しぶり。こんな所で何してるの?」
「カンナさん!?」
ハナダシティ以来となる、カンナさんの登場であった。
ひとまず、近況と現状の報告をしよう。かくかくしかじか、冬のバーゲンセール。
「……へぇ、タケシくんからフリーパスを貰ったの。なのにこんな雪塗れの場所で武者修行なんて、貴女も物好きねぇ」
うん、シンくんにも濁してそう言われました。ほっといて下さい。
「そう言うカンナさんはどうしてここへ?」
「えっ? 普通に遊びに来たんだけど?」
サラッと言い切るカンナさん。こんな氷獄に遊び感覚で来るとか、四天王ヤベェ。レベルが違うわ。
「……まぁ、ちゃんとした用事もあるんだけどね」
「と言うと?」
「洞窟の奥に居る子に会いに来たのよ。今度エクストラに挑戦するトレーナーが来るみたいだから」
「うん?」
何か話が見えて来ないな。エクストラって何ぞ?
「ああ、エクストラってのはリーグの難易度よ。「ノーマル」「ハード」「エクストラ」の三つに分かれていて、エクストラは一番レベルが高いのよ」
へー、この世界のリーグには難易度選択なんてあるのか。明らかにヤバそうだけど、具体的にはどう違うのだろうか。
「ノーマルは一般的に知られている面子ね。ハードはそこにアローラやガラルのポケモンが加わるの。エクストラは最近追加された難易度で、オーレンのポケモンも使うし、メガシンカやダイマックスも遠慮なく使う、一言で言えば“何でもあり”の戦いね。はっきり言って、エクストラをクリア出来る挑戦者なんていないと思うわ。ワタシたちの大マジな本気だもの」
「うーわー」
今明かされる、衝撃のシンジ3~♪
ダイマックスを公開レベルに託けるとか、ウーさん頑張り過ぎやろ。言動から考えて、四天王はそこそこ前から使えるようになっていたようだが、それでもインパクトは大きい。マジで勝てないかもしれん。
「……じゃあ、会いに来た子って言うのは」
「そ、エクストラレベルのメンバーになっている子よ。ここの環境が気に入ってるみたいだから、エクストラの挑戦者が現れた時にだけ迎えに来るの。とは言え、普段から暇を見つけて遊びには来てるんだけどね」
「へー」
この洞窟の奥に、一体何が居るって言うんだ。氷使いのカンナさんが使うのだから、当然こおりタイプだろうが……。
「何なら一緒に来る?」
「え、見せちゃって良いんですか?」
「その程度で対策される程、あの子は軟じゃないわ」
スッゲェ自信。絶対に負けないと確信してますよ、あの目は。ますます気になるわ。
だが、そこまで言うのなら、有難く同行させてもらおう。修行しに来た身として言うのも何だけど、この洞窟怖いもん。さっきの騒動のせいで、一人で生き残れる気が全くしなくなってきた。
と、その時。
「おや、いきなり走り出して、何処に行ったのかと思えば。そちらの方は誰ですか、カンナさん?」
雪の降り頻る洞窟の奥から、見知らぬ男が現れた。
いや、私はこいつを知っている。
彼の名はイツキ。後にカンナと交代で四天王入りを果たす、エスパータイプの使い手である。私はトゥートゥーの人として記憶してました、ごめんなさい。
それにしても、この二人はどういう関係なのだろう。カンナさんはまだ分かるが、イツキさんは何でこんな所に?
「ワタシのお気に入りの一人よ」
「ああ、前に言っていた、あの三人組の一人ですか。相当お強いのでしょうね」
「もちろん。ここへ修行に来るくらいだからね」
うーん、会話を聞く限り、かなり親密な間柄のようだが……?
「初めまして。ボクはイツキと申します。カンナさんとは古くからの付き合いでしてね。都合が合った時に、テレポート役として扱き使われているので大変ですよ」
「そんな言い方ってなくない?」
「だったらご自分でテレポートなさい。ルージュラを持っているでしょうが」
「趣味じゃないのよ」
「じゃあ文句を言わないで下さい」
なるほど、古馴染みか。腐れ縁と言ってもいいかもしれない。少なくとも、カップルとかそんな感じではなさそう。そもそも、イツキさん男かどうか分からないしね。
「えっと、アオイです。ここへは修行に来たんですが、予想外のハプニングに巻き込まれまして。カンナさんには危ない所を助けてもらいました」
「そうですか。察するに、イワークとディグダの掘った穴ぼこを踏み外しましたね。よくあるんですよ、この「マカハドマの洞窟」では」
ここ、マカハドマの洞窟って言うんだ。
へー、ふーん……地獄ですね、八寒の。だから寒いのか、ここは?
「それで、アオイさんはこれからどうするのです?」
「カンナさんに誘われましたので、一緒に洞窟の奥へ行こうかと思います」
「ほほぅ、カンナさんが“彼女”を見せるのですか。随分と信頼されていますね。珍しいです」
そうなんだ。
正直、一目会っただけの相手を、そこまで信用する感覚がよく分りませんがねぇ。私だったら絶対に忘れる自信がある。ポケモンの世界って優しい。
「それじゃあ、立ち話も何だし、奥へ進みましょうか」「それもそうですね」「了解です」
そんなこんなで、私たちはマカハドマの洞窟の最奥を目指して、歩くのを再開した。モッサリと積もった雪に沈まないよう、各々のポケモンの背に乗って移動する。私はアキトに、イツキさんはネイティオに乗り、カンナさんはアローラサンドパンでカーリングをしていた。楽しそうですね。
道中、色んなオーレンポケモンに出会った。
ニド一族に加えて、オーレンのビリリダマとマルマイン、オーレンオムナイトにオーレンオムスター、更にはオーレンヒトデマンとオーレンスターミーもいた。どういうラインナップなんだ。
◆ビリリダマ(オーレンのすがた)
・分類:ひょうだんポケモン
・タイプ:でんき/こおり
・レベル:45
・性別:不明
・種族値: HP:30 A:20 B:40 C:60 D:40 S:140 合計:330
・図鑑説明
雪山に捨てられたモンスターボールが変異したと言われている。人に出会うと電気を利用した猛スピードで転がってきて、強烈なスパークを食らわせる。普段は氷を食べている。
◆マルマイン
・分類:ひょうだんポケモン
・タイプ:でんき/こおり
・レベル:81
・性別:不明
・種族値: HP:50 A:30 B:60 C:85 D:60 S:205 合計:490
・図鑑説明
体内に猛烈な冷気を溜め込んでおり、周囲の水分を凍結させて弾丸を作って、電気の力で発射する。自爆する時には周囲一帯を氷弾の雨あられが襲う。大好物は凍死した生き物。
◆オムナイト(オーレンのすがた)
・分類:さかまきポケモン
・タイプ:こおり/みず
・レベル:55
・性別:♀
・種族値: HP:90 A:40 B:35 C:100 D:55 S:35 合計:355
・図鑑説明
必死に生きているのに絶滅させようとする世の理に、自分自身が凍り付いてしまった。心も体もガラスのように繊細でナイーブだが、切れた時は殊更に冷酷になる。
◆オムスター(オーレンのすがた)
・分類:さかまきポケモン
・タイプ:こおり/みず
・レベル:78
・性別:♂
・種族値: HP:115 A:60 B:70 C:125 D:70 S:55 合計:495
・図鑑説明
開き直ってハイになった。邪魔する者は躍るように痛め付け、鼻歌交じりに捕食する。体から放たれる冷気は絶対零度の威力がある。
◆ヒトデマン(オーレンのすがた)
・分類:けっしょうポケモン
・タイプ:こおり/エスパー
・レベル:33
・性別:不明
・種族値: HP:45 A:30 B:50 C:80 D:50 S:85 合計:340
・図鑑説明
ヒトデマンの本来の姿と言われている。通常のヒトデマンとは鳴き声も違う。極寒の宇宙を乗り切る為、こおりタイプになったらしい。高速回転しながら敵を切り裂くその姿は、まさにアイスカッター。
◆スターミー(オーレンのすがた)
・分類:なぞめいたポケモン
・タイプ:こおり/エスパー
・レベル:65
・性別:不明
・種族値: HP:75 A:60 B:80 C:110 D:80 S:115 合計:520
・図鑑説明
銀河の果てからやって来た、星の戦士。とある使命を果たす為に地球へと飛来したらしい。輝くコアから放たれるビームは必殺の威力を持つ。寒さには強いが熱には弱く、温暖な地域では三分間しか戦えない。
何こいつら、怖いんですけど……。
マルマインはレジエレキより速いし、オムスターは陰キャになってるし、スターミーは恒点観測員になってるし。デュワッ、じゃねぇよ。
カンナさんやイツキさんの協力があったから捕まえられたけど、一人だったら野垂れ死んでたな、これ。ウチはこおりが苦手な子が多いのよ!
そうして銀世界の洞窟を進み続ける事、約二時間。ようやく最奥の間へ辿り着いた。
「奇麗……」
そこはまさしく、氷の城だった。
広さはスタジアム級。中央に聳え立つ結晶塔を中心に、樹氷が無数に生え、常に粉雪が降り頻っている。積もった雪が綿アメみたいで、何だか美味しそうだ。ジャック・スケリントンが訪れたクリスマスタウンも、こんな感じだったのかもしれない。
さらに、結晶塔の根元にある、氷の玉座にて静かに眠る、一話の鳥。
「紹介するわ。この子がワタシの切り札、フリーザーのクウラよ」
『コォォルルゥウン!』
それは伝説の鳥ポケモンの一匹――――――れいとうポケモンのフリーザーだった。ニックネームはまさかの戦闘力53万の兄貴。何でや。
「なるほどね……」
確かにこれは切り札ですわ。エクストラは何でもありだそうだけど、伝説のポケモン使うとか、マジで自重しないな。これは他の四天王も心配になってくるな。オーレンのジムリーダーたちもね。
「……ええと、いつかお手合わせするかもしれないので、その時はよろしくお願いします」
『ヒュォォオオン!』
「何時でも相手になってやる」と言っている感じがした。自信満々じゃないですか。こっちこそ楽しみにしてるよ。
「さて、ワタシはこの後イツキと一緒に地上へ戻るけど、貴女はどうするの?」
「えっと、それじゃあ――――――」
ご一緒させて下さい、と言おうとして、言えなかった。
「危ない!」「……っ!?」
突如、イツキさんに押し倒されてしまったからである。
「すみません、痛くありませんでしたか?」「いいえ、大丈夫です。むしろ、助かりました。ありがとうございます」
とは言え、セクハラ呼ばわりするつもりはない。性別:イツキだし、何よりも、
『コォォラヌゥ!』
空間を鏡のようにかち割って出現した、鳥ポケモンの放ったビームから、私を守ってくれたのだから。
「何よ、あいつ!?」
突然の襲撃に驚くカンナさんだが、私はそれ以上に驚いている。
だって、あのポケモンは――――――、
「フリーザー、ですか?」
「いいえ、紛い物ですよ。ガラルからやって来た、ね」
れいこくポケモン、ガラルフリーザーなんだもの。一体どうして、どうやってここに……!?
『ヒュィイイヴヴヴッ!』
だが、疑問が氷解する暇もなく、ガラルフリーザーが襲い掛かって来た。高原竜のような鳴き声を上げて。
――――――野生のフリーザー(ガラルのすがた)が現れたッ!
◆フリーザー(ガラルのすがた)
・分類:れいこくポケモン
・タイプ:エスパー/ひこう
・性別:ふめい
・特性:かちき→無効化中
・種族値
HP:90
こうげき:85
ぼうぎょ:85
とくこう:125
とくぼう:100
すばやさ:90
・図鑑説明
凍りついたかのように体の自由を奪うビームを撃ち出す、フリーザーの名を持つポケモン。冷酷で卑劣な性格。サイコパワーで作った羽根の刃は、分厚い鉄板も紙のように切り裂く。常にサイコパワーにより浮遊している為、翼を羽ばたかせる事は殆どない。渡りを行い、何十年に一度かの間隔でカンムリ雪原に姿を現す。