そして████になった転生者   作:にわかネット文化ファン

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瀬宮、敗北

戦いはなんか熾烈を極めようとしていた!

 

「あなたみたいな人にマサルは渡さないデス・・・!」

 

「こっちだって、負けないよ!ふんふん!」

 

だが、瀬宮は戦わずして、状況をなんとかしようとした。スタミナが少なくなったからだ。

この期に及んで、彼はこの世界がマギレコだということを完全に理解していなかった。

話し合いで解決できるんだったら、指定暴力団常盤組なんていらないんですよ。

 

「・・・アシュ」

 

「なんデスカ?」

 

「言っとくけど僕はアシュとも付き合いませんよ。

だいたい、アシュは留学生じゃないですか

当然、いつか故国に帰る子に手を出すなんてしませんよ。

というか、アシュだってそんなことのために留学しに来たわけじゃないだろ?

僕はアシュの父さんから、アシュのことを頼まれているんです。

だから、手を出すなんて無責任なことはしないですよ

いや、しちゃいけないんです。どうか、わかってください。

死んだお父さんのことを思うんだったら、考え直してください。

そもそも、僕以外にもいい男はいるんですから。

よーく考えてください。男が何十億人いると思っているんですか、え?

だいたい、そこでぐったりとしている唯華くんだっていい男ですよ。

それなのに、アシュは短慮にもほどがありますよ。

鶴乃さん、今のは君にも言っていますからね?

僕と付き合って、結婚しても由比家を再興できる確率は低いですよ。

だったら、もっと一緒にのんびりとできる男性を探してくださいよ。

ぶっちゃけ、僕には強くなるという人生の目標があるんです。

それを恋愛だの淫夢だので有耶無耶にはしたくないんですよ。

わかりますか、いえ、わかってくれますよね?」

 

当然だが、わかってくれなかった。

気絶している唯華を除いて、誰もが冷たい目線を瀬宮に向けていた。

彼は女子を敵に回してしまったのだ。

 

「僕、何か間違ったこと言いましたか?」

 

間違ったことは言ってないのだ。

ただ、間違っていないということが問題だった。

彼の意見は理性的なのに対し、恋というのは感情の問題だからだ。

 

「・・・鶴乃さん」

 

「・・・うん」

 

「ここは同盟を結んだほうがいいデス」

 

「そうだね」

 

一対二となってしまった。

 

「僕は何も悪くないのに!?」

 

他の魔法少女から大ブーイングが浴びせられた。

 

「やっちまえ!二人とも!恋と淫夢を一緒にしやがった馬鹿を吹っ飛ばせ!」

 

都ひなのは二人を応援した。

ちなみに、令はこの様子を面白そうに撮影していた。

 

「いくよ、コイガミ神楽をくらえ!」

 

「こんなこともあろうかと、ういからツキカミ神楽を習ってたのデス!」

 

さて、この小説の主人公であるはずの唯華は完全に意識を失っていた。

瀬宮はたった一人でこの状況を切り抜けないといけないのだ。

もはや自分を応援してくれる人は誰もいない。

まるで前世、正しく言えば〈一回目の転生〉の時のようだった。

 

「・・・ああ、最悪ですね」

 

彼は出し惜しみする気などなかった。

 

統一・水軍式

 

本来、統一は二人のテコンドー戦士がいないと不可能な技だ。

しかし、水軍式で二つの水流を生むことで、二人に対し同時攻撃が可能となる。

 

コイガミ炎扇斬舞

 

ツキカミGlittering Gunk

 

あっけなく無効化されてしまった。

とりあえず、専門家は後にこう解説している。

 

美樹さやか「どんな技だって、恋する乙女の前には無力なんだよ」

 

江利あいみ「悲しいけど、恋、戦争なのよね」

 

てなわけで、もはや瀬宮には打つ手などなかった。

逃げようとしても、他の魔法少女に取り押さえられるだろう。

事実、全員が武器を構えていたのだから。

彼は膝をついて、泣き出した。

 

「なんで・・・なんで皆、僕の邪魔ばかりするんですかあ・・・」

 

「いい加減になさい!」

 

彼は阿見莉愛にビンタされた。

 

「えっ・・・?」

 

「あなたは責任がどうとか目標がどうとか言って、二人の恋路の邪魔をしたのよ!

あなたが邪魔をされても、文句を言う筋合いはありませんわ!」

 

「そ、そうはいっても・・・というか理不尽ですよね、この展開!?」

 

「だいたい、見てられないですわ!

そこでぐったりしてる男のように、

あなたはただ怖くて逃げているだけなのよ!

未来が怖くて、ただ逃げているだけ!」

 

「怖いに決まってるじゃないですか???人生の墓場なんてごめんですよ???」

 

さて、ぐったりしている男こと唯華は知らない場所にいた。

自分の足が透けていることから、幽霊みたいになっているのはわかった。

しかし、本当にここがどこかわからない。

どこかの小学校なのだが、あまりよくわからない。放課後なので人があまりいない。

まあ、手元にどういうわけか『帰還ボタン』があるので、いつでも自分の肉体に帰れそうだ。

おそらく、神様からの休暇なのかもしれない。

 

「・・・前世で通ってた小学校じゃないな」

 

彼の前世の小学校はもっと小さい学校で、廃校寸前だった。

しかし、なかなか廃校にならないほどしぶとかった。

こんな会話があったくらいに。

 

「あの小学校、いつ廃校すると思う?」

 

「When pigs fly!!!(豚が空飛ぶくらいありえないな)」

 

さて、廊下を歩いていると女子児童に遭遇した。

ブルーブラックのロングヘアで、ネクタイとプリーツスカートという全体的に黒い服装。

そして、ロケットペンダントをつけていた。

 

「・・・幽霊?」

 

「そうみたいだな・・・ここはどこだ?」

 

「赤ヶ瀬小学校よ。ここで死んだんじゃないの?」

 

「いや、俺はこうなる寸前まで神浜市という場所にいたはずだ。

赤ヶ瀬小学校なんて神浜市にはなかったはずだけど?」

 

「・・・神浜市ってどこよ?」

 

「???」

 

「???」

 

とりあえず、一緒に話を整理した。

彼女によるとここは赤ヶ瀬小学校で、神浜市なんて日本にないらしい。

だが、唯華には確かに神浜市という場所にいた記憶があった。

そこで、彼はある質問をした。

 

「・・・魔法少女まどか☆マギカという作品は知っているか?」

 

「知らないわ、そんなファンタジー作品」

 

「なるほど・・・謎は全て解けた。

ここ、俺の世界とは別の・・・」

 

唯華は自分の発言に違和感を抱いた。

俺の世界?彼にとって、マギレコ世界はいつのまにか自分の家と等しくなっていたのだ。

 

「・・・俺のいた世界とは別世界だ。

上手く説明はできないけど・・・別の宇宙からやってきたのかもしれん」

 

「パラレルワールドからやってきたってこと?」

 

「そういうことだな・・・帰還ボタンってそういうことかよ」

 

ボタンを押すと、肉体に帰るだけではなく、マギレコ世界に帰れるということでもあったのだ。

彼はボタンをもう一度確認することにした。

すると、ボタンの裏にこう書かれているのに今更気づいた。

 

瀬宮勝はこのままでは不幸になってしまいます。

そこで、たまたま仮死状態のあなたに頼みがあります。

どうか、彼に過去を乗り越えさせてください。

 

「・・・なるほど。しかし、瀬宮なんてお前知らないよな?」

 

「誰?」

 

「だよなあ・・・生まれ変わったら名前なんて変わるだろうし・・・。

いや、待てよ。顔は変わってないはずだ」

 

「・・・待って、心当たりがある」

 

彼女はロケットペンダントの蓋を開けた。

そこには、少し子供っぽい瀬宮と彼女が映っている写真が入っていた。

そこに映っている二人は幸せそうだった。

 

「おお、確かに瀬宮だ。へえ、前世からイケメンだったんだな」

 

「・・・智勇くん、生まれ変わったの?」

 

「まあな・・・なあ、瀬宮はこの世界ではどう生きてたんだ?

少なくとも、お前みたいな美人さんに未だに思われてるくらいには幸せだったんじゃないのか?

なんか前世で弱いからどうのこうのって本人は言ってたけど」

 

「・・・そんなことない。智勇くんは強かった。

確かに暴力とかいう意味だと、すっごく弱かったけど」

 

唯華はツッコミたくなった。今の瀬宮は(危険な方の)テコンダーだからだ。

 

「でも、常に勇気と知恵で戦ってた。

・・・たまに、何が起こるのか知ってるようにも見えた」

 

「勇気と知恵・・・まあ、頭は良さそうだけど。

でも、死んじゃったのか?」

 

「・・・うん」

 

「そうか・・・何が起こったんだ?」

 

「話せば長くなるけど?」

 

「じゃあ、やめとく」

 

「そこは聞くべきじゃないの?」

 

「だってさあ・・・文字数は多くなるし、

そもそも、ここ原作世界じゃないし・・・。

そんな脱線、読者にとってはつまらないだけだろ?

だいたい、前回のときにお気に入りが増えなくて、作者落ち込んでるんだぞ」

 

「それは無計画にバトルもの始めた作者の自業自得じゃない。

だいたい、読み返したら作者にとってもつまらなかったそうよ。

・・・でも、そうね。確かに長くなるからね」

 

少女はペンダントを唯華に手渡した。

 

「いいのか?大事な物なんじゃないか?」

 

「もう私には必要ないわ。昔のことだから」

 

「・・・過去を忘れられるって、羨ましいよ」

 

「忘れるんじゃないの。乗り越えていくのよ」

 

その瞬間、唯華は殴られてないのに殴られた気分だった。

 

「・・・大丈夫?」

 

「ああ、少し気が抜けてた・・・じゃあ、これ持ってくよ。

今頃、あいつ一対二で苦戦してるだろうし、これが何かの役に立つかもしれない。

最後に、一つだけいいか?君の名前を教えてくれ」

 

「光本菜々芽」

 

「そうか・・・良い名前だな」

 

彼は帰還ボタンを押した。

目が覚めると、瀬本が鶴乃とアシュリーに対して意外と善戦していた。

ただ、周りの魔法少女たちは二人の方を応援していた。

 

「ようやく起きましたね、唯華さん」

 

「・・・おはよう、まなか」

 

「・・・ペンダントなんて持っていましたっけ?」

 

「うん・・・?ああ、そういうことか。

気にしないでくれ。瀬宮を勝たせるための手段なんだ」

 

「えっ」

 

唯華は全力でペンダントを瀬宮に向かって投げ飛ばした。

 

「受け取れ、瀬宮!」

 

瀬宮はそれをキャッチして、蓋を開けて・・・

 

「ぼ、ぼく、こ、こんなのしりませ・・・ぐはっ」

 

吐血して倒れた。まさに、()()()上の展開であった。

倒れた瀬宮は鶴乃とアシュリーに引きずられていった。

何をされるのか?ナニをされるに決まってる。

 

「・・・俺、何かしちゃいました?」

 

全員が白い目で唯華を見ていた。

 

「えっ???」

 

彼は良かれと思ってやったのだ。

そして、阿見莉愛に殴り飛ばされた。

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