ポケットモンスター Let’s Go! ピッピ   作:ディヴァ子

9 / 27
アオイ:「ヘルガーのいないアポロさんって、何か微妙だよね……」


ロケット団の最高幹部たちと母の愛

「ルールはおたがいにいっぴきずつのダブルバトルで」『バウワウ!』『キャルァ!』

 

 えっ、マジでやんの?

 ま、いいけどさ。ようはボコればいいんだから。

 

「行けっ、ハヤテ!」『フォグルドォッ!』

「任せた、ピジョット!」『キュリィッ!』

 

 私たちが選んだのは、お互いのファルコン。先鋒と言えばこいつらでしょ。アニポケ的には呉越同舟って感じだろうけど。

 ちなみに、ハヤテは元気の欠片と傷薬を使って蘇生させました。死にっぱなしは可哀想だからね。

 あ、シンくんのピジョットの技構成はこんな感じ。

 

◆オニドリル(ハヤテ)Lv43:「ネコにこばん」「ドリルくちばし」「オウムがえし」「こうそくいどう」

◆ピジョット Lv46:「ねっぷう」「エアスラッシュ」「すなかけ」「はねやすめ」

 

 まさかの熱風を搭載したガチ使用である(でも砂掛けは絶対に外さない)。チャンピオンロードをクリアしてもいないのに、どうして思い出し技を覚えてるし。

 

「何か知らぬ間に覚えてた」

「マジかー」

 

 何その主人公補正。いや、彼の場合はライバル補正か。

 だったら私にもドリルライナー早く下さい、お願いします。シンくんだけズルい。

 

「行きなさい、マタドガス!」『ガッスヴヴヴッ!』

『お願いします、ベトベトン!』『ベヴァアアッ!』

 

 ……で、対するアポロとマトリが繰り出したのは、何とガラルマタドガス(Lv50)とアローラベトベトン(Lv48)。お試しとは思えないくらいバッチリ育て上げている。

 いやいやいや、何でリージョンフォームのポケモン持ってんのお前ら!?

 

「ワタシはガラル生まれなのですよ。育ちはカントーですがね」

「わたくしもカントー育ちのアローラ人です。「アローラ」よりも「こんにちは」って感じですね」

 

 さすがは世界を股に掛けるポケモンマフィア、国際色豊かだった。どういう家庭事情なのか非常に気になる所だが、今は勝負に集中だ。レベル差もあるし、余所見して勝てる相手ではない。

 

「ハヤテ、「ネコにこばん」!」『ケァアアアッ!』

「ピジョット、「すなかけ」!」『ピジョォアッ!』

 

 初手は私もシンくんも目晦ましから。お互いに手慣れたものである。

 

「主導権は握らせませんよ! マタドガス、「クリアスモッグ」!」『ドヴァ~!』

 

 だが、そんな子供騙しが通用する程、相手も伊達に(悪い)大人をやっていないらしく、マタドガスのクリアスモッグでデバフをかき消してしまった。コジロウのマタドガスといい、何でドガース系はサポート向きの技ばっかり使って来るんだよ!

 

「ベトベトン、「どくどく」!」『ベドドドォッ!』

 

 さらに、どくタイプ特有の必中猛毒でハヤテを狙撃。おい止めろ、ハヤトは蘇生したばっかりなんだぞ!?

 

『ホォグルドヴォッ!』「あ、回復した」

「何ですって!?」『ベァッ!?』

 

 しかし、私を悲しませまいと気合で治癒。さすがハヤテ、何ともないぜ。このシステム、結構便利だよねー。

 さぁて、搦め手が通じないのなら、押せ押せGOGOだ。

 

「ピジョット、「ねっぷう」!」『キョァアアアアッ!』

「ハヤテ、「ドリルくちばし」!」『ケェアアアアッ!』

 

 まずはピジョットが熱風でガラルマタドガスとアローラベトベトンにダメージを与えつつ火傷を負わせ、更にハヤテのドリル嘴がガラルマタドガスを直撃。ダメージの蓄積も相俟って、HPを一気に1/3まで減らす事が出来たものの、一撃とは行かなかった。やっぱりレベル差がキツいな……。

 

「マタドガス、「マジカルシャイン」!」『ピカドアガァース!』

「ベトベトン、「かみくだく」!」『ベドォォムッ!』

「くっ……!」「うわっ……!?」

 

 そして、反撃のマジカルシャインと噛み砕く。私たちの戦法をほぼそのまんまやり返された形になる。

 

「よし! マタドガス、追撃の「ヘドロばくだん」!」

「させるかっ! ピジョット、「エアスラッシュ」!」

 

 さらに、好機と見たか、ガラルマタドガスがヘドロ爆弾を放とうとしたが、シンくんのナイスな指示でピジョットのエアスラッシュが炸裂。見事に怯ませた。

 

「今だ! ハヤテ、「オウムがえし」!」『カァアアアッ!』

『ドヴァァァス!?』「くっ、マタドガス……!」

 

 そこへハヤテのオウム返しが発動。コピーしたヘドロ爆弾が着弾し、ガラルマタドガスを戦闘不能にした。複合タイプのせいで等倍な上に、威力も高いからな。タイプ不一致とは言え、耐えられる筈がない。

 

「おのれ! ベトベトン、「どくづき」!」『ベムラァッ!』

『ケァッ……!』「ハヤテ、お疲れさん」

 

 むろん、向こうも只ではやられず、攻撃直後の隙を毒突いて、アローラベトベトンがハヤテを撃墜した。これで残るはシンくんのピジョットとアローラベトベトンのみ。ダメージ的にもイーブンで、完全なタイマン勝負である。素早さではピジョットが勝るものの、アローラベトベトンは耐久力があるので油断ならない。

 はてさて、この勝負、どうなる事やら……。

 

「ピジョット、「エアスラッシュ」!」『ピジョァオオヴッ!』

「くぅっ……!」

 

 だが、勝負は案外一方的だった。ガラルマタドガスというサポート役がいなくなった事で速度差が浮き彫りになり、シンくんの剛運によって怯み続けたアローラベトベトンはロクに動けず、火傷のスリップダメージも加わって、あっという間に瀕死状態になった。

 やっぱ、怯みゲーってこえぇ……というか、シンくんのやり方がえげつねぇ。さすが砂掛け厨。金銀編のフェイバリット技は泥掛けかな?

 とにかく、これで試合は終了だ。

 

 ――――――ロケット団の最高幹部と秘書の、アポロとマトリに勝ったっ!

 

「しょうしゃ、シンおにいちゃんとアオイおねえちゃんのバカップルコンビ~♪」『ワンワン!』『カラカラ!』

 

 じゃかぁしいわぁっ!

 

「フッ……アポロとマトリを負かすか……素晴らしい。それでこそ、だ」

 

 すると、ペルシアンと戯れながら静観していたサカキが、称賛の拍手を送って来た。合格、という事だろう。

 

「さぁ、受け取れ」

「うわっと……!」

 

 そして、シルフスコープをぞんざいに投げてよこす。もうちょい大切に扱え。

 

「さて、それでは初任務だ。……ポケモンタワーに向かい、フジ博士と接触しろ。やり方は任せるが、少なくとも博士が昔創ったという“最強のポケモン”についての情報だけでも持ち帰れ」

 

 さらに、初任務を承った。“最強のポケモン”と言えば、言わずと知れたミュウツーだが……そうか、まだ詳細は分かってないんだな。

 

「ムサシ、コジロウ、ニャース。お前たちはアオイとシンのサポートをしてやれ。お互い学べる事があるだろうし、しっかり励めよ」

「「ハッ!」」『ニャッ!』

 

 あと、ムコニャも付属するらしい。現場主義のサカキらしい判断だ。新人にサポートを付けるとか、お互いに学び高め合うとか、有能過ぎんだろサカキ様。

 

「それと、我々は少し外に出てくる。シルフカンパニーと“大人の話合い”をしなければならないんでな」

 

 ああ、スパイのせいで被った損害をダシに社長を恫喝しに行くんですね、分かります。案外、シルフ乗っ取りイベントも間近なのかもしれない。これはあんまりノンビリしていられないな。

 

「さぁ、大見得を切ったんだ。結果を残して見せろ」

「りょーかい」「ああ」「いぇーい」

 

 そんなこんなで、私たちはロケット団員(仮)の初任務へ臨む事と相成った。

 

「さぁ、やって参りました……タマムシデパート!」

 

 そして、私たちはポケモンタワーに――――――ではなく、タマムシデパートにいた。

 

「いや、何でだよ?」

「私も少しくらい技を充実させて下さい」

「ゴメンナサイ」

 

 理由はもちろん、戦力強化である。単にシンくんとショッピングしたいとか、そいう訳ではない。ないったらない。

 いや、でもね、マジで技マシンが欲しいのよ。いくら何でも技レパートリーが貧弱過ぎるもん。せめてトライアタックやシャドーボールくらい買っておきたい。

 

「それにヒジュツも貰ったから、そんなに大急ぎで行かなくても大丈夫よ」

 

 そうそう、シルフスコープを入手したからか、ロケットゲームコーナーを出てすぐにヒジュツ・ソラワタリを頂きましたよ。これで行った事のある場所なら、どこにだってひとっ飛び。わざわざ歩いて回る必要がなくなる。

 

「……そう言えばそうだな。それにしても、何であんな風船だけで飛んで行けるんだろう?」

 

 ホント、それな。

 秘伝マシンの空を飛ぶはポケモンの技だから違和感はないが、このヒジュツ・ソラワタリは何と風船がたくさん付いたハンモック。気分はゲゲゲの鬼○郎だ。

 本当に、どうやって行き先をコントロールしているのだろう。

 

「つーかさ、あの風船から時々視線を感じるんだけど……気のせいだよな?」

「………………」

 

 風船……子供……ポケモン……まさか、あの風船の正体って――――――?

 

「……さーて、ちゃっちゃと買い物済まそうか、シンくん!」

「そうだな! カラカラの持ち主も待ってるだろうしなっ!」

 

 たぶん、これ以上考えない方がいい。SAN値どころか、魂を持って行かれる。

 という事で、タマムシデパートに突入。

 

「でっけぇ……」

 

 カントー地方のFSの総元締めというだけあって、滅茶苦茶デカい。外観は玉虫色にカラーリングされた一般的な五階建てのデパートだが、中身はもっと近未来的で、ホログラムガイドとか普通にある。エレベーターも無音、エスカレーターも静かと芸が細かい。

 各階層には他町では手に入らない珍しいアイテムがこれでもかと売られているが、今回用があるのは二階の技マシン売り場である。三階で技マシン03「てだすけ」を貰えるが……使わないから後日でいいだろう。

 

「何をお買い上げですか?」

「「「全部で」」」

「「「『えーっ!?』」」」

 

 店員とムコニャに驚かれたが、ハヤテが猫に小判をばら撒きまくってるおかげで、それなりに資産はあるんですよ。サカキからも軍資金と言う名のお小遣いを貰ったし。大人買いくらい余裕だった。

 よしよし、これで大分戦力が強化されたな。大丈夫、ムコニャにも使わせてあげるから安心してチョーダイ。

 

『ピッピィ~♪』『プリプリッ!』『プックリ~ン♪』

 

 と、私たちがお買い物に夢中になっている間に、アカネちゃんとプリン、おやかたさまが気付かぬ内にエレベーターに乗っていた。抜け駆けでデートでもするつもりか。

 しかも、トリプルとはやるじゃない……じゃなくて!

 

「「待てぇ~い!」」「まって、おやかたさまー」

 

 迷子になられても困るので、エレベータの向かう先――――――屋上広場にダッシュした。

 

「どこに……」

「わー、可愛い♪」『ピピィ~』『プリャリャ~』『トモダチ~♪』

 

 いた。自販機の近くで、幼女と戯れてる。

 ……あ、そう言えば、キミにジュースを買ってあげると、技マシン貰えるんでしたね。さっそく奢ってあげよう。

 

「あ、アタシにも頂戴な」「王冠はくれよ? 集めてるんだ」『ニャーはミックスオレを所望するにゃ~』「わたしも~♪」

 

 当然のように集ってくるムコニャとマツリカちゃん。そんなお前らが嫌いじゃないぜ。

 

「ハイ、シンくんにも」「おう、ありがとな」

 

 私たちもサイコソーダ(ビー玉入り)をゴクリ。激戦の後に飲む炭酸は格別ね♪

 

「……今度、もっとゆっくり来ような」「う、うん……」

 

 な、何よ、誘ってるの……? もちろんOKよ!

 

「さぁ、行こうか」「うん!」「ごーごーとぉ~♪」

 

 さてさて、買う物も買ったし、さっさと用事を済ませるとしよう。

 次はシオンタウンのポケモンタワー攻略。

 

 ……例の、“あのイベント”だ。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 ということで、ヒジュツ・ソラワタリでシオンタウンへひとっ飛び。

 ちなみに、ムコニャはちょっとレベリングをしたいそうで、最上階までのルートを確保した後で合流する手筈となっている。彼らはあくまでサポーター、新人研修の監督役なので間近にいないのは正しい姿勢なのだが、本当にそれでいいのかお前ら。別にいいけど。精々頑張り給え。

 

「「ただいま!」」「あろ~らぁ」

「あ、アオイさん、シンさん、マツリカちゃん!」

 

 まずはカラカラの飼い主さん家に寄り道。素数なカラカラの無事を確認して貰った。

 

「……ありがとうございました。もし良かったら、この子のお母さんのお墓参りに行きませんか? ちょうど今、お爺ちゃんがお祈りに向かってる筈だし、あなたたちの事、紹介したいの」

 

 ああ、家族だったのね、アナタたち。ジェネレーションズでもそうだったから違和感はないけど。

 余談だが、このお姉さんの名前はアイ。予想していたとは言え、洒落にならねぇ……。

 まぁ、そんなこんなで、カラカラのお母さんの墓参り――――――という名の幽霊(ガラガラ)イベントに向かう事となった。

 むろん、内部は幽霊だらけになっているので、シルフスコープの出番である。

 

「デュワッ!」

「いや、何だその掛け声……」

 

 だって、目に添えるアイテムと言えば恒点観測員340号じゃん、仕方ないよ。

 

「おー」

 

 スコープの一部が展開し、眩い光が放たれ、黒い影でしかなかった幽霊たちが、その正体を表す。

 

「幽霊の正体は、ゴースやゴーストだったのか……」

 

 たまに野生のカラカラが混じっているけど、気にしてはいけない。

 

「さぁ、そうと分かれば、じゃんじゃん捕まえましょう!」「おう!」「いぇ~い」

 

 この後、滅茶苦茶ゲットした。

 いやー、ゴーストは強敵でしたね。何であんなにデカいんだろう。明らかに進化後より大きいだろ、アレ。ガスだからか?

 ついでに、連鎖し過ぎたせいなのか、世界線の歪みなのか、野生のゲンガーが出て来た時には驚いた。前にどこかでゴローニャが出て来た事があったし、この世界はボッチに親切な設定なのかもしれない。これならカイリキーも問題なく野生でゲットかな?

 まぁ、誰も使わないけどな!

 

「タマ……シイ……ヨコ……セッ!」

「だが断る! アンズちゃん、「かみくだく」!」『クィィイン!』

 

 キチ○イ戦では、アンズちゃんに活躍してもらった。噛み砕くでゴーストタイプの弱点を突けるし、何よりクチバジム戦以来、あんまり出せてないからね。恩返しも兼ねて、彼女にも脚光を浴びせてあげないと。

 ちなみに、今の私たちの手持ちはこんな感じ。

 

《私のメンバー》

◆相棒ピッピ(アカネ)Lv49:「ゆびをふる」「ウルトラクッキング」「コズミックパンチ」「ムーンフォース」

◆オニドリル(ハヤテ)Lv49:「ネコにこばん」「ドリルくちばし」「はかいこうせん」「こうそくいどう」

◆ラフレシア(ヒナゲシ)Lv48:「ようかいえき」「メガドレイン」「ムーンフォース」「どくどく」

◆スピアー(アキト)Lv47:「どくづき」「ミサイルばり」「げきりん」「こうそくいどう」

◆ニドクイン(アンズ)Lv50:「どくどく」「かみくだく」「いかりのまえば」「あなをほる」

◆イーブイ(ユウキ)Lv45:「めらめらバーン」「いきいきバブル」「びりびりエレキ」「どばどばオーラ」

 

《シンくんのメンバー》

◆相棒プリン Lv53:「ふわふわドリームリサイタル」「ころころスピンアタック」「トライアタック」「かなしばり」

◆相棒ピカチュウ Lv51:「ばちばちアクセル」「10まんボルト」「ふわふわフォール」「あなをほる」

◆ピジョット Lv53:「ねっぷう」「エアスラッシュ」「すなかけ」「はねやすめ」

◆フシギバナ Lv51:「はなびらのまい」「パワーウィップ」「どくのこな」「やどりぎのタネ」

 

《マツリカちゃんのメンバー》

◆バリヤード(バリバリ)Lv45:「サイコキネシス」「ひかりのかべ」「リフレクター」「マジカルシャイン」

◆プクリン(おやかたさま)Lv45:「マジカルシャイン」「トライアタック」「10まんボルト」「はかいこうせん」

◆アローラキュウコン(キュウ)Lv47:「ふぶき」「マジカルシャイン」「あやしいひかり」「さいみんじゅつ」

◆ウィンディ(バウワウ)Lv63:「じゃれつく」「おにび」「げきりん」「フレアドライブ」

 

 うーん、相変わらず手持ちの数がレベルに影響してるな。技に関しては完全に見劣りしている。シンくんとマツリカちゃんだけ思い出し技使えてズルい。

 あと、バウワウがやっぱり強過ぎる。何で一匹だけレベルが60超えてるんだよ。これ、カツラのウィンディより強いんじゃなかろうか。

 とりあえず、早くドリルライナー下さいお願いします。もしくは技を思い出させて。

 それと蛇足だけど、マツリカちゃん、技マシン032「マジカルシャイン」を持ってました。さすがは後のフェアリータイプキャプテン。おかげである程度火力が上がったわ。感謝感謝。

 ……スマン、マジカルおやじ。お前は永遠に我を忘れていてくれ。

 

『タチサレ……ココカラ、タチサレ……』

 

 そうしてレベリングしつつ、最上階前に到着。例の巨大幽霊がゴァッと現れた。どの幽霊よりもデカいが、それだけ想いが強い、という事だろう。

 だって、この幽霊の正体は……。

 

「アオイ!」「分かってる!」

 

 さっそくシルフスコープを起動。清らかな光が、淀みに満ちた巨大幽霊の正体を暴き出す。

 

『ガラァ……!』

「あれは……」「(やっぱりか……)」

 

 ――――――幽霊の正体は、カラカラのお母さんの迷える魂だった。

 

『キャラァ! マーマーッ!』『………………!』

 

 ――――――優しいカラカラのお母さんに戻った魂は無事、天に昇って……消えていきました。

 

『カラァ……』

 

 数瞬の邂逅と会話、その後光となって消えて去ったガラガラに想いを馳せるカラカラ。初代の頃から何度も見てきた光景だけど、やはり心に来るものがある。

 本当の親子愛は、ガラガラとカラカラにこそ相応しいと思う。

 

「カラカラ、お前……っ!」

 

 そんな悲しみに暮れるカラカラを、シンくんが優しく抱き止める。

 

『キャルァッ!』

「カラカラ……」

 

 すると、それに応えるように、カラカラがギュッと抱き返し、

 

『ガラガラァッ!』

「えっ、お前……進化したのか!?」

 

 さらに、孤独を癒されたのがきっかけになったのか、そのままシンくんの胸中でガラガラに進化した。

 

 それも、アローラの姿に。

 

 ……え、マジで? どんな奇跡が重なるとそうなるの?

 

「あ、わたしのおまもり、ひかってる……」

 

 と、答えは案外近くにあった。そっか、マツリカちゃん、もうZクリスタル持ってるんだ。

 だけど、リージョンフォームはあくまで土地に適応した姿だから、メガシンカみたいに石を持ってるだけで進化する筈は……。

 いや、突っ込むのは野暮だな。

 ガラガラお母さんが、我が子を想って守護霊となり、カラカラもそれに応えて進化した。それでいいじゃないか。

 

「――――――その子、あなたの事が好きなのね。良かったら、貰ってくれる?」

「えっ……?」

「お母さんともちゃんとお別れ出来たし、その子にはもっと広い世界を知ってもらいたいの。お願い出来ないかしら?」

「……はい、必ず見せますよ――――――頂点の世界って奴をね!」

 

 そして、アイさんから譲り受け、正式にシンくんの仲間入り。やったね!

 それにしても、頂点の世界か。いっつも私を優先してくれてるけど、やっぱりその辺は男の子なんだね。可愛いし、カッコいい。

 で、こちらがアローラガラガラくんのステータス。

 

◆ガラガラ(アローラのすがた)

 

・分類:ほねずきポケモン

・タイプ:ほのお/ゴースト

・レベル:28

・性別:♂

・性格:わんぱく

・種族値: HP:60 A:80 B:110 C:50 D:80 S:45 合計:425

・覚えている技:「シャドーボーン」「ホネブーメラン」「つるぎのまい」「おにび」

・図鑑説明

 手にした骨は母の遺骨。死してなおも子を想う母の魂が炎となってガラガラを守り、ガラガラは母を弔う踊りを毎夜踊る。道端に盛り上がった土があったら、それは彼らのお墓だ。

 

 レベルこそ低いが、すでに実戦級の能力を持っている。原典では没収されてしまった専用技も完備。母は強し、だね。

 つーか、性格わんぱくなのか。確かにノリが良かったし、明るいシンくんとは相性バッチリかもしれない。マツリカちゃんと悪ノリする可能性もあるけど。

 

「この上が最上階……」

 

 こうして、私たちは新たな仲間を手に入れつつ、最上階への道を切り開いた。ガラガラお母さんのお墓も、そこにあるらしい。ムコニャとは関係性が原典とはまるで違うし、この先に待っているイベントも、ゲーム通りにとは行かないだろう。絶対何か想定外の事が起きるに決まってる。マジでフラグしかない。

 

「行きましょう」「ああ!」「おー」「はい!」『ピッピィ~♪』『プリプリ~♪』『ガラッ!』『バウッ!』

 

 さて、鬼が出るか蛇が出るか……ポケモンタワー最終ステージ、行ってみよう。




◆ガラガラの幽霊

 皆さんご存じトラウマメイカー。最初は幽霊たちの一員としてプレイヤーをビビらせ、シルクスコープを手に入れてからは涙とやるせなさを伝えてくる。
 その正体はポケモンタワーに出入りしているカラカラのお母さんで、死後も子供を想って地縛霊となっていた。ついでに最上階のロケット団員からトレーナーやカラカラを守る為でもあったのだが、幽霊になってしまった今、それを伝える術はなくなっていた……。
 ちなみに、正体を見破れば、戦わなくてもピッピ人形でスルー(というか放置)出来たりするが、可哀想なのでやめたげてよぉ!
 この先に、過去の罪悪感に囚われた哀れな老人が待っている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。