そして████になった転生者 作:にわかネット文化ファン
ある日、電話がかかってきた。
まなかからであった。
「唯華さん、実はかくかくしかじか」
「えっ、どっちが正統なヒノカミ神楽か争ってるって?」
「そうなんです・・・それで、正統な神楽なのか教えて欲しくて」
魔法少女たちがそんなことで争っているとは思わなかった。
「あ ほ く さ・・・俺の弟子を見習えっての、いろはの奴・・・」
「えっ、ちょっ、待ってくだ・・・」
唯華は色々とがっかりしたのだ。
弟子のひかるは星の神楽を創造するほど成長したというのに、
未だにいろははヒノカミ神楽から踏み出せていないのだ。
「教えてくれたっていいじゃないですか!」
まなかがガラスを割って入ってきた。
そのせいで、植木鉢も割れてしまった。
「見ろよこれぇ。なぁ、この無残な姿よォ」
「まなか、わるくないです」
冗談はさておいて・・・
「その・・・第二のいな・・・ヒノカミ神楽はこの前見たけどさ」
「ちなみに、まなかも踊れますよ」
「マジか・・・でも、それヒノカミ神楽じゃねえんだよな」
「そうなんですか?」
彼はついに秘密の一端を打ち明けることにした。
「ヒノカミって漢字にすると何になると思う?」
「燃える方の”火の神”なんじゃないんですか?」
「実はそうじゃないんだ。太陽の神様なんだ。
これを知ってるのは俺と阿見莉愛だけだな」
彼は紙切れに”日の神”と書いた。
「なるほど・・・そうなると、第二のヒノカミ神楽って・・・」
「どちらかというと、炎の方に近いんだ。
炎の神・・・エンガミ神楽と名乗った方がいいんじゃねえか?」
「なるほどなるほど・・・ありがとうございます。
それはそうと、さっきの電話に関して残念なお知らせが」
「なんだ?」
「あれ、いろはさんが聞こえるように通知音量MAXにしてたんです。
ヒノカミとしての唯華さんの意見を聞きたがっていましたから。
今、やちよさんが宥めてますが、時間の問題ですね」
「ほうほう・・・じゃあ、俺はこれで失礼する」
ところが、時すでに遅し。玄関のドアが吹っ飛ばされる音が聞こえた。
「・・・はは、玄関から入ってくるだけ、お前よりマシかもな」
「そんな冗談言ってる場合ですか???まさかこんなに早く来るなんて・・・!」
彼はまなかを左手で抱きかかえて、本棚を動かした。
そこには、ドアが隠されていた。
「唯華さんはどこのアンネですか?」
「こんなこともあろうかと、ってな」
本当は小さい頃の阿見莉愛と一緒におままごとをしていた部屋なのだが。
隠し部屋に隠れた数秒後に、さっきまで唯華たちがいた部屋のドアが吹っ飛ばされた。
「・・・唯華さん、弟子ってどういうことですか?
私には教えてくれなかったのに、どうして他の人には教えたんですか?
私にやっぱり才能がないからですか?ねえ、どこに隠れてるんですか?
怒ってるわけじゃないんですよ・・・確かに、少しだけイライラしてますが。
早く出てきてください、弟子が誰なのか教えて欲しいだけなんですよ。
別に弟子に何かするわけじゃないですよ・・・私より資格があるのか確かめたいだけです」
唯華とまなかはがくがくと震えた。
((イライラなんてレベルじゃない・・・!))
だが、その瞬間、彼は前世から伝わる究極の格言を思い出した。
「・・・攻撃は最大の防御」
「唯華さん???とち狂ったんですか???」
彼はおままごと用の玩具包丁を手にした。
「まなか、お前はそこの窓から逃げるんだ」
「わかりました。急いで阿見莉愛さんたちを呼んできますね。
・・・絶対に生きていてください。死んだら承知しませんから。
でも、少しツッコませてください。どうやって勝つつもりなんですか????」
戦いの結果、唯華は両目を失明し、いろはは両足が不随となった。
阿見莉愛たちが駆けつけた時には、両者ともに戦闘不能となっていたのだ。
院長「まあ、私が治すからノープロブレム」
里見メディカルセンターの医学は世界一ィィィィーーーー!
「薬学の方は俺が世界一なんだけどな・・・目が見えねえ」
「・・・ばか」
唯華のそばには、ずっと阿見莉愛が付き添っていた。
「目が見えなくても、阿見莉愛がいるから安心できるよ。
ごめんな、こんなことになってしまって」
「これに懲りたら、二度と魔法少女と戦わないことね・・・。
そもそも、どうして玩具包丁で相手を戦闘不能にしたのよ???
・・・ほら、お口開けなさい。大番(愛媛県宇和島の名物)買ってきたから。」
「ありがと・・・」
その時、ドアが開けられる音がした。
「・・・かこ、か」
「よくわかりましたね」
「雰囲気でな」
ちなみに、結菜とかりんも同じ病室である。
(・・・安穏が欲しいの)
(さすがは”神浜のダヴィンチ”、気配で見分けれるだなんてね・・・)
目が見えなくなったことで、唯華は物思いに耽る時間がさらに増えた。
物思い、と言っても取り留めのないようなことばかりだったが。
すると、それを何かに書き留めたくなってきた。
「・・・阿見莉愛」
「何ですの?」
「原稿用紙持ってきて」
「両腕折るわよ」
「ぴえん」
「まずは休みなさい」
阿見莉愛の言う通りだった。
ここ最近、唯華はゆっくり休んだ覚えもなかったのだ。