そして████になった転生者 作:にわかネット文化ファン
分かるること久しければ必ず合し、合すること久しければ必ず分かる。
中国の格言であるが、それはどこの世界でも当てはまる。
それは、魔法少女たちの世界にも・・・。
|第二のヒノカミ神楽っていうけど、名前変えた方がいいんじゃない?|
きっかけは本当に些細な事であった。
さて、ここで少し解説を。
魔法少女たちが戦闘に使う神楽はヒノカミ神楽が起源となっている。
ヒノカミ神楽を使えるのは・・・メタいことを言えば光属性の魔法少女たちだ。
しかし、火属性の魔法少女たちは別の神楽を舞うことができた。
それはヒノカミ神楽に似ているので第二のヒノカミ神楽と呼ばれることになった。
しかし、万年桜のウワサこと桜子はそれを疑問に思った。
ヒノカミ神楽は幽玄さが特徴であるが、第二のヒノカミ神楽は爽やかなのだ。
そういうわけで、その議論のせいで分裂しそうであった。
一方その頃・・・
「餃子が食べたかったからラーメンを出前で頼んだの!」
「それ注文の時に言ってくださいよ???」
「まあ、淫夢ジョークはいいとして、調子はどうだ?」
「そうですね・・・唯華さんを殴ったらすっきりすると思います。
毎朝すっきりしてるんですがね。あはは!」
「ハハッ」
「笑わないでください」
瀬宮は唯華を吹っ飛ばした。
「ひでぶ!・・・でも、前よりずっと強くなったな」
「ええ、守るものができましたからね。
以前の僕は、ずっと目的のない強さを求めてたんです。
でも、今は違う。今は、二人を守るための強さを求めてます」
「・・・なあ、過去を忘れるのと乗り越えるのって、どんな違いがあるんだ?」
「難しいことを聞きますね・・・まあ、直視するかしないかの違いですよ。
過去を直視せずに忘れるのって、すごく楽なんですよ。
でも、直視したからこそ、本当の強さが手に入ったんですよね。
どうして、僕があそこまで強さを求めていたのかも思い出せたので」
「・・・そうか、そういうもんか」
ヒノカミこと唯華はそんなことも知らずに呑気に過ごしていた。
いや、呑気に過ごしていたというよりは、思索しがちになっていた。
さて、マギアユニオン内で微妙な揉め事になったが、外交関係も雲行きが怪しかった。
時女一族がだんだんとマギアユニオンに嫌悪感を抱くようになったのだ。
理由は簡単。マギアユニオンが瀬宮のテコンドーを取り入れてしまったからだ。
「重根・旭日式ストラーダ・フトゥーロ」
いろはがこんな技を繰り出してしまったのだ。
おかげで、結菜に全治三週間の大怪我を負わせることができたが。
「・・・なに、そのふざけた技?」
「えっ、そんなつもりじゃ・・・」
代償として、時女静香は完全にマギアユニオンを信頼しなくなった。
それでも、唯華の日常は平穏なものであった。
だって、彼は一般人なのだから。
しかし、非日常の魔の手は着々と彼に忍び寄っていた。
「・・・」
「やっぱりすごいっすねえ・・・」
ある日の夜、唯華は電波望遠鏡の方で神楽の練習をしていた。
あの野原は魔法少女たちで独占することが決まったのだ。
この前、瀬宮を吐血させた罰だそうだ。
「・・・見ていて楽しいか?」
「楽しいっすよ!すごくかっこいいっす!」
「・・・そうか」
彼はそのまま舞い続けた。
「さすがっすね・・・聖道唯華、”神浜のダヴィンチ”・・・」
「あまりその名で呼ばないでほしいんだが・・・」
「じゃあ・・・ヒノカミさん」
彼はピタッと止まった。
「・・・証拠ならたくさんあるっすよ。
まず、アンタは小学生の時から神楽の練習をしていたっすよね?
でも、ヒノカミが動画を投稿したのはここ最近のことっす。
どうして小学生の時のアンタがヒノカミ神楽を知ってたっすか?
もう一つあるっす。それは、あの異常気象の日に、アンタの行方がわからなかったことっす。
その代わり、ヒノカミが神浜市を救ったという噂が存在するっす」
「・・・だいぶ調べたようだな。
でも、それだけだと話にならんな」
「一番の証拠はアンタが動画よりも上手く踊ってることっす。
投稿してからも練習を続けていれば、当時よりも上手いはずっすよ。
そもそも、ヒノカミ以上の実力がある時点で只者じゃないっす」
「・・・まいったな、何が目的だ?」
「ひかるの目的はただ一つっす。ヒノカミ神楽を教えて欲しいっす」
唯華はフリーズした。
「フリーズするなっす!」
「あべしっ」
「ピュエラケアの連中から聞いたっす。
魔法少女のことをどういうわけか知ってるって。
だから、神浜市の魔法少女がどういう状況に置かれてるかはわかってるっすよね?」
「・・・リアルタイムで把握してるわけじゃねからな。
まあ、なんか争ってるってのは知ってるけど」
「その争ってる勢力の一つが・・・ひかるの所属してた勢力が解散したっす」
話は結菜が大怪我を負った翌日に遡る。
「・・・来てくれてうれしいわ」
病室に義姉妹とその直属の魔法少女が集められた。
誰もが黙って俯くしかなかった。
(・・・すっごく重苦しい状況なの)
「今日が最後の姉妹会議よ。
樹里、アオ、ひかる・・・。
あなたたちだけは残ってるわね。他の子たちは戦意喪失してしまったわ。
神浜の魔法少女はあまりにも強くなりすぎた。
神楽だけじゃなく、劣等殲滅テコンドーまで取り入れやがったわ。
PROMISED BLOODは今日で解散よ。自由に余生を生きなさい。
長い間、復讐に付き合ってくれたことに・・・心から感謝するわ」
「顔を上げてくださいっす!」
「礼なんて必要ねえ!」
「今までわたしたちが戦えたのは姉さまのおかげなんだから!」
結菜は涙を流した。
「ありがとうっ・・・!」
そして、今に至る。
「他の子たちは皆、それぞれの道に進んで行ったっす。
アオさんの行方がどういうわけかわからないっすが。
問題はひかるっす。今まで、結菜さんに本気になってたっす。
でも、結菜さんにこれからは別のことに本気になれって言われたっす。
このままだと、ラクロス部にまた入れられてしまいそうっす」
「だから俺のところに来たってわけか」
「そういうことっす・・・」
「まあ、ご期待には添えないと思うけどな」
それでも、唯華は嬉しかった。
自分の神楽を正式に継承するかもしれない者が現れたからだ。
そういうわけで練習を始めたら・・・。
「あのさ、唯華くん・・・君も小学生のときは血反吐を吐いてたの忘れたのかい?
どうして初めてから数分の子に本格的に練習させたんだ?」
「すみません許してください何でもしますんで」
ひかるは里見メディカルセンターに搬送された。
「・・・これっす!本気になれるものが見つかったっす!」
血反吐を吐いた当の本人は懲りていなかったようだが。
「あなたがひかるに血を吐かせたって・・・?」
「話せばわかる」
「問答無用よ」
唯華は空まで吹っ飛ばされて、星となった。